ゾイドワイルドエヴォリューション アフターZERO   作:オーガスト・ギャラガー

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 ゾイド_それは優れた戦闘能力と自らの意思を持つ金属生命体である。  
 新地球暦1245年、人とゾイドの共存が進む中、ネオデスメタル帝国という強大な軍事国家が地球の8割を支配している時代、辺境の村に住むゾイド好きの少年ウィルはライジングライガーに進化した相棒のシーザーとかつてのシーザーの相棒の血を引く少女エマ、伝説のゾイドチームのリーダーの子孫であるストーム率いる同盟軍と共に、ゾイドと人々を帝国の支配からの解放と人とゾイドの共存のための戦いに身を投じていたのであった。


第30話「甦るオメガレックス」

 研究所から離れた森で、ガネストの操るギルラプタージョーカーとリセルのデルが交戦していた。デルは前足で連続攻撃をするが、ギルラプタージョーカーは全て前足で受け止め、更にデルの前足を喰わえ、そのままデルをひっくり返した。

 

 「ぐ!」

 

 「どうしたの? もっと頑張ってよ!」

 

 「ち、ならば、ソニックブースト!」

 

 デルはソニックブーストで加速し、ギルラプタージョーカーの周りを超スピードで走り回って攪乱しようとした。

 しかし、ガネストとジョーカーは全く動じず、じっと静かにした。

 

 「どうした? 大口叩いてもう勝負を諦めたのか!」

 

 デルがジョーカーの後ろから襲いかかるが、ジョーカーは待っていたかと言わんばかりに咄嗟に右後ろ足でデルの顔にぶつけ、そのまま尻尾で凪ぎ払った。

 

 「弱い、弱い。」

 

 「弱いかどうか、こいつを喰らってから言いな!! 行くぞ、デル!」

 

 リセルの言葉を聞いて心配そうな表情をするもしぶしぶ従うデル、

 

 「兵器 解放! マシンブラストー!! フルハウリングショット!」

 

 それを見たガネストはデスメタルキーを取り出し、

 

 「強制 解放! デスブラスト!! 瞬激殺!」

 

 デスブラストしたジョーカーはウィングショーテルでデルの攻撃を全て迎撃した。

 

 「ワイルドブラストしておいて、その程度?」

 

 それを見たリセルは驚愕した。

 

 「そんなバカな!! 改造したデルは真帝国のハンターウルフ改を遥かに上回り、ワイルドブラストすれば、キャノンブルやバズートルどころか、ナックルコングやスティレイザーの部隊を簡単に殲滅出来る程なのに、対して奴のギルラプタージョーカーは非武装で、パワーはエンペラーより劣る! しかもバイザーが無いとは一体どういうことだ?」

 

 驚愕するリセルの顔を見たガネストは、

 

 「あれ?もしかして、何で帝国のゾイドなのにボクのギルラプター君にバイザーが付いていないって思ってるんでしょう?」

 

 「なに!?」

 

 「バイザーなんてね。ゾイドを扱えない人間に従わせるために付けるもので、実際はお飾りみたいなものだよ!

 それに、ボクのギルラプター君はバイザーなんてつけなくてもボクの言うことをちゃあ~んと聞いてくれるから必要ないし、そもそもバイザーなんて付けたら、ボクのギルラプター君の本領が発揮出来ないからね。」

 

 それを聞いて疑問を持つリセル、

 

 「ボクのギルラプタージョーカー君はあの出来損ないの兄というか、ボクの分身のエンペラー君よりパワーは劣るけど、ゾイドの中でもずば抜けて知能が高く、一度戦ったゾイドの攻撃パターンなんて直ぐ覚えちゃう程でね! だから、キミの攻撃が全部避けられたのも、ジョーカー君がキミのウルフ君の攻撃パターンを全部覚えちゃったからね!」

 

 それを聞いたリセルはハッとし、

 

