ゾイドワイルドエヴォリューション アフターZERO 作:オーガスト・ギャラガー
新地球暦1245年、世界はネオデスメタル帝国という強大な軍事国家が支配していた。
各地で帝国に対するレジスタンスが立ち上がり、帝国とレジスタンスが激しい戦争を繰り広げている戦乱の時代となっている中、帝国に捕らえられていたビーストライガーにシーザーと名付け、相棒となった少年ウィルは謎の少女エマと共に冒険の旅に出掛けた。
ネオデスメタル帝都メガロポリス、タッカー元帥はデーニッツ中将と通信を開いていた。
「そうか、失敗に終わったか!」
「はい、まさか、あの女のディメパルサーが突然変異種とは、予想外でした!ですが、反乱軍の基地は壊滅させました!」
「ふん、いくら、反乱軍を蹴散らしたとはいえ、肝心の小娘二人を捕らえられなかったことに変わりはない!」
「申し訳ありません!」
「ところで、あの小娘を捕らえてどうするのだ?」
「あの小娘を皇帝陛下の王位継承者にするんですよ!もちろん、表向きですが!」
「なるほど、敢えてあの小娘を皇帝陛下の王位継承者にし、反乱軍には我々が降伏したのだ、と思わせて油断したところを全滅させる、ということか!」
「その通りです!」
「だったら、尚更、早々に捕らえるべきだ!反乱軍があの小娘を真帝国皇帝にしたら、手遅れだ!それにデスレックスをオメガレックスに強制進化させるリジェネレーションキューブの作動方法を探るにはあの小娘が必要なのだ!
あれが作動しなければ、オメガレックスは完成しないのだ!皇帝陛下は1日も早くオメガレックスの完成を待ち望んでおられるのだ!
何としても捕らえられるのだ!後、トランスはお前に預けてやる!私よりもお前の方が扱いがいいかも知れんからな!もちろん、真帝国復活を企むおこがましい反逆者も1人残らず殲滅するのだ!」
「は!」
通信を切るタッカー元帥、
「さて、反乱軍制圧は上手く順調にいっているが、肝心の小娘の奪還が上手くいかないとは!これ以上、先伸ばしすると皇帝陛下のお怒りを買ってしまう!
とすると、ルメイ大将!あの男に小娘二人の奪還を命じた方がいいかも知れん!」
タッカー元帥は通信を開き、
「ルメイ大将!あの小娘二人を捕らえる任務を与えたいのだが!」
「私が…、ですか!」
「そうだ!お前のドライパンサーとスナイプテラ3Sはステルス性に特化している!適任かと思うが!」
「しかし、小娘二人はあの裏切りのガトリングフォックスと一緒ですからね…。」
「そこで、お前に私の親衛隊からお前の参謀として就けてやろうと思うのだ!」
「誰ですか?」
「お前と同じドライパンサーを操るあの女だ!とにかく、私からあいつに報告しとくよ!」
と言って通信を切るタッカー元帥、
「あの悪魔を私の参謀に就けるとは…!相当オメガレックスの完成を皇帝陛下が待ち望んでいるのだな!だが、面白くなりそうだ!
今こそ、あのガトリングフォックスも頂戴するいい機会だ!」
同盟軍の本拠地、ウィルたちが本拠地に戻り、入口にはクルーガーやアレックス、アッシュ、ジェニファーが待っていた。クルーガーはグラッド元に行き、
「よく戻って来たな!で、どうだった!」
「旧共和国派は全面的に協力してくれるが、旧帝国派だけは中々協力してくれない!
というのも、彼女を皇帝にした真帝国の復活を画策しているからな!」
「彼女?」
そのとき、デルのコクピットからリセルとユリスが降りた。
「紹介しよう!真帝国ハンナ・メルビル皇帝の子孫、ユリス・メルビルだ!」
ユリスはクルーガーたちに頭を下げ、
「はじめまして、ユリス・メルビルです!よろしくお願いします!」
ユリスを見たアレックスは、
「な、な、な、なにー!!皇帝!しかも女だとー!おい、リセル!こんなにスタイル抜群な美人の彼女を持つとはどういうことだ!」
「ち、違う!彼女じゃない!」
リセルの照れた表情を見てクスッと笑うユリス、
「なんでまたこんなことに!」
「詳しいことは後で話すが!」
そのとき、数機の青いスナイプテラが現れ、本拠地の方に着陸した。クルーガーとグラッドは、
「こいつらは?」
「ああ、明らかに帝国のスナイプテラだが、どう見てもネオデスメタル仕様じゃない!
