その迷宮にハクスラ民は何を求めるか   作:乗っ取られ

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GrimDawnミニ知識:報復ダメージって何?
A.キャラクターは普通の“攻撃力”とは別枠で“報復攻撃力”を持っている。
 近接被ダメージが発生した際、この“報復攻撃力”を攻撃力として攻撃主に対しカウンターダメージが発生する。カウンターストライクや、よくある反射とはまた違ったシステム。

52階層を歩いている状態のタカヒロで言うと、連打する攻撃スキル“正義の熱情”の火力が約3万に対し、物理報復ダメージが15万ほど。イモムシや犬が攻撃時に即死したのはこれが原因。なお、アクティブスキルや確率発動するスキルによって更に伸びる。
・正義の熱情: 28488~ 31782
・物理報復 :129995~151776

Q.下段の物理報復が発動した場合のダメージってどれぐらい強いの?
A.デバフ未使用でもチャンピオン級(=外伝漫画1巻でアイズが対峙した芋虫女王)ぐらいは一撃で消し飛びます。

Q.ナーフ後の設定って書いてあるけど、どれぐらい弱くなったの?
A.ざっくり計算ですが、全盛期と比べて自発火力が4割ぐらいナーフされました。

Q.報復ダメージのn%を攻撃力に~って何?
A.物理だけでなく他にも火炎報復、酸報復などがあり、ものすごく噛み砕いて言うと、それらのn%がカウンターストライクなどの他のスキルの攻撃力に乗っかるというわけです。
 つまり硬くして報復ダメージを増やせば必然と自発火力も伸びるという“公式の仕様”です。

Q.チートじゃね?
A.仕様です。


というわけで、米d……じゃなかった、コメディ枠です。ぶっ壊れさんがハッスルします。




16話 カドモス逃げて

 オラリオにあるダンジョンは未だその全容が知られていないが、逆に有名となっている場所もある。最も有名なのは、セーフゾーンである18階層と、そこにあるリヴィラの町だろう。

 中層以降はあまり知られていないが、理由としては中層以降へ行ける冒険者の数は極端に少なくなるためだ。もっとも言葉だけ知っているという者も少なくは無く、たとえ深層のエリアにおける話題でも話が通じる者が多少はいる点も実情である。

 

 そんな深層エリアの1つ。通称、カドモスの泉と呼ばれる湧き水が溢れるエリア。重篤な損傷すらをもたちまち回復させるエリクサーの、原料となる水が湧く自然の泉だ。

 ダンジョンの51階層という深層に存在するために、向かうことができるファミリアは極一部。それ故にエリクサーの値段も一本約50万ヴァリスと非常に高価であり、10本もあればそこそこの豪邸が建つほどの価格である。

 

 泉が文字のままを指すのならば、カドモスとは何なのか。強竜と書かれるその存在は、所々の階層の主と言われているボス級モンスター、階層主を除いて“最強”と呼ばれる、地を這う竜のモンスターの名前である。

 レベル5や6でも少数では危険とされ、討伐の際はサポーターも含めて6-7人掛かりで挑むことがほとんどだ。泉の水を汲む際には必ずエンカウントする存在であり、避けて通ることは許されない。

 

 

「……で、なんでそんなモンスターが出る階層にレベル1の僕が居るんでしょうか」

「散歩ついでにちょっと深く潜ると言ったじゃないか、それと今日の午前中は休暇日だろ?」

「だ、だめです師匠、8時から自主的な筋トレが」

「KARATEの稽古か?今日は休め」

 

 

 謎の返事をされて退路がないことを知り二本のナイフを構え進むも、声を震わせ続ける少年が約一名。死の瀬戸際は鍛錬で学んで体験していても、怖いものは怖いのだ。傍から見てもふもふの白髪が抜け落ちてしまわないかと不安になるその姿は、51階層の深層という蛇に睨まれた兎である。

 一方の青年は、レアアイテムを落とすらしいモンスターが居る階層を目の前にしてウキウキだ。残念ながら、たった二人で深層に潜るという自殺行為に他ならないイレギュラーをやってのけている感覚は皆無であった。

 

