ゾイドワイルドエヴォリューション アフターZERO   作:オーガスト・ギャラガー

40 / 55
 ゾイド_それは優れた戦闘能力と自らの意思を持つ金属生命体である。  
 新地球暦1245年、人とゾイドの共存が進む中、ネオデスメタル帝国という強大な軍事国家が地球の8割を支配している時代、辺境の村に住むゾイド好きの少年ウィルはライジングライガーに進化した相棒のシーザーとかつてのシーザーの相棒の血を引く少女エマ、伝説のゾイドチームのリーダーの子孫であるストーム率いる同盟軍と共に、ゾイドと人々を帝国の支配からの解放と人とゾイドの共存のための戦いに身を投じていたのであった。


第40話「狙い撃て、ゴルド」

 旧ネオヘリックシティから少し離れて開けた場所で、シーザー、キング、レックス、ベティ、ギルラプターエンペラー、レックスがジェノスピノ、オメガレックスと対峙する中、、グラビティキャノンを装備したゴルドがジャック、キール、ウィーリィー、バンプ、クーデリアと共に現れた。

 

 「へぇ~、ここに移動させたのはあれのためだったのか。面白い。ちょうどあういうのと戦いたかったんだよね。」

 

 オメガレックスはゴルドたちに荷電粒子砲を放とうとするが、そうはさせまいとキングが突っ込み、オメガレックスは荷電粒子砲を撃つのを止め、キングと対峙した。

 

 「おいおい、お前の相手は俺のはずだろ! 帝王ギャラガーさんよ。」 

 

 「ふん、まあ、いいや! まずキミから片付けてやる。」

 

 その時、ギルラプターエンペラーもキングの横に来て、

 

 「ストームさん、僕も戦います!」

 

 「いいぜ、だが、油断するなよ! 相手はメッチャ強いぜ。」

 

 ジェノスピノと対峙しているシーザーにはレックスが現れ、

 

 「グラッド!」

 

 「おぅ、ウィル! 今回も俺と付き合って貰うぜ。リセルを救うためにな!」

 

 「うん!」

 

 そして、ゴルドと共に現れた他の同盟軍のメンバーもシーザー、レックスにはジャック、クーデリア、バンプ、

 キング、ギルラプターエンペラーにはウィーリィー、キール、ベティがそれぞれ降り立った。

 

 「ウィル、俺が、私たちがついているぜ!」

 

 「皆!」

 

 その様子を見たガネストは、

 

 「ふぅ~ん、全員集合というわけか、一気にけりをつけてやる!」

 

 「来るぞ!」

 

 「オメガレックス、ファイヤー!!」

 

 オメガレックスはキングとギルラプターエンペラーに向けて荷電粒子砲を放とうとする。しかし、ウィーリィーがオメガレックスの足元に周り、頭突きを喰らわせようとする。

 

 「殿下には指一本触れさせないぜ! 喰らえ、弾丸鈍感破!!」

 

 しかし、オメガレックスはすかさず、足でウィーリィーの動きを止める。

 

 「何!?」

 

 「キミから先に始末してあげようか?」

 

 「止めろー!!」

 

 ギルラプターエンペラーがオメガレックスに向かって走り、オメガレックスは尻尾で凪ぎ払おうとするが、ギルラプターエンペラーは瞬時に避け、ウィーリィーを押さえつけている足を攻撃した。

 

 「真・音速殺!」

 

 その攻撃でオメガレックスは足をずらし、ウィーリィーもその場に離れる。

 

 「ありがとうございます。殿下!」

 

 「いいよ。」

 

 「いいね、今日は最高の日だ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  シーザーたちにジェノソーザーを振り回すジェノスピノに向かって、グラッドは、

 

 「リセル、俺たちはお前を救いに来たんだ。いい加減に目を覚ませ!」

 

 リセルは怒り狂った表情をし、

 

 「ふん、俺を救うだと? ふざけるな! そもそも父さん、母さんが殺された原因は俺が弱かったからだ!

