ゾイドワイルドエヴォリューション アフターZERO 作:オーガスト・ギャラガー
新地球暦1245年、人とゾイドの共存が進む中、ネオデスメタル帝国という強大な軍事国家が地球の8割を支配している時代、辺境の村に住むゾイド好きの少年ウィルはライジングライガーに進化した相棒のシーザーとかつてのシーザーの相棒の血を引く少女エマ、伝説のすのリーダーの子孫であるストーム率いる同盟軍と共に、ゾイドと人々を帝国の支配からの解放と人とゾイドの共存のための戦いに身を投じていった。
だが、ネオデスメタル帝国では着々と地球を壊滅させる程の力を持つ史上最強のゾイドが復活しようとしていた。
帝都メガロポリス、宮殿の演説場に立ったギャラガー三世は、帝国国民の前で演説を行っていた。
「諸君、私は死んではいない! 私こそが本物のギャラガー三世だ!」
「ウォー!!」
「そして、先程の攻撃は我が息子アーネストを殺すものではない、我が息子をたぶらかす反乱軍の粛清なのだ!
当然、アーネストを殺すつもりはない。諸君、それを信じてくれ。」
それを聞いた帝国国民は歓声を上げた。
「そうだ。先帝陛下がアーネスト殿下を殺すわけがない。」
「陛下はやっぱりアーネスト殿下を見棄てていなかった!」
「皇帝陛下万歳! ギャラガー! ギャラガー! ギャラガー!!」
「そして、この映像を見ている反乱軍に伝える! 直ぐにアーネストをこちらに引き渡せ。 さもなくば、貴様らをレッドケルベロス本社ごと破壊する。」
ギャラガー三世はタッカー元帥と通信を開き、
「タッカー元帥、今すぐ撤退しろ!」
「し、しかし…」
「これは命令だ!」
「わ、わかりました。」
ナックルコングG3はそのまま引き下がり、ゼロファントス部隊と親衛隊と共に撤退していった。それを見たウィルは、
「一体、どういうことなんだ?」
レイルは激しく拳を握り、
「何で、何で父上が生きているんだ!?」
帝都メガロポリスに帰還したタッカー元帥は宮殿内で玉座に座っているギャラガー三世と対峙し、
「一体何をお考えになっているのですか!? 本来、ゼログライジスが披露されるまでは公に出ない計画のはずじゃないですか!」
「構わん、いずれにしろ公に出るのだ。遅かれ早かれの問題だ。 それに、もう隠す必要もないからな。それより、レイルを迎え入れる準備をしろ!」
「は…何故です?」
「今さら、国民に嘘をつくわけにはいかないからな。」
「しかし、皇帝はもう…」
「心配するな、奴の処分は私が行う。」
「は!」
「待っているぞ。アーネスト。」
レッドケルベロス本社、ウィルたちは宮殿の演説場に立ったギャラガー三世の映像を見ていた。グラッドとストームは、
「一体どういうことなのだ? 確かにあいつは俺たちが倒したはずだ!」
「恐らく、レイルと四世がギャラガー一世のクローンだというように俺たちが倒したギャラガー三世も影武者のクローンだったかもしれないな。ネオデスメタルはクローン技術がかなり応用されているらしいからな!」
「だが、映像の奴は俺たちが倒した時と全く容姿が同じだ! 本当に建国当時から生きているなら、奴は相当なじいさんのはず…
まさか、クローンで魂を移し変えて生きているとでも言うのか!? どう考えても非科学的だし、魔法でもなけりゃ無理だ!」
「普通の人間ならな!」
「まさか、奴は人間じゃないってことか!?」
「それはまだわからないが、可能性はある。だが、確かめなければはっきり言えない…」
ギャラガー三世の映像を見たレイルは静かに拳を握る。それを見たエマは悲しそうな表情をしていた。
「とはいえ、悠長には待っていられない。あのドクターマイルスとやらも海底神殿にあったゾイドコアのパーツを既に帝都に持っているから、ゼログライジスの復活ももうまもなくだろう。一刻の猶予はない。」
「しかし、奴は難攻不落の要塞でもある帝都メガロポリスのど真ん中の宮殿にいるんだぞ! どうやって入るつもりだ?」
「それはまだ考え中だ。」
「そう言えば、さっき奴がレイルを引き渡せという要求をしてきたが、それを利用して要求に応じたふりをすれば、もしかしたらいけるのでは!?」