 「そうか! あの時、肉弾戦の時、奴はどこから繰り出すのか、わかっていて受け止め、ソニックブーストで攻撃した時もまるでどこから来るのか把握していたかのように攻撃していた。

 あのギルラプターは相手ゾイドと戦うことによって、その戦術を覚え、相手の弱点を見切ることが出来る程の知能を持っているというのか!?」

 

 「更に言うと、ボクとジョーカー君はあらゆる戦闘を経験している。だから、ゾイドとの戦闘には十分慣れているし、ジョーカー君はスッゴク頭が良いから、ボクに従うことが懸命だと思って、ボクの言うことは隅々まで聞いているから、正に一心同体!!

 対して、キミのウルフ君はさっきワイルドブラストした時、なんか攻撃を躊躇してたように見えたし、完全にウルフ君を従えてないんだよね。

 だから、キミ! 全然、ウルフ君の力引き出してないから弱いんだよ!!」

 

 すると、ジョーカーは直ぐ様、ウルフの目の前に現れ、後ろ足でデルを蹴り、デルは向こうに吹っ飛ばされ、木に激突してしまう。

 

 「ぐ!」

 

 「ボクを殺す気で来てよ! じゃなきゃ、楽しめないじゃん!!」

 

 「くそ、こいつ化け物だ! デルですら、歯が立たないなんて。 …それにしても…、あいつ、さっき、アーネストを兄やら分身と言っていたが、一体どういうことだ?」

 

 デルは起き上がり、

 

 「あれ? ようやくやる気になったの? じゃあ、本気で行こうか!」

 

 「その前に一つ聞くことがある!」

 

 「何?」

 

 「お前、さっき、アーネストを兄で分身と言ったが、それはどういうことだ!?」

 

 「言葉通りだよ! ボクとあいつは兄弟であり、分身でもある。 そもそも、ボクたちはギャラガー一世の生まれ変わりとしてこの世に生まれた存在だからね!」

 

 「何!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 研究所の地下室、ダークライガーのライダーがレイルだということに驚きを隠せないウィル、

 

 「何で? 何で、お前がここにいるんだ!」

 

 しかし、レイルは怒り狂った表情をし、ダークライガーがシーザーに襲いかかった。シーザーは間一髪で、それを避けるが、

 

 「待て! お前はエマの大事な人で、帝国にいちゃいけない人間なんだ! 俺とお前は戦う必要はない!」

 

 しかし、レイルは聞く耳を持たず、次々とダークライガーに攻撃してくる。

 

 「俺は、お前を倒すために生まれたんだー!!」

 

 それを見たドクターマイルスは、

 

 「ほほぅ、まだ、あのスーツは開発段階とはいえ、ちゃんと機能しているようだな! ま、記憶は消去したから、ちゃんと本来の人格にプログラムされているからな。」

 

 横で、ダークライガーを見たエマとユリスは信じられないような表情をした。エマはドクターマイルスに、

 

 「どうして? 何故、レイルを巻き込んだの!?」

 

 ドクターマイルスはため息をついたように、

 

 「なんだ。君はまだ理解していなかったのか。君がレイルと呼んでいるアーネスト・ギャラガーと現皇帝ギャラガー四世陛下は先帝ギャラガー三世陛下が私に命ぜられて私が造った旧デスメタル帝国帝王ギャラガー一世のクローンなんだよ!!」

 

 それを聞いたエマとユリスは青ざめた表情をした。

 

 「そ…、そんな…!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 研究所の外では、ストームのキングたちが防衛のバズートル、キルサイスと交戦していた。レックスが何発も研究所の壁とバズートルに向けて発泡するが、びくともせず、バズートルは中に隠れながらキングたちを砲撃してきた。

 

 「くそ、これじゃ、きりがないぜ!どうする?ストーム! 俺たちの攻撃でもあの防御を破るのは厳しいぜ!」

 

