ゾイドワイルドエヴォリューション アフターZERO 作:オーガスト・ギャラガー
新地球暦1245年、人とゾイドの共存が進む中、ネオデスメタル帝国という強大な軍事国家が地球の8割を支配している時代、辺境の村に住むゾイド好きの少年ウィルはライジングライガーに進化した相棒のシーザーとかつてのシーザーの相棒の血を引く少女エマ、伝説のすのリーダーの子孫であるストーム率いる同盟軍と共に、ゾイドと人々を帝国の支配からの解放と人とゾイドの共存のための戦いに身を投じていった。
だが、ネオデスメタル帝国では着々と地球を壊滅させる程の力を持つ史上最強のゾイドが復活しようとしていた。
帝都メガロポリス、アッカーマン中将はタッカー元帥からの命令でスナイプテラに乗って帝都に入った。辺りを見渡すと、ギャラガー万歳、ギャラガー万歳を三唱する国民の声響き渡った。アッカーマン中将は敢えてそっぽを向け、そのまま宮殿に向かった。
宮殿に離陸したスナイプテラから降りたアッカーマン中将は宮殿の中に入り、謁見室にいるタッカー元帥に会った。
「アッカーマン中将、よく来たな。今回私が君を呼び出したのは他でもない。」
「はい、我が帝国の反逆者となったカーター大佐を逃がしたことによる処罰ですね。」
「そうだ。本来反逆者を逃がした場合は死刑か、禁固5000年にするはずだが、お前の帝国に対する功績はあまりに大きく、皇帝陛下の御慈悲により、南方総督の地位の剥奪、階級を中佐に降格する処分に留まった。
今後お前は四天王ではなくなるが、陛下のおかげでかなり減刑されたのだ。ありがたく思うがいい。」
「そうですか…ところで、南方総督の地位は誰に?」
その時、タッカー元帥の横にベケット少佐が現れ、
「今後、カーター大佐のような帝国内の反逆者が現れないよう、南方総督の地位は私の部下のベケット少将に与える。」
それを聞いたアッカーマン中将は驚愕し、
「し、親衛隊のベケットにですか…ち、ちょっと待ってください。ベケットの階級は少佐のはずでは…」
「本日軍の編成が行われ、今までの親衛隊は四世親衛隊となり、隊長を少将に昇任させたベケット少将に譲り、
今後北方、南方、西方、東方総督の地位は全て親衛隊所属のものに与え、私は新たに編成された親衛隊の隊長となり、今まで総督だったグレッゲル、デーニッツ、ルメイには私の三世親衛隊に所属することになり、今後帝国の正規軍は親衛隊の命令に従わなくてはならず、例え、階級が違ってもその指示に従うことになった!」
「な、何故、そのようなことに!?」
「反乱軍完全鎮圧と世界の統一のために皇帝陛下の権限を更に強化させる必要があるため、皇帝陛下を実質の軍の総司令とするために全ての軍は皇帝陛下直属となる形になった。
アッカーマン中佐はベケット少将の部隊に所属し、今後彼女の指示に従うことにせよ。」
ベケット少将は不敵な笑みを浮かべてアッカーマン中将に、
「でも安心して、反乱軍制圧の部隊にあなたを加えるから、それで戦歴を上げれば、元の地位は戻るかもしれないわ。」
「わ、かわりました…」
それを聞いたアッカーマン中将は渋々その場を離れた。
「では早速私がレッドケルベロス社共を制圧して参ります。」
「いや、お前はここで帝都防衛の指揮をしろ。」
「レッドケルベロス社制圧は私自らが行う。ジェノスピノ、オメガレックスの修復はもうすぐだが、悠長には待っていられない。奴らに帝国に逆らったら、どうなるかということを思い知らせるにはより強力な力で行かないとな。
