宇宙戦艦ヤマト2199 白色彗星帝国の逆襲   作:とも2199

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宇宙戦艦ヤマト2202とは別の世界線を歩んだ宇宙戦艦ヤマト2199の続編二次創作小説「白色彗星帝国の逆襲」です。「白色彗星帝国編」、「大使の憂鬱」、「孤独な戦争」、「妄執の亡霊」、「連邦の危機」、「ギャラクシー」の続編になります。


白色彗星帝国の逆襲91 奇襲Part1

 ガルマン星系――。

 

「どうやら奴等が到着した様です。現在、超長距離レーダーが、星系外に艦影多数を探知!」

 ガルマン帝星防衛艦隊旗艦、空母バーニアスでは、作戦指揮所に集まった軍の高官たちに、その報告を受けた緊張が走った。

 キーリングは、グスタフ中将と顔を見合わせた。

「いよいよだ。グスタフ、始めようか」

「ザーベルク!」

 グスタフ中将は、腕を上げて敬礼した。そして、艦内の通信士に大きな声で、指示した、

「全艦隊に通達! 総員、戦闘配置! 前衛艦隊は、ガトランティス艦隊の迎撃用意!」

 第六惑星付近に展開していたガルマン帝国前衛艦隊約一万隻は、この命令で一斉に動き出した。ガトランティス艦隊が発見された方向へ艦首を向け、隊列を組んで迎撃の用意をした。

 

 一方、ガトランティス来襲の報告は、空母シナノに座乗する土方にも伝えられた。

 土方は、明かりが落とされた作戦指揮所の様々なモニター機器の光に照らされる中、目を閉じて、腕組みして立っていた。目を開けた彼は、鋭い眼光でレーダーチャートを睨みつけた。

「来たな……」

 土方は、横に居た古代と目を合わせた。

「いよいよですね」

「うむ」

 土方は、小さく頷くと、近くに控えて立っていた百合亜に言った。

「岬船務長、全艦隊に、通信回線開け! 全艦、戦闘配置を通達!」

「承知しました!」

 百合亜は、通信長に指示して、急ぎ回線を開いた。そして、通信長からマイクを受け取ると、大きく息を吸い込んだ。

「全艦、戦闘配置! ガトランティス艦隊の侵攻を確認! 現時点を持って、作戦行動を開始します!」

 そう宣言した後、そのマイクを土方に渡した。

「地球艦隊、及びガミラス艦隊全艦に告ぐ! これより、ガトランティス艦隊に対する迎撃作戦を開始する。予定通り、我々第一と、第二艦隊の山南隊は、ガルマン帝星最終防衛ラインで待機。第三艦隊、第四艦隊の大村隊、井上隊は、ガルマン帝国後衛艦隊の後方で待機。第五艦隊、第六艦隊の島隊、北野隊は、直ちにガルマン帝国前衛艦隊付近から離脱し、陽動作戦を開始しろ!」

 土方は、続いて百合亜にバーガー大佐に通信を繋ぐように指示した。

「バーガー大佐に繋ぎました!」

 スクリーンには、バーガーの姿が映っていた。

「バーガー大佐。知らせた通りだ。始めよう」

 バーガーは、にやりと笑った。

「ああ、任せろ。存分に暴れさせてもらう」

 土方は、彼を真剣な表情で睨むと、小さく頷いた。

「頼むぞ」

 バーガーは、古代の方を向くと、嬉しそうな表情で言った。

「古代、奴らを徹底的にぶちのめしてやろうぜ」

 古代も、真っ直ぐに彼を見据えて言った。

「もちろんだ。だが、君は、ここにいるガミラス正規軍全軍の指揮官だ。くれぐれも、戦闘機に乗って戦いに出たりしないようにな」

 バーガーは、後ろ頭をかいている。

「あ、あたりめぇだろ。そりゃあ、お前もだぜ」

 古代は、にこりと笑って言った。

「分かっているさ」

 そのやり取りを横目で見ていた土方は、低い声で言った。

「古代副長。戦闘は既に始まっている。私語は慎め!」

「は、はいっ。申し訳ありません!」

 土方は、古代に見えないように横を向いて少し笑うと、全艦隊への通信回線を切った。そして、今度はシナノ艦内に向けて指示を発した。

「航空隊は、全機発艦用意! 第一戦闘機隊、攻撃機隊は、機体を甲板に上げ、いつでも出れるようにしておけ!」

 指示を続ける土方の近くで、百合亜は手に持った端末や書類に力を込め、瞳を閉じて一人心の中で祈った。

 

