ゾイドワイルドエヴォリューション アフターZERO 作:オーガスト・ギャラガー
新地球暦1245年、世界はネオデスメタル帝国という強大な軍事国家が支配していた。
各地で帝国に対するレジスタンスが立ち上がり、帝国とレジスタンスが激しい戦争を繰り広げている戦乱の時代となっている中、帝国に捕らえられていたビーストライガーにシーザーと名付け、相棒となった少年ウィルは謎の少女エマと共に冒険の旅に出掛けた。
ワイルド大陸、かつて、この大陸は200年前、デスメタル帝国という軍事テロ組織が猛威を震っていた。デスメタル帝国は正式な国家ではなく、1200年以上前のゾイドクライシス後の時代の技術を持っていないにも関わらず、かつて伝説の最凶ゾイドと呼ばれたデスレックスを従えた帝王ギャラガー一世の絶対的な力と圧倒的なカリスマ性、巧みな戦術と驚異的な腕でゾイドを操った四天王と呼ばれた幹部たちの力で、反対派のレジスタンスを押さえつけ、大陸のほとんどを支配下に治めていた。
しかし、デスレックスと共に、伝説のゾイドと呼ばれたワイルドライガーを相棒とする少年が率いるフリーダム団が本拠地のある大火山デスロッキーで、デスメタル帝国を襲撃し、デスロッキーでの最後の戦いで、ギャラガー一世は少年とワイルドライガーに敗れ、デスレックスと共にデスロッキーに沈み、デスメタル帝国は壊滅した。
そして、新地球暦1245年、壊滅したデスメタル帝国に成り代わり、ネオデスメタル帝国という強大な軍事国家が地球の8割を支配下に治め、ゾイドクライシス後に建国された両国家の復活を渇望する旧帝国派(現新帝国)と旧共和国派のレジスタンスと交戦し、ネオデスメタル帝国初代皇帝ギャラガー三世は世界の3分の1を壊滅し、デスレックスと共に、最凶のゾイドと呼ばれたジェノスピノに乗って、ワイルド大陸に向かい、反乱軍の制圧に向かっていた。
ワイルド大陸で、旧共和国軍と同盟軍のガノンタス、スコーピア、トリケラドゴスが海上を泳ぐジェノスピノと護衛のガブリゲーターG3を砲撃していた。
同盟軍と旧共和国軍のゾイドの集中砲撃で海に沈むガブリゲーターG3、兵士は通信を開いてグラッドに、
「コマンダー!ガブリゲーターG3を撃沈させました!」
「よし、更にカブター、クワガノス隊も出し、海中の潜水艇にも指示を出し、ジェノスピノに集中砲撃しろ! そして、奴が上陸しそうだったら、直ぐに撤退しろ!」
「了解しました!」
クリスはグラッドに、
「上手くいきますかね?」
「ジェノスピノの装甲に風穴を開けることは出来ずとも、この攻撃で少しでも奴の装甲にガタをつけないと倒すことは出来ないからな!」
上陸地点のガノンタス、スコーピア、トリケラドゴス、空中のカブター、クワガノス、海上の軍艦、海中の潜水艇が一斉にジェノスピノに向けて集中砲撃をした。砲撃の嵐で見えなくなるジェノスピノ、それでもジェノスピノに決定的なダメージを与えられない。それでも砲撃する同盟軍と旧共和国軍のゾイド。
しかし、意外にもジェノスピノは攻撃する様子がない。その時、突然、ジェノスピノは海中に潜った。兵士は通信でグラッドに、
「コマンダー! ジェノスピノが海中に潜りました!!」
「海中だと!! まさか、陸には上がらず、地下から進むつもりか!?