 とは言っても、なにも二人は徒歩でここまできたわけではない。人気のない場所でリフトを使用し、僅か数秒で50階層、通称セーフゾーンの一角に辿り着いたのである。

 

 リフトとは、ようはワープポータルのようなものである瞬間的な移動装置。タカヒロが認めた者だけが使用できるという制限があるものの、使用することによるデメリットは皆無である。

 ところで移動装置と言っても、某ドアのようにどこかしこへとワープできるような便利な代物ではない。行先は彼の脳内ARにある指定されたポイント、もしくはそこへと向かうために開いたリフトの地点だけが移動可能ポイントとなる。50階層にあるこのリフトは、彼が3人を助けた際に訪れていたためにパスが開いている状況だ。

 

 説明の際は「すごくべんりですね!」と目を輝かせていた少年だが、それもオラリオの空気に触れていた時まで。いざ潜った先の空気にあてられて、完全に委縮してしまっている。

 直後、タカヒロの呑気な口から出された「たぶん50階層」という言葉で、戦意は完全に折れてしまっていた。何処に出るか分からないけどきっとマトモな場所だろうという少年の考えは、見事に砕け散る結果を見せている。

 

 

 10階層程度とは全く違う空気に脅える少年とは裏腹に、青年はズカズカと歩みを進めている。ガチャリと鎧の鳴る音が響き、時折モンスターの声と勘違いしている少年はその度に驚いてしまっていた。

 

 

「どうやらここだ、が……」

「へっ!?な、なにか居ますよ師匠!!」

 

 

 そんなこんなで、二人は広い部屋のような場所へと到着する。チョロチョロと水の流れる音が優しく響き、“目の前の2体”が居なければ癒しのスポットにもなるだろう。

 強竜、カドモス。それが2体同時に湧くというイレギュラー。もっとも今いる2名はコレがイレギュラーであることすら理解できていないのだが、目線はバッチリと交差してしまっていた。

 

 

 少年が本気で脅える間もなく、片方が、前へと歩き続けていた青年に襲い掛かる。レベル1では追いきれないその速度ながらも、少年は目を逸らさぬよう顔に力を入れた。対する青年の周囲にはいつのまにか無数の短剣が旋回しており、普段と明らかに気配が違う。

 右手に持つ銀色の“全く普通の盾”を振り上げ一撃を見舞おうとするも、相手は重量級の突進術。体格差は歴然であり、青年が吹き飛ばされる光景が、少年とカドモスの目に浮かぶ。2秒と経たないうちに、結果は現実となって目の前に現れて――――

 

 

 突進を行ったカドモスが2メートルほど飛び上がり、絶命した。

 

 

 何が起こったか分からないのは、今このフィールドに居る2つの生命。地に立つ足は全く動かず、光景を処理しているはずの頭脳は現実を受け付けることができていない。

 本来は敵であるはずだが残ったカドモスは少年に視線を向けるも、その少年は目を見開いており、かつ自分を見ていない。そしてかつてない程の殺気を感じ、震えあがっている少年の目線の先に顔を向けると―――――

 

 

「感謝するぞヘスティア、よりにもよってヒーロー級じゃないか。レジェンダリー……ダブルレアMI……置いてけ……」

 

 

 一撃を受けたというのに掠り傷1つ無く、殺意たっぷりなメンヒルの化身が目を輝かせ迫ってくる絶望的な光景に。残されたカドモスは、雄叫びではなく悲鳴を上げた。

 

 

======

 

 

「今帰った」

「た、ただいまです……」

「おっかえりー!けっこう早かったね、どこかへ行ってたのかい?」

 

 

 ホームの玄関を開ける二人を察知し、ヘスティアは読書を中止して出迎える。扉を開けると、トテトテと擬音が鳴りそうな足取りでソファーへと戻った。

 青年の横で、可愛い可愛いベル・クラネルが精神的に疲れ切り死んだ顔をしていたように見えたが、それも何度か目にしたことのある光景。短時間ながら今回の鍛錬が厳しかったのだろうと、特に深くは気にしなかった。

 

 

