ゾイドワイルドエヴォリューション アフターZERO   作:オーガスト・ギャラガー

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 ゾイド_それは優れた戦闘能力と自らの意思を持つ金属生命体である。  
 新地球暦1245年、人とゾイドの共存が進む中、ネオデスメタル帝国という強大な軍事国家が地球の8割を支配している時代、辺境の村に住むゾイド好きの少年ウィルはライジングライガーに進化した相棒のシーザーとかつてのシーザーの相棒の血を引く少女エマ、伝説のすのリーダーの子孫であるストーム率いる同盟軍と共に、ゾイドと人々を帝国の支配からの解放と人とゾイドの共存のための戦いに身を投じていった。
 だが、ネオデスメタル帝国では着々と地球を壊滅させる程の力を持つ史上最強のゾイドが復活しようとしていた。


第50話「帝都奇襲」

 南方総督府、親衛隊ゾイドはナックルコングG3とレックス落ちた崖で、ナックルコングG3を捜索していた。

 

 「どうだ? 見付かったか!」

 

 「ドクターマイルス!」

 

 「何だ?」

 

 「あそこに!」

 

 兵士が指指した方向には倒れていたナックルコングG3がいた。ドクターマイルスと親衛隊兵士はナックルコングG3に近づいて見たら、何と本体は無傷だった。

 

 「ふ、流石はネオデスメタル帝国最終秘密兵器のタッカー元帥殿のゾイドよ。あれでも大したダメージにはならなかったか。 ところで、ガトリングフォックスは?」

 

 「今のところ、残骸一つも見つかりません。」

 

 「ふん、粉々に破壊されたか、それとも… まあ、よい、仮に生き残ったとしても無事ではすまないだろう。

 直ぐにナックルコングG3を回収しろ! 我々は直ちに帝都メガロポリスに帰還する。」

 

 「は!」

 

 ドクターマイルスはナックルコングG3のコクピットの直ぐ側に寄り、ハッチを開いた。中には落下の衝撃で頭がクラクラしたタッカー元帥がいた。

 

 「随分、派手にやられたようだな!」

 

 「貴様ごときに言われたくはない! ところで、あの元帝国の脱走兵と狐はどこだ?」

 

 「今のところ、残骸は見つからないが、なあに、奴は無事では済まんぞ。 それより、連中が計画通りジェノスピノとオメガレックスを奪ったようだ。 皇帝陛下のご命令通り、我々も帝都に引き上げよう。」

 

 「ち、まさか、この私がこんな目に逢うとはな!」

 

 タッカー元帥はナックルコングG3から降り、兵士はディロフォスG3とキャノンブルG3でナックルコングG3をキャタルガG3のスタンドに乗せ、直ぐにその場から離れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 レッドケルベロス本社、ウィルやストームたちはジェノスピノ、オメガレックスを引き連れて本社に戻り、ストームは事の状況をクリスやクルーガー、ガルド将軍に説明した。それを聞いたクルーガーは、

 

 「そうか… グラッドが… 惜しい男を亡くしてしまった。」

 

 「すまない、クルーガー。俺が手を離したばっかりに… 」

 

 「いや、ストームは悪くない。あいつは元ネオデスメタル帝国軍人だったから、あいつなりにけじめをつけたかったんだろ。俺がもし、あいつの立場だったら、きっとそうする。」

 

 ガルド将軍は口を開き、

 

 「だが、悲しみに浸っている時ではない! グラッドとカーター大佐の恩人であるアッカーマンの死を無駄にしないためにも1日も早く帝国軍を倒さなくてはならない。」

 

 「それで、クルーガーやガルド将軍たちは何か策を練っているのか?」

 

 「ああ、ジェノスピノ、オメガレックスがこちらの味方になった時までにその作戦は決まっている。」

 

 「その策とは?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ストームやクルーガー、ガルド将軍、旧共和国、新帝国の幹部たちが作戦会議をしている会議室から離れた部屋でウィル、レイル、リセル、カティア、ユリスはアッカーマン大佐とグラッドの死をエマに伝えた。全てを聞いたエマは悲しい表情で、

