現実の分まで仮想世界を走り回りたいと思います。   作:五月時雨

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 鬼娘ことハクヨウちゃんのイメージって結構大雑把にしか書いてない事に気付いた。から、ここで書いとく。
 身長145センチ
 つるぺたすとn(殴
 ごめんなさいちゃんとあります。少しだk(殴 

ハクヨウ『あ、あるも、んっ!少、し成長が遅いだけ、で、ちゃんとある、もんっ!』

 髪の毛は背中まで届くロングで白髪。肌はスキルで真っ白。額に生える一対の角が特徴的です。
 目は白に近い灰色で、装備も白基調の着物。
 右手は肩口から露出していて、左は袂が非常に広く長い。指先まで隠れます。胸元に一輪と左の袖に沢山の彼岸花が咲いている。
 袴は淡青色で竜鱗のようなデザインが施された細身のもの。足元は完全に隠れていて、足袋は見えません。
 イズ謹製の白いフーデットマフラーをしていて、サリーみたいに後ろに流している。フィールドでは目深に被り、角を隠している。

 ちなみにロリ化すると身長115センチ。ふわふわの白いワンピースで、慣れない体のせいでよく転び、涙目になります。

 って感じです!質問は随時受付中。

 あとハーメルン投稿用のTwitterアカウント作りました。(作者垢 @MoonNight425121 )
 私の名前から月と夜を取りました。
 ここでは事前に投稿日時を告知したり、定期的に拙作を宣伝したり、九曜ちゃんと月夜(つくよ)の可愛さを呟いたりする予定。
 


狙いは一つ!……そのはずだった

 

「第一回イベント?」

「そう!プレイヤー同士のバトルロイヤル」

 

 バァァァンッ!!と効果音が付きそうな決め顔をする理沙。来週に控えた第一回イベントについての告知は、一ヶ月前に一度。そしてつい先日、その詳細な情報が掲載された。理沙は暫く地底湖にかかりきりだったこともあり、気付いたのが昨日だったらしい。

 だが案の定楓は知らなかったらしく、ドヤ顔する理沙に首を傾げていた。

 

「発売三ヶ月を、記念して、のイベント、だよ」

「お、九曜は知ってたんだ!」

「結構前、から、告知自体はされてた、から」

「へぇ〜どういうイベントなの?」

「今言ったようにバトルロイヤルだよ。参加者全員が、他のプレイヤーを倒した数と死亡回数で争い合うんだって」

「楓、は、有利」

「だねぇ……」

「え、どうして?」

 

 死亡回数や被ダメージが多いほどポイントが減少する。だがその点、防御に極振りしているメイプルにダメージを与えられるプレイヤーはごく一握りしかいないと呆れていた。

 

「楓にダメージを与えること自体、至難の業だからねぇ……マイナスがないっていうだけで、かなり強いよ」

「なるほど!」

「でも、理沙もダメージ受けない、よね?」

「紙装甲だからね。全部躱せば、ダメージは受けないよ」

 

 軽く言うが、それを実行できるものは一握りだろう。

 

「でも、九曜だって当たらないじゃん。まぁ理沙みたいに全部躱すんじゃなくて、速すぎて追いつかないって感じだけど」

「それだけが、取り柄だか、らっ」

 

 えへへ…と自慢げに笑う九曜。最速プレイヤーとして名を馳せる彼女に追いつける者などいないだろう。この辺りは、極振り故の一点特化型の強みである。普通は扱いは難しいのだが、いろんな意味でそのやり方に『振り切っている』二人は、自らの形を作り出すことができた。

 

「つまり、三人とも相性のいいイベントってことだね!」

「楓は攻撃が効かなくて、私は全部避けて、九曜は捕まらないからね」

「上位入賞、ねらえる、よっ」

 

 ユニークシリーズというある種反則的な装備を持つ三人に真正面からぶつかって勝てるプレイヤーはいなかった。まずハクヨウに関しては、実質二種類のユニークシリーズを同時に使ってるようなものなのだから。

 そう三人で顔を突き合わせ、ふふふっと一頻り悪どく笑った後、理沙が『だからこそ』と続けた。それは非常に楽しそうで、三人だからこそ達成した時の嬉しさも一入(ひとしお)だろうこと。

 

 

 

 

 

「私たち三人でTOP3独占……狙ってみない?」

 

 

 

◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 理沙の提案に一も二もなく応じた楓と九曜。トップを狙うだけなら誰だって同じだが、三人で独占となれば話は変わる。特に足の遅いメイプル(かえで)は、相手に逃げられれば捕まえることはまず不可能。しかしこれには、理沙と九曜で共通の見解があった。