 なお、己の師匠があのカドモスを即死させたことに動揺しているなどと知る由は無い。普段の鍛錬の時とは全く違う雰囲気、なお星座やトグルスキル等を全て有効化した状態であった彼を見た時の感情は、恐怖などという生易しいものでは無かったことは明らかだ。

 カウンターストライク、装備効果、その他、確率で発動するダメージやスキルが偶然にも同時に発動したが故の即死である。その証拠に、デバフなしとはいえ2匹目のカドモスについては数秒の時間を要していた。

 

 カドモスが死んだ直後に湧いて出てきた一般のモンスターも、MIゲットで「テンション上がってきた」的なオーラが出ている彼の師匠にとっては敵ではなかった。突進の一撃と共に大多数を蹴散らし、ベル側に襲い掛かったモンスターの攻撃が少年に届く前に屠るなど凄まじい立ち回りを残している。本能的にはその光景に見とれた少年も、流石に恐怖心が勝って断片的にしか覚えていない。

 結果としてモンスターにとって地獄絵図な光景が作られており、51階層のモンスターがドロップする魔石についてソコソコの量を確保することができている。魔石だけでも数年は生活できそうな金額となっているのだが、一斉に換金すると怪しまれるという少年のアドバイスで、大半がタカヒロのインベントリに眠っていた。

 

 しかし、とあるアイテムだけでは別である。いくらか泉を回って2つを得たうち片方を持つタカヒロは、席に戻ったヘスティアに声を掛けた。

 

 

「ヘスティア、先日は助言をありがとう。久々に楽しい“掘り”だった」

「……うん?」

 

 

 条件反射で返事をするヘスティアだが、珍しくご機嫌なタカヒロが何を言っているのかがわからない。とはいえ“狩り”ならばともかく、“レアアイテム掘り”であることを想像しろという方が無茶なものだ。

 とりあえず「楽しめたなら良かったよ!」と元気よく返事をしたが、そこから先が続かない。そのまま記憶を掘り起こす作業に入った。

 

 はて、何か言ったっけな。

 昨日は確か、彼が生きる理由を見失っているように思えて冒険者にならないかとカウンセリング、兼アドバイスを行い―――――

 

 

「これが言っていたドロップ品だろう、確かに一級品だ。一枚はファミリアに寄付するよ」

 

 

 ドサっと置かれる、見るからに高級感のある被膜のようなもの。それこそ到底、零細ファミリアなんぞに似合う代物ではない。

 そしてヘファイストス・ファミリアで暮らしたことがありアルバイトもしたことがある彼女は、ソレが何なのかが分かってしまった。

 

 嗚呼、そういえばあの時。と思い返し、嫌な汗が全身から噴き出し胃が悲鳴を上げ始めようとクラウチングスタートの状態でスタンバイしている。

 当時は目標的な要因で口にしたが、それも過去の話である。

 

 何も見なかったことにしようと腹をくくったはずの、彼のステイタス。それを知った今、彼にとっては第一階層と変わらぬ難易度ではないかと把握できてしまう。

 

 

 青年を元気づけようと詰まった言葉に、神友ヘファイストスの言葉を脳内で掘り起こし。本来ならば第一級ファミリアでしか到達できない地点に居る、カドモスとやらを紹介してしまったことを思い出した。

 

 

=====

 

 

「ヘファイストス――――――――!!」

 

 

 ちっちゃい神様の悲鳴に似た絶叫が、バベルの塔、開店間もない静寂なフロアに木霊する。思わずビクっと反応したヘファイストスは、何事かと振り返った。

 

 よく知るちっちゃい神様が涙を流し、己に向かって疾走してきていた。何がとは言わないが、豊満な二つがブルンブルンと目に毒な程に揺れている。そしてランナースタイルで振りぬくその手の片方には、どこかで見たことがある皮らしきものが握られている。

 

――――嗚呼、きっとロクでもないことの相談だ。

 

 彼女を良く知る故に導き出された己の直感が、確かにそう告げていた。

 

 

 

彼女の部屋へ移動中(事実捏造中)

 

 

「ってわけで、どうにかしてくれないかな……」

「どうにかしてって、ヘスティア、あなたねぇ……。よりにもよってカドモスの被膜だなんて……」

 

