アーカードやらジョジョやら色んな作品を見てたらふと思いついたので書きました。
感想と評価次第では続きます。
________時は大正。
ある港町を二人の男女が訪れる。男の背丈は2mに及ぼうかという長身かつ横幅は見た者に熊を想像させる程に立派であった。髪は銀を針金に加工したような煌めきを持つ白髪で、高い鼻に深い彫のある顔から西洋の人間である事が見て取れた。女の方は男とは対称的に非常に小さい背丈で十ばかりの童女のようであった。彼女も西洋人らしい事が見てとれ美しい金の髪を持っていた。対称的な二人であるが共通していたのは色だろう。二人は黒尽くめの服を着ていた。まだ八月も終わりを迎えたばかりで暑いというのに丈長の服を着ていた。
「日本はなんて暑いんだ。なぁ、Mr?」
少女は手で煽ぎながらイラついた様子で男に尋ねた。
「ふふ、そうでもないでしょう。ドール?」
Mrと呼ばれた男は笑いながら涼しい顔を崩す事なく返した。男の言葉を聞き、ドールと呼ばれた少女は煽ぐのを止めたが一層苛立った表情を見せた。
「そうだけどよ! 日本に来て迎えも無しかよ!」
「鬼殺隊の隊士の方が迎えに来る手筈ですがね。どうしたんですかね?」
「どうしたんですかね? じゃねぇーよ! 舐めてんのか!」
見た目からは想像がつかないほど怒り狂う少女を見てニヤニヤしながら男は懐から小さな箱を取り出して、箱の中から黒くて四角い物体を出す。
「ドール、大好きなチョコです。食べるといいですよ」
「ハッ! そんなもので釣られると思ってんのか?」
「それでは、私が食べましょう」
「待て、食べる」
男の手からチョコレートを奪い取ってすぐに口の中に放り込む。口の中でチョコレートを楽しんでいる間、少女の表情が緩み、見た目の年齢に見合ったものへと変わる。
「しかし、迎えが来ないならこちらから行くしかありませんね」
「ひるは、ほんなほほ」
「食べてから喋って下さいよ……。いつまで経っても治りませんね」
「……ッング。うるせぇ、そんなの俺の勝手だ」
チョコレートを飲み込んだ少女はトテトテと歩いていく。それを追いかけて男も歩き出す。
「アテはあるんですか?」
「ねぇよ。お前はあるんだろ?」
「勿論、藤の花の家紋がある家を訪ねれば良いとのことでしたよ」
「藤の花の家紋? なんだそりゃ?」
「説明していたらキリが無いので見つけたら知らせます」
「助かるぜ。俺は馬鹿だからよ」
そう言って頭をガシガシと少女は掻く。男は少女に何か言いたげであったが言葉を飲み込んだようだ。
二人は町から山に向かって進んでいく。相当な距離を歩いたはずだが一度の休憩を挟む事もなく、当然、疲れた様子もなかった。
「おい、こっちで合ってんのか?」
「仕方ありませんね。我慢して下さい」
再びイライラし始めた少女を男が嗜めるが少女はヒートアップしていく。
「畜生! こっちはよぉ! 大嫌いな船旅にも耐えて遥々日本に来たっつーのによ! こんなに歩かせやがってよ! ハァハァ…………決めたぜ、上層部の連中と鬼殺隊のトップを一発ぶん殴ってやる。思いっきりの全力でな!」
息を荒くしながら、少女は地団駄を踏む。明らかに少女がして良い顔をしていなかった。男は懐の箱を出すが中を見て落胆する。恐らくチョコレートが道中で全てを渡し切ってしまったのだろう。
男は港の方へと帰ろうとする少女を長時間かけて説得した。しかし、説得を終えた時にはもう既に日が沈みかけていた。
「どうしますか? 何処かに宿を探しますか?」
「いや、進むね! 今日の内にぶん殴る!」
説得されて進む事を決めたらしいが、ぶん殴るのを止めるつもりは無いらしい。男もこの頑固さに苦労しているのか眉間に手をあて、ため息をつく。
大股で肩を怒らせながら少女は進む。男はニヤニヤ笑顔を浮かべながら進む。二人はしばらくの間沈黙を維持しハイペースで進んでいたが突然止まった。月明かりに包まれた森の中、少女は辺りを見回す。
「間違いねぇな」
「えぇ」
「おい、付いてきてるだろ! 出て来い!」
少女が声を張り上げると少女の目の前に黒い影が飛び降りた。影の正体は人間。いや、人間というのは正確では無い。人の形をした怪物だ。人には本来必要ない大きな牙、長く鋭い爪を持ち、瞳は真赤で瞳孔が猫科動物のように縦長である。そして、飢えているのか口からはダラダラと涎が垂れている。
「お前ら西洋人か? 西洋人は食ったことが無い! どんな味がするんだろうなぁ!」
怪物が少女に飛びかかる。少女は怯えた様子を見せずにただ立っていた。その瞳は怪物をじっと見据えていた。怪物はその拳を少女の顔に叩き込む。怪物の膂力は怪物が飛びかかる際に踏み込んだ地面が僅かながらもえぐれていたことから凄まじいという事が推測される。しかし、その怪物の膂力で放たれた拳を受けて少女は微動だにしなかった。
「面白いな。お前」
