ゾイドワイルドエヴォリューション アフターZERO 作:オーガスト・ギャラガー
新地球暦1245年、世界はネオデスメタル帝国という強大な軍事国家が支配していた。
各地で帝国に対するレジスタンスが立ち上がり、帝国とレジスタンスが激しい戦争を繰り広げている戦乱の時代となっている中、帝国に捕らえられていたビーストライガーにシーザーと名付け、相棒となった少年ウィルは謎の少女エマと共に冒険の旅に出掛けた。
南方の総督府、そこにギルラプターエンペラーが修理を受けていた。修理しているギルラプターを見ているアーネストに帝国の技術者が現れ、
「いかがでしょう? 殿下。この修理でギルラプターはさらに強力になります!なんなら、バイザーとチップの取り付けも…、」
それを聞いて睨み付けるアーネスト、技術者は慌てて、
「し、失礼します!」
アーネストは修理しているギルラプターを見て、
「ゾイドは武器、力の象徴!力が無ければ何もできない!邪魔する奴は潰せばいい!僕はそうやって生きてきたんだ。」
アーネストは過去のことを思い出していた。アーネストはネオデスメタル帝国皇帝ギャラガー三世の第一皇子として生まれ、アーネストという名はギャラガー三世から与えられた。
アーネストは帝国の王位継承者として皇帝としての教育と剣術、射撃、機械兵との格闘戦等ありとあらゆる過酷な戦闘訓練を受けた。12歳のとき、ラプトールに乗り、百体のラプトールを相手にする訓練を受けた。
ラプトール軍団はアーネストが乗るラプトールに襲いかかるが、アーネストのラプトールはラプトール軍団の攻撃を一体一体確実に避け、他のラプトールではあり得ない跳躍力と俊敏な動きでラプトール軍団を次々と蹴散らしていった。
時間は僅か5分足らずでラプトール軍団は全滅した。ラプトールから降りたアーネストの元にギャラガー三世が現れた。
「よくやった!さすが我が息子。」
「ありがとうございます! 父上。」
「もう、お前にはラプトールはいらないだろう!そこで私から新しいゾイドをお前にやろうと思う。」
その時、ギャラガー三世の後ろからギルラプターエンペラーが現れた。
「お前と私の偉大なる先祖である一世が乗っていたギルラプターだ。」
「あのゾイドを僕に…ですか?」
「そうだ、お前なら従えるだろう?」
アーネストはギルラプターエンペラーに近づく。それを見て警戒して後退りするギルラプター、アーネストはその場で止まり、そっと手を出した。アーネストはギルラプターをじっと見つめる。それを見た警戒しながらもギルラプターは少しずつ近づき、自分の頭をアーネストの手に当てた。アーネストはそのままギルラプターの頭を撫でた。それを見たギャラガー三世は少し不敵な笑みを浮かべた。
数ヶ月後、アーネストはギルラプターエンペラーで50体のキャノンブル相手にする訓練を受けた。キャノンブルは一斉にマシンブラストし、ナインバーストキャノンをギルラプターに向けて撃ち込む。ギルラプターは俊敏な動きでナインバーストキャノンを避け、キャノンブルのキャノン砲を破壊していった。時間はおよそ3分だった。その様子をアッカーマン大佐とカーター中尉が見ていた。
「まさか、ラプトール一体で百体のラプトールを全滅させるとは…」
「かつて、一世もラプトールでガブリゲーターを倒したこともあるが、殿下は今や、一世をも凌ぐ可能性を持つかもしれない!」
そんなとき、二人の元にある男が現れた。
「いかがですか? 大佐。」
「パウルス・メルビル大尉。君のおかげで殿下がご立派になりました。」
「ただ、殿下は人との付き合いを好まず、いつも一人でいることが多く、誰か側にいてあげる人がいればいいのですが!」
「君の妹がいるじゃないか。」
「確かにそうなんですが、妹は生徒たちの世話もあって中々殿下の面倒まで見れないんですよ。」
「それなら、カーター中尉。君の娘はどうかな?」
「お言葉ですが、大佐。カティアは士官学校に入ってますので、さすがに殿下の世話までは…、あ、確かカティアの友人に適任者がいます。」
「誰だね、その子は?」
「エマ・コンラッドです。優秀なゾイド学者の娘で、ゾイドの世話や改造、メンテナンスに長けている少女です。」
