現実の分まで仮想世界を走り回りたいと思います。   作:五月時雨

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 はい、アンケート企画第一弾です!
 2弾は『PS特化のツキヨと姉妹』なんですが、これはPS特化でも『ハクヨウと姉妹』を書くので、書けたら同じ日に投稿予定ですね。内容は別のモノを予定していますが。

 今回はハクヨウちゃんがただただ皆に可愛がられて、可愛いだけです。
 特に時間軸は決めてませんが、圧倒的未来です。作中のシリアスも全部終わった後の、平和すぎる世界のお話を先取りしました。
 と、そんなssを書こうと思っていたんですが、なんか最終的な着地点がおかしくなりました。けどこれはこれで可愛いからありかなぁ、と。

 


アンケート企画第一弾 可愛がられるだけ

 

 

 

「ふふ……うふふふふっ。あはははっ!」

 

 不気味な声が、薄暗い室内を支配する。

 様々な器具が煩雑に置かれたこの部屋は、彼女が彼女のために彼女自身で用意した作業部屋。

 鍛冶を専門とする彼女だが、その実【調合】や【裁縫】なども手掛けており、その腕はトップクラスだ。

 

「ついに…ついに、完成よ」

 

 そこには一人の女性と、瓶に入った橙の液体。

 見た目は、ポーションと色が違うだけ。

 その瓶を見て彼女は笑いが抑えられなかった。

 ずっと……ずっと作りたかったものだから。

 この世界がゲームだからこそ夢見た、ゲームだから可能だと思った薬。

 

「これをハクヨウちゃんに飲ませれば……あはっ。うふふふふふふ……っ」

 

 女性は、名をイズ。

 ハクヨウを妹の様に可愛がる大人枠の一人にして、生産の異常枠である。

 

 

 

 

 そんな不気味な笑い声を上げる彼女のもとへ、生贄(ハクヨウ)がやってきた。

 

「イズ。来た、よ?」

 

 ノックして入ってきたハクヨウは、この日、イズに火急の用があると言われ呼び出されていた。

 直接話したいからと言われて内容は聞いていないが、他ならぬイズの言葉だったので無条件に信じ、のこのことこの不穏な部屋にやってきた。

 

「あら、いらっしゃいハクヨウちゃん。時間には少し早いけど、よく来てくれたわね」

「わ。急ぎの用って、言ってた、から」

 

 開幕一番にハグハグなでなでスリスリくんかくんか。若干危ない行為が入ってないでもないが、いつもの事と遠い目になったハクヨウ。

 もう慣れた。

 

「ん〜、ハクヨウちゃんのこの抱きしめた時のすっぽり感が良いのよね〜」

「む。それ、遠回しに小さい、言ってる?」

「かわいいは大正義。ハクヨウちゃんはかわいい。つまりハクヨウちゃんが大正義」

「……何言ってる、の?」

 

 小柄なハクヨウは、イズの腕の中にすっぽりと収まってしまう。そのフィット感が好きらしい。

 

「それ、でっ!用事って、なに?」

「あ、逃げちゃった……もう少し堪能させて?」

「い や !」

 

 両手で目一杯押し、イズの捕縛から抜け出したハクヨウは、『私は小動物か!』と言いたげなジト目で問いかけた。

 ジリジリとイズから距離を取り、ある程度離れた所で気を抜いた。抜いちゃった。

 

「すきありっ!それじゃ仕方ないけど、本題に入りましょうか」

「離し、てっ!」

 

 『はぁ……』と溜め息一つと肩を落とし、気が抜けた一瞬の隙を付いて、再び抱きつくイズ。どうやらこのまま本題に入りたいらしい。

 藻掻くハクヨウを『あらあらうふふ』とにこやかに笑っている。まるで素直になれない妹と、妹が好きすぎるお姉ちゃん。

 

