ゾイドワイルドエヴォリューション アフターZERO   作:オーガスト・ギャラガー

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 ゾイド_それは優れた戦闘能力と自らの意思を持つ金属生命体である。  
 新地球暦1245年、人とゾイドの共存が進む中、ネオデスメタル帝国という強大な軍事国家が地球の8割を支配している時代、辺境の村に住むゾイド好きの少年ウィルはライジングライガーに進化した相棒のシーザーとかつてのシーザーの相棒の血を引く少女エマ、伝説のすのリーダーの子孫であるストーム率いる同盟軍と共に、ゾイドと人々を帝国の支配からの解放と人とゾイドの共存のための戦いに身を投じていった。
 だが、ネオデスメタル帝国では着々と地球を壊滅させる程の力を持つ史上最強のゾイドが復活しようとしていた。


第48話「デスレックス紫龍」

 レッドケルベロス本社、ウィルとストームたち同盟軍はデスレックス紫龍形態率いるギャラガー親衛隊を迎え撃つ準備をしていた。

 クルーガーとグラッドは、同盟軍や旧共和国、新帝国のメンバーたちの前に立ち、作戦を説明していた。

 

 「敵は紫色のデスレックスを筆頭に元々の親衛隊に加え、ドクターマイルスが率いていたゼロファントス部隊を入れてその数およそ60万、だが、紫色のデスレックスの戦闘力は未だ未知数。

 そこで、かつてジェノスピノやオメガレックスを迎え撃った時と同様にグラビティキャノンでデスレックスを迎え撃つ作戦でいく。仮にあのデスレックスがジェノスピノ、オメガレックス以上だとしても、一発でジェノスピノ、オメガレックスの2体を沈めたグラビティキャノンなら、十分対抗できるはずだ! そこで、以前同様、デスレックスと親衛隊を分離させ、デスレックスにグラビティキャノンを撃ち込む作戦にする。」

 

 その時、ドレイクが口を開き、

 

 「その作戦だが、少し異を唱える! あの紫色のデスレックスはゼログライジスのゾイド因子を持ったデスレックスの真の姿の紫龍形態だ!」

 

 「紫龍形態?」

 

 「あれはおそらくデスレックスに眠るゼログライジスのゾイド因子が目覚め、デスレックスの本能が解放された最終形態だ。奴の全身の紫色が何よりの証拠だ。」

 

 「俺の見立てが正しければ、あのデスレックス紫龍形態の戦闘力はジェノスピノやオメガレックス以上、いやむしろゼログライジスと同等だろう。

 いくら、ジェノスピノ、オメガレックスを一度倒したグラビティキャノンでもあれを倒すのは不可能だろう。」

 

 「だが、今の俺たちにデスレックスを迎え撃てる最大の武器はあれしかない。」

 

 その時、ストームも立ち上がり、

 

 「いや、ドレイクの言うことに一理ある。俺の先祖はギャラガー一世のデスレックスと戦ったことがあるから、俺もデスレックスの脅威はよく知っている。ましてやあのデスレックスの最終形態だとすれば、デスブラストするとゼログライジスと並ぶ脅威になるかもしれない。

 となると、一番気を付ければならないのは、やはり、あのデスレックスだ。」

 

 「だが、そうなると、残りの親衛隊はどう対処する? 中にはドクターマイルスが造ったゼロファントスもいるんだぞ。」

 

 「となると、また陽動作戦を使うしかないな。」

 

 「陽動作戦というと、以前、ジェノスピノ、オメガレックスを迎え撃った時に2体を別の場所に引き込み、残りの軍をそこに釘付けにする作戦か…

 しかし、あのギャラガー四世が2度も同じ手に引っ掛かるとは到底思えん。しかも今度は真の姿になったデスレックス紫龍形態が相手だ。」

 

 「いや、待てよ! 四世の奴が一世の生まれ変わりで性格も同じだとすれば…

 なあ、ストーム、同盟軍やその面々の皆さんよ。この作戦、俺に任せてくれないかな?」

 

 「自信はあるのか?」

 

 「なあに、奴のことは俺が一番よく知っている。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 デスレックス紫龍形態とベケット少将のドライパンサーG3、機械化で復活したアーミテージ大尉のゼロスティレイザー率いる四世親衛隊と三世親衛隊によるゼロファントス部隊はレッドケルベロス本社に向けてゆっくりと進軍していった。デスレックス紫龍形態を見たベケット少将は、

 

