赤龍帝ラプソディ<渡る世間は地雷ばかり>   作:梅干・ザ・花

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わかめ。今回めっちゃ雑よ。


第四話 レーズンとえのき茸。

 

 

 

 

「イッセーさん!地下通路への道はここを真っ直ぐ行けばすぐですぜ!」

「距離にして約500mといったところか、あの男がこのボブ彦達よりも先に着いていなければいいのだが……」

 

取り巻き二人を瞬殺した俺達は、仮面雷太という男を追うべく時計塔機関部へと突入する。案の定、機関部内は歯車やらよく分からないパーツがそれぞれガッチリと噛み合いこの混乱の中でもなお仕事を全うせんとしていた。

回転する歯車を見るたびに、某ルパンの映画を思い出すのは俺だけではないはず。カリオストロいいよねラスト銭形警部のセリフもそうだけど個人的には序盤のカーチェイスがお気に入りだ。

 

『そういえば、貴様らその仮面雷太とやらはどんな力を持っていた?あの場に居合わせたのだろう?』

「……すまねぇドライグさん、あの仮面雷太ってやつは女共にばっか闘わせてばかりで」

「このボブ彦一生の不覚」

『ふん、役にたたん奴らだな。しかしその謙虚さ誉れ高い』

「そういってやるなよドライグ。恐らくその仮面雷太ってやつは奥の手は最後まで見せないタイプだろうな、時間稼ぎするにしてもあの女二人に任せたのもそのためだろうな」

『いずれにせよその仮面雷太という生ゴミは女共の影で粋がる小物染みた奴だろうな』

 

今のところ俺とドライグに残されているのは身体能力と魔力のみ、仮面雷太とやらが特典に胡座をかいて対して鍛えてない軟弱野郎だったらいいのだが……。

 

ふと気がつくと、向こう側から少し熱い風が吹き込んできた。それと同時に奇妙な気配を感じた。まさよしとボブ彦も気がついたのか足を止める。

 

「……気がついたかまさよし」

「ああボブ彦。俺も感じたぜ、だけど妙だなこの気配……」

「人間じゃないよなドライグ?」

『ああ、ナニカ別の生き物だが……今まで感じたことのない気配だ、その上明確な敵意を感じるぞ……!』

「気を着けろよ、ボブ彦、イッセーさんにドライグさん。相手はチート持ちかもしれない転生者、どんな隠し玉を持ってるかもわからないぜ……!」

 

二人がそう言うとあらかじめ持ってきていたレンチを構えた。俺とドライグも周囲に警戒する。

ドライグが仕切りに鼻をひくつかせているので、匂いで相手の居場所を判別しようとしているのだろう。

 

(どこだ……どこにいる……?)

 

俺は視線を巡らせ、全方角を警戒する。視界の橋でチラリと何かが動いたかと思うと、まさよしの方から炎の塊が飛んで来た!

 

「まさよし!避けろ!」

「うおお!?あぶねぇ!」

『相棒!気配が動いた!俺達に近づいているぞ!』

 

それだけじゃない気配が一気に4つに増えたのだ。マグマの塊が飛んで来た方向はサムソンへの地下通路への方角だ。

やがて、気配の主が俺達に姿を表した。

 

「ななななんだこいつらは!?」

 

ボブ彦が叫ぶ。表れた奴らはそれだけ衝撃的な姿をしていたからだ。一人は全身が炎に包まれたかのような怪人、二人目は頭部がティラノサウルスのようなアンバランスな怪人、こマ?そして三人目と四人目はどちらも骨のような仮面を被った怪人だったのだ。見れば仮面の怪人の一人が多きなゴキブリを抱えていた。

 

「なっ!?四国のヤマトゴキブリ!?」

「そ……そんな!」

 

狼狽するまさよしとボブ彦に向かって仮面の怪人はゴキブリを投げつけた。そのゴキブリは羽の一部が千切れ、触覚が縮れている上に後ろ足がもげていた。

すかさずボブ彦がゴキブリを抱き上げる。

 

「大丈夫か!?しっかりしろ!」

「へ……へへ……まさよしにボブ彦か……すまねぇ……ドジ……踏んじまった……!」

「四国のヤマトゴキブリ!しっかりしてくれ!もうすぐ警備員が来る!それまでの辛抱だ……!」

 

(なあドライグ。俺達蚊帳の外じゃね?)

