宇宙戦艦ヤマト2199 白色彗星帝国の逆襲   作:とも2199

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宇宙戦艦ヤマト2202とは別の世界線を歩んだ宇宙戦艦ヤマト2199の続編二次創作小説「白色彗星帝国の逆襲」です。「白色彗星帝国編」、「大使の憂鬱」、「孤独な戦争」、「妄執の亡霊」、「連邦の危機」、「ギャラクシー」の続編になります。


白色彗星帝国の逆襲92 奇襲Part2

「俺が先頭を行く! 皆、俺に付いて来い。全機ステルスモードに移行し、電波管制を開始!」

 加藤の乗機コスモイーグルは、少し速度を上げると先頭にたち、彼の部隊の僚機が編隊を組んだ。

 そして、後続の地球とガミラスの戦闘機隊や攻撃機隊も編隊を組み直し、小惑星帯を縫って飛んで行った。

 

 ガトランティス艦隊は、先頭を進む約一万隻の艦が小惑星帯を抜け、徐々に速度を上げて行った。しかし、後続の一万隻の大艦隊の列は、まだまだ小惑星帯を抜けるには時間がかかりそうだった。

 そして更に、新たにワープで出現したガトランティス艦隊二万隻が、ガルマン星系外縁に到着し、前を進む二万隻の艦隊の列に、少し離れて続いた。その中には、全軍の指揮を取るユーゼラー提督が、大型空母の作戦指揮所で艦隊全体に指示を送っていた。

「我々は、先行する艦隊の後続に続け。先に星系内に侵入した第一から第五艦隊は、戦闘配置を維持。小惑星帯を通過中の第六から第十艦隊は、速やかに小惑星帯を突破せよ。その先で、ガルマン帝国とその連合艦隊は、必ず迎撃してくる。警戒を緩めるな!」

「はっ!」

「指示を送ります!」

 ユーゼラーの部下たちは、急ぎ足で自分の部署へと指示を送っている。ユーゼラーは、レーダーチャートを眺めながら、部下たちの動きをチェックした。そして、それに満足すると、全艦隊に向けてメッセージを発した。

「ユーゼラーだ。諸君、これよりガルマン星系攻略作戦を開始する。これはガルマン帝国にとっては本土決戦だ。物量では我々の艦隊に引けを取らない数の艦隊が待ち受けているだろう。だが、我々は、これに真正面から受けて立ち、奴らを叩き潰す。それぞれが、武勲を上げる事を期待する!」

 通信の向こうの様子は分からないが、艦内の兵士が、皆歓声を上げた。

「やってやろう!」

「我々の艦隊は、宇宙最強だ!」

 ユーゼラーは、兵士たちの士気が上がるのを確認して、ほっと一息ついて自分の座席について、足を組んだ。そして、小さな声で呟いた。

「白色大彗星が到着する前に、我々の艦隊で片を付けるのも、また一考か……」

 

 北野は、ヤマトの艦内でじりじりと待っていた。間もなく、航空隊による奇襲作戦が始まるからだ。

「艦長! あと一分で、作戦開始時間です!」

 西条の報告を、北野は黙って頷いた。そして、心の中で祈った。

 

 頼むぞ……!

 誰も傷付かずに帰ってきてくれよ……。

 

 その頃、加藤機を先頭に、地球とガミラスの航空隊は、ガトランティス艦隊に接近を続けていた。加藤の目の前を、大きな小惑星が迫って来る。加藤は、操縦桿を少し下げ、ぎりぎりの所で回避した。後続の僚機も同じ様に小惑星を回避した。

 加藤は、その様子を確認して安堵した。しかし、それも束の間、パッシブレーダーが反応し、次の小惑星の向こうに、ガトランティス艦隊の反応が検知された。

「いよいよか。みんな、始めるぞ」 

 加藤は、自身の機体の翼を振り、後続の僚機に合図した。電波管制をしている今、これが、戦闘開始のサインだった。

「お、来たな?」

 加藤のすぐ隣に、篠原の機体が迫って来た。そして、風防越しに篠原は手を小さく上げて振り下ろした。それが、戦闘機隊が、真っ先に突っ込むという合図だった。

 加藤は、にやりと笑って通り過ぎて行く篠原や、沢村、坂本、そして揚羽たちの機体の後部を眺めた。

「篠原、沢村……! 俺たちの守りは、お前たちに任せたぜ!」

 加藤は、エンジンを吹かして、速度上げて篠原たちの隊の後続に続いた。

 

