ゾイドワイルドエヴォリューション アフターZERO   作:オーガスト・ギャラガー

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 ゾイド_それは優れた戦闘能力と自らの意思を持つ金属生命体である。  
 新地球暦1245年、世界はネオデスメタル帝国という強大な軍事国家が支配していた。  
 各地で帝国に対するレジスタンスが立ち上がり、帝国とレジスタンスが激しい戦争を繰り広げている戦乱の時代となっている中、帝国に捕らえられていたビーストライガーにシーザーと名付け、相棒となった少年ウィルは謎の少女エマと共に冒険の旅に出掛けた。


第21話「灼熱の破壊竜」

 都市クーリガー、ここは旧共和国派に属し、ネオデスメタル帝国の支配を受けていない都市である。街にいる人々は、

 

 「旧共和国派のレジスタンスたちが守ってくれるおかげで、この街は平和だな!」

 

 「でも、大丈夫か!?もし、ここに帝国軍が攻めて来たら!」

 

 「大丈夫だって!レジスタンスがいるから!」

 

 その時、地面が揺れ、

 

 「なんだ?この音は!」

 

 人々が見た先には、ジェノスピノと親衛隊による帝国軍の大部隊だった。旧共和国派レジスタンスのガノンタス、ラプトール、ラプトリア、トリケラドゴス、スコーピアが一斉攻撃したが、ジェノスピノには、一切通用せず、A-Zロングキャノンで次々と蹴散らし、街の方にも砲撃した。ジェノスピノが街に侵攻し、人々は逃げ惑う。

 ジェノスピノは逃げ惑う人々に向けて火炎放射を吐き、ソーザーバルカンとA-Zロングキャノンで、ビルを破壊していった。僅か15分足らずで、都市は跡形もなく壊滅され、ジェノスピノは親衛隊を率いて、そのまま侵攻していった。その様子を映像で見たシーガルは、

 

 「これは、どういうことだ? ベケット!話が違うぞ!」

 

 その時、ベケット少佐がシーガルに銃を向け、

 

 「貴様、図ったな!」

 

 「あら、失礼しちゃうわね!ちゃんと陛下が交渉に行くことは本当のことじゃない!ま、殲滅という名の交渉だけど…、」

 

 「だが、ネオデスメタルごときに我が新帝国は終わらせんぞ!!」

 

 「それはどうかしら!あんたの頼みの綱の兵士もぜーんぶ、アーミテージがやっちゃったわ!」

 

 ベケット少佐が指差した方の映像には、屍状態となったキルサイス、キャノンブル、バズートル、ラプトールが全て倒れこみ、その真ん中にスティレイザーG3がいた。それを見て絶望した顔をするシーガル、

 

 「ホント、当時の旧帝国と真帝国もだけど、その生き残りも役に立たない連中ばかりね!ま、あたしに言わせれば、あんたたち、真帝国いや、新帝国は我がネオデスメタルの噛ませって、ところね!

 さあ、大人しく全員、ビッグウィングに乗ってあたしの指定した場所まで行ってもらうわよ!」

 

 「ビッグウィング? 何故、貴様が知っている!?」

 

 「あたしには、全部お見通しよ!スパイゾイドで、あんたたちの情報は全て手に入れたからね!

 あんたたち、旧帝国の移民船を元に改造した巨大スナイプテラのビッグウィングで、メガロポリスに行くつもりだってことも知っているからね!望み通り、陛下の元まで行ってもらうわよ!」

 

 「く…!」

 

 シーガルはしぶしぶ要求に従い、ウィルたちやジョンたちも巨大スナイプテラのビッグウィングの元に連れていかれ、乗せられた。入る途中、ジョンは手にベケット少佐と同じスパイゾイドを持ち、それを解き放った。

 基地から離れた場所にグラッドは何かに気づいたように通信機を見た。

 と同時に、基地が割れ、中から、巨大スナイプテラのビッグウィングが現れ、そのまま離陸していった。

 それを見てアレックスとアッシュはは唖然とし、

 

 「デケェプテラ!」

 

 「でかすぎだぜ!」

 