「ハクヨウちゃんにはね、一つアイテムを試してほしいのよ」

「このまま、進めるん、だ……で、アイテム?」

 

 抱きしめてほっぺとほっぺをす〜りすり。イズの愛情表現は過剰だと辟易。慣れた。

 

「うん。これなんだけどね?」

「ポーション?」

 

 腕の中にすっぽりと収まりつつ、目の前に翳されたのはポーション瓶に入った、橙色の液体だった。通常、ポーションは緑色なので、橙色というのはおかしい。

 

「効果、は?」

「普通のとは違うわ。でもちょっと説明が難しいのよね……兎に角危険なものではないから、取り敢えず使ってみてくれない?この場でも効果を発揮するはずだから」

「自分で、使わない、の?」

「自分じゃ意味な……じゃなくて、試験的なものだから、自分以外の使った感じも見たいのよ」

「………そ」

 

 この時、ハクヨウ唯一の失敗があるとするならば、意地でもイズの捕縛から抜け出すべきだった。

 そうすれば、絶対にこのポーションを飲まなかっただろう。

 

 なぜなら。

 

「―――っ!―――っっ!」

 

 ハクヨウに聞かれないよう声を出さずに我慢したその顔は、だらしない程ゆるっゆるに緩んでいたのだから。

 

「それじゃ。使う、よ」

「はーい」

 

 イズがハクヨウの腰に回した手からポーションを受け取って、そのまま使用。その瞬間にはイズは捕縛した両腕を離し、ハクヨウを開放するが。

 

 全て、遅かった。

 

「わわっ、何こ、れ―――」

 

 ポーション瓶を開けた瞬間、中身が弾ける。

 ボフンと、とてもコミカルな発破音と共に飛び散る橙の液体と桃色の煙に包まれて、ハクヨウは驚き尻もちをついた。

 

「けほ、けほ…イズ、危なくない、言った……」

「危険はないけど、試験的なもので爆発しちゃうのよね……ダメージが発生するものじゃないから、ちゃんと安全よ?」

 

 それ『死ななきゃ安い』と同レベルでは……と思うものの、煙で咳き込むし何も見えない。しかし数秒の後に自然と煙が晴れ、視界が戻る。

 

「もう……ホントに、もうだ、よっ!」

「うふふ、ごめんなさいね?もう収まったわ」

 

 尻もちをついたハクヨウは、ものすご―――くにっこりするイズの手に掴まって起き上がる。

 

「………ん?なん、か。目線低、い、し……手も短、い?」

 

 イズの顔を見上げると、首をかなり上に向ける必要があって、ちょっとキツイ。

 そんな気付きなくない事実に気が付き、頭からさっと血の気が引いた。

 

「ま、さか……っ!」

 

 そこで元凶のイズをきっ!と睨むと。

 

「うふふっ……うふふふ……そ〜いっ!」

「ぅ、わっ」

 

 キャラ崩壊っぷりのひどい緩んだ笑みで、ハクヨウに抱きついた。

 

 ()()()()()()()()

 

 

「ふふふっ!どう?どうかしら?

 私が作った【年齢偽称薬(ぎしょうやく)】はっ!?」

「なに、それ―――っ!?」

 

 自分の体や顔をペチペチと触ってみると、背伸びをしても十歳にも満たないだろう身長な上に、顔立ちもだいぶ幼くなっている気がする。

 また頭の角も小さく縮み、一センチほどの硬質の突起があるだけ。

 

「実験は成功!もうほんと!本当にかわいいわ!かわいいわよハクヨウちゃん!」

「や、め、てーっ!」

 

 正面からハクヨウを強く抱きしめてそのまま脇に手を差し込み、小さくなった体を軽々と持ち上げて抱きかかえる。藻掻けど藻掻けど、体格差は絶対だった。抜けられないし、そのままぬいぐるみみたいにぎゅーっ!と抱きしめられる。

 

 そして。

 

 更に追い打ちの如く。

 