 「陛下、遂に真の姿になったギャラガー一世陛下のデスレックスに乗ることが出来ておめでとうございます! これで反乱軍を用意に鎮圧することが出来ますね。」

 

 「ああ、そうだね。ゼログライジスを手に入れることは出来なかったけど、このデスレックス紫龍形態がいれば、ボクが世界最強だと証明することができる。

 そして、洗脳が甘かったウルフのライダーのおかげで、楽しめなかったゲームを再び再開することができる。オリジナルデスメタルキーも手に入れたし、早くデスブラストしてこいつの力を存分に味わいたいよ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 デスレックス紫龍形態率いるギャラガー親衛隊がレッドケルベロス本社のある都市の前まで来たその時、ドレイクのジャン率いるレッドケルベロス社のバイザー無しのラプトールやキャノンブル初めの兵器ゾイドに新帝国、旧共和国のゾイドたちが現れた。それを見たベケット少将、アーミテージ、ガネストは、

 

 「なんですの、あのギルラプターは? あんなの反乱軍にいましたか?」

 

 「確か、どっかで見たことあるような… 」

 

 「ボクは知っているよ! 確か春菊の… 」

 

 「瞬擊のドレイクだ!! わざと言ってるんだろ、てめえ!」

 

 「皇帝陛下に侮辱は許しませんよ!」

 

 前に出ようとするドライパンサーG3に対し、ガネストは待ったをかけ、

 

 「いいよ! 手を出さなくて、 ところで、何しに来たの? ドレイP。 あのライガーはどうしたの? ボク、あいつに用があって来たんだけど。」

 

 「それが、残念なことに全員、俺にやられちまってね。」

 

 「やられた!? いくら、元旧デスメタル四天王のそのギルラプターといえども、先帝陛下のジェノスピノを倒したあのライガーを倒したですって! 冗談は止めなさい。」

 

 「冗談ではないさ! 俺は元から、あいつらの考えには賛同しなかったから、それで反抗したあいつらを俺が倒したのさ。」

 

 「証拠はあるのかしら?」

 

 パチン!

 

 ドレイクが指を鳴らした時、ラプトールが巨大なカーゴを持ち、開いたら、中にはボロボロになったライガーの足があった。

 

 「この通り、ライガーは俺にやられ、そして、旧共和国と新帝国は今や、俺の配下になったというわけだ。

 といっても、俺は貴様らネオデスメタル帝国に従うためにやったわけじゃねぇ。あいつらのやり方は気にくわないが、かつて俺の相棒の兄弟を殺し、先祖も旧デスメタには何度も酷い目に逢わされた。 当然、貴様らと手を組む気はさらさらない!」

 

 「じゃあ、何がしたいの、ドレイP?」

 

 「それは貴様もわかっているだろ? 貴様は俺の先祖との戦いで死んだはずのギャラガー一世のクローンにして、しかもその生まれ変わり、だとするなら、一世はお前という存在として生きている。

 つまり、先祖の復讐はまだ果たしていない。だから、先祖の復讐を俺の手で果たす!!」

 

 「愚かね。 いくら、あんたでも陛下どころか、あたしたちの足元すらも及ばないわ! あたしたちは皇帝陛下を護衛する精鋭なるギャラガー親衛隊、旧デスメタル四天王とは格が違うのよ!」

 

 「そうだ! あいつは俺に任せてくれないか? せっかく復活した身体とこのゼロスティレイザーの力を試すいい機会になりそうだ!」

 

 しかし、再びガネストはベケット少将とアーミテージ大尉に待ったをかけ、

 

 「いいよ! キミたちは手は出さないで。」

 

 「しかし、陛下!」

 

 「ライガーを倒したって言うなら、相当、腕を上げたんだよね? ドレイP。」

 

 「当然だ! 俺はかつての先祖を遥かに上回るレベルに到達したんだからな!」

 

 「へぇ~、それは楽しみだ! かつてのボクの前世の部下で、瞬擊の異名を持つキミと戦えるなんてね。しかも真の力を得たこのデスレックス紫龍の力を試すことも十分出来る。そうでしょ? デスレックス。」

 

 グルル…

 

 ガネストの問いに応えるようにデスレックス紫龍は静かにうなずいた。それを見たジャンは少し怯え、

 

 「心配するな。お前は強い。かつての俺の先祖と一緒にいた時よりずっと強くなっている! この戦いで、パワーアップしたのがストームとキングだげじゃないってことを教えてやろうぜ!」

 

 ジャンはドレイクの言葉を聞いてうなずく。

 

 「それじゃ、始めようか。」

 

 「おっと待った!」

 