 「おい、グラッド!俺たちも…、」

 

 アレックスの問いにグラッドは、

 

 「ああ、さっきジョンから連絡があった!奴らが向かうのはあそこだ!俺たちもあの後について行くぞ!」

 

 それを聞いたクリスは、

 

 「ついに、動く時が来ましたか!」

 

 「ああ、それと総司令代理のストームにも知らせないと!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 ビッグウィングが向かった先は、新帝国に属する都市ゼッガー、ビッグウィングはその都市に離陸し、中から、ベケット少佐に銃を向けられたシーガルとアルドリッジ、そして、ウィルたちが出た。ベケット少佐はシーガルに、

 

 「さあ、あんたたちはここで、大人しくしなさい!もうすぐ陛下がこちらに来られるわ!貴様ら、愚かな反乱軍への裁きをね!」

 

 ベケット少佐を見たリセルは周りの兵士を蹴散らし、ベケット少佐の元に突っ込んだ。

 

 「親衛隊の奴らめ!俺の家族を殺した挙げ句、ユリスまで巻き込みやがって!許さない!!」

 

 「全く、しょうがないガキね!いいわ、直ぐに楽にさせてあげる!」

 

 そう言ってリセルに銃を向けたその時、別の銃声がし、ベケット少佐の銃を落とした。

 

 「残念だったな!罠にかかったのは、てめえの方だ!」

 現れたのは、グラッドのレックスにクリスやクルーガーたち、精鋭部隊、同盟軍、旧共和国派のゾイドたちが取り囲んだ。ベケット少佐は驚いた表情で、

 

 「馬鹿な!何故、反乱軍が?」

 

 「それは、俺のせいさ!」

 

 と同時に、キールとクーデリアが現れ、ジョンとジェニファーが乗っていた。

 

 「そんな馬鹿な!あのとき、ボディチェックで、通信機は全て没収したはず!」

 

 その問いにジョンは帝国のスパイゾイドを取り出し、

 

 「あのとき、旧帝国派の基地にこいつを見つけてな!何故、お前たちが俺たちの動きを知っていたのか、ようやくわかって、こいつを新たに改造して、コマンダーやキールへの通信用として使い、コマンダーたちに知らせて呼んだって訳さ!」

 

 「なるほど、やるわね!」

 

 その時、ドライパンサーG3とアーミテージ大尉の乗るスティレイザーG3が現れ、

 

 「でも、一つ誤算だったのは、あたしたちを相手にしたことね!あんたたちの弱さは立証済みよ!あたしとアーミテージで、十分倒せるわ!それにもうじき陛下も来られる!あんたたちはもう終わりよ!」

 

 「それはどうかな!?」

 

 「ふん、あの世で後悔するといいわ!アーミテージ、やっちゃって!」

 スティレイザーがレックスたちに襲いかかろうとしたその時、一つの黒い影が現れ、

 

 「燃えろ、キング! 俺の魂と共に、進化 解放! エヴォブラストー!! キングオブクローブレイク!!」

 

 黒い影はシーザーに似た技で、スティレイザーをぶっ飛ばした。ベケット少佐は驚愕した顔で、

 

 「馬鹿な!親衛隊一個大隊にも匹敵するアーミテージのスティレイザーを!?」

 

 影の正体はかつて、ゾイドの王と呼ばれ、200年前、旧デスメタルを壊滅させた伝説のワイルドライガーだった。

 

 「まさか、かつて、旧デスメタルを壊滅させたフリーダム団リーダーのワイルドライガーだっていうの!?」

 

 周りを見たベケット少佐は、

 

 「く、(まさか、あのワイルドライガーを従う男が反乱軍にいたとは予想外だわ!ましてや、アーミテージのスティレイザーすら圧倒するとなると、分が悪いわね!)