 

 扉が、ノックされた。

 

「ひぅ!?」

「はーい!待ってたわよ〜」

 

 扉が開けられると、見慣れた装備のプレイヤーが五人。

 

「言われた通り全員で来ま、し……え!?」

 漆黒の全身鎧の大盾を筆頭に。

 

「火急の用事って一体……はぁ!?」

 蒼を基調とした前衛魔法使い。

 

「ミザリーとレベル上げしてたんだけどいきなり……て、えぇっ!?」

 赤で統一された烈火の魔法使い。

 

「ハクヨウちゃんがこっちにいるって聞いたのですが……はっ!これはっ!?」

 白の聖職者のような装備の女性。

 

「な、なんだ皆して?立ち止まって無いで早く入ってくれ……っ!」

 桜色の着物を身に着けた女剣士。

 

 ハクヨウの受難は、始まったばかりである。

 

 

 

◆◇◆◇◆◇

 

 

 

「はい、あーん」

「…………」(ツーン)

「ハクヨウハクヨウ!だっこさせて!」

「………いやっ」

「ハクヨウ、すっごい可愛いよ!」

「うぅ……恥ずか、しい」

「ハ、ハクヨウ……撫でても良いかな?」

「……それくらい、なら」

「ず、ずるいぞ!私にも撫でさせろ!」

「やー!」

「ハクヨウちゃん、ここに逃げても良いですよ」

「うぅ……ミザねぇ〜〜っ!」

 

 イズがお菓子を『あーん』するのを尽く無視し続け、メイプルのだっこ要求を拒否し、ミィのストレートな褒め言葉に羞恥し、サリーのなでなでを仕方なく受け入れ、カスミを全力拒否。そして最終的に恥ずかしさが限界突破して、ミザリーに抱きついた。

 

「「「「「ミザリーずるい!!」」」」」

 

 抱きつくハクヨウは眼尻に大粒の涙を浮かべており、“ひしっ!”という感じに抱きついて、『離してなるものか』とミザリーの装備の裾をぎゅっとしている。そんなハクヨウを優しく包み込み、頭を優しく撫で、『もう大丈夫ですよー』と慰めるミザリー。

 

 

 

 

 なんと言うか。もう……ミザリー優勝。

 

「いきなり小さくされたんですから、ハクヨウちゃんがイズを怒っても当然です」

「うっ……」

 

 ミザリーの胸元に顔を埋めるハクヨウ、ミザリーの窘める言葉に“うんうん”と高速首肯。

 

「皆さんも、もう少し小さくなってしまったハクヨウちゃんの気を遣ってくださいね?」

「「「「………はーい」」」」

 

 じんわりの涙を浮かべるハクヨウ、ミザリーの言葉に『ミザねぇだけが味方っ!』とより強く

“ぎゅっ!”する。

 ミザリーもミザリーでまんざらでも無いのか、座りやすいようにハクヨウの位置を調整して、そのまま抱きかかえて撫で擦る。

 もはや姉というよりお母さん。

 

 

 しばらくしてようやく落ち着いたハクヨウだったが、やはりミザリーから離れるつもりはないのか、あるいは他の人の餌食になりたくないのか、そのまま膝の上に座ってお菓子をポリポリ。なお、今日一日イズを無視することに決めたのか、イズにだけは無言を貫いていた。

 代わりにカスミへの対応が軟化しているのは、怪我の功名というべきか悩むところ。

 

「ハクヨウ、本当に可愛くなったね」

「む、ぅ……」

 

 頭をぐりぐりと撫で回すサリーから逃げようと体を捻るが、ミザリーもミザリーでハクヨウを離してくれない。お腹の前で抱き留められて、逃げられない。

 

「だめよ。もう本当に駄目駄目だわ!」

「……どうしたのイズ?」

 

 一人ハクヨウから無視されていたイズが小さく呟く。和やかムードの中でただ一人怒りで肩を震わせていた。

 

「イズが無視されるのは自業自得だと思うのだが……」

「違うの。違うのよカスミ!ハクヨウちゃんは本当にかわいいわ!可愛いし美人だったわ!だからこそ、その純白の着物が清楚さと神秘性を醸し出していた!だけど!だけど……っ!今のハクヨウちゃんはとってもとっても可愛い美幼女!それならもっともっと可愛い服にするべき!