ウィル!リセル!お前たちはエマとユリスと一緒に基地に行ってくれ!俺らはこいつらと話がある!」
「わかった!」
そう言い、基地に入るウィルたち、青いスナイプテラの口とコクピットが開き、二人のライダーが乗っていて、その人物は旧帝国の軍服を着ていた。
「旧帝国派か!どうせ、ユリスのことだろうが!」
二人の青いスナイプテラのライダーはグラッドとクルーガーの元に寄り、
「初めまして、私が旧帝国派レジスタンスの指導者、アームド・シーガルです!そして、私の横にいるのは、副官のジョナサン・アルドリッジです!」
「反ネオデスメタル同盟軍総司令のグラッド・バレル!そして、副官のアーレン・クルーガーだ!」
「あなた方のご活躍は聞いております!」
「一体、何の用ですか?」
「実はユリス・メルビル陛下があなた方の保護下に置かれているとの報告がありましたが!」
「彼女を引き渡せ!というのか!残念ながら、お断りだ!彼女はそれを望んでいない!」
「いえ、陛下は我々の希望なのです!あのお方が再びかつてのハンナ・メルビル皇帝陛下のように皇帝になれば、必ず反ネオデスメタルの同士は立ち上がるでしょう!」
「それで、余計ネオデスメタルを刺激させるつもりか!悪いが、その要求には従わない!」
「ですが、あなた方にとっては悪い話ではありません!あなた方の実力を見込んで、ユリス・メルビル皇帝陛下の親衛隊として迎え入れるのです!あなた方にとっては、有利な話です!」
「悪いが、お引き取り願いたい!俺たちはあくまで帝国に苦しめられている人々とゾイドを解放するために戦っているのだ!」
「残念ながら、あなた方には我々と共に行くという選択肢しかないのです!」
そのとき、旧帝国派兵士がグラッドたちに銃を突きつける。クルーガーは小声で、
「どうする!」
「面倒なことだが!ここは従うしかないようだな!」
ルメイ大将の総督府、そこに赤いドライパンサーと赤いスティレイザーが到着し、コクピットから身長190cm近くある長身の女性と細身でありながら、屈強そうな男が現れた。
長身女性と男が通り掛かるところにカティアがいた。長身女性は彼女を罵るような表情をし、カティアは少し顔を隠し、早歩きで、去っていった。長身女性は、
「ふん、あんな意地汚い小娘までいるとは、正規軍は一体何をやっているのだ!」
カティアは手が震えて、怯えていた。
「何?あの人!」
二人はルメイ大将のいる部屋に入り、敬礼した。
「タッカー元帥のご命令により、参謀として着任したギャラガー親衛隊所属、クルエラ・ベケット少佐とジョセフ・アーミテージ大尉です!」
「よく来たな!ところで、我々の任務は知っているな?」
「はい、エマ・コンラッドという小娘と反乱軍が皇帝として祭り上げようとしているユリス・メルビルの奪還ですね!」
「そうだ!皇帝陛下は1日も早く完成を待ち望んでおられるオメガレックスの完成に利用するべき存在だ!何としても、捕らえなければならない!