 

 アーミテージ!ここは一時撤退よ!でも、覚えてらっしゃい!もうじき、陛下がこちらに来られる。いずれ、あなたたちは陛下の恐ろしさに恐怖するわ!ホー、ホッホッホ!」

 

 ベケット少佐は煙幕を出し、煙が晴れた後に二人の姿は見えなかった。ジョンとジェニファーは、ウィルとリセルたちの元に行き、

 

 「大丈夫?カップルさん!」

 

 ウィルとリセルは照れて、

 

 「あ、ありがとう!でも、カップルは止せ!」

 

 グラッドたちも立ち寄り、

 

 「少し、時間がかかっちまったが、無事で何よりだ!」

 

 ウィルはワイルドライガーを見て、

 

 「そのライガー、もしかして、ワイルドライガー!?」

 ウィルの質問に男は、

 

 「こいつか?こいつは俺の相棒のワイルドライガーのキング!そして、俺の名はストーム・ブレダだ!よろしくな!」

 

 ストームの服についているバッジを見たエマは、

 

 「あなたのそのバッジはもしかして!」

 

 「ああ、こいつは俺の先祖が結成したゾイドチーム、フリーダム団のバッジだ!今や、こいつはブレダ家の象徴さ!」

 

 「聞いたことがあるわ!200年前、世界を支配しようとしていたテロ組織、旧デスメタル帝国を壊滅させた伝説のゾイドチームがいるって話を父から聞いたわ!」

 

 「俺もずいぶん、有名人になってしまったな!そう、俺はそのフリーダム団リーダーの子孫で、こいつは先祖が初めて相棒にしたライガーだ!今じゃ、すっかりかけがえのない俺の相棒さ!」

 

 ウィルは、目を輝かせ、

 

 「お、俺、実はあなたに憧れてました!ずっとあなたのようなゾイド乗りになりたいと!」

 

 「それって、俺のファンか?まいったな!」

 

 目を輝かせるウィルにグラッドは、

 

 「ストームは、俺たちが不在の間、総司令代理として同盟軍を仕切っていたが、実は俺が同盟軍に入る前の元総司令で、同盟軍の創設者だ!俺に総司令の座を譲って、時々、姿を消してはいたが、再び、来てもらったんだ!それにこう見えて俺よりリーダーの素質があるからな!」

 

 「こう見えてってなんだよ!俺、軍人じゃねぇし、そもそも向いてねぇよ!」

 

 「(俺だって向いてねぇよ!)さて、もうじき、ここにジェノスピノ率いる帝国軍が到着する。俺たちはここを奴らとの決戦場とする!とはいえ、相手はかつて、ゾイドクライシスで世界の3分の1を壊滅させたあのジェノスピノだ!しかも、帝国軍のほとんどは親衛隊で、しかもその数は万を超す!

 そこで、ここの住民全員をあらかじめ避難させて全て空っぽ状態にし、奴らがこの街に来たとき、俺たちが奴らをここに釘付けにし、街中に設置している爆弾を全て爆破して、奴らを叩き潰す作戦だ!

 だから、ここには、ジェノスピノを足止め出来る奴だけ残し、後はこの街から避難してくれ!エマ、ユリスはあのビッグウィングに乗って安全な場所に避難しろ!ウィル、リセル、お前らもだ!」

 

 それを聞いたウィルは、

 

 「そんな!俺だって戦う!」

 

 「駄目だ!ジェノスピノはお前が想像しているより、遥かに強大なゾイドだ!お前までいたら、真っ先に破壊されてしまうぞ!」

 

 「それでも、俺は戦う!仲間を、皆を守るために俺だけ見ているだけになるのは嫌なんだ!」

 

 「俺も行かせてくれ!親の仇を取りたいんだ!」

 

 ウィルとリセルを見て、グラッドはため息をつき、

 

 「お前たちはホントにしょうがないガキだな!わかった!だが、指揮は俺が取っている。俺の命令には必ず従え!」

 

 「わかった!」

 

 それを見て心配そうな表情をするエマとユリス、

 

 「大丈夫だ!エマ、俺は必ず戻ってくる!お前は安全な場所に避難してくれ!」

 

 「ユリス、俺は親の仇を取るために戦う!お前は安全な場所に避難しろ!」

 

 「ウィル、気をつけてね!」

 

 「リセル、必ず戻って来て!」

 

 エマとユリスはビッグウィングに乗り、グラッドはストームに、

 

 「ストーム、ここからは俺が指揮を取る。お前は他のレジスタンスに呼び掛けて味方を増やしてくれないか!」

 

 「了解!」

 

 その時、警報が鳴り、

 

 ビービービービー!