「いや、恐らく奴はそれが狙いかもしれない。俺たちを帝都に招き入れ、一気に全滅させる罠かもしれない。」
「それにあのナックルコングG3までいやがるからな。」
ナックルコングG3の映像を見たジョンは、
「それにしても、あのナックルコングのサイズは尋常ではありません。通常のナックルコングの数倍もあり、ジェノスピノに相当する大きさなんて普通のゾイドではありません!」
ジョンの質問にドレイクが口を開き、
「恐らくあれは、環境に応じて大きさが変わるゾイドの性質を利用して改造したナックルコングだろう。」
「それはどういうことですか?」
「なんだ、知らんのか。ゾイドは環境によって大きさが変わるという性質があって、ゾイドクライシス時の地球では、地球環境がほとんど崩壊していた状態だったため、ゾイドたちはその環境に馴染めず、かつて惑星Ziにいた時と同じサイズになっていた。
しかし、ゼログライジスとの戦いの後、地殻変動で別れ、帝国と共和国が戦争をしていた大陸から隔離されたワイルド大陸は他の大陸と違って環境が整い、その大陸にいたゾイドはデスメタルが現れる前は兵器化されなかったため、完全に野生化してコクピットが必要ない程のサイズになった。」
それを聞いたストームは、
「そういえば、俺も親父から似た話を聞いた。俺の先祖と一緒にいたときのキングはもっと小さかったが、ワイルド大陸から離れた場所に移住してからコクピットを取り付けなければならないサイズになったって聞いたことがある。」
「今はかつて、ゾイドクライシス後に帝国と共和国が戦争してた時代の技術が復活して再びゾイドの兵器化が進んだため、それに伴い、またゾイドのサイズが変わったんだろう。」
「だが、今はナックルコングG3より更に驚異の存在であるゼログライジスの復活の阻止とギャラガー三世の正体を探ることだ。
ジョン! 帝都メガロポリスに侵入することは出来るか?」
「まあ、侵入なら出来なくもないが、問題はその後だ。これまで、ネオデスメタルの軍事基地に侵入した俺でもあそこに侵入することはかなり骨が折れる。 例え、侵入出来ても無事に脱出出来る保障はない。」
「となると、帝都の情報に詳しい者で行くしかないな。レイル、お前、帝都にどうやって入れるか知って…」
ストームが振り返ると、レイルの姿はなく、同時にエマとユリスの姿もいなかった。
「て、いねぇ! あいつどこ行きやがった!?」
ウィルは何か察したような表情をし、
「ギャラガー三世はレイルが父親として尊敬していた人物、もしかしたらあいつに会いに…」
「と、とにかく探すぞ!」
レイルはシーザーたちがいる倉庫に入り、ギルラプターエンペラーのコクピットに乗った。
「よし、行くぞ、ギルラプター。」
「待って!」
その時、エマとユリスが現れ、
「エマ、姉さん。」
「レイル、行っちゃ駄目! 確かなことは言えないけど、あの人は凄く危険な人なの! 会ったらどんなことされるかわからないわ!」
「そうよ! レイル。あなただけがそんな危険なことをする必要はないわ!」
「僕は確かめたいんだ。あの人が僕の本当の父親なのか、そして、本当に僕を捨てたのかを。
これは僕自身の問題だ。エマと姉さんはそこで待っててくれ! 行くぞ、ギルラプター!」
「レイル!!」
ギルラプターエンペラーはそのまま倉庫から出てしまい、その後にウィルやストームたちも倉庫に入った。
「くそ、遅かったか! 仕方ない。俺とウィル、ジョンがあいつを連れ戻す。グラッドたちはレッドケルベロス本社の警備を…」
その時、エマとユリスが、
「待ってください! 私たちも連れて行って下さい! レイルを助けたいんです。」
「といっても、なあ…」
「私も連れて行って下さい! エマとユリスさんは私が守りますから!」
「カティア、そういや、お前、帝都には何度もいたんだったな。 よし、帝都まで道案内頼めるか?」
「そのつもりです!」
「よし、では、エマはウィルと一緒にシーザーに、ユリスはカティアと一緒にベティに乗って俺に付いてこい!」
「ちょっと待て、」
その時、ドレイクが前に出て、
「俺も行かせてくれないか。あの皇子様は結構気に入っているんでな!」
