ハリーポッターと忘却のハルピュイア   作:カネナリ

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彼は橋がかかっているのになぜ船で行くのだろうと疑問に思いながら船の先頭に座っている彼は波に揺られホグワーツへ向かっている

 

この船はゆっくりとした速さで進んでいる

船の先には妙に明るい蝋燭が浮かんでおりゆらゆらと行き先を照らしている

この調子だとあと数十分はかかるだろう

最初は楽しみにしてた彼も段々退屈になってきた。

 

「ぁ、あのぅ。こ、こんばんはぁ」

 

彼が退屈そうにしていると隣の人に話しかけられた

彼はそちらへ目を向けた

そこにいたのは少女であった

黒い瞳と目が合った

闇夜に溶けるかのような背中の中程で切り揃えている黒い髪は彼女の動きに合わせてサラサラと流れている

 

緊張しているようで手を握りしめたりローブの裾を掴んだり手を組んだりしている

勇気を振り絞って出したであろう声は掠れていた

彼の視線を受けて彼女の体は縮みこまり小さくなって震えている

 

オオカミを前にしたウサギみたいな姿だ

取って食べたりはしないのにと彼は思いながら

取り敢えず彼女の勇気に答えてこんばんは、とだけ返した

 

「ぅう、その、……あ!いい天気ですね!」

 

どうやら彼女は話しかけたはいいけど何を話すか考えていなかったようだ

彼は夕暮れ時は曇り空で今夜は月も出てきてないほど曇っているのを知っている

だがそれを指摘するのは彼女に悪いなと思い

そうだな、いい天気だ、とあたり際のない返事をした

 

「えぇと、えぇと、あぅあぅあぅ~」

 

瞳がぐるぐると渦を作りだした

顔は真っ赤に染まり今にも蒸気を吹き出しそうだ

そんな一生懸命な彼女が他の人と話さないのか彼は疑問に思い後方へ目を向けた

 

4人の少女たちが談笑しているのが見えた

更に奥には3人の少年たちが百味ビーンズをシェアして当たり(ハズレ)を一斉にひいてうずくまっている

様子から見るにそれぞれ共通の友達のようだ

あそこに彼女は混ざれそうにないなと彼は思った

 

彼は彼女に深呼吸させ落ち着くよう促した

吸って、吐いて、と出来るだけ優しげな声で言った

彼女はおもいっきり息を吸い胸を反らした後おもいっきり吐いた

胸を反らすときローブが盛り上がった

彼は意外と胸があるのだなと思った

 

しばらく繰り返すと彼女は落ち着いてきたようだ

彼は彼女に自分になにか用があるのか、と聞いた

 

「その、あ、貴方が暇そうにしていたから、お話し出来る、かなあと思って、つい話しかけてしまいました。その、ご迷惑でしょうか?」

 

潤んだ瞳が彼を見つめている

断ったら泣いてしまいそうだなと彼は思った

彼女はこういった状況だと居た堪れなくなる性分のようだ

暇潰しにお話しするのは彼にとってもよいことだ

彼の屋敷での話し相手は召し使いと屋敷しもべしかいない

彼女との会話はよい経験となるだろう

 

彼は迷惑には思わない、と言い彼女とお話しすることに賛成の意を伝えた

 

どうせなので彼は自己紹介をしようと彼女に持ちかけ自身の名を言った

「レーニン・ヒートニー」それが彼の名だ

彼は自分の名が女性の名前であることを好ましく思えないので彼女には「レン」と読んで欲しい、と言った

両親が何故息子に女性の名前をつけたのか未だに彼は理解できずにいた

 

「わ、分かりました。レ、レンくん」

 

彼女は気恥ずかし気に彼の名を口にした

初対面の人の愛称を呼ぶのは厳しそうだが頑張ってほしい

 

彼女は自分の番だと張り切って自己紹介し始めた

彼女の名は「レイラ=ジュリア」

マグル出身のようだ

魔法を使ってみたいと話していた

意外にも彼女は運動が好きなようでクィディッチに興味をもっていた

 