 一方、小惑星帯を通過中のガトランティス第六から第十艦隊のうち、第八艦隊では、とうとう接近する何者かの存在を察知した。

「司令、変です。接近する物体が居るような気がします」

 第八艦隊の司令、バーランド中佐は、自身の座乗する旗艦のレーダー手の報告に眉をひそめた。

「小惑星の見間違いでは無いのか? それに、気がするとは何だ。ちゃんと説明しろ!」

「はっ、はい。現在レーダーには、多数の大小の小惑星が探知されています。しかし、いくつか、規則性を無視した人工物と思われる動きをしている物があるように見えます」

 バーランド中佐は、不機嫌な顔をしたまま言った。

「大スクリーンに出せ」

「はい、スクリーンに出します」

 スクリーンには、自艦を表すマーカーの周囲に、多数の小惑星を表す光点が表示されている。

「どれだ。その物体というのは」

 そのレーダー手は、怪訝な表情で言った。

「あ、いや。おかしいですね。……反応が消えました。確かに、この辺りに反応があったのですが……」

 途端に、バーランド中佐は、憮然とした顔になった。

「もういい。警戒を続けろ」

「は、はいっ。申し訳ありません!」

 そんな会話をしている最中、突然僚艦が大爆発を起こして、艦内はその輝きに照らされた。

「な、何だ!?」 

 続いて、他の艦艇が複数、次々に爆発して行った。

「ど、どうした!? 何が起こっている!?」

 レーダー手は、レーダーの探知範囲を操作し、その原因を探した。

「わ、分かりました! 至近距離から、対艦ミサイルによる攻撃を受けています! 更に十基、ミサイルが艦隊に接近中!」

 バーランド中佐は、目を見開いてレーダー手のチャートを食い入る様に見た。そこには、戦闘機と思しき物体が、多数接近するのが映っていた。

「しまった……! 敵の航空戦力による攻撃だな!?」

 バーランド中佐は、大きな声で指示を発した。

「全艦隊に警告! 我が第八艦隊は、敵機による奇襲攻撃を受けている! 全艦、対空戦闘用意! 弾幕を張り、敵機を近付けさせるな!」

 

 加藤とその僚機は、コスモイーグルの機体下部のパイロンに抱えていた対艦ミサイルを既に全基撃ち尽くして、反転していた。

「奇襲攻撃成功ってとこだな……!」

 ヤマトとイセの居る場所へと向かい始めた加藤の機体とは逆方向に、後続の第二陣の攻撃機部隊が飛び去って行く。そして、その部隊も、更に対艦ミサイルを発射していた。

 その頃になって、ガトランティス側も気付いたらしく、一部の艦艇の対空砲台が火を吹き始めた。

「遅いぜ! みんな、あんなのに当たるなよ!」

 加藤の部隊を支援する為に飛来した篠原たちの戦闘機隊が、加藤のすぐ近くを飛んでいた。加藤は、手で合図して、このまま帰還する事を示した。

 そして、通信機をオンにすると、イセへと通信を送った。

「電波管制解除……! われ、奇襲に成功せり……だ!」

 

 加藤からの通信を受けたイセでは、島にその報告が行った。

「加藤の奴、やってくれたようだな」

 島は、軍帽を脱ぐと、額の汗を左腕で拭い、作戦の成功に安堵した。そして、再び帽子を被り直すと、技術科の平泉に、新たな命令を出した。

「作戦は順調だ。これより、予定通り無人艦隊を出撃させる。座標を指示する。直ちに全速力でガトランティス艦隊の方へ向かわせろ!」

「はいっ!」

 島の指示により、イセの周囲を固めていた無人艦隊五隻は、エンジン出力を最大にして、艦隊を飛び出して行った。そして、平泉の指示したプログラムにより、無人艦隊は自動的に小惑星を避けながら、まっしぐらにガトランティス艦隊の居る方向へと去って行った。

 