「でも、お前、帝都のことは…」
「この俺をなんだと思ってやがる。帝都メガロポリスのことは既に熟知しているのでな。このメンバーの中ではむしろ俺の方が詳しい。
それに、そこの男の相棒のクモは修復しているとはいえ、ゼロファントスに対抗出来る程の戦力はない。俺とジャンなら、その分の戦力は出せるぜ! 後、皇子様の花嫁と綺麗な姉さんの護衛だって十分に務まるぜ!」
それを聞いたグラッドはゆっくりストームに近付き、小声で、
「なあ、ドレイクって、スミスみたいなムッツリスケベなのか…?」
「実を言うと、あいつ、以前にも何度もナンパしたこともあってな…」
「よし、それなら、このドクタースミスも殿下とエマちゃんとユリスちゃんの護衛に…」
「お前は来んでいい!!」
「取り敢えず、俺とウィル、ドレイク、カティアがレイルを連れ戻す。後の者はネオデスメタル帝国軍を迎え撃つ準備をしてくれ!」
「了解!」
ギルラプターエンペラーは森林の中を走る中、突然、レーザーのようなものがエンペラーを襲い、エンペラーは間一髪で避けた。目の前にドクターマイルスのゼロファントスとその部隊が現れた。
「ドクターマイルス!」
「あ~、待て。今日はお前と争うつもりはない。実は先帝陛下がお前に会いたいと仰ってな。」
「父上が?」
「そうだ。だが、その前にお前が大人しく我々についてくれたらな。」
「わ、わかった。」
ギルラプターエンペラーはゼロファントスにレイルはゼロファントスに乗っていた機械兵に捕らえられ、そのまま帝都メガロポリスの入口から少し離れた森の中の下が開き、そこは巨大な地下マンホールになっていた。レイルは機械兵とゼロファントスの誘導で、地下マンホールを通ってゼログライジスが眠る巨大カプセルがある宮殿の地下研究所まで連れていかれた。
地下研究所の周りを見たレイルは想像を絶する光景を見た。機械と特殊なスーツを着用した研究員が捕獲された野生ゾイドや破棄された帝国の兵器ゾイドがゼロファントスや新型ゾイド開発のための生体実験を行い、次々とゼロファントスが量産化され、他の機械兵の開発、人間を機械化する手術、そして生体実験でバラバラにされたゾイドたちのパーツが次々とゼログライジスの眠る巨大カプセルに送り込まれ、その一部はカプセルの近くにいたデスレックスがバリバリと貪り食っていた。
レイルはこの世のものとは思えないようなものを見るような表情をした。そして、ゼログライジスの眠る巨大カプセルの前にギャラガー三世が立っていた。
「ち、父上…」
「よく来たな、息子よ。ま、お前がここに来ることはわかっていたがな。
もう隠す必要はないだろう。私の正体を教えてやる。そして、その時、お前は息子ではなく、私の身体の一部になるのだ!」
「どういうことですか!?」
レイルの驚いた表情を見たギャラガー三世は不敵な笑みを浮かべた。
シーザー、キング、ベティ、ジャンがレイルの後を追って森の中を走っていく中、突然、レーザーのようなものが発射された。シーザーたちは間一髪で避けたその時、ドクターマイルスのゼロファントス、ゼロファントス部隊と更にデルまで現れた。
「待っていたよ! だが、ここから先は通すわけにはいかん!」
「リセル…」
デルを見たユリスはリセルに向かって、
「リセル、目を覚まして、あなたはそこにいちゃいけないの!」
ユリスの声を聞いたリセルはウィルとシーザーを倒す気持ちを抑えられず動揺してしまう。
「く、俺はあいつを倒して強くなる!」
デルがシーザーに前足で攻撃しようとし、シーザーはすかさず、Eシールドでそれを防ぐ。
「リセル、いい加減に目を覚ませ! お前が戦う相手は俺じゃないだろ!」
シーザーを攻撃しようとするデルの前にジャンが現れ、
「こいつは俺が引き受ける。お前はお坊っちゃんを助けに行け! 俺とストームも後でそっちに行く!」
デルを見たユリスは悲しそうな表情をし、
「リセル…」
「ユリスさん、今は殿下を助けることが先です!」
「わ、わかったわ!」
ウィルとエマ、ユリス、カティアは直ぐに帝都に向けて行った。
「逃がすか!」
ドクターマイルスのゼロファントスはシーザーとベティを攻撃しようとするが、直ぐ様キングが阻止し、ドクターマイルスのゼロファントスの前に立った。
