ゾイドワイルドエヴォリューション アフターZERO 作:オーガスト・ギャラガー
新地球暦1245年、人とゾイドの共存が進む中、ネオデスメタル帝国という強大な軍事国家が地球の8割を支配している時代、辺境の村に住むゾイド好きの少年ウィルはライジングライガーに進化した相棒のシーザーとかつてのシーザーの相棒の血を引く少女エマ、伝説のゾイドチームのリーダーの子孫であるストーム率いる同盟軍と共に、ゾイドと人々を帝国の支配からの解放と人とゾイドの共存のための戦いに身を投じていたのであった。
帝都メガロポリス、デーニッツ中将は回収したゾイド因子をドクターマイルスに渡した。
「よくやった。デーニッツ中将。これでZG完成も順調に進むようになった。ところで、ダークライガーが倒されたそうだな。」
「申し訳ありません。せっかくディメパルサートランスの新たな力を使ったというのに…」
「まあ、良い。ジェノスピノの修理はもうすぐ終わる。お前は疲れを癒すためにゆっくり休め。」
「では、失礼。」
「フフフ、もうすぐだ。もうすぐ、全てを超越する最強のゾイドが誕生する!」
ダークライガーを倒したウィルたちは、ダークライガーの呪縛から解放したレイルを連れ、同盟軍基地に戻っていた。グラッドはジョンに、
「全く、お前、何てことしてくれたんだよ! もし、これでエマとユリスが死んじまったら怒られるの俺なんだぞ!」
「すみません、コマンダー。ユリスがどうしてもって言うから!」
「ま、結果オーライだったから、良かったが…」
「ところで、グラッド、俺たちが留守の間、新帝国の方はどうなったんだ?」
「ああ、さっき、ユリスとエマがシーガルとアルドリッジらを説得してしぶしぶながら、旧共和国同様に俺たちに協力してくれるとのことだそうだ!」
「ま、とにかく、敵にならずにすんだな!」
「どうだかね。今はネオデスメタル帝国を倒すために一時共同戦線を組んで、自分たちの新帝国を世界に認めさせるために俺たちを利用しているに決まっている。」
「ま、それはネオデスメタルを倒した後の問題にすればいいさ!」
「相変わらず、お前には負けるよ!ところで、例の帝国の元皇子だが、今、エマが看病していて、しばらく安静にしとけば大丈夫とのことだが、あのままにしといていいのか?」
「奴はもう帝国の人間じゃない! それにエマの隣に居させた方がいいし。」
「とりあえず、あいつは俺たちで保護するか!」
「そうそう、ウィル! ワシがパワーアップさせたシーザーはどうじゃった?」
「凄い力だったよ!まさか、シーザーがここまで強くなるなんて!」
「やはり、Eシールドに目をつけたわしの勘は間違いじゃなかったようじゃな! これでもしオメガレックスが復活しても十分対抗できる!