だが、反乱軍の保護下に置かれ、中々、奪う機会があまり無い!」
「しかし、こちらにはステルス性に優れたスナイプテラ3Sがいます!今夜、奇襲をかけ、奴らを分散させる手はどうでしょう?」
「ほう!」
そのとき、通信が入り、
「ルメイ大将!例の反乱軍が旧帝国派の反乱軍と共に連れて行かれたとの報告がありました!」
「どうやら、好機が来たようだな!直ちに出撃準備に掛かる!」
ウィルたちはキャタルガの輸送車両に運ばれ、旧帝国派レジスタンスの基地に入れられた。兵士に基地内部を案内され、そこにスーツを着た兵士もいた。それを見たグラッドとクリスは、
「ほう、あれが例の耐Bスーツか!まさか、今の時代でも使っている奴がいるとは!」
「ゾイドに慣れず、操縦に不慣れな奴が使用しているらしいな!」
「まあ、相棒たちと絆を結んでいる俺たちには不要だな!」
少し豪華な部屋に案内され、兵士はウィルたちに、
「あなた方は我らが真帝国ユリス皇帝陛下の親衛隊として歓迎します!どうぞ、この軍服を!」
ウィルたちはしぶしぶ軍服を着用し、
「もし、何か御用がありましたら、そこのブザーを鳴らしてください!いつでも駆けつけます!」
そう言って部屋から出る兵士、グラッドは、
「旧帝国、真帝国時代の軍服か!ネオデスメタルとは違うが、まるで、帝国軍に逆戻りしてしまったぜ!」
クルーガーはグラッドに、
「どうするつもりだ!相棒たちは別のところに輸送され、武器は取り上げられ、本拠地にも戻ることは出来ないぞ!」
「本拠地には留守番の兵士に光学迷彩機能を作動させるよう、伝えといた!しばらく、帝国軍に見つかることはないだろう!」
ジョンは、
「で、どうするんだ!俺たち、しばらく逃げられないぞ!」
「ここから脱出して余計な揉め事を起こす訳にはいかないし、しばらくここにいて他のレジスタンスと連絡を取り、彼らと連携を取るしかない!」
「ということは、今の俺たちは同盟軍じゃなく、真帝国軍か!」
「そうなるな!」
ウィルは辺りをキョロキョロし、
「エマ、エマは何処だ?」
「エマなら、ユリスと一緒に連れて行かれたな!確か、彼女は侍女にするって言ってたな!」
「じゃあ、大丈夫なのか!」
「むしろ、俺たちよりはな!」
クリスは、
「で、俺たちしばらく真帝国軍の一味になるってことは同盟軍はどうなるんだ!リーダー不在ってことは向こうにかなり同様が出るんじゃないか!」
「心配ない!ここに連れてこられる前にあいつと連絡を取って同盟軍の総司令代理に着任させてもらった!」
「あいつ…って、まさか、戻って来たのか!」
「ああ、つい最近、同盟軍に戻って来たんでな!あいつはあの伝説のゾイドチームリーダーの男だ!あいつなら、全員ついて行ける!」
その言葉通り、森の中にシーザーに似たライガーらしきゾイドが同盟軍の本拠地に向かっていった。
一方、別の部屋では、可憐なドレスを着せられたユリスとエマがいた。ユリスは悲しそうな表情で、
「ごめんなさい!エマ!私のせいで皆を巻き込んじゃって!」
「ううん、メルビルさんは悪くないわ!」
「でも、皆を巻き込んだことに変わりはないし…。」
エマはユリスの手を優しく握り、
「大丈夫です!きっとウィルたちが何とかしてくれます!私はウィルたちを信じてますから!」
夜になり、ウィルたちは部屋にこもっていた。そのとき、突然、基地に爆発が起こり、警報が鳴った。
「緊急事態!緊急事態!」
シーガルとアルドリッジは司令部に向かい、
「何があった?」
「敵の襲撃のようです!」
「敵の規模はどれぐらいだ?」
「分かりません!レーダーに全く反応無し!敵の規模どころか姿すら分かりません!」
「直ちに、キャノンブル、バズートル、スナイプテラ隊を出せ!」
しかし、スナイプテラ隊は出たとき、次々と撃墜され、キャノンブル、バズートル隊も空中に攻撃を仕掛けるが、姿が見えないため、当たっているかどうかわからず、次々と撃破されてしまう。
「敵はステルス性か!アルドリッジ!ファングタイガー改で出撃して、敵をたたけ、私はメルビル陛下を連れて脱出の準備をする!」
「了解しました!」
一方、ウィルたちのいる部屋では、
「戦闘が始まったようだな!」
痺れを切らしたアレックスは、
「くそ、いつまでこんなことしなきゃいけないんだ!」
ブザーを鳴らし、
「おい、さっさと俺たちを出せ!」
「残念ですが、シーガル閣下の命令がないと出ることは出来ません!」
「ふざけるな!」
グラッドをため息をつき、
「やれやれ、親衛隊と言いながら、俺たちはただのお飾りか!仕方ない。俺たちは勝手に出て行こう!ジョン!」
ジョンは口から針金を出し、ドアの鍵穴に差し、ピッキングした。
「よし、では脱出だ!」
「コマンダー、最初からそうした方がよかったんじゃ!」
「どさくさに紛れていった方がやり易いだろ!ウィル、リセル!お前たちはエマとユリスを捜して連れていけ!俺たちはレックスたちを捜す!見つかったら、通信で知らせる!」
「わかった!」