 「どうしたの?」

 

 「俺の相手はあくまでお前だ。その後ろにいる腰巾着に用はないし、まとめて掛かって来たら、フェアじゃないからな。」

 

 それを聞いたベケット少将とアーミテージ大尉は、

 

 「腰巾着だと! 舐めたこと言ってくれるわね。偉大なるギャラガー皇帝陛下に仕える我ら親衛隊を侮辱することは即ち、陛下を侮辱するに等しい。 あなたのその態度、万死に値するわ!」

 

 「そうだね。確かにそれは言えてるね。いいよ! キミとの一騎討ち、受けてたつよ。」

 

 「陛下!」

 

 「だってこの方が面白いんじゃん! それなら、せっかく復活したデスレックスの力を存分に味わえるし、全員で掛かったら、デスレックスの力を発揮出来ずにドレイP直ぐやられちゃうから、面白くなくなっちゃうしね。」

 

 それを聞いたドレイクはニヤリとし、

 

 「(よし、いいぞ。いくら、奴でもやはり、この手に乗らん訳にはいかないからな。) よし、では、早速、復讐ゲームの始まりといこうか。

 と、その前に、後ろの取り巻きのお前らはもう少し下がっててくれないかな? いくら、お前らでも、デスレックス紫龍がまともに戦ったら無事じゃすまないだろうし。」

 

 「ホントに無礼な奴ね。あんな奴の先祖が元旧デスメタル四天王だと思うと虫酸が走るわ!」

 

 「出来れば、俺の手で葬りたかったが… 」

 

 「まあ、いいでしょ。どうせ、ボクが葬るわけだし。 さて、ドレイP、かつて旧デスメタル四天王にして、瞬擊の異名を持ったキミの実力見せてもらうよ。」

 

 ドレイクはスッとゾイドキーを取り出し、

 

 「俺の先祖はかつて元旧デスメタル四天王としてワイルド大陸にその名を轟かせた男、だが、その血を受け継いでも俺は誰でもない、俺自身だ。

 だからといって、先祖と同じ異名を名乗る訳にはいかねぇし、先祖に申し訳ねぇからな。 敢えてつけるとしたら、今の俺は…音速のドレイクだ!!

 猛れ、ジャン! 俺の魂と共に、進化 解放! エヴォブラストー!! 新・瞬極殺!!」

 

 エヴォブラストと共にジャンは地面に潜った。それを見たガネストは、

 

 「ん? 地面に潜っただと。あんなわざわざ、あの甘ちゃんの兄貴のギルラプターエンペラーにもない技だ。へぇ~、これは面白そうだ。」

 

 その時、デスレックスの背後から地面に穴が空き、

 

 「そこか!」

 

 デスレックスは尻尾でジャンを振り払おうとするが、ジャンは瞬時に避け、デスレックスの顔に一撃を噛まし、また地面に潜って地面から出ては、デスレックスの攻撃を避けながら、デスレックスを攻撃した。デスレックスはジャンを捕らえることが出来ず、そのままジャンの攻撃を受ける。

 

 「瞬極殺、これは瞬擊殺、音速殺とは違う、ギルラプターのもう1つの技、それは自身の鍵爪とスピードを生かし、地面に潜りながら、相手を撹乱させる技だ。

 しかも、俺のジャンは200年の歳月を経て、元々同種だったソニックバードと同様の足に発達して進化を遂げた。そして、先祖の相棒になっていた時の力も加え、更にスピードが格段に上がった。そのスピードはソニックバード以上、いくら、貴様でもこの攻撃を読むことは出来ない!」

 

 攻撃を止め、その場に立ったジャン、

 

 「どうだ?」

 

 しかし、デスレックス紫龍はあれだけの攻撃を受けても身体の何処にも傷1つ無かった。コクピットにいるガネストは首をカクカクし、

 

 「ん~、いい攻撃だったけど、その程度なの?」

 

 「今の攻撃、並みのゾイドなら、喰らった瞬間、即死のレベルで、実際、キャノンブルとバズートルの二個中隊をあの技で全滅させたことがあるのに、やはり、流石は真の力を得たデスレックス、この程度の攻撃じゃ、準備運動にもならんか。」

 

 「どうしたの? もっと来てよ! それとも、怖じ気ついたの?」

 

 デスレックス紫龍はその巨体にはそぐわない大ジャンプをし、ジャンを踏み潰そうとした。ジャンは間一髪で避け、

 

 「やはり、最初から跳ばした方が良さそうだな。行けるか? ジャン。」

 

 グオォ~!!