「お前の相手は俺だ! あの時の借りを返して貰うぜ! それに、お前がリセルを洗脳したんだから、お前を倒せば、リセルも元に戻るだろう。」
「ふん、いいだろう! ゼロファントス、原始 解放! ゼロブラスト-!!」
「キング、進化 解放! エヴォブラスト-!!」
帝都に向かうシーザーとドクターマイルスのゼロファントスと戦うリセルは、
「(ウィルとシーザーを倒せ、倒せ、倒して更に強い力を得るんだ!)、(一緒にいるドクターマイルスは両親を殺したネオデスメタルの人間だ! 帝国に復讐するべきだ!) う、ウワァ~!!」
ウィルとシーザーを倒すことと自分の両親を殺したネオデスメタル帝国に対する復讐を誓うそれぞれの自分の声が聞こえたリセルは取り乱し、そのままその場を離れ、逃げてしまった。
「あ、あら、あいつ逃げてしまったぞ!」
それを見たドクターマイルスは、
「ふん、所詮、感情に流されやすい奴はここまでか…まあ、いい、もう奴は既に不要だからな。」
「け、負け惜しみもそれまでにしておけ! リセルはそこまで弱い人間じゃねぇ!」
「愚かな…もうすぐ、陛下とゼログライジスはまもなく完全体となる。その時こそ、貴様らの本当の最後だ!」
「やれるもんなら、やってみやがれ!」
ドクターマイルスのゼロファントスのディゾルレーザーキャノンを避けたキングはゼロファントスの足に一発咬ました。キングの横にジャンが現れ、
「俺も付き合ってもらうぜ!」
「へ、フリーダム団最強のコンビの復活だな!」
「仕切んじゃねぇぞ! 俺は俺の好きなようにやらせてもらうぜ!」
「言ってくれるね。じゃ、行きますか。」
キングとジャンはドクターマイルスのゼロファントスとゼロファントス部隊に向かって突っ込んだ。
帝都メガロポリスの宮殿の地下研究所、レイルはギャラガー三世と対峙していた。
「予め言っておくが、私のこの身体は帝王ギャラガー一世そのものだが、人格は一世そのものではなく、一世と完全に融合した者なのだ!」
「そ、それはどういうことだ!?」
「かつて私は自ら滅ぼした惑星Ziから地球に向かった移民船で部下を率い、反乱を起こし、ゾイドクライシスを引き起こし、一度ゼログライジスの復活に成功した。 本来はその地で部下と共にネオデスメタル帝国を築き、リジェネレーションキューブを全て掌握し、その力で地球を私色に染め、その後、全宇宙の支配を実行しようとした。
だが、お前がシーザーと呼んでいるライジングライガーと帝国、共和国の連合軍によって私は自身の分身であるゼログライジスと共にキューブの力によって封印された。
しかし、万が一の場合を考えてあの時、私の部下が操ったデスレックスに自らのゾイド因子を与え、そいつをもう一つの私の分身として復活を狙った。
そして、ワイルド大陸で反映した帝国の皇帝がデスレックスを手に入れ、その力を完全にものにするため、デスレックスに内在するゼログライジスと私のゾイド因子から開発した最初のオリジナルデスメタルキーを作り、その力でデスレックスをデスブラストし、その皇帝はまるで狂気的な性格を剥き出しにし、ワイルド大陸だけでなく、他の大陸にも侵略の手を伸ばし、帝国、共和国も制圧した。
だが、お前が姉さんと慕っているユリスという小娘の先祖がデスレックスと絆を結んだために私とゼログライジスのゾイド因子は封印され、デスレックスは狂暴性を無くした。
デスレックスの狂暴性を再び呼び覚ますため、私はオリジナルデスメタルキーに宿る私のゾイド因子で皇帝を操り、再びデスレックスを暴走させ、世界の半分を滅ぼした。
あのまま続けていれば、私の支配はあの時点で完了していただろう。
しかし、エマとかいう小娘の先祖がライジングライガーと共に私とゼログライジスを封印した古代秘宝Zのゾイド因子を受け継ぐワイルドライガーと絆を結び、デスレックスは封印され、私の復活は阻止された。」
「一体どういうことなんですか? ゾイドクライシスの時に反乱を起こしたとか、自分のゾイド因子をデスレックスに与えたとか、一体、あなたは何者なんです?」