「大事なお姫様を助けろよ!」
「もう、からかうなよ!」
グラッドたちは向こうに行き、ウィルとリセルは部屋中を捜し回った。
基地から離れた場所で、双眼鏡で基地を見るルメイ大将とベケット少佐、
「やはり、スナイプテラ3Sの性能は抜群だな!そして、あの青いスナイプテラとファングタイガー改は旧帝国、真帝国時代の旧型か!今更、あんな旧型で我がネオデスメタル帝国軍に立ち向かうとは、片腹痛い!」
「そろそろ、我々も出撃しましょう!」
そう言って、互いのドライパンサーに乗るルメイ大将とベケット少佐、一方、エマとユリスのいる部屋では、
「攻撃が!一体、何が起こっているの?」
そのとき、ウィルとリセルが現れ、
「ユリス!」
「エマ!」
「ウィル!」
「リセル!何が起こっているの!」
「敵の襲撃です!ここは危険です!早く脱出しましょう!」
そのとき、銃を持ったシーガルが現れ、
「そこまでだ!メルビル陛下とエマは私が連れていく!お前たちは敵を食い止めろ!」
「それは出来ない!ユリスをお前たちの思い通りにさせない!」
「貴様!これは反逆行為だぞ!」
そのとき、基地が揺れ、ウィルとリセルはその隙にエマとユリスを連れて行った。
「くそ、待て!」
そこに兵士が現れ、
「閣下、ここは危険です!早く脱出を!」
「わかっている!それより、皇帝陛下を!」
「はい、」
基地の外では、アルドリッジのファングタイガー改とキャノンブル、バズートル隊が帝国軍と交戦していた。
「くそ、一体敵は何処から攻撃しているんだ?このファングタイガーでも太刀打ち出来ないとは!」
そのとき、目の前にアーミテージ大尉の操る全身真っ赤のスティレイザーG3率いるキャノンブル、バズートル隊、が現れた。
「あれが大将か!全軍、直ちに総攻撃開始!」
キャノンブル、バズートル隊はスティレイザーG3に向けて一斉砲撃をするが、何とスティレイザーは無傷で突っ込んでいった。アーミテージ大尉は、
「おらおら、さっさと道を開けろ!雑魚共ー!!」
「くそ、なめるな~!」
スティレイザーに向かって行くファングタイガー改、
「制御トリガー解除、兵器 解放! マシンブラストー!!」
しかし、スティレイザーはその攻撃すら、無傷だった。
「なんだ?今のは!全く痛くも痒くもないぞ!」
「バカな!」
スティレイザーは赤子の手をひねるかのようにファングタイガー改をボールのように、蹴ったり、突進していった。ボロボロになるファングタイガー改、
「ふん、余りに歯ごたえが無さすぎてマシンブラストするまでもないわ!」
ファングタイガー改を踏み潰そうとするスティレイザー、そのとき、ファングタイガーのゼルが現れ、スティレイザーに突進した。足を崩し、倒れるスティレイザー、ケンはアルドリッジに向かって、
「愚か者め!性能に頼りすぎだ!私が真のワイルドブラストを見せてやる!」
ゼルを見たアーミテージ大尉は、
「ほう、ちょっとは骨のある奴がいたようだな!」
「切り裂け、ゼル!私の魂と共に、本能 解放!ワイルドブラストー!!」
「では、こちらもいくか!制御トリガー解除、スティレイザー! 兵器 解放! マシンブラストー!!」
「虎振!」
スティレイザーに向かって突進するゼル、しかし、スティレイザーはびくともせず、そのまま、ゼルを跳ね返した。
「なんて装甲だ!」
そこにレックスたちも現れ、
「よし、お前たち、一斉にワイルドブラストだ!」
「了解!!」
「俺たちの魂と共に、ワイルドブラストー!!」
パキケドスのウィーリィーは、ラプトールとキャノンブルをパンプキンヘッドで、蹴散らし、アンキロックスのバンプは尻尾で、バズートルを蹴散らし、スパイデスのキールは次々と敵ゾイドに毒を注入していった。
空中では、ソニックバードのジャックとクワガノスのクーデリアがスナイプテラ3Sを撃墜していった。スナイプテラ3Sのライダーは、
「バカな!何故、わかるんだ!」
それに対し、クリスは、
「俺たちはお前たちと何度も戦っている。だから、相棒の野生の勘で、居場所がわかるのさ!」
戦闘中、レックスが何か感じ取った仕草を取り、
「どうした?レックス!」
そのとき、何処からかレックスに向けて攻撃してきた。間一髪で避けるレックス、
「一体、なんだ?」
暗闇に紛れて何かがまた攻撃してきた。それも避けるレックス、
「レーダーに反応無し。ということは! レックス、わかるか?」
レックスは地面の匂いを嗅ぎ、姿の見えない敵に攻撃した。姿の見えない敵はその攻撃を避ける。
「ステルスにはステルスで対抗のつもりだろうが、残念ながら、俺には通用しないぜ!」
そのとき、暗闇からドライパンサーが現れた。
「久しぶりだな!グラッド・バレル元中尉!」
「ダグラス・ルメイ中佐…、いや、今は大将だったな!」
「そうだ!私は兵器改造をしたゾイドをありとあらゆる軍需産業に売りさばき、多大な利益を得、終いにはそれらの軍需産業を全て吸収し、帝国を強大化させ、今の地位を手にいれた!