 お願い……。

 この作戦が、上手く行きますように……。

 星名くんに、また会えますように……。

 

 土方の通達を受けたシナノ艦載機格納庫では、山本が隊員や甲板員たちに発破をかけていた。

「野郎ども! 直ちに乗機してエンジン回せ! ガト公を叩きのめしに行くぞ! ぼやぼやするな!」

 山本の指揮する第一戦闘機隊は、一斉に愛機コスモタイガーに駆け込むと、コックピットに乗り込んで行った。そして、山本自身も、素早く自分のコスモタイガーに身体を滑り込ませた。

 山本が、周囲を見ると、同じ様に第一攻撃機隊のコスモイーグルの発艦準備も順調に進んでいた。彼女は、唇の端を僅かに上げると、宇宙帽となるヘルメットを被った。

「そういえば、また古代さんの乗る艦の乗組員か……折角ヤマトを降りたっていうのに……」

 そこで山本は、いらぬ事を考えたと、頭を振った。

 

 一方、土方の地球艦隊付近には、ミランガル率いる大使護衛艦隊も待機していた。

 戦況を見守ろうと、ランハルトは、ネレディアと共に、ミランガルの艦橋にいた。

「始まったな」

「ええ」

「油断のならない相手だ。いつ、ここに敵が現れんとも限らん」

 ネレディアは、にこりと笑って言った。

「もちろん、承知しています」

 ネレディアは、厳しい表情になると、全艦に指示を発した。

「全艦、戦闘配置! 航空隊は、発艦準備して待機しろ!」

 その連絡を入れると、艦載機格納庫から、逆に連絡があった。

「こちら、ガゼル隊のルカ少尉です。リッケ司令に意見具申。我々、偵察隊に周囲の偵察許可を!」

 ネレディアは、ランハルトと顔を見合わせた。

「リッケ大佐である。ルカ少尉、我々は、ガルマン帝国が提供する超長距離レーダーシステムのリンクから情報を受け、この星系の全周囲を監視出来ている。今は、偵察隊を飛ばす必要は無い」

 通信は一瞬沈黙したが、相手は諦めきれない様だった。

「リッケ司令。敵は、狡猾なガトランティスです。レーダーシステムの網を潜って来るかも知れません。我々、ガゼル艦隊の生き残り部隊にも、仕事をさせて下さい。お願いします!」

 ネレディアは、困った様な表情になり、艦内通信のマイクをオフにすると、再びランハルトと顔を見合わせた。

「彼女たちは、ガゼル提督の部隊の生存者です。私は、彼女たちを危険な任務につける必要は無いと考えている」

 ランハルトは、腕組みして、少しの間思案した。

「分かった。俺が話す」

 そう言ったランハルトは、ネレディアから艦内通信のマイクを受け取った。

「ルカ少尉、デスラーだ。ガゼル提督の仇を取りたい、という君たちの気持ちは、痛いほど俺も理解している。だが、提督は、君たちが無駄に命を散らすのは望んでいないと俺は思うが、お前たちはそれが分かっているのか?」

「もちろんです。そうしなければ、提督が私たちにしてくれた事を、伝える人が居なくなってしまいます。だから、私たちは、必ず生きて国に戻ります!」

 ランハルトは、微笑すると、ネレディアの顔を見た。ネレディアは、困惑した表情のまま、仕方なく頷いた。

「……ルカ少尉。君たちの部隊に、偵察任務を正式に与える。但し、ガルマン帝星からあまり離れるな」

 ルカの返答は踊っていた。

「ありがとうございます! これより、ガゼル隊は、偵察任務の為、ガルマン帝星周辺の偵察に向かいます!」

「了解した。くれぐれも気をつけろよ」

 

 その頃――。

 

 イセとヤマトが率いる第五、第六艦隊の二つの小隊は、ガルマン帝国前衛艦隊から離れると、独自の作戦行動に入った。小ワープでその宙域を離れると、彼らはガルマン星系外縁のカイパーベルト天体が広がる宙域に出現した。ヤマトとイセは、それぞれ駆逐艦五隻づつと、無人艦隊五隻、ガミラス艦隊からガイペロン級航宙母艦二隻、駆逐艦十五隻を帯同していた。

