ゾイドワイルドエヴォリューション アフターZERO   作:オーガスト・ギャラガー

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 ゾイド_それは優れた戦闘能力と自らの意思を持つ金属生命体である。  
 新地球暦1245年、人とゾイドの共存が進む中、ネオデスメタル帝国という強大な軍事国家が地球の8割を支配している時代、辺境の村に住むゾイド好きの少年ウィルはライジングライガーに進化した相棒のシーザーとかつてのシーザーの相棒の血を引く少女エマ、伝説のすのリーダーの子孫であるストーム率いる同盟軍と共に、ゾイドと人々を帝国の支配からの解放と人とゾイドの共存のための戦いに身を投じていった。
 だが、ネオデスメタル帝国では着々と地球を壊滅させる程の力を持つ史上最強のゾイドが復活しようとしていた。


第47話「同盟軍集結」

 帝都メガロポリス、ギャラガー三世が操るゼログライジスの力で同盟軍と旧共和国、新帝国に属する全ての都市が破壊され、帝都中の帝国国民たちは歓喜の声で上がっていた。宮殿の窓からその様子を見たドクターマイルスは、

 

 「十分効果はあったようですね。」

 

 「当然だ。 ジェノスピノ、オメガレックスを遥かに凌駕する力を見れたのだからな。人間というものは必ず力に惹かれる。」

 

 「これで、ゾイドクライシス以後、果たせなかった我々の野望が遂にこの時代で果たされるわけですな。」

 

 「そうだ。本来お前は帝国、共和国の合同軍とあのシーザーとかいうライガーとそれを従えるレオというガキと対決する際に目覚めるはずだったが、あながちタイミングが悪いことではなかったな。

 かつて私が従えた古代ゾイド人の中で特にゾイド因子の強かった者の遺伝子を持つギャラガー一世の身体と人格を手に入れ、封印される前の私を遥かに上回る力を手に入れたのだからな!」

 

 「それはそうと、ガネスト陛下はいかがなされます? ゼログライジス復活で帝国国民の人気が陛下に集中し、更にゼログライジスを陛下が手にすることで大層ご機嫌斜めです。」

 

 「心配するな。奴には相応しいゾイドを与えてやる。私とゼログライジスのゾイド因子で真の姿になったデスレックスをな。

 それにゼログライジスが完全体になったとはいえ、私にとっては、あれでもまだ不完全だ!

 今は真の姿を得たデスレックスに思う存分暴れさせてその闘争本能を呼び覚ませなくてはな。」

 

 「まさか、あの時、敢えてゼログライジスのゼロブラスト発動の時、レッドケルベロス本社を狙わなかったのはそのためですか?」

 

 「そうだ。あのライガー共とは何度も因縁があるからな。デスレックスの闘争本能が完全に解放されたその時、ゼログライジスは更なる究極の力を得、真なる宇宙最強の完全生命体となる。

 そして、レイルを取り込むことは出来なかったが、ギャラガー一世の半分の意識を分離させた分身でもあるガネスト、奴の力だけでもも取り込めば、十分だ! そしてその力で今度こそあのライガーを必ず仕留める。」

 

 ギャラガー三世のいる謁見室の隣部屋にいるゼログライジスの横に全身紫色のデスレックスがいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 レッドケルベロス本社、ウィルたちはレイルからギャラガー三世の正体を聞いた。

 

 「ギャラガー三世は…帝王ギャラガー一世の身体と人格と融合したデスザウラー…!」

 

 「デスザウラー、その名はワシも聞いたことがある。かつて惑星Ziに繁栄した古代ゾイド人によって生み出され、文明を破壊し、惑星Ziを壊滅寸前にまで追いこんだ最強最悪のゾイドじゃ!」

 

 「しかし、そのゾイドは確か惑星Ziの移民が地球に移住するずっと前に倒されたはずだぞ! それにオーガノイドとかいうゾイドも同様に絶滅したはずだ。」

 

 グラッドの言葉にストームは、

 

 「実は俺も以前、デスザウラーのことは調べていた。それによると、あのゾイドは自分はおろか、他のゾイドのゾイド因子や人間の精神を自在に操れる程とのことだったらしい。」

 

 「まさか、そんなことが…」

 

 「信じられないが、あのゾイドはどのゾイドと違い、格が違う!」

 

 レイルは拳を握りしめ、ブルブル震えていた。それを見たエマはレイルの手を優しく握り、

 

 「レイル、落ち着いて!」

 