それにお前はもう親衛隊隊長だからな。これからの親衛隊はお前に任せる。
それと、ギャラガー三世陛下がゼログライジスと共に真の姿になられた。昇任祝いと共に陛下にご挨拶しなさい。」
「は!」
「さて、反乱軍の後始末をしようか。」
レッドケルベロス本社、グラッドは何度も通信を開くが、クリスやクルーガーたちから全く応答が来ない。レイルは心配そうに、
「やっぱり、皆死んだんじゃないでしょうか?」
それを聞いたウィルは、
「何言ってたんだよ! クリスさんやクルーガーさんたちがそう簡単に死ぬわけない!」
「とはいえ、しばらく連絡は来そうにないから、それまでは俺たちで何とかするしかないな。
ブラック社長、レッドケルベロス社は軍事企業だろ? だったら、ここには戦力となるゾイドはかなりいるはず。それにバイザー無しとなれば、ゾイドの本来の力を十分に発揮できる。 帝国軍にも十分対抗できるはずだ!」
「確かにそれはそうなんですが、そもそも我がレッドケルベロス社はコープス・ブレイン社同様、帝国と反乱軍の戦争には中立的な立場を取っています。
そのため、ここには必要最低限の戦力しかいず、防衛ならある程度はいけますが、帝国とまともに太刀打ちできる戦力はありません。」
「そうか、となると、ますます不利だな。ここを攻略されてしまったら、間違いなく俺たちに勝ち目はない。」
「1つ手はありますよ。」
その時、男の声がし、応接室に現れた。現れたのはカーター大佐とシュバルツ中佐だった。 カーター大佐とシュバルツ中佐を見たウィルとレイル、エマ、ユリス、カティアは驚愕し、
「あ、あなたはあのときのスナイプテラの!」
「覚えていてくれたか! 君は確か、あのときのライガーの少年だったね。まさか、こんなところで会うとは思わなかったよ。
それに殿下にエマ、ユリス、そして、カティア、無事で何よりだよ。」
「お父さん…」
カティアは涙ぐんでカーター大佐に抱き付いた。それを見たウィルは、
「え、その人、カティアのお父さんなの!?」
「そうよ、私のお父さんのジェームズ・カーター大佐よ!」
「え、でも、カティア、確か君の姓は…」
「ギレルは私の妻の姓だ。カティアは私の足元には及ばないからと言って、敢えて私の姓を名乗らずにいているんだ。 そのせいで、何度か隠し子じゃないかと、よく言われて参ったよ!」
ストームはカーター大佐に、
「ところで、その策とは?」
「実は殿下にお力を貸していただきたいのです!」
「レイルを? まさかとは思うが、テレビ中継を利用してレイルを大々的に映し、帝国内のレイル派の派閥を増やして俺たちの味方に据えるってところか?」
「まあ、半分正解ですね…」
「大体はわかるが、半分だけ正解ということはその半分はどう違うんだ?」
「確かに私は帝国から離脱はしましたが、それでも私は帝国の人間です。だから、帝国を裏切ることは出来ないので、私が目指しているのは帝国が間違っていることを国民に伝え、帝国を正すことなのです!」
「ということは、レイルと一緒に帝国中に呼び掛け、国民の目を覚まさせるってことか…」
それを聞いたグラッドは、
「しかし、レイルは今や、帝国の廃太子だ。いくら世間に好評しても聞いてはくれないだろう。」
「ですが、実際は殿下は公では死亡したことになっているだけです。それに帝国国民の大半は殿下を支持しています。国民は殿下の優しさに惹かれ、世界を平和に導いてくれると期待してましたから。」