 

 「よし、行くぞ、進化 極限 解放!! 新・音速殺!」

 

 極限解放でリミッターを解除したジャンは目にも止まらぬスピードで、デスレックス紫龍に襲い掛かった。

 デスレックス紫龍はその攻撃をもろに受け、少し怯んだ。

 

 「流石にあの一撃は効いたようだな。もう1発喰らえ!!」

 

 しかし、ジャンがもう一度攻撃を当てようとしたその瞬間、デスレックス紫龍は前足でジャンを掴んだ。

 

 「何!?」

 

 「確かにさっきより、いい攻撃だったよ。でも、それでもボクとデスレックスを満足させる程ではないね!」

 デスレックス紫龍はそのまま掴んだジャンを放り投げた。

 

 「がはぁ!」

 

 デスレックス紫龍はその巨体にそぐわないスピードで、ジャンの方に向かって走っていった。ジャンは持ち前のスピードで、その攻撃を避けるが、デスレックス紫龍の尻尾に凪ぎ払われてしまう。それを見た親衛隊兵士は歓喜を上げた。

 

 「ウォー!! 皇帝陛下万歳! ギャラガー四世陛下万歳!!」

 

 「流石は皇帝陛下、所詮元旧デスメタル四天王すらも対した問題ではなかったようね。」

 

 「ふ、俺の力を見せることが出来ないのは残念だが、陛下がゆっくりとあのクズを料理するのを見るのもまたいいかもな。」

 

 デスレックス紫龍はゆっくりとジャンに近付いていった。

 

 「パワーアップした力は伊達じゃないけど、どうやら、ボクとデスレックスの闘争本能を呼び覚ます程ではなかったようだね。

 あのライガーを倒すって言ってたから、期待してたのに、とんだ期待外れだね! じゃあ、バイバイ。デスレックス、殺っちゃって!」

 

 ギュオォ~!!

 

 デスレックス紫龍は目一杯咆哮を上げ、ジャンを食べようとしたその時、

 

 ズドン!!

 

 突然、大砲の音がし、謎の影がジャンを拾い、その場を離れ、デスレックス紫龍はその大砲の弾を喰らった。デスレックス紫龍の回りには巨大な重力が発生した。

 ベケット少将とアーミテージ大尉が向こうを見たその時、レッドケルベロス本社のビルにグラビティキャノンを装備したゴルドの姿があり、放たれたのはグラビティキャノンだった。そして、ジャンを助けたのはギルラプターエンペラーで同時にシーザーやキング、レックスにジャックら同盟軍の精鋭ゾイド、ユリスのレナ、スミスのグソックらスレイマーズのゾイドたちが現れた。

 

 「まさか、奴は囮だったというのか!?」

 

 ジャンのコクピットの中で目を覚ましたドレイクはギルラプターエンペラーを見て、

 

 「済まなかったな。本来、俺が守るべきはずだったお前に助けられるなんてな。」

 

 「何言ってんだよ! 僕は男だ。それに帝国の皇子だから、俺が助けなきゃ!」

 

 「その通りだ! 早いとこ、この戦いを終わらせてもう一度フリーダム団のような自由な旅を始めるんだ。そうだろ? ウィル。」

 

 「はい、ストームさん。俺は人々とゾイドを守るために戦う。そのためにお前たちを倒す。」

 

 グオォ~!!

 

 ウィルの言葉にシーザーは思いっきり咆哮を上げる。

 

 「だが、どういうことだ? あのライガーの足は間違いなくライガーの足だったはずだぞ!」

 

 ベケット少将の疑問にドレイクは、

 

 「そうだ! あれは間違いなくライガーの足だ。だが、ここにいるキングとシーザーではない。そもそもキングとあのデスレックスは通常種の突然変異種、ゾイドクライシス時の地球では複数体いたが、それが絶滅し、辛うじて残った化石をダミーにしたのさ!」

 

 「く、あたしとしたことが不覚! 反乱軍の罠に掛かるなんて! それより、陛下、陛下を!」

 

 ベケット少将はグラビティキャノンを喰らったデスレックス紫龍の元に向かうが、親衛隊兵士が待ったをかけ、

 

 「危険です! ベケット少将、あのグラビティキャノンの重力を喰らったら、少将でもただではおきません。」

 

 「ぐ、ウォ~!!」

 

 しかし、デスレックス紫龍はグラビティキャノンを食らいながらも尚も自力でその重力に耐え、足元が地面に食いついた。それを見たクルーガーは、

 