よし、作戦をフェーズⅡに移行する。上陸地点にいるガノンタス、スコーピア、トリケラドゴス隊は撤退、海中にいる潜水艇は総力を持ってジェノスピノに攻撃しろ!」
グラッドの指示通り、水中の潜水艇は海中に潜ったジェノスピノに向けて魚雷を射出して攻撃した。しかし、ジェノスピノはびくともせず、ジェノスピノはA-Z魚雷ランチャーを4発放った。放った4発の魚雷が命中し、一瞬で2機の潜水艇と2機の軍艦が破壊される。映像を見たグラッドは通信で潜水艇の艦長に、
「旋回して横に回れ! 流石に奴は横にいる敵を攻撃することは出来ない! 横に来たところで攻撃しろ!それと海上にいる軍艦は直ちに撤退してその場から離れろ!」
グラッドの指示通り、潜水艇は横に旋回し、ジェノスピノに近付く。ジェノスピノに近付いた潜水艇は数発の魚雷を撃ち込む。しかし、ジェノスピノは無傷だった。潜水艇の艦長はそれを見て、
「なんて、化け物だ!」
しかし、ジェノスピノは攻撃した潜水艇に見向きもせず、そのまま真っ直ぐ海中を進み、岸壁に向かって泳いでいった。
ジェノスピノは岸壁にA-Z魚雷ランチャーを何発も撃ち込む。ジェノスピノの魚雷で岸壁に大きな穴が開く。岸壁に着いたジェノスピノは岸壁に頭をぶつけ、前足で岸壁を削っていった。映像を見たグラッドは、
「やはり、地下から進むつもりか!艦長!ジェノスピノにありったけの魚雷を撃ち込め!」
「了解しました! 全ての魚雷をジェノスピノに向けて発射しろ!」
艦長の命令と共に、残った潜水艇はありったけの魚雷をジェノスピノに向けて砲撃する。魚雷を撃ち込まれ、崩れていく岸壁。崩れる岸壁と爆水でジェノスピノの姿が見えなくなる。
やがて、岸壁の崩れは収まったが、そこにジェノスピノの姿はなかった。それを見た艦長は通信でグラッドに、
「やりました!コマンダー。我々は勝ちました!!」
艦長の言葉と共に、喜ぶ潜水艇の船員たち、それを見た
クリスはグラッドに、
「本当に倒したんでしょうか?」
「だといいのだが…。」
その時のグラッドの表情は冷めない顔をしていた。場所は変わり、旧ネオゼネバスシティの新帝国の基地にある医務室で、アーネストことレイルが寝込んでいて、その横にエマが心配そうに見つめていた。そこにユリスとカティアが入り、
「ユリスさん、カティアさん!」
「レイルの容態はどうなの?」
「医者によると、命に別状はないけど、左腕の出血が酷く、貧血を起こしていて傷もかなり酷く、治療が困難で、今は昏睡状態だけど、このまま安静にすれば大丈夫とのことです。
それと、ギルラプターも命に別状はないけど、ダメージが酷くて機能停止寸前とのことです。」
「そう…、」
「ごめんなさい!あたしがレイルを連れていかなかったせいで、レイルを傷つけてしまって!!」
「ううん、エマのせいじゃないわ。あなたはレイルを救おうと何度も努力したじゃない。それに間違いはないわ。」
「でも…、もし、レイルがこのまま目を覚まさなかったら……、」
そう言って泣き崩れるエマ、ユリスはエマの肩に優しく触れ、
「今、あなたに出来ることはレイルのそばにいてあげること、それだけでもレイルはきっと喜んでくれるはずよ。そして、私たちは皆がここに帰ってくれることを願うだけ。」
それを聞いて複雑そうな表情をするカティア、再び場所は変わり、新帝国の司令室、シーガルは兵士に、
「ギャラガー親衛隊がこちらに来るまで、後、どれぐらいだ?」
「後、8時間です!」
「同盟軍から報告は?」
「まだです!」
「くそ、ジェノスピノがワイルド大陸に移動したとはいえ、それでも我が新帝国軍の戦力はギャラガー親衛隊には敵わない!連中がこちらに来るまで、同盟軍がジェノスピノを倒してくれないと…、」
「シーガル中将!」
