ゾイドワイルドエヴォリューション アフターZERO 作:オーガスト・ギャラガー
新地球暦1245年、世界はネオデスメタル帝国という強大な軍事国家が支配していた。
各地で帝国に抵抗するレジスタンスが立ち上がり、帝国とレジスタンスが激しい戦争を繰り広げている戦乱の時代となっている中、帝国に捕らえられていたビーストライガーにシーザーと名付け、相棒となった少年ウィルは謎の少女エマと共に冒険の旅に出掛けた。
アーネストとアッカーマン中将率いる帝国軍を退けた同盟軍は基地の復旧とゾイドの整備を行っていた。そんな中、ウィルが1人で考え事をしていた。
基地の復旧と整備を手伝っていたエマはウィルが気になって彼の元に行った。
「一体、どうしたの?」
「俺とシーザーが苦戦したあのギルラプターやスナイプテラ相手に互角に戦ったガトリングフォックスの力を見て自分が情けなくなってしまって。」
「あなたらしくないわね!そんなこと言うなんて。」
「俺が弱いから、シーザーだって強くなれないんだ!俺が強くならなきゃ!そうだ!」
ウィルは何か決心したかのようにグラッドの元に行く。
「俺に弟子入り?」
「俺はもっと強くなりたいんだ!このままじゃ、シーザーだって強くなれない!」
「おいおい、バカ言うな!俺たちは戦争をやっているんだ!生きるか死ぬかの賭けをしてるんだぞ!そんな中でガキのお守りなんかできるか!」
「だから、俺はあんたに弟子入りしたいんだ!まだ他にも強い奴が現れるかもしれない。もっと強くなってみんなを守りたいんだ!」
「何度言っても駄目だ!」
そこにクルーガーが現れ、
「グラッド、彼の言う通りにしたらどうだ?」
「クルーガー?おいおい、あいつはまだガキだぜ!まさか戦争に連れていけと?」
「彼は本気だ!もちろん、戦争は甘くないことは承知だ!」
「しかし!」
「なら、こうしよう。ウィルがライガーに乗ってグラッドがレックスに乗って戦い、ウィルがグラッドに勝ったら、弟子入りを認めるってのはどうだ!」
それを聞いて驚くウィルとグラッド。
「ウィルとシーザーがあのグラッドと!」
同時にそれを聞いたエマも驚いた。しかし、 同時にそれを聞いたエマも驚いた。しかし、グラッドは承知したかのように、
「ふ、そいつは面白い!訓練にちょうどいい!いいぜ、俺とレックスに勝ったら弟子入りを認めよう!ただし、負けたらさっさと退くんだな!」
「わかった!」
「ようし、決まりだな!といっても基地はさっきの戦闘でボロボロだし、人のいない広い草原に場所を変えよう!」
ウィルはシーザーに、グラッドはレックスに乗って基地から遠く離れた山のところに移動する。対峙するシーザーとレックス、それをエマとクルーガーたちが見守っている。
「ウィル、シーザー‥‥‥。」
エマは心配そうに両手を合わせてウィルとシーザーを見つめていた。グラッドはウィルに、
「いいか、さっきも言ったが、俺たちは戦争をやっているんだ!中途半端な戦いはしない!確実に俺たちを殺すつもりで来い!」
それを聞いたウィルとエマは驚愕した。
「殺すなんてそんな‥‥!」
「ちょっと待てよ!これは弟子入りを認めてもらうための決闘なんだぜ!殺すなんてそんなこと出来ないよ!」
それを聞いたグラッドはため息をつき、
「甘い奴だ!だからお前はガキなんだ!そんなんじゃ、俺の弟子入りなんて到底無理だ!」
そう言い、レックスは光学迷彩で姿を隠す。それを見たアレックスとアッシュは、
「いきなり、光学迷彩を使った!」
「まずは小手調べってところかな!」
姿が見えず、戸惑うウィル、そのとき、姿を隠したレックスがシーザーに突進する。
「うわぁぁ!‥‥、そうだ!あのときと同じだ!ガブリゲーターと戦ったときと!」
ブリューゲル大尉の操るガブリゲーターとの戦いを思い出したウィルはシーザーに語りかける。
「シーザー、お前ならわかるよな?」
ウィルの言葉にシーザーはうなづき、シーザ ウィルの言葉にシーザーはうなづき、シーザーは地面の匂いを嗅ぐ。シーザーは匂いを嗅いだシーザーは動き、
「そこだ!」
シーザーはレックスに攻撃するが、レックスはさっと避け、シーザーに突進する。ぶっ飛ばされるシーザー、そのとき、レックスが姿を現し、
「ライガーの特性を理解しているのはいい!だが、俺に言わせれば、ただ、ライガーの力に頼っているだけだ!」
それを聞いてハッとするウィル、
「いいか、よく聞け、ゾイドは乗り物でも、道具でも、ましてや機械でもねぇ!俺たちと同じ命を持った生き物だ! それがどういうことかわかるか?