 「落ち着いてなどいられない! 今まで僕はあいつを父上と呼んで慕っていたけど、ギャラガー一世の身体を奪い、僕をただの道具として利用したんだ! 絶対に許せない!」

 

 「駄目! そんな気持ちでいったらあなたが危険な目に遭ってしまう。」

 

 「これは僕の問題だ! エマ、君が止めることじゃない!」

 

 「それは違うよ、レイル。」

 

 「ウィル、」

 

 「確かにお前の経緯を考えたら、お前の問題かも知れないけど、ギャラガー三世の正体を知った以上、これはお前だけの問題じゃない。俺たちと皆、いや、この星に生きる全ての命あるものの問題だ!

 もし、あいつをこのままのさばらしにしたら、世界は滅びるかもしれない。説得出来れば、それでいいかもしれないけど、でも説得出来なかったら倒すしかない! 俺と皆の力で!」

 

 「じゃが、どちらにせよ、あのゾイドが復活したということはワシたちにとってかなり脅威の存在となった。

 オマケにあのゼログライジスもオリジナルデスザウラーの分身で、しかもあの威力…

 もし奴が完全にゼログライジスと一体化してしまったら、かつての惑星Ziの文明の二の舞になってしまうぞ!」

 

 「あのゼログライジスを倒すにはもっと多くの仲間が必要だ。

 だが、クリスやクルーガーたち、俺たちに味方してくれる反ネオデスメタルの人たちはさっきのゼログライジスの攻撃で全滅してしまった。

 今の俺たちにはゼログライジスどころか、ネオデスメタル帝国軍に対抗出来る戦力はいない。

 ジェノスピノ、オメガレックスを倒したあのグラビティキャノンもドクターマイルスのゼロファントスに襲撃された基地にいたゴルドのものだったし… どう転んでも今の俺たちに勝ち目はない!」

 

 その時、カーター大佐が口を開き、

 

 「だが、今回、殿下が見た研究所によると、帝国の一般兵である機械兵はゼロファントス開発とゼロファントスのライダーを造るために生み出され、人体実験までしているというならば、その実態を帝国中に知らしめれば、帝国国民たちも早々ギャラガー三世に賛同することはできないはずだ。」

 

 「どうかな? あのゼログライジスの力を目の当たりにしたら、いくら帝国の実態を知ったとしても反抗することは出来ないだろう。」

 

 その時、グラッドの通信機から通信が入り、

 

 「ん? 一体誰からだ? 俺たち以外生き残っている者はいないはず… 誰だ?」

 

 「こ、コマンダーですか!? 良かった~。あの後、帝国に襲撃されたと聞いて探したんですが、ようやく見つけましたよ!」

 

 「その声、クリスか!?」

 

 それを聞いたウィルたちは驚愕した。

 

 「むしろ、こっちの台詞だ! お前たちこそ、ドクターマイルス率いるゼロファントスの襲撃に逢ったんじゃないか!?」

 

 「実はあの時、クルーガーのゴルドが崩れた瓦礫の盾になってくれたおかげで何とか全滅せずに済みました。

 ただ、やはり爆撃の影響で新帝国のビッグウィングが致命傷を負ったため、しばらく崩れた基地の中にいましたが、思わぬ援軍が来てくれて我々を助けてくれたんです!」

 

 「援軍?」

 

 「実はユリスに初めて会う前にグレッゲル准将率いる帝国軍と戦っていたあのロボットたちが閉じ込められていた俺たちを助けてくれて俺のジャックやゴルド、ビッグウィング、他のゾイドも修復してくれたのでな!」

 

 「何故、あいつらが?」

 

 「詳しいことは言わなかったが、ゼログライジスとかいうゾイドが復活したから、我々も動かなければならないとか言って、修復の後、どっか行っちまった。コマンダー、何か知っているんですか?」

 

 「クリス、今すぐこっちに来てくれないか?」

 

 「一体何があったんです? まさか、ネオデスメタルがZGと呼んでいるものって…」

 

 「それは後で説明する。とにかくこちらの場所を特定してこちらに来ることは出来ないか?」

 

 「発信器を便りにすれば、直ぐに来れますが、一体何処にいるんですか?」

 

 「レッドケルベロス本社だ。」 

 

 「レッドケルベロス…ちょっと待ってください。コマンダー、そこって確か、ネオデスメタルに加担している軍事企業では…」

 

 「それも順を追って説明する。とにかく今はこっちに来い!!」

 