 「非常事態、非常事態、ジェノスピノが進行!市民たちは速やかに避難してください!」

 

 「どうやら、もう来たようだ!よし、皆、抜かるなよ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 都市の出入口の前にジェノスピノが先頭になって親衛隊が進行した。同盟軍と旧共和国派のスコーピア、ガノンタス、カブター、トリケラドゴス、ラプトール、ラプトリアがジェノスピノに向けて一斉砲撃をする。その一撃は2個大隊を殲滅できる程の威力であるが、煙が晴れた後のジェノスピノには一切の傷がついていなかった。

 それを見て、驚愕する同盟軍とレジスタンス兵士、ジェノスピノはA-Zロングキャノンを放ち、一瞬で葬った。ジェノスピノに乗っているギャラガー三世は、

 

 「つまらん!あまりに歯ごたえが無さすぎて、ジェノスピノの遊び相手にもならん!」

 

 その時、グラッドのレックスが現れ、

 

 「噂以上に図体のデッケェ奴だぜ!だが、やれるよな?レックス!」

 

 グォォー!

 

 グラッドの問いに対して咆哮を上げるレックス、

 

 「狙い撃て、レックス!俺の魂と共に、進化 解放!エヴォブラストー!!ファントムガトリング!!」

 

 レックスはファントムガトリングをジェノスピノの頭やコクピットに向けて撃ち込んだ。ジェノスピノには一切通用しなかったが、レックスはそのまま背を向け、尻尾を振ったり、まるで挑発するかのように後ろ足を蹴りながら走っていった。それを見た親衛隊兵士は、

 

 「あの狐野郎!皇帝陛下を侮辱しやがって!絶対に許さん!我ら親衛隊が死の制裁を与えてやる!」

 

 しかし、ギャラガー三世は、

 

 「余計な真似をするな。お前たちは引っ込んでいろ!!(ふん、さんざん撃ちまくった後、逃げるとは、誘いに乗るつもりか!つまらん手だが、少しは楽しめそうだ!)」

 

 ギュオオオー!!

 

 咆哮を上げるジェノスピノ、それを見たギャラガー三世は、

 

 「そうか、お前も楽しみたいのか?この素晴らしい殺戮ショーを!ならば、敢えて誘いに乗ろう!」

 

 そして、そのままジェノスピノだけレックスを追って走っていった。それを見たグラッドは、

 

 「ジェノスピノだけ誘いに乗ったか!だが、ちょうどいい。一番厄介なのはあいつだからな!」

 

 

 

 

 

 街中に入り、ジェノスピノはレックスを追いかけた。ジェノスピノはその大きさの割には、かなりのスピードで走っていった。

 ジェノスピノは追いかけながら、A-Zロングキャノンと頭部のキャノンをレックスに向けて撃ち込み、A-Z火炎放射機を放った。レックスはそれを避けるが、ジェノスピノの攻撃で建物は次々と倒壊していく。レックスはそれらを避けながら走っていく。

 しかし、後ろを見たら、ジェノスピノはそれらをものともせず、倒壊した建物を踏み潰したり、振り払ったりしながら、追いかけた。レックスは超高層ビル街のところまで走っていった。超高層ビルに着き、グラッドは声を上げた。

 

 「今だ!」

 

 グラッドの掛け声と共に、クリスのジャック、ジェニファーのクーデリア、ジョンのキール、アレックスのウィーリィー、アッシュのバンプ、ケンのゼル、クルーガーのゴルドが現れた。

 

 「ワイルドブラストー!!」

 

 全員が一斉にワイルドブラストし、ウィーリィーとバンプがジェノスピノの足元にいき、ウィーリィーがジェノスピノの足に頭突きした。ジェノスピノにはそれでも通用しなかったが、同時にバンプの尻尾がジェノスピノの片足に巻き付いてジェノスピノの両足を防いだ。それを見たギャラガー三世は、

 

 「それがどうした?口さえ動けば、問題ない!」

 