あ、そうじゃ! 記念にシーザーの名前変えようかの?」
「何でだよ!? シーザーの名は変えられないよ!!」
「そうじゃない。シーザーはもう生まれ変わったから、ライジングライガーのままだと変じゃろ!」
「そういうことか…じゃあ! スピリットライガーはどうかな?」
「スピリットライガーじゃと!?」
「シーザーと俺の魂はいつだって一緒だからさ!」
「なるほど、いい名前じゃ! これで今日からシーザーはスピリットライガーじゃ!!」
「ウィル!」
そこにカティアが現れ、
「君はカティア?」
「お礼言うの忘れてたわね。ありがとう。私のラプトールに名前をつけてくれて。」
「いや、俺はただゾイドが好きなだけで…」
「後、あの時、あなたをエマの誘拐犯にしてしまったのごめんなさい。」
「いいよ! そもそも君はエマのことを守ろうとしただけだもんね。」
「ありがとう。優しいのね。」
「いや、それほどでも…」
「うふふ、これからもよろしくね。ウィル!」
基地の病室ではエマがダークライガーの洗脳から解放されたレイルを看病していた。レイルの傷はほとんど治っていてエマは安心していた。
「良かった! ウィルのおかげでそこまでの怪我じゃなかったから安心したわ!」
「何故、僕を助けた?」
「何故って、あなたを助けたかったの。あなたを帝国から解放するために。」
「僕は帝国の人間だぞ!」
「確かにそうだけど、あなたは帝国に利用されていたのよ!もし、このままあの帝国にいたら、あなたは…」
「うるさい! 助けてくれなんて頼んでいない! お前は僕を家族だと言ったが、僕はお前の家族じゃない! 僕は帝王ギャラガー一世の遺伝子を持つ世界を支配する者だ!」
「確かにそうだけど、もうあなたは誰でもない、あなた自身なのよ!」
「うるさい! 出ていけ! 僕はお前なんかと一緒に居たくない!!」
「レイル…」
エマは悲しそうな表情をして部屋を出ていった。レイルネオデスメタルキーを持ち、
「もう僕はエマと一緒にはいられない。父上を慕ってネオデスメタル帝国の皇帝になるためにここまで来たのに僕はただの操り人形として利用され、もう後戻り出来ないところまで来た。僕には居場所なんてない。」
ユリスがレナやギルラプターエンペラーのメンテナンスを行う中、エマがその場に来て、
「エマ、どうしたの?」
エマは涙ぐんだ目をしてユリスに抱きついた。
ウィルやストームたちはユリスから事情を聞き、
「そうか、まだあいつは帝国の皇子としてのプライドを捨てきれないんだな。まあ、そもそも今まで敵だった俺たちを拒否するのも無理はない。」
「ストームさん、俺が説得します!」
「いや、お前が説得しても拒否するだろう。第一無理に説得したら、火に油を注ぐだけだ。」
倉庫でエマが膝を抱え込んで泣いている時、ギルラプターエンペラーがエマにそっと寄り添った。
「ありがとう。私は大丈夫よ。」
エマが励ますギルラプターエンペラーの頭を優しく撫でるところを病室から抜け出したレイルが壁越しに見てそのままその場を離れた。ギルラプターエンペラーが何かに気づいたような素振りを見せ、
「どうしたの? ギルラプター。」
司令室にバタバタと走った兵士が現れ、
「リーダー! コマンダー!」
「どうした?」
「捕虜になっているアーネスト・ギャラガーの姿がありません! オマケに倉庫にいるラプトリアの一体がいなくなっています!」
「何!? 一大事だ!直ぐに向かう。俺とスレイマーズが捜索に入る。」
「ストームさん、俺も行かせてくれませんか? あいつをダークライガーから解放したのは俺なんですから。」
「よし、いいだろう! では、ウィルも俺に付いていき…」
その時、司令室にエマも入り、
「ストームさん、私も連れて行ってください。お願いです! ギルラプターもレイルを助けたいと言っているんです! お願いします!!」
ストームは少し考え込んだ上、
「わかった。ウィル! エマをしっかり頼んだぞ!」
「待ってください! 私も連れて行ってください! 殿下とエマを守るのは私の任務ですから!」
「カティア、よし、じゃあ、ウィルとカティアはエマを守りながら、俺とスレイマーズに付いていけ!
後、スミス! 一応お前も付いていけ! 万が一親衛隊と交戦する場合のことを考えて戦闘要員は必要でからな!」
「よっしゃ、わしも張り切るぞ!」
レイルは同盟軍のラプトリアに乗り、同盟軍基地から脱走し、ギャラガー親衛隊が駐留する駐屯地に入った。警備のディロフォス、キルサイス、キャノンブル、バズートルが攻撃の態勢を取るが、レイルはラプトリアのコクピットから現れ、
「僕だ! ネオデスメタル帝国第一皇子アーネスト・ギャラガーだ!入れさせてくれ。」
警備のディロフォスやキルサイスたちがしばらく沈黙した後、駐屯地の扉が開き、ラプトリアはそのまま入り、ラプトリアは駐屯地のドームのところまで入った。しかし、周りには誰もいない。
「誰もいないのか?」
「私たちがいる!」
その時、上のゲートが開き、そこにはガラス越しでベケット少佐がいた。
「ベケット!」
「私はお前が来るのは計算済みだよ! いや、むしろ、来るのを待っていたよ!