 「わ、わかりました。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ネオデスメタル帝国帝都メガロポリスの皇帝の宮殿、アッカーマン大佐とコナー少佐はベケット少将の命令によって南方総督府から離脱させられ、帝都メガロポリスに来ていた。

 親衛隊兵士によって宮殿の倉庫に案内させられ、そこにはおびただしい数のゼロファントスと機械兵が量産化され、綺麗に整列していた。コナー少佐はそれを不機嫌そうな表情で見て、

 

 「全ての軍が親衛隊に吸収され、オマケにこんなおぞましいゾイドや機械兵まで量産されるなんて、これでは我が帝国は完全に親衛隊の独裁になってしまいます。

 しかも中将をこんなところに連れていくなんて侮辱にも程があります! カーター大佐が離脱した理由がやっとわかりました。」

 

 「よせ、コナー少佐。ここでそんなことを言ったら我々は反逆罪に問われるぞ!」

 

 「しかし、中将! 悔しくないんですか!?」

 

 「私は帝国に生涯をかけた男だ! 今はただ、現実を受け止め、従うしか道はない。この帝国がなかったら、今の私は存在しない。

 例え、帝国が間違った方向に向かおうともそれに従い、帝国のために死ぬのが私の生き方なのだ。」

 

 「中将…」

 

 「今の私は中将ではない。大佐だ!」

 

 その時、ベケット少将が紫のラインが入った特殊スーツを着用したグレッゲル准将とブリューゲル大尉、ナッシュ・オルドー大尉が現れた。

 

 「ベケット少将、一体何のご命令で…」

 

 「実はこの度、ギャラガー三世陛下からのご命令により、レッドケルベロス本社を叩けとの命令が出たので、あなたたちは私の直属の者と共に出撃することにしたのよ。」

 

 「まさか、グレッゲル准将たちと…」

 

 「元四天王である北方総督グレッゲル准将と前から親衛隊に所属し、機械化兵となったオルドー大尉、そして同じく機械化兵にして元コルク総督ブリューゲル大尉。」

 

 「き、機械化手術もされたんですが、新たに開発したゼロファントスに乗るためには機械兵とドクターマイルスがゼロファントスのバイオアシッドの毒の影響を受けないように開発した耐Zスーツが新たに導入されたのでね。彼らもゼロファントスのライダーになったのよ!」

 

 ベケット少将が指指すと、そこにはドクターマイルスのゼロファントスの量産型にして、それぞれ、目の色と全身の色が緑、黄緑、紫の色違いのゼロファントスがいた。 

 

 「もちろん彼もね。」

 

 「彼?」

 

 その時、ガシンガシンと機械の足音がし、アッカーマン大佐とコナー少佐の後ろから、ウィルのシーザーとレイルのギルラプターエンペラーの連携攻撃によってスティレイザーG3と共に倒されたはずのアーミテージ大尉だった。

 

 「あら、ようやく戻ってきたのね。どう? 身体の調子は?」

 

 「悪くはないな。それにこの金属の身体、まるでゾイドと一体化出来たようで、思う存分暴れられるな。」

 

 アーミテージが振り袖と右腕の皮膚を引きちぎり、その腕は完全な機械の腕になっていた。アッカーマン大佐とコナー少佐はそれを見て驚愕する。

 

 「ところで、俺の新しいゾイドはどれだ?」

 

 「あれよ! 皇帝陛下があなたのために用意したゼロスティレイザーよ!」

 

 ベケット少将が量産型ゼロファントスの後ろにゼロファントスの2倍以上のサイズを持ち、ゼロファントスと同じカラーリングと紫のラインが入った巨大なスティレイザーだった。

 

 「ほぅ、流石は皇帝陛下が用意してくださったゾイドだ。あれなら目一杯暴れられる。」

 

 「今回の決戦で、あれで出撃しろとのご命令よ! くれぐれも皇帝陛下の期待を裏切らないようにしてね。」

 

 「へ、元より、あの時、俺をコケにしたあのわがまま皇子へ復讐してやるのだからな!」

 

 アーミテージ大尉はそのままゼロスティレイザーの元に行った。

 

 「我がネオデスメタル帝国の最新技術を持ってすれば、一度死んだ人間でも脳と心臓どちらかだけでも残れば直ぐに機械化で再生出来るわ。 どう、あなたたちも手術受けてみたら?」

 

 「ふ、ふざけ…」

 

 前に出ようとするコナー少佐にアッカーマン大佐は待ったをかけ、

 