 

「「楓は……そのままで、いいよ」」

「えっどうして?」

「普段通りのメイプル(かえで)で、多分余裕だから」

「ん。大丈、夫」

「えぇ〜……」

 

 メイプルは一見して足が遅く、隙だらけの大盾使いだ。大盾は防御は高いが攻撃に乏しい故に狙われやすく、集団で囲まれればクロムでも厳しい時がある。

 つまり、メイプルとは格好の的であり、多くのプレイヤーが『ポイントいただきまーす!』くらいのつもりで襲ってくる。実際は地雷原に裸一貫で突撃したとも知らず。

 一度返り討ちにあったプレイヤーは二度と来ないだろうが、恐らく参加するプレイヤーは沢山いるため問題ない。

 

「多分、漁だから」

「ん。毒餌、漁」

「だ、大丈夫なのかなぁ……」

 

 なお、致死毒のもよう。フグよりヒドイ。

 『大丈夫大丈夫』と二人して苦笑する姿に、楓は不安を募らせていた。

 

「楓はこのままでも大丈夫だとして……私はちょっと不安かな……」

「そう、なの?」

「そりゃ、トップ独占を提案しておいてあれだけど、九曜みたいにレベル高くないし、楓みたいにぶっ飛んでないからね」

「理沙それどういう意味!?」

「?……そのまんまだけど」

 

 首を傾げ、『え?自分のプレイがぶっ飛んでないと?』と目で訴える理沙。“本気で言ってるのかこいつ……”とか言いたげだ。

 

「なら、レベル上げ、だね」

「んー……でもイベントのすぐ後にテストあるでしょ?お母さんとの約束もあるから、ちょっと厳しい……」

 

 言いつつ、九曜の方にチラッチラッ。目が何を言いたいのか雄弁に語る。

 

「………教えない、よ。そういう、約束っ」

「うぅ……っ、わかってるよー……。自分で言っといて反故にはしませーんっ」

「よろし、い」

 

 力無く項垂れて、いそいそと教科書を開く理沙。仕方無しに、なけなしのやる気でこうして休み時間にも教科書を開いて―――。

 

「あ、寝た」

「寝た、ね。……はぁ」

 

 ―――ものの数秒で力尽きた。

 これではテストも点数が奮わず、NWOを没収されかねない。

 

「あはは……理沙、テスト大丈夫かな?」

「多分、ダメ」

「だよねぇ……」

 

 二人で深くため息を付き理沙の寝顔を眺める。

 つんつん……ちょんちょん……こちょこちょ。

 

「ふぁ、あ……」

「あれ?九曜も眠そう」

「ん。なん、か、理沙の寝顔見てた、ら」

「気持ち良さそうに寝てるもんねぇ……まぁ、授業で怒られるだろうけど」

 

 しかし、起こす気はない二人。理沙が寝るのはいつもの事と諦めている。

 

「昨日……寝てない、し」

「うぇ!?どうして!?」

「あ、あー……え、と。本読んでた、ら、夢中になって」

「珍しいね。九曜その辺はしっかりしてるのに」

「………ん。そう、だね」

 

 嘘だ。と、九曜は内心で愚痴る。寝てないんじゃない。寝られなかっただけだから。ここ数日眠るのが怖く、眠りが浅い日が続いていたのだが、昨晩は一睡もできなかった。別の物(ほん)に意識を傾けていなければ、どうしても恐怖が勝ってしまう。

 

(は、ぁ……バレてない、よね?)

 

 珍しいものを見た……みたいな顔で覗き込んでくる楓を適当にあしらい、小さな欠伸をして口に手を当てるフリをし、目元をそっとなぞる。指先に、薄くファンデーションが付いた。

 

(いつまで、隠せるかな……)

 

「ちょっと、お手洗い行ってくる、ね」

「手伝おうか?早めに戻らないと授業始まっちゃうよ?」

「んーん、大丈、夫」

 

 心無しか、感覚のない足元が寒く感じ、次いで膝に僅かだが、ピリピリとした痺れが走る。それを楓に悟られたくなくて、咄嗟に車椅子を漕ぎ出した。

 

「すぐ、戻るから」

 

 それが予兆なのは、最初から分かっている。この小さな痺れが数分で終わってくれれば嬉しいが、我慢すればするほど痛みは激しくなる。

 それでも。

 できれば、いつ来るかも分からない最後の時まで絶対にバレませんようにと、そう願って。

 

 

 

 

「………ぁ。ぐ、ぅぅ―――っ!!」

 

 

 

 

 ―――願いは、通じなかった。

 

 

 

「九曜?どうした、の?