(俺も思った)

 

「俺も焼きが回った見てえだな……!」

「「四国のヤマトゴキブリ!!!」」

「実はよ……俺……ヤマトゴキブリじゃなくて……オオ……ゴキブリなんだよ……な……ぐっ……」

「な……なんだって!?」

「しかも……四国生まれじゃなくて……近畿地方……出っし……ヴォッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッ!?」

「おい! どうした!? 目を覚ませ! おい!」

 

そのまま四国のヤマトゴキブリ改め、近畿のオオゴキブリが事切れた。まさよしとボブ彦の慟哭が時計塔に響いた。

 

「「四国のヤマトゴキブリ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――ッッッッッ!!!!!!」」

 

 

いや、訂正してあげなよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「茶番劇はそこまでにしておけ」

 

今の今まで黙っていたマグマ怪人がふと、口を開いた……え?お前喋れたの……しかも……女……?いや、確かに人外の女の子は好きだがさすがにお前は無いわ。仮面雷太ってやつの品性を疑うね。

……などと考えてたらまさよしとボブ彦がマグマ怪人に食って掛かった。

 

「てめえか!四国のヤマトゴキブリを殺ったのは!?」

「そうだ! この仮面雷太様から授かった聖なる力でな!」

「何が聖なる力だ! 所詮そんなものは紛い物に過ぎん!」

「貴様! 神よりも尊い仮面雷太様を愚弄する気か!」

「ふっ神よりも尊いだと!? 嗤わせてくれる! まさよし!イッセーさん! ドライグさん! この痛ましい邪悪の申し子に目にもの見せて殺りましょう!」

「ふっ! ボブ彦の言うとおりだぜ! このまさよし様が引導くれてやるぜえええぇぇぇぇぇーっ!」

「『お……おう……?』」

 

「面白い!仮面雷太様を侮辱したことを後悔させてやる!かかれ!」

 

マグマ怪人が他の怪人を伴い、俺達に向かって来た。すかさず戦闘態勢に入る。

 

「イッセーさん! 俺達はあの弱そうな仮面怪人から殺ります!」

「お二方はあのマグマ怪人と恐竜怪人を! あわよくば先に地下通路へ向かって下さい!」

 

そういうとまさよしとボブ彦はレンチで仮面の怪人を殴り飛ばした。とりあえずマグマ怪人殴っとこ、ドライグはそのティラノサウルス殺っといてね。

 

「どっせい!」

「ごぎゃっ!?」

『ふんっ』

「があぁっ!?」

 

俺がマグマ怪人にストレートをドライグがティラノ野郎にアッパーカットで殴り飛ばした。すかさず俺もマグマ怪人を蹴り飛ばしてそのままティラノ野郎に叩きつける。肉弾戦とはこのことよ。

 

「ごぎゃあっ!」

「ば……馬鹿な! 我々は最強の力を手に入れた筈だ! それに貴様なぜこの私に触れて無事でいられるのだ!? 私の炎はs級の冒険者も容易く焼き付くすのだぞ!?」

「うーん……気合いと根性?」

『こいつに一般常識など通用せんぞ。この程度で最強を名乗るとは仮面雷太という男はたかが知れてるな。恥ずかしくないのか死ねよ』

 

ドライグの言うとおりだ。きっと仮面雷太の前世はブサイク短小野郎に違いない。(そっちじゃない)

 

「ふざけるな! この世で絶対の存在は仮面雷太様だけだ!」

 

吹っ飛ばされたマグマ怪人が憤慨し、ティラノ怪人をほっといてこちらへ向かってくる。いやそんなに仮面雷太って男が大切かね。などと思っていると上からまさよしとボブ彦の声が聞こえた。いつの間にか仮面怪人を叩きのめしていたらしい。

 

「おおーい二人とも! 避けてくれー!」

「どすこい!」

 

まさよしが二人の仮面怪人を下に落として、ボブ彦がレンチで近くのボルトを外してそのまま足で歯車を蹴った。連鎖するかのように部品が怪人の真上から降り注ぐ。お、カリオストロかな?