 「いえ、我々は機械化せずとも帝国のために働きます。」

 

 「いいわ。いい心掛けね。陛下は今回の鎮圧を最後の決戦にするとのお考えよ。今度こそ、失敗は許されないわよ。わかってるわね!?」

 

 「もちろん、そのつもりです。」

 

 それを聞いたコナー少佐は怒りと悔しさを抑え、拳を握りしめた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ドクターマイルスの元を離れたリセルとデルはグラビティキャノンでジェノスピノ、オメガレックスを迎え撃つ戦場になった旧共和国首都ネオヘリックシティにいた。リセルは落ち込んだような表情でデルに話しかけた。

 

 「デル、お前と会ってから、俺は今までずっとネオデスメタルへの復讐のために生きてきた。

 ところが、ウィルとシーザーがジェノスピノに勝ってから、俺はあいつに嫉妬してあいつを倒す執着心を持ってドクターマイルスに付いていった。

 俺の本当の目的って結局なんなんだ? それとも、俺がただ、復讐だけのこと考えてきたから、あいつに勝てなかったってことなのか?」

 

 悩むリセルにデルは向こうを向き、リセルに何か見せたいように頷いた。 そこにはバイザーを自力で破壊し、またはバイザーを片方無くしてネオデスメタル帝国から脱走し、野良ゾイドになったキャノンブルとラプトールがさ迷っていた。そこに森から来た野生のラプトール、アンキロックス、ギルラプターがその野良ゾイドの近くに寄り、その野良ゾイドを自分たちの家族に迎え入れるような仕草を取り、野良ゾイドのラプトール、キャノンブルはその野生ゾイドを受け入れ、その後に付いていった。また、野生のハンターウルフもボロボロのキャノンブルを運んでいた。それを見たリセルは、

 

 「そうだ! 俺はただ、復讐とウィルとシーザーを倒すことに執着して自分を見失っていて、俺のやるべきことを忘れていた。」

 

 デルはリセルを見てうなずき、

 

 「ありがとう、デル! 俺の道はここしかない!」

 

 リセルはデルに乗ってそのまま走り去った。

  

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 レッドケルベロス本社、クリスやクルーガーたち同盟軍と旧共和国、新帝国はビッグウィングで本社に辿り着き、クリスやクルーガーたちはグラッドやストームから全てのことを聞いた。

 

 「ゼログライジス、かつてゾイドクライシス以後の地球を壊滅寸前に追い込んだ最強最悪のゾイド、そしてギャラガー三世は一世の身体を得たデスザウラー。」

 

 「信じられないだろうが、事実だ!」

 

 「なるほど、それならあのネオデスメタル帝国があれだけの強大な帝国になった理由がそれなら説明は付く。それにしてもまさか、ネオデスメタル帝国に資金援助をしているレッドケルベロス社に加え、ネオデスメタル帝国軍の名将カーター大佐まで味方になるとは思わなかったよ!」

 

 「今まであなたたちを苦しめた私を受け入れることは当然無理かもしれませんが…我々は殿下同様に間違った帝国を正すためにあなた方と手を組んだのです!」

 

 その時、クルーガーがカーター大佐の前に立ち、

 

 「私もあなたに賛成だ。我々同盟軍の目的はあくまで人とゾイドの共存、そしてこの世界を正しい方向に導くためだ。」

 

 「クルーガー将軍、ありがとうございます。」

 

 「私はむしろ君のような人と仲間になれて嬉しいよ。」

 

 クルーガーとカーター大佐が握手するのを見たシーガル中将は、

 

 「私は大反対です! かつての真帝国の栄光を受け継ぐ我が新帝国がネオデスメタル帝国の人間と手を組む等、あってはならん! 」

 

 その時、シュバルツ中佐が立ち、

 

 「シーガル中将、今はそんなことにこだわっていることではありません。ここでは帝国も共和国も関係ない。

 これはこの星に生きる全ての命を守る戦いなのです! いつまでも真帝国の栄光にしがみつくのは止めて下さい!

 仮に新帝国が建国されたとしてもいつまでも真帝国の栄光にしがみつくようでは、またかつての過ちと共和国との戦争を繰り返すだけです!! 