 すると、ストームは得意気に、

 

 「なあに、そんなの簡単さ! ブッ壊せばいいんだ!!」

 

 「だな! でも、どうやって?」

 

 「俺とキングが壁を攻撃する! その時、お前たちは一斉に攻撃しろ!」

 

 「了解!」

 

 「キング、やれるな?」

 

 ストームの言葉に応じてうなずくキング、

 

 「ようし、行くぞ! キング! 進化 解放! エヴォブラストー!! キングオブクローブラスト!!」

 

 ストームのキングたちが研究所の防衛網を突破しようとしている中、ウィルとシーザーはダークライガーと戦っていた。

 

 「どうしてだよ!? お前はエマの大事な人じゃなかったのか?」

 

 「黙れ! 僕は帝王ギャラガー! この世界を支配するために生まれたんだ!!」

 

 ダークライガーの追い撃ちで苦戦するシーザー、そこにギルラプターエンペラーがダークライガーに飛び掛かろうとするが、横から2体のギルラプタージョーカーが現れ、直ぐにエンペラーを取り押さえてしまう。 ダークライガーのライダーになっているレイルを見て激しく動揺しているエマとユリスにドクターマイルスは、

 

 「我がネオデスメタル帝国の前身であるデスメタル帝国の礎を築いた帝王ギャラガー様はかつて古代秘宝Zと呼ばれ、地球の半分を壊滅させた伝説の最凶ゾイド、デスレックスを従え、その絶対的な力で、ワイルド大陸のほとんどを制圧し、更にはオリジナルのデスメタルキーでデスレックスのフルパワーを引き出し、世界を支配できる勢いまで行った。

 しかし、現反乱軍の指導者の先祖で、フリーダム団の男がデスレックスと並ぶワイルドライガーを極限解放させ、デスレックスとの激しい戦闘の末、帝王ギャラガー様はデスレックスと共にデスロッキーに沈み、デスメタル帝国は壊滅した。

 しかし、その絶対的な力から、帝王ギャラガー様を崇拝する者が現れ、今の腐れ切った世界を正すためにデスメタル帝国の復活を望む者たちが現れ、現在のネオデスメタル帝国を建国させた!

 だが、肝心の帝王ギャラガー様は既に崩御され、それを従える指導者がいない中、先帝ギャラガー三世陛下が現れ、ネオデスメタル帝国の初代皇帝となられ、ネオデスメタル帝国を率い、世界を導いた!

 そして、先帝陛下はかつて帝王ギャラガー様の遺伝子を継ぐ者を王位継承者にするべく、私に命じ、私は帝王ギャラガー様の遺伝子とDNAから遂に帝王ギャラガー様のクローンを完成した!! それがアーネスト・ギャラガーなのだ!

 だが、いくらクローンといえど、必ずしも同じ人物になるとは限らない。万が一、暗殺されてしまっては困る。

 そこで、私は現皇帝ギャラガー四世陛下であるもう1人のクローンを造りだし、敢えてガネスト・ギャラガー殿下の存在を隠蔽し、アーネスト・ギャラガーを公の皇子にし、皇子としての生活を与える一方、その戦闘データをガネスト殿下に提供し、ありとあらゆる戦闘訓練をさせた。

 そして、終いにはデスレックスのDNAの移植に成功し、遂にガネスト殿下は完全な帝王ギャラガー様のコピーとして完成し、第2代皇帝ギャラガー四世陛下となられた!