まあ、私からの用と言ったら、あんたを処罰することだけよ!現皇帝ギャラガー四世陛下が消息不明だからといって、あんたを皇帝に即位させること等さらさらないし、第一、あんたはダークライガーを失う失態に加え、ダークマスターの名を捨てたあんたは今や帝国の反逆者よ! つまり、もうあんたに用はないわ!」
「皇帝の地位なんてどうでもいい! 僕は罪滅ぼに来たんだ!ダークマスターになってエマを、他の人も傷付けてしまった。その償いに来たんだ!!」
それを聞いたベケット少佐は笑いこけて、
「アッハッハッハッハッハ! あんたホントいいご身分ね! 我がネオデスメタル帝国の元で反乱軍と戦い、傷付けた罪を償うですって!?
アッハッハッハッハ! 罪を償うのはむしろ反乱軍の方よ! 奴等は世界の統一のために戦う我がネオデスメタル帝国に逆らい、世界を混乱させた大罪組織よ!その反乱軍に情けをかけるなんて、バッカじゃないの! アッハッハッハ!!
流石、帝王ギャラガー一世様の劣化コピーだけのことはあるわ!
いいわ! あんたの処罰は死刑に決まった!!」
ベケット少佐が指を鳴らしたと同時に前方の巨大なゲートが開き、ゲートからはアーミテージ大尉の操るスティレイザーG3が現れた。
「なんだ? てっきりギルラプターエンペラーで来たのかと思ったのに、まさかこんな雑魚のラプトリアで来るとは!
まあ、どちらにせよ、貴様を八つ裂きに出来るから楽しめそうだ。じわじわとゆっくり料理してやるぞ!」
スティレイザーG3が勢いよくラプトリアに突進するが、ラプトリアはすらりと避けた。
ラプトリアは身軽に壁を伝っていき、スティレイザーG3の攻撃を避けた。
「いくらスティレイザーでも、ラプトリアのスピードにはついていけない。それに劣化コピーと言われても僕は帝王ギャラガー一世の遺伝子を持つ者! そう簡単に負けはしない!!」
「ち、ちょこまかと!」
スティレイザーG3を翻弄するラプトリアを見たベケット少佐は、
「へぇ~、パワーではスティレイザーに敵わないから、小回りの利くラプトリアのスピードで勝負するなんてね。中々やるじゃない! でも、たかが、ラプトリアごときでどうにか出来るかしら?」
スティレイザーG3の後方に来たラプトリアは背部のコクピットに襲いかかるが、スティレイザーG3は尻尾でラプトリアを振り払う。
「ふん、いくらスピードが上だからといって、パワーが無ければ、意味がない!」
「く!」
ラプトリアが態勢を立て直す中、コクピットのレイルはデスメタルキーを取り出し、
「ラプトリア、少しの間、我慢してくれ! ラプトリア! 強制 解放! デスブラストー!!」
「ほぉ~、デスメタルキーをちゃんと持っているのか!」
「ヘキサスラッシュ!」
ラプトリアは素早いスピードでスティレイザーG3の足や身体の部分を攻撃していく。そして、スティレイザーG3の真正面に来た時、
「これで、お前は終わりだー!! ヘキサスラッ…」
しかし、スティレイザーG3はラプトリアの攻撃をエレクトフリルで止めた。
「そんな!」
「ヒャハハハハハハ! いくらデスブラストしても所詮そんな雑魚じゃ、俺のスティレイザーには全くダメージを与えることなど出来んわ!