 加藤たちの部隊は、帰投途中に、無人艦隊が停止して、周囲に何か発射している様子を確認した。

 既に、電波管制を解除していたので、加藤は篠原の機体と通信回線を開いた。

「篠原! あれがそうなのか?」

「らしいね。あれ、二回目にマゼラン銀河に行った時に、機雷の除去で使ったあれだってね」

「島艦長には、あの時と違い、本来に近い使い方をすると聞いたが」

「おい、あれ……!」

 無人艦隊が放った無数の小さな針のような物体は、周囲を漂う小さな岩石のような小惑星に次々命中した。そして、暫くすると、その複数の岩石は、無人艦隊が発する磁力に引かれ、周囲に集まり始めた。

「見ろよ、篠原!」

「まじかよ! アステロイドシップ計画だっけ……!? あんなのを本気でヤマトの防衛で使おうとしていたのか……!」

「なるほどな。多分、大真面目だったんだろうぜ。だが、あれはこれから標的になる。こんな所でもたもたしている訳には行かねえ。さっさと帰ろうぜ」

「確かに。くわばらくわばら」

 加藤たちの機体は、無人艦隊を飛び越して、真っ直ぐにイセとヤマトの待つ座標へと進んで行った。

 そして、五隻の無人艦隊も、エンジンを再始動すると、岩石を多数引き連れながら、そのままガトランティス艦隊の方へと向かって行った。その途中、対艦ミサイルを放ち終わった攻撃部隊が次々に通過して行く。

 

 イセでは、技術科の平泉が、島の方を振り返って言った。

「予定通り、無人艦隊は、ガトランティス艦隊を射程に捉えた座標に到達しました!」

 島は、大きく頷くと、命令を発した。

「よし、直ちに、無人艦隊による攻撃開始!」

「はいっ!」

 平泉の操作で、無人艦隊は、ガトランティス艦隊に向けて、一斉に砲撃を開始した。

 

 ガトランティスの第八艦隊では、レーダー手が新たな発見をしていた。

「これは……! 小惑星だと見られていましたが、こちらに多数移動しています。これは、敵艦隊だと推測されます! 約、三千隻程を探知!」

 バーランド中佐は、驚愕してその報告を聞いた。

「いかん……! 応戦しろ! それから、直ちにユーゼラー提督に連絡をとれ!」

 無人艦隊が引き連れて来た岩盤や小惑星は、彼らには、多数の艦隊に見えていたのである。

 ガトランティスの第八艦隊が放った陽電子砲による攻撃は、無人艦隊が引き連れて来た岩石に、次々に命中した。

 無人艦隊からも、前部と後部に一門づつ付いている主砲から、砲撃を始めていた。青と緑の光線が飛び交い、辺りは激しい砲撃戦が始まっていた。

 

 バーランド中佐からの報告を受けたユーゼラー提督は、眉をひそめて話を聞いた。

「なるほど。艦隊を分けて、奇襲を仕掛けて来たということか。面白い。第八から第十艦隊六千隻を、その艦隊の殲滅に向かわせろ!」

 この命令により、小惑星帯を移動中だった、第八から第十艦隊は、転進して無人艦隊の居る座標へと、襲い掛かって行った。

 

 イセでは、平泉が島にこの事を伝えた。

「艦長、作戦通り、ガトランティスは餌に喰らいつきました!」

 島は、冷静に言った。

「かかったな。無人艦隊を反転させ、奴らを別の方角へ誘き寄せてくれ。我々は、航空隊を全機収容次第、直ちにこの場を離れる!」

 

 その頃、ガルマン帝国の前衛艦隊は、既に小惑星帯を抜けたガトランティスの第一から第五艦隊に向け、隊列を組んで、高速に接近中だった。前衛艦隊司令を務める北部方面軍のゲッパート大佐は、イセから届いた通信の報告を受けていた。

「先行した陽動作戦部隊の島艦長より入電。われ、奇襲に成功せり、とのことです!」

 ゲッパート大佐は、にやりと笑うと、全軍に通信を行った。

「地球とガミラス艦隊の陽動作戦が成功した。接近中のガトランティス艦隊の前衛部隊は、約二万隻から、六千隻が前線から離れ、部隊が分断された。まだ、四千隻がカイパーベルト天体の小惑星帯を侵攻中だが、それらが出て来る前に、目の前の約一万隻を叩く。全艦、砲撃戦用意!」

 ガルマン帝国の前衛艦隊は、一斉に砲門を開き、砲撃戦に備えつつ、接近を続けた。

 

続く…




注)pixivとハーメルン、及びブログにて同一作品を公開、または公開を予定しています。
注)ヤマト2202の登場人物は、役割を変更して登場しています。
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