謎の黙示録   作:Mk-5

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これを見てる者どもに告ぐ
この黙示録は、言っちまえば俺様の気分次第で随時追加されるものだ
途中にページを追加することだって勿論あるぜぇ?
それでも見てぇってんなら、好きなだけ見るこった


初記載 東方File001

俺の名はネクサス。ここでは『次元の旅人』とでも名乗っておこう。

俺は様々な異次元世界やパラレルワールドを巡っては、俺がまだ知らぬ力や面白いことを求めて、目を付けた世界に福や災いを与え、時にはその世界に入り込んで目を付けた奴に接触し、気分次第で良い影響も悪い影響も与える。

駆け出しの頃は行く先々の世界の古今東西における化け物たちを狩ってはその力を取り込むと同時に、従来の力と掛け合わせたりして新たな力を創造し一心不乱に強さを求めた。時には思ったような力が存在しないと判断した世界を「なかったことにした」こともある。

今となっては勿体ない話だ。いくらか寝かしていればもしかすると新たな力が生まれるかもしれないのに。最近はそんな力を狩りつくしたのか、ハッキリと「これで強くなれる」って感じのものには出会わなくなった。

とは言え俺はしたければ大抵何でもできるし、知りたいと思ったことは何時でも何でも知ることができる力があるからな。目を付けた奴と同じ見た目、性格、記憶を持つ“完璧なコピー”を作って、そいつにあんなことやこんなことを試すなんてことも可能だ。

そんな折、俺は1人の不思議な金髪女に目を付けた。

 

「八雲紫…幻想郷とやらの創造主兼管理者…か」

「…面白そうだな。ウヒャハハハヒャハヒャハヒヒヒヒィィィ…!」

 

スキマとかいうまだ見ぬ種の移動方法を持つこの女。そしてそいつの根城たる世界。

目ぼしいものはなさそうだが、楽しめそうと直感した。

俺のこの手の勘は今まで外れたためしがない。

俺はあの金髪にちょっかいをかけることにした。

 

「八雲紫…だよな?」

 

スキマから出てきた直後の奴の腕を掴んで俺は言った。

 

「な…何ですかあなたは!?」

 

混乱している様子の金髪を無視して俺は続けた。付き合うなんて面倒はする気ないしな。

 

「おめぇ、面白い力持ってるじゃねぇか」

「勝手に話を進めないで!さっきからニヤニヤと、あなたは何者なの?」

「よし、これでいい」

 

俺がスキマを作ると、金髪はバカみたいに口を開けていた。俺はスキマに入る前に金髪に名乗ってやった。

 

「俺はネクサス。『自分のものにする程度の能力』を持つ男だ。覚えとけ。ヒャハハハ…」

そして俺は幻想郷に向かった。

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

流石“幻想”を維持する世界なだけある。人間の文明は江戸時代レベルでストップ。それ以上のことは妖怪が管理しているというザマだ。

まあだからこそ、イジりがいがあるというものだ。

歩き出して間もなく、金髪リボンのチビがやってきた。

 

「お兄ちゃん見ない顔だね~」

「何の用だ?ルーミア」

「?どうして私の名前知ってるの?」

「知ってて悪いか?」

「ううん、それよりお兄さんは良い人?」

 

その一言で、俺のイタズラ心に火が付いた。

 

「……俺が人に見える?」

「うん」

「これでもかぁ?」

 

口裂け女気取りでそう言って俺は左腕を、無数の触手やら何やらに変化させて脅してみた。

 

「きゃあ―――――――――!!!」

 

分かりやすく驚いて金髪チビは走り去った。

仮にもアイツ人食い妖怪だろ。この程度でビビるなんて拍子抜け以外の何者でもないな。

そんなことを考えながら歩いていたら2人組の妖精がやってきた。

 

「アンタだな?ルーミアをイジメたのは!?」

「チルノちゃん、やっぱりやめようよ…」

「大ちゃんは黙ってて!大丈夫だから!」

 

そんなやり取りに俺の顔から苦笑いがこぼれた。

 

「…大妖精、このバカは何を根拠に大丈夫なんて言ってんだ?」

「そんなの分からな…ってちょっと待ってください!なぜ私の名前を!?」

「知ってちゃダメなのか?」

「いや、そういうわけじゃ…」

「ならこのバカどうにかしろよ。邪魔だから」

「邪魔とはなんだ!!もういい!アンタは今ここで倒す!!」

「こんな風にか?『アイシクルフォール』」

「「!!??」」

 

チルノとかいうバカの能力を使ったらバカ二人は文字通りバカみたいな顔になった。

 

「な…何なんだよアンタは!?何でアタイのスペルが使えるんだよ!?」

「俺はネクサス。『自分のものにする程度の能力』を持つ男、だぜ」

 

俺のセリフで全てを察した大妖精は戦慄の表情になった。

 

「何その無駄にカッコイイ名乗りは!メッチャ腹立つ!!」

「そ、それどころじゃないよチルノちゃん!逃げよう!私達の手には負えないよ!!」

「何さ大ちゃん、急に」

「いいから!!」

 

そう言って大妖精は無理矢理チルノの手を引いて、逃げるように去った。

「ご迷惑をおかけしました」の一言とともに。

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

次に俺は人里に赴いた。ここに住む人間は皆和服であり、黒いとんがり帽をはじめとした魔法使いを連想させる黒装束の俺は間違いなく浮いた存在だ。

あちこちから聞こえてくる人々の話の中に、「魔理沙」という単語を聞いた俺はすぐさま幻想郷を探った。

霧雨魔理沙、種族「魔法使い」を目指す人間の少女。擁護不可能な泥棒癖の持ち主でもある。

どうやら俺の帽子から連想していたらしい。

更にその友人まで調査範囲を広げてみると、ここの重要人物たる「巫女」のことも知れた。

 

「もののついでだ」

 

俺は人里の茶屋で長椅子に腰かけると、幻想郷を探って「髪バナナ」と「デカリボン」が留守なのを確認し、俺の魔法(?)で「髪バナナ」の家に大量のキノコを生やし、「デカリボン」の神社の賽銭箱に「あるモノ」を大量にぶち込んだ。

 

しばらくすると「髪バナナ」が帰宅したのが分かった。何時でも何処でも特定の場所を監視できる力は便利だよな。

いつの間にか家中に生えた大量のキノコと「オメェキノコ好きだったろ?」の落書きに愕然とした「髪バナナ」を鼻で笑うと、予想通り博麗神社に向かった。

神社では「デカリボン」もとい博麗霊夢が丁度日課の賽銭箱覗きをせんとしていたところだった。中身に「デカリボン」が驚愕の絶叫をした直後に「髪バナナ」が到着。

俺は気まぐれに、こっからは奴らの会話も聞いてみるかと考えた。

 

「おい霊夢、聞いてくれ!大事件だ!!」

「煩い黙れそれどころじゃなぁ――――――――い!!!」

「はぁ!?なっ何だよ!?何でそんなに興奮してんだよ!?」

「これが興奮せずにいられると思う?」

「デカリボン」が指さす賽銭箱を覗いた「髪バナナ」は

「こ…これって…百円玉じゃん!それもこんな大量に!?」

「そうよ!どこの誰だか知らないけど、なんだか今日は良いことありそう!」

「それにしてもホント誰がこんなに大量のひゃ…おいちょっと待て霊夢」

 

百円玉を手にした「髪バナナ」が気付いたようだ。

 

「これおかしいぞ」

「は?何がおかしいのよ?」

「普通百円玉ってさ、この薄いとこにギザギザがあったろ?これにはギザギザが無いぜ」

「へ?」

 

バカ丸出しなリアクションの「デカリボン」を尻目に「髪バナナ」は続ける

 

「それに…百円玉って裏面こんなにまっ平らだったか?確か何かの植物の絵が彫られてたはずだけど」

 

俺がぶち込んだ「あるモノ」の正体(=偽百円玉)にようやく気付いた「デカリボン」はしばらく震えたかと思うと

 

「チクショ――――――――――――――――――――――――――――!!!!!!!!!!」

 

偽百円玉を思いっきりぶん投げた。それを確認した俺は偽百円玉に念を送る。

 

「ん?…おい霊夢、見ろよ」

「あ゛?何よ魔理沙!?」

「百円玉が…」

 

一部の偽百円玉がある一箇所目がけて転がり、そして

 

「文字になってってるぞ、なになに『ヌカヨロ…コビ…サセラ…レテ…ドンナ…キモチ?』?」

 

これを見た「デカリボン」は当然ながら怒りの炎を更に激しく燃やし

 

「誰だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!こんなことしやがったのはぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

「ちょっおい、待てよ霊夢!」

 

「デカリボン」が飛び出したのを確認し、行き先を調べてみると守矢神社なる場所だとわかった。

ライバルという関係上、そこにいる「緑髪」の仕業と思ったのだろう。俺はそれを利用し更に事態をこじらせるべく、守矢神社にも悪戯を敢行した。

布教活動を終えて帰ってきた「緑髪」は、神社の表札(?)が「守矢神社」から「第二博麗神社」に変更されていることに気付き、まさかという顔で石段を駆け上がると目の前に「デカリボン」のと同じリボンが大量にあしらわれた守屋神社が。

目論見通り「デカリボン」の仕業と思った現人神の「緑髪」は怒り心頭で神社を飛び出し、そう時間経たずして「デカリボン」と衝突。2人が大ゲンカしているのを確認後、俺は監視をやめて長椅子から立ち上がり、再び人里の散策を始めた。