「ふん、私はただの人間でもゾイドでもない。 オーガノイドの力と最強の帝王ギャラガー一世の身体とその人格を得た最強の生命体、デスザウラーだ!!」
それを聞いたレイルは青ざめたように驚愕した。
「デス…ザウラー…!」
シーザーとベティは帝都メガロポリスの直前まで来た。
「遂にここまで来た。ここがネオデスメタル帝国の帝都か…」
「ええ、そうよ! 私はここでお父さんと一緒に帝国軍人として育った場所よ。」
「カティア、帝都にどうやって入るんだ?」
「残念だけど、帝都メガロポリスは四方八方、帝都全域でかなりの警備が敷かれていて難攻不落の首都と呼ばれているところ、蟻一匹でも侵入は許さない。 侵入する方法なんてない…」
その時、エマとユリスが何かを見つけ、
「ねえ、あのマンホールのような穴、あんなところにあったかしら?」
「隠し通路!? もしかしたら、殿下はここから入って行ったかもしれない!」
「よし、行こう! 早くしないとレイルが危ない!」
その時、エマが何か危険な何かを感じ取って怯え、
「ウィル、気を付けて! その下に何か邪悪な気を感じる。」
「わかっている。どんな相手でも必ずレイルを助ける。行くぞ、シーザー!」
グオォ~!!
シーザーは咆哮を上げ、ベティと共に下に入った。
宮殿の地下研究所で、デスザウラーと名乗ったギャラガー三世を見たレイルは信じられないような目をした。
「そんな、父上が…デスザウラー……」
「お前に帝王学を教えた時にその存在は教えてやったはずだぞ。
かつて古代ゾイド人によって生み出され、そいつらとその文明、惑星Ziを壊滅寸前に追い込んだ最強のゾイドの名をな!」
「確かに伝説でも聞いたことはある。でも、そのゾイドは惑星Ziでの戦いで滅んだはず!」
「確かに、私はシーザーとかいうライガーに似たライガーによって一度滅ぼされた。
だが、万が一の場合を想定して予め自らのゾイド因子を残し、その後、次々と古代ゾイド人の生き残りに寄生し、遂に地球にまで来た。
ゼログライジスも私のゾイド因子を受け継いだ分身なのだよ!」
「そんな、嘘だ! もし、それが本当ならあなたが持つギャラガー一世の身体は何なんだ!? まさか、コピーした姿なのか…」
「いや、正真正銘帝王ギャラガー一世の身体だ! 実を言うと、最初に開発されたあのオリジナルデスメタルキーには私のゾイド因子が入っていたのだ。
反乱軍のリーダーの男の先祖のアラシに説得されたデスレックスがデスメタルキーの装置を破壊しようとした時にキーも破壊され、その中から私のゾイド因子が解放され、自らマグマに落ち、自害しようとした帝王ギャラガー一世の身体に宿り、宿主にすることに成功した。
とはいえ、流石は帝王ギャラガー一世、ディメパルサートランスのマッドオクテットすら弾く強靭な精神力の持ち主であったため、今まで寄生した宿主と違い、私の支配に抗い、逆に取り込もうとしたため、完全な融合は出来ず、そのままデスレックスと共にマグマに眠った。
それから暫く私は封印されたが、運良くゾイドクライシス後の地球で合流するはずだったが、ゾイドクライシスの影響でコールドスリープ装置から起きる時間が遅くなり、この時代に目覚めた私の部下が私を復活させ、共にネオデスメタル帝国を築き、帝王ギャラガー一世の身体の融合を果たすため、私から一世の意思を分離させた2体のクローンを造らせた。」
「まさか、その部下とクローンは…」
「そうだ! それこそ、私の代理としてネオデスメタル帝国を強大な帝国に成長させたドクターマイルス、そして、その2体のクローンは現皇帝四世のガネストとお前だ!」
「そんな…」
「残念だが、事実だ。そして、今までお前の前にいた私は私がゼログライジスと共に完全体になるまでの影武者のクローンで、そいつを遠隔操作して皇帝を演じた。お前が私を父と呼んでドクターマイルスらの計画に協力してくれたおかげで、遂にゼログライジスと共に完全体となって表舞台に立った!」
「僕は…最初からそのために生まれたということなのか…」
「そうだ! そしてお前は私に更なる究極な力を与えるパーツでもある。 お前の身体にユリスの兄であるパウルスの遺伝子を移植させたのは何故だと思う?