本当の力の差を見せてやる。 スティレイザー! 兵器 解放! マシンブラストー!! プラズマウォール!」
スティレイザーG3のスタンホーンの電撃を受けてしまうラプトリアとレイル、
「ぐ…ぐあぁ~!!」
ラプトリアも一緒に苦しみ、そのままスティレイザーG3の前に倒れてしまう。苦しむレイルを見たベケット少佐は、
「あら、随分可愛らしい顔になったじゃない! 男にしておくのが勿体ないくらいね。ここにあの小娘2人もいたら最高だったのに残念ね! まあ、いいわ、あういう子はじっくり痛め付けた方が楽しいし!」
スティレイザーG3は前足でラプトリアを踏みつけ、
「ぐあ!」
「ヒャハハハハハハ! ここまでだな!小僧!」
「う…」
レイルがこれまでかと思ったその時、
「やめろー!!」
横からシーザーが現れ、スティレイザーG3に突進した。スティレイザーG3は突然の突進を喰らって足を崩し、そのまま倒れる。
「お前…」
「レイル、大丈夫か?」
「くそ、調子に乗るな~!! プラズマウォール!」
態勢を立て直したスティレイザーG3はそのままシーザーに向かって突進するが、シーザーはEシールドで防ぐ。
「何!?」
それを見たベケット少佐は、
「あれはEシールド! まさか、あれも装備しているとは! しかもこのタイミングで来たとなると、流石にアーミテージ大尉1人ではきついわね。 あたしのドライパンサーG3を出せ!急げ!!」
スティレイザーG3の攻撃を防ぐシーザーを見たレイルは、
「お前、何でここに来たんだ!? これは僕の問題だ! お前には関係ない!! それに第一僕はお前の敵なんだぞ!」
「ところがそうはいかないんだよ!」
「え?」
「敵だったのは前の戦いまでだ。今は違う! それにお前には大事な人がいるじゃねぇか!」
「大事な人?」
そこにギルラプターエンペラーが現れ、そのコクピットにはエマが乗っていた。
「エマ! どうしてお前が?」
「あなたを助けに来たの!」
「僕を?」
「あなたを死なせたくない!ギルラプターもそう望んでいるのよ!」
「ギルラプター…お前、」
「くたばりぞこないの小僧が~!!」
スティレイザーG3がレイルとギルラプターエンペラーに向かって突進する中、シーザーが咄嗟にEシールドを展開し、その攻撃を防ぐ。
「俺の大事な仲間のレイルには指一本触れさせないぜ!」
ウィルの言葉を聞いたレイルは、
「仲間?」
「貴様~!!」
スティレイザーG3の攻撃をEシールドで防ぐ中、ゲートからドライパンサーG3も現れ、
「そのライガー、少々厄介だから、始末させてもらうよ!
ドライパンサー! 兵器 解放! マシンブラストー!! ドライスラッシュ!」
「キングオブクローブラスト!」
その時、横からキングが現れ、ドライパンサーG3を攻撃してきた。
「ちぃ、また厄介なライガーの登場かい! しかし、この親衛隊が駐留する駐屯地に侵入するなんて!抜け口はないはずなのに!?」
「抜け口がないからこそ、そのまま正面突破したのさ! それもあんたらで言う親衛隊みたいにこちらにも強力な精鋭部隊でな!」
映像にはスレイマーズのゾイドとスミスのグソック、ケンのゼルとアレックスのウィーリィー、アッシュのバンプ、そして、カティアのベティが親衛隊のゾイドと奮闘していた。
「なるほど、裏ルートで侵入することが無理だから、最強部隊でそのまま力押しで行ったわけね。
まあ、いいわ!あんたもあのライガー同様、始末しなければならない対象だから、この場で切り刻んで上げるわ!」
「やれるもんなら、やってみやがれ!」
キングとドライパンサーG3が戦い、スティレイザーG3が戦う姿を見たレイルは、
「僕は、僕は…」
その時、複数のディロフォスG3とキルサイスG4が現れ、レイルやギルラプターエンペラーに撃ちかかってくる。
「危ない!」
レイルは咄嗟にコクピットの中に入り、エマの前方に座り、ギルラプターエンペラーは抱えるように攻撃を防いだ。
「大丈夫? エマ。」
「ありがとう。大丈夫よ! レイル、やっぱりあなた優しいのね。 さっきは私に冷たいことを言ってたけど、本当は私とギルラプターを巻き込みたくないと思って。」
それを聞いたレイルは赤面し、
「な、何言ってんだよ!」
「私の本当の弟も私のためを思ってよく嘘をついたこともあったけど、でもその優しさはあなた自身のもの。 あなたは自分で全てを背負うことはないの。」
「エマ…」
「私、あなたに会えて本当に良かった!」
ギルラプターエンペラーもレイルを見つめた。その時、ディロフォスG3とキルサイスG4が襲いかかる中、レイルはギルラプターに指示を与え、ディロフォスG3とキルサイスG4を蹴散らした。
「僕はこれ以上罪を背負いたくない!」
グアァ~!!