……っておい!ドライグまで巻き込みそうになってるじゃねーか!

 

「はぅあ!?ドライグ避けるぞ!」

『ほにゃぁぁっ!?』

 

直ぐにドライグを抱えてそのまま離れる。マグマ怪人は降ってきた仮面怪人に躓き間に合わないようだ。

 

「なっなにい!避け……ぎゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぉぉぁぉぁぁ!」

 

ごしゃっという音と共に怪人達は時計の部品に飲み込まれた。ヤメチクリウム製でできたそれはもはや凶器といっても過言ではない。最強の力(笑)でも助からないだろうな。などど思っていたら女の変身が解け、USBメモリのようなものが出てきたのですぐさま叩き折った。これで女を怪人にしていたらしい。

 

「イッセーさん、後処理は任せて先に行って下さい!」

「え?いいの?ほっといてもよくね?」

「いや……こっぴどく怒られますんで」

「いやそっちかよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

後処理をするためにまさよしとボブ彦を残してきた俺達は、仮面雷太とかいう男の元へと急いでいた。と、いうか直ぐに見つけることが出来た。仮面雷太はなんとなく織主零に似ている気がした。ムカついてきた。

 

「おまえらか! 俺の仲間を殺して閉じ込めたのは!」

「こいつなに言ってんだ?」

『大方俺達のことを仲間を閉じ込めた奴らと思ってるようだな』

「あーなるほどねあり得るな」

「お前らおたおしてみんなを助けるんだ!」

 

うわー完全に言動からして織主零そっくりだ。セリフ語字ってるとこもそっくり。ほれみろ、俺のドライグもあの生ゴミを思い出したのか顔をしかめている。かわいいね❤️は?俺の相棒になんて顔させてんだふざけんじゃねぇよてめぇ殺すぞ。

仮面雷太はどこかからベルトとなんか四角いのを取り出してきた。

 

「正義の力を見せてやる!」『jump!』

「どっせい!」

 

すかさず、足元にあったボルトを蹴って四角いなんかよく分からないモノを粉砕する。喚き散らそうとする雷太君をドライグが正拳突きを叩き込んだ。

 

「ごひゃ!お!をまえ!変身を邪魔するなんて卑怯だ……『オラッ死ね!』ガアっ!?」

「変身しないとクソザコみたいだな」

 

俺は仮面雷太がつけていたベルトを引き剥がして、膝蹴りで真っ二つにして窓から投げ捨てた。

 

「そんな!神様に頼んで絶対に壊れないようにしてもらったのに!?何でだ!?俺の力は正義の力だぞ!なんでなんでナンデナンデナンデ……!?」

「なにいってんだお前、正義の力は日々汗水垂らしてパトロールしてる警察の方々でしょ」

『他の職業も入れて差し上げろ』

「うじゃけるな!無能の警察なんかと一緒にするな!あんな税金泥棒のゴミなんかより俺の方が正義だ!俺は正義のヒーローなんだ!」

 

また別のベルトを取り出したが今度はドライグが尻尾で粉砕してあげた。えらいね。

それからまたベルトを取り出したらすぐさま粉砕、取り出したらすぐさま粉砕、といった作業を何回か続けたら雷太君が今まで以上に喚き散らした。

 

「あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!ふざけるな府じゃ蹴るなふざけるなふざけるなああああああああああ!」

『イッセーとどめだァ!焼き払え!』

 

ドライグの声と共に、仮面雷太君になんちゃってペガサス流星拳を放った。

 

そのまま仮面雷太は壁に叩きつけられた。うわきったね、体から出るもん全部出てるわ。あと関節が曲がっちゃいけない方向に曲がってる。いかんな、このままでは過剰防衛で俺達が捕まってしまう。えーと、ここをこうして……あれ?これどっちが肘だろ?

 

ゴキャ、バキッ、ぴきぴき……、ピチョンプスッ!