ゾイドも心を持っているということだ!ゾイドの力に頼るな!ゾイドと心を通わせ、心と心を一つにし、ゾイドと一体化しろ!それが出来なきゃ、到底帝国と戦うことなんて出来ないぜ!」
それを聞いたウィルは、
「心と心を一つに!そうか、今までの俺はシーザーに頼っていた!だから、あのとき、ギルラプターやスナイプテラに敵わなかったんだ!」
それを聞いたシーザーはウィルに語りかける それを聞いたシーザーはウィルに語りかけるかのようにうなずく。
「そうだな、シーザー!俺はそれで自分を見失っていた!」
そう言い、ウィルは目を瞑り、シーザーも動きを止めた。それを見たアレックスとは、
「おいおい、止まったぞ!あれじゃ、グラッドとレックスの位置がわからないぞ!」
横に来たクルーガーは、
「ようやく気づいて来たようだな!さあ、どう出る?」 姿を隠したレックスはシーザーの背後から攻撃しようとする。そのとき、ウィルは何か気付き、
「今だ!」
ウィルの掛け声と共にシーザーは避け、レックスに突進する。ぶっ飛ばされるレックス、驚いたグラッドは、
「よくわかったな!まさか、勘じゃねぇだろうな?」
「違うね!シーザーの直感と俺の直感でわかったのさ!」
「ようやく、ましになったようだな!なら、光学迷彩は止めて真っ向で勝負するぜ!」
そう言い、レックスはシーザーに真っ直ぐ突進する。シーザーはそれを避け、尻尾で攻撃する。直撃するも怯まず、レックスも尻尾で攻撃する。二体はそれぞれ向かい合い、前足でやり合う。両者はほぼ互角の状態だった。
「やっと面白くなってきたじゃねぇか!では、そろそろ本気を出すか!」
グラッドはゾイドキーを取り出す。それを見たアレックスは、
「まさか、グラッドはもう本気を出すのか?」
それを見たクルーガーは、
「ここで、ワイルドブラストを発動か!さあ、ウィル、どうする?」
「狙い撃て、レックス!俺の魂と共に、進化 解放!エヴォブラストー!!俺とレックスの最大の攻撃を受けてみろ!ファントムガトリングガン!」
「シーザー!」
ウィルの掛け声と共にシーザーはスピードを上げ、レックスのファントムガトリングガンを避ける。
「よく避けたな!だが、次は逃がさないぞ!」
そう言い、スピードを上げ、真っ直ぐシーザーに向かうレックス、
「いくぞ、シーザー!俺たちの力を見せるぞ!切り拓け、シーザー!俺の魂と共に、進化 解放!エヴォブラストー!!」
「ファントムガトリングガン!」
真っ直ぐ猛スピードでファントムガトリングガンを撃ち込むレックス、シーザーに猛スピードでレックスに向かい、
「ビーストオブクローブレイク!」
互いにぶつかり合うシーザーとレックス、ぶつかり合いの末、互いの装甲に傷が付き、両者共態勢を崩す。それを見たクルーガーは拍手をし、
「そこまで!素晴らしい戦いだったよ!」
それを聞いたグラッドは、
「待てよ、まだ勝負は!」
「それ以上、戦ったら、ライガーとレックスも可愛そうだろ?それに今の激突で、ライガーとレックスも認めあったそうだ!」
クルーガーの言葉通りに互いを見つめるシーザーとレックス、それを見たグラッドは、
「あんたには負けたよ!いいぜ、弟子入りを認めてやる!」
それを聞いて喜ぶウィル、
「ただし、さっきも言ったが、俺たちは戦争をやっているんだ!俺の言うことには黙って従えよ!」
少し不満そうな表情をするウィル、しかし、何か吹っ切れたように、
「わかった!」
「威勢はいいが、遊びでついてくるんじゃねぇぞ!」
「元より、覚悟は出来ている!俺はシーザーのように帝国に苦しめられているゾイドと人々を救うために旅してんだ!」
そこにエマがウィルの元に走り、ウィルに抱きつく。
「ちょっと、何するんだよ!エマ!」
「良かった!心配してたのよ!」
それを見てニヤニヤするグラッド、
「へぇ~、ビーストライガーもだが、お前には勿体ない嬢ちゃんだな!」
そこへ静観していたクルーガーたちも立ち寄り、クルーガーがウィルの元に行く。