 

 ……ねぇ、九曜ってば!?」

 

 

 楓が必死に呼びかける声が聞こえた気がして。

 

 

「ひ、ぎぃ―――がぁぁぁあああ"あ"あ"あ"!!」

 

 九曜の意識は、暗転した。

 

 

 

◆◇◆◇◆◇

 

 

 

「あ、れ……ここ」

「――目が覚めましたか?九曜ちゃん」

 

 ゆったりと目を開けた九曜の目が白い天井を映し、薬品の匂いが鼻腔を擽る。見覚えのない景色に目を白黒させていると、すぐ近くから聞き慣れた声が聞こえた。

 

「美紗ね、ぇ………?」

「はい。九曜ちゃんのお姉ちゃんこと、美紗さんですよ」

 

 窓から差し込む夕日が影を作り出し、美紗の表情は判然としない。しかしその柔らかな口調が、ふんわりと微笑んでいることを報せてくれた。

 

「ここ、は……」

「病院です。九曜ちゃん、学校でいきなり倒れたそうですね?最初は保健室に運ばれたそうですが、専門医に見てもらった方がいいと、緊急搬送です」

「そ、なんだ……」

 

 段々と意識が覚醒してきて、美紗の言葉を徐々に飲み込んでいく。

 

「美紗ねぇ、は……なんで?」

「私は九曜ちゃんのトレーナーですが、一応看護師ですからね」

「でも、私服……」

 

 美紗は見慣れた看護師の制服ではなく、ラフな私服姿だった。

 

「今日は非番です。ですから看護師としてじゃなく、純粋に九曜ちゃんのお見舞いに来ました」

 

 “同僚に、『来たなら働け』って言われました。”と、ペロリと舌を出して(おど)けてみせる美紗に、九曜は小さく笑った。そして、()()()()()()()()()()()()ことに気付いて。

 

「痛く、ならない……?」

 

 ボソリと、小さく呟いた。

 

「………今は鎮痛剤を打ってありますから、痛みは無いと思います」

「え?」

「九曜ちゃん。目が覚めてすぐで申し訳ありませんが、先生を呼びますね」

「美紗、ねえ?」

「………大事な話です」

 

 九曜の言葉に耳を貸さず、一方的に要件だけ伝えていく美紗の様子を不思議に思い。

 ベッドに横たわる九曜を覗き込む美紗の顔は、夕日に照らされてはっきりと映り込んだ。

 

「―――そんなに、悪い、の?」

「っ………詳しいことは、先生から。けど九曜ちゃん。決して……決して自棄になっては駄目よ」

 

 優しい表情が綺麗な美紗に似合わない悲痛さを滲ませていて。九曜をそっと抱き起こす美紗の手は、確かに震えていた。今まで一度も同情や悲観、沈痛な感情を九曜に向けてこなかった美紗が、今それを隠せずにいる。

 その声音が。震えが、目に浮かぶ涙が。今の美紗が見せる全てが、九曜の状態を九曜以上に知っていると物語り、九曜にとっての最悪を、教えてくれる。

 

「そ、か………もう、限界、か……」

 

 自らの足に目を向ける。掛けられたシーツの下の素足は、黒い斑点が肥大化して痛ましさが伺えるだろう。それは九曜の足が……()()()()()()()()()()()()()()()()()証拠。

 あぁ何故、こうも世界は厳しいのか。優しい人たちに囲まれているのに、九曜の境遇がそれを許さない。九曜が願ったたった1つの夢ですら、世界は奪おうと言うのだから。神がいたら、全力で呪ってやりたくなる。

 

「分かって、いたのですか?」

「嫌な予感は、結構前、から」

「………ごめんなさい。気付いてあげられなくて。それが、私の仕事なのに」

「心配、かけたくなか、った、から……必死で、隠してたん、だ」

 

 美紗は、いつからか九曜が足を完全に隠すようになったのを思い出す。しかし、元から制服などの服装をきっちりと着るため、見過ごしていた。

 

「………私が、お姉ちゃんとして接しすぎていたのかも、しれませんね」

「え?」

「私は看護師で、九曜ちゃんは患者です。もしそれだけの関係だったなら、九曜ちゃんはもっと早く、異常を教えてくれていたと思いますから」

 