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

道なりに進むと寺子屋らしき建物が目についた。中を覗くと、妖怪じみた奴が授業をしていた。正体はすぐに分かり、授業はちょうどお昼休みになったらしいが俺には関係ないのでそのまま歩を進めた。

人気のない路地に入って間もなく、後ろからさっきの妖怪教師が俺を呼び止めた。俺が何だコイツといった感じの顔で振り返ると

 

「急に呼び止めてすまないが、君から漂う邪悪な気を見逃せなくてな。君は一体何者だ?」

「妖怪に邪悪だなんだと言われるのは心外だなぁ上白沢慧音。ハクタクの相の子風情で態度デカすぎるんじゃねぇの?」

 

見下す笑みでそう言ってやった。

 

「っ!?何故そこまで把握しているのかは知らないが、悪事を働くつもりなら容赦はしないぞ!」

「だから相の子風情が調子乗んなっての。ろくに力量も計れないようなバカに付き合うほど俺は暇じゃねぇんだ」

 

呆れを含んだ笑みでそう言うと、俺はここぞとばかりに邪悪なオーラをまとって見せた。

俺としては脅かすだけのつもりでちょっとまとっただけだが、「ハクタクの下位互換」の反応から察するに今まで見たことがないレベルの強力なものだったらしい。

俺が普段やりあってる相手はこの程度じゃ驚くどころか鼻で笑うレベルなんだがなぁ…。

本気でビビってる「ハクタクもどき」に俺は言ってやった。

 

「おいおい、この程度でマジビビりって、どんだけレベル低いんだよ…。そうだ、話ついでによぉ、お前外の世界にいる『孔子』って人を知ってるか?」

「??」

「まさか知らねぇのかよ。とんだゲテモノ教師だなぁ。」

「くっ……」

「まあどうせだから教えてやるよ。孔子は大昔の外の世界にいた学者でな。15歳の時から学問を学び始め、最終的には70を過ぎた頃、欲するままに何を言い何をやっても間違いを犯さなくなったそうだ。俺は15の時に不老になる術を知り、以後60年以上この姿を保存し続けている。さて、流石のお前でもここまで言えば、後は分かるよな?」

 

邪悪に歪んだ笑みを浮かべてそう言い終わると、「ハクタクもどき」は蛇に睨まれた蛙のようだった。

だが相の子とは言え流石はハクタクといったとこか。割とすぐに立ち直ると

 

「……もういい!だが覚えておけ。この幻想郷には私より上の連中はそこかしこに…」

「そんなことはとっくに調べた。天から魔界までな。だが俺が本気で戦うにふさわしい奴なんざ1匹もいなかったぜ?」

「なっ!?」

「それが分かり切ってるのにバトっても、張り合いが無さ過ぎて気が滅入るだけだっつーの」

 

どうやら俺が世界征服的なことをしようとしていると思ったらしい。

 

「まあそうだな…強いて『世界征服ごっこ』くらいなら良さげかもしれんけどよぉ」

「ごっこ?」

「ああ、それくらいのもんだ。俺にとってのこの世界の価値はな」

「……!」

「そんじゃ失礼するぜ。俺が言いたいことはそれで全部だ」

「待て!こちらはまだ…」

「そうか、そんなに『もこたん』を今宵の慰み者にしてほしいのか?」

「なっ!?やっ止めろ!それは」

「だったらこれ以上詮索すんな、暑苦しい」

 

何も言えないでいる「ハクタクもどき」に俺は

 

「そういえば何者かを答えてなかったな。俺はネクサス。『自分のものにする程度の能力』を持つ男だ。覚えとけ」

と言った直後に

 

「『ファーストピラミッド』」

「!?」

 

「ハクタクもどき」のスペルで脅かし、俺が視界から外れたのを確認後、瞬間移動で向かう先は地霊殿。

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

地霊殿の目の前に無事瞬間移動できた俺は、扉を蹴り開けて中に入った。途中向かってきた赤毛の猫耳を触手で締め上げて廊下を音もなく歩き、難なく「三つ目野郎」のお部屋に着いた。

俺は部屋の扉を蹴り開けると同時に

 

「たのも――――――!」

「!?!?」

 

状況が呑み込めていないらしい「三つ目野郎」を無視してずかずか歩み寄り近くにあった椅子にドカッと座ると

 

「…おい、そこは『道場破りかっ』ってツッコむとこだろ?」

「いやいやいや、いきなりそんなこと言われても困りますよ!というか誰なんですか一体!?」

「俺はネクサス。『自分のものにする程度の能力』を持つ男、だぜ」

「自分の…ものにする?」

「そうだよ。覚り妖怪のクセにそんなことも分からんのか?えぇ、古明地さとりさんよぉ…?」

 

見下しの笑みたっぷりでそう言ってやった。まぁこの手のモンは腐るほど見てきたし俺も持ってるしで今更感が半端ネェ。

 

「な…なぜ私のことを…?いやそれよりも何故か心が読めないことの方が分からないんですが!?」

「そんなことも分からないのかよ…はぁ…いいか?お前みたいな種の能力はなぁ、同じ能力を持つ者同士だと技量が上の奴の能力が優先されるんだよ」

「はぁ…」

「そして俺の能力は『自分のものにする』ことだ…つまり、お前と対峙している時点でお前の能力は俺の能力であり、しかも技量は俺の方が上ってことさ」

「っ!!!」

 

ここまで説明してようやく理解したらしい。全く面倒な。

ストレス発散のためにも、ここは「三つ目野郎」をからかおう。

 

「それにしてもお前って奴はとんだガラスメンタルだよな」

「?」

「心が読めるって理由で迫害された程度でよぉ…オメェ妖怪としてふるまう気ねぇのかよ」

「だ、黙りなさい!私だって好きでこんなとこに」

「ここにいる時点でメンタル弱すぎんだよバカヤロ、言っとくが俺と同じレベルの連中にお前みたいなやつは一人もいないぜ?むしろ『それが何だ』と開き直って笑い飛ばせなきゃ俺の世界じゃ失格だぜ?」

「く…」

「つーかよ、そんな状態で俺の半生や裏の顔見てみな、ショック死必須だぜぇ??」

「ヒッ!!」

 

性悪さをたっぷり詰め込んだ笑顔で椅子から立ち上がると

 

「(まぁ安心しなよ!そん時はそん時でとことんまで利用してやるからよぉ!安心しなよ「三つ目野郎」)」

 

テレパシーでそう言った。それも最後のキメ台詞の時にゼロ距離になるよう歩行速度を調整したうえで接近しながら。

 

「…心の中でそんなあだ名をつけてたんですか」

「じゃ何で目が3つあんだよ?」

「そりゃありますけど…野郎と言われるのは何かこう…何かヤです!」

 

吐き捨てるようにそう言った「三つ目野郎」は続けた。

 

「あと『とことんまで利用してやる』って具体的にはどうするつもりなんですか?」

「俺は昔、『ネクロマンサー』だったのさ」

「ねくろ…何ですって?」

「『ネクロマンサー』、またの名を『死霊使い』ともいうが、言うなれば悪霊を使役し、それを利用してアンデッド系モンスターを作り、それを操る存在ってとこだ」

「つまり…私が死んだらその魂を?」

「そうするぐらいには使えるだろ?いくらのガラスメンタルでも」

「ガラスメンタルガラスメンタルしつこいです!」

「まあ俺が言いたいのはそんなくらいだからよ?ありがとさーん」

「へあっ!?」

 

マヌケ面でマヌケな声を発した「三つ目野郎」を無視して地霊殿をあとにした。

地底で事をおっぱじめたところで派手さは皆無だからな。

この後、気配を消して近づいてきた妹を捕まえ、うまく言いくるめて誘拐し、「三つ目野郎」のもとに

『テメェの妹は預かった。返してほしいなら3日後に10億用意して地上の寺子屋の裏に来い。勿論1人でな。命は惜しかろう?』

と書いた手紙を送りつけたのだが、それはまた別のお話。

 

瞬間移動しようとした矢先、ブルマ履いた鬼に呼び止められた。

 

「オイ、お前!」

「何だ星熊勇儀ぃ、俺は忙しいんだ」

「ほほう、よく名前が分かったな!さては私のファンだな?」

「んなわけあるかい最初から知ってたから言っただけだっつーかそんなことより用件を早く言えやボケ」

「お、おう…用件は単純!お前と勝負がしたくなったのだ!!」

「はぁ…ホントにこの世界にゃお前みたいな頭使わない奴しかいないな…1人くらいまともな奴出しやがれこんチキショー」

「問答無用だ!いざ勝負!」

「それなら、まず…」

 

パチンと指を鳴らして、半透明スカートを破裂(?)させた。

 

「えっ!?うぉあ!」

 

何故にそんなリアクション?

