ゾイドワイルドエヴォリューション アフターZERO 作:オーガスト・ギャラガー
新地球暦1245年、人とゾイドの共存が進む中、ネオデスメタル帝国という強大な軍事国家が地球の8割を支配している時代、辺境の村に住むゾイド好きの少年ウィルはライジングライガーに進化した相棒のシーザーとかつてのシーザーの相棒の血を引く少女エマ、伝説のゾイドチームのリーダーの子孫であるストーム率いる同盟軍と共に、ゾイドと人々を帝国の支配からの解放と人とゾイドの共存のための戦いに身を投じていたのであった。
帝都メガロポリス、皇太子ガネストが皇帝ギャラガー四世となり、その戴冠式が終わり、帝都には四天王を初めとする各領域の総督が自軍を率いて、それぞれ反乱軍鎮圧のために出撃していた。宮殿内の司令室でタッカー元帥がその様子を見ていた。そこにベケット少佐、アーミテージ大尉、ルメイ大将、デーニッツ中将、グレッゲル准将が入った。タッカー元帥はベケット少佐たちに、
「おお、我がネオデスメタルの同士たちよ! よく来てくれた。」
それに対し、ベケット少佐は、
「ガネスト皇太子殿下が御即位なされて、我々の計画は順調に進んでいます! 後は現陛下の乗るオメガレックスと…、」
「先帝陛下がドクターに命じて復元している例のZGが完成すれば、我が帝国の戦力は更に増大し、世界の統一も直ぐそこになるだろう!」
「ところで、先帝陛下とジェノスピノの安否は?」
「今、捜索隊が捜している。発見にはかなりかかるかもしれん。だが、例え、ジェノスピノを失ってもオメガレックスがいれば、十分その溝は埋まるだろう!」
そこにルメイ大将が口を開き、
「ところで、元帥閣下! ZGとは一体どういうゾイドですか? 以前、リジェネレーションキューブを拝見した時にその話は聞かなかったんですが!」
「ああ、あれは先帝陛下が帝国建国の時から復元を実行していたもので、オメガレックス以上の機密事項だから、しばらく伏せていたのだ!」
「一体なんでしょうか、それは?」
「詳しくは言えないが、ZGはこの地球はおろか、かつて惑星Ziに存在していたどのゾイドよりも勝り、古文書によると、その力はジェノスピノやオメガレックスすらも遥かに凌駕すると言われている!」
「ジェノスピノやオメガレックスすらも……!」
「そうだ! つまり、そのゾイドが完成し、その力を得れば、我が帝国はこの地球はおろか、全宇宙すらも支配できる帝国になるのだ!!」
「そんなゾイドが……!」
「実はそのゾイドの完成にもリジェネレーションキューブを作動させる必要があってな。そこで、アッカーマン中将やその他に反乱軍の鎮圧を任せ、お前たちにリジェネレーションキューブ作動に必要な小娘の奪還を命じる! 今度こそ、先帝陛下の望んでいたことを実現させるのだ!!」
その時、ベケット少佐が口を開き、
「お言葉ですが、元帥閣下! その任務は私とアーミテージ大尉、そしてルメイ大将だけに任せてはいかがでしょうか?」
「ん? どういうつもりだ!」
「下手に軍が多すぎると、敵もそれ以上に警戒します。そこで、最低必要な軍だけ向かい、我が親衛隊とステルス仕様で形成している東方部隊なら、必ず、小娘の奪還はできるでしょう!」
「だが、この任務は最重要任務で…、」
その時、デーニッツ中将も口を開き、
「私も同感です! 最重要任務だからといって、あまり軍を出しすぎると反乱軍の鎮圧が疎かになって、隙を与えられてしまいます。」
「しかし、それだったら、貴様が行けばいいのでは? 貴様の実力を見込んで、私のディメパルサートランスを与えてやったのだぞ!!」
「ですが、私の西方領域は新帝国の派閥が多く、私が出ると、総督府がもぬけの殻になってしまい、その間に反乱軍に攻撃される危険性があるため、とても領域から出られる状態ではないのです。