特に私のドライパンサーとお前のガトリングフォックスのような隠密性に優れたゾイドは高く売れた!」
「そして、俺をレックスのライダーに任命したのは、全てはレックスの性能を試すためだったな!」
「そうだ!全てはガトリングフォックスの性能を世界中に示し、いずれ、私のゾイドとして出世するためだった!
だが、貴様が逃がしてしまったため、私の手元に置くことは出来なかったが、その代わり、このドライパンサーを手に入れたがな!」
「貴様!何処まで、ゾイドを道具扱いにすれば、気が済むんだ!」
「下らん質問だな!我が帝国にとってはゾイドなぞ所詮、人類を更なる高みへ導くテクノロジーの道具でしかない!ゾイドの性能と技術は人類の文明発達と進化によく貢献した!これほどの上手い材料は他にない!」
「相変わらず、根性の腐った奴だな!」
「しかし、貴様もわからん!今まで、密輸業者として現実に目を背けたお前が何故反乱軍に入ったのだ!そんなことしなければ、こんなことにならなかったはずなのに!」
「確かに今までの俺はそうやって生きてきた!いつも自分と相棒のことだけを考えて他人のこと等どうでもいいと思っていた!
しかし、相棒が教えてくれた!こんな生活を続ければ、いつかは滅びる、そして、貴様らのような奴らを倒し、ゾイドと人間が共存していく世界を築くために!」
「ますます、下らん!どうやら、お前をライダーに推薦したのが唯一のミスだったな!」
「それともう1つ、俺は前々から貴様が気に入らなかった!」
ウィルたちはシーザーとデルを見つけ、それぞれの相棒に乗り、基地を脱出しようとした。そのとき、シーガルの乗るナックルコングが現れ、
「待て!メルビル陛下は真帝国皇帝だ!勝手に連れていくことは許さん!」
「何度も言ってもユリスは渡さない!」
「ならば、仕方ない!」
そう言って、シーザーとデルに攻撃しようとするナックルコング、そのとき、基地の壁を突き破ってギルラプターエンペラーが現れ、シーガルのナックルコングに突進し、吹っ飛ばした。ギルラプターを見たウィルは、
「あのギルラプターは! ギャラガーか!」
「また会えて嬉しいよ!今度こそ、決着をつける!」
「望むところだ!リセル、お前は先に行ってくれ!俺はこいつを食い止める!」
「わかった!」
先に向かうデル、
「待って、ウィル!」
「止めるな、エマ!あいつの狙いは俺だ!いくぞ、シーザー! エヴォブラストー!!」
「こっちも本気でいくよ! ギルラプター! 強制 解放! デスブラストー!!」
「ビーストオブクローブレイク!!」
「真・瞬撃殺!!」
基地から出たデルの前にベケット少佐の乗る全身真っ赤のドライパンサーG3が現れた。ドライパンサーを見たリセルは拳を握りしめ、
「あの赤いカラーリング、親衛隊か!」
「あのわがまま皇子についていけば、あの小娘二人を乗せた連れに会うと踏んでいたけど、やっぱり、正解だったようね!