「なるほど、確かに適任だな。よし、私がデーニッツ准将に頼んでお願いしよう。」
訓練の後、ギルラプターのメンテナンスをしているアーネストにカーター中尉が一人の少女を連れてきた。
「失礼します。殿下。実はこの度、殿下にお仕えする人物を紹介します。」
「初めまして、殿下!エマ・コンラッドです! よろしくお願いします。」
エマはアーネストに頭を下げる。
「ふん、」
しかし、アーネストはそっぽを向いて行った。エマは少し落ち込んだように、
「あの、私、嫌われたのでしょうか?」
カーター中尉はエマを励ますように、
「いえ、照れてるだけです!殿下はあまり、女の子と接触することはなかったですから!殿下のことしっかりよろしくお願いする。」
「はい、わかりました。」
数日後、ゾイド狩りと訓練を終えたアーネストは左腕を少し怪我していて、それを見たエマはアーネストの左腕を治療しようとする。アーネストは払いのけるように、
「僕に気安く触るな! こんな傷どうってことない。」
「駄目よ、血が出てるじゃない。」
「何故、そこまでする?」
「だって、私は殿下の世話役なのよ!私が面倒見なきゃ。」
アーネストは不思議そうにエマを見た。またクローンクワーガ数体相手にした訓練の後、エマはクワーガの元に行き、クワーガの修理をしようとした。それを見たアーネストは、
「そいつらは訓練用のクローンだ!修理する必要はないぞ。」
「クローンでもこの子たちはゾイドよ。治してあげなきゃ。あ、それと殿下のギルラプターも治してあげなきゃね。」
ギルラプターに近づくエマ、そこにアーネストが、
「待て、そいつは僕にしか従わないから近づくな!この前もこいつのメンテナンスを行おうとした兵士が襲われて怪我したからな。」
しかし、ギルラプターは警戒しながらも近づくエマになついた。エマは優しくギルラプターの頭を撫でた。
「フフ、いい子ね。それにすっごく殿下のこと信頼してるわ。」
「僕に?」
「そうよ。でも、この子、過去に同じギルラプターを傷つけたこともあって深い心の傷を負っているわ!かわいそうに。」
ギルラプターのメンテナンスが終わり、
「もう大丈夫。」
それを聞いて喜ぶギルラプター、そこにアーネストが駆け寄り、
「あ。ありがとう。」
「どういたしまして、殿下。」
「いや、殿下は止めろ。」
「え? じゃあ、ギャラガー様。」
「それだと余計堅苦しい。呼び捨てでいいぞ。」
「でも呼び捨てだと殿下のお父様も呼び捨てになってしまうわ。」
「じゃあ、アーネストでいいだろ。」
「でもアーネストだと呼びづらいし…」
「じゃあ、何がいいんだよ?」
「それじゃあ、レイルって呼んでいいかしら?」
「レイル? まあ、それなら呼びやすいかな。なんだ? その名は…」
「実は私の弟の名前なの。」
「弟?」
「私の弟はゾイドが好きで、ゾイド学者になるのが夢だったのだけど、病気がちで試験を受ける前に亡くなってしまったの。」
「何故、弟の名を僕に?」
「あなたがレイルに似ていたから。」
「そうか…。あ、そうそう、今からギルラプターで出撃するが、一緒に行く?」
「うん。」
ギルラプターのコクピットに乗るアーネストとエマ、エマはアーネストの後ろに優しくしがみついた。ギルラプターで山の頂上につき、休息している中、エマは、
「私、あなたに会えて良かった。これからもよろしくね。」
アーネストは少し照れて、
「僕もだよ。」
二年後、エマがビーストライガーを復元した。ビーストライガーはエマによくなついていた。
「また会ったね、ライガー。」
アーネストは少し離れたところで見ていた。アーネストを見たエマは、
「レイル、あなたもこっちにおいで。」
ビーストライガーのところに行くアーネスト、アーネストを見たビーストライガーはかなり警戒していた。エマはライガーに、
「大丈夫よ、ライガー。」
アーネストはそっと手をだし、ライガーは恐る恐る近づき、アーネストの手を触った。エマは
しかし数日後、アーネストがゾイド狩りから帰った後、パウルス・メルビル大尉が帝国の反逆者と見なされ、妹とエマと生徒を脱走させた報告があった。事態を知ったアーネストはデーニッツ中将に、