 

 ヘファイストスも、もはや溜息を吐くことしかできない。横目で品物を見る彼女の視点においても、ものすごーく品質が良い逸品が机の上に置かれている。かつてない程の逸品は、平均相場1000万ヴァリスの被膜に対して1500万ヴァリスという高値がついても不思議ではなかった。

 疑問は様々だが、2つほど大きな疑問がある。何故、というよりはどうやって討伐すれば、これほどまでの高品質な被膜を手に入れることができるのか。

 

 そして、なぜ。居候を続けていては為にならないと追い出したヘスティアのファミリア、よしんば眷属が居たとしても零細であるはずのファミリアが、カドモスの被膜を拾っているのか。

 

 ……が、ヘスティアは硬く口を閉ざし何も語らない。また、少額とはいえ居候中に購入した本の借金返済に充てるのかと思えば全額現金を希望しているため謎は深まるばかりだ。

 どうやら彼女個人が得た代物ではないようであるが、読み取れるのはその程度である。そして例の斧を鑑定した男の存在を思い出し、まさかと思いつつ、可能性があるとすればそれしかあり得ないと心の中で納得する。

 

 結果として、ヘファイストス・ファミリアが1300万ヴァリスで買い取り転売しないことを約束した。その代わり、なぜこれをヘスティア・ファミリアが所持しているかも追及されず、供給ルートも黙秘することが約束されている。

 

 流石に、似たような品質の皮がもう1つあることを彼女が知ればヘスティアといえどただでは済まない。その残るもう1つはコレクターのインベントリに眠っているために、タカヒロとヘスティア、ヘファイストスの3名にメリットを残して、此度の騒動は幕を閉じたのであった。

 

 

 なお、犠牲となったモンスターと巻き込まれた白兎はカウンセリングの一件に無関係のため、どちらかと言えば犠牲者である。

 




【PC閲覧推奨】
燥ぎまくってるWLさんのステータスを公開してみます。(→ )はダンまち版ステイタス。
メンヒルをイメージしてかなりディフェンシブな内容ですが、実用性もそこそこで火力も報復も十分です。

GrimDawnを御存じない方は「なんだこれ」ってなるかもしれませんが、スルーして頂いても問題ございません。
乗っ取られ初心者も「なんだこれ」ってなるかもしれませんが、ちゃんとゲームで再現可能なのです…。

Lv.100:ウォーロード
体格 :1475(→力)
狡猾性:733(→器用)
精神力:354(→魔力)

・主な能力(トグルバフのみ有効化)
ヘルス :19390/19390(→耐久)
エナジー:1176/2209(→マインド)
攻撃能力:2833
防御能力:3206
DPS :61723
装甲値 :5116(全部位100%)
物理ダメージ  :3654-4116(+848%)
体内損傷ダメージ:639(+787%)
 正義の熱情  :28488-31782
 堕ちし王の意志:91932-103356
攻撃速度 :130%
ブロック率 :64%
ダメージブロック:3225
物理耐性:57%
物理報復:129995-151776(+1741%)
火炎報復:15965(+1741%)
酸報復 :9030(+1741%)60%物理変換
生命報復:4626(+1741%)
武器ダメージHP吸収:9%
反射ダメージ削減 :64%
ヘルス再生:385.93/s

・各種耐性(アルティメット環境、トグルバフのみ有効化。ノーマルなダンまち環境では更に1,2段目が+50%、それ以降+25%)
火  :84+92% 氷 :84+132% 雷:84+107%
毒・酸:84+47% 刺突:87+70%
出血 :84+100% 生命:84+65%  気絶:84+32%
カオス:87+24% イーサ―:91+42%
ドライアドのスキル発動時、出血時間・中毒時間共に60%短縮。ストーンフォーム発動時は110%短縮。

・星座(加護)
岐路:オーダー

船乗りの指針
猟犬
ドライアド
鉄床
真面目な見張り
盾の乙女
建築神ターゴ(スキル直行5ポイント)
生命の樹(スキル直行4ポイント)
メンヒルのオベリスク
エンピリオンの光
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