「といっても、マスコミやテレビは全てネオデスメタルの支配下にある。テレビ中継で流すことは難しいだろうし
、仮に出来ても帝国軍に俺たちの手を更にさらけ出すことになる。 何か裏ルートがあれば…」
その時、突然ストームが何か感じ取ったかのように拳銃を取り出し、壁にいる虫を撃った。銃声を聞いて驚くドレイクやウィルたち、
「何やってんだよ! 虫ごときで銃を使うな!!」
ストームは撃ち抜いた虫を見て、
「わかったぞ! ドレイクの別荘と俺たち同盟軍の本拠地が奴らに手に取るように場所を特定出来たのかを!」
「わかったって…虫を取っただけじゃ…」
ストームは撃ち抜いた虫をドレイクやウィルたちに見せると、その虫の撃ち抜かれた部分が金属になっていて、更に超小型の盗聴機が埋め込まれていた。
「こ、これは…」
「そうだ、ドレイク。お前も知っているだろう。こいつはれっきとしたゾイド、しかも盗聴機を埋め込んで改造を施したスパイゾイドだ!」
それを聞いたグラッドは、
「そうだったのか! 前にユリスと初めて会った時にデーニッツに居場所を特定されたのもそのゾイドを俺たちに付けさせて動向を探っていたのか。」
「ましてや、このサイズなら、ただの虫にしか見えないから、誰も気づくことが出来なかったんだろう。」
「どうりで俺たちの場所と動きが帝国軍に知られ過ぎたわけだ。それにしてもこんなゾイドまで軍事利用するとはホントになんて奴らだ。 しっかしお前、よく気づいたな。」
「キングと一緒にいてから、他のゾイドの気配を知ることが出来る感覚を手に入れたからな!」
「じゃあ、何で今まで気が付かなかったんだよ?」
「そりゃ、こいつがたまたま俺の側にいなかったから…」
「ん?待てよ。 そうだ! こいつを逆利用する手があるかもしれない。
カーター! お前のその作戦もしかしたらいけるかもしれないぞ!」
グラッドの余裕そうな表情に少し驚くウィルたち、
帝都メガロポリスの宮殿の倉庫、そこには地下研究所で大量生産されたおびただしい数のゼロファントスとそれに乗る機械兵が勢揃いしていた。 それをギャラガー三世、タッカー元帥、デーニッツ中将、ベケット少将が眺め、
「遂に私の卷族もこれ程の数になったか。」
「先帝陛下とゼログライジス復活を記念して、この大量生産したゼロファントス部隊と機械兵を三世親衛隊とし、元の親衛隊は四世親衛隊として編成することになりました。
そして、ベケット少将に親衛隊隊長の座を譲った代わりにこの私タッカーが三世親衛隊の隊長として引き続き先帝陛下にお仕えします。」
「そうか、では後はあの目障りなライガー共を片付けるだけだな。」
「ご安心を、必ずこの私が仕留めて御覧に入れます。」
「期待しているぞ。」
その時、部屋にガネストが入り、
「皇帝陛下! 一体どこに行ってたんですか?」
「ちょっとゲームを楽しんできただけだよ。 何か嫌な予感がしたけど、やっぱり生きていたんだよね。父上!
いや、果たして本当にボクの父上と呼べる存在なのかな?」
「何が言いたい?」
「だってボクはギャラガー一世のクローンでもあり、同時にお前の遺伝子を持つ。 でも一世いや、かつてのボクは一度死んだ。
なのにお前はその遺伝子を色濃く持っている。つまり、お前がオリジナルの身体を持っているってことじゃないかな?」
「ふ、正解かもしれないが、敢えて言うなら私はむしろそれ以上の存在だ!」
「まあ、今はそんなことどうでもいいけど、もうこのネオデスメタルの皇帝はボクなんだよ!