 だから、俺はお前たちと行動を共にしたが、結局お前たちも弱かった。

 だが、それ以上に、ウィル!シーザー!貴様らだけは許さない!この俺より強くなりやがって絶対に許さない。」

 

 それを聞いたグラッドは、

 

 「どうやら、あいつは少し痛めつけてからでないと聞く耳を持たないようだ。行くぞ、ウィル!」

 

 「はい!」

 

 「喰らえ、ジェノサイドクラッシャー!!」

 

 シーザーとレックスはそれを避け、ジェノスピノは攻撃の手を緩めず、再びジェノソーザーを当てようとするが、ジャックとクーデリアがワイヤーでジェノソーザーを巻き付ける。

 

 「感情的にならないの。そんなやり方で戦ったら隙だらけよ!」

 

 「く、生意気な!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 キングたちがオメガレックスの攻撃を避ける中、オメガレックスは荷電粒子砲を撃つ態勢を取るが、ギルラプターエンペラーが瞬時にオメガレックスの背後に回り、荷電粒子吸入ファンを防ぎ、更にキールがクモの糸でオメガレックスの口と足を防ぐ。  

 

 「今だ、クルーガー!」  

 

 ゴルドはオメガレックスに向けてグラビティキャノン狙いの照準を合わせる。  

 

 「グラビティキャノン発射!!」  

 

 強烈な衝撃波と共にグラビティキャノンがオメガレックスに向けて放たれた。  

 

 「なるほど、ボクの動きを封じ込めて狙い撃つ作戦か…だが! ボクには効かないよ。」

 

 オメガレックスは自力で糸を全てほどき、そのままグラビティキャノンの弾に向かって荷電粒子砲を放った。

 「オメガレックス、ファイヤー!!」  

 

 ゴルドが放ったグラビティキャノンの1発が荷電粒子砲で迎撃され、物凄い衝撃波が飛び、シーザーたちが吹っ飛ばされた。 

 

 「残念だったね! ボクのオメガレックスは更に改良され、荷電粒子砲のチャージ時間は大幅に短縮された上に耐久性も更に上がっているんだよ。

 ま、所詮、最強の兵器でも当たらなきゃ意味ないけどね!」

 

 「くそ、なんて奴だ!」

 

 「諦めるな、レイル! まだ、チャンスはある!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ジャックとクーデリアのワイヤーでジェノスピノはジェノソーザーを封じ込められ、

 

 「今だ、ウィル! やれ!」

 

 「わかった。行くぞ、シーザー! スピリットガンスラッシュ!!」

 

 シーザーはスピリットガンスラッシュをジェノスピノに放つ。それを喰らってよろめくジェノスピノ、

 

 「今だ! スピリットバーストブレイク!!」

 

 しかし、ジェノスピノは両前足でシーザーのタテガミクローを掴む。

 

 「2度もジェノスピノに同じ攻撃が通用するか!!」

 

 「確かにそうだけど、それも計算の内だよ!ユリス、今だ!」

 

 ウィルが叫びと同時にユリスのレナが現れ、

 

 「レナ、マッドオクテット!!」

 

 レナのマッドオクテットが放たれ、リセルは苦しみだし、ジェノスピノはシーザーを放す。

 

 「リセル、目を覚まして!」

 

 「ようし、いいぞ! これでリセルが正気に…」

 

 しかし、他の山脈から別のマッドオクテットが放たれ、リセルとジェノスピノは再び戻ってしまう。マッドオクテットを放ったのはディメパルサートランスだった。それを見たガネストは、

 

 「ハハハ、残念だったね! ディメパルサートランスもドクターが更に改良したから、その青いディメパルサーのマッドオクテットはもう通用しない。

 つまり、ジェノスピノはボクのオメガレックス同様、正真正銘、帝国のゾイドさ! これでボクたちを止められる者は存在しない!」

 

 オメガレックスは再びゴルドに向けて荷電粒子砲を撃つ態勢を取る。

 

 「させるかー!!」

 

 ギルラプターエンペラーはオメガレックスにしがみつき、荷電粒子砲を撃つのを阻止しようとするが、

 

 「それで防いだつもりかい?」

 

 オメガレックスはA-Z3連誘導ミサイルを放ち、対地対空

両用速射砲を撃ち込み、全てゴルドに直撃した。

 