 

『何をしてるのだ?』

「見りゃわかんだろ関節直してやってんの」

『いや、ほっといても構わんだろう。ちゃんと息はあるぞ』

「そうじゃない、こんな凄惨な事故現場を見られたら警察の方々に俺達が捕まる事になる……」

『おっふ!? なんだとそれはマズイではないか!?』

「ああ……だからこうしてこうやって出来るだけ直して……くそっうまくいかねぇ!あれ人体ってこんなもんだっけ?」

 

ゴリゴリッ、パキャ、ペキ、バキリ、ヌメチョロスッ!

 

な、なんて事だ関節が三つに増えてしまったぞ。

 

『ええい! 何をやってるんだ! 貸せ!』

「あっおい! 引っ張るな! 手元が狂……」

 

びり

 

「おいぇ!?」

『ん?』

 

ほあーっ!? なんて事だ仮面雷太くんのズボンが破れてしまって彼の貧相な玉と竿が露になってしまった! てめえふざけんじゃねぇドライグになんてもの見せてんだ? 三権分立。

 

「ドライグ!? そんなまじまじと見るな! てか俺の中にいたんなら見飽きてるだろ! 主に俺の」

 

だが俺はドライグの口から飛んでもない言葉を耳にした。

 

『あ……相棒……なんでこの男は股間にしなびたレーズンと腐ったえのき茸を装備してるのだ?』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……その後は、やって来た警察っぽいジュセンパにあえなく御用となったとさ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ジュセンパ達が汚物まみれの仮面雷太くんを高速して運び出されると警察風のジュセンパから聴取を受けることになった。

 

「Foo↑凶悪な侵略者が来たっていうから完全武装してきたけど必要なかったみたいですねぇ!」

「ありがとナス!」

「それにしてもライダー系の転生者でよかったすねぇ……。あいつら変身しない限りクソザコナメクジですしおすし」

『おう、というわけで無力化してやったんだから一億円くらい寄越せ。あと人間にしろ。飛びきりの美少女に』

「「「えっ、それは……(困惑)」」」

 

そんなこんなでドライグが無茶振りを警察ジュセンパ達に垂れていると一人のジュセンパが俺達を指差して声を挙げた。

 

「ファッ!?よくみたら保護対象の兵藤一誠くんとドライグくんじゃないか!?たまげたなぁ……なんでこんなとこにいるんですかね?」

「いやなんでって言われましても……え?保護対象?」

『おいまさか……』

 

そのジュセンパからはなにやら不穏なワードが飛び出した。え?なに、逮捕されるちゃうの? と思ってたらジュセンパが取り繕うように答える。

 

「ん、そうですね。保護対象ってのはそのまんまの意味っすよ?とりあえず俺達に着いてきてくれよな~」

 

そういうと、ジュセンパは下の階に行くように促される。

 

『どうする相棒?』

「どうするって別に悪いようにはならないでしょ」

『う、うむそれもそうだな』

 

 

 

 

 

 

ジュセンパに連れられ、今の今まで来た道を逆戻りしてあれよあれよと電車に乗せられてあの牧場ジュセンパが話してたアクシードとやらに連れて来られましたとさ。めでたしめでたし。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ところでパスポートは?』

「あ」

『お前さては馬鹿なのか?』

「す、すまん」

『やーいやーい、女はナンパ出来てもパスポートをもらうことは出来んのだな~?』

「仕方ねーだろ、ほらしっぽ撫でてやるから許してくれ」

『ぐるるっ……それでいいのだ!ついでに頭もだぞ!』

「はいはい」

(他所でやってくれってはっきりわかんだね)

 

 

 

 

 

 

 

ちなみにこれは全くの余談だが、後にこの事件はイン・ムーで『レーズンえのき茸事件』と呼ばれることになるのだがものすごくどうでもよかった。

 

 

 

 

 

 





書いてて思ったんですけど戦闘描写とか書くの難し過ぎません?モチベーション保って短い感覚で投稿してる上に話の内容も面白い小説書いてる筆者兄貴たちは完璧超人か何か?
やっぱり作家ってすごい(小並感)


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