 

「何を意味不明なリアクションしてんだよ?元々半透明なんだから有ろうが無かろうが同じ様なもんだろ?」

「だ、だからっていきなり何の前触れもなく破くな!身ぐるみ剥がされたみたいでメッチャ恥ずかしいだろが!!」

「知るもんかい…それより、俺はソイツが気に食わねぇんだ」

 

俺は「金髪鬼」の赤ブルマを指さした。

 

「へ?これが?」

 

またパチンと指を鳴らして、黒ブルマに変えた。

 

「おお!?黒くなった!」

「そうだよ、俺は赤より黒が好きなんだ」

 

ついでに体操着似の上もふちの赤を黒に変え、履物を消して裸足にした。

脚はしっかり閉じたまま真っ直ぐ伸び、そのまま動かなくしてあるが、「金髪鬼」はまだ気付いていないようだ。

 

「ま…まぁいい、済んだんなら早速…ってちょっと待て!」

「どうした?」

「何か…脚が動かなく…」

「ハッ、気付くのが遅すぎなんだぁよ」

「まっまさかお前…!」

「『パチン』」

 

両手を頭の後ろで組ませる(二の腕を掴む感じで)。

 

「な、ちょ、今度は手が!」

「キシシヒヒヒ、無警戒にベラベラ喋ってるからだ」

「うっさい卑怯者!一体どうやって体の自由奪ったんだよ!?」

「簡単に言えばぁ、俺の『領域』にいるからだな」

「『領域』?」

「そうさ、俺の『領域』ではな、何でも俺の思いのままになるのさ」

「何でも…?」

「だから今のお前はその体勢のまま動けんし、スペルカードだって使えない…何故なら俺が『領域』にそう念じたから」

 

そこまで言い終わった俺は、左腕を無数の触手に変化させ、地を這わせながらゆっくりと「金髪鬼」に近づけた。

 

「な、お、おい、ちょっ、ちょっと、ちょっと待て!そ、そ、それで一体何する気だよ!?」

「何する気だと思うぅ?」

 

とびっきりのたくらみスマイルで俺はそう言った。

「金髪鬼」の顔には超分かりやすく恐怖の色が浮かんでいた。もはや鬼らしさは皆無だ。

実のところこの時点では“どっちにするか”まだ決めていない。

時と場合によっては両方したこともあるが、あくまで今は候補の1つにすぎない。

そうしている間にも触手は進行。「金髪鬼」の脚を登り始めた。

 

「さあさあ、まだ答えを聞いてないんだがなぁぁ」

「ま、ま、待った待った待った!一旦これ止めてくれ!!頼むから!!何か色んな意味でキツいから!!!」

「言えよぉ素直にさぁ…」

「す、素直にも何も…その…!」

 

この時「金髪鬼」は赤面していた。

普段からそういったことを考えているのか?それとも単に想像力が豊かなだけか?

調べてみたところ、どうやら後者のようだ。

だがそんなことは最早どうでもいい。もう既にどうするかは決まった。

 

「言うならちゃぁんと言えよぉ」

「へ?え?」

「ちゃぁんと言わないと分かんないだろぉ?ホラ、俺そういうの疎いしさぁぁ……」

「……………!!!!!!!!!!」

 

邪悪なオーラを顔周辺に集中させ、顔全体を漆黒に染めて目と口だけが不気味に光る最上級の意地悪スマイル。

俺は目線の意味も込めて「極悪光線」と名付けている。

俺のバックには後光の代わりに「極悪」の文字が絶え間なく湧き上がるほどの邪悪なオーラが立ち込める。

勿論全力なわけがない。だが「金髪鬼」を凍り付かせるには十分過ぎたらしい。

 

「あ……あ……ああ……あ…」

 

最早まともに喋ることすらままならない。やっぱりコイツも拍子抜けだ。

触手は遂に「金髪鬼」の腋のあたりまで到達した。

 

「さて、もう時間切れだ」

「ヒッ!!」

 

俺は実行に移した。

 

「ひわあぁぁぁひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃ!!!!」

 

無数の触手が「金髪鬼」のももを、横腹を、へそを、腋を、首周りを、その他もろもろをくすぐった。

 

「きゃはははははは!!あはあはあはあははは!!!やめ、やめてえぇひゃひゃひゃひゃひゃひゃ!!!!」

 

「金髪鬼」の笑い声はとめどなく続き、やがて笑い死んだ。

ついでに「金髪鬼」が想像してたことを実際にやってやった。どんなプレイかは諸君の想像に任せよう。

そして俺は改めて瞬間移動した。次なる目的地は…白玉楼。

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

俺は到着早々、例の桜の木の根元にある「大食いボケナスピンク」の死骸を引っ張り出した。

しゃがんでその死骸を吟味している最中、奴が気配を察知して接近しているのを確認したもんで、死骸を体内に隠すとともに何食わぬ感じでその場にたたずんだ。

勿論そんなことが行われているとは知らない「大食いボケナスピンク」は話しかけてきた。

 

「あら、どちら様かしら?」

「名前を聞く時はまず自分から名乗る、それが常識なんじゃないか?西行寺幽々子さんよぉ…」

 

俺はしゃがんで背を向けたままそう言ってやった。

 

「珍しいわね、初対面でこんなに堂々としているなんて」

「まず名乗りなよ…」

「あなたは私の名前を知ってるんでしょ?なら今更」

「『名 乗 れ !』」

 

俺は立ちあがると同時に「大食いボケナスピンク」にそう命令した。

 

「わ…私は…っ!西行寺幽々子…は、白玉楼の主…よ…!」

「フン、最初からそう言えばいいものを…マジでこの手の連中はこんなんばっかしだな…」

 

嫌味なスマイルでそう言うと、

 

「それはそうと教えて下さらない?一体どうやってこの私に言うことを聞かせたの?」

「オメェ亡霊のクセに『ネクロマンサー』を知らねぇのかよ?」

「…ごめんなさいね、よく分からないわ」

「『ネクロマンサー』、またの名を『死霊使い』ともいうが、言うなれば悪霊を使役し、それを利用してアンデッド系モンスターを作り、それを操る存在ってとこだ」

 

状況を理解したらしい「大食いボケナスピンク」はここで冷や汗を滴らせた。ゴーストが冷や汗ってのもなぁ…。

 

「えーっと、要するに…」

「俺にとってゴーストは『単なる下僕』にすぎないということだよ」

「……!」

「だからぁ今の俺には逆らわない方が良いぞぉ?さもなきゃ…」

「さ…さもなきゃ?」

「テメェの死骸を人里に持ってって『かんかんのう』踊らすぞ?」

「!!!!」

 

体内に隠し持ってた死骸を見せた後、これでもかというほど大袈裟に動かしてみせた。

 

「かんかんのう~ きうれんす~♪」

「ヒィィィ!待って待って待って!分かったわ!言うこと聞くから!逆らわないから!それだけはよしてお願い!!」

「分かれば良いんだよ分かりゃ…じゃ次の命令だ『俺を客人として迎え入れろ』」

「はっ…!」

 

自分の意志と関係なく口と体が動いた感覚から、コイツは改めて俺に逆らえないことを実感したらしい。

ちょうどそこへ、騒ぎを聞きつけて様子を見に来た「白髪庭師」に出くわした。

まぁ俺としてはこれを見越して「大食いボケナスピンク」に命令したわけだが…。

 

「幽々子様、そのお方は…?」

「私の客人よ」

「そう…ですか」

 

冷や汗を見て怪しんでいる「白髪庭師」に向けて、俺は奴らに聞こえない小声で呟いた。

 

「悪いんだけど、お茶の用意をお願いできるかしら?ついでに茶菓子も」

「かしこまりました」

 

今まで怪しんでたのが急にいつもの感じに戻ったことで「大食いボケナスピンク」は動揺していたが、俺は構わず案内するように言った。

客間に座ると、勿論「大食いボケナスピンク」はさっきのことを聞き始めた。

 

「さっきのもあなたの仕業?」

「さっきの?」

「とぼけないで!あの妖夢が手のひらを返したかのようにいつもの対応に戻るなんてあり得ないわ!」

「単なる『ネクロマンサー』だったのは昔の話…今や俺の能力はあらゆる面を強化している」

「……で?」

「で、今の俺は『わずかでも霊要素を含む存在』なら何時でも『下僕にできる』のさ」

 

我ながら今日もとびっきりのたくらみスマイルは絶好調だ。

 

「まぁそんなわけで、小声で命じた場合はあんな感じで『そうしなきゃいけない気がする』って思わせることもできるのさ…催眠状態とでもいうのかねぇ?因みにさっきは『幽々子を疑うなんてとんでもない』って呟いただけさね」

「……!!!!」

「とりあえずもう少しだべろっか、『白髪庭師』まだ来なさそうだし…」

「…その庭師の主が目の前にいるのに随分と失礼しちゃうわね」

「オメェのせいで白髪になったようなもんだろが、それとも何か?主のクセにそんな自覚もねぇってか?」

 

見下す笑みも申し分ないな。自分で言うのもアレだが。

 

「私の…せい…?」

「テメェの暴飲暴食に対応すべく料理人させてるだろうがそのストレスであんななったんだよ気付けよバーカ」

「は…はぁ…」

 

もうすぐ「白髪庭師」が来るようだからと、俺は本題に入った。

 

「さてと、そんなことより本題は別だ」

「でしょうね、一体私達に何の用があるんです?」

 

この「大食いボケナスピンク」、どうやら利用されそうなことには勘づいていたらしい。

 

「実は俺、ある『イタズラ』を計画中でな」

「悪戯?」

「オメェと『白髪庭師』はその『役者』にピッタンコなわけさ」

「…それで協力しろと?」

「勿論さ」

 

ちょうどそこへ「白髪庭師」がお茶とお菓子を持ってきた。

 

「幽々子様、お待たせしました」

「『よし、それを置いてそこに座れ』」

 

俺が命令すると、「白髪庭師」はその通りにした。というより勝手に体が動いたわけだがな。

 

「え…あれ…?どうなって」

「『無駄口をきくな』」

「……!」

 

喋れなくなった「白髪庭師」に「大食いボケナスピンク」は言った。

 