 「まさか、グラビティキャノンの重力を食らいながらも自力でそれに耐えるなんて初めてだ!」

 

 デスレックス紫龍は自力でグラビティキャノンの重力を押し戻そうとするが、押し戻すことが出来ず、そのまま地面にのめり込んでしまう。

 

 「う… く… ヌウォ~!!」

 

 ガネストは最後の力を振り絞ってかつてギャラガー一世がデスレックスをデスブラストさせたオリジナルデスメタルキーを取り出す。しかし、そのままデスレックス紫龍は地面に埋もってしまった。

 

 「陛下!!」

 

 デスレックス紫龍が埋もれたのを見たグラッドは、

 

 「流石はグラビティキャノン! あのデスレックスすらも倒した。となると、残りは親衛隊だな。今の俺たちは万全の状態だ。覚悟しろ!」

 

 「皇帝陛下を倒した罰受けてもらうわよ!」

 

 「今度こそ、ネオデスメタル帝国の最後だ!」

 

 「デスレックス、強制 解放! デスブラストー!!」

 

 その時、ガネストの声と共に地面から赤い衝撃波が放たれ、地面にひびが割れ、地面が割けていった。同盟軍や親衛隊のゾイドが後退りする中、なんと、中からデスブラストしたデスレックス紫龍が現れた。デスレックス紫龍の装甲には少しの傷しかなかった。それを見たクルーガーは驚愕し、

 

 「そんな、まさか、グラビティキャノンをまともに受けてそれを自力で耐えるゾイドがいるなんて!?」

 

 コクピットの中のガネストは首をカクカクと鳴らし、

 

 「いや~、今のは危なかったよ! でもね、地面に潜り込む瞬間、デスブラストしたおかげで、ボクもデスレックスも無事だったよ。

 まさか、デスレックス紫龍の力がこれ程だったとはねぇ…ジェノスピノやオメガレックス以上の最高のオモチャだ。 後それと今の攻撃で、デスレックス…相当ブチギレてるよ!」

 

 グロロオォ~!!

 

 咆哮を目一杯上げ、怒りを顕にするデスレックス紫龍、

 

 「流石は皇帝陛下! もはや、我々に敵う者はいません。」

 

 

 「おっと、まだ手は出さないで… もう少し1人でやりたいんだよ。前の戦いで思う存分楽しめなかった分楽しみたいからさ!」

 

 「相変わらずですね、陛下は。」

 

 「陛下が楽しめるなら、俺もそれで十分だ。そして、後でじっくり残りの連中を俺が料理してやる。」

 

 「行くよ、デスレックス紫龍!」

 

 シーザーたちの前に走りよるデスレックス紫龍、

 

 「来るぞ、皆、ワイルドブラストだ!」

 

 全員がワイルドブラストしたその時、デスレックスはシーザーに口内のウブラドリルを当てようとする。シーザーはすかさず、Eシールドを展開し、攻撃を防ぐが、デスレックスはデスジョーズでそのままシーザーを捕らえる。ウブラドリルでシーザーのEシールドを貫通させようとするデスレックス、

 

 「大丈夫か!? シーザー、」

 

 「今行くぞ、ウィル! ドレイク、最初から跳ばすぞ!!」

 

 「言われなくても分かってるよ!」

 

 「キング、進化 極限 解放!」

 

 「ジャン、進化 極限 解放!」

 

 「キングオブクローブラスト!!」

 

 「新・音速殺!!」

 

 キングとジャンの同時攻撃がデスレックスに直撃するその瞬間、デスレックスは両前足でキングとジャンを掴んだ。

 

 「何!?」

 

 「バカな!?」

 

 「う~ん、どっちもいい攻撃だね! でも、勘違いしないでよね。今のボクとこのデスレックスはボクの前世よりずっと強くなっているからね。」

 

 デスレックスはそのまま掴んだキングとジャンを向こうに投げた。直ぐ様態勢を変え、ダメージを軽減するキングとジャン、

 

 「く、どうやら、俺たちが思っている以上に手強いようだな。」

 

 「何、ちょっと落ち込みモードになってやがる! 俺とお前の先祖はあのデスレックスに一度勝ったんだぞ! いくら、奴がどれだけパワーアップしようが関係ねぇ。それに俺たちだって先祖より更にパワーアップしている。 先祖が出来て俺たちに出来ないわけがない!」

 

 キングもジャンもドレイクの言うことに賛同するようにうなずいた。

 

 「そうだな。ちょいと、デスレックスの力に圧倒されちまったようだぜ! フリーダム団の力をもう一度あいつに見せてやろうぜ!!」

 