「見事な戦いだったよ!ウィル、これからもよろしく!」
そこへアレックスがウィルの肩に手を置き、
「お前、スゲェ奴だぜ!オマケにこんなカワイコちゃんまでいるとは!」
「俺はアッシュ、よろしく!」
「俺はジョン、何かあったら俺がついていってやるぜ!」
「あたしはジェニファー、よろしくね!」
「俺はクリス、空の戦闘の専門だ!」
「私はケン、お前の戦い、見せてもらったぞ!」
同盟軍の精鋭たちから歓迎を受けるウィル、 同盟軍の精鋭たちから歓迎を受けるウィル、基地の修理が終わった後、ウィルとグラッドは、少し離れたところに立ち、
「さっきの戦いを見ると昔の俺を思い出すぜ!レックスと会う前の俺もお前と一緒だったからな!」
「俺と一緒?」
「俺はスラム街のところに生まれた。そこは市長や議員が賄賂やら横領やらの腐敗政治ばっかりで、治安が最悪で、毎日、強盗やら、殺人が頻繁に起きて、俺が小さいときに両親に棄てられ、生きるために詐欺やら強盗やらやってたぜ!
しかし、そんなとき、帝国軍が街を占領し、悪徳市長と議員をクーデターで失脚させて代わ悪徳市長と議員をクーデターで失脚させて代わりに帝国の総督が支配し、強盗や殺人も帝国軍によってあっという間に抑えられ、街に平和が訪れた。
俺は自分を変えるために帝国軍に入った!最もゾイドに乗るのは初めてだったため、中々言うことを聞いてくれず、落ちこぼれもいいところだった! しかし、そんな俺に上官からレックスを与えられた。ほとんどのゾイドは俺の言うことを聞いてくれなかったのにレックスだけは俺を認めた!
その後、レックスのおかげで俺は数々の功績を残し、中尉にまで登りつめた!最もそんときの俺もレックスの力に頼っていたがな!俺にとってレックスは相棒であり、家族だった!
だが、どうやら、俺はレックスの性能を試すための実験台として選ばれただけで、後にバイザーとチップを取り付け、四天王に献上するつもりだったらしい! 俺はそんな奴らが許せなくて、レックスのバイザーを外し、帝国から脱出し、それ以来、お尋ね者となった。
その後は密輸業者として働いたが、クルーガーに会って、勧誘を受けた! 俺は断ったが、レックスは帝国に苦しめられ 俺は断ったが、レックスは帝国に苦しめられているゾイドと人々を助けたいと何度も語りかけるから、クルーガーと戦った。最もクルーガーの相棒のゴルドはグラキオサウルス ボルカノだったから、ボロ負けしてしまったがな!」
「それで、変わったのか?」
「ああ、変わった!今の俺は帝国を倒し、人間とゾイドが共存する世界を築くために戦っている!クルーガーの言った通り、お前は大した奴だ!これからもよろしくな、ウィル!」
「ああ!ってそうだ!シーザーのメンテしなきゃ!」
シーザーのメンテをするために走るウィル、グラッドの元にクルーガーが立ち寄る。
「グラッド、何故、あのときあんなことを言った?」
「さあな、ただ、俺のゾイド乗りとしての血がそう言えと言ったかもしれない!ところで、あのデイビッドの息子ってのは本当にあのガキなのか?」
「ああ、私の目に狂いはなかった!本当にあいつにそっくりだ!」
「あいつにデイビッドのことは教えないのか?」
「流石にあいつには刺激が強すぎる!だが、いずれ知ることになる!そして帝国軍と戦うことによる過酷さも!」
クルーガーはウィルの将来を楽しみにしなが
クルーガーはウィルの将来を楽しみにしながら言った。
To be continued
次回予告
同盟軍総司令グラッドの弟子となったウィルは厳しい訓練を受けることになった。だが、そんなとき、エマを付け狙うネオデスメタル四天王の一人でスティレイザーを操るカーチス・グレッゲル准将の罠にかかり、ハンターウルフを相棒とする同盟軍の傭兵リセルヴァ・ディアスと共にグラッドたち精鋭部隊から外された。
ウィルはリセルと共にグレッゲル准将と戦うが、スティレイザーは予想以上の強敵だった。
次回、
「電撃の参謀」
本能を呼び覚ませ、ライガー!