※これは艦これ二次創作です。
※女性の提督です。
※キャラが崩壊しています。
※以上が大丈夫な方のみご覧下さい。
「──以上。何か質問などは?」
「いえ、ありません」
「そう……なら解散」
『失礼しました!』
ある鎮守府の執務室。そこの提督が艦娘に対して近々行われる大規模反攻作戦の説明をしていた。聞いている艦娘にとってその作戦はほぼ完璧な完成度であったため、すぐに話は終わってしまった。
そして、執務室から出た艦娘達は皆揃ってふぅ、と一息をついた。
「……やっぱり、あの提督は少し苦手クマ」
「右に同じにゃ」
「非常に優秀であることは間違いないんですけど……私もそう思います」
彼女達が思い浮かべるのは先ほどまで作戦を説明していた提督について。その評価はあまりよろしくない様子だ。
「まぁ、あんなに小さいのによくやるよねー」
「確かにな。流石元帥の一人娘ってところだ」
この鎮守府の提督は──まだ10歳の幼い少女である。彼女は大本営のトップである元帥の一人娘であるため、元帥は娘を可愛がり、かなりレベルの高い教育を生まれた時から受けさせていた。その賜物か彼女自身の才能か、彼女は飛び級で軍学校にトップで入り最年少で卒業したのだった。その結果、身内からも周りからも期待を集めていたのだ。
卒業後、彼女は身内や周りから推され一人この鎮守府に着任した。その戦果は周りの期待以上のものを叩きだし、色んな人から一目置かれる存在へとなった。
さてそんな彼女なのだが、鎮守府に所属する艦娘は彼女を苦手とする人は多い。その理由は──
「……あの近寄りがたい雰囲気さえなければね……」
彼女の歳と不相応なクールな雰囲気であった。
普段、彼女は執務室に籠りきりで中々艦娘達とコミュニケーションを取ることがない。更に話は短く淡々と物事を言っていくため、積極的に話に行こうとする艦娘は殆どいなかった。
「今の今まで轟沈者は0で、積極的に俺たちが過ごしやすい環境を作ってくれてるから……いい提督ではあるんだがな」
「出来が良すぎてホントに10歳クマか? って何度も言いたくなったクマ」
「苦手ではある……でも、嫌いとかじゃないにゃ」
「そうですね」
そう話していく彼女らの前に、一人の艦娘が反対側から歩いてきた。
「皆さん、お疲れ様なのです」
「お、電もお疲れクマ」
特Ⅲ型駆逐艦の四番艦、電。電は提督が着任した同時期に鎮守府に着任した艦娘で、所謂初期艦である。提督との付き合いは一番長く、沢山艦娘が所属した現在でも秘書艦を任されている。
「皆さんはこれから間宮ですか?」
「そうだな。出撃前に腹ごしらえをしに行くつもりだ。電は?」
「電はこれから司令官さんに書類を届けに行くところなのです」
「あー……大変だねぇ」
「……頑張ってね?」
「あ、あはは」
艦隊の前の全員から同情の目を向けられ、電は苦笑いをしてしまう。それほどまでここの艦娘達はあんまり提督と関わりたくないようだ。
「でも、司令官さんは本当は優しい人なのですよ?」
「それはわかるにゃ。でも……」
近寄りづらい。なんか怖い。そんな思いが電以外の艦娘を包む。
「……電ちゃんは辛くない? ずっと秘書艦やってて」
「そんなことはないのです! 凄くやりがいのあるお仕事なのです!」
「そ、そうなのね」
ちょっと強めに返した電に少し怯んでしまう。言い方からして、建前ではなく本心からそう思っているようだ。
「あ、そろそろ行かなきゃなのです。では失礼するのです!」
「頑張ってねー」
一礼をしてタッタッタと駆け足で執務室の方へ向かっていく電。それを見送りながら艦娘達も目的の場所へと歩を進めていく。
「やっぱり電は怖がってる様子は無かったにゃ」
「流石初期艦ってところクマねぇ……」
「……あ」
ふと、その内の一人が何かを思い付いた表情をしその場に立ち止まった。それ以外の全員がそれを疑問に思いその艦娘の方を振り向く。
「どうしたクマ?」
「……もしかしてさ、提督って───」
間を空けて更に注目を集めていく。思わず唾を飲み込んでしまうほどの緊張感が全員に一瞬走った。
「───裏ではどっか抜けてたりとかするのかな?」
『いや、それはない』
「ちぇー、皆で否定しなくてもいいじゃんかー」
先ほどまでの空気が一変、元の和やかな雰囲気に戻っていった。言った本人以外はどこか呆れを含んだ表情を見せている。
「何を言い出すかと思えば……」
「流石にないクマよ」
「あの提督にゃ、プライベートもあんな感じに決まってるにゃ」
「……ごめんなさい。私もそれには賛成出来ません」
「うーん……意外と当たってたりしてそうだけどなぁ」
そんな雑談をしながら艦娘達はまた歩きだす。今日も鎮守府は平和のようだ。
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皆さん初めまして。暁型の四番艦、電なのです。この鎮守府の最初期から今の今まで秘書艦を務めさせて頂いてるのです。
今は司令官さんに頼まれてた書類を持ってきているところなのです。司令官さんは容姿は電とほぼ同じ体型で、まだ10歳なのですが、いつもは凄く格好良くて冷静に完璧に近い指揮をしてくれるのです。更に、いつも私達艦娘のことを考えていてくれて、快適な環境で過ごすことができているのです。
暁ちゃんも少し怖がっていますが司令官さんみたいな女性になりたいと言っていたのです。ちょっと皆怖がっていますが、嫌われてはないのが司令官さんなのです。
「司令官さん、電なのです!」
執務室の扉の前につき、ノックと共に中にいるはずの司令官さんに声をかけます。
「……」
「……司令官さーん?」
しかし、何度かノックしても返事がくることはありませんでした。
「……入りますよ?」
扉を開けますが、そこには誰もいませんでした。仮眠を取るにしてもまだ随分と早い時間です。どこかに出掛けているのでしょうか?