ですが、ご安心を! 代わりに事前に反乱軍鎮圧のために開発したステルス仕様のディメパルサーS4とディロフォスS4をルメイ大将に与えましょう。
ちょうど、大将には、例のライガーにドライパンサーを破壊され、代わりとなるゾイドがいなかったそうですからね!」
ルメイ大将はデーニッツ中将に、
「その自信、確かなものなんだろうな?」
「ご心配を! 私のディメパルサーMk-Ⅱやトランスに比毛を取らない性能です!必ず気に入るでしょう。」
それを聞いたタッカー元帥は、
「よし、では、ベケット少佐とアーミテージ大尉、ルメイ大将は直ちに小娘の奪還を、デーニッツ中将とグレッゲル准将は反乱軍の鎮圧を任せる!!」
「は!」
旧ネオゼネバスシティの基地の司令室、シーガル中将とアルドリッジ大佐、リセルはテレビを見ていた。テレビのアナウンサーは、
「皇太子殿下の戴冠式後、帝国顧問タッカー元帥閣下は全軍に反乱軍鎮圧命令を下しました。
これにより、我が帝国軍は反乱軍鎮圧のため、全力を注ぎ…、」
シーガル中将はテレビを切り、二人に、
「これは予想外だ! まさか、第二皇子がいたとは! オマケに皇帝に即位させるとは、作戦を練り直す必要があるか。」
そこにアルドリッジ大佐が口を開き、
「ですが、今、メガロポリスを攻めないと好機は来ません! ディアス准将、お前はどう思う?」
「俺も同感です! 今、我々の鎮圧のために多数の部隊が帝都を出た。
メガロポリスを守る兵士はかなり減っているから、攻めるなら、今しかないです。」
二人にシーガル中将は、
「それはいいのだが、メルビル二世陛下はどうするのだ? 我々の留守中に攻められたら、元も子もないぞ!」
そこにアルドリッジ大佐が、
「基地の警備はシュバルツ中佐に任せて、もし何かあったらビッグウィングで避難させるよう伝えときます!」
「となると、我が新帝国のキルサイス部隊をメルビル二世陛下の護衛として多く残す必要があるな。」
「ご心配を! 我がファングタイガー改とディアス准将のハンターウルフがいればネオデスメタルなど、一捻りです!」
「よし、では、出撃する。」
モザイク都市ボスク、ウィルやストームたちもテレビを見て、クリスたちはストームとグラッドに、
「どうします? コマンダー、リーダー!」
ストームはウィルに、
「ウィル、お前なら、どうする?」
ストームの問いにウィルは、
「もちろん、出ます! もう俺は迷わない! シーザーと共にゾイドを、人々を守るために戦う!!」
それを聞いたグラッドは、
「よし、全員、旧ネオゼネバスシティに向かう!」
ウィルやストームたちが旧ネオゼネバスシティに向かう中、旧ネオゼネバスシティでは、シーガル中将がアルドリッジ大佐とリセルと共に、新帝国軍を率いてネオデスメタル帝都メガロポリスに向けて進撃した。
新帝国軍の先頭にはシーガル中将の乗るスティレイザーとアルドリッジ大佐のファングタイガー改、そして、リセルのデルだった。
デルはかつての真帝国のハンターウルフ改のような黒みがかかった色合いで、スミスが持ってきたウィルの父、デイビッドの相棒マイロのパーツを使って真帝国のハンターウルフ改を基に改造されていて、新帝国のエンブレムに加え、頭部には鎌のような物が取り付けられ、背中のレゾカウルがショットガンに取り替えられ、かつてマイロが今まで制圧したネオデスメタルのエンブレムも貼られていた。
新帝国軍が旧ネオゼネバスシティから数キロ離れたところで、突然、山々から攻撃がしてきた。それを見たシーガル中将は、
「全軍、攻撃しろ!」
新帝国のゾイドが一斉に攻撃するが、敵の姿がわからない。それを見たシーガル中将は、
「キルサイス部隊、近づいて、敵を補足し、破壊しろ!」