「なんだ?」
「旧共和国のクライブ・デルタ少将から通信が入っています!」
「繋げ!」
「旧共和国のクライブ・デルタ少将だ!」
「一体、何の用だ?」
「実はこちらの援軍をそちらに向かわせた!後、2時間程で着くだろう。ギャラガー親衛隊を倒せるという保障は難しいが、それでも精鋭部隊だ!足止めくらいは十分出来るだろう!」
「どういう風の吹き回しかな?」
「そちらの関係は良くないとはいえ、我々は同じ反ネオデスメタルの同士だ!我々はネオデスメタル帝国を倒すためにあなた方の力を借りたい!」
「ふん、まあ、いいだろう!そちらの精鋭部隊がどれ程のものか見せてやる。」
「では!」
通信を切り、シーガル中将の元にアルドリッジが現れ、
「随分、苦戦しておられるご様子ですね!」
「アルドリッジ大佐か!まあ、仕方ない。我が新帝国のためには連中を利用する必要があるからな!」
「しかし、その精鋭部隊が万が一役立たずでもこちらには最終兵器とも呼ぶべき強力な助っ人がいます!」
「ほう、お前がそこまで言うとは、で、一体誰なんだ?」
「あなたもよく知っている人物です!」
アルドリッジ大佐の横に壁越しで真帝国と同じ軍服を着た青年がいた。
ワイルド大陸にあるデスロッキーでは、上陸地点から戻ったガノンタス、スコーピア、トリケラドゴス隊も一緒に同盟軍と旧共和国軍のゾイドが周囲を警戒していた。アレックスとアッシュは、
「なあ、ホントにあのジェノスピノは生きているのか?」
「あのときの戦いを忘れたのか?あれで、死んでいたら、あのときの戦いでとっくに死んどるわ!」
横にいるケンは、
「しかし、地下からだと、正確な位置がわからないな!」
警戒する素振りを見せるゼル、ジョンとジェニファーは、
「ねぇ、もし、この戦いがあたしたちの最後だったら、あたし、あなたのことが好きって言うけど、あなたはどうするの?」
「バカな冗談はよせ!確かにお前との付き合いは長いが、そんなつもりはない!」
「もう!素直じゃないんだから!!」
少し離れたところにグラッドとクリスは、
「しかし、地下を進んだ状態で、我々の居場所がわかるんですかね?」
「帝国の技術もそうはばかにならん!おそらく、レーダーで俺たちのいる場所に向かっているんだろう。」
「そうなると、こちらが不利ですね。どこから来るのか分からない。」
「だから、こうやってそれぞれバラバラに広がってどこから出るかわかるようにしているんだ! ようするに、デッカいもぐら叩きをやるようなもんだ!」
「しかし、いくら水陸両用のジェノスピノでも地下を進むなんて…、」
「ゾイドクライシスで世界の3分の1を壊滅させた最凶のゾイドだ! ましてや、ライダーがギャラガー三世なら、旧帝国が復元させたものより、一枚、いや二枚上手だと思え!」
その時、突然、地面が揺れ、
「なんだ?地震か!」
その時、地面から回転するジェノソーザーが現れ、地面を削って移動しながら次々と同盟軍と旧共和国軍のガノンタス、スコーピア、トリケラドゴスを粉砕していく。
そして、同盟軍と旧共和国軍の合同軍を蹴散らした後、ジェノソーザーが上に上がり、更に前足が地面を掴み、地面からジェノスピノが現れた。
「ジェノスピノ、マシンブラスト解除。」
コクピットにいるギャラガー三世の言葉と共に、マシンブラストを解除するジェノスピノ、それを見て、驚愕するグラッドたち、グラッドは、ジェノスピノに魚雷が当たる寸前の場面を思いだし、
「そうか、魚雷を撃ち込まれる寸前に、マシンブラストし、そのまま回転するジェノソーザーを使って地下を掘り進んで行ったのか!! なんて野郎だ!
だが、いい気になるなよ!この前の借りは倍返しにしてやるぜ!準備はいいな?レックス!」
アオ~ン!