「妖夢、よく聞いて?彼は『ネクロマンサー』、幽霊を操る力があるの」

「っ!!??」

「だからあなたも言うことを聞いて、じゃないと私もあなたも何されるか分かったものではないわ…」

「そんなことを忠告する必要なんてない…今やオメェらが俺に逆らえないことは分かり切ってる」

「……」

「まぁ、万が一そんなことがあれば…そうだなぁ…」

 

俺は念には念を入れて、「金髪鬼」を凍り付かせた「極悪光線」をここでも使ってみた。

あん時より弱くしたつもりだが、効果は「金髪鬼」以上。奴らは一瞬で戦意喪失した。

だがまだ「役者」が足りないし、舞台の用意もまだだ。

とはいえ、その両方を得られるところに目星はつけてある。そう、紅魔館だ。

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

俺は館の中庭に瞬間移動した。「昼寝門番」に関わるリスクを極限まで減らせるからな。

館の扉を蹴り開けると、中は静かで薄暗かった。やはり「500歳児」の根回しだ。妖精メイドは全員避難している。

ホールの特に暗いエリアに「白髪ロリコンPAD長」がいるのは知っていたが、俺は物は試しと、気付いてないフリをして歩を進めた。

「白髪ロリコンPAD長」はナイフを数本飛ばしてきたが、俺は避けるのも防ぐのもダルかったんで当たる直前に全て消滅させてやった。

すると今度は俺の行く手に立ちふさがった。

 

「止まりなさい!」

「おいでなすったなぁ『白髪ロリコンPAD長』の十六夜咲夜さんよぉ…」

 

俺の力量も知らず、悠然と立ちふさがってフラグを建設…ガチで盛大に吹き出しそうになった。

 

「なっ誰が白髪ですか!私のは銀髪です!」

「知ったことか」

「それに根も葉もない誹謗中傷はやめなさい!!」

「誹謗中傷だぁ?俺は知りたいと思ったことは何でも知ることができるんだ、テメェが孤児だったことから、育ての親要するに義理の母たる『500歳児』の下着をクンカクンカしてることまで分かってるっつーの…まさか『500歳児』から聞かされてねーのかよ?」

「わ、お、お嬢様からは『幻想郷史上最大の脅威がやって来る』としか聞かされておりません」

「チッ『500歳児』のやつ、俺の名前も分からなかったのかよ…とんだ4流預言者だな…まあいい、俺はネクサス、『自分のものにする程度の能力』を持つ男だ、覚えとけ」

 

俺がそう言った直後、「鼻血ブー子」はナイフをかまえて睨んだ。何を言うのやら……。

 

 

「ネクサスさん…私のことはどう言おうと構いません、ですがお嬢様の悪口を言う者は誰であろうと許しませんよ!!」

「アホか、誰もお前の許しなんか求めてねぇよ…ロリコン風情の野郎とくりゃなおさらだ」

「…!奇術『エターナルミーク』」

 

問答無用で戦闘開始とは…相当動揺してるな「鼻血ブー子」のやつ…。

まあその方が奴と同じ能力を早めに披露できそうだから有り難くはあるが…。

飛んでくるナイフを、さっきと同じように消滅させる。見当違いの方向に飛ぶのに関しては面倒だからスルー。

とここで「白髪ロリコンPAD長」は時計を取り出した。

 

「メイド秘技『殺人ドール』!!」

 

発動直後、俺も同じ能力を発動した。

その後は「白髪ロリコンPAD長」にいくらか適当に切り傷を与えて停止を解除した。

切り傷のうち1つは急所を掠るように与えたが、その影響か「PAD長」は吐血し、同時に奴の時間停止も解除された。

膝から崩れ落ち、手で口を押えている。

 

「がはっ…!こ、これは…一体…ごほっ!!」

「ケッ、何時からその能力が自分だけのものと錯覚してやがったんだ?」

「……?」

「時間停止くらい俺にだってできるし、こういう種の能力はなぁ、同じ能力を持つ者同士だと技量が上の奴の能力が優先されるからよぉ」

「ケッホ…つ、つまり…」

「そうさ、お前の時間停止は俺には効かないし、逆に俺はお前が時間停止した上から更にお前ごと停止できるわけ」

「ぐ……!」

 

睨んだところで何も変わらない。フラグを立てた「PAD長」の自己責任だ。喉まで出かかった笑いを飲み込み、

 

「しかも追加で、ほ~れ」

 

ナイフが刺さった床からナイフが抜け、床は元通り、ナイフは消滅した。

 

「俺はこの通り、『巻き戻し』ができるぜ?それも無能なテメェと違って効果範囲の限定も行える…何なら『早送り』でお前を老けさせてやろうか?」

「そんな……こと……!!」

 

血だまりができるほど吐血しているにもかかわらず、なおも立ち上がろうとする「鼻血ブー子」だが、これ以上付き合うつもりは毛頭ない。

触手で首を締め上げて、それが済んだら地下へと歩を進めた。

 

危険とはいえ「鬼畜姉妹」の片割れの部屋への通路は不衛生そのものだった。まぁ実際にはそう見えるほど散らかっているだけで、汚れなども新しい。頻繁に暴れるのだからしょうがないわな…。

そして俺はいつものごとく扉を蹴り開けた。頑丈なものだったから、結果的には蝶番が壊れたわけだが…。と同時に

 

「元気ですかぁ――――――!」

 

空気を大きく震わす大音量で言ってやると

 

「わひゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!」

 

飛び起きた「鬼畜妹」はそのままベッドから転げ落ちた。

 

「こんなことでいちいちビビってんじゃねーよ!それでも吸血鬼か!ああん?」

「フラン、寝起きドッキリは大嫌いなの!!」

 

要するに前にもやられたことがあるってこった。「500歳児」の仕業だろうが、今はどうでもいい。

 

「ケッ、普段は狂気の顔で目に付くもの何でも破壊するクセに、妙なところでガキぶりやがって…495年も生きてんならもう少し言動を大人びさせる努力しろや」

「え~ヤダ~めんどくさい…っていうかそっちだってドア壊してるじゃん!」

「不良品の蝶番使ってりゃ何時壊れてもおかしくないっつーの」

「あ、そうなんだ…それはそうとおじさん誰?」

「俺はネクサス。『自分のものにする程度の能力』を持つ男、だぜ」

「?そういえばお姉さまが、似たような名前の人がどーたらこーたら言ってたけど…まいっか」

 

姉と違って基本的に完全なる子供なせいか、情報がよく伝わっていないらしい。

 

「それよりネクサス、私と遊ばな~い?」

「フン、また鬼ごっこか?よく飽きねーなお前」

「あれ、フランが鬼ごっこ好きなこと知ってるの?」

「知ってて悪いか?」

「ううん、それじゃやろうよ、フラン鬼やるから」

「何 を 勘 違 い し て ん だ お 前 …」

 

体の左半分を変化させ、無数の触手やら何やらで「鬼畜妹」の部屋を覆いつくし、尚且つ俺の十八番である意地悪スマイル「極悪光線」とのコンボ。

この幻想郷にコイツでビビらない奴はいないということは紛れもない事実だ。

しかもここじゃ本気でやる必要はないから楽ちんだぜ。

 

「俺 が 鬼 だ … … ! ! ! !」

 

そう言った瞬間、「鬼畜妹」は完全に恐怖にのまれ、声も出せずに尻尾を巻いて逃げ出した。

その後ろから、壁・天井・床に触手を張り巡らしながら「鬼畜妹」を追い、触手を通じてこう言ってやった。

 

「どうだぁ?怖いかぁ?死にたくないかぁ?そうさ、お前に壊された奴らはなぁ、みぃんな、今のテメェとおんなじ気持ちだったんだぜぇ?さあさあ、今度は貴様がそれを味わう番だ!ウヒャハハハヒャハヒャハヒヒヒヒィィィ…!」

「ヒッ…ヒッ…」

 

今までの所業が嘘のように、「鬼畜妹」はマトモに口をきけぬまま、こぼれ続ける涙にも気付かず一心不乱に逃げ続けた。

フランだけに一心不乱ってか?やかましいわ!

