悪鬼も哭き出す   作:笹の船

1 / 7
やってみたいと思っていた鬼滅×DMC5
時系列は下記です。
鬼滅:本編開始直後
DMC :DMC5シークレットムービー後




遭遇

 見渡す限りの枯れ木、そして雪。

 空は雲がかかっているようで、月明かりはもちろん星の瞬きすら見ることは叶わない。

 そんな雪山の中を赤いコートと蒼いコートの男が並んで歩いていた。

 

「なんもねェな。せっかく人間界に出られたってのによ」

 

 赤いコートの男――ダンテがそう言ってついたため息が白く色づき、あたりに溶けていった。

 対する蒼いコートの男――ダンテの双子の兄バージルはダンテの言葉を意図的に無視して歩き続ける。

 

「なあバージル、ここはどこだと思う? 雪は降ってるが、フォルトゥナじゃあなさそうだぜ」

「少しは黙って歩けないのかダンテ。ここがフォルトゥナでないことくらい、見ればわかるだろう」

 

 うんざりとした口調でバージルがそう返しながらダンテを睨みつけるも、当のダンテは肩をすくめてなおもおどけて見せるだけだった。

 

「おいおい。そんなに喧嘩の続きが出来ねェのが不満か? 俺も不満だがよ、いい加減シャワーとピザくらいにはありつきてェ。血やら汗やらで臭くてたまらないし、ピザもストロベリーサンデーも一か月以上食ってない。流石に恋しくなるんだよ」

「ふん……ならばそのあたりの雪で洗えばよかろう。これだけ雪があれば、シャワーの代わりくらいにはなるだろう? 食料に関しては獣よろしくに穴でも掘って見つけるんだな」

 

 全く下らない、とばかりにバージルが投げやりな言葉を返す。

 とはいえ、流石のバージルも身を清めるくらいのことがしたい点については同意だった。

 ダンテ達の記憶が正しければ、二人は二か月ほど前に故郷(レッドグレイヴ市)を巻き込んだ大喧嘩を始めた。

 そこから紆余曲折を経て、二人は悪魔達のはびこる魔界へと赴き人間界への扉を閉じた。

 それは同時に、人間界へ帰る手段を失うことを意味していたが、ダンテとバージルはこれ幸いと喧嘩の続きに明け暮れていた。

 しかし、どういうわけだか気が付けば二人とも魔界ではなく人間界へと戻ってきていたのだ。

 突然の帰還に加えどこだかわからない未開の土地へ放り出されたとあれば流石の二人も興ざめするというもの。

 そこでようやく、お互いが血やら汗やら泥やらにまみれた自分達が形容しがたい匂いを漂わせていることに気が付いた。

 そんなわけで、ダンテとバージルはとにかく身を清められる場所を探すために当てもなくこの雪山を彷徨っているというわけだ。

 とはいえ当然のことながら、夜の雪山を当てもなく歩いたところで都合よく綺麗な水源を見つけることなどできるわけがない。

 仮にあったとしても、この豪雪では雪に埋もれて見えないだろう。

 それでも他にやることもないし、立ち止まって雪に埋もれるのも癪だった二人は文句を言い合いながら歩き続けていた。

 そうして歩き続けてどのくらい経っただろうか。

 ふと、ダンテとバージルがほとんど同時に足を止めた。

 

「おい、バージル」

「……ああ」

 