今さら、過去の人間が口出すことじゃないんだよ! 最強はこのボクだ! ゼログライジスもこのボクのものなんだよ!!」
その時、ギャラガー三世の目が紫色に光り、同時にガネストがその威圧感に吹っ飛ばされるように壁に叩きつけられた。
「一体誰に口答えしているのかな? 確かにお前はこのネオデスメタル帝国の皇帝だ。
だが、私はゼログライジスと同じゾイド因子を持つデスレックスを従えた最強のゾイド乗りと惑星Ziを壊滅に追い込んだ遺伝子を持つ私はもはや神に等しい存在だ。
少しは分を弁えることだな。本当の最強が誰なのかをな! ンフフフフ。」
ギャラガー三世はタッカー元帥、デーニッツ中将と共に部屋を退出した。ガネストは納得がいかないように壁に打ち付けた。
帝都メガロポリスの宮殿の広場で親衛隊ゾイドが集結している中、広場が2つに別れ、その下から、通常のナックルコングの2倍以上で、ジェノスピノ、オメガレックスに近いサイズをした重武装を施した赤いナックルコングが現れた。そのナックルコングはタッカー元帥が操るジェノスピノ、オメガレックスに次ぐ帝国最強のゾイドだった。
同時にそのナックルコングG3を囲むかのようにゼロファントス部隊も現れた。多くの国民が歓声を上げる中、ナックルコングG3はゼロファントス部隊とギャラガー親衛隊のゾイドを率いれ、帝都を行進し、やがてレッドケルベロス本社に向けて進撃していった。
ナックルコングG3率いる三世、四世親衛隊ゾイドが行進していく中、ナックルコングG3のコクピットから兵士の通信が入り、
「タッカー元帥、何者かが全世界でテレビを流しています!」
「何!?」
タッカー元帥がテレビを繋げた時、カーター大佐が映っていた。帝都にいる帝国国民たちもそれを見ていた。テレビのカーター大佐は、
「私はジェームズ・カーター大佐、帝国国民の皆さん、私の話を聞いて欲しい。
今のネオデスメタル帝国は間違っています! 我々ネオデスメタルは本来、争いの絶えないこの世界を統一し、この世界を平和に導く。
それが我が帝国の正義だったはずです。 しかし、今の帝国はそれとはかけ離れた姿になっています。
現皇帝ギャラガー四世陛下と側近のドクターマイルスは戦争をゲームとして楽しみ、反乱軍を叩き潰すための戦いを引き起こしています。
このようなやり方では、我が帝国は世界に憎しみを与え、ますます世界は混乱に陥ってしまいます。
国民の皆さん、本来、我々が皇帝に立てるべき人物は四世陛下ではなく、アーネスト殿下だったはずです!」
その時、カーター大佐の横にレイルとウィルが現れた。それを見た帝国国民たちはざわついた。
「殿下…」
「アーネスト殿下だ!」
「本物なのか?」
「馬鹿な、死んだはずだぞ!」
カーター大佐はレイルのウィルの間に入って2人の肩に手を置き、
「私は帝国を正すために反ネオデスメタル同盟軍と手を組みました!
ですが、これは帝国への反逆ではありません。これは改革なのです。
帝国の上層部は無慈悲にもアーネスト殿下の地位を剥奪し、その命を奪おうともしました。
しかし、同盟軍は殿下を御守りしました! しかもそれだけではありません!
オメガレックスと新型ゾイドによる無差別虐殺、無差別な奴隷化等も上層部は行っていました!
こんなことが許されていいはずがありません! 皆さん、目を覚ましてください!
今の我々の本当の敵は反乱軍ではありません! 帝国の上層部なのです。彼らは今や、帝国の支配者ではなく、帝国の敵なのです!」
タッカー元帥はテレビを切り、
「元帥閣下、いかがなさいますか?」
「構わん、我が帝国国民がこんなことに惑わされるはずがない! このまま前進する。」
「は!」
別の場所でテレビを見たドクターマイルスは、
「ふん、最後の悪あがきというわけか。だが、今さらあの皇子を立てたところでどうにかなるものか!