 

「うわああああああん!!お姉さまあぁぁぁぁぁ!!!」

 

部屋に逃げ込んだ「鬼畜妹」は俺の触手の到着間際にドアを閉鎖した。

無論ここまでは全て計画通り。「鬼畜姉妹」に逃げる猶予を与えるためにワザと適当に距離を空けておいたのだ。

だが何もしないと怪しまれるだろう。適当にドアをガチャガチャさせながら部屋に聞き耳を立ててみると、

 

「~~一緒に逃げましょう」

「でもお姉さまぁ!」

「フラン、あなたの気持ちは分かるけど、今の私達じゃどうにもならないわ!」

「でも…でも…」

「今行ったって助けられないわよ…美鈴も待ってるわ!早くしないと手遅れになるわよ!!」

「…わ、分かった…」

 

その直後、羽ばたく音が聞こえ、部屋を静寂が包んだ。

諸君はお分かりいただけただろうか?そう、紅魔館にはまだ重要人物が残っているのだ。「アカグロ」こと小悪魔と「ぱとちょうり」ことパチュリー・ノーレッジ。

途中からとはいえ見落としかけた情報を得た。

まあこの瞬間にも触手は館を侵食しているからいずれは分かることだが…。

さて、兎に角これで舞台も役者もそろった。間もなくイタズラが始められるだろう。

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

翌日、連中の動向を探ってみると、その多くがある場所に集まっていた。マヨヒガ、「17(セブンティーン)BBA」の隠れ家だ。

情報収集のためか、俺が関与した奴らほぼ全員が招集され、妖精の友達だの河童だの土着神だの烏天狗だのと大勢集まっていたが、「金髪鬼」の姿はない。「領域」のことはアイツにしか言ってないからこれは好都合。

色々喋っていたが、要約すると

①能力をコピーされた(及びそうされた可能性がある)奴らは囮として正面から攻める

②他は背後から奇襲

③触手対策になるべく遠距離から

といった感じだ。

といったものの、こうして動向が探れる以上、出席者全員「俺のものにした」も同然。

俺としては結構堂々と探っているつもりだ。俺と同じレベルの連中なら速攻で気付けるのに、この「17BBA」ときたら何も感じていないといった様子だ。何が「幻想郷の賢者」だ。パチモンめ。全国古今東西の「賢者」と呼ばれた連中に全力で土下座して来いやボケ。

作戦決行は今夜らしいので俺はのんびり待つことにした。触手だらけのこの舞台で、“5人の”役者とともに…。

 

夜、俺は紅魔館の屋上にいた。時計の真ん前で、頬杖ついて寝転がってな。

そう時間が経たずして、囮役が登場だ。

個人的に「デカリボン」と「髪バナナ」も混じってたのは意外だったが、特に何の問題もない。

 

「やいこらネクサス!隠れてないで出てこ~~い!!!」

 

いや隠れてないって。気付けやバカヤロ。面倒なのはこの際我慢し、嫌味たっぷりのスマイルで言ってやった。

 

「さっきからずっとここにいるだろうが!目ぇ悪いんか『デカリボン』さんよぉ?」

「誰が『デカリボン』だコラァ!名前で言え名前で!!」

「どう言おうが俺の勝手だろ?つーかお前がいる意味が分からんのだがなぁ…あとそこの『髪バナナ』も」

「誰がバナナだ誰が!いる理由ならお前が一番知ってるだろ!?」

「は?」

「とぼけるんじゃないわよ!魔理沙の家をキノコだらけにして、私の神社の賽銭箱に偽の百円玉入れるなんてイタズラする奴は幻想郷住人の中にはいないわよ!」

「……『ポンっ』」

「あぁっ、アレのことね、ハイハイ!確かにそんなことしたなぁ」

「自分でやって忘れてんじゃねぇよ!!!」

「もののついででやったことだ、いちいち覚えれられるかっつーの」

 

無駄に睨みを利かせるバカ2人を無視して俺は続けた。

 

「まぁでも…全く印象に残ってないわけじゃあないがな」

「どういう意味よ?」

「オメェあの後、守屋ンとこの『緑髪』とヤりあってたろ?あれは地味にウケたぜ」

「地味にってなんだよ!?…っておい待った、ということは…?」

「今更遅いっつーの『八坂の神風』」

 

今回はガチっつーことで、速度・単体破壊力・弾幕濃度ともに大幅にアップさせたものを使用。囮役が一ヶ所に固まってなければ「ミラクルフルーツ」とかでも良かったのだが…。

とはいえ流石に初弾で全滅はないな。一応全員かわしてくれた。

 

「な、何なんだよ今の弾幕!?」

「早苗のとは比べ物にならない…」

「それは『緑髪』がその程度の実力しかないからに決まってんだろアホンダラが…つーか後ろのボケナスども何をボサっとしてるんだ!俺を倒しに来たんじゃねーのかよ!?」

 

カカシみたいに突っ立っているその他の囮に向け、満面の笑みで煽った。そして俺はこう続けた。

 

「特にそこの『鬼畜姉妹』!コレ元々お前らのだろ!?もっと気合い入れろよ雑魚じゃねーってんならよぉ?」

ここまで煽ってようやく「500歳児」が動いた。

 

「『スカーレットシュート』!!!」

 

弾幕は予想より濃かったが問題はない。俺は「例の体勢」をとった。

弾幕が過ぎた後の俺を見て「髪バナナ」が一言。

 

「何だよアレ!?…」

 

続きがあったようだが俺は間髪入れず、無駄にカッコよくこう言い放った。

 

「That’s カリスマガード」

 

直後に俺は仁王立ちで「500歳児」に揺さぶりをかけた。

 

「流石は『500歳児』だ!自分の“自称”カリスマ保持のためにここまでの物理的防御を完成させるとは!自身のガラスメンタルをまともに理解し、それを克服する努力をしている点では少なくとも『三つ目野郎』よりマシだぜ!」

「ガ…ガラスメ…」

「とはいえ残念だったなぁ?『自分のものにする能力』は、多分オメェが必死に考えた守りさえ問答無用で俺に献上したのだぁ!つまーり、その守りが破られるないし無力化されるのも時間の問題となったわけだ!ウヒャハハハハヒャハヒャハヒャハヒャハヒヒヒヒィィィ…!」

「……うー☆」

 

第一ターゲット「500歳児」沈黙完了。

「鬼畜妹」は妹らしく姉に寄り添い、「三つ目野郎」は反論も何もできずじまい。恐らく無暗に反論したりすれば妹の身に危険が及ぶと思ったのだろう。

俺としては今後のプランで役に立ってもらう予定だからそんな気は甚だないが…。

 

「いや~それにしてもあっさり片付いたな~『500歳児』」

「テメー!どこまで汚いんだ!!人の心の傷さんざん引っ掻き回しやがって!!!」

「弱点そのままにしといた方が悪い」

 

これで「髪バナナ」は言葉に詰まったが、今度は「デカリボン」が口を開いた。

 

「そうそう、『三つ目野郎』で思い出したわ!!ネクサス!!誘拐した古明地こいしを返しなさい!!」

「俺がこんなとこに連れてきてると思うのかよ?オメェ単細胞過ぎるだろ…はぁ…」

 

そろそろ切り上げないと話が前に進まないだろう。俺はこう続けた。

 

「さて、俺が相手するまでもないと分かったし、ここらで『役者』にバトンタッチといこう」

「「役者?」」

「『撃ち方はじめ』」

「死蝶『華胥の永眠』!」

 

俺の命令に従い、「大食いボケナスピンク」は弾幕を放つ。

勿論俺が速度・単体破壊力・弾幕濃度ともに大幅にアップするよう支援している。

 

「オイ、何すんだ幽々子!」

「アンタ何でそんな奴とつるんでるのよ!」

「も…もしかして…」

 

気付いたのが「三つ目野郎」だけとなると、アイツはあのことを話していないらしい。

話していればもっと楽しめたのに…。「17(セブンティーン)BBA」の方もいないならいないでちゃんと探そうぜ?

ま、言ってないなら仕方ないし、「三つ目野郎」もまともにゃ説明できないだろうし。

 

「『説明しろ』」

 

俺は「大食いボケナスピンク」に命令する。

 

「か、彼は…『ネクロマンサー』でもあるの…」

「「ねくろまんさー?(何それ/何だそりゃ?)」」

「悪霊を使役して…操る力を持つ存在…」

「使役?操る?」

「そうか!つまりお前はその力で無理矢理言うこと聞かされてるってわけか!」

「そう…今の私達は…彼の…下僕…彼の…命令には…逆らえない…!」

「まさにその通り!どうよ?『役者』に仕立てるにはもってこいな逸材だろ?」

 

俺は「髪バナナ」に向かって、見下した笑みでそう言った。

 

「フン、だからって余裕こくのは早いんじゃなくって?」

「ん?」

「主がこんな目にあってると知れば、従者は当然黙ってないと思うんだけど?」

 

勝ち誇ったような顔で「デカリボン」がそう言った。俺は吹き出すのを我慢して、

 

「従者?ああ、『白髪庭師』のことかぁ?会いたいなら早く言えよぉ『切り込め』」

「断命剣『冥想斬』!」

 

俺の命令で「白髪庭師」は囮どもに刃を振るう。

 

「な、どうして妖夢まで!?」

「ねぇ、霊夢さん…」

「何よさとり!」

「確か幽々子さん、“私達は彼の下僕”って言ってましたよね?」

「ヒャハハハハヒヒフヒキキキ…!ご名答だ『三つ目野郎』!もう察したな?オイ、『説明を続けろ』」

「…彼は強さを得るために奔走し…その結果として…ネクロマンサーとしての力も強くなった…今の彼は、『わずかでも霊要素を含む存在』なら何時でも『下僕にできる』のよ…」

「霊要素を…わずかでも…?」

「そーゆーこった、だから半霊の『白髪庭師』も俺の『役者』なのさ」

 

奴らの顔に、更に濃い絶望が見えた。もっとも、空気になりかけのその他の囮はすでに絶望にのまれている感じだが。

 

「何をボサっとしてるんだ?『攻撃続行』!」

「霊符『无寿の夢』!」

「転生剣『円心流転斬』!」

 

俺の命令を受け、戦況は「大食いボケナスピンク」VS「デカリボン」、「白髪庭師」VS「髪バナナ」といった感じになった。

当然ながら、俺の支援を受けた下僕どももとい「役者」の方が優勢だ。

「鬼畜姉妹」は何とか立ち直ったようだが、入るスキを見いだせないらしい。

それならそれで良い。「残り3人」はそのための備えだ。

 

「…何をして2人を強化したのか知らないけど…私は諦めない…アンタみたいな望みもしないことを強制する奴をこのまま見過ごす気はないわ!!」

 

無知な「デカリボン」がそんなことを言ったので俺は、

 