 第五艦隊、通称島隊を率いる艦隊司令兼イセ艦長の島は、艦橋の奥に設置された艦長席から全艦に連絡を行った。彼は、この陽動作戦の艦隊指揮官に任命されていた。

「全艦に告ぐ。現れたガトランティス艦隊多数は、ガルマン星系に侵入を開始している。彼らは、ガルマン帝国本星に向けて、真っ直ぐ密集隊形で侵攻しているようだ。これより、我々は、ガルマン星系のカイパーベルト天体に紛れて、ガトランティス艦隊の到着を待ち、予定通り作戦を開始する。本艦と、ヤマト、及びガミラス空母は、航空隊を全機発艦させて待機!」

 この連絡を受け、ヤマトでは、北野が指示を出していた。

「土門! 聞いた通りだ。航空隊を全機発艦させろ!」

「了解! 航空隊は、直ちに全機発艦!」

 航空隊の待機所では、篠原が連絡を受けて、隊員に知らせた。

「よーし、野郎ども、出番が来たってさ。気合い入れて行くぞ!」

「はい!」

「了解!」

 艦載機格納庫に、彼らは、走り出した。途中、沢村は、後輩の坂本と揚羽に声を掛けた。

「お前ら、落とされんなよ!」

 即座に返事をしたのは揚羽だった。

「はい! 必ず、生きて帰りましょう!」

 坂本は、自信たっぷりに言い返した。

「俺は大丈夫っすよ。沢村さんこそ、気をつけて下さいよ」

 相変わらずの坂本に、沢村は少し呆れつつも、以前ほどの棘が無くなっているのに気付いた。沢村は、彼もかなり成長しているのだな、と感じていた。

「ったり前だ。必ず、生きて帰ろうな!」

 

 加藤は、イセから自分の部隊の攻撃機隊を引き連れて、コスモイーグルを飛ばして先頭に立って飛び出していた。カイパーベルト天体の小さな岩石を避けながら、ゆっくりとその間を縫って行く。

 そうしている間に、ヤマトから飛び出した篠原たちの戦闘機隊が追い付いて来た。

「篠原! 久々の大きな戦闘だ。そっちの練度はどうなってんだ?」

「ヤマト航空隊の実力、隊長も知ってるでしょ?」

 加藤は、風貌越しに、篠原の機体が並ぶのを眺めた。

「お前が隊長になった後だからな。結構、心配してるぜ」

「酷い事をさらっと言う。心配しなさんな。それより、奥さんと子供は、大丈夫なの?」

 加藤は、少し押し黙った。

「隊長?」

 加藤は、ため息をつくと、返答した。

「本当は、地球に帰ってもらいたかったんだがな。ムサシに乗ったまま、今は惑星ファンタムってとこに居るってよ。こっから、ワープで数日で着く距離だから、少し心配してる」

「そっか。肝っ玉母さんを奥さんに持つと大変なんだな」

「俺の女房をそんな風に思ってたのかよ」

「ま、向こうも心配してるんじゃない? 絶対に死んだら駄目だよ? 隊長」

「ああ……違いねえ」

 そんな話をしている間に、ガミラス空母から発艦した機体も、多数彼らの周りに集まっていた。

 

 ヤマトでは、西条未来が、レーダー手として勤務していた。

「……ガトランティス艦隊、想定通り侵攻を続けています。今、カイパーベルト天体が広がる宙域に差し掛かりました」

 北野は、その報告を聞き、そのままじりじりと待った。

「航空隊に伝えてくれ。間もなく、作戦開始だ」

 

 イセでも、同じ様にガトランティス艦隊の動きを監視していた。レーダー手の望月は、先程から何度も報告をしていた。

「ガトランティス艦隊、ワープで続々と現れています。現在約二万隻を探知。カイパーベルト天体の中央を侵攻中です」

 その報告を聞いた島は、緊張した面持ちになっていた。

 

 いよいよか……。

 

 全員を生きて帰らす事が難しい任務だった。島は、彼らの命を保障出来ない戦いに向かわせなければならない事に、胸が締め付けられた。しかし、そのような不安を誰にも見せる事は出来ない。

 島は、厳しい表情をして、通信長の秋本に指示した。

「攻撃予定の航空隊全機に通達。電波管制開始。直ちに作戦を開始してくれ。残りの機体は、艦隊の防衛でそのまま待機」

「はい、直ちに連絡します!」

 島は、艦長席から立ち上がると、みんなに言った。

「よし、絶対に作戦を成功させるぞ。これより、我々に与えられた任務、ガトランティス艦隊への奇襲作戦を開始する!」

 

続く…




注)pixivとハーメルン、及びブログにて同一作品を公開、または公開を予定しています。
注)ヤマト2202の登場人物は、役割を変更して登場しています。
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