新帝国のキルサイス部隊が山々に近づいたその時、突然、武装した黒いディロフォスが現れ、キルサイスに襲いかかった。キルサイスはマシンブラストして迎え撃とうとするが、光学迷彩で姿を隠したキルサイスSSが現れ、キルサイスを一刀両断して破壊した。それを見たシーガル中将は、
「全軍、マシンブラストだ! 制御トリガー解除、スティレイザー、 兵器 解放! マシンブラストー!!」
「制御トリガー解除、ファングタイガー、 兵器 解放! マシンブラストー!!」
シーガル中将のスティレイザーとアルドリッジ大佐のファングタイガー改を初めとする新帝国軍のゾイドがマシンブラストし、キルサイスSSと黒いディロフォスに攻撃するが、光学迷彩で姿を隠しているため、正確に攻撃出来ず、キルサイスSSと黒いディロフォスに翻弄されてしまう。
アルドリッジ大佐は、
「くそ、これでは我が軍が圧倒的に不利だ!」
その時、リセルのデルが現れ、
「シーガル中将、ここは俺に任せてください。 行くぞ、デル! 制御トリガー解除、兵器 解放! マシンブラストー!! フルハウリングショット!!」
マシンブラストしたデルがセカンドギアの状態になって、レゾカウルの代わりに取り付けられたショットガンと共に、ハウリングシャウトをキルサイスSSと黒いディロフォスのいる周囲の山々全てを攻撃した。山々が粉々に崩れ、キルサイスSSと黒いディロフォスはそれに巻き込まれ、次々と倒れていった。それを見た新帝国の兵士は一斉に歓声を上げた。
しかし、その時、突然、目の前から、強力な高周波パルスが襲いかかってきた。デルは驚異的な跳躍力でそれを避けるが、シーガル中将のスティレイザーやアルドリッジ大佐のファングタイガー改を初めとする新帝国のゾイドはそれをもろに受けてしまう。
高周波パルスを発生させた場所にいたのは、高周波パルスのバリアを光学迷彩のように姿を隠していた黒いディメパルサーと黒いディロフォス、護衛のキルサイスSSだった。黒いディメパルサーにはルメイ大将が乗っていた。
「素晴らしい。マッドオクテットで発生した高周波パルスをバリアにするだけでなく、光学迷彩のように周囲に同化でき、更にマッドオクテットを受けたゾイドとライダーには幻影を見せる機能まで付いているとは!
ディメパルサーS4、ディロフォスS4、中々の性能だ。あの男が造ったゾイドに乗るのは少々気に食わないが、やはり、ホントに狡猾な奴だ。おかげで、ドライパンサーの代わりにちょうどいい機体だ!
しかし、あのハンターウルフはどのデータにも入っていない。新型か!? まあ、いい。どちらにせよ、我がネオデスメタルの新型に勝てるわけがない!」
ディメパルサーS4のマッドオクテットで身動きが取れない新帝国軍、リセルはシーガル中将に、
「中将、ここは私に任せてください!」
そう言うと、デルはフルハウリングショットで、光学迷彩で姿を隠したキルサイスSSを次々と破壊していく。
「今度こそ、帝国を倒す! この力で。」
デルを見たルメイ大将は、
「何て奴だ。我がキルサイス部隊がこうも苦戦されるとは! 仕方ない。アーミテージ大尉、あのハンターウルフの相手をしろ!」
「ようやくか! これで思う存分、暴れまくれるぜ!!」
デルの前にアーミテージ大尉のスティレイザーG3が現れる。スティレイザーG3を見たリセルは拳を握り、
「あのスティレイザー、親衛隊か。」
「そのハンターウルフ、中々骨がありそうじゃないか! 俺のスティレイザーの遊び相手になるぜ!!」
「今度こそ、親衛隊を潰してもらうぞ!!」
「その声、ああ、あの時のガキか! 陛下のジェノスピノの前に無様に敗北した奴だな!」
「なんだと!?」