 だからチェンジよ!」

「イズさん、なんか暴走してる……けど、確かに今のハクヨウならもっと可愛い装備が良いね……ワンピースでも着る?」

 

 メイプルも呆れ顔でツッコミを入れるが、さり気なく便乗して真っ白のワンピースを取り出す。

 

 瞬間。

 

キランッ と、全員の目が輝いた気がした。

 

 

 

◆◇◆◇◆◇

 

 

 

「うぅ……っ」

「可愛い!もうほんっと可愛い!」

「ねぇハクヨウ……このままお持ち帰りしていい?」

「想像以上だね……」

「やはり桜色の方が良いと思うんだが…」

「いいえ。ハクヨウちゃんはこの可愛さと清楚さのあるドレスが最高です!」

 

 ハクヨウはあの後、パッションの弾けたイズの手によって何着もの衣装を着せられて、軽いファッションショーをやらされた。

 そして全員が、自分のイメージカラーを薦めたのは言うまでもなく。

 メイプルは黒のゴスロリ衣装を。

 サリーは青のマーメイドドレスを。

 ミィは自分の装備そっくりに。

 カスミは桜色の振り袖を。

 

 全部似合ったのは言うまでもないが、最終的に、疲れたハクヨウがミザリーに泣きつき、ミザリーが選んだ白を基調として、ふんわりとしたワンピースドレスになった。

 所々に金糸で装飾されており、鮮やかな黄色のリボンがアクセントになっている。

 

 そして皆してハクヨウの奪い合い。

 もみくちゃにされるハクヨウは、体格差で振り回され、目が回る。何よりミザリーすら若干目が据わっていて、味方が居なくなってしまった。

 自分好みの衣装を着せて、彼女のリミッターも外れたらしい。

 

 交代で抱き上げられ、撫でられ、強く抱きしめられる。見た目がいくら可愛くなろうとも、中身はいつものハクヨウだ。

 恥ずかしさで可笑しくなりそうだった。けれど、それでも逃げないのは彼女たちが嫌いではないから。今回のイズみたいに怒ることはあれど、本気で嫌いになることなんてできないから。

 だから、拒否もしづらい。

 

 

 とはいえ、かれこれ一時間以上撫でられており、ハクヨウの恥ずかしさメーターはとっくに限界を迎えていた。

 誰でもいいから、兎に角この魔境から助けてほしい。取り敢えず抜け出して、落ち着いたら元にいつ戻るのかイズに問い詰めなければ。

 そう考え、ハクヨウは恥ずかしさを圧し殺すために思考の海に沈み込む。別のことを考えれば、気にならないよね!と安直な考えだ。

 

 

 

 

 そんなちょっぴり瞳からハイライトさんが職務放棄を始めた時、遂に救世主が現れる。

 

 

 

「おーいイズ、大盾と防具のメンテ頼みたいん、だ、が……」

 

 

『あ、……』

 

 ハクヨウの取り合いに夢中になっていた一同は、クロムが入ってきたことで我に返り。

 

「クロムっ!」

「うおっ!?」

 

 皆からの拘束が緩んだその瞬間、ハクヨウは小さな体を活かしてするりと抜け出し、風となってクロムの後ろに隠れた。

 

「あー……えっと。ハクヨウ、か?」

 

 “もうやだぁ……っ”と言った風にクロムの足にしがみつき、涙を浮かべた上目遣いのハクヨウが、小さく頷いた。

 