あら、そういえば、あんた、どっかで見た顔ね!ええと確か……、あ、思い出した!確か、元帥閣下に連行されて収容所から逃げたあのときのガキね!まさか、こーんなに大きくなっちゃって!」
「なんだと!!」
「まさか、生きてるとは思わなかったわ!てっきり、の垂れ死んだかと思ったわ!」
「ふ、ふざけるなー!!」
「待って、リセル!挑発に乗らないで!」
「止めるな、ユリス!あいつは俺の家族と友人を殺した連中だ!いくぞ、デル! ワイルドブラストー!! ソニックブーストー!!」
ユリスはリセルにしがみつき、
「キャアァァー!!」
デルはドライパンサーに突っ走ったが、ドライパンサーはその攻撃を難なく避け、尻尾でデルを振り払った。
「あらあら、いけませんね!熱くなっては! でも、仕方ないないわよね!あんだけ、殺したもんね!
ん、あれ?あのとき殺したの、坊やの家族だっけ?もう!いちいち殺した奴のことなんか記憶にないわ!」
挑発するベケット少佐にリセルは怒り狂い、
「ふざけるなー!! セカンドギア!ハウリングシャウトー!!」
デルのハウリングシャウトがベケット少佐のドライパンサーに直撃する。しかし、ドライパンサーはハウリングシャウトを喰らっていながら、全くの無傷だった!
「そんなバカな!」
「ホント、単純な坊やね!こんな挑発に乗るなんて!あんたなんか、いちいち姿を隠さなくてもマシンブラストせずとも、素の状態で十分よ!」
そのとき、ドライパンサーはソニックブーストより速い速度で動き、デルに突進した。吹っ飛ばされるデル、一方、基地内では、シーザーがギルラプターのスピードに翻弄され、瞬撃殺の猛攻を食らい、ボロボロになっていく。
「どうした? カーターのスナイプテラを倒した実力はそんなものか! もしかしてホントは連中に頼ってて何も出来なかったんじゃないか?」
「なんだと!」
「所詮、お前は宝の持ち腐れってところだな!」
「ギャラガー!!」
ギルラプターに向かって突っ走るシーザー、しかし、ギルラプターはそれを避け、シーザーを払いのける。
「全然、歯ごたえなかったね!まあ、いい!これで終わりにするよ!」
止めを刺そうとするギルラプターに、シーザーのコクピットからエマが現れ、
「もう止めて、レイル!!」
エマを見たアーネストは拳を握りしめ、
「エマ!!僕を裏切ったお前は許さない!やれ、ギルラプター!!」
しかし、戸惑うギルラプター、
「どうした?何をしている!早くやれ!!」
レックスと戦うドライパンサーのコクピットから通信が入り、
「ルメイ大将!直ちにスナイプテラ3S隊が基地を爆撃します!速やかに避難してください!」
「ち、もうそんな時間か!全軍離脱だ!」
そう言って、撤退するドライパンサー、それを見たグラッドは、
「なんだ?何が……、まさか!まずい、俺たちも撤退するぞ!」
ベケット少佐のドライパンサーのパワーとスピードに圧倒され、ボロボロになるデル、
「さあて、そろそろ小娘を渡してもらうわよ! ん?」
頭上には、大量のスナイプテラ3Sが、
「ち、仕方ない!」
ドライパンサーは撤退していく。ユリスは気絶しているリセルを、
「リセル! しっかりして!」
基地内で、旧帝国派のラプトールを蹴散らすカティアのラプトールは頭上に気付かず、戦闘に集中していた。ルメイ大将のコクピットに通信が開き、
「大将!まだ離脱していない兵士がいますが!!」
「構わん!多少の犠牲等、どうでもいい!! 帝国と皇帝陛下のために命を散らせばいい!」
スナイプテラ3S隊は基地中に爆撃を開始していった。基地はあっという間に壊滅し、爆撃に巻き込まれたウィル、エマ、シーザー、アーネスト、ギルラプター、リセル、ユリス、デル、カティア、ラプトールは基地の裏の崖に落ちていった。
To be continued
次回予告
ルメイ大将の無慈悲な爆撃で、散り散りになってしまったウィルたち、エマとユリスはウィルとリセルと離れ離れになるが、ギルラプターとはぐれたアーネストに出会う。
エマはアーネストとの再会に喜ぶが、アーネストは勘違いの復讐で、エマとユリスを殺そうとする。
ウィルとリセルはエマとユリスを捜すが、そこにはベケット少佐の魔の手が!
次回 「再会」
本能を呼び覚ませ、ライガー!!