「おいおい、それじゃあ何か?オメェ『白髪庭師』のこと何も知らねぇのかよ?俺は知ってた!そして俺の行為は結果的に『白髪庭師』の夢を叶えることになったんだぞ?」

「……!?」

「夢を叶えたですって?」

「おぅ、俺は知りたいと思ったことは何でも知ることができる…だからこの『白髪庭師』が『髪バナナ』に負けたことを内心ムッチャ悔しがっていて、隠れて特訓してたことも知ってるぜ」

「なっ…!?」

 

プライベートを探られて赤面する「白髪庭師」を無視して俺はこう続けた。

 

「おい『白髪庭師』!今の状況はどうだ?」

「……?」

「今オメェは『髪バナナ』と対峙していて、終始優勢だ…俺はお前に戦うよう命令したが、具体的な攻撃方法は命令していない…つまり、『髪バナナ』を追い詰めているのはオメェの実力さ」

「…………っ!!」

「ウヒャハハハハヒャハヒャハヒャハヒャハヒヒヒヒィィィ…!よかったな『白髪庭師』さんよぉ!今まさに夢が叶ったんだぜぇ?イヒヒヒキシシヒヒヒヒヒ…」

「おい妖夢!お前ほ」

「おっとそうだそうだ!連中はオメェらだけじゃなかったなぁ…『鬼畜姉妹』以外はすでに使えない子になってるが…」

 

何か言いたそうな「髪バナナ」はほっといて、俺はシナリオを進めることに決めた。

 

「とゆーわけで、お~~い」

 

館の壁を覆わんとする触手、その中から触手と同化した残りの役者の半身が現れた。

 

「な…何だよアレ…!!」

「パチュリーに咲夜…それに小悪魔!?」

「……やっぱり…」

 

知っての通り、「500歳児」は運命を見ることができる。

こうなることは知っていたが、できることなら外れて欲しかったってか?そうは問屋が卸さねぇぜ?

 

「ウヒヒヒヒヒヒ…テメェは正しい判断をしたと思うぜ『500歳児』ぃ、俺の名前は分からずとも、今の自分の力じゃこいつらを救えないことは『運命』で見えたんだろう?オメェはそれに従っただけだ…何も間違ってねぇぜ?」

「黙りなさい!!これ以上の横暴は許さないわ!!霊符『夢想封印』!!!」

 

役者だけ狙えばいいものを、この「デカリボン」は傲慢にも俺ごといこうとしたので俺は弾幕を消滅させた。

 

「お札が…消えた…!?」

「ったく、素直に『役者』どもに必殺技ぶち込みゃいいのによぉこんな風に、『夢想天生』『八方龍殺陣』『夢想亜空穴』」

 

必殺技っぽいのを3つほどチョイスして「デカリボン」に同時に味わわせた。

 

「きゃあぁぁぁぁぁ!!!」

 

悲鳴は上がるものの、咄嗟に結界で防いでいるのが見えたから問題は無かろう。

 

「おっしゃ!今のうちにっと…」

 

俺はいかにも何か凄いことをしそうな雰囲気を醸し出してから…

 

「『ダマリンチョ パパリンチョ ポッピキピ~チョ』!!!」

 

適当な呪文を唱えてから銀色の光の粉をばらまいた。

 

「な、何なんだ今のは!?」

「何ってそりゃ、『異変の素』だぜ?」

「「「「「い、異変の素!?」」」」」

「そうさね、明日の朝には異変が始まるだろう…阻止したいなら俺に勝ってみろってんだい!」

 

と言いながら俺の十八番である「極悪光線」でニカっと微笑む。途端に全員が凍り付く。

ぶっちゃけそろそろコイツらの相手するのがダルくなってきたので、早めに決着をつけるべくこの後のシナリオは大幅カットを決めた。

 

「とまぁ言ったところで、俺はみすみす『完全勝利』をとり逃す気はないがな」

「そ…そんなことで私達が…」

「みなまで言うなぁ、どうせコイツらの洗脳を解いて俺を倒すとか言うんだろ?無理に決まってんだろ?」

「そん」

「考えてもみろよ、オメーらと相手するってのに、そっちが解けるような洗脳を施すと思うか?俺と同じレベルの奴なら共通して下の連中には絶対に解けない洗脳処置を施すぜ?」

「…!?」

「基本的には2種類だな…1つは魂を抜いて抜け殻状態にするもの…もう1つは頭、すなわち脳みそを一旦分解してから組み立てなおすってな感じだ」

 

俺は続ける。

 

「そーそー、中には自滅機構を仕込む奴もいたなぁ、ほんのちょっとでも記憶が戻ろうものならその瞬間死ぬように…」

 

そこまで言った時、対峙している連中、特に「鬼畜姉妹」はまさかといった感じの顔になってたもんで、俺はこう続けた。

 

「さてと…ここまで聞けば、マトモな奴はこう考えるだろうな『もしそれが事実なら、自分達の今の行動は逆効果になるかも』って…」

 

まさか考えない奴はいないよな、という雰囲気を込めた笑みを俺は投げかけた。

 

「あとこれは俺が言うことじゃないかもしれんが、オメェら『囮』だろ?本隊がなかなか攻めてこないこと、おかしいとは思わないかぁ?」

 

連中はハッとなる。いくら何でもそっちが作戦を忘れるとか勘弁してくれよ。俺の笑みは自然と苦笑いに変わる。

ここで「髪バナナ」が口を開く。

 

「け…けど何でお前が知ってんだよ!?」

「オイオイ、『白髪庭師』の夢を叶えたって話題の時にも言っただろぉ?俺は知りたいと思ったことは何でも知ることができるんだぜ?『17(セブンティーン)BBA』の隠れ家での作戦会議を知らないわけがネェだろぉ?」

 

その後は連中のリアクションを待たずに、

 

「だからの、ホイっと『パチン』」

 

俺のフィンガースナップと同時に本隊の連中全員が紅魔館正面に瞬間移動する。

 

「コイツら全員が会議に参加していたことも知ってる…わざわざ足を運ばずに、俺と同じレベルの奴らなら速攻で気付くレベルの粗悪な監視で一切気付かれずに、面白い能力に干渉できた…これも全て、無能なクソ賢者たる『17BBA』のおかげだぜ」

 

もう一度フィンガースナップしてスキマを操り、俺の立ち位置のすぐ隣に「17BBA」を落とした。

 

「感謝するぜ?『17BBA』」

 

BBAは無言で睨んでいるが、俺に言わせりゃ自分が蒔いた種じゃんか自分で刈れやボケってやつだ。

しかも涙目だから余計に説得力駄々下がりだまったく…。

 

「んで、後はこうして…」

 

俺は「領域」に念じて全員の動きを止め、スペルの使用を禁止した。

突然の異常事態に動揺したのを確認後、反応を待たずに

 

「仕上げはっと…『ノンディレクショナルレーザー』『ムーンライトレイ』『パーフェクトフリーズ』『花鳥風月 嘯風弄月』『フジヤマボルケーノ』『飛光虫ネスト』『スターボウブレイク』『レッドマジック』『河童のポロロッカ』『ミシャグジさま』『ファントムディニング』『ナイトバグトルネード』『ポイズンブレス』『彩虹の風鈴』『フラワーウィザラウェイ』『グラウンドサーペント』『天狗のマクロバースト』『ルナティックレッドアイズ』『九字刺し』『メルティングホワイト』『ローズ地獄』…」

 

他にもいろいろあったと思うが、とにかく色んな弾幕を放ち、それらが重なり、混ざり合い、最終的には真っ白な球状の衝撃波と化した。

それはその場にいた全員を飲み込んだ。

勿論誰一人殺してはいない。明日の異変を体験してもらわねばならないからな…。今から楽しみだ。

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

≪霊夢side≫

私は布団の中で目を覚ました。

何故寝ていたのか分からない…何時神社に戻ったのか…。

覚えているのは、「ネクサス」とかいう男が放った大きな白い光…そこから先の記憶がない。

現状を確認するため、私は布団から体を起こした。

あの時の服装のまま…ではなかった。袖がなくなっている。

しかもどういうわけか、脚のあたりが異様にスースーするような…。私が掛け布団をめくると……

 

「な…な…なんじゃこりゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!」

 

何時も履いているスカートの代わりに…そう…以前紫が“外の世界のもの”として見せてきた「スクール水着」…とかいうのによく似た水着(※「ARN-75W」をハイレグ改造したもの)を着ていたのだ!