 いい加減目を覚ましたらどうですか!? それではいつまで経ってもあなたの家は負け犬として汚名を着せられるままです!!」

 

 「ま、負け犬!? この私と我がシーガル家が負け犬だと~! 侮辱は止めろ!! 貴様はアルドリッジ大佐の弟、黙って大佐に付いていけばいいのだ! 我が新帝国皇帝メルビル二世陛下もそれを望んでいるのだ!」

 

 「シーガル!」

 

 その時、声を上げたのはユリスだった。

 

 「私もカーター大佐とシュバルツ中佐の考えと同じです! 今は帝国と共和国とで争う時ではありません。それに私はかつての過ちを繰り返したくありません!

 私の願いはこの世界から戦争を無くすことです。きっと私の先祖もそれを望んでいたはずです。だから、シーガル、お願いです!」

 

 「ですが、メルビル二世陛下、これは…」

 

 「これはお願いではありません。命令です! 新帝国皇帝メルビル二世である私の命令です!」

 

 エマもシーガル中将の前に立ち、

 

 「お願いです! 私からもお願いします!」

 

 エマとユリスの真剣な眼差しを見たシーガル中将は遂に逆らえなくなり、

 

 「わ、わかりました。従います。」

 

 それを聞いたアルドリッジ大佐は、

 

 「中将! 何を仰るのです!?」

 

 「いくら我々でも新帝国皇帝陛下のご命令に従わなくてはいかんのだ。」

 

 「アルドリッジも!」

 

 「わ、わかりました。」

 

 それを見たストームは、

 

 「ようし、決まりだな!じゃ、新帝国はカーター大佐の指揮下に入れよう。あのバカ共に新帝国は任せられんからな!」

 

 「待て! そんなことは断じて…」

 

 「何か、文句でもある…?」

 

 ストームの鬼のような睨み付けた形相にシーガル中将とアルドリッジ大佐はその気迫に負け、タジタジとし、そのまま引き下がった。

 

 「よし、これで同盟軍は纏まったな! 後はネオデスメタルをどう迎え撃つかだ!?」

 「といっても、あのゼログライジスを迎え撃つのは厳しいかもしれん。ゴルドのグラビティキャノンはまだ後2発は残っているとはいえ、それで対抗出来るかどうか…」

 

 その時、レッドケルベロス社のブラック社長が現れ、

 

 「カーター大佐、大変です!」

 

 「どうした?」

 

 「ギャラガー四世率いる親衛隊がこちらに向かって進行してきました。」

 

 「規模はどれぐらいだ?」

 

 「ゼロファントス部隊やドクターマイルスのゼロファントスの量産型や全ての親衛隊を含め、およそ数十万です。」

 

 「やはり、こちらに味方が増えたことを想定して大規模な部隊を寄越したか! ところで、ギャラガー四世の乗るゾイドはオメガレックスか?」

 

 「いえ、オメガレックスではありません。」

 

 「オメガレックスじゃない? まさか、ジェノスピノか!?」

 

 「いえ、違います…」

 

 「一体なんだ?」

 

 「それが…全身紫色のデスレックスです!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 レッドケルベロス本社に向けて進撃するゼロファントス部隊と四世親衛隊の先頭にはガネストが乗る全身紫色のデスレックスが歩いていった。

 

 「凄い、凄い。乗っているだけでゾクゾクしてきたよ!オメガレックスですら可愛いぐらいだよ。

 それにしても、ボクの前世が操っていたデスレックスの真の姿に乗れるなんて夢にも思わなかった。

 これなら、もっと面白いゲームが出来るし、あいつを独壇場から引きずり落とすことも出来る。

 あいつはボクの前世を取り込むためにボクを造ってボクを取り込もうとしているけど、そうはさせないよ!

 皇帝はボクだ! この世界と全てのゾイドはボクのものなんだからね。それじゃ、やるよ。デスレックス 紫龍。」

 

 ギュオオォ~!!

 

 ガネストの言葉に応え、デスレックス紫龍形態は目一杯咆哮を上げ、レッドケルベロス本社にまで響き渡った。

 

 To be continued




 次回予告

 ガネストの操るデスレックス紫龍形態を迎え撃つためにウィルとストームたち同盟軍はかつてオメガレックスとジェノスピノを迎え撃った時と同様にゴルドのグラビティキャノンでデスレックス紫龍形態に立ち向かうが、デスレックス紫龍形態はジェノスピノやオメガレックスを遥かに上回るパワーとスピードで同盟軍、旧共和国、新帝国の合同軍を一瞬で葬った。
 シーザーたちも奮戦するが、苦戦を強いられてしまう。その時、リセルのデルの現れ…

 次回「デスレックス紫龍」

 本能を呼び覚ませ、ライガー!!

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