ギルラプターエンペラーが突然咆哮を上げ、同時にコクピットの中が発光し、装置が開き、中からゾイドキーが現れた。
「これは、ゾイドキー?」
「ギルラプターも私と同じ気持ちよ!ギルラプターも過去に過ちを犯したから、あなたにも同じ罪を犯させたくないと思ってずっとあなたのことを大事に思ってたのよ!
だから、お願い、レイル…」
ゾイドキーを手に少し考え込んだレイルは、
「エマ、何処か安全なところにいてくれないか。ここからは僕がやるよ!」
「うん!」
エマはギルラプターエンペラーのコクピットから降り、安全なところに行った。
「行くぞ、ギルラプター!!」
グアァ~!!
「切り刻め、ギルラプター! 俺の魂と共に、本能 解放! ワイルドブラストー!! 真・瞬激殺!」
ワイルドブラストしたギルラプターエンペラーは次々と残りのディロフォスを倒し、更にそのままスティレイザーG3に向かって突進し、ぶつかった。
「うお、」
壁にまでぶっ飛ばされるスティレイザーG3、
「レイル、お前もしかして!」
「僕も自分の戦いをする!」
「け、意味わかってやってんだろうな!? このクソガキが! これでてめえは完全な帝国の反逆者だぜ!」
「もう僕は誰にも縛られない! 僕は僕の道を行く! ギルラプターと共に!」
「クソガキがー!!」
怒り狂ったアーミテージ大尉はスティレイザーG3のA-Z2連対空砲とA-Zショートレーザーガンを向けるが、ギルラプターエンペラーは音速のスピードを出し、ウィングショーテルでA-Z2連対空砲とA-Zショートレーザーガンを真っ二つに切り刻んだ。
「何!?」
更にギルラプターエンペラーはそのスピードでスティレイザーG3の身体に攻撃し、スティレイザーG3のアーマーに傷がついていく。
「ち、ちょこまかと!」
そして、目についた時には既にギルラプターエンペラーが真正面に来、ギルラプターの突進でスティレイザーG3は足を崩す。
「今だ、ウィル!」
「ようし、行くぞ、シーザー! 切り拓け、シーザー! 俺の魂と共に、進化 解放! エヴォブラストー!! スピリットガンスラッシュ!」
シーザーのA-Z機関砲に代わる強力なグレネードランチャーがスティレイザーG3のエレクトフリルに撃ち込み、エレクトフリルが破壊され、半分ボーン形態が剥き出しになるスティレイザーG3。
「ぐ、グワァァ~…ァァ」
「これで最後だ! スピリットバーストブレイク!!」
シーザーのタテガミブレードがスティレイザーG3の身体を貫いた。シーザーは貫いたスティレイザーG3から離れ、シーザーの攻撃で穴が開き、全身に火花が散るスティレイザーG3、
「うぐぐ、まさか、この俺が…こんかガキ共にやられるなんて何故だー!!」
アーミテージ大尉の苦痛な叫び声と共にスティレイザーG3は遂に爆発炎上した。キングに苦戦を強いられているドライパンサーG3のベケット少佐は、
「そんな…我が親衛隊の中でもトップクラスのスティレイザーを! ち、全軍! 一時撤退!!」
スティレイザーG3が敗れ、戦況が悪くなったベケット少佐は他の親衛隊と共に駐屯地を捨てて撤退して行った。
レイルはギルラプターエンペラーから降りた時、エマが彼の元に行き、レイルを抱きしめた。
「お帰り、レイル。」
「ただいま。」
「じゃ、わしもそこに混ぜてくれ!」
スミスが2人の元に行こうとする中、ストームが、
ポカン!