「何がどうして、小さくなってんだ?」

「イズに、騙され、た」

「ハクヨウちゃん!?」

「事実ですよね?」

 

 ミザリーの追撃でイズが項垂れる。自覚はあったらしい。

 

「……で、この状況は?」

「………おもちゃにされて、た」

「ミザリーは?」

「最初は、助けてくれた、けど、途中から……」

「はぁ……なるほど。取り敢えず、()()()()

 

 『全く……』という感じに溜め息を溢したクロムは、足元のハクヨウを優しく撫で、どのくらいで戻るのかと聞いた。

 

「え、と……わかんない」

「……それなら二時間くらいで効果が切れるはずよー……」

 

 物凄い残念そうに教えてくれたイズ。

 ミザリーも最終的に調子に乗ったので六人揃って正座させられている。非常にシュール。

 彼女らの頭の上に、『しょぼ〜ん……』とか書いてありそう。

 仁王立ちで睥睨するクロムは、部屋の片隅に散らばった衣服装備を見たあと、六人に向き直る。

 

「お前らなぁ……いや、確かに小さくなってるハクヨウは可愛いが、限度ってものを考えろよ」

『うっ……』

「……で、元凶のイズ」

「はい……」

「ハクヨウの許可は取ったか?」

「…………取ってません」

「大分着せ替え人形にしてたようだが……ハクヨウの意思は誰か確認したか?」

『………してません』

 

 その他にも沢山、クロムが問いかけて行く。そしてその度に、六人がどんどん小さく縮こまっていき、段々と見ていたハクヨウすら申し訳なくなってくる。

 空気が暗いもの。『しょぼ〜ん……』を超えて『どよ〜ん……』としている。

 

 

 

「最後に……ハクヨウに謝ったか?」

 

『私達が悪かったですごめんなさいハクヨウ様どうか許してくださいこの通りです……』

 

 完璧すぎる五体投地。

 それを前にクロムが満足そうに頷くと、ハクヨウに向き直った。

 

「で、この通り反省させたが、ハクヨウはどうする?」

「……あ、はい。もう良い、です」

「……だそうだ。立っていいぞ」

『………感謝の極み』

 

 これからはクロムを怒らせないようにしよう……その為にハクヨウに無茶振りは辞めよう……と、固く誓った六人だった。

 

 

 

◇◆◇◆◇◆

 

 

 

「それじゃあ元に戻るまで、ハクヨウは俺が預かるからな」

『えぇっ!?』

「お前らだとまた暴走しかねんだろうが!!」

『…………はぁーい』

 

 とはいえ、元に戻るまであと三十分も無い。正確には分からないが、もういつ戻ってもおかしくない。まぁゲームならではで装備品のサイズはプレイヤーの体格に合わせてある程度変化するから、このままの衣服でも問題はないのだが。

 

「じゃ、行くか」

「………」

「ハクヨウ?」

 

 手を差し出したクロムに、無言で思案顔になるハクヨウ。どうしたのかと思いクロムが問いかければ、次の瞬間、ハクヨウが驚きの行動に出た。

 

「【跳躍】」

「うおっ!?」

 

 ぴょーんと飛び上がり、空中でくるりと一回転。そのまま綺麗なフォームでクロムの肩に肩車状態で着地した。

 

「お前な……」

「えへ、へ……やだ?」

「………はしたないことするんじゃありません」

「嫌じゃないん、だ?」

「…………………はぁ。好きにしろ」

 

 折角明言を避けたのに、笑顔で小首を傾げて問いかけるハクヨウに、ついぞクロムが折れた。

 

「クロム。背、高い、ね」

「そうか?」

「ん。遠くまで、見える」

「ハクヨウが小柄だってのもあるが…」

「む、ぅ……も、少し大きくなりた、い」

「元のハクヨウくらいの身長が可愛いと思うけどなぁ……」

「……今、は?」

「小さすぎて心配になるが……可愛いぞ?服も似合ってるし」

「……っ!―――えいっ」

「ちょ、おい暴れんな。バランス崩して落ちたらどうすんだよ」

「クロムなら落とさない、もんっ」

 