 「しまった!」

 

 しかし、ゴルドは無傷だった。それを見たストームは、

 

 「流石、ゴルドにグラビティキャノンを装備させるクルーガーの考えに間違いはなかったな!」

 

 「ふぅ~ん、噂通りの頑丈さだね! でも、これならどうかな?」

 

 再びオメガレックスは荷電粒子砲を撃つ態勢を取り、

 

 「させるかよ!」

 

 キングは再びオメガレックスの動きを封じた。

 

 「俺たちも行くぞ!」

 

 キール、ウィーリィー、ベティも同時にかかるが、

 

 「隙だらけ、だよ?」

 

 オメガレックスは尻尾でキール、ウィーリィー、ベティを蹴散らしてしまう。

 

 「ジョン、アレックス、カティア!」

 

 キールたちは一瞬でダウンしてしまった。

 

 「嘘でしょ…。もうオワリ!! もっと楽しもうよ。じゃないと直ぐにボクが皆殺しちゃうよ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 ジェノスピノも自力でワイヤーを外し、ジェノソーザーをシーザーに向ける。シーザーはEシールドで防ぐが、ジェノスピノはそのまま、頭部のバルカンを撃ちながらシーザーを押し潰すようにいった。

 シーザーはそれに耐えるが、シーザーの身体がだんだん地面に盛り込んでいった。

 

 「ウィル、シーザー! 今、行くぞ!」

 

 レックス、ジャック、クーデリア、バンプがシーザーを助けにジェノスピノに攻撃しようとするが、ジェノスピノはジャックやクーデリアにA-Z高熱火炎放射を放ち、レックス、バンプにはA-Zロングキャノンを放ち、レックスたちは中々攻撃出来ないでいた。

 それでもレックスはガトリングを放ち、バンプはジェノスピノの足に金剛旋撃衝を当てるが、ジェノスピノはびくともしない。シーザーはジェノスピノの猛攻に耐えるもジェノスピノは更に力を入れる。

 

 「消えろ、消えろ、消えろー!!」

 

 「り、リセル、お前、本当にネオデスメタルの人間になってしまったのか!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 オメガレックスは動きを封じ込めるキングを喰らい、そのまま噛み砕こうとし、キングは前足でオメガレックスの口を持つが、オメガレックスはそのまま力を入れる。

 

 「さて、どこまで耐えられるかな~?」

 

 「ち!」

 

 キングは口から脱出するが、背を向けたオメガレックスに尻尾で凪ぎ払われてしまう。

 

 「止めろー!!」

 

 ギルラプターエンペラーはオメガレックスに突進しようとし、

 

 「よせ、レイル! 闇雲に行くな!」

 

 「真・音速殺!!」

 

 しかし、オメガレックスは前足でギルラプターエンペラーを掴み、叩きつけてしまう。

 

 「キミとギルラプターなんか、ボクの前ではポンコツ同然だよ!」

 

 苦しむレイルとギルラプターエンペラーを見たエマとユリスは叫び、

 

 「レイル!」

 

 「さて、キミとはもうお別れだ。これでフィニッシュだ!」

 

 オメガレックスはギルラプターエンペラーに荷電粒子砲の照準を合わせた。

 

 「レイル! エマ、そこで待ってて!」

 

 「ユリスさん、一体何を?」

 

 レナはオメガレックスの元に走って行き、

 

 「じゃ、バイバイ。オメガレックス、ファイ…」

 

 「止めてー!!」

 

 レナはオメガレックスにぶつけ、オメガレックスはその衝撃でよろめく。

 

 「お前は目障りなんだよ!!」

 

 オメガレックスは突進したレナを前足で捕らえ、そのまま下に叩きつけた。

 

 「キャアァー!!」

 

 「姉さん!」

 

 「そんなに死にたいなら、キミから消して上げようか? オメガレックス、ファイ…」

 

 オメガレックスが荷電粒子砲の照準をギルラプターエンペラーやレナに向けたその時、レナにも攻撃しようとしたオメガレックスを見たリセルは突然、脳内にかつて帝国軍の捕虜にされたとき、ユリスの兄、パウルスに助けてくれた時とその時に姉のように優しく接してくれた少女時代のユリスを思い出した。