しかも股の部分の布面積が狭く、下手をすると何かのはずみで丸出しになりそうだ。

流石に恥ずかしいので着替えたかったが…どこを探してもない…。

スカートその他、下につける衣服や袖、更には靴や靴下も一切見つからない。

 

「もしかしなくてもこれ…異変よね…」

「っ!?」

 

自分が言った「異変」というワードで思い出した。

ネクサスは言っていた…『明日の朝には異変が始まる』…と。

その瞬間、何か嫌なものを感じ取り、慌てて玄関の戸を開けてみると…。

 

「……………………………………………………!!??」

 

私は絶句した。辺り一面が水浸しになっていた。

しかもどういうわけか、水は私の脚全体が浸かるほどの高さまであるにもかかわらず、家や神社の中には一滴も入り込んでいない。

そもそも博麗神社は人里離れた山の中にある。本来ならそこら一帯が水の底に沈んでいてもおかしくない。

でもそんな様子は見られなかった。ていうかこの水自体おかしすぎる。水は石段の上にも、やはり私の脚全体が浸かるほど…正確には私の股のところスレスレの高さで溜まってる。

それも一段一段…全く狂うことなく。なのに一切下に流れようとしない。まるで水が石段の形に固定されているかのように…。

仮にこれがネクサスの仕業だとして、この異変を何の目的で起こしたのか……その先に何があるのか……全く分からない。

とりあえず自分の体には何の異常もなかったのが現状唯一の救いだわ。

まずは人里に降りて情報収集しましょう。

 

「まさかここまでとは……」

 

人里でも「異変」は猛威を振るっていた。

水の高さ、屋内に流れ込まない、そして衣服の下が消失して例の水着になっている……私の身に起きたこととほぼ同じだった。

でもここにきて新たに分かったことがある。

それは衣服の下の変化が“女性にだけ起きている”ことと、“全ての女性ではない”ことだ。

ついでに皆、恥じらいつつもいつも通りに生活するよう努めているのが見て取れる。意外とたくましいのね。

美女を狙ったものかとも考えたけど、一部には変化のない美女もいたのでこの線は薄い…。

あれこれ考えながら歩いていると

 

「霊夢――――!」

 

背後から魔理沙の声がしたので振り返ると……

 

「魔理沙、アンタもなの?」

 

魔理沙も私と同じく裸足の水着姿だった。上の服と帽子は無事だったらしい。

 

「そうなんだよ!おかげでなかなか人前に出れなくて…お前よく堂々と歩けるな」

「最初は恥ずかしいと思ったけど、隠せるものもないから開き直ることにしたの」

「いや、それはそれでどうかと思うが…」

「それより魔理沙、何かわかったの?」

「それがさっぱりでさ、昨日以降ネクサスは目撃されてないみたいなんだ」

「そう…で、私達みたいな目にあってる奴ってどれくらいいるか分かる?」

「そこまではな~、でも少なくとも幽香と文に神奈子、あとリグルは何ともなかったぜ」

「なるほどね…ところで魔理沙、この後どうするつもり?」

「紅魔館行こうと思ってる」

「なら私も行くわ」

 

そんなわけで紅魔館に向かった。

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

当たり前のことかもしれないが、中庭まで水浸しになっている。

そしてどういうわけか門番の美鈴がいない。

とりあえず門は開いていたので、正面玄関まで歩いて扉をノックすると

 

「おや、霊夢さんに魔理沙さんじゃないですか」

 

応対に出たのは美鈴だった。

ここでも例外なく、館の中には水が一滴も流れ込まない。但し開いた扉は水に浸かっていた。訳が分からない。

 

「美鈴、何で館内にいるの?お昼休憩はまだ先でしょ?」

「あ~、それなんですが…」

 

美鈴曰く、咲夜の意向で吸血鬼姉妹の周辺警備を強化すべく、買い出しなどの例外を除いては全員館内に留まることが義務付けられたらしい。

そして咲夜はネクサスにやられてから、小悪魔とパチュリーはネクサスの触手に巻き込まれてからの記憶が一切なく、衣服の下が変化しなかったのはパチュリーと一部の妖精メイドだけだということが分かった。

とりあえずその厳重な警備がなされている吸血鬼に会うべく、まず私達はレミリアの部屋に向かった。

 

「よく来たわね、霊夢、魔理沙…」

「あ、魔理沙だ~」

 

部屋にはレミリアだけでなく、フランもいた。恐らく警備が分散しないようにするためだろう。

フランはその辺を裸足でペタペタと歩き回っていて、レミリアは窓際で紅茶をたしなんでいた。

でもいつもとは何かが違った。違いはすぐ分かる。

普段よく使うガラステーブルに、今日はテーブルクロスがかけられていた。

 

「おいレミリア、何だよそのテーブルクロス?」

「何って…単なる模様替えよ…」

 

急にそっぽを向き、その顔は何となく赤くなっているように見えた。

こういう時だけ無駄に勘が鋭い魔理沙はレミリアの背後からそっと近づき…。

 

「いよっと!」

「うわあ!?」

 

レミリアの腋の下に手をまわし、そのまま持ち上げた。

突然のことに動揺し、更に顔を赤らめるレミリア。

 

「何だ何だ!?お前そんなに裸足が恥ずかしいのか?」

「ち、違うわよ!無防備な感じが嫌なだけよ!それにまだこの状況に慣れてないし…」

「私はもう慣れた~」

 

フランの無邪気な一言にそれ以上言葉が出なくなるレミリア。

 

「魔理沙、もう降ろしてあげなさいよ。何か聞きたいことがあるんじゃないの?」

「おっと、そうだったそうだったっと…んでレミリア、今回の異変について何か知ってたら教えてくれないか?」

「…悪いけど今のところ何も感じないのよ」

「何も?何もってことはないじゃない?現に」

「そうよ、現に異変は起きている…なのに『運命』は何も告げてこない…だから困ってるのよ」

「……まさか、これもあのネクサスの仕業だったり」

「その可能性は高いと思うわ…彼が『自分のものにする』以外にどんな能力を持っているか知らないけど、『運命』を妨害していると仮定すれば少なくとも辻褄は合うわ」

「それで、結局あなたはどうするつもりなの?」

「…2人はこの異変について調べてるんでしょ?私もついて行っていいかしら?」

「フランも行く~」

 

というわけで吸血鬼姉妹が同行することになったのだけど…。

 

「行くのはいいけどよ?外が水浸しなの忘れてないか?」

「フッ、あなた知らないの?吸血鬼の弱点は流水…そして吸血鬼は『流れていない水の上を歩ける』のよ?」

「え゛?そうなのか?」

「そう、だから何の問題もないのよ」

 

すると、まるでこうなることを待っていたかのように

 

「『バタン』お話は聞かせていただきましたお嬢様!私もお供します!」

 

咲夜が割り込んできた。

 

「アンタ、何時から立ち聞きしてたのよ…」

「立ち聞きはないでしょ霊夢!今はお嬢様の安全が第一なの!だからこうして何時でもお嬢様をお守りできるようにスタ」

「じゃあその鼻血はな~に?」

 

ナイスよフラン。アナタにそんな気はないのだろうけど。

 

「いやちちちちち違います!ここここれは」

「まず鼻血をどうにかしなさい…!」

 

レミリアに睨まれて正気に戻った咲夜が鼻血を吹き終えると、私たち5人は館をあとにする。

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

出た途端に吸血鬼姉妹が水面を歩きだしたので改めて驚いた。

ホントに歩けるんだ…。

でもすぐに飽きたようで、2人とも派手にドボンした。

 

「おおう…これは…」

「絶妙なヒンヤリ感だ~」

 

身長差のせいで2人とも半身浴状態。フランは上の服もちょっと浸かっていた。

 

「おいレミリア、大手を振って歩くなよ!思いっきし濡れてるぞ」

「何を言ってるの?下半身浸かってる時点で大して変わらないでしょ」

 

なんて返しの後にレミリアは大きく一呼吸すると

 

「むしろ気にすべきは…」

 

と言って後ろを見た。というより睨んだように見えた。

 

「どうかなさいましたか、お嬢様?」

「いいえ、何でも…」

 

咲夜が何もしていないことを確認すると少し安心したのか、深呼吸した。

こんな感じのやり取りをしながらしばらく歩いていたのだが……。

私は何となく違和感を感じていた。

いつの間にか私達は人里から外れ、山道を歩いている。

他のみんなは気にもしていないし、かくいう私も違和感を感じながらもそれを言い出す気にはならず、それどころか別に問題ないんじゃないかと思える。

まさかこれも「異変」と関係してるのかしら…。

そんなことを考えているうちに、私達の目の前に大きな洞窟が見えた。

 

「オイ、なんだか知らないうちに妙なところに来たぞ」

「そういえばここまで何も気にせずに歩いてたけど、こんな洞窟あったかしら?」

「多分なかったんじゃない?」

「え?」

「だってこんなに大きい洞窟よ?これなら一度くらい誰かの目に留まってもいいはずなのに、聞いたこともないんだから…もしかしたらこれ…ってレミリア、何してるの?」

 

気がつくとレミリアが匂いを嗅いでいるような仕草をしていたので、私は話を中断して聞いた。

 

「何か分からないけど…この洞窟から何か匂うのよ」

「何だそりゃ?」

「で、どうするの?調べる?」

「勿論よ、霊夢も怪しい感じがしたんでしょ?」

「まあね…」

 

というわけで、私達は洞窟に入ることにした。

当然だけど、洞窟内は明かり1つない。こういう時、夜に強い吸血鬼がいてよかったと思う。

私達は吸血鬼姉妹を先頭に、前の人の肩を掴んだ状態で前進する。

私はレミリアの後ろでフランの後ろは咲夜、魔理沙は私と咲夜の肩に片手ずつ置いている。

 

「霊夢」

 

レミリアの声がする。

 

「どうかした?」

「霊夢は…気付いてる?」

「何に?…もしかして水からあがってること?」

「まあ正確にはそれに今気付いたことね…」

 

レミリアは続ける。

 

「おかしいと思わない?普通水からあがれば音がしたり、空気に触れる感覚ですぐに気が付くはずよ」

「確かに…」

「となるとこの洞窟…ネクサスが作ったものかしら?」

「かもね…ん?」

 

この洞窟内…何か匂ってる。

 

「気付いたかしら?これが洞窟の入り口で嗅ぎ取った匂いよ…奥へ行くほど強くなってる…」

 