「お前は行くな!」
アレックスやスレイマーズがそれをゲラゲラ笑ったりして盛り上がる中、ウィルとカティアは
「これで良かったんだ! もうあいつは敵じゃない。」
「私もあなたとはもう敵じゃない。帝国と戦ってお父さんと友人を救いたい!」
南極では、グレッゲル准将率いる部隊がオメガレックスの捜索に当たっていた。南極のブリザードで前が見えない中、地面に空いた穴に何か黒いものが見えた。
「全軍止まれ!」
その黒いものはオメガレックスの荷電粒子吸入ファンだった。
「遂に見つけた! キャタルガ、ディロフォス、キルサイス隊、直ちに回収作業に入れ!」
しかし、その時、突然オメガレックスの荷電粒子吸入ファンが緑色に発光し、その熱で氷が溶け、荷電粒子吸入ファンが作動した。
それを見て下がるグレッゲル准将の部隊、その時、周囲の氷が溶解し、溶けた氷から緑の荷電粒子ビームが放たれた。放たれた荷電粒子ビームは天高く舞い上がり、空が緑色に染まった。
荷電粒子砲で南極大陸の3分の1が一気に溶け、巨大な穴が出来、その中から巨大な前足が氷を掴み、氷からオメガレックスが現れた。
オメガレックスは身体に付いている雪を払い、コクピットのガネストは何事もなかったかのような表情をしていて、
「ふ~、やれやれ、やっと出られたよ! さて、リベンジといこうか!」
そして、帝都メガロポリスの宮殿ではジェノスピノの修理が完了し、
「フフフ、これで灼熱の破壊龍の復活だ! さあ、アーネストの代わりを受け継ぐ新たなダークマスターよ! その怒りをジェノスピノにぶつけろ!!」
ドクターマイルスが命じた男はなんとリセルだった。
To be continued
次回予告
レイルがギルラプターエンペラーと絆を結び、ウィルのシーザーとのダブルワイルドブラストによってアーミテージ大尉のスティレイザーG3を倒し、晴れてウィルたちの仲間になり、新帝国のシーガル中将とアルドッジ大佐もユリスとエマの必死の説得でしぶしぶながらもウィルたち同盟軍に協力することになった。
しかし、喜んだのも束の間、南極で永久に眠らせるように封じたはずのオメガレックスが荷電粒子砲で南極の海を自力で脱出し、更に帝都ではジェノスピノの修理が完了し、ギャラガー四世ことガネストは反乱軍の全滅のために復活したジェノスピノと共に出撃する。
復活したジェノスピノとオメガレックスの二大破壊龍という最悪のコンビが誕生し、各地の同盟軍と新帝国、旧共和国の合同軍は次々と壊滅させるが、ジェノスピノのライダーが洗脳されたリセルが乗っていたということを知ったレイルを自分同様に洗脳されたリセルを解放しに出撃する。
しかし、一度倒したとはいえ、相手は伝説の破壊龍、しかもオメガレックスもいる状況でウィルとレイルはどう立ち向かうのか?
次回「復活、二大破壊龍」
本能を呼び覚ませ、ライガー!!