 ジェノスピノは火炎放射を放つが、ジャックとクーデリアはそれを避け、

 

 「うるせーとかげだぜ!ジョン、ジェニファー、あれをやるぞ!」

 

 「了解!」

 

 ジャックはスカイスラッシュをジェノスピノに噛まし、クーデリアの背中に乗ったキールがジャンプして糸を吐き、ジェノスピノの口をふさぎ、そのまま身体を巻き付けた。ギャラガー三世は、

 

 「これは!?」

 

 更にゴルドは頭にゼルを乗せ、そのままグランドハンマーの態勢を取り、ゼルはグランドハンマーの威力で飛び、ジェノスピノに一撃を噛ました。少し怯むジェノスピノ、しかし、ギャラガー三世は、

 

 「中々の威力だが、それで勝ったつもりか?」

 

 糸をほどこうとするジェノスピノ、しかし、足元には、既にウィーリィーとバンプの姿はなく、足元及び全身が建物と一緒に糸に巻き付けられた。それを見たグラッドは、

 

 「作戦通り!これでフィニッシュだ!」

 

 グラッドはスイッチを押し、超高層ビルが爆破してジェノスピノ目掛けて倒壊していく。

 

 「ふん、そんなもの、この糸さえほどけば!」

 

 しかし、レックスたちは超高層ビル街の根元をファントムガトリングで攻撃し、超高層ビルが倒れやすいようにした。倒壊していくビルを見て、グラッドは、

 

 「よし、今だ!全員ここから離れろ!」

 

 糸をほどこうとするジェノスピノ、しかし、間に合わず、全ての超高層ビルが倒れ、ジェノスピノは完全に超高層ビルの下敷きになった。

 

 「やった!作戦成功だ!」

 

 「いくら、ジェノスピノがどれだけの化け物だからって、これだけのデッケェビルの下敷きになったら、完全にペッちゃんこだぜ!」

 

 その時、シーザー、デルが現れ、ウィルはグラッドに、

 

 「ひどいよ、グラッド!俺たちを参加させないなんて!」

 

 「そう言うな、こんな作戦、流石にお前では無理だろ!それにこれでジェノスピノは倒した。後は残りの親衛隊を片付けるぞ!」

 

 しかし、その時、地面が揺れ、

 

 「な、なんだ?地震か!」

 

 「いや、倒れたビルのところが揺れている!」

 

 その時、倒壊したビルが爆発し、そのままジェノスピノが這い上がった。ジェノスピノは無傷だった。それを見て驚愕するグラッドたち、

 

 「馬鹿な!あれだけのビルの下敷きになっても無傷だと!」

 

 ギャラガー三世は首をカクカクし、

 

 「う~ん、ちょっと効いたかな?だが、おかげで肩凝りが治ったよ!これでようやく楽しめそうだ!では、ちょっと本気で行くぞ!」

 

 「これで、本気じゃないだと!化け物だ!こうなった場合なんて想定してねぇぞ!」

 

 ウィーリィー、バンプ、ジャック、キール、ゼルがジェノスピノ向けて突っ込むが、ジェノスピノは尻尾で凪ぎ払い、一撃でダウンさせた。それを見たギャラガー三世は、

 

 「ん?もう終わりか!?少しは楽しめると思ったのに、残念だ!それにしても、これでダウンとは、同盟軍も案外大したことなさそうだな!」

 

 ジェノスピノを見たリセルは、拳を握りしめ、

 

 「ギャラガー!お前だけは許さない! セカンドギア、ハウリングシャウトー!!」

 

 しかし、ハウリングシャウトを食らってもジェノスピノは無傷だった。

 

 「許さない、許さない!お前だけは!! ウオォー!!」

 

 「止せ、リセル!」

 デルはそのままジェノスピノに突っ込んだが、ジェノスピノは前足でデルを掴んだ。

 

 「なんだ?この子犬は!?この私に歯向かうというのか?」

 

 リセルは怒り狂った目をし、

 

 「俺は覚えている!ジェノスピノに乗って俺の故郷を滅ぼしたお前の姿を!!」

 

 リセルを見たギャラガー三世は、

 

 「貴様は、ああ、思い出したよ!確か、私が完成したばかりのジェノスピノの性能テストのために旧ネオヘリックを制圧したときにいた小僧だな!