グラッドの言葉に応えて咆哮を上げるレックス、
「狙い撃て、レックス! 俺の魂と共に、進化 解放! エヴォブラスト-!! ファイナルガトリング!」
エヴォブラストしたレックスの巨大なガトリングがジェノスピノに向けて砲撃する。改造してパワーアップしたレックスの新たなエヴォブラスト技ファイナルガトリングを喰らって後退するジェノスピノ、同時にジェノスピノのコクピットにもかなりの衝撃が走る。その衝撃を受けたギャラガー三世は少し驚いて、
「これは…、」
更に追い討ちをかけるようにレックスはジェノスピノのすぐ近くに行き、
「今度はもっと凄いぜ! ファイナルガトリングゼロ!!」
至近距離で、ファイナルガトリングを撃ち込まれたジェノスピノは足を崩す。ジェノスピノの様子を見たギャラガー三世は不敵な笑みを浮かべ、
「まさか、ここまで強化しているとは…!」
「へ、ゼロ距離で数千発ぶちこんでやったぜ!」
それを見たクリスたちは驚愕した。
「ゼッガーでの戦いはジェノスピノに一切通用しなかったのに、まさか、ここまでとは!」
「お前ら、作戦開始だ。しばらくこいつは俺が引き受ける!」
「しかし、コマンダー!」
「もしかしたら、こいつは最後の戦いになるかもしれねぇ。だから、総司令としてお前たちは俺が守る! さあ、ついてこい! ジェノスピノ!!」
そう言って、レックスはデスロッキーの方に行く。
それを見たギャラガー三世は、
「ふん、面白い。」
ジェノスピノはレックスについていく。デスロッキーの火口にまで来るレックスとジェノスピノ、火口にはゴルドが待ち構えていた。
レックスはガトリングをジェノスピノに撃ち込み、ジェノスピノはA-Zロングキャノンを撃ち込む。それぞれ撃ち合いをして遂にジェノスピノはマグマの火口にまで追い込んだ。
それを見たグラッドはクルーガーに合図をし、
「今だ!!」
「蹴散らせ、ゴルド! 私の魂と共に、本能 解放! ワイルドブラスト-!! グランドハンマー!!」
グランドハンマーでジェノスピノの足場を破壊しようとするゴルド、しかし、その時、ジェノスピノがジャンプしてレックスの上をまたいでそのままゴルドの前に立った。
そして、ジェノスピノは真剣白羽取りをするかのように両前足でゴルドのグランドハンマーを止めた。それを見て驚くグラッドとクルーガー、ジェノスピノはそのままゴルドの首に噛みつき、ゴルドを押し倒す。ギャラガー三世は2人に、
「私をマグマまで誘い出して、その後、グランドハンマーで足場を破壊してマグマに突き落とすつもりだったろうが、残念だったな!」
しかし、ゴルドは立ち上がり、ジェノスピノにグランドハンマーを放とうとする。しかし、ジェノスピノは再びゴルドの首を喰わえ、ゴルドの首を引きちぎろうとする。レックスはジェノスピノに攻撃しようとするが、ジェノスピノの尻尾で凪ぎ払われてしまう。それを見たクリスたちは、
「皆、ワイルドブラストだ!」
「ワイルドブラスト-!!」
「スカイスラッシュ!」
「スパイダーポイズン!」
「ストーム・シザース!」
「虎振!」
「弾丸鈍破!」
「金剛旋撃衝!」
クリスたちの相棒ゾイドが一斉にワイルドブラストし、全ての攻撃がジェノスピノに直撃する。しかし、ジェノスピノは怯まず、尻尾でジャックたちを凪ぎ払い、ジャックたちに火炎放射を吐く。
ジェノスピノの火炎放射で一気に周囲が燃え尽きてしまい、火炎放射を食らったレックスたちはかなりのダメージを受けた。しかし、その隙にゴルドが再びジェノスピノにグランドハンマーを繰り出そうとするが、ジェノスピノは頭突きで体当たりし、更に尻尾で凪ぎ払う。ジェノスピノの連続攻撃で力尽きるゴルド、それを見たギャラガー三世は、
「確かに以前より強くなったが、それでも私のジェノスピノには敵わない!ゾイドクライシスで世界の3分の1を壊滅したパワーと私の腕でジェノスピノは何物にも勝る力を持ったのだ!
