ゾイドワイルドエヴォリューション アフターZERO   作:オーガスト・ギャラガー

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ゾイド_それは優れた戦闘能力と自らの意思を持つ金属生命体である。
 新地球暦1245年、かつて、リジェネレーションキューブによる地球の再生とゾイドと絆を結んで発動するワイルドブラスト等を経て、ゾイドたちは地球の環境に馴染み、人々との共生が進んで、かつてリジェネレーションキューブを開発したドクターボーマンの望んでいた世界が実現しつつあり、世界は未来へ向かおうとしていた。しかし、旧デスメタル帝国に成り代わるネオデスメタル帝国という強大な軍事国家が世界を脅かし、各地で起こる反ネオデスメタルの派閥と交戦し、世界は再び戦乱の時代となり、ゾイドも人間もその戦争に巻き込まれていた。


第3話 「旅立ち」

 辺境の村、タルト、ギルラプターエンペラーの攻撃で傷ついたシーザーをエマが直していた。そこへ道具を持ったウィルが、  

 

 「こんな家だから、簡単な道具しかないけど。」  

 

 「大丈夫よ!幸い、それほどの傷じゃないし、それにこの子、シーザーって言うのね。すっごくあなたのこと信頼してるわ!」

  

 それを聞いたウィルは、  

 

 「シーザーを知っているの?」 

 

 「ええ、知っているわ!それに私はシーザーを助けに来たの!」  

 

 「じゃあ、あの帝国軍は?」

 

 質問を投げかけるウィルにエマは、  

 

 「そう、あれはネオデスメタル帝国、ゾイドを軍事兵器化して各地を制圧している帝国よ!今、多くの人々とゾイドがあの帝国に苦しめられているの!」  

 

 「さっき、ギルラプターに乗ったギャラガーって奴も帝国軍?」  

 

 「そうよ、帝国の皇子にして次期皇帝アーネスト・ギャラガー!」  

 

 「あいつ、お前のこと知ってたみたいだけど、知り合いなの?」 

 

 「ええ、ちょっとね‥。」

 

 答えたエマは悲しそうな目をしていた。  シーザーとギルラプターの戦いで荒廃した村を見て、  

 

 「俺のせいだ!俺がシーザーを助けたせいで村を巻き込んじまった!やっぱり、叔父さんの言う通りにシーザーを野生に返すべきだった!」

 

 落ち込むウィルに、

  

 「そんなことないわ!だってあなたがシーザーを助けなかったら、シーザーはもっと酷い目に遭ってたかもしれないし、それに野生に還したってまた帝国軍に、捕まってたかもしれないわ!」 

 

 「でも、それでも村を巻き込んでしまったことに変わりない‥。」

  

 さらに落ち込むウィルに、エマはそっとウィルの手を優しく握り、  

 

 「もう、男の子なんだから、しっかりしなさい!あなたが悩んでしまったら、シーザーも悩んでしまうわ!それにシーザーに聞いてみなさい!本当にあなたが間違っているのか!!」

 

 「君、もしかして、シーザーの言葉がわかるの?」

 

  エマは、  

 

 「何となくね!それにシーザーと会うのは初めてじゃない気がするの!まるで、大昔にも会ったような気がするの!」

  

 そう言い、シーザーの修理を終え、 

 

 「さ、もう大丈夫よ!次は村の復旧作業に行かなきゃ!」

 

 そう言い、壊れた家の復旧を手伝いに行くエマ、シーザーはウィルをじっと見つめている。何かを伝えるように見るシーザーを見て、ウィルは、

  

 「シーザー、俺はどうしたらいい?」

 

 その時、ポケットに入っていたゾイドキーが光りだし、取り出したゾイドキーとシーザーを見て、

 

 「お前、もしかして、自分と同じように苦しめられている人々とゾイドを助けたいと言っているのか?」

 

 それを聞いてうなずくシーザー、そして、ウィルは何か吹っ切れたように家に向かった。  

 

 「旅に出る?」

 

 ウィルの話を聞いて驚くリチャード、ウィルは

 

 「俺はこれ以上、村を巻き込みたくない!それにシーザーのように苦しめられている人々やゾイドがいるなら、助けてやりたい!そして、行方不明の父さんを探したいんだ!」

 

 それを聞いたリチャードは、

  

 「本当に行くつもりなのか?」

 

 それを聞いてうなずくウィル、ウィル真剣そうな目を見て、  

 

 「わかった!お前の好きにしろ!だが、その代わり、シーザーをちゃんと守るんだぞ!」

 

 それを聞いたウィルは、  

 

 「ありがとう!叔父さん!」

 

 了承を得たウィルは、家を出て、エマと一緒に村の復旧作業を手伝いに行った。  リチャードを見て、マリナは、  

 「本当にあれでいいの?」 

 

 「いいんだ!ウィルにとってはあの方がいいだろう!第一、いくら引き留めても考えを変えないだろうし、ずっと村に閉じ籠もりだったあいつに広い世界を見てやりたいし、それにあいつは兄さんに似て、無鉄砲だが、他人を気遣う優しさもある。」

 

 リチャードは安心したように言った。  村の復旧作業が終わり、夜が明けた後、ウィルはエマやシーザーと共に旅に出る準備をした。リチャードはウィルに、

  

 「いいか、外の世界は広く、そして、危険が多い!絶対、命を危険に晒すことはするな!」

 それに対し、エマは、

  

 「大丈夫です!私がちゃんと世話しますから!」

 

 それを聞いたウィルは、不機嫌そうに  

 

 「何だよ!お前は俺の姉さんじゃないんだぞ!」

  エマは、  

 

 「あなた、ゾイドのメンテナンス、あまり知らないじゃない!もし、シーザーが怪我したら、直せないわよ!それにあなたいくつなの?」

  

 「14だけど!」

 

 それを聞いたエマはクスッと笑って、  

 

 「なあんだ!私の方が一つお姉さんじゃない!」  

 

 「え、そうなの?」

 

 驚くウィル、二人を見てリチャードは、

  

 「こらこら、あまり揉めるな!とにかく二人とも気を付けるように!そして、エマ!ウィルを頼んだぞ!」  

 

 「はい!」

 

 エマの元気そうな返事を聞いて不満そうなウィル、  ウィルとエマはシーザーに乗り、リチャードとマリナ、村人達がみえなくなるまで手を振った。

  

 「「ウィル、外は広くてお前の知らないことはたくさんある!だが、中には残酷なところもあり、お前はそれに直面することになる!そしてお前の父で私の兄が行方不明になったこともいずれ知ることになるだろう!」 リチャードは手を振りながら、心の中で、これから起きることを予言するように言った。

 

 To be continued




 次回予告 
 
 タルトを出たウィルとエマはシーザーのメンテナンスを行うための道具を手に入れるために帝国の都市コルクを訪れた。そこは商売繁盛し、人々が平和に暮らしていた。  
 しかし、その裏では帝国に逆らい、囚人となった人々と老朽化したゾイドを奴隷として働かせる奴隷都市だった。  ウィルは奴隷となった人々とゾイドを助けるため、ガブリゲーターmark2を操るコルクの総督ブリューゲル大尉と戦うようになる。
 しかし、ガブリゲーターは予想以上に強く、苦戦するウィルとシーザー、
 
 次回、
 
 「奴隷都市」
 
 本能を呼び覚ませライガー!

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