 

 「そんな… グラッドさんに、アッカーマンさんまで…」

 

 「ごめん、エマ。目を離した僕のせいなんだ。」

 

 「ううん、レイルは悪くないわ。」

 

 「そうだよ。俺だってあんなことは予想出来なかった。」

 

 「それで、ウィルたちはこれからどうするの?」

 

 「今、ストームさんがクルーガーさんやガルド将軍と作戦を開いてこれからネオデスメタルと戦うための作戦を開いている。」

 

 「そう…、そうなると、また、誰かが亡くなってしまうのかしら…?」

 

 落ち込むエマにレイルは優しく両手を肩に乗せ、

 

 「大丈夫だよ! 僕とリセルにはオメガレックスとジェノスピノがいる。 きっと今回のようなことにはならない。 だから、エマは姉さんと一緒に大人しくして。」

 

 それを聞いたユリスは不安そうな表情で、レイルとリセルを見て、

 

 「レイル、リセル、もしかして、今度の戦いは… 」

 

 「ああ、恐らくこれが最後の戦いになるかもしれない。帝国の圧政を阻止し、皆を守るためにこの戦いに終止符を打つ!」

 

 それを聞いても不安そうなエマとユリスにウィルは、

 

 「大丈夫! 例え、どんなことがあっても、俺たちなら、必ず運命を切り開いてみせる!」

 

 「ウィル! 私も一緒に行くわ! 私も元帝国軍兵士としてお父さんと一緒に帝国軍と戦うわ!」

 

 「カティア、残念だけど、君はここでエマとユリスを守ってくれないか。」

 

 「どうして!? 私はこれでも帝国軍の強化人間よ! 十分、戦え… 」

 

 「今度の戦いは今まで一番熾烈な戦いになる。いくら強化人間の君でもこの戦いはかなり過酷になる。

 それに、俺たちがいなくなったら、エマとユリスを守る者がいなくなるからね。」

 

 それを聞いたカティアは反論出来なかった。

 

 「わかったわ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 帝都メガロポリスの宮殿、ゼログライジスが直ぐ近くにいる玉座の間で、帰還したドクターマイルスからジェノスピノ、オメガレックスが同盟軍の手に渡ったことを聞いたギャラガー三世は、

 

 「そうか、計画通り、ジェノスピノ、オメガレックスが反乱軍の手に渡ったか。」

 

 「はい、これで、あの2体と四世陛下のデスレックスを戦わせることが出来るようになります。」

 

 「そうすれば、デスレックスの闘争本能は完全に解放され、私とゼログライジスは更なる進化へと近づくようになる。」

 

 「ついでに裏切り者の恩師と反乱軍の幹部の1人も始末しました。後は敵がどう動くかです。」

 

 「この流れなら、この帝都メガロポリスを奇襲するだろう。」

 

 「では、タッカー元帥殿やベケット少将にその準備をするよう伝えます。 ところで、市民はいかがいたしましょう? 避難勧告は出さなくてもよろしいので?」

 

 「市民には、反乱軍が市民の命などお構いなしに奇襲してきたと思わせるのだ。

 そうすれば、国民は反乱軍を世界の平和と正義を脅かすテロ組織として認識し、反乱軍への憎しみを燃やすだろう。」

 

 「それで、更に国民を戦争に駆り出すのですね。」

 

 「そうだ! 惑星Ziで帝国摂政や古代ゾイド人に乗っ取った時もそうだったが、本当に人間は非常に操りやすい生き物だ。

 だが、このギャラガー一世という者は違った。私が今まで乗っ取った中で、唯一私の支配に抗い、この私ですらもこの男の人格そのものと融合しなければならないという選択肢まで選ばさせた。

 そのおかげで、私の闘争本能は更に増した。もはや、かつて、惑星Ziにいた時とは比べ物にならない程になり、究極に相応しい存在となった。」

 

 「そもそもギャラガー一世はゾイドクライシスの時に地球に移住した我々古代ゾイド人のメンバーの中で最高の逸材であった者の遺伝子を受け継いだ男ですから、当然です!」

 