 自分達の悪臭以上に鼻を突く匂い。これまで幾度も嗅いできた血の匂いだった。

 それに気づくと同時に、ダンテとバージルは共に匂いのする方向へと走り出す。もしかしたら生きている人間がいて、悪魔に襲われているのかもしれない。

 匂いの元をたどって向かった先には一軒の木造の家があった。

 果たして、そこに悪魔などいなかった。

 いや、二人の知る悪魔はいなかったという方が正しいだろう。

 そこにいたのは、わが子を守るように蹲る女を容赦なく手にかけた悪魔がいた。

 それを視界に収めた瞬間、二人の脳裏に浮かんだ光景は恐らく日の同じものだっただろう。

 炎に包まれる我が家。あたりを闊歩し、自分達の命を狙う悪魔達。自分達を守ろうと炎の中を駆け、そして殺された母の悲鳴。

 バージルが更なる力を欲し、ダンテが悪魔を狩り続けることを誓う原点ともなったあの日。

 それを想起させるその光景を前にして、兄弟がとった行動は同じものだった。

 ダンテは虚空から我が名を冠した大剣(魔剣ダンテ)を呼び、バージルも父から受け継いだ刀(閻魔刀)の鯉口を切る。

 二人の視界の中心には最後に生き残ったのであろう少女へと無慈悲に手を下そうとする悪鬼がいる。

 足元の雪を全て吹き飛ばす程の勢いで地面を蹴った二人だが、紙一重で間に合わず悪鬼の伸びた腕が少女の肩に刺さり、少女はその場に倒れ伏す。

 直後、ダンテとバージルの渾身の突き(スティンガー)が悪鬼に突き刺さった。

 

「がァっ!?」

 

 ダンテとバージルの突きを食らい、悪鬼はその場に留まることすら出来ず家屋の壁を突き破って雪山の闇の中へと消えていく。

 だがその程度で勢いが殺されるはずもなく、何本もの木に激突しているのだろう轟音が連続して聞こえてきた。

 

「おい、バージル」

 

 ダンテの言葉にバージルはそちらを見ることなく小さく頷いた。

 全力ではなかったにしろ、それなり以上に力を込めた二人の突きを食らってなお悪鬼が振りまく悪臭は絶えてはいなかった。

 だが、匂いは遠ざかって行っている。悪鬼は逃げ出しているようだった。

 やはり二人の知る悪魔とは違うらしい。悪魔なら死を厭わず激情して反撃してくるものなのだから。

 

「屑が……」

 

 敵前逃亡をしようとする悪鬼を逃がすまいと駆けだそうとしたバージルをダンテが制止した。

 

「待てバージル! 雑魚はほっとけ。この嬢ちゃんたちの手当てが先だ」

「ふん……外で倒れているガキ以外はもう死んでいる」

「ならあの嬢ちゃんだけでも助けるぞ。いいな?」

 

 ダンテがバージルを鋭く睨んだのに対し、バージルは仕方がないと言わんばかりの態度で閻魔刀を収めた。

 それを見たダンテは兄が本当に人間の心を取り戻してくれたことを実感し、けれど素直ではないその態度に苦笑をする。

 だがその笑みも直ぐに引っ込み、悪鬼の腕に刺された少女の容体を見るべくそちらの方へと目を向けた。

 

 

 

 闇と雪で閉ざされた視界の中、およそ人とは思えない速度で移動する人影があった。

 白い洋服に黒い外套を着たその男の顔はこれ以上ないほどに怒りに染まっている。

 

(なんだアレは!? この私が反応することすら出来ずまともに攻撃を受けた!)

 

 何度も背後を確認しながら、それでも木々にぶつかることなく移動を続けるその男の胸には大きな風穴が開いている。

 普段であればこんな刀傷すぐに治るはずだった。

 

(何故! 何故傷が癒えない!? 日の呼吸でもないのに、何故!)

 

 脳裏によみがえるのは己を瀕死にまで追いやった忌々しい耳飾りの剣士の姿。 

 だが今日、男を追い詰めたのは似ても似つかぬ銀髪の男二人組だった。

 

「おのれ……おのれぇ! 許さん!」

 

 口を突いて出るは怨嗟の声だ。

 屈辱だった。不意を打たれたとはいえ、何もできずただ一撃でここまで追いやられたことが。

 あの耳飾りの剣士ですら、自分を追い込むのに両の手では数え切れないほどの技を撃っていたのに。

 

「必ず……必ず殺してやる……!」

 

 まさしく子悪党が吐くような捨て台詞を最後に、男は夜の闇へとその姿を完全に消した。

 




DMC5後のダンテとバージルにかかれば無惨などそこらの雑魚悪魔と一緒です

正直ストーリーの着地点も定まらない見切り発車なので、色々グダグダすると思います。
更新ペースも低速不定期予定なので、更新自体期待しないでください。
気が向いた時ゆっくり進めていきます。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。