あの2人はかつての真帝国皇帝ハンナ・メルビルの子孫であることは間違いないが、同時にかつて私の部下の1人であった古代ゾイド人の血も入っているのだ!
特にパウルスにはその血が色濃く受け継いでいて、私はその遺伝子を取り込もうとしていた。
だが、奴が帝国の反逆者になったため、奴を処刑して代わりにその遺伝子をお前の身体に移植した。そして更にエマの弟のレイルの遺伝子も加え、ダークライガーを操れる程になった。お前は帝王ギャラガー一世の身体と古代ゾイド人の血を持った完璧な存在なのだ! お前の力は私に非常に近い。」
「僕は今まであなたを父上としてあなたに付いていった。でも、これではっきりわかった。お前は僕の父じゃない!! 僕はお前を許さない!!」
「ふん、お前が私に反逆しても無駄なこと! お前は私の身体の一部になるのだからな!」
その時、ギャラガー三世の身体が液体金属状になり、身体の形が変化していき、ゼロファントスのような白色と紫のラインが入り、ドラゴンのような翼を持った刺々したティラノ型の小型ゾイドに変化していった。
その姿はかつて惑星Ziの大戦に生き残っていた赤いオーガノイド、アンビエントのような姿だった。 それを見たレイルは驚愕した。
「これが私のもう一つの姿、オーガノイド! かつて惑星Ziで強大な力を持ったゾイドだ。
私はドクターマイルスとキューブの力、ゼログライジスのゾイド因子でこの姿と力を得、遂に完全体となった。
この姿は私が惑星Ziで一度復活した際に取り込んだオーガノイドの姿だ。
後は貴様とガネストを取り込み、ゼログライジスと完全融合を果たすだけだ!」
ゼロファントスのような色を持った刺々したオーガノイドの姿になったギャラガー三世の腹の中が開き、そこから無数のコードのようなものが現れ、レイルを拘束した。
「さあ、来るがいい。我が身体の一部になるのだ!」
コードに拘束されたレイルは徐々にギャラガー三世のところ引き寄せられる。
「嫌だ! 僕はお前なんかと一緒にはならない!」
レイルは必死に抵抗するが、コードから紫色の電撃がほとばしり、レイルは苦しむ。
「ぐ、ぐわぁぁ~!!」
「無駄なことだ! 大人しく私に取り込まれるがいい。」
「スピリットガンスラッシュ!」
その時、シーザーが現れ、シーザーのスピリットガンスラッシュがオーガノイドのコードを破壊した。シーザーから降りたエマはレイルの元に駆け寄り、
「レイル、大丈夫?」
「僕は大丈夫だよ。」
オーガノイドを見たウィルは、
「なんだ? あのゾイドは。」
オーガノイドは液体金属状になり、再びギャラガー三世の姿になった。
「お前はギャラガー三世!」
「久しぶりだな。あの時のライガーの小僧! あの時、ジェノスピノに乗った私を倒したのは見事だったよ!最も以前私を封印してくれたその忌々しいライガーの力によるものだろうだがな!」
ギャラガー三世を見たシーザーは激しく警戒した。
「だが、残念だ。あれは影武者のクローンに過ぎん! 今の私が本物だ。それも全てを超越した完全な生命体にな!」
レイルはウィルに、
「ウィル、あいつは僕の父じゃない! 父の皮を被った偽物だ。この世を滅ぼす悪魔だ!」
レイルを抱くエマはギャラガー三世を見て、邪悪な気配を感じ、怯えていた。
「そんな、じゃあ、あの人は…」
「倒してくれ! 僕を騙したあいつを!」
憎悪を剥き出しにしたレイルを見て、ギャラガー三世の方を見たウィルは攻撃を躊躇した。
「どうした? 私を撃たないのか。」
「躊躇うな! ウィル、あいつは人間じゃない!」
「う…」
シーザーはウィルを見てうなずき、
「わかった、シーザー。 スピリットガンスラッシュ!」
シーザーはギャラガー三世にガトリングを放ち、周りの物が破壊され、ギャラガー三世は一気に煙に包まれた。煙が晴れた後、ギャラガー三世は何と無傷だった。それを見たウィルたちは信じられないような表情をした。