 「まさか、あの時の私の分身の子孫がこのギャラガー一世だったとは、思いもよらなかった。これで、ゼログライジスを究極進化させる準備を整えることができる。」

 

 「遂にゾイドクライシスとかつて、帝国、共和国と我々に逆らう愚かな人間全てを滅ぼし、この地球と全宇宙を支配するという我々の悲願が達成されるんですね!」

 

 「そうだ! 待ちに待ったこの時が遂に来たのだ。後は反乱軍を潰し、禁断の儀式を行うだけだ。 ドクターマイルス、直ちに帝都の防衛と反乱軍を迎え撃つ準備をしろ!」

 

 「了解しました。では、市民には悟られないよう、私と元帥殿、ベケット少将は反乱軍を迎え撃つ準備をします。当然、四世陛下にも… 」

 

 「指揮は任せる。私はゼログライジスに乗って機会を伺う。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 レッドケルベロス本社、クルーガー、ガルド将軍は一連の作戦をウィルやレイル、リセル、旧共和国、新帝国の幹部たちに教えた。

 

 「では、作戦を説明する。我々が帝都メガロポリスの前に来た時、レイルがオメガレックスで荷電粒子砲を放ち、帝都の門を破壊する。

 そして、帝国軍が混乱し、現れたところをリセルのジェノスピノが先頭になって侵入する。帝都に入った後、デスレックスとゼログライジスのどちらかを先に出すかは不明だが、おそらく予想では、デスレックスを先に出すだろう。

 デスレックス率いる親衛隊が現れたら、シーザー、ジェノスピノ、オメガレックスがデスレックスを総攻撃し、弱ったところを待機しているゴルドがデスレックスに向けてグラビティキャノンを2発同時に放つ。

 以前の戦いでは、デスレックスは一発のグラビティキャノンでは通用しないことがわかったため、グラビティキャノンの砲塔を2門備えているゴルドなら、2発同時に放つことができるから、一体に2発を撃ち込む。そして、我々は残りの親衛隊と戦い、ゼログライジスが現れたら、シーザー、ジェノスピノ、オメガレックスは引き続きゼログライジスの注意を引き付け、隙を見せたところをゴルドが残り2発を撃ち込む。これなら、いくら、ゼログライジスでも無事では済まない。」

 

 「だが、2発同時にということは、実質一体に1発しか撃てないということか…。 1発撃って続けて撃つ案はなかったのか?」

 

 「一応あるが、そもそもグラビティキャノンは連射不可能のため、96%の確率で失敗すると出て、その案は却下された。」

 

 「なるほど、つまり、失敗は絶対に許されない一か八かの作戦ってわけか…。」

 

 「だが、その一か八かの作戦故、成功率は25%しかない。失敗する可能性は大いにあるだろう。

 それに他の作戦では、成功率は僅か3か5%しかないため、有効な作戦はこれしかなかった!」

 

 「0%じゃないだけでもましだ! とにかく俺たちは1日も早く帝国とギャラガー三世を倒さなくてはならない! ところで、いつ出撃するのだ?」

 

 「ジェノスピノとオメガレックスの調整が終わり次第、直ぐに出撃する予定だが、レイル、リセル。 もう待つ必要はないだろ?」

 

 「はい、ジェノスピノ、オメガレックスは既に帝国が粗方修復し、調整済みですから、いつでも大丈夫です。」

 

 「よし、これ以時間を空くわけにはいかない。 直ぐにでも出撃しよう!」

 

 「そうなくっちゃっな。では、全軍! 帝都メガロポリスに向けて進軍する! 準備をするぞ!!」

 

 「は!!」

 

 

 

 

 

 

 

 クリスやクルーガー、アレックス、アッシュ、ケン、ジョンはそれぞれの相棒ゾイドに乗り、出撃の準備をしていった。

 レイルとリセルはギルラプターエンペラーとデルの前に立ち、エンペラーとデルは2人に寄り添い、2人はエンペラーとデルの頭を優しく撫で、

 