「どうして? どうして、エマは逃げたりしたんだ。なんで僕をおいて行ったんだ?」
デーニッツ中将は、
「奴は帝国を裏切った、殿下を騙していたのですよ。」
それを聞いて青ざめるアーネスト、
「そんな……、エマが…嘘だ、嘘だ、嘘だー!!」
過去を思い出したアーネストは10歳のアーネストとギャラガー三世が一緒に写った写真を見ていた。そして数ヶ月前のことを思い出していた。宮殿の研究施設でラプトールとクワーガを喰うデスレックスを見てアーネストは驚愕していた。ギャラガー三世はアーネストの肩を触り、
「これが世界の頂点に君臨していたデスレックスだよ!これを操る者は世界の支配者になるのだ!いずれお前はこいつに乗ることになる。そしてお前は一世の血を引くもの、こいつを操ることは出来る。皇帝の器を持て。
あの小娘のことは忘れろ、必要のない者と裏切り者は殺せ! それが我が帝国のやり方だ。」
「はい、父上。」
写真を見ているアーネストは、
「そうだ、僕は一世の血を引き、生まれながれにして皇帝になるべき男!もう甘さは持たない。」
そこに技術者が現れ、
「殿下、ギルラプターの修復完了しました。」
それを聞いたアーネストはギルラプターの元に行き、
「大丈夫か? 俺たちは世界の支配者になるべき者。お前も甘さを捨てろ。」
ギルラプターはゆっくりうなずき、アーネストはギルラプターのコクピットに乗ってそのまま総督府を出た。
東方の総督府、東方のレジスタンスの鎮圧からカティアの乗るラプトールが帰還した。ラプトールのコクピットから降りたカティアはある兵士の会話を聞いた。
「なあ、聞いたか。オルドー少尉がまたやったらしいぜ。」
「ああ、知っているぜ。クワーガで反乱軍のクワガノスを数体倒してその功績で中尉に昇進したらしいぜ。」
それを聞いたカティアはオルドーの元に行った。オルドーの元に行ったカティアは、
「ナッシュ、昇進おめでとう!」
クワーガのコクピットから降りたナッシュが振り向いた彼の右半分の顔と肩半分と右腕の皮膚が破れて機械の身体剥き出しになっていた。ナッシュの右半分の顔の目が赤く光り、カティアは震えるような表情をしていた。
「やあ、ギレル少尉か。まさか、君から祝福されるとは思わなかったよ。」
「ナッシュ、その身体は…」
「ああ、ちょっとね。でもボディ自体は全く問題ないよ!全くこの身体は素晴らしいよ。」
「ねぇ…、ナッシュ。あの反乱組織にはあなたの家族もいたって話が…」
「ああ、殺してやったよ。」
「え!? どうして?」
「決まっている!帝国と皇帝陛下に逆らった報いだ。帝国と皇帝陛下に従わない者には例え、家族でも容赦しない! それが帝国のやり方だ。 それになんの間違いがある?」
ギロッとカティアを睨み付けるナッシュ、カティアは恐ろしそうな表情でナッシュを見た。
「さて、身体こんな状態だから、修理しとかなきゃな!おい、ドクター、修理を頼む。」
ナッシュに呼ばれた技術者は、
「これまた皮膚を酷くやられたな。オルドー中尉、どうせなら、ボディの強化をしたらどうだ。 特殊合金に変えれば、ランチャーやバズーカといった対人用兵器でも耐えられるようになるぞ。」
「そいつはいい、ドクター頼む。」
ナッシュと技術者のやり取りを見たカティアは、
「エマ…、私はどうしたらいいの?」
To be continued
次回予告
味方を増やすために各地のレジスタンスの方へ向かうウィルたち、しかしそんなとき、帝国軍に追われ、ある洞窟に逃げるが、ウィルたちは謎のロボットに捕らえられる。
謎のロボットに連行されたウィルたちが向かったのは、リジェネレーションキューブの影響で人間のように自我を持ち、地上とは独自の進化を遂げたロボットたちがゾイドと共存する地底都市だった。
彼らはゾイドを人間の支配から解放するためにウィルたちにシーザーたちを解放するよう要求する。しかし、再び帝国軍が都市を襲撃してくる。ウィルに再び人とゾイドとの絆が問われる。
次回「ロボットの都市」
本能を呼び覚ませ、ライガー!