「歯応えが無さすぎる!」
その時、ギャラガー三世が両手を振りかざし、両手の指先から紫色の電撃が放たれ、シーザーを襲った。
「ぐわぁぁ~!!」
電撃を喰らって苦しむウィルとシーザー、ベティがギャラガー三世に襲いかかるが、ギャラガー三世はすかさず、片手をベティに向け、ベティにも紫色の電撃を与えた。電撃を喰らって倒れるベティ、
「まず、お前から始末する。」
「ウィル!」
レイルはウィルとシーザーを助けに行こうとするが、コードに巻き付かれた際に食らった電撃の影響で動けなくなってしまう。カティアとユリスも電撃を喰らって動けなくなってしまう。ウィルとシーザーはギャラガー三世の両手から放たれる紫色の電撃を食らい、苦しみ、その姿を見たエマはギャラガー三世の元に駆け寄り、両手を掴もうとする。
「止めて~!!」
しかし、ギャラガー三世は易々とエマの手を掴み、
「無駄な足掻きは止めるんだな! ゾイドを操れない貴様に私は倒せない。ん?」
その時、エマの手がオレンジ色に光り、ギャラガー三世の手に宿ってオレンジ色に光り、紫色の電撃が消え、ギャラガー三世が苦しみだした。
「こ、これは!」
エマは直ぐ様、レイルを抱え、
「皆、今のうちに早く!」
「ああ、そうだな!」
自力で拘束から脱出し、ギルラプターエンペラーはエマとレイルの前に出て、2人を乗せた。カティアも直ぐに回復し、ユリスを抱えてベティに乗ってそのままシーザーに付いていった。
「逃がしたか…」
その時突然、巨大カプセルの中にいるゼログライジスの目が赤く発光し、カプセルにヒビが割れ、地下研究所全体が揺れた。それを見たギャラガー三世は、
「そうか、かつて自分を封印した憎きライガーがここに来たことによって遂に目覚めの時が来たか。
さあ、目覚めろ、我が分身よ! そしてもう一度この地球と愚かな人間とゾイドに絶望を!!」
シーザーとギルラプターエンペラーは地下マンホールを通って帝都メガロポリスから脱出した。ストームとドレイクのところまで逃げ延びた。
キングとジャンはドクターマイルスのゼロファントスとゼロファントス部隊と互角の戦いをしていた。
「どうした? その程度か。」
「あのゼロファントス、キングオブクローブラストを数は発喰らってピンピンしてやがる。奴の強さは間違いなく本物だ。
ドレイク! 極限解放を使う。 一気に肩をつけるぞ!」
「そうだな! もうこれであいつらとおさらばしようぜ!」
その時、ドクターマイルスが何かを感じたような素振りを見せ、
「ふ、遂に記念すべき日が来たようだな! 残念だが、貴様との戦いは一旦お預けだ! そして我々に逆らったらどうなるかという絶望を味わうがいい!」
「ウィル、レイル、無事だったか!」
「はい! ドクターマイルスとゼロファントスは?」
「それが記念すべき日が来たとか言って勝手に逃げていったが…ところで、ギャラガー三世は? 奴の正体は一体何だったんだ?」
「それが…」
その時、帝都全体が揺れ、宮殿の広場の下が2つに割れ、その下からジェノスピノとオメガレックスを遥かに凌駕するサイズを持つ超巨大な怪獣のようなものが現れた。それを見たウィルとストームたちは、
「あ、あれが…ゼログライジス!!」
宮殿のど真ん中に忽然と現れたゼログライジスの肩にはギャラガー三世が乗っていた。ゼログライジスを見た帝国国民たちは驚愕し、
「なんだ、あのゾイドは?」
「ジェノスピノじゃない!」
「オメガレックスでもない!」
「でもあれには皇帝陛下が乗っている。陛下の新たなゾイドなのか!?」
ゼログライジスの肩に乗っているギャラガー三世は、
「さて、目覚めの準備運動のいくか…ゼログライジス、奴等に挨拶をしてやれ。」
ギュオオォ~!!