 「悪いけど、キミたちはそこで見ててくれないから、ボクはこのライガーに用があるんだ。キミたちとの相手はその後だよ。」

 

 デスレックスはウブラドリルでシーザーのEシールドを無理やりこじ開けようとするが、シーザーは必死に抵抗する。

 

 「ウィル、ギルラプター!」

 

 レイルのギルラプターエンペラーがシーザーを助けに行こうと、後方から回って後ろからコクピットを狙おうとする。

 

 「新・音速殺!!」

 

 しかし、デスレックスはギルラプターエンペラーを尻尾で凪ぎ払う。

 

 「シーザーを離しなさい!」

 

 狙撃仕様として改造させたユリスのレナがデスレックスに向けて、兄のパウルスから習った持ち前の腕で、デスレックスのデスジョーズを撃ち込んだ。しかし、デスジョーズは傷一つ付かない。同時にカティアのベティがデスレックスのデスジョーズを攻撃しようとする。

 

 「このぉ~!!」

 

 デスレックスは前足でベティを掴み、そのままレナの方に向けて投げつけた。

 

 「きゃあ!!」

 

 「ドレイク、尻尾と前足の届かない太ももに攻撃するぞ!」

 

 「OK!」

 

 「キングオブクローブラスト!!」

 

 「新・音速殺!!」

 

 しかし、デスレックスは身体から赤い衝撃波を放ち、キングとジャンを振り払った。

 

 「くそ、隙がねぇ。」

 

 「ふん、さて、後、何分耐えられるかな~?」

 

 デスレックスのウブラドリルがシーザーのEシールドを貫通しようとしたその時、

 

 「シーザー、あれやれるか!?」

 

 グオォ~!!

 

 「よし、行くぞ、シーザー! スピリットガンスラッシュ!!」

 

 シーザーはA-Zグレネードランチャーをデスレックスの目に向けて発泡した。目を撃ち抜かれ、苦しむデスレックスはデスジョーズを解き、シーザーを離した。

 

 グロロォ~、グロロロロ~!!

 

 「目潰しとは、随分アジな手を使うね~。でも、余計にデスレックスを怒らせただけみたいだよ!」

 

 グロロォ~!!

 

 怒りを顕にしたデスレックスはシーザーに襲いかかった。近くにいた同盟軍、旧共和国、新帝国の一般兵士のゾイドがデスレックスに向かってかかるが、デスレックスは身体からの赤い衝撃波とジェノサイドドリルで、一瞬で殲滅した。デスレックスは巨大な足でシーザーを踏みつけようとし、シーザーは再びEシールドでそれを防ぐ。

 

 「前はオメガレックスだったけど、今度はどれだけ耐えれるかな?」

 

 キングたちが助太刀に行こうとするが、

 

 「おっと、それ以上近付いたら、このライガーは一瞬でペチャンコになるよ! それでもいいの?」

 

 それを聞いて身動きが取れないストームたち、それを見たグラッドは、

 

 「くそ、俺も行くしかなさそうだな! 行くぞ、レックス!」

 

 しかし、レックスの前にドライパンサーG3が立ち塞がった。

 

 「あんたの相手は私よ!」

 

 「お前は親衛隊のベケット少佐か!」

 

 「今はベケット少将よ! 三世陛下の復活のおかげで、あたしは親衛隊の隊長となったのよ。」 

 

 「は、お前ごときが少将だと? 笑わせてくれるぜ!」

 

 「試してみる?」

 

 「やってやる! ファイルガトリング!!」

 

 レックスはドライパンサーG3にガトリングを撃ち込むが、ドライパンサーG3は瞬時に避ける。

 

 「何!? どこ行った?」

 

 「ドライスラッシュ!!」

 

 それに気付いたグラッドはすれすれでドライパンサーG3の攻撃を避ける。

 

 「よく避けたわね。」

 

 「へ、こちとら、貴様らの帝国の元軍人として、レックスと共に戦場を潜り抜けた男だ! 親衛隊のアマなんかに負けはしねぇよ!」

 

 「そうかしら?」

 

 ドライパンサーG3は音速に近い速度を出してレックスを攻撃する。レックスは避けようとするが、避けきれず、装甲に傷が付いてしまう。

 

 「どう? 親衛隊とただの軍人のあんたじゃ、ここまで差があるのよ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 アーミテージ大尉の操るゼロスティレイザーが次々と旧共和国、新帝国のゾイドを蹴散らす中、ケンのゼル、アレックスのウィーリィー、アッシュのバンプ、そしてスレイマーズのゾイドたちが現れた。