 つまり、アーネストは現皇帝陛下を世界を支配するためのお方にするためのいわば、プロトタイプなんだよ!」

 

 それを聞いたエマとユリスは恐ろしいような表情をした。

 

 「ところで、君はアーネストを自分の弟のように思っていたようだが、それは間違いであり、正解でもある。

 レイル・コンラッドと言ったかな? 私はかつて、ライジングライガーのライダーであるレオ・コンラッドとサリー・ランドの血筋を引くお前に目をつけ、病死したお前の弟の遺伝子を手に入れ、更にはブリューゲル大尉が処刑したパウルス・メルビルの遺伝子をアーネストに移植させ、更により強力な戦闘データを手に入れることが出来た!  最もその影響で、帝王ギャラガー様とは程遠い甘い考えを持ってしまったが、ライジングライガーのDNAを持つダークライガーを操るライダーにすることが出来、今や、皇帝陛下の影たる存在、ダークマスターへと生まれ変わったのだ!

 さて、無駄話はここまでにして、エマ・コンラッドよ。端末を起動させてくれんかね?」

 

 震えながらもエマは、

 

 「嫌です!!」

 

 「ま、そう言うだろうと思ったよ! だが、お前が端末を起動させないなら、お前の先祖が乗っていたライガーと友人の命は保障出来ないがね!」

 

 「ダークバーストブレイク!」

 

 ダークライガーのマシンブラスト技を喰らってダウンしたシーザーはダークライガーに前足で動きを封じ込められてしまう。

 

 「く、止めろ!」

 

 ギルラプターエンペラーもシーザーを助けに行こうとするが、2体のギルラプタージョーカーに前足と後ろ足を封じ込められて出ることが出来ない。

 

 「ウィル、シーザー! もう止めてください!!」

 

 「止めて欲しいなら、端末を起動するしか道はないがね。」

 

 エマは拳を握り、決心したかのように、

 

 「わかりました! 端末を起動させます!!」

 

 それを聞いたユリスは、

 

 「駄目よ! エマ、そんなことしたら、皆死んじゃう!!」

 

 「ですが、お願いがあります! もうこれ以上、レイルを戦いに巻き込まず、ゾイドと皆を傷付けないことを約束してください!!」

 

 それを聞いたドクターマイルスは、

 

 「中々、姉弟愛に満ちた願いだな! ま、いいだろう。端末を起動したまえ!」

 

 エマは後ろにあるリジェネレーションキューブの前に立ち、ゆっくりと左手をキューブに触れた。

 

 その時、突然、キューブの色がオレンジ色に光り、キューブが動き出した。

 

 動き出したキューブの影響で、研究所の機器が異常を起こし、次々と破壊され、周囲が揺れた。研究所にいた兵士たちはあわてふためき、

 

 「異常事態発生! 異常事態発生!」

 

 かつて、ゾイドクライシス再生の再現であるかのように起動したリジェネレーションキューブを見たドクターマイルスは不敵な笑みを浮かび、 

 

 「ククク、これで、我が帝国の夢は達成される! 選ばれた優秀な人間だけが強いゾイドを従え、更なる進化のために世界を、宇宙を支配出来る程の力を!! フフフ、ハハハ、ハーハッハッハ!!」

 すると、ドクターマイルスはエマとユリスに拳銃を向け、 

 

 「さて、これで、目的は達成された! お前たちはもう用済みだ。レオ・コンラッドとサリー・ランド、そして、ハンナ・メルビルの子孫で、そのゾイド因子を受け継ぐお前たち2人が反乱軍の手に掛かると色々面倒だからな!

 

 悪いが、ここで、死んでもらうぞ!」

 

 それを見たエマとユリスは驚き、

 

 「どうして? どうして、約束を守ってくれないんですか!?」

 

 それを聞いたドクターマイルスはため息をつき、

 

 「この世界は弱肉強食! 人間もゾイドも全ての生きとし生きるものは強いものだけが生き残る世界だ! 

 だから、我がネオデスメタル帝国は選別された優秀な人間だけが強いゾイドを扱い、人類を新たな進化へと導き、世界を平和へと導く。所詮、貴様らのような弱い人間は

我が帝国の理想のための礎になるしかないのだ!