それにしても、全世界中継でテレビに流すこと等、反乱軍に出来るはずがないが、そうか、スパイゾイドの存在を知ってそれを利用したのだな。
ま、今さらそれに気付いてももう遅い。さてと、皇帝陛下もゼログライジスももう完全体になったと聞いた。陛下に挨拶しなくてはな。
全軍帝都に帰還だ!」
「は!」
ドクターマイルスの横でテレビを見たリセルは複雑そうな表情をしていた。
ナックルコングG3率いる三世親衛隊のゼロファントス部隊とベケット少将が率いるようになった四世親衛隊のゾイドがレッドケルベロス本社に辿り着いた時、目の前にシーザーとギルラプターエンペラーがいた。それを見たタッカー元帥は、
「ほう、先帝陛下のジェノスピノを倒し、悉く我がネオデスメタル帝国の邪魔をしてくれた例のライガーと廃太子が来るとは…
我が帝国に降伏する気になったのか、それとも私に無様な姿になってやられに来たのか?」
レイルはタッカー元帥に向かって、
「タッカー元帥、お前は尚も帝国に刃向かう者は全て粛清するつもりなのか!」
「無論だ! 我が帝国こそが正義にして世界そのもの、そして皇帝陛下は絶対だ。 それを理解出来ん貴様はやはり皇帝になるべき器ではない!」
「そうか、やはり、どうしても僕たちの要求に応えてくれないんだね。ならば、行くぞ、ウィル!」
「ああ、」
「ふん、やる気か? だが、私と戦うことを後悔するがいい。」
本社のビルの最上階でブラック社長、カーター大佐、ストームがその様子を見ていて、
「ホントに大丈夫なんでしょうか…? これを世界中に流しても殿下に万が一のことがあったら…」
「もちろん、手は打ってある! それに帝国国民の目を覚まさせるにはこれしかない。」
「しかし、カーターさんよ。 ホントに仮に帝国国民が目覚めたとしても上手くいくのか?」
「いくらネオデスメタルとしても、帝国国民の声を無視することはできない!」
「どうかな? 更に弾圧を加えそうな気もするが…」
レイルはウィルに、
「ウィル、気を付けろ、タッカー元帥の操るあのナックルコングはネオデスメタルではジェノスピノに次ぐと言われる最強のゾイドだ。」
「ではいくぞ、」
ナックルコングG3は肩の対空速射砲を撃った。シーザーとギルラプターエンペラーはそれを避け、ナックルコングG3の腹部の装甲に攻撃するが、ナックルコングは全くびくともしない。
「やっぱり、並みの装甲じゃないみたいだな! 行くぞ、シーザー! 進化 解放! エヴォブラスト-!!」
「ギルラプター、進化 解放! エヴォブラスト-!!」
「スピリットバーストブレイク!!」
「新・音速殺!!」
シーザーとエンペラーの攻撃を諸に受けるナックルコングG3、しかし、ナックルコングG3はそれでも通用せず、シーザーとギルラプターエンペラーを鷲掴みにしてしまう。
「うわ、そんな…シーザーとギルラプターの攻撃が通用しないなんて…」
「馬鹿め! この私のナックルコングG3は今までの帝国ゾイドのパーツを結集して改造した最強のゾイド、装甲は数十体のバズートルの甲羅を使っているのだ。 そう簡単に倒れるゾイドではない!」
「そ、それだけのゾイドを犠牲にして何とも思わないのか!?」
「それがどうした? 私と我が帝国にとっては全てのゾイドは皆等しく帝国の道具に過ぎん!
むしろ、私の最強のナックルコングの身体の一部になれて誇りに思っているだろう。」
「ふ、ふざけるな-!!」
シーザーはEシールドを展開し、その衝撃でナックルコングG3は手を離し、シーザーは片方の手を攻撃し、エンペラーも脱出する。
「やっぱり、ネオデスメタルとはわかりあえないってことなのか!」
「ふん、貴様らが我が帝国とわかりあうなら、我が帝国に屈服するしかないがな。」
それを聞いたレイルは、拳を握り摘め、
「もう、ネオデスメタルを変えることは出来ないのか…やっぱり故郷である帝国を自分の手で倒すことしかないのか…」
「その必要はない。貴様はここでくたばるのだからな!」
