現実の分まで仮想世界を走り回りたいと思います。   作:五月時雨

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 超ごめんなさい!(土下座)

 そ、その……私元々は読み専でして。行き詰まっていたのも本当なんですが、色んな作品を読んでたら毎日が終わってました……
 防振り新刊が一日早く店頭に並んでいたので、衝動買いした私です。
 ウェブ版の防振りが更新再開して、雷使いが出た時にテンションが上がって、ようやくモチベが少し回復しました。
 やったね【雷皇】だせるよ!……ってこれ、PS特化の話か。あ、PS特化は完全に暗礁に乗り上げちゃってて、まだ全然書けてません。けど、投稿をやめるつもりもないので待っててください。
 


速度特化のいない彼女たち

 

【NWO】癒やしがいない【消えた白鬼】

 

1名前:名無しの槍使い

 癒やしがいない……

 

2名前:名無しの弓使い

 おう どうした?

 

3名前:名無しの大剣使い

 白鬼?

 

4名前:名無しの弓使い

 あぁ、【白影】のことか

 

5名前:名無しの大剣使い

 愛でるスレとか餌付けスレで賑わってる、あの【白影】か

 

6名前:名無しの槍使い

 癒やしが居ないんだよぉぉぉぉぉ!!

 

7名前:名無しの大剣使い

 必死すぎて草

 

8名前:名無しの弓使い

 で いないってどういうことだ?

 

9名前:名無しの槍使い

 もう一週間もハクヨウたんが目撃されてないんだよぉぉぉぉぉ!!

 

10名前:名無しの大剣使い

 あの……そんだけ?

 

11名前:名無しの魔法使い

 愛でるスレで盗さ……画像更新がストップしてる理由それか!

 

12名前:名無しの双剣使い

 餌付けスレで一日一枚上がるはずのもぐもぐはむはむ画像が止まってる理由それか!

 

13名前:名無しの弓使い

 >11、12

 お前らも同類かよ

 

14名前:名無しの槍使い

 >10

 そんだけとはなんだそんだけとは!癒やしが無いとか死活問題なんだよ!

 ほぼ毎日ログインして癒やしを提供してくれたハクヨウたんが一週間目撃されてないんだよ

 

15名前:名無しの魔法使い

 そうだそうだ!ハクヨウちゃんの妹力は明日の生命力とイコールだぞ!

 今は過去の画像で生き長らえてるがそろそろ限界なんだ……

 

16名前:名無しの双剣使い

 毎日何かしら頬張ってるんだぞ可愛いだろうが!あーんしてあげたくなるんだよ!

 

17名前:名無しの弓使い

 >14、15、16

 取り敢えずお前らが変態なのは分かったわ

 

18名前:名無しの大剣使い

 >14

 ストーカーか 通報しますた

 

19名前:名無しの弓使い

 で 目撃されてないんだっけ?

 リアル事情とかあるしログインしないことくらいあるだろ

 

20名前:名無しの魔法使い

 見た目的にまだ学生だろうし時期的にテストとかそんな所か?

 

21名前:名無しの双剣使い

 ハクヨウちゃん勤勉か……

 

22名前:名無しの

 >20、21

 お前ら14、15だろ急に冷静になるな

 

23名前:名無しの弓使い

 ログインしてないならしてない理由があるだろうし気長に待ってやろうぜ?

 

24名前:名無しの槍使い

 癒やし欠乏症のわいはどーすれば良い?

 

25名前:名無しの大剣使い

 耐えろ

 

26名前:名無しの弓使い

 耐えろ

 

27名前:名無しの双剣使い

 耐えろ

 俺も耐える

 

28名前:名無しの魔法使い

 耐えろ

 過去画像で耐える

 

29名前:名無しの槍使い

 >27、28

 同士よ!!

 

 

 

――――――

 

 

 

 

 

 掲示板でもハクヨウ失踪が取り沙汰されている頃。賑わう一層の町並みから少し外れた場所に位置する一軒の店でもまた、似たような話がされていた。

 

「はぁぁぁぁぁぁ…………ハクヨウ〜〜……」

 

 ながぁぁぁい溜め息を吐いてカウンターに突っ伏す女剣士。彼女はつい最近、毎日のようにここに通っていた。

 

「寂しいからって、ここで愚痴を溢さないで欲しいんだけど……ウチって一応武器屋なのよ?」

 

 カウンターの向こう側で忙しなく作業していた手を止めて、店の店主イズが苦言を呈する。

 

「……イズなら同じ気持ちだと思ってたんだが」

「まぁたしかに?ハクヨウちゃんが居ないのはつまらないけど。でもその辛気臭い顔で何時までも居座られたら、流石に迷惑なのよ?客足が遠のくもの」

 