 「ごめん、ギルラプター。僕はオメガレックスと共に帝国軍と戦わなくてはならないから、一緒には連れていけないんだ。

 でも、必ず帰ってくる。お前はここでエマを守ってくれ。」

 

 「デル、お前は帝国への復讐に生きるこんな俺を受け入れ、親がいない俺の親代わりになってくれてありがとう。

 でも、お前を復讐の戦いのための道具にしなくないし、そんな血塗られた戦いに巻き込んで、お前を失いたくない。

 グラッドを失ったあんな悲しい思いをするのはもう嫌なんだ! だから、お前はここで、ユリスを守っていてくれ。お前は優しいゾイドだ。その優しさで俺を見守ってくれ。」

 

 レイルとリセルはエンペラーとデルから離れ、待っているウィルとシーザーの元に向かった。

 

 「レイル、リセル。」

 

 エマとユリスの声が聞こえ、振り向くとエンペラーとデルの横で3人を見守るエマとユリス、カティアがいた。

 

 「レイル、必ず帰ってきて。弟と両親を失った私にはもうあなたしかいないの。だから… 」

 

 ユリスはエマの肩を優しく触り、

 

 「エマ、皆を信じてあげて。もう、レイルたちは前のレイルたちじゃないから。」

 

 ユリスの表情を見たレイルとリセルは、

 

 「大丈夫。僕は必ず帰ってくる。」

 

 「ユリス、お前には辛い目を逢わせてしまったが、もうそんな目には逢わせない。俺も必ず帰ってくる。」

 

 レイルとリセルはウィルの前に立ち、

 

 「ウィル、僕はお前に会えてホントに良かった。あの時、お前と戦わなかったら、今頃、僕はあのままドクターマイルスの操り人形になってたかもしれない。」

 

 「俺もだ。ジェノスピノを先に倒したお前に嫉妬してお前に牙を向いて、一度帝国軍に入ってしまったが、俺はお前に救われた。ホントにありがとう。」

 

 「別れの挨拶みたいに言わないでくれよ。俺はただ、俺のすることをしただけだ。それに俺たちは帝国に苦しめられている人々とゾイドを救い、人とゾイドが共存できる世界を築くために戦うんだから。」

 

 シーザーはウィルを静かに見つめ、ゆっくりうなずいた。ウィルはかつて、帝国軍基地で捕らわれていたシーザーと初めて会った時のことを思いだし、

 

 「そうだ。あの時、俺はシーザーと会ったから、ここまで来たんだ。シーザー! これからも俺と一緒に戦ってくれるよな!?」

 

 それを聞いたシーザーは思いっきり咆哮を上げた。

 

 グオォー!!

 

 「よし、じゃあ、エマ、ユリス、カティア、行ってくるよ!」

 

 ウィル、レイル、リセルはシーザーと共にその場を去った。

 

 ゾイドたちがいる倉庫に、ウィルはシーザーに、レイルはオメガレックスに、リセルはジェノスピノに、ストームはキングに、ドレイクはジャンにそれぞれ乗り、ハッチがゆっくり開き、シーザー、ジェノスピノ、オメガレックスが先頭になって、キングやジャック、ゴルドら同盟軍のゾイドと新帝国、旧共和国のゾイドはその後に付いていった。

 エマとユリス、カティアは窓越しで出撃するシーザーたちの姿を見守り、エマはゆっくりで握った手を胸に当て、

 

 「ウィル、レイル、リセル、皆必ず帰って来てね、」

 

 その後ろにはドクタースミスとスレイマーズのメンバーがいて、

 

 「う~ん、エマちゃんたちの側にいられるのは嬉しいけど、これって、ワシら戦力外ちゅうっことになるのか?」

 

 「リーダー、それは言ってはいけません。」

 

 「くうぅ~!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 帝都メガロポリスの軍倉庫に戻ったコナー少佐はステゴハゼーゲMk-Ⅱから降り、思いっきり壁に拳をぶつけた。

 