 

 「貴様の相手は我々だ!」

 

 「ほう、この数が相手なら、十分にこのゼロスティレイザーの力を試せるな。」

 

 「えらいデカいスティレイザーだな。」

 

 「感心してる場合じゃないぞ、アレックス!」

 

 「しっかし、何でこいつが生きてるんだ? 確か、ウィルとレイル坊っちゃんが倒したはずなんだが… 」

 

 「理由は関係ない。とにかくこいつを倒すぞ!」

 

 「よっしゃ、もう一度、スレイマーズの底力を見せてやるぜ!」

 

 「虎振!!」

 

 「弾丸鈍波!!」

 

 「金剛旋撃衝!!」

 

 「ヘキサスラッシュ!!」

 

 「四連蟹鋏!!」

 

 「リッパーエッジ!!」

 

 「ヒット&デス!!」

 

 ゼル、ウィーリィー、バンプ、スレイマーズのラプトリア、クワーガ、ラプトール、スコーピアが一斉にゼロスティレイザーを攻撃する。しかし、ゼロスティレイザーはバリアを張り、ゼルたちの攻撃を全て弾き返した。

 

 「ぐわ、なんだ、あれは?」

 

 ゼロスティレイザーが張ったバリアはなんとEシールドだった。

 

 「あいつ、シーザーみたいにEシールドを張れるのか!?」

 

 「どうした、その程度か? なら、こちらの番だ! ゼロスティレイザー、原始 解放! ゼロブラストー!! ゼロプラズマウォール!」

 

 コクピットのアーミテージ大尉とゼロスティレイザーの身体が紫色に発光し、そのままゼルたちに向けて突進した。ゼロスティレイザーのエレクトフリルをもろに受け、ゼルたちは勢いよく吹っ飛ばされてしまう。

 

 「今のはかなりヤバイダメージだぜ!」

 

 「い、今ので結構いいもん貰っちまった!」

 

 「う、う~ん。ん?」

 

 その時、攻撃を受けたゼルたちの身体が段々、紫色に侵食していった。

 

 「こ、これは!? まさか、コマンダーが言ってたバイオアシッドの毒か!」

 

 「その通り、俺のゼロスティレイザーは元のスティレイザーG3をベースにゼロファントスと同様、ゼロゾイド西田のさ! これを食らったら、最後、バイオアシッドの毒に侵され、段々とそのゾイドを死に至らしめる。さて、後何分で死ぬかな?」

 

 ゼルたちの身体の半分まで侵食していくバイオアシッドの毒、

 

 「おいおい、嘘だろ!」

 

 「だが、俺はゆっくり待てない性分なんでね。もう一度食らわせて終わりにするぞ! ん?」

 

 その時、ゼロスティレイザーが突然動かなくなり、下を見ると、足元がクモの糸で封じられた。そして同時にキールが現れ、

 

 「残念だったな。俺もいるんだよ!」

 

 キールの登場と共に、空中からジャックもゼロスティレイザーに向けて撃ち込んだ。

 

 「ケン、アレックス、アッシュ、スレイマーズ! 助太刀に来たぞ。」

 

 「隊長!!」

 

 

 また、地面から、ドクタースミスの黒いグソックが野生のグソックと共にゼロスティレイザーを攻撃した。

 

 「お前たちはリーダーのワシが助ける!」

 

 「リーダー!!」

 

 「そして、この活躍で、殿下やエマちゃん、ユリスちゃんの元に行くのだ!!」

 

 それを聞いてずっこけるスレイマーズ、

 

 「ち、雑魚がぁ~!!」

 

 デスレックスに踏み潰されようともEシールドで必死に抵抗するシーザー、キングやジャンもデスレックスに攻撃しようとするが、デスレックスが放つ赤い衝撃波で中々近付くことが出来なかった。デスレックスはオメガレックス以上の力で、シーザーを踏み潰そうとする。

 

 「どうやら、流石のキミも終わりみたいだね。」

 

 シーザーのEシールドが破れそうなその時、

 

 ドドン!!