 そういや、お前の両親もお前同様に対話が大事だとか言って、ZGのことを知り、我が帝国に刃向かって処刑してしまったがな!!」

 

 それを聞いたエマは凍り付いたような表情をし、

 

 「そ…、そんな…! パパとママが…。」

 

 「さて、そろそろ、おさらばさせてもらうとするか!」

 

 その時、地下室の壁が割れ、キングとレックスが現れた。

 

 「なんだ!?」

 

 「キングオブクローブラスト!!」

 

 「ファイナルガトリング!!」

 

 キングはダークライガーに突進し、ダークライガーを向こうの壁に吹っ飛ばし、レックスはエヴォブラスト技でギルラプタージョーカーを撃ちまくった。

 

 「大丈夫か!? ウィル」

 

 「大丈夫です! ストームさん、それより、エマとユリスさんが!」

 

 ドクターマイルスのいるところを見たグラッドは、

 

 「あそこか! 行くぞ、レックス! ファイナルガトリング!!」

 

 しかし、ドクターマイルスのいる部屋の窓は割れない。

 

 「無駄だ! この窓は超強化ガラスだ! バズートルのマシンブラストでも割ることは不可能だ!

 では、エマ・コンラッド、ユリス・メルビル、今度こそ、お別れと行くぞ!」

 

 しかし、部屋の壁を突き破ってグソックとキールが現れ、コクピットからドクタースミスとジョンが現れた。

 

 「いえ~い!! 正義の天才ゾイドハンター参上!」

 

 スミスたちを見たドクターマイルスは、

 

 「何!? この壁も並みのゾイドでは破壊できないはず!」

 

 スミスは得意気に、

 

 「この万能な若造のスパイデスが一番脆い部分を見つけて、他の野生のグソックたちと協力して堀続けてここまで来たんじゃ! ストームとグラッドが上手く引き付けてくれたお陰で上手く行ったわい!」

 

 「フン、中々やるな! だが、出たところが命取りだ!」

 

 ドクターマイルスの言葉と共に、ゾイド拘束とゾイド用の麻酔銃のような銃を持った兵士が取り囲んだ。

 

 その時、ジョンが突然指を刺し、

 

 「うわあ!大変だ! 全部敵に突破された!!」

 

 それを聞いてら振り替える兵士たち、キールはすかさず、糸で兵士たちの動きを封じる。それを見たスミスは、

 

 「よし、形勢逆転じゃ! さあ、エマちゃ~ん!ユリスちゃ~ん! わしの懐へ~!!」

 

 しかし、エマとユリスはジョンのところに行き、

 

 「ちょっと狭いけど、我慢してね!」

 

 「パーカーさん、ありがとう!」

 

 それを見たスミスは号泣した顔で、

 

 「こら~!! このクモ野郎~!! 何、女2人に色気使っとるんじゃ~!! それでも男か~!!」

 

 「え~、でも、流石にレディに臭いおっさんと一緒に乗るわけには行かんだろ!?」

 

 「誰が臭いおっさんじゃ~!! この色気クモ野郎~!!」

 

 「くそ、逃がすか!」

 

 糸を自力でほどいたドクターマイルスは銃をキールとグソックに発砲するが、スミスはすかさず、グソックに乗り、ジョンもエマとユリスを乗せ、すかさずその場を出た。

 

 「ち、逃がしたか!」

 

 1人の兵士がドクターマイルスの元に行き、

 

 「ドクター! お怪我は?」

 

 「大したことはない!」

 

 「関門が完全に突破されました! ここは撤退した方が…!」

 

 「いや、その前に起動した端末と復元途中のオメガレックスにコードを接続しろ!」

 

 「しかし、今は危険です!」

 

 「構わん、やれ!!」

 

 「り、了解しました!」

 

 兵士たちが起動したリジェネレーションキューブを移動する中、地下室のドームでは、キングとダークライガー、ギルラプターエンペラーとレックスがギルラプタージョーカーと戦っていた。

 