「……工廠? いや、司令官さんは今日は工廠に行くなんて言ってなかったのです……となれば……」
持っていた書類を司令官さんの机におき、執務室を出ます。今日の天気は晴れ。なら行かれるであろう所は──あそこなのですね。
電は少し早足でそこへと向かいます。そこというのは、艦娘や妖精さんでさえほぼ行くところがなく、いつも人気のない場所──第三格納庫なのです。
「……あ」
うっすらではありますが、声が聞こえてきました。普段の司令官さんを知っているなら絶対耳を疑うであろう声なのです。
「うっ……ヒグッ……」
音を立てないよう静かに格納庫へ入ると、隅っこで体操座りをして泣いている司令官さんがいました。
「……司令官さん?」
「! い、電……?!」
電はゆっくり怖がらせないように司令官さんに近付いていきます。
「な、なんで……」
「司令官さんは何かあるとすぐここに行くのです。そこは昔からおんなじなのですよ?」
「……電には敵わない、なぁ……」
電は優しく司令官さんを抱き締めます。司令官さんは最初ピクッと震えていましたが、少しすると電に抱き返してきました。
電だけしか知らない、司令官さんの本当の姿。司令官さんは、本当は凄く臆病なのです。
「今日はどうしたのですか?」
「……また、皆に冷たくしちゃったんだ。ホントは仲良くなりたいのに、いつも冷たくしちゃうの……」
「大丈夫なのです。司令官さんの優しさは皆にちゃんと伝わっていますよ」
「ホント……?」
「勿論なのです。司令官さんがとても優しいことは、電が一番分かっているのですよ」
「うん……」
私がこんな司令官さんを見つけたのは、かなり前、鎮守府での活動が始まって最初の大規模反攻作戦への参加をすることが決定したときなのです。
司令官さんはご家庭の事情もあり、周りから物凄く期待されていたのです。結果として、司令官さんは非常に良い戦果を得ましたが、得る前の時期に電は初めて司令官さんの本当の姿を見たのです。
『いなずまぁ……わたし、こわいの……!』
『おとうさんやおかあさんたちからもすごくきたいされて……!』
『もし、しっぱいしたら……どうしようって……!』
『こわい……こわいよぉ……!!』
あまりにも痛々しく、弱っていたお姿に、思わず抱き締めてしまったのです。いつもは完璧淑女な司令官さんですが、それは繕ってるだけ。やっぱり司令官さんも一人の女の子なのです。まだまだ支えが必要なお年頃なのです。
だから決めたのです。電は、司令官さんをずっと支えようって。
「それとね……もうすぐ、また大規模反攻作戦があるでしょ……?」
「はい」
「……わたし、上手く出来るかなぁ……?」
「司令官さんなら、大丈夫なのですよ。だって、司令官さんは何だかんだで今までやってきたのですから」
「でも……」
本当は、この鎮守府の皆さんに司令官さんのことをお話しすべきなのでしょうが──
「電は司令官さんを信じてます。だからもしご自身が信じられないなら……司令官さんを信じている電を信じてほしいのです」
「電を……?」
「はい。それなら、信じられると思うのです」
「……うん、分かった。いつもありがとう、電……」
──ごめんなさい、司令官さん。もうちょっとだけ、もうちょっとだけでいいので……本当のあなたを独り占めにさせてほしいのです。