 

 「ユリス、危ない!!」 

 

 ジェノスピノはオメガレックスにしがみつき、オメガレックスは身動きが取れない状態になった。

 

 「な、なんの真似だ!?」

 

 オメガレックスは荷電粒子砲を撃とうとするが、ジェノスピノはジェノソーザーでオメガレックスを攻撃し、オメガレックスの荷電粒子砲発射を阻止する。

 オメガレックスは自力で荷電粒子砲を放つが、照準が合わず、シーザーたちの方ではなく、逆にベケット少佐率いる親衛隊とデーニッツ中将率いる帝国連合軍の方に撃ってしまう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 旧ネオヘリックシティでは、スレイマーズたちは途中で加わった同盟軍と新帝国、旧共和国の合同軍と共に帝国連合軍と互角に渡りあっていた。

 荷電粒子砲に気付いたスミスたちスレイマーズとデーニッツ中将、ベケット少佐は急いでその場を離れるが、スレイマーズたちに加わった新帝国、旧共和国派、同盟軍の合同軍、帝国連合軍のゾイド共に避けきれず、オメガレックスの荷電粒子砲が直撃し、両軍とも消滅した。

 ドクターマイルスが遠隔操作しているディメパルサートランスはマッドオクテットを通じてリセルの洗脳を強化しようとするが、リセルはそれに逆らう。

 

 「駄目だ!ウィルとシーザーを倒すのは俺の役目だが、ユリスを傷つけることは出来ない。 そして、ユリスを傷つける奴はもっと許せない!」

 

 ゴルドはジェノスピノとオメガレックスにグラビティキャノンを撃つ態勢を取るが、クルーガーはジェノスピノに乗っているリセルにも危害が及ぶと思い、撃つのを躊躇している。

 

 「これなら、十分オメガレックスを狙い撃ちに出来るが、作戦ではリセルを正気に戻し、ジェノスピノまで撃たないようにするためだったが、これでは…」

 

 しかし、コクピットのリセルはクルーガーに向かって、

 

 「撃てー!! こいつを倒してくれー!!」

 

 ウィルたちがゴルドを見る中、

 

 「クルーガー!」

 

 暫く戸惑ったクルーガーは遂にグラビティキャノンのスイッチを入れた。

 

 「し、仕方ない。 リセル、許せ!」

 

 ゴルドのグラビティキャノンが放たれ、その弾が遂にジェノスピノとオメガレックスに直撃した。

 帝都メガロポリスの宮殿でタッカー元帥とドクターマイルスがディメパルサートランスの映像を通してその様子を見ていて、

 

 「バカな! 陛下の操るオメガレックスが負ける…だと!」

 

 「(ち、やはり、あの小娘2人はあの時始末するべきだったか、まあ、いい。

 あの2体は十分に時間を稼いだ! 後はZG完成の準備を整えるだけだ。)」

 

 ドクターマイルスは静かに司令室から出た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 グラビティキャノンを喰らった2体は思うように動けず、重力に押し潰されていく。しかし、オメガレックスは尚もジェノスピノの拘束及びグラビティキャノンの重力に逆らい、シーザーたちに向けて荷電粒子砲を放とうとする。

 

 「んぐぐ…まだだ、まだ、ボクは負けていない!」

 

 それを見たグラッドは、

 

 「何て奴だ、あの状態でも荷電粒子砲を撃とうとするなんて!」

 

 ジェノスピノもグラビティキャノンの重力に逆らいながらオメガレックスを取り押さえるが、オメガレックスは荷電粒子砲を放つ態勢を取る。

 オメガレックスは微弱ながら、荷電粒子砲を放った。しかし、グラビティキャノンの重力の影響で狙いが定まらず、ゴルドには当たらず、近くの山に直撃し、山脈に大きな穴が開いた。