 「ダークバーストブレイク!」

 

 「キングオブクローブラスト!」

 

 互いのワイルドブラスト技がぶつかり合うキングとダークライガー、両者はほぼ互角だった。ストームはレイルに、

 

 「確かに君は強い! だが、ゾイドとの絆を忘れてしまっては、本当の強さは引き出せない!」

 

 「黙れ! 俺は刃向かうものを全て叩き潰すだけだ!!」

 

 ギルラプタージョーカーにガトリングを撃ち込む中、グラッドは、

 

 「ウィル! シーザーはダメージが大きい! ここは俺たちに任せてお前は逃げろ!」

 

 「で、でも!」

 

 「エマとユリスを救出出来たとジョンから報告があった! だから、安心して出ろ!」

 

 「わかった!」

 

 しかし、その時、壁を突き破ってもう一体のギルラプタージョーカーが現れ、シーザーに突進し、シーザーは向こうの壁に吹っ飛ばされた。

 

 「うわあ!!」

 

 「ウィル!」

 

 もう一体のギルラプタージョーカーのコクピットに乗っていたのはガネストだった。

 

 「へぇ~! 随分楽しそうだね~。ボクも混ぜてよ!」

 

 ガネストを見たグラッドは、

 

 「あれは、例の皇帝ギャラガー四世か!?」

 

 攻撃を喰らって立ち上がろうとするシーザー、

 

 「キミがジェノスピノを倒した噂のライガー君だね。どれ程の強さか見たいけど、そんなボロボロじゃあ~、あんまり楽しめなさそうだね。

 ま、ドクターが厄介な奴だって言ってたから、悪いけど、止めを刺してもらうよ!」

 

 そう言って、ジョーカーは瞬激殺の構えを取り、シーザーに攻撃しようとする。その時、

 

 「フルハウリングショット!!」

 

 ハウリングシャウトのような攻撃が壁を破壊し、シーザーたちに襲いかかってくる。ボロボロの2体のギルラプタージョーカーは避けられず、その攻撃を喰らって直撃し、

 シーザーたちはその攻撃をなんとか避けた。現れたのはデルだった。デルを見たグラッドは、

 

 「リセル! お前、助けに来てくれたのか!?」

 

 「黙れ! 俺はあのギルラプターに用があって来ただけだ!」

 

 「またキミか! しつこいな~。そこまでボクが気に入ったということか!?」

 

 得意気に言うガネストに対し、グラッドは、

 

 「ガキのくせに、随分デカイ口叩くじゃねぇか!

 

 同盟軍の中の最強の1人でもあるこの俺とレックスも敵に回して後で後悔するなよ!」

 

 「へぇ~! それは楽しみだね~。いいよ! どうせなら、全員でかかっておいで!!」

 

 キング、レックス、デルがダークライガーとギルラプタージョーカーに対し、攻撃の態勢を取ったその時、

 

 「その必要は御座いません! 陛下。」

 

 ドクターマイルスの言葉と共に研究所が揺れ、崩れ始めた。ギルラプタージョーカーとダークライガーはすかさず、その場を立ち去り、ストームは皆に、

 

 「ここは危険だ! 早く脱出するぞ!!」

 

 キングたちは急いで研究所の外に出た。研究所が崩れる中、何かが這い上がって来た。

 

 ギュオォー!!