いくら、改造して更にパワーアップした貴様らでも私を越えることなど出来やしない。
さて、余興はこれで終わりだ。以前は運良く装備だけ破壊されただけで済んだが、今度は2度と再生出来ないよう、破壊してやる。
制御トリガー解除、ジェノスピノ! 兵器 解放! マシンブラスト-!!」
マシンブラストするジェノスピノを見たグラッドは、
「くそ、どうやらここまでか。」
「今度こそ、終わりだ! ジェノサイドクラッシャー!!」
「やめろ-!!」
その時、ウィルの言葉と共にシーザーが現れ、ジェノスピノに体当たりし、ジェノスピノはシーザーの突進で足を崩し、倒れる。シーザーの姿を見たグラッドたちは驚愕した。
「あ、あれは、シ…ーザー…なのか? しかし、あの姿は!?」
ウィルはグラッドたちに、
「遅くなってごめんなさい! 大丈夫ですか?」
グラッドはウィルに、
「それより、そのライガーはなんだ? ホントにシーザーなのか?」
「説明は後だ!とにかく、こいつは俺とウィルが引き受ける!」
ストームの言葉と共にワイルドライガーのキングも現れる。
「それにしても、ここに来るのは初めてだが、何だか懐かしいな! 俺の先祖が昔ここで戦ったからかな?
そして、あれがジェノスピノか!かつて、ゾイドクライシスっちゅう大昔の地殻変動で世界の3分の1を壊滅したゾイドは!
本音を言うと、ゾイドであるお前よりお前に乗っている何だか嫌な感じがするライダーを倒したいところだが!」
立ち上がるジェノスピノ、ジェノスピノを見て睨むキング、キングを見たギャラガー三世は、
「なんだ? 貴様は!」
「俺か? 俺はストーム・ブレダ! 世界を回るゾイドハンターにして、同盟軍の指導者だ!」
「なるほど、そのワイルドライガーといい、貴様、一世を葬ったガキの子孫か!道理で面影があると思った!」
「確かにてめぇからあのギャラガー一世に似た感じはするが、でも何かちょっと違う気もするな!何だか、それよりもっとやべぇ匂いが!!」
「御託はその辺にするんだな!貴様もここの墓場で葬られるんだからな!」
「おいおい、俺の相棒はここで一度デスレックスと戦ったんだ!こんなところで死ぬわけがないだろう!そうだよな、相棒!?」
グオォ~!!
ストームの言葉に応え、咆哮を上げるキング、
「ふん、試してみるか! ジェノサイドクラッシャー!」
シーザーとキングに向けて突進していくジェノスピノ、ジェノサイドクラッシャーを避けるシーザーとキング、ストームはウィルに、
「ウィル、パワーアップしたお前の相棒の力見せてやれ!」
「わかった! ウォォ-!!」
シーザーを見たギャラガー三世は、
「あれは、噂のライジングライガー! まさか、あの状態から復活して進化するとは!だが、それでも私には勝てん!」
シーザーに火炎放射を吐くジェノスピノ、しかし、シーザーは放熱フィンで火炎放射を防ぎ、生還する。攻撃の手を緩めずに攻撃を繰り返すジェノスピノ、しかし、シーザーは巧みに攻撃をかわしながら、ジェノスピノにA-Z機関砲を撃ち込む。それを見たグラッドは、
「スゲェ、あのジェノスピノと互角に渡り合っている。」
クリスはグラッドに、
「コマンダー! ウィルが時間を稼いでいる内に足場を!」
「ああ、そうだな! よし、皆、足場を破壊するぞ!」
「ファイナルガトリング!!」
「スカイスラッシュ!!」
「スパイダーポイズン!!」
「ストーム・シザース!!」
「虎振!!」
「弾丸鈍破!!」
「金剛旋撃衝!!」
「グランドハンマー!!」
レックスたちのワイルドブラスト技が一斉に地面を攻撃し、足場が崩れていく。足場が崩れてよろめくジェノスピノ、グラッドはウィルとストームに、
「今だ!」
ストームはウィルに、
「ようし、ウィル! 俺が先に奴に突っ込み、お前はその後に攻撃するんだ!」
「わかった!」
そう言って、先に突進するキング、
「キング! 俺たちの力、あいつに見せてやろうぜ!!」
グオォ~!!