ただ、凶悪な笑みを浮かべてそう言うだけだった。
少女は拳を握りお返しと言わんばかりに怪物に叩き込もうとしたがそれは叶わなかった。銃声と共に怪物は吹き飛んで少女の腕の射程を離れた。
「おい、邪魔すんなよ」
「拳で殴っても再生しますよ。さぁ、怪物さん。『祈りを込めた銀の弾丸』の味はいかがでしょう?」
少女に怒りを向けられてもどこ吹く風で男は相変わらずのニヤニヤ笑顔を浮かべたまま銀色に輝く拳銃を怪物に向ける。
怪物は左胸を押さえながらフラフラ起き上がる。
「どうして、傷が治らない? お前何をした!」
「あらっ? 心臓を撃ち抜いたんですがねぇ。何でですかね、ドール?」
「知らん。外したんじゃないか?」
「私が外さないのは貴女が一番よく知ってますよね!」
男は怪物の左胸に向かって数発の弾丸を放つ。普通の人間ならばとうに死んでいるはずだが怪物は死なない。痛がっているが、それだけだ。
そんな怪物を見て男は首をひねる。それを見て少女は大喜びだ。
「戦いと無縁な生活で鈍ったかMr? 手本を見せてやるよ」
そう言って少女は服の下に隠されていた背丈より少し短いほどの長剣を抜いた。男はその間もずっと首をひねっていた。
「さぁ、みじん切りにしてやるよ!」
そう言って足元のおぼつかない鬼を肩から腰にかけて一閃。剣についた血を振って払い、ビシッと親指を男に向ける。その表情は自慢げだがすぐに表情は驚愕に染められた。自信ありげに怪物を斬ったが怪物は死んでいなかったのだ。
「ありゃ? 本国の化け物にゃぁ『祈りを込めた聖なる銀』が殺す手段だったんだがなあ。日本の化け物には効かねぇのか」
「そうみたいですがどうしたものか…………。そうだ、怪物さん。どうやったら貴方死ぬんですか?」
「馬鹿か! 教えるはずないだろ!」
「まぁ、そうですよねぇ」
一層男はニヤニヤ度合いを増している。目の前の怪物の反応が気に入ったようだ。嬉しそうな男とは対照的に少女は欠伸をしていた。
「どうしたら教えてくれますかね?」
「おい、つまらない問答してる場合じゃねぇぞ」
少女は剣を構えて森の一方向を見つめた。そして、数秒後、女性が飛び出す。それに向かって少女が剣を振ると金属同士がぶつかり合う甲高い音がする。
「刀で防いだか? そして、その後流れるように怪物の頸まで刎ねたな? 面白ぇな! 殺すつもりだったんだけどなぁ!」
突然少女に斬りかかられた女性は刀を手に目を丸くしていた。化け物の膂力に張り合える少女の剣に刀を合わせることに加え、怪物の頸も刎ねることができた彼女もまた普通ではないだろう。
少女は刀を持ち、女性に向かって歩いて行く。少女の笑みはこの日本に上陸して最も凶悪に歪み、殺気立っているのが誰の目にも明らかだった。
「ドール!」
「なんだよ! 今からが楽しいんだろ!」
「彼女は鬼殺隊の隊員ですよ」
「どうしてわかんだよ」
「背中の文字です。貴女も説明を受けましたよね」
「あ? あぁ、うん。そうだな。あったな」
「覚えてないんでしょう?」
「お前が覚えてたからいいだろ?」
ちぇっ、と舌打ちをした少女は刀を背中に戻した。男はニヤニヤしながら___本人はニコニコのつもりであろうが___手を差し出した。
「すみませんね。私の連れが」
もう片方の手で少女の頭を掴んで無理矢理下げさせる。なにすんだ、と少女は抗議の声を上げるが男は無視を決め込むようだ。
「大丈夫です。あなた方は強いんですね。まさか鬼を倒せる人がいるなんて」
「いえ、我々など大したことありません。そう言えばあの怪物は鬼というのですか?」
「はい」
「鬼はどうやったら殺せますか?」
男はニヤニヤしながら尋ねる。女性はニヤニヤしながら鬼の殺し方を尋ねるこの男に少なからず警戒心を抱いているようであった。
「どうやったらですか? …………日光を当てたり、この『日輪刀』という特殊な刀で頸を斬れば殺せます」
「ふーん。だったら本国の奴と同じかよ」
少女は本国の化け物と同質の存在であると知ると興味を失ったのか伸びをしたり、身体をひねってほぐしたり自由に過ごしていた。
「……………………もしかして、あなた方が西洋からいらした『怪物退治』の専門家ですか?」
「専門家などという高尚なものではありませんがおおよそ、そうだと言えるでしょうかね」
それではよろしくお願いします、と男はようやくまともな笑顔で手を伸ばす。女性もその手を笑顔を浮かべて握る。
「まずはお館様に話を通しましょうかね」
「Mr、今決まったと思ったろ? 早とちりだぜ! アハハ! 締まらねぇなぁ!」
「ドール気付いても言わないでおくれ……」
これが西洋の『怪物狩り』と東洋の『鬼殺隊』が出会った瞬間であった。
オラに感想と評価を分けてくれ!!
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