ナックルコングG3が拳でエンペラーを攻撃しようとした時、シーザーは咄嗟にEシールドを展開し、ナックルコングG3の攻撃を防ぐ。
「考えるのは後だ、レイル。まずあいつを倒すのが先だ!」
「ああ、まさか、僕が君にまた助けられるとはね! じゃあ、行くぞ!!」
ナックルコングG3は腕に装備しているバルカンを撃ち込み、シーザーのEシールドを破ろうとするが、エンペラーはその隙にナックルコングG3の後方に回り、後方のコクピットを狙おうとするが、ナックルコングG3の肩の対空速射砲が突然後ろを向き、エンペラーに対して撃ち込む。エンペラーはその攻撃を避け、直ぐにその場を離れる。
「残念だな。ナックルコングG3は後ろからの攻撃にも対処出来るのだ!」
「なら、これはどうだ!? スピリットバーストブレイク!!」
シーザーはEシールドを展開しながら、ナックルコングG3に突進した。ナックルコングG3は両腕でシーザーを受け止める。しかし、シーザーは尚も攻撃の手を緩めず、そのまま前進し、ナックルコングG3も少しずつ後退していく。ナックルコングG3は腕に装備しているバルカンをシーザーに撃ち込む。エンペラーはその隙にナックルコングG3の後方から攻撃しようとし、後ろに向いている対空速射砲を避けながら、後方のコクピットに近付いた。
しかし、ナックルコングG3は掴んだシーザーをエンペラーに向けて投げた。
「ふ、四世陛下のオメガレックスと渡り合うだけの実力だけはあるようだな! だが、その力潰してもらうぞ。
制御トリガー解除、 ナックルコング、兵器 解放! マシンブラスト-!! 極熱拳!」
ナックルコングG3は通常のナックルコングのワイルドブラストと同様に両腕で胸部を思いっきり叩くドラミングを行った。
その時、ナックルコングG3の胸部の熱が放出され、同時にナックルコングG3の周囲の温度が熱くなっていった。
「な、なんだこれ、熱い!」
ウィルはナックルコングG3の周囲が一気に火の海になったのを見て、直ぐ様エンペラーの前に立ち、Eシールドで防いだ。
ナックルコングG3の胸熱拳を見たブラック社長たちは、
「なんだ、あのマシンブラストは!?」
ドラミングを行ったナックルコングG3の両拳が一気に炎に包まれた。
それを見たレイルとウィルは、
「なんだ、あれは? どう見てもただの胸熱拳じゃない。」
「喰らえ、フレームバーストクラッシャー!!」
ナックルコングG3は炎に包まれた両腕でシーザーとエンペラーに攻撃しようとし、それを見たブラック社長は、
「不味い、殿下を御守りしろ!」
ブラック社長の合図と共に、隠れていたレッドケルベロス社のラプトール、キャノンブル、バズートルが現れ、シーザーとエンペラーを護衛するように守るが、ナックルコングG3の攻撃を食らったレッドケルベロス社の部隊は全てナックルコングG3の攻撃による衝撃でボディが一気に粉々に破壊され、シーザー、エンペラーもその衝撃でぶっ飛ばされ、ナックルコングG3の攻撃で地面に周囲にまるで巨大隕石が落ちてきたかのようなクレーターが出来た。シーザーとエンペラーは立ち上がり、
「なんだ、あの威力は!?」
「驚くのも無理はないだろう。私は万が一ジェノスピノ以上のゾイドが反乱軍の手に渡った場合を想定してこのナックルコングで先帝陛下の操るジェノスピノと何度もシミュレーションを行ったのだからな。
そのおかげで、このナックルコングは5000度以上になるジェノスピノのA-Z高熱火炎放射機にも耐えられるようになり、更に5000度以上の熱を吸収出来るようになり、それを武器にした胸熱拳である極熱拳を修得したこのナックルコングG3が遂に完成したのだからな!」
それを聞いたレイルは、
「そんな、じゃあ、あのナックルコングはジェノスピノとも互角に渡り合えるレベルになったっていうのか!?」
それを見たカーター大佐は、
「あれが旧デスメタル帝国のギャラガー一世陛下の側近にちなんだネオデスメタル最終秘密兵器という異名を持つタッカー元帥と最強のゾイドと呼ばれたナックルコングG3の実力、まさか、ここまでとは…」