「でも、クィディッチの試合なんて見たこと無くて、本で読むだけじゃ想像し難くて、どんな競技なのかわからないんです」

 

彼はとてもインドアな少年だ

彼が屋敷外に出るのは運動のために庭に出て箒に乗って飛んだり

召し使いの目を盗み屋敷の裏手にある雑木林で果物を摘まむときだけだ

彼は外の世界にあまり興味を抱かず屋敷からあまり離れようとしなかった

 

クディッチに関しても興味を抱かず本を読んで知っているだけで実際に観たこともない

彼は彼女に自分も同じようなものだ、と言った

またホグワーツでは寮対抗でクィディッチの試合をすることを耳にしたので観に行けば良い、と言った

 

「へぇ!そうなんですか!いや、でも、私一人で観に行くのは寂しいです」

 

友達と観に行けば良いのでは、と彼は言った

 

「でも、私には、一緒に観てくれる友達なんて、あっちにも居ませんでしたし」

 

藪蛇だったかと彼は先程の発言を後悔した

悲しげな表情で顔を俯かせる彼女を見ていると彼はなんだかやるせない気持ちになった

彼女の悲しげな顔は見たくないと彼は思ったので自分と友達になれば解決するよ、と彼女に言った

 

「そ、そんな、レンくんみたいな良い人が友達だなんて。私には勿体ないです。ドジで、気が利かなくて、友達になる機会を何度も不意にしてきましたし」

 

それは相手が悪かったのだなと彼は思った

話しかけ方が絶望的なだけで彼女は今彼と普通に会話できている

彼女に友達が居ないなんて彼は思えなかった

それでも構わない、と彼は言った

 

「ほ、本当に、私なんかで、いいんですか。」

 

ああ、互いに友達一号だな、と彼は茶目っ気たっぷりに言った

彼は屋敷からろくに外出しない引きこもりだ

友達なんぞいるはずもない

召し使いや屋敷しもべは家族だからノーカンだ

声色は全くもって変化しておらず全く茶化せていないが彼女には効果があったようで満面の笑みを浮かべ嬉しがっていた

 

「やったよお母さん。私、友達ができたよ」

 

彼女はそう独りごちた

嬉しそうでなによりである

 

彼女との会話はとても弾み色々と話し合った

 

彼女はレイブンクローに行きたいようだ

学ぶことは好きだから、と言っていた

 

彼も同じくレイブンクローに行くつもりだ

母の遺した研究を引き継ぐつもりなのでホグワーツで知識を蓄えたかったからだ

 

彼は彼女から人間界のことについて幾つか教えてもらった

瞬時に移動することができないのが彼の一番の驚きだ

不便な世界もあったものである

 

そうこうしている内に船が岸に着いた

大男がついてくるよう呼びかけている

地に足をつけホグワーツへ向かう

 

巨大な門を潜り抜け薄暗い廊下を歩んでいく

そして両開きの大きい扉の前で立ち止まった

組分けの準備をしているようだ

今日は待たされることが多いなと彼は思った

 

彼は辺りを見渡した

顎の尖った金髪がキングズ・クロス駅で見かけた丸眼鏡の少年を睨みつけているのが見えた

色々と面倒臭そうだ関わらないでおこうと彼は思った

 

視線をそらし次にヒキガエルの飼い主が目に入った

今でもヒキガエルを大事そうに抱えている

額の痣は誰かが治したのかなくなっていた

 

緊張しているのかぎこちない動きをしている者もいた

というより彼女だった

彼の隣に立ち先程の挙動不審が再発している

非常に緊張しているようだ

友達なのだから手助けしなくては、と彼は考え緊張が解れるようにと彼女の震える手を優しく握ってあげた

 

今度は彼女の体が硬直して動かなくなった

しかし彼は震えが止まったので落ち着いてくれたと思い彼女の真っ赤な顔に気づかず手を握ったままでいた

 

老齢な女性が新入生たちの前に立った

どうやら準備が整ったらしい

新入生たちは老女に先導され扉の先へと足を進めた

 

ぎこちない動きをする彼女の手を引きながら

 




女の子の口調が分からねぇorz

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