 桜色の着物に身を包み刀をぶら下げる女剣士ことカスミは、ハクヨウがいない事にはっきり言って寂しかった。

 

「だ、だってだな……こう何日もハクヨウに会えないと、その……減るだろ?」

「減るって、何が?」

「?ハクヨウニウム的な成分が」

「そんな成分ないわよ!」

「いやいやイズ。食事と同じくらい大切だろう?ハクヨウニウム」

「何!?生命活動の危機なのかしらカスミ!?」

 

 カウンターをバンバン叩き、理解の範疇を超えた話をするハクヨウ大好き剣士(カスミ)に戦慄する。

 最早カスミにとってハクヨウとの接触は食事と同等であり、生命活動に欠かせないものになってるらしい。何処ぞの掲示板の三人と仲良くできそう。現実でも事故前は九曜ニウムとか言ってた九曜の母を考えると、実はあるかもしれない。

 

「実際に今、私はハクヨウ欠乏症なんだ……多分このままハクヨウに逢えないとやばい」

「………具体的には?」

「―――ピチュンってなる」

「ピチュン……」

 

 なんだその、具体的には何も分からないのに不安に駆られる擬音は……と頭を抱えたイズ。

 無駄に無駄を重ね合わせてミルフィーユみたいになった無駄すぎる真剣な表情(かお)のカスミをぶん殴りたくなる。

 

「でも、実際心配なのよね……今までこんなに長い間、ログインしてないなんて無かったし。メイプルちゃんは、普通にログインしているみたいだし……」

 

 現実でも友達のメイプルなら、何か知ってるかしら?と小さく呟くイズ。ハクヨウの事情も何か知ってるかもしれないと思ったイズだが、現実の事に踏み込んで良いものかとも足踏みする。

 

「なるほど!その手があったか!」

 

 が、自称ハクヨウ欠乏症のカスミさんは躊躇しない。だってハクヨウに関してのみ、ブレーキって言う物が取り払われてるから。

 ガバッ!と俯いた顔を上げたカスミは、ステータスというゲームの絶対法則すら飛び越えた速度で両手を操作し、残像でブレる手でメッセージを書き上げると即座に送信した。ブレーキどころじゃない。アクセルをベタ踏みしてた。

 

「………な、何をしたの?」

「情報共有だ!ハクヨウと仲の良いミザリーやミィを呼んだ!」

「………ここに?」

「ここに!あ、クロムは色々と悔しいから呼ばなかったがな!イズもほら早く、ハクヨウの友達らしい子を呼んでくれ!」

 

 ハクヨウ独占法違反だ。と無駄のミルフィーユなカスミを引っ叩いて、イズは仕方なく今日は店仕舞いだと、表の扉に掛けられた『OPEN』の札を『CLOSE』に変えた。

 

 

 

―――

 

 

 

「今日ここに集まってもらったのは他でもない」

 

 神妙な表情のカスミは、集まった全員にそう切り出した。誰かがゴクリと喉を震わせ、一体何だと耳を峙てる。静寂が空間を支配し、緊張が張り詰める。

 

 

 

 ――そして緊張の糸が限界まで張り詰め。

 

 

「ハクヨウがいないんだぁぁぁぁぁぁぁっ!!」

 

 

 直後、バンバンとカウンターを叩いて濁流の如き涙を流すカスミ。心からの叫びだった。イズの目が死んでいく。

 メイプルとサリーはびくりと一瞬体を震わせ、ミィは呆れ、ミザリーはやはりそうかと得心のいった様子で頷く。

 

「こんな感じでここ何日か、ずぅっと鬱陶しくてね……」

「なるほど……ハクヨウちゃんは差し詰め、カスミの精神安定剤ですか……」

「いやミザリー、なに納得してるのさ……」

 

 定期的に摂取(ハグ)しないと精神が不安定になり、今がその最高潮のようなカスミの状態に、ミザリーは今までに見たことがないくらい高速頷きを披露。ミィが横合いから呆れた視線を向けていた。

 

「それでイズの提案で皆を集めたんだ」

「ちょっと。私は“メイプルちゃんなら何か知らないかな”って呟いただけで、提案したつもりも集めるつもりも無かったわよ?」

 

 ほんの少し疑問が口から溢れただけで、本当に集めるかは尻込みしていたイズが反論。カスミの圧に押され、仕方なくメイプルに声をかけ、一緒にいたらしいサリーと言う子も連れてきてもらったが、それ以上の思惑なんて微塵もない。

 

「それで、えっと……その子達が、ハクヨウの友達?会ったことないけど……」

 