「パワーアップしたようだが、ちょっくら、貴様のパワー試してもらうぜ。せいぜい一瞬で倒れんようにな!」
「ふざけるなー!!」
リセルは怒り狂い、デルはスティレイザーG3に向かって突進した。互いに頭をぶつける2体、スティレイザーは怯むことなくデルを弾き飛ばす。
「け、やっぱり力勝負では俺には敵わないようだな!」
「なら、これはどうだ!」
デルのソニックブースターが加速し、デルが超スピードで、スティレイザーを撹乱させる。デルの動きについていけないスティレイザー、そして、デルはセカンドギアの状態に入り、
「喰らえ! フルハウリングショット!!」
デルの兵器改造でパワーアップしたハウリングショットが全てスティレイザーG3に直撃する。攻撃を喰らったスティレイザーG3の装甲にひびが入り、後退していく。それを見たアーミテージ大尉は不気味に笑い、
「へへへ、まさか、この俺をここまで楽しませてくれるとは! いい遊び相手になりそうだぜ!」
それを聞いたリセルは険しい表情で、
「ああ、俺がお前にいい遊び場を与えてやる。地獄にな!!」
その時、スナイプテラ3SとキルサイスG4が空中を飛行してデルたちの上を通り過ぎ、旧ネオゼネバスシティに向かっていった。先頭のスナイプテラ3SはドライパンサーG3を運んでいた。それを見たリセルは、
「しまった! こいつらは囮だったのか。俺たちがこいつらとやりあっている間に都市を制圧するために!」
デルは旧ネオゼネバスシティに向かおうとするが、スティレイザーが襲いかかり、
「よそ見してんじゃねぇよ!」
「ち、」
ドライパンサーG3を運ぶスナイプテラ3S率いるスナイプテラ3S部隊とキルサイスG4が旧ネオゼネバスシティに着き、都市にはシュバルツ中佐の乗るガトリング砲が装備されたナックルコングとキルサイス、キャノンブル、バズートル隊が攻撃していた。ベケット少佐は通信で部隊の兵士に、
「では、作戦通り、私と腕利きのスナイプテラ3SとキルサイスG4は例のメルビル二世のいる基地に向かう。残りは新帝国のゾイドもろとも都市を爆撃しろ!」
「民間人がいますが、どうしますか?」
「構わん! 奴らは我がネオデスメタル帝国に歯向かった愚かな反乱者だ! 皇帝陛下に逆らった罰を与えてやる!全て破壊しつくせ!!」
「は!」
シュバルツ中佐は新帝国の兵士に、
「市民を防空壕とシェルターに避難させろ! 我々は市民の盾として敵を撃墜するのだ!」
中佐のナックルコングと新帝国軍のゾイドが一斉砲撃するが、スナイプテラ3SとキルサイスG3はそれを避け、更にスナイプテラ3Sは腹部を開き、無数の爆弾を投下し、同時にキルサイスG3もタイムボムを投下した。その爆撃は新帝国軍のゾイドはおろか、街や一般市民もお構い無しに攻撃した無差別爆撃であった。
ウー、ウー、ウー、
空襲警報が鳴り、
「非常事態発生! 非常事態発生! 市民は直ちにシェルターに避難して下さい!」
次々と逃げ回る市民たち、しかし、ネオデスメタル帝国空軍の無差別爆撃により、新帝国軍の兵士とゾイドもろとも巻き添えになってしまう。やがて、被害は基地にも広がっていた。病室でレイルを見守っていたエマは爆発による揺れで倒れてしまう。
「きゃあ!!」
「何、何が起こっているの?」
特別室にいるユリスは窓の外を見た時、それは信じられない光景だった。爆撃で破壊された街とゾイド、爆撃で死んでいった人々がゾイドと共に山になって倒れていたり、瓦礫の下になってしまった人までいた。それを見たユリスは見ていられないような表情をした。
その時、キルサイスG3が基地の周りに離陸し、コクピットから赤い装甲服を着用した親衛隊兵士が入っていった。
特別室にカティアが入り、
「メルビルさん、急いでここから離れて下さい! 私が敵を食い止めます。」
「でも…、」