 タッカー元帥が殺したはずだが、まだ生きていたとは!しぶといね!いっそのこと、あのとき、死ねば、親と再会出来たのにね!」

 

 「ふざけるなー!!」

 

 しかし、ジェノスピノは掴んだ前足でデルを握り潰す。

 

 グォォー!!

 

 苦しむデル、

 

 「ハンターウルフごときに、この私に歯向かうとは、身の程知らずだ!だが、安心しろ!直ぐに親の元に会わせてやる。」

 

 ジェノスピノはデルを握り潰し、デルのソニックブーストが破壊された。それを見たウィルは、ジェノスピノに突っ込み、

 

 「止めろー!!ビーストオブクローブレイク!!」

 

 しかし、ジェノスピノはシーザーのビーストオブクローブレイクも通用せず、シーザーは吹っ飛ばされた。

 

 「なんだ?今度は子猫か!」

 

 ウィルはギャラガー三世に、

 

 「これ以上、俺の仲間を傷つけるな!」

 

 「どっかで見た顔だが、お前、名前は?」

 

 「俺の名はウィル、ウィリアム・ロバートソンだ!」

 

 「ロバートソン?ああ、思い出した!貴様、デイビッド・ロバートソンのせがれだな!?」

 

 「何?父さんを知っている!?」

 

 「聞きたいか?貴様の父親のことを!?」

 

 それを聞いてクルーガーは、

 

 「止めろ、ギャラガー!その事を話すな!」

 

 「教えてやろう!貴様の父、デイビッド・ロバートソンはかつて旧共和国派の幹部だった!そして、奴は死んだ!この私が殺した!」

 

 「な、なんだと!?」

 

 「あのとき、旧ネオヘリック制圧の時に私のジェノスピノに恐れをなして逃げる奴が続出した中、白いハンターウルフだけが私に立ち向かった。そう、貴様の父だ!

 そいつはこのジェノスピノ相手によく戦った!だが、私のジェノスピノに全く歯が立たず、最後はマシンブラストで真っ二つにしてウルフ共々、殺してやった!あのときの無様な敗北は実に滑稽だった!投降すれば、命は助けてやったのに!」

 

 それを聞いたウィルは、

 

 「(そんな、父さんが旧共和国派の幹部、しかも、死んだなんて!? 父さんはいつも仕事で忙しかったけど、どんな仕事をしているかは俺には教えなかった。あのとき、もし、帰って来なかったら、母さんを頼む!って言ってたのは、俺と母さんを戦争に巻き込みたくないため、話さなかったのか!)

 ゆ、許さない!お前だけは、お前だけは絶対に許さない!」

 

 ビッグウィングの中で、映像でその様子を見ていたエマは、

 

 「ウィル、駄目!ジェノスピノと戦っちゃ駄目!」

 

 「ウオォー!!ビーストオブクローブレイク!!」

 

 しかし、ジェノスピノは前足でその攻撃を防ぎ、更にそのままシーザーを踏みつけた。

 

 「いくら、ライオン種といえど、私のジェノスピノでは、無力に等しい!」

 

 そう言い、ジェノスピノはシーザーのタテガミクローを前足で強引に剥がした。

 

 「さて、次はその粗末なアーマーを剥がすとするか!」

 

 ジェノスピノは前足でシーザーのアーマーをゆっくり剥がす。

 

 グォォー!!