 「何故だ? 何故、アッカーマン中将が死ななくてはならないのだ! そして、何故、タッカー元帥は中将の死に顔色一つ変えなかったのだ!」

 

 コナー少佐の脳内に、シュバルツ中佐の言葉が過った。

 

 「(今のネオデスメタル帝国は邪悪な存在に支配されている。これ以上、帝国についていったら、あなたも無事にはすまない。」)

 カーター大佐やあのシュバルツとか言う男が言ったように、帝国軍に正義はないというのか! だとするなら、私とアッカーマン中将は何のために今まで皇帝陛下と帝国軍のために尽くしてきたんだ!? 我々の正義は一体何だったのだ!?」

 

 その時、親衛隊兵士が現れ、

 

 「コナー少佐、ベケット少将から帝都の防衛に努めるようにと命令が出ました! 直ちにステゴハゼーゲMk-Ⅱに乗って出撃してください!」

 

 「悪いが、今の私はとても具合が悪い! 出撃は遅れると少将に言ってくれないか。」

 

 「わかりました。ですが、これでもし来なかったら、あなたは左遷ですよ。 よろしいですね?」

 

 去る親衛隊兵士にコナー少佐は割りきった表情をした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 シーザー、ジェノスピノ、オメガレックスを先頭とする同盟軍はネオデスメタル帝国の帝都メガロポリスのが見える位置間で来た。ガルド将軍とクルーガーははウィルたちに、

 

 「それでは、手はず通りにする。レイル、任せた。」

 

 「わかりました。」

 

 オメガレックスは前に出て、帝都メガロポリスの巨大な門に向けて照準を合わせた。

 

 グルル…

 

 オメガレックスはレイルに何か伝えたいかのように鳴いた。

 

 「オメガレックス、進化 解放! エヴォブラストー!! 荷電粒子砲発射!」

 

 オメガレックスの荷電粒子砲が門に直撃し、辺りの城壁の半分も一瞬で破壊された。

 

 「よし、この機を逃すな!」

 

 リセルのジェノスピノは真っ先に同盟軍の先頭に立ち、破壊された門に向かって勢いよく走っていった。破壊された門の中から親衛隊専用のキャノンブルG3、ギルラプターG3、量産型のナックルコングG3、ディロフォスG3が現れた。

 しかし、ジェノスピノはそれらをA-ZロングキャノンとA-Z高熱火炎放射機を放って次々と撃破していき、帝都メガロポリスの中に入り、シーザー、オメガレックスもストームのキングとガルド将軍のトリケラドゴス率いる同盟軍の後に続いて帝都に入った。

 シーザーたちが帝都に入ったら、街は逃げ惑う人々に溢れ、さっきの攻撃で兵士と共に犠牲になった一般市民もいた。

 ジェノスピノ、オメガレックスはディロフォスG3、量産型のナックルコングG3、スティレイザーG3、ギルラプターG3、キャノンブルG3と交戦した。

 帝都の市民はギャラガー親衛隊のゾイドと戦うジェノスピノとオメガレックスを見て、

 

 「見ろ! あれは皇帝陛下のジェノスピノとオメガレックスじゃねぇか!! しかもあのライガーと一緒にいやがるぜ!」

 

 「まさか、反乱軍の手に渡っちまったのか!」

 

 「皇帝陛下のゾイドにして、我が帝国の誇りであるあの二大破壊龍を奪った上に、何の宣戦布告も無しに、しかも市民の命も考えないなんて、やっぱり反乱軍は世界の秩序を乱す悪魔だ!」

 

 それを見たウィルは複雑な表情をした。オリジナルデスザウラーであるギャラガー三世が支配する帝国から世界を救おうとしているのに逆に市民に憎まれるということに、 ジェノスピノ、オメガレックスが親衛隊ゾイドを蹴散らす中、宮殿からデスレックス、タッカー元帥のナックルコングG3、そして、アーミテージ大尉のゼロスティレイザー、ドクターマイルスのゼロファントス率いるゼロファントス部隊が現れた。それを見たリセルは操縦悍を強く握り、

 

 「俺の両親とグラッドの仇… 」

 