「さて、これ以上貴様らの遊びに付き合うつもりはない! これで終わりにするぞ!」
その時、ナックルコングG3のコクピットから帝都にいる兵士から通信が開き、
「元帥閣下、大変です! 先ほどの反逆者のカーター大佐からの中継を見た帝国国民が直ぐに攻撃を中止し、アーネスト殿下を帝都に迎え入れろと宮殿でデモを行っています!」
「何だと!?」
帝都メガロポリスの宮殿の前では多くの帝国国民がどっと押し寄せ、機械兵や帝国軍兵士が取り押さえようとするが、帝国国民が抵抗し、
「今すぐ、攻撃を中止しろ!」
「アーネスト殿下をもう一度皇子に復帰させろ!」
「あれは間違いなく殿下だ! 今すぐ攻撃を中止しろ!」
「アーネスト殿下に帝位を!」
宮殿の窓からその様子を見ていたドクターマイルスとデーニッツ中将は、
「反逆者になったとはいえ、我が帝国で数々の功績を残したカーター大佐の演説はどうやら反乱軍にとってかなりの成果を上げたようだな。」
「といっても今さら、元帥殿に攻撃を中止しろと言うわけにも…」
「仕方ない。この際、デモの連中を…」
「確かに世論とマスコミは完全に我々の手中にあるから、虐殺は簡単なことだが、カーターの奴がスパイゾイドを利用してあの中継をしているというなら、我が軍が国民を虐殺する光景をスパイゾイドを通して全世界中に流す可能性もある。 そうなると、逆に我々が不利になってしまう。」
「といっても、今さらあれが反乱軍が作った偽者だと説明しても信用はしないだろう。」
「ならば、私が出ようか?」
2人の前に出た人物を見たドクターマイルスは、
「なるほど、確かにあなたなら、流石にデモの連中も黙るでしょう。」
帝国国民が次々と宮殿に侵入しようとしたその時、宮殿の演説場に1人の男が現れた。その男を見た国民たちは直ぐに行進を止め、じっと見つめた。
「我が帝国国民たちよ、落ち着くがいい。あれは我が息子を殺すわけではない。息子をたぶらかす愚かな反乱軍の粛清だ!」
それを見た帝国国民たちは、
「ほ、本物? まさか、偽者じゃないよな!」
「いや、間違いなくあのお方は!」
「そうだ、間違いない! あれは先帝ギャラガー三世陛下だ!!」
「先帝陛下万歳! ギャラガー! ギャラガー!!」
宮殿の演説場に立った男はギャラガー三世であり、その映像は世界中に流れ、レッドケルベロス本社にも流れていた。本社でそれを見たブラック社長とカーター大佐、グラッド、ストームたちは驚愕し、
「そ、そんな、何故先帝陛下が!?」
「先帝陛下…」
「馬鹿な! あいつは確か、俺たちでジェノスピノと共にデスロッキーに落としたはずだぞ!」
「皇帝ギャラガー三世…どうやら、あの時、デスロッキーで会った時、ギャラガー一世と更に別の邪悪な気配がしたのは俺の気のせいじゃなかったようだな。」
その声を聞いたウィルとレイルは青ざめた表情をした。
「そんな…あいつは俺とシーザーが…」
「ど、どうして…どうして父上が!?」
To be continued
次回予告
タッカー元帥のナックルコングG3との戦いの時に突如テレビ中継でデスロッキーに沈んで死んだはずのギャラガー三世が現れた。
レイルは父であるギャラガー三世が本当に生きているのか、そしてその真意を探るため、ウィルたちに気づかれず単身帝都に向かった。
そして宮殿に侵入したとき、待っていたと言わんばかりにギャラガー三世が待ち構え、レイルは研究所に連れていかれる。そこにはゼログライジスの眠っている巨大カプセルとコードで繋がれているデスレックス、大量生産されているゼロファントスを目撃する。
ウィルとエマ、ユリスはレイルの後を追うが、そこにドクターマイルスとリセルが待ち構える。
レイルはギャラガー三世に真意を問うが、そこで彼はギャラガー三世の恐るべき正体と野望を知ることになる。
次回「古の皇帝龍」
本能を呼び覚ませ、ライガー!!