 あまりに自然にいるものだから聞くのを忘れていたミィが、メイプルとサリーに目を向ける。店の中にいるメンツで、メイプルと面識のあるのはイズのみ。サリーに至っては初見である。自己紹介も必要だろう。

 

「メイプルって言います。こっちは親友のサリー!」

「サリーです。現実の方でハクヨウと友達で、つい最近、NWOを始めたんだ」

「つい最近、ねぇ……」

 

 それにしては、装備揃ってるなぁ〜?と、ミィはさり気なくイズに視線を送るも、イズは首を横に振るのみ。

 

「メイプルちゃんとは、ハクヨウちゃんを通じて紹介されたけど、サリーちゃんとは初めてね。まぁあれよ、類は友を呼ぶ」

「「「あぁ……」」」

 

 イズの言葉に納得といった表情を見せるカスミ、ミィ、ミザリー。ハクヨウの友人なら、この子達も規格外なのだろうと遠い目になった。

 

「それで話を戻すけど、いい加減カスミがハクヨウに会えない会えないって煩くてね。メイプルちゃん、何か知らないかしら?」

「っ、あ、えっと……そのぉ……」

「差し支えなければ教えてくれ!そろそろ禁断症状が出そうなんだ」

「「禁断症状!?」」

 

 何それハクヨウに会うのは一種の麻薬か何かなのだろうか?と、驚愕するメイプルとサリーだが、ここ数日カスミの相手をしていたイズは辟易。

 

「ずぅ〜っとカウンターで項垂れて『ハクヨウ……ハクヨウ……』って唸っててね……客足が遠のいて困るわ」

「「「「うわ……」」」」

「し、仕方ないだろう!?一週間もハクヨウに会えないとか拷問にも等しいんだ!それに明日には第一回イベントもある!そこにも現れなかったら私は死ぬぞ!」

「「っ…」」

「本当にカスミったらハクヨウちゃん好きよねぇ……」

「ハクヨウもよく()()の相手してるね……」

「ハクヨウちゃんも結構キツめに拒否する時もありますけどね?」

 

 カスミの慟哭に息を詰まらせるメイプルとサリー。イズとミィは呆れた様子で気付かなかったが、ミザリーだけは相槌を打ちながらもその様子を見守っていた。

 

(さて、九曜ちゃんの詳細を言うわけにもいきませんが、連絡事項もあるのですよね……)

 

 現実で板見たちと邂逅したのが3日前。それからまる一日で全ての準備を整え、イベント前日の今日、ようやく全ての用意が整った。どれもこれも、板見知人というネームバリューが医学界に広く知られている事と、彼の実績、そしてNWOプロデューサーである新世(あらせ) (さかえ)の尽力によるものであり、ミザリー(美紗)は頭が上がらない。

 

(まぁ、私の現実がバレる程度なら、このメンバー内で収まれば問題ありませんが……)

 

 その時は、『九曜のお姉ちゃん』を全面に出そうと考えるミザリーは、“すすすっ”とメイプルとサリーの近くに音もなく移動する。取り敢えずこの二人にだけは伝えなければならないことがあるので、打ち明けることにした。カスミが騒いでも、今の状態ならマウント取り放題だし。

 現実ならヤケ酒でもしそうな雰囲気のカスミをイズとミィに任せ、九曜の事を言おうかと詰まる二人に、小声で話しかけた。

 

「――あちらはもう少し落ち着くのを待ちましょうか。()()()()()()()

「あ、えっと………え?今、なんて……」

 

 九曜からのお願いを果たすべく、お姉ちゃんは身バレも辞さない。

 

 

 

 

 

()()()()()()()、二人のことは伺っていますよ。小さい頃からの親友だ、と」

「………貴女は?」

 

 三人とやや距離をとって、話を聞かれないように小声で話すミザリーに、サリーが困惑気味に問いかけた。

 

「私はミザリー。現実では九曜ちゃんのリハビリのトレーナーをしています」

「えええっ!?」

 

「な、なんだっ、どうした?」

「ふふん、自己紹介ついでに私が如何にハクヨウちゃんのお姉ちゃんか自慢してるだけです。引っ込んでなさい自称姉!」

「自称、姉……うわぁぁぁぁぁん!!」

「ミ、ミザリー……?」

 

 傷心のカスミにミザリーの言葉がクリーンヒットし、またも突っ伏した。よしよしもう少し時間が稼げるな、しめしめ。ミィがミザリーの事に驚愕の眼差しを向けているが、そんなの知ったこっちゃ無いとメイプルたちに向き直る。

 