 

 アーマーを剥がされ、苦しむシーザー、

 

 「シーザー!く、止めろ!」

 

 映像を見たエマは、

 

 「止めて、もう止めて!」

 

 ジェノスピノによって、アーマーのほとんどが剥がされるシーザー、

 

 「しかし、どうもそのライオン種には、何かしらの因縁を感じる!このままでは、終わらせん!」

 

 更にジェノスピノは追い討ちをかけるかのように、シーザーを喰わえ、そのまま、シーザーを噛み砕き、更にジェノスピノは前足でシーザーの後ろ足を引きちぎった。ジェノスピノはシーザーを噛み砕きながら、そのまま火炎放射を放った。アーマーを剥がされたため、シーザーの身体がゆっくり溶解していく。シーザーは更に苦しんだ。映像を見たエマは、

 

 「いやー!!お願い、もう止めて!シーザーが死んじゃう!」

 

 シーザーの関節がボロボロになっていく中、ジェノスピノは喰わえたシーザーを吐き出し、

 「随分、無様な姿になったな!まるで、毛皮を剥がされた子猫ちゃんみたいだな!だが、もうこれ以上、苦しむことはない!せめてもの情けだ!楽に死なせてやる!お前の父とウルフを葬ったこの技でな!」

 

 それを見たグラッドは、

 

 「一体、何をする気だ!」

 

 ギュオオオー!!

 

 ジェノスピノは咆哮を上げ、

 

 「制御トリガー解除、ジェノスピノ! 兵器 解放! マシンブラストー!!」

 

 マシンブラストした時、ジェノスピノの背中のジェノソーザーが前方に出て、ノコギリが回転した。それを見たグラッドは、

 

 「まずい、あれを喰らったら、アウトだぜ!クルーガー、ウィルとシーザーを助けるぞ!」

 

 「わかった!」

 

 「これで、終わりだ!ジェノサイドクラッシャー!!」震えながらも何とか前足だけで立ち上がろうとするシーザー、しかし、ジェノスピノの刃がシーザーに襲いかかる。その時、レックスとゴルドが現れ、レックスがシーザーに突進し、シーザーを弾き飛ばした。

 しかし、レックスとゴルドはジェノサイドクラッシャーの餌食になり、レックスのA-Zインフィニティガトリングと後ろ足が真っ二つに破壊され、ゴルドはハンマーボーンが真っ二つに破壊され、アーマーも一部破壊された。ギャラガー三世は残念そうに、

 

 「ち、はずしたか!」

 

 「皆、撤退だ!」

 

 シーザーとレックスはジャックとクーデリアに運ばれ、そのまま、ゴルドたちもそれに付いていって撤退して行った。それを見たギャラガー三世は、

 

 「なんだ?もう終わりか!?どうせなら、この私の手でスクラップになって欲しかったのに!」

 

 街から出た後、グラッドはスイッチを押し、

 

 「だが、今度こそ。これでフィニッシュだ!」

 

 グラッドがスイッチを押したとたん、街中に設置されている爆弾が全て爆破し、ジェノスピノはその爆発に飲み込まれた。街は一瞬で火の海になった。

 

 「ハァハァ、これで生きてたら、完全に化け物だぜ!」

 

 しかし、クリスが双眼鏡で見た時、

 

 「コマンダー!あれを!」

 

 グラッドも慌てて、双眼鏡を見、火の海になった街の中にジェノスピノがいた。何とジェノスピノはそれでも無傷だった。コクピットにいるギャラガー三世は、

 

 「愚かな虫けら共!誰もこの私を止めることはできぬ!フフフ、ハハハ、ウワーハッハッハッハ!!」

 

 ギュオオオー!!

 

 ギャラガー三世の笑い声と共に、咆哮を上げるジェノスピノ、それを見たグラッドたちは絶望的な表情をし、ウィルはシーザーを見て、目が死んだかのような暗い表情をした。

 

 To be continued




 次回予告
 
 グラッドたちの作戦も虚しく破ったジェノスピノはそのまま各地の都市を破壊しながら、新帝国が首都を置いている都市に侵攻していった。グラッドたちはジェノスピノに対抗するため、傷ついた相棒ゾイドをより強力に改造し、ジェノスピノを迎え撃つ準備をした。
 一方、シーザーはジェノスピノとの戦いで瀕死の重傷を負い、ウィルは自分のせいで、シーザーを傷つけたと責め、戦意喪失していた。エマはウィルを励まそうとするが、そんな時、ストームが現れ、ウィルに渇を入れる。ストームの考えとは!?

 次回、「甦れ、シーザー」

 本能を呼び覚ませ、ライガー!!

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