ギャラガー三世の言葉を聞いたゼログライジスは身体全体が紫色に発光し、勢いよく咆哮を上げ、口を大きく開き、同時に地下研究所で生体実験されたゾイドの死体からゾイド因子が魂のように浮遊し、それが次々とゼログライジスの口に向かって吸収されていった。
そして、ゾイド因子がゼログライジスの口に吸収されていく中、ゼログライジスの胸部が口のように開き、中から巨大な赤いコアが出現し、そのコアから巨大な輪が現れ、その輪はゼログライジスを包み込むように巨大化し、同時にブラックホールのようなものが現れた。
ゼログライジスはその輪に向かって胸部のコアを向けた。
「ゼログライジス、原始 解放…ゼロブラスト! ジ・エンド!!」
ゼログライジスの胸部のコアから数ヵ所の赤いレーザーのようなものが輪の中に入り、それらが天高く舞い上がり、それぞれ別々の方向に飛んでいった。それを見たストームとウィルたちは、
「どういうことだ? 俺たちに向けて攻撃するんじゃないのか?」
その時、グラッドから通信が開き、
「ストーム、大変だ!」
「どうした?」
「こちらから映像を送る。それを見てくれないか!」
レッドケルベロス本社にいるグラッドとブラック社長から映像が送られ、その映像には先程、ゼログライジスが放った数ヵ所のレーザーが向かった場所が映った。
向かった先は、新帝国、旧共和国、同盟軍に属する残り全ての反ネオデスメタルの都市だった。
ゼログライジスが放ったレーザーはそれら数ヵ所の都市をオメガレックスの荷電粒子砲と同等かそれ以上の威力で全ての都市は一瞬で壊滅し、跡形もなく消え去り、焼け野原になってしまった。
それを見たウィルたちは、信じられないような光景を見るかのような絶望的な表情をした。同時にその様子を見た帝国国民たちは、
「凄い、あれだけの都市を一瞬で!」
「これが皇帝陛下の新たな力か!」
「陛下我が帝国ははギャラガー一世陛下と旧デスメタル帝国を完全に越えた! 陛下は完全に神だ!!」
「ウォー!!」
「皇帝陛下万歳!」
「ネオデスメタル帝国万歳!」
「ギャラガー! ギャラガー! ギャラガー!!」
ゼログライジスの肩のギャラガー三世は帝国国民の歓声を見て、
「ふん、これで私に歯向かう愚か者はいない。 それに、これはまだ予兆に過ぎない。新たな終焉の予兆をな!
フフフフ、ハハハハハ、ハーハッハッハッハッハッハ!!」
ギュオオォ~!!
ギャラガー三世の高笑いとシンクロするかのようにゼログライジスも咆哮を上げ、その高笑いと咆哮は帝都全体に響き渡った。 ゼログライジスの力を見たウィルたちは、
「く、遅かったか…」
「遂に最強最悪のゾイドがネオデスメタル帝国の手に渡ったか…」
エマとユリスは見ていられないような表情をし、ウィルとレイルは絶望的な表情をした。
To be continued
次回予告
遂に復活したゼログライジスによって同盟軍、旧共和国、新帝国に属する全ての都市が破壊され、ウィルたちは絶望していた。
その時、ストームやグラッドの元にドクターマイルスのゼロファントス部隊の襲撃を受けて消息不明になったクリスやクルーガーたちから通信が入り、ある強力な助っ人が現れたと言う。
果たして、その強力な助っ人とは? そして、ドクターマイルスの元を離れたリセルはある地に向かい、何かを決心する。
次回「同盟軍集結」
本能を呼び覚ませ、ライガー!!