 

 巨大な咆哮と共に崩れた研究所からバイザーを取り付けた黒いデスレックスのような巨大ゾイドが現れた。

 

 「ジェノスピノが失った今、我が帝国の新たな戦力として起動せよ! 暗黒の破壊要塞、オメガレックス!!」

 

 ドクターマイルスの言葉と共に現れたのは、かつて、ゾイドクライシスでジェノスピノと共に猛威を振るった伝説のゾイド、オメガレックスだった。ドクターマイルスはオメガレックスの頭部に立っていた。

 

 それを見たウィルたちは驚愕した。しかし、リセルは、

 

 「ふん、あんなもの! これで、フルハウリングショット!!」

 

 デルのマシンブラスト技を諸に受けるオメガレックス、しかし、煙が晴れた後に現れたオメガレックスは全くの無傷だった。レックスもエヴォブラスト技で迎え撃つが、全く通用しない。オメガレックスの頭部に立っているドクターマイルスは、

 

 「フフフ、おろか者め! オメガレックスの力をじっくりと味わうがよい!!」

 

 ドクターマイルスは指をパチンと鳴らし、オメガレックスとコードで接続している後ろのリジェネレーションキューブが発光し、同時にオメガレックスの身体も発光し、オメガレックスは咆哮を上げた。

 

 ギュオォー!!

 

 そして、オメガレックスの横の収束シールドが前に出て、背中の荷電粒子吸入ファンが回転し、オメガレックスの口内が緑色に発光した。それを見たグラッドは、

 

 「なんか、ヤバい雰囲気だぞ! 皆、あいつから離れろ!!」

 

 シーザーたちが散り散りになってオメガレックスから離れる中、オメガレックスの口内で貯めているエネルギーが貯まり、

 

 「オメガレックス、荷電粒子砲発射!!」

 

 オメガレックスの口内から緑色の粒子ビームが放たれ、その衝撃波で、シーザーたちが吹っ飛ばされ、研究所の残骸と森が一瞬で破壊され、巨大なキノコ雲が現れ、森が一気に火の海になった。それを見たガネストは、

 

 「凄い、凄い! 一瞬で燃えちゃったよ!!」

 

 オメガレックスの頭部に立っているドクターマイルスは、

 

 「まだ不完全とはいえ、これほどの威力を出すとは!! やはり、荷電粒子砲の技術は素晴らしい! ん?」

 

 その時、オメガレックスの身体から火花が散り、口内からも炎が漏れる。それを見たドクターマイルスは、

 

 「オーバーヒートしたのか! キューブの力を使っているとはいえ、やはり、復元直後の発射は無理があったようだな!」

 

 オメガレックスの頭上に数体のクワーガとスナイプテラ3Sが現れ、

 

 「お迎えが来たか! 小娘2人を仕留め損なったが、端末の起動とオメガレックス完成という第一目標は達成した!

 後はオメガレックスの最終調整とZG完成のオーパーツを集めるだけだ。」

 

 クワーガとスナイプテラ3Sの腹部から強力なワイヤーが現れ、オメガレックスに取り付き、オメガレックスを引き上げた。ダークライガー、ギルラプタージョーカーもオメガレックスの背中に乗り、オメガレックスはそのまま帝都メガロポリスに向かって運搬された。

 シーザーたちは荷電粒子砲を喰らわなかったとはいえ、その衝撃波で、ダメージを受けてしまう。シーザーのコクピットから運搬されるオメガレックスを見たウィルは、

 

 「あ…、あれが…オメガレックス…!」

 

 To be continued




 次回予告

 ドクターマイルスの手からエマとユリスを救出することに成功したウィルたちだったが、レイルがダークライガーを操るダークマスターとなってショックを受けるエマとユリス、そこにシーガル中将率いる新帝国軍が現れ、エマとユリスを迎え入れ、ウィルたち同盟軍とは決別し、遂にリセルも新帝国軍と共に去ってしまう。
 ウィルは複雑な思いを抱く中、ストームたち同盟軍はオメガレックスに対抗するための処置を取る。
 一方、シュバルツ中佐が新帝国から離脱し、新帝国の派閥の反乱を鎮圧している南方部隊を率いる四天王のアッカーマン中将に会い、カティアも密かに帝国からの脱走を図っていた。 しかし、帝国ではオメガレックスの荷電粒子砲の最終調整が行われていた! 

 次回「それぞれの道」

 本能を呼び覚ませ、ライガー!!

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