「燃えろ、キング! 俺の魂と共に、進化 解放! エヴォブラスト-!! キングオブクローブラスト!!」
ギュオォ~!!
キングのキングオブクローブラストが直撃し、ジェノスピノの腹部の装甲に傷がつき、ジェノスピノが苦しむ。そして、その後ろからシーザーが現れ、
「いくぞ、シーザー!!」
グオォ~!!
「切り拓け、シーザー! 俺の魂と共に、進化 解放! エヴォブラスト-!!」
それを見たギャラガー三世は、
「そうはさせるか! ジェノサイドクラッシャー!!」
「ライジングバーストブレイク!!」
シーザーのライジングバーストブレイクとジェノスピノのジェノサイドクラッシャーが交わり合い、火花が散る。だが、その時、ジェノスピノのジェノソーザーに亀裂が走り、全ての刃が砕け散った。
「何!? バカなー!! ウォォー!!」
ジェノソーザーを破壊され、足がよろめくジェノスピノは遂にマグマの火口に落ちた。グラッドはウィルたちに、
「よし、皆、直ちに火山から離脱だ!」
ウィルたちがデスロッキーから離れた後、グラッドはスイッチを押し、デスロッキーが爆発する。デスロッキーは跡形もなく破壊していった。帝都メガロポリスの皇帝の宮殿の司令部にいるタッカー元帥に親衛隊兵士から通信が入った。
「タッカー元帥! ただいま、ジェノスピノがデスロッキーでライオン種と交戦し、火山の爆発を受けて消息不明との報告がありました!」
「なに!! そ、そんなバカな! く! 直ちに撤退し、帝都に引き返せ!」
「しかし、反乱軍の制圧は?」
「緊急事態だ!撤退後、宮殿で緊急会議を開く!」
タッカー元帥の命令を受けて、親衛隊のゾイドは次々と撤退していく。その映像を見たシーガル中将は、
「なんだ?一体、何が起こったのだ!」
「シーガル中将、ただいま、同盟軍がジェノスピノ討伐に成功したとの報告がありました。」
「何!そうか、我々は救われたということか!ふ、せっかく旧共和国の精鋭部隊も、お前が用意した最終兵器も無駄になったな! アルドリッジ大佐。」
「ご心配にはございません。彼はいずれ、帝都制圧に十分な働きをしてくれるでしょう!」
アルドリッジ大佐の言葉と共に、ゾイド保管室には何やら、強力な改造がされたハンターウルフらしきゾイドがいた。
デスロッキーから離れた場所に2体のギルラプタージョーカーがその様子を見ていて、2体のジョーカーには皇太子ガネスト・ギャラガーとドクターマイルスが乗っていた。双眼鏡でその様子を見たガネストは、
「あ~あ、やられちゃった。予定ではライジングになる前にあのライガーを始末するんじゃなかったの?」
「いや、それはあくまで仮の目的だ。それにあの戦いのおかげでいいデータが取れた。」
そう言ったドクターマイルスは手に持っている昆虫型のスパイゾイドを見た。場所は変わり、帝都メガロポリスの皇帝の宮殿の地下研究所にZGと呼ばれるゾイドが入ったカプセルに接続しているコードと繋がっている後ろ向きの玉座があり、そこにある人物が座っていた。
「……ジェノスピノが敗れたか…。」
To be continued
第一部終了/第二部に続く。
次回予告
ライジングライガーになったシーザーとストームのキングとの連携によって、遂にジェノスピノを倒したウィル、ジェノスピノと皇帝ギャラガー三世を倒したことにより、ウィルたち同盟軍は新帝国、旧共和国を初めの反ネオデスメタルから歓迎され、新帝国皇帝メルビル二世ことユリスから勲章も授けられ、ウィルたちは戦争の傷を癒すために招待された街で休息した。
しかし、それでも、ネオデスメタル帝国を完全に滅ぼしたわけではないため、少し不安になるウィル、新帝国は皇帝を失ったネオデスメタル帝国に総攻撃をかけようとするが、ネオデスメタル帝国では、皇太子のガネストを新たな皇帝にしようと動き始めていた。
次回、「新皇帝誕生!」
本能を呼び覚ませ、ライガー!