「いいから、早くしてください。」
その時、5人の親衛隊兵士が現れ、銃を向けようとした時、カティアが蹴りで銃を落とし、親衛隊兵士の攻撃を避け、次々と、武器を使わず格闘戦のみで倒していった。
「早く!」
ユリスはカティアの指示に従って部屋を出て、エマの元に向かおうとするが、病室にはエマはおろかレイルの姿はなく、病室はかなり荒れていた。しかし、窓からエマの声がし、
「いや、離して! 離してください!」
窓を見たら、エマとレイルが親衛隊兵士に取り押さえられ、ドライパンサーG3の前で立っているベケット少佐の元に連れていかれていた。
「エマ、レイル!」
ユリスは急いで基地から出た。ベケット少佐は捕らえられたエマとレイルを見て、
「ようやく、捕らえられたわね。これで、皇帝陛下はお喜びになられるだろう。」
「待って!」
そこにユリスが現れ、ユリスを見たベケット少佐は、
「あら、か弱い美人皇帝のお出ましね。」
「どうして、どうしてこんなことをするんですか?」
「決まっている! 我が帝国に逆らった罰と我々の計画にその小娘が必要だからよ!
後、あんたも捕らえる予定だったから、ちょうどよかったわ。」
ベケット少佐が指を鳴らした時、ユリスも親衛隊兵士に取り押さえられた。
「いや、離して!!」
「さて、任務は達成した。さっさとずらかるわよ!」
しかし、その時、緑のラプトールのベティが現れ、
「エマたちを返しなさい!」
それを見たベケット少佐は、
「ち、貴様の相手をしている暇はない!」
ベケット少佐が指を鳴らし、8体のキルサイスG3がベティに襲いかかってきた。しかし、ベティは驚異的な跳躍力でキルサイスの攻撃を避け、足と前足、尻尾で蹴散らしていく。
キルサイスG3はマシンブラストし、ベティに襲いかかっていく。ベティはそれを避けるが、内一体の攻撃を食らい、ふらつく。状況を見たカティアはデスメタルキーを取り出し、
「ホントは使いたくないけど、仕方ないわ! 強制 解放! デスブラストー!! リッパーエッジ!」
デスブラストしたベティは更にスピードが増し、リッパーエッジで4体のキルサイスを一瞬で破壊した。それを見たベケット少佐は、
「あの小娘、強化人間と聞いていたが、これほどとは! でも、残念ね。ドクターが特別に取り付けた機能があるから、あんたも終わりよ!」
ベケット少佐は再び指を鳴らし、キルサイスに乗る親衛隊兵士は装甲服の腕に取り付けられている装置にスイッチを押し、親衛隊兵士のマスクの色が紫色に変わり、同時にキルサイスの目が紫色に変わって、超音波を発生させた。
超音波を受けたベティは苦しみ、ライダーのカティアも頭を抱えて苦しむ。
「な、何これ? あ…、頭が痛い! 痛いよ!!」
同時にエマやユリスも苦しみ、
「きゃあああ! 頭が痛い! 止めて~!!」
カティアはコクピット内で気絶し、同時にベティも倒れ、エマ、ユリスも気絶した。それを見たベケット少佐は、
「素晴らしい性能ね! まだ20%しか出していないのにこの効果とは! これは期待出来そうね。」
親衛隊兵士はベケット少佐に、
「この小娘はいかが致しましょうか?」
「ほうっておくと面倒ね! ついでにそいつも連れていきなさい! 何かの実験台に使えそうだし。」
徹底していこうとするベケット少佐と親衛隊に突然、煙の中からゾイドの影が現れる。
「シーザー! 進化 解放! エヴォブラストー!! ライジングガンスラッシュ!」
現れたのはシーザーだった。しかし、ドライパンサーG3は間一髪で避け、
「少佐!!」
「心配ない!」
ウィルはベケット少佐に、
「エマたちを返せ!!」
「それが例のライジングライダー! まさか、こんなところでお目にかかるとは思わなかったわ! その力試してもらうわ!