 「あのナックルコング、まさか、あれでもまだ生きていたとは!」

 レイルは現れたデスレックスを見るが、その姿は紫ではなく、かつてギャラガー一世と共にワイルド大陸を霊感させた通常姿のデスレックスだった。そして、そのコクピットにはかつてのギャラガー一世のスタイルと服装を思わせるように、上半身裸で、皇帝即位の時に羽織った礼服の赤いマントを着用したガネストが乗っていた。

 

 「ちょっと待って! 何でデスレックスは紫龍形態じゃないんだ!?」

 

 レイルの問いにガネストは、

 

 「何言ってんの? いきなりフルパワーで行ったら、ゲームが楽しめないじゃん! それに、ジェノスピノ、オメガレックスのパワーを試すにはこの形態がちょうどいいかと思ってね。」

 

 「シーザー、ジェノスピノ、オメガレックスの3体でデスレックスに挑み、その後にゼログライジスと残りの帝国軍を倒す予定だったが、流石にそう簡単には行かせてくれないか…。」

 

 「大丈夫ですよ。ストームさん! 何があっても俺たちは負けない!」

 

 「そうだな。俺たちは人間とゾイドの共存のためにネオデスメタル帝国と戦うのだ!!」

 

 それを聞いたガネストはため息をつき、

 

 「相変わらず、フリーダム団と対して変わらないベタな動機だね! そんな世界なんて実現なんかしないんだよ。 何故なら、全ての人間とゾイドは皆、ボクの元にひれ伏すんだから!」

 

 それを聞いたレイルは、

 

 「そんなものはただのエゴだ! ゾイドを大切に思う気持ちと民のために尽くす力が無くては本当の皇帝とは呼べない!」

 

 「ボクと同じ帝王ギャラガー一世のクローンにして生まれ変わりの分際で、随分綺麗事言ってくれるじゃないか! いいよ。キミはボクの手で始末してやる。」

 

 「レイル… 」

 

 「ウィル、心配するな。あいつは俺の弟にして僕の分身。だから、あいつの相手は僕がやる!」

 

 「そうだな。なら、シーザー! 俺たちはあのゼロスティレイザーをやるぞ!」

 

 「なら、俺は、父さんと母さん、そして、グラッドの仇であるあのナックルコングG3を相手にする! ジェノスピノの力で今度こそ恨みを晴らしてやる!」

 

 「そして、俺はドクターマイルスとその取り巻きのゼロファントスだな! 行けるか? キング。」

 

 グオォ~!

 

 ストームの問いにキングは咆哮を上げた。

 

 「おいおい、ちょっと待てよ。俺もやらんとは一言も言っていないぜ!」

 

 声を上げると同時にドレイクとジャンがキングの横に来た。

 

 「ドレイク。」

 

 「そいつには俺にとっても借りがある。それにもう一度、フリーダム団のコンビとして今度こそ、デスメタルとの因縁に決着をつけるとしようぜ!」

 

 「ふ、皮肉だな! まさか、それぞれの子孫が再びデスメタル帝国を倒すタッグになるなんてな。いいぜ! いっちょ、付き合ってやるか!」

 

 シーザーたちはデスレックスたちとそれぞれ対峙した。

 

 「じゃあ、ゲームをするよ!」

 

 そう言ったガネストはデスレックスで、レイルのオメガレックスに勢いよく突っ込んで行った。そうはさせじとオメガレックスも突っ込んで行き、デスレックスとオメガレックスの互いの頭部がぶつかり合った。2体の強烈なぶつかり合いで、衝撃波がほとばしり、周りの帝都の誇る建物が破壊されていった。

 

 

 

 

 

 

 ジェノスピノはA-ZロングキャノンをナックルコングG3に撃ち込むが、ナックルコングG3はびくともしない。

 

 「バカな!」

 

 「残念だったな! あの後、ドクターマイルスの改造で更に装甲が強化されたのでな。今となっては、ジェノスピノ相手でも負ける気はせん。

 あの男もとんだ無駄死にだったな! 我が帝国軍から脱走しなければ、こんなことにはならなかったといのに!」

 