 ………なお、この二人の会話を、羨ましそうに歯咬みして見つめる瞳が十二個あるが……。それは、知らぬが花というものだろうか。

 

「さて、このまま居てもつまらんし、街の中散歩でもするか?」

「しゅっ、ぱーつ」

「俺は乗り物かっての」

「乗り者、は、【ばぁさぁかぁ】、だよ?」

「そういう意味じゃねぇ……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 結局この後、外に出てすぐにハクヨウは光に包まれて元の大きさに戻った。見た目も年相応であり、装備がワンピースドレスなだけで完全に元通りである。

 

「む、ぅ……残念」

 

 唇を尖らせて愚痴るハクヨウだった。もう少し肩車を楽しんでいたかったのだが、元に戻ったのでは仕方がないと、いそいそと背中から降りる。

 

「ま、俺は見慣れてるこっちの方が良いな。小さいのも可愛かったが、あれじゃ戦えないだろ」

「ん」

「それに、こっちも十分にちっこいしな」

「む、ぅ……」

 

 クロムとは身長差がイズ以上にある。ちょっと強めに撫でてくる手は、小さい時よりも撫でやすそうだった。最近ではこの手も慣れてしまい、無意識にもっと撫でろと頭を擦り付ける。

 

「ったく……ネコかよ。まぁハクヨウも元に戻ったし、俺はそろそろログアウトするわ。防具のメンテは明日にでも頼むかね……さっきの今でイズには渡しづれえし」

 

 頭を掻いて、仕方なさそうに苦笑するクロム。

 仕方なく今日はもうログアウトしようかと、ハクヨウから離れた。

 

「じゃーな。また今度、一緒に探索しようぜ」

「………あ。待って、クロム」

「ん?」

 

 クロムがログアウトボタンを押す直前に、ハクヨウが呼び止めた。

 そして少しだけ助走をつけ、さっきみたいな【跳躍】も必要なしに“ふわり”と。

 

 

 

「さっきは、ありがとっ」

 

 真正面から抱きついて、花が咲くような満面の笑みで、それだけ告げる。

 

「――――っ!」

「じゃ、ねっ」

 

 恥ずかしそうに、事実恥ずかしかったのだろう。ログアウトすると言ったクロムより先に、ハクヨウがログアウトしてしまった。

 

 

 

 残されたクロムは。

 

 

 

 

 

「………おまっ、それはズルいだろ………」

 

 

 

 赤い鎧よりなお赤い顔で、しばし立ち尽くした

 

 

 




 
 ロリ化しなきゃ(使命感
 原作でもカスミがロリになるけど、ハクヨウちゃんのロリも可愛いと思う。
 ハクヨウちゃん大好きなイズなら、いつか開発しそうなアイテムですねw
 若くなります。というか幼くなります。『いつまでも子どもでいたい!』『大人になりたくない!』そんな永遠の楽園(ネバーランド)の薬。
 元ネタはOnly Sense Online

 で、結果的にクロムの一人勝ちという不思議な着地点に行き着きました。なんだこれ?
 途中ミザリーが優勝したけど、やっぱり勘違いでロリハクヨウごとクロムが奪い去っていく。
 クロム羨ましいぞ、そこ代われ!
 
 もしもう暫くロリ化が解けなかったら、『クロムはロリコン』『ハクヨウに産ませた』的な噂が掲示板を埋め尽くしてた。
 個人的にはゴスロリハクヨウちゃんが見たいんですが、私のミジンコ画力ではハクヨウちゃんを表現できないので、絶対描かない。

 同時投稿でPS特化のアンケート企画第一弾。
 次話は来週の日曜か月曜日になります。ストックを貯めさせてください。
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