ドライパンサー! 兵器 解放! マシンブラストー!! ドライスラッシュ!」
攻撃するドライパンサーG3、しかし、シーザーはそれを避け、破壊されたビルの上までジャンプし、そのままビルの壁を走りながら下に降りていった。
「シーザー! いくぞ!」
それを見たベケット少佐は、
「なるほど、そういうことね!」
ドライパンサーG3はビルの壁を走りながら下に降りるシーザーに向かってビルの横を走って、シーザーの元に向かう。
「ライジングバーストブレイク!!」
「ドライスラッシュ!!」
互いにぶつかり合うシーザーとドライパンサーG3、攻撃をぶつけ、離れた瞬間、ドライパンサーG3のチタンブレードにひびが入り、割れた。それを見たベケット少佐は、
「まさか、通常のドライパンサーと違い、チタン合金で
構成された私のドライパンサーのA-Zドライブレードを破壊するとは! うあ…、」
その時、横からレックスがドライパンサーに攻撃した。
「街を爆撃した貴様の隊は俺たちがあらかた片付けた。降伏したらどうだ?」
「ふ、それはどうかしらね?」
その時、4機のキルサイスG4が飛び立ち、
「まずい! ジョン、逃がすな!」
「OK!」
ジョンのキールが現れ、糸でキルサイスの動きを封じ、キルサイスを地上に落とした。キールは足でコクピットを剥がすが、コクピットには誰もいなかった。
「誰もいない! コマンダー、無人です!」
「何! 貴様、エマたちをどこにやった!?」
「ふふ、あたしがあんたたちの相手をしている間に、もう行っちゃったわ!」
「何! 貴様の隊のスナイプテラとキルサイスの大半は倒したんだぞ!」
「だから、あんたたちの注意を剃らすよう、あたしの隊のゾイドには乗せなかったの! ここのゾイドを使ってね!」
「ここの? まさか!」
グラッドは旧ネオゼネバスシティに着く時に飛び立った4機の新帝国仕様の青いスナイプテラとギルラプターエンペラー、ベティ、ディメパルサーのレナを運んだクワーガを見たのを思い出した。
「ふふ、ようやく気づいたようね! さて、作戦は成功したわ!徹底よ!」
ドライパンサーG3はキルサイスG4に運ばれ、そのまま徹底していった。ウィルは驚愕し、
「そんな、エマが…!」
都市から離脱した新帝国仕様の青いスナイプテラには親衛隊兵士がライダーとして乗り、口内のコクピットにはエマたちが鎖で繋がれながら乗せられていた。エマは恐怖し、
「ウィル…、助けて…!」
帝都メガロポリスの宮殿の地下で報告を受けたドクターマイルスは、
「そうか、ようやくか。 ふふ、もうすぐだ。もうすぐZGが目覚める。その時こそ、我がネオデスメタル帝国による新世界が誕生する!」
ドクターマイルスの言葉と共に、巨大カプセルにいる巨大ゾイドの目が光った。
To be continued
次回予告
ベケット少佐率いる親衛隊に捕らえられたエマたちは帝都メガロポリスに連行され、エマとユリスはドクターマイルスに会い、そこでリジェネレーションキューブを目撃する。
ウィルはエマたちを助けるために帝都メガロポリスに向かうが、帝都から脱走したギルラプターエンペラーと帝国のドクターマイルスからの通信で、別の研究所に送られていたことを知る。
ウィルたちはその研究所に向かうが、帝国軍の罠にかかり、ストームやグラッドたちと離れ離れになってしまう。そこにウィルはシーザーに似た謎の黒いライガーに遭遇する。黒いライガーの正体は?
次回 「漆黒の戦士、闇のライガー」
本能を呼び覚ませ、ライガー!!