 ジェノスピノ、オメガレックスはそのままグラビティキャノンの重力に押し潰されていった。そして、ジェノスピノ、オメガレックスのそれぞれの片目のバイザーが破壊され、遂に2体は倒れ、沈黙した。コクピットのキャノピーにはひびが入ったが、破壊は免れ、乗っていたリセルとガネストはそのまま気絶した。ストームとグラッドたちは、喜び、

 

 「勝った! 俺たちは勝ったぞ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 旧ネオヘリックシティでスレイマーズと同盟軍と戦っているベケット少佐とデーニッツ中将のコクピットから兵士の通信が入り、

 

 「ベケット少佐、デーニッツ中将! たった今、ジェノスピノとオメガレックスが沈黙しました!!」

 

 「何!? そんな、まさか…陛下が負けた…」

 

 その時、突然、霧が現れた。

 

 「ん? なんだ! この霧は?」

 

 「り、リーダー! なんかヤバい雰囲気じゃないですか!これ、」

 

 「この霧は、あのときの!」

 

 霧はそのまま旧ネオヘリックシティを包み込み、そのまま広がっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 旧ネオヘリックシティから離れた場所では、グラッドたちが回収作業に入り、

 

 「よし、ジェノスピノとオメガレックスを再び帝国軍の手に渡らないよう回収するぞ! 後、リセルも助けなきゃな。」

 

 グラッドたちがジェノスピノ、オメガレックスを回収しようとしたその時、突然、霧が現れた。

 

 「この霧は、あの時と同じだ! エマを助けに行った時、森に突然現れたあの霧と…」

 

 グルル…

 

 突然、シーザーが威嚇する。

 

 「どうした? シーザー。 あ!」

 

 目の前を見た時、グラビティキャノンを喰らって倒れ込んだジェノスピノとオメガレックスがあっという間に霧に飲み込まれた。

 と同時に霧からいくつもの赤い目が光った。霧でその全貌は見えなかったが、巨大なゾウのような姿をしていた。シーザーは激しく警戒していた。

 

 「エマを助けに行った時に霧の中で現れたあのゾイドと同じだ!」

 

 その時、巨大なゾウ型ゾイドの集団の前方にいたゾウ型ゾイドから声がした。声の主はドクターマイルスだった。

 

 「反乱軍の諸君、まさか、グラビティキャノンを手に入れ、ジェノスピノ、オメガレックスを同時に倒すとは、全く予想外だったよ!

 だが、この2体は所詮前座に過ぎん! まもなくZGが復活し、、かつての帝王ギャラガー一世陛下が所有していたデスレックスも真の姿になる。

 最強のゾイド同士を合わせれば、ZGは何者にも勝る究極無比にして真の最強ゾイドとなる。

 そうなれば、この地球はおろか全宇宙に存在するどの生命体でも勝つことは出来ない。反乱軍よ! 忠告しておこう。

 今のうちに我がネオデスメタル帝国に降伏せよ! さもなくば、貴様らは滅びの道を歩むだけだ。」

 

 「誰がお前たちなんかに! 俺たちは絶対に降伏しないぞ!」

 

 その時、取り巻きのゾウ型ゾイドが突然長い鼻で爆弾のようなものを投げつけた。

 

 「不味い、避けろ!」

 

 シーザーたちは何とか避けるが、周囲は一気に火の海になった。ドクターマイルスの声がするゾウ型ゾイドだけは爆弾ではなく、背中からレーザーのようなものを発射した。シーザーは間一髪で避けるが、レーザーはかすっただけにも関わらず、シーザーの装甲に穴を開けた。

 

 「シーザー、大丈夫か!?」

 

 「もう一度、警告する、我が帝国に降伏せよ!」

 

 しかし、ウィルたちは応えなかった。

 

 「降伏するつもりはないのか…それとも降伏するのかどちらか決められないってことか? まあ、いい、時間の猶予は与えてやる。だが、降伏を選ばなかった場合、貴様らに待ち受けているのは死のみだ。 フフフフフ、ハハハハハハハ!!」

 

 ゾウ型ゾイドたちは後ろを向いてそのまま後退した。

 

 「ま、待て!」

 

 しかし、霧は晴れ、ゾウ型ゾイドはおろか、ジェノスピノ、オメガレックスの姿も消えていた。

 