 「なんだと! ウォー!! ジェノスピノ、進化 解放! エヴォブラストー!! ジェノサイドクラッシャー!」

 

 エヴォブラストしたジェノスピノはジェノソーザーでナックルコング3に斬りかかろうとするが、ナックルコングG3なんと、ジェノソーザーを両手で真剣白羽取りをするかのように止めた。

 

 「何!?」

 

 「いくら、ジェノスピノと言えども、ライダーが陛下じゃなければ、所詮、この程度か!」

 

 「く!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 シーザーはEシールドを張りながら、ゼロスティレイザーに突っ込んで行った。ゼロスティレイザーもすかさず、Eシールドを張り、その攻撃を防いだ。

 

 「Eシールドだけでも破れば、勝機はきっと出る!」

 

 しかし、その時、背後からドクターマイルスのゼロファントスのディゾルレーザーキャノンのようなレーザーが3発放たれ、シーザーに直撃した。背後にはEシールドが張れないため、その攻撃を諸に受け、倒れるシーザー、後ろを振り向いたら、ドクターマイルスのゼロファントスの量産型が3体いた。中央のゼロファントスにはグレッゲル准将が乗っていて、残りの2体にはブリューゲル大尉とアッシュが乗っていた。

 

 「残念だったな! 貴様の相手には我々がいるんだよ!」

 

 「コルクの総督の地位を奪われた恨み、今度こそ晴らしてやる!」

 

 「貴様を倒せば、俺はいずれ皇帝陛下の側近として出世できる!」

 

 「帝国軍の准将とあの時の奴隷都市の総督にカティアを裏切った奴か!」

 

 「ディゾルレーザーキャノン!」

 

 ドクターマイルスのゼロファントスはゼロブラスト技のレーザーキャノンをキングとジャンに向けて放つが、キングとジャンは瞬時に避け、すかさずワイルドブラストした。

 

 「燃えろ、キング! 俺の魂と共に、進化 解放! エヴォブラストー!! キングオブクローブラスト!」

 

 「猛れ、ジャン! 俺の魂と共に、進化 解放! エヴォブラストー!! 新・音速殺!」

 

 ワイルドブラストしたキングとジャンはドクターマイルスのゼロファントスを避け、後方にいるゼロファントス部隊の内、4体を一瞬で葬った。

 

 「何のつもりだ? この私を狙わないとは、」

 

 「へ、貴様とやりあう前に貴様の取り巻きを始末しようと思ってな! そうしないとフェアじゃないからな。」

 

 「ふん、愚かな。仮に私の部隊を全滅したところでも、私には勝てん。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 帝都で、ウィルたち同盟軍とガネスト率いるギャラガー親衛隊と帝国軍が激しい戦闘を繰り広げている中、究極の玉座の間の後ろにある倉庫で、ゼログライジスが眠り、そのコクピットにギャラガー三世が乗っていた。

 

 「遂に始まったか。反乱軍との最後の決戦、そして、私とゼログライジスが究極進化へと誘う戦いが。

 さあ、愚かな人間、ゾイドよ。思う存分戦うがよい。そして、この私を全宇宙に君臨する究極生命体となるための礎になるのだ! フフフフフ、ハーハッハッハッハッッハ!!」

 

 ギャラガー三世の高笑いが宮殿中に響き渡った。

 

 To be continued




 次回予告

 遂にネオデスメタル帝国軍と反ネオデスメタル同盟軍による最後の決戦が始まった。シーザー、ジェノスピノ、オメガレックスはそれぞれの相手に立ち向かうが、レイルのオメガレックスと戦うデスレックスが紫龍形態になった。
 デスレックス紫龍形態の圧倒的な力に苦戦するオメガレックス、シーザーとリセルのジェノスピノは協力してデスレックス紫龍に立ち向かうが、デスレックス紫龍の力は想像以上だった。
 だが、そんな時、優勢なデスレックスに異常が…!

 次回「最強龍の目覚め」

 本能を呼び覚ませ、ライガー

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