 

 突然、何処からともなく大砲の音がし、その弾がデスレックスの足やドライパンサーG3、ゼロスティレイザーに直撃した。攻撃で足を崩すデスレックス、シーザーは直ぐ様、そこから脱出した時、目の前に黒い影が現れ、デスレックスの前に立ち塞がった。黒い影の正体はなんとデルだった。

 

 「リセル、デル!」

 

 「すまない、ウィル、リーダー、コマンダー、ユリス、皆遅れてしまったな…」

 

 ユリスもデルを見て、歓喜の表情を上げた。

 

 「リセル…良かった。」

 

 デルを見たガネストは、

 

 「ああ? キミは確か、ドクターマイルスに洗脳されてジェノスピノに乗ったが、ボクの楽しいゲームを邪魔してくれた役立たずだね!

 処罰を恐れて逃げていったと思ったら、まさか、反乱軍に再び寝返るとはね。

 でも、残念だったね! 今のボクのオモチャはオメガレックスより強いデスレックス紫龍だからね。キミなんか、ボクの敵じゃないんだよ!」

 

 デスレックスがデルにも襲いかかろうとしたその時、複数の大砲の音がし、全ての弾がデスレックス初めの全ての親衛隊に直撃した。ガネストやベケット少将らが辺りを見渡すと、周りの山の上には、かつてウィルたちと共闘したロボットの将軍が操る赤いトリケラドゴスとそして、牢屋で知り合ったマックの黒いトリケラドゴスとその他のロボットたちの乗るゾイドの陸上部隊。

 そして、空中にはミクロラプトル種のゾイドを筆頭にバイザー無しのスナイプテラ、カブター、クワーガ、ソニックバードの大群もいた。大将であるロボットの将軍は、ガネストら親衛隊たちに向かって、

 

 「ネオデスメタル帝国の者共よ! これ以上、地球に災いをもたらすゾイドを復活させ、戦闘を続けるようであれば、地球の番人たる我々が鉄槌を下す。直ちに立ち去れ!!」

 

 「ボクに逆らう気? いいよ。全員まとめてかかってきてよ!」

 

 「いいだろう! 我々の力思い知らせてやる! 全軍撃てー!!」

 

 ロボットの将軍のトリケラドゴス率いる陸上部隊とミクロラプトル種のゾイド率いる空中部隊が一斉に砲火を浴びせ、デスレックス率いる親衛隊ゾイドは雨のように降り注ぐ砲火を食らって反撃しにくい状態となっていた。

 

 「く、たかが機械人形ごときに我がネオデスメタルが…」

 

 「少将、これは我らに分が悪いです。一旦撤退して態勢を整えた方が!」

 

 「し、仕方ない。陛下! ここは一旦徹底を!」

 

 「ふ~ん、」

 

 しばらく考えたガネストはデスレックスを見て、

 

 「デスレックス、今の攻防でさっきよりやる気が無くなってるから、これ以上、戦闘を続けてもデスレックスの闘争本能は上がらないかもね。  まあ、いいや! 次のゲームに移行しよう。」

 

 そう言うと、デスレックスは後ろを向いて走り去り、ドライパンサーG3やゼロスティレイザーら親衛隊もその後に続いて撤退していった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 宮殿の玉座の間でその様子を見ていたドクターマイルスとギャラガー三世は、

 

 「どうやら、紫龍形態になってもまだ完全にデスレックスの闘争本能を解放させることは出来ないようですね。」

 

 「まあ、いい。デスレックスは戦いを続ければ、戦い続ける程、闘争本能は更に増していく。

 

 「しかし、わざわざデスレックスが出ずともあなたが出れば、容易に制圧出来るのでは?」

 

 「いや、私が出るのは、デスレックスが闘争本能を完全に解放した時だ。今はデスレックスの闘争本能を完全に解放するまで、このままデスレックスを奴等と戦わせる。

 そして、その時こそ、私とゼログライジスはかつて惑星Ziで復活した時以上の力を得て更に進化するのだ。」

 

 ギャラガー三世の不敵な笑みと共に玉座の間の後ろにいるゼログライジスの目が赤く不気味に発光した。

 To be continued




 次回予告

 将軍率いるメカトピア共和国軍の援軍によってデスレックス紫龍形態とギャラガー親衛隊を何とか退けることに成功したが、倒すことは出来なかった。
 デスレックス紫龍形態とゼログライジスに対抗するため、将軍はある提案を思い付いた。それはジェノスピノ、オメガレックスをネオデスメタル帝国の手から解放し、こちらの戦力に加えることだった。
 しかし、その2体は帝都メガロポリスの宮殿にいたため、
 そんな折、突然ギャラガー三世が親衛隊に2体を帝都メガロポリスから移動させる命令を下す。ウィルたちはこの機会を逃さないと言わんばかりに向かうが…

 次回「二大破壊龍を奪還せよ」

 本能を呼び覚ませ、ライガー

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