 「くそ、またあの2体を奪われてしまった! せっかく苦労してグラビティキャノンで倒したというのに。」

 

 尚も警戒するシーザーを見たエマは、

 

 「ウィル、早く、ドクターマイルスを止めないと! ZGを復活させたら駄目!」

 

 「エマ…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 時同じく、カーター大佐のスナイプテラとシュバルツ中佐のカーター専用のキャノンブルが総督府から抜け、ある場所まで逃げていた。

 

 「ホントにこれでいいのか? オメガレックスの荷電粒吸入ファンを撃ち抜いたのは私のせいとはいえ、中将に更に迷惑をかけて…」

 

 「心配することはありません! 私もあの人を信じてますから。」

 

 その時、ルメイ大将の乗るスナイプテラ3Sによる東方部隊が追跡してきた。

 

 「く、まさか、こんなところまで来たのか!」

 

 「キルサイスSS隊はキャノンブルをスナイプテラ3S隊は私と共にスナイプテラを!」

 

 「大将、カーター大佐とキャノンブルのライダーは捕らえますか?」

 

 「最早、反逆の意図は見られた。撃墜しても構わん!」

 

 「了解しました!」

 

 キャノンブルは必死に走るが、キルサイスSS部隊とスナイプテラ3S部隊が大量の爆弾を投下し、そのまま無差別爆撃を開始した。森の一瞬で火の海になり、シュバルツ中佐のキャノンブルはその爆発に巻き込まれた。

 

 「シュバルツ中佐! く!」

 

 後ろを振り向いた先にはルメイ大将の乗るスナイプテラ3Sがカーター大佐のスナイプテラの後を追っていた。

 

 「こうなったら、仕方ない!」

 

 カーター大佐のスナイプテラは旋回し、

 

 「スナイプテラ、兵器 解放! マシンブラストー!! 」

 

 「面白い、ならこちらも、スナイプテラ、兵器 解放! マシンブラストー!!」

 

 「アブソルートショット!!」

 カーター大佐のスナイプテラがルメイ大将のスナイプテラ3Sを貫くが、スナイプテラ3Sの姿が消えた。

 

 「何!?」

 

 「どこを見ている?」

 

 後ろを振り向いた先には既にスナイプテラ3Sがカーター大佐のスナイプテラの背後にいた。

 

 「残念だったな! スナイプテラ3Sには更に改良を加えたんでね。今のはただの映像だ! アブソルートショット!!」

 

 ルメイ大将のスナイプテラ3Sのアブソルートショットを直撃したカーター大佐のスナイプテラはそのまま地上に落下した。 

 

 「グワァー!!」

 

 「ふ、これで奴は終わりだな。よし、残骸を探せ!」

 

 「は!」

 

 スナイプテラとキャノンブルは傷つき、立とうとするが、立つことが出来ず、コクピットのカーター大佐やシュバルツ中佐共々気絶してしまう。

 そんな時、火の海の森からバイザー無しのラプトールたちが現れた。バイザー無しのラプトールたちにはデスメタルのエンブレムではなく、ケルベロスに似たエンブレムをつけていた。

 

 To be continued




 次回予告

 ゴルドのグラビティキャノンでようやくジェノスピノとオメガレックスを倒したかと思いきや、二大破壊龍を謎のゾウ型ゾイドによってリセル共々奪われ、ウィルたちは再び窮地に立った。
 そんな時、シーザーが何かに導かれるようにソワソワし、エマは自身が持つゾイド因子の力でシーザーの気持ちを読み取り、世界の危機を伝えていると言った。
 帝国が復活させようとしているZGの謎を明かすため、ウィルたちはシーザーの直感を頼りに海に出た。
 そこでウィルたちが見たものは、かつて1200年以上前のゾイドクライシスで沈み、ワイルド大陸から逃れた旧デスメタル帝国の残党たちが拠点を置いた海底神殿だった!
 しかし、そんな時、ドクターマイルスの操る謎のゾウ型ゾイドが現れる。

 次回「海底神殿」

 本能を呼び覚ませ、ライガー!!

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。