これがその匂いか…でも何の匂いだろう?嗅いだことがないから全く見当がつかない。

それに…何か体がおかしい。変に熱を帯びている。

でも風邪じゃない。そんなものじゃなくて何というか…全身がまんべんなく熱くなってる。

まるで体の奥底から湧き出る様な…そんな感覚。

感覚…そういえば何となくだけど体の間隔が鋭くなった気がする…。

でも緊張はしていない…むしろフワフワしてリラックスしているような感じがする…。

レミリアの言う通り、匂いは奥に行くほど強くなり、体も更に変調をきたしている。

息が自然と荒くなる。するといつの間にかレミリアの体も熱を帯び、荒い息遣いが聞こえてくる。

 

「レミリア…大丈夫なの?」

「ハァ…ハァ…大丈夫……よ」

 

匂いに敏感なせいなのか、レミリアは私以上に影響を受けているらしく、呂律が回らなくなってきている。

これは早めに片付けないとマズイ…そう直感した。

 

「なぁ……マジで大丈夫なのか?…これ……」

「ハァハァ…大丈夫…お嬢様のためなら…これくらい……!」

「うぅ…お姉さまぁ…何だか…ハァ…ハァ…頭がフワフワするような…」

「き、奇遇ねフラン…じ、実はわた…し…も…」

「そ…それに…か、体がおかしいの…」

「ハァ…ハァ…ハァ…お、おかしいって……?」

「…何かわからないけど…何か言いたくて…体がムズムズするぅ…」

「言いたいって…何…を…?」

「だっから…分かんない…んだって…ばぁ…ハァ…ハァ…」

 

こんなやり取りで私が危機感を覚えた矢先、私達の進む先に一筋の光が見えた。

 

「あの先に…いるのかしら…?」

「…いるわよ……絶対…!」

 

洞窟を抜けた私達の視界は閃光に包まれた。

それがおさまると、私達の視線の先には巨大なホールが広がっていた。まるで山をくりぬいたかのように広々とした地下空間だ。

だけどそれ以上に驚いたのは、そこに私達と同じくスク水化(?)した幻想郷住人がすでに大勢集まっていたことだ。

それも紅魔館にいたはずの美鈴や妖精メイド達もいる。

そして全員、心ここにあらずといった状態になっていて、顔は赤らみ、何というかエロい感じになっている。

皆が向いている方向を見ると…。

いた……!アイツだ…!

 

「ククッ、遅かったじゃねぇか…」

 

毒々しい紫色の背もたれが異常に高い肘掛け椅子に座ったまま宙に浮いている男…。

この「異変」を起こした張本人、ネクサスだ。

 

「こんなところに…隠れ家をこさえてたとはね…」

 

立ち込める匂いは今までで一番キツい…気を抜いてるつもりはないのに、思ったように口が動かない…。

 

「というか…どうやってこんな…大勢…集めたの?…と、特に…そこら辺の奴らは…紅魔館にいたはずなのに…!」

 

私が美鈴達を指さしながら聞くと、

 

「別にぃ?俺の『領域』が今や幻想郷全体に及んでるってだけのことさ」

「り…『領域』?」

「そうさ、俺の『領域』ではな、何でも俺の思いのままになるんだぁよ…そこにいる『金髪鬼』にはそのこと説明したんだが…作戦会議の時コイツ出席してなかったからなぁ…オメェらが知らないのも無理ねぇなぁ、イッヒヒヒヒヒィキシシシヒヒヒィ…!」

 

ネクサスは勇儀を指さして笑った。

 

「つ、つまり…その『領域』とかい…うのを使って、みんな…を…呼び寄せたってこと…?」

「そーゆーこと」

「そ、それと…こ、この匂い…は一体何…かしら?」

「ん~?これかぁ?ま、一言で言うなら、俺の言うことをきかせるための余興…てとこかねぇ?」

「言うことを…きかせる…ですって!?」

「あぁ、本来こんな回りくどいやり方は不要だが、どうせ時間はたっぷりあるし、ならこの手のプランも時間をかけてじっくりとって感じでやってるわけな」

 

…ダメだ…この匂いのせいか頭が回らなくなってきた…それにみんなも周り同様エロい感じになってきてる…ひょっとして私も?

 

「ところでフラン…」

「ほぇ?」

「ここに来る途中、何か言いたそうだったじゃんか?今なら分かるはずだぜぇ?何を言い、何をすればいいかがな…」

「う…うん」

 

フランは今まで体のダルさから前のめりになっていた姿勢を急にピシッと正すと、両手を股の所までもっていき、スク水の輪郭に沿って両手を上下させながら

 

「ハイグレ…ハイグレ…ハイグレ…」

 

謎の言葉を連呼し始めた。

と思いきや、フランの言葉に反応してか、他の人たちも同じような奇声を発しながら同じ動作を始めた。

 

「何…よ?…何なのよ…これ?」

 

いけない…何だか私まで…あれをやらなきゃいけない気になってくる…。

 

「ヘッ、知りたいなら教えてやるよ!コイツはとある異次元世界で見つけたネタ能力の1つ『ハイグレ洗脳』さ!」

「ハイグレ…洗脳…?」

「そう、オメェも含め、ここにいる全員が『ハイグレ人間』、元の世界で言う『ハイグレ魔王』とかいうやつの僕になるってな感じなんだが、俺のものになってからは単純に俺の僕になるって感じだ」

「な、何を…言ってるの…『ハイグレッ!』人間に『ハイグレッ!』魔王とか…訳分かんない……」

「ウヒヒハハハ!そういう割には『ハイグレッ!』だけはしっかり言ってるじゃんか、えぇ?」

「そんなわけ…ない…じゃない…私は『ハイグレッ!』になんて…え…?」

 

信じられない…私まで皆と同じことを…?

 

「く…ふ、ふざけないで…『ハイグレッ!』なんかに負けて『ハイグレッ!』なるもんですか…『ハイグレッ!ハイグレッ!』」

「ほれほれ、やせ我慢はよくないぜぇ?オメーらみたいな低レベルがコレに抗うなんて無理なのさ!その証拠にホラ」

 

彼が指さす方向にいたのは…紫…彼女もまた、周りのと同じ存在と化していた。

 

「見たろ?『17BBA』も今や俺の忠実なる僕にほかならんのだぁ!ウヒャハハハハヒャハヒャハヒャハヒャハヒヒヒヒィィィ…!」

 

……………………………………………………。

 

「まあ隔離されている時点で薄々気づいてたことではあるがなぁ、そもそもオメェらは外ってもんを知らなすぎだ!だからこういった事態に何の対策も取れねぇんだ!賢者ぶってるコイツもコイツだが相手をろくに見…………」

 

その後、私の中で何かがはじけてしまった…。

 

「…………って、何だ、最早聞いてないのか…」

「『ハイグレッ!ハイグレッ!ハイグレッ!ハイグレッ!ハイグレッ!ハイグレッ!ハイグレッ!ハイグレッ!』」

「まいっか、オイてめぇら!忠誠を誓うべきは誰か言ってみろい!」

「『勿論ネクサス様です!我らにこのような素晴らしき世界を与えてくださったことに、心より感謝いたします!』」

「そうかそうか…では諸君、その感謝の念を全力をもって示すのだぁ!!」

「『はいネクサス様!仰せの通りに!ハイグレッ!ハイグレッ!ハイグレッ!ハイグレッ!ハイグレッ!ハイグレッ!…』」

「『ハイグレェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェ!』」

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

………私は布団の中で目覚めた。

まさか今までのは…全部夢…?

いや、夢にしてはよく覚え過ぎの様な気がする……。

恐る恐る掛け布団の中を調べると、いつもの格好だった。

 

「…やっぱり夢か」

 

ふと枕元に目をやると…

 

「!!??」

 

そこにあったのは、夢で身に付けていたスク水…と手紙だった。

 

「何かしら?」

 

開けてみるとそこには…

 

「『デカリボン』もとい博麗霊夢へ 俺の異変は堪能してもらえたかな? 俺の方はこれからに向けてやる気充実 やって笑って楽しんで 最高の息抜きだったぜ 俺の『領域』で原状回復はすでに済ませてある お前の出番はないから安心しな」

 

とつづられていた。

 

「ネクサスのやつ…!」

 

イライラを飲み込んで続きを読んでみた。

 

「追記 気が向いたらまた来るゼ!」

「『ビリビリ!』絶対来るなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!」

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

こうして俺が起こした騒動は終結した…な~んて思っている諸君!忘れてはいないかね?俺が「三つ目野郎」の妹を誘拐したことを…。

 

「…ちゃん!お姉ちゃん!」

「う…う~ん…こいし?どうした…の…」

「お姉ちゃん見てこれ!どう?」

「そ…それは…」

「ホラ見てて、こうするとすごく気持ちよくなるよ!」

「………!!」

「『ハイグレッ!ハイグレッ!ハイグレッ!ハイグレッ!』」

「うわあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ…………!!!!」

 

妹のはもう少し効果が長く続くようにしたが、あれも時が来れば元に戻る。

ついでに気まぐれで置き土産もしてきた。次来た時が楽しみだ。

この後「三つ目妹」への置き土産が大事件の引き金になるのだが、それはまた別のお話。

次に俺が目を付けたのは、RPGが現実世界に飛び出したかのような世界。

俺は間髪入れずにその世界に飛び込んだ。




今回はこれで終わりだ。
次に飛び込んだ世界が知りたきゃ、下のとこから直接行くこったなぁ
https://syosetu.org/novel/198524/4.html
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