「えっと……本当に?」

「嘘を言う必要がありません。私があなた達の名前と、ハクヨウちゃんの本名を知っていることが証明にはなりませんか?」

「じゃ、じゃあハクヨウが今どんな状態かも…」

「少なくとも、あなた達よりは理解していますよ。二人のお見舞いは、あの子も喜んでいました」

「入院も知ってるんだ……」

「今あの子の看護に当たっているのは、基本的に私ですから。九曜ちゃん……いえ、一応ハクヨウちゃんで統一しますが、ハクヨウちゃんは明後日には退院します。詳しくは言えませんが、元々検査入院だったのが長引いてしまいました」

 

 明日のイベント当日まではベッドの上であり、九曜もそろそろ飽き飽きしていた。が、今日に限っては明日を思い、ワクワク気味にミザリーをNWOに送り出していたりする。

 

「呼び出したのがカスミというのは癪ですが、運が良かったです。何とかして、お二人と接触したかったものですから」

「どういうことですか?」

 

 あのお見舞い以降、テストも控えていたこともあってお見舞いに行けなかった二人。尤も、今の九曜の状態では楓と理沙の存在はNWOを想起してしまい、ミザリーも面会を渋ったのだが。

 

「ハクヨウちゃんから伝言を預かっています。詳しい意味は知りませんが、お二人にそのまま伝えれば、伝わる、と」

「「はぁ……?」」

 

 その時の九曜の顔を思い出し、ミザリーはつい頬が緩むのを感じた。自分のことを姉と慕ってくれる事は嬉しい。ものすごく嬉しい。だけど同じくらい、親友のこの二人のことも大好きだと、伝わってきて。二人以上に踏み込んだ位置に自分はいると自覚していても、この三人の関係にだけは、入れない。そのことに一抹の寂しさを感じないでもないが、それ以上にこんな大切な友情を九曜が持っていることが、何よりも嬉しくて。

 

 

 

「『約束は、守る』―――それだけです」

 

 その言葉にどれほどの想いが込められているのか、ミザリーにも完全には分からない。

 けれど。

 

「―――あぁ……そっか」

「あはは……そっか。そう、だよね」

 

 一拍置いて、万感の思いで伝言を受け止めた二人の様子に、嘘はない。

 

「私や、持ち得る繋がりを全部使って、全部巻き込んで、その理由が『それ』でした。きちんと、伝わったようですね?」

 

 NWOにログインする前に、九曜から伝言を頼まれた。それは、自分のやったことが無駄じゃなかったのだと言われているようで嬉しかったし、大嫌いだがこの上なく頼りになる板見というツテを頼って良かったとも思う。彼がいなければミザリーは今も主治医に直談判していた事だろう。なんの根拠もなく、自らの衝動にのみ従って。

 一週間前の九曜が倒れた日。交わした約束は、九曜にとっての拠り所だった。またNWOに戻るという強い意思の中心であり、支えだった。その後に起こったことが衝撃的すぎて二人が忘れていないかと危惧していたが、問題なく、伝わったようである。

 

 その証拠は。

 

「「―――はいっ」」

 

 こんなにも、晴れやかな笑顔なのだから。




 
 今回は、ハクヨウが居なくなってからのゲーム内の様子を書かせて頂きました。
 カスミが完全に残念キャラを確立したり、ミザリーがお姉ちゃんとしてマウント取ったりと、原作からのキャラ崩壊が著しいですね。他にも掲示板でハクヨウがいなくなったと囁かれたり、ミザリーが自分から身バレしたり。
 とにかく現実パートが重かったので、第一回イベントに入る前に休憩です。

 原作で新しく出たギルド名、結構そのまんまだなってのが感想。
【thunder storm】
 直訳すれば、雷の嵐。わーい、PS特化で【雷使い】が原作にいないかと探したけど、これで見つかったー(白目
【ラピッド ファイア】
 これはファイアが悩むところですけど、多分意味は『速射』ですよね。【撃て(ファイア)!】で発射って意味合いを込めていそう。これまた登場したうちの一人が、手練れの弓使い。でもこっちはギルドマスターがメイド服……はっ!PS特化のニールとキャラ被り!?

 特に【thunder storm】なんて、ギルド対抗イベントの前に勢力を増したギルドだとか。
 ははっ、PS特化の妄想が捗るなー……要修正だよコンチクショーッ!
 何さこれまでの層の観光って!原作者様ネタ提供ありがとうございます!お陰でやりたい事が増えててんやわんやしてます!やりたいこと増えても書けなきゃ進まないんだよーっ!

 ともあれ。実は今月も色々と立て込んでて忙しいのですが、気長にお待ちください。

 次回、三人での約束を果たすべく、ハクヨウちゃんがNWOに舞い戻ります!
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