 それは、定期検診で医者に相談したように。あの時のように、あくまでも美紗との関係が『看護師と患者』あるいは『トレーナーと患者』だけに収まっていたなら、こうはならなかったはずだと、美紗は後悔していた。

 

 

 けれど。

 

「それ、は……やだよ?」

「九曜ちゃん……?」

「美紗ねぇ、は、ちゃんと『美紗さん』、だった。けど、私は最初、『美紗さん』と、仲良くなりたかった、から」

 

 何も二人は、最初から姉、妹と仲良くなった訳じゃない。最初は完全に『トレーナーと患者』だった。なのに姉、妹と感じるまでに親しくなったのは、偏に九曜が、美紗の性格に惹かれたからだ。厳しいのに優しく、突き放すのに手を差し伸べる。そんな仕事の合間に見える優しい美紗の性格が気に入ったから、仲良くなりたかった。

 

「『美紗さん』が、お姉ちゃんじゃなくなるの、は、やだよ?」

「………ダメなお姉ちゃんですよ?」

「美紗ねぇ、優しいけど、厳しいよ、ね」

「妹の機微を見逃す無能お姉ちゃんですよ?」

「なら、もっと見てて、ね?」

「仕事だと割り切れない、優柔不断です」

「私も、お姉ちゃんに心配、かけたくなかった、から。一緒だ、ねっ」

 

 フシャーっ!と目を三角にして威嚇し、意地でも折れない九曜。その姿が、ゲームの中の純粋なハクヨウと重なって。

 

「やっぱり、そっちの方が良いですね」

「……ぅん?」

 

 早くに()()()()()()()()()()()()()九曜の、子どもらしい一面を見て。やっぱりこの子の姉でいたいと思ってしまう時点で、美紗の負けだった。

 

「………分かりました。もう少し、九曜ちゃんのお姉ちゃんでいても良いですか?」

「美紗ねぇじゃなきゃ、やだっ」

 

 ぽてん、と美紗にしなだれ掛かり、そのまま抱きつく九曜は、離してなるものか!とひっつき虫になる。そんな九曜を仕方ないなぁ……と優しく包み込んだ。

 

 だからこそ、直後に聞こえたのだ。

 それは直前の会話が発端ではなく。悟ってしまった自らの未来に向けた激情。

 

 鼻を鳴らし、言葉が言葉にならず、あらゆる感情を噛み殺すような、小さな小さな慟哭を。

 抑えられない悲しみの激流を必死に呑み下そうとして、それすらまともにできなくて力の籠もる腕と、悲痛な叫びが。

 

 九曜が流す、自らに迫る悲しい未来を受け止めるための涙を、美紗は絶対に見ない為に。

 

 より強く九曜の華奢な身体を包み込んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

名前 望月 九曜

 

症状

 両下肢の神経損傷を発端とする壊死

 及び、両下肢の動脈に複数箇所の狭窄

 

 膝から下の運動機能低下に伴い、壊死の進行速度が急激に早まっている。進行速度が非常に早く、早急の処置が必要とされる。

 広範囲に進行している。また膝関節より下部の全神経損傷が原因であるため、部分的な処置での完治は不可能。再発の可能性がある。

 十年前の事故より現在に至るまで、過度なリハビリによって保たれていた筋力に著しい低下が見られる。これにより下肢の血液循環が低下し、狭窄に至った可能性が高い。複数箇所の狭窄を確認しており、何処かが流れても別の何処かが必ず詰まってしまう悪循環が起きている可能性があり、彼女いわく、一日の発生頻度が日に日に増えているとのこと。早急な対処が求められる。

 諮問の結果、仮想世界への長期間ログインが原因の一端と思われる。

 また、狭窄が壊死の進行速度を急激に早めている可能性があるが、両下肢に複数箇所の確認されており、患者の負担が大きく処置は困難。

 




 
 急展開は許して……今回の話、本当はイベント前日に起こる予定だったけど前倒しました。
 そしてようやく九曜ちゃんの容態が明らかに。

 九曜ちゃんを古参面させた本当の理由が、ここにあります。十年前の事故もゲーム開始時期も現実のリハビリパートも序章の成長も楓たちに打ち明けたのも、全部全部ここに運ぶための布石ですよ!
 この為に一話目の開始時期から布石としていました。頑張りました。もうね、何度『なんでこんな早くから始めたんだ……』と嘆いたか。

 このためですよっ!

 もうこの診断から行き着く先なんて、一つしか長いんや……(白目

 明日はPS特化を投稿します。
 Twitterの方でも告知しますけどね〜
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