現実の分まで仮想世界を走り回りたいと思います。   作:五月時雨

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 メリークリスマス!

 シングルヘ〜ルシングルヘ〜ル
 か・れ・し〜いな〜い
 クロム〜みたいな相手欲し〜ヘイッ(吐血

 あ、やっぱりクロムさんいらない
 ハクヨウちゃんを妹に下さい!愛でる。

 というわけで、クリスマスssが異様に長くなって書ききれなかったので、前編。

 なお、後編がいつ投稿されるかは不明。多分来年とかじゃない?(白目



クリスマスss 前編

  

【てぇてぇ】はよくっつけ【愛でろ】

 

15名前:名無しのてぇてぇ民

 てぇてぇ(あいさつ

 

16名前:名無しのてぇてぇ民

 てぇてぇ

 

17名前:名無しのてぇてぇ民

 てぇてぇ

 

18名前:名無しのてぇてぇ民

 てぇてぇ

 

19名前:名無しのてぇてぇ民

 つ(クロムに突撃するハクヨウ)

 

20名前:名無しのてぇてぇ民

 ≫19 守りたい この笑顔

 

21名前:名無しのてぇてぇ民

 ≫19 はよくっつけ

 おら あくしろよ(懇願

 

22名前:名無しのてぇてぇ民

 知ってるか

 こいつらこれで付き合ってないんだぜ

 

 

 てぇてぇ

 

23名前:名無しのてぇてぇ民

 ≫19

 てぇてぇの補給助かる

 

24名前:名無しのてぇてぇ民

 ここは平和だなぁ(過激派から目を逸らしつつ

 

25名前:名無しのてぇてぇ民

 てぇてぇ関係をてぇてぇと楽しめないてぇてぇ弱者

 

26名前:名無しのてぇてぇ民

 あーあれか

 第一回イベントからいたクロム赦さん派

 

27名前:名無しのてぇてぇ民

 ハクヨウちゃん独り占め反対運動もあったなぁ

 

28名前:名無しのてぇてぇ民

 ≫27

 扇動したのカスミだししゃーない

 

29名前:名無しのてぇてぇ民

 カスミはなぁ…見た目は女剣士って感じでクールなのに

 

30名前:名無しのてぇてぇ民

 カスミはハクヨウの関係ない事にはめちゃくちゃクールだぞ

 

31名前:名無しのてぇてぇ民

 ≫30

 毎日ハクヨウに突撃してる奴がクール…?

 

32名前:名無しのてぇてぇ民

 ≫30

 1日ハクヨウに会えないだけでクロムにまる一日【決闘】申し込む奴がクール……?

 

33名前:名無しの生産姉

 カスミはね……どうしてあぁなのかしら。

 

34名前:名無しのてぇてぇ民

 !?

 

35名前:名無しのてぇてぇ民

 ≫33

 お、お前はっ!?

 

36名前:名無しのてぇてぇ民

 自称姉が一人 生産のイズか!?

 

37名前:名無しのてぇてぇ民

 ハクヨウちゃんを着せ替え人形にして俺たちにてぇてぇ爆撃を仕掛けるイズか!?

 

38名前:名無しの生産姉

 ……自称姉なのは絶対的姉ミザリーがいるから認めるけれど

≫37 てめぇはダメだ

 もう服飾はやめようかしら

 

39名前:名無しのてぇてぇ民

 ゆるして

 

40名前:名無しのてぇてぇ民

 ゆるして

 

41名前:名無しのてぇてぇ民

 ゆるして

 

42名前:名無しのてぇてぇ民

 ゆるして

 

43名前:名無しの生産姉

 ……仕方ないわね

 一つ私に協力してくれたら許すし、ついでに良いモノも見せてあげる

 

44名前:名無しのてぇてぇ民

 ≫43 一生ついてく

 

45名前:名無しのてぇてぇ民

 ≫43 けど お高いんでしょう?

 

46名前:名無しのてぇてぇ民

 ≫43 

 37だけど『てぇてぇ爆撃助かる』って打つ前にミスって送っちゃったんです

 

 ……シテ……ユル、シテ………

 

47名前:名無しの生産姉

 率先して協力してくれたら許す

 

48名前:名無しのてぇてぇ民

 なんでもする

 

49名前:名無しのてぇてぇ民

 ん?

 

50名前:名無しのてぇてぇ民

 いま何でもって……

 

51名前:名無しの生産姉

 まぁあなた達にも利があるかもしれない提案だから、そう身構えないで?

 

 

 

 

 

 

 ………過激派、黙らせたくない?

 

52名前:名無しのてぇてぇ民

 kwsk

 

53名前:名無しのてぇてぇ民

 kwsk

 

54名前:名無しのてぇてぇ民

 kwsk

 

55名前:名無しのてぇてぇ民

 kwsk

 

 

 

 

 

 

 

「『聖なる夜に木の下で』?」

 

 この日ハクヨウは、メンテナンスをお願いしていた《白魔のフード》を受け取りに、ギルドにあるイズの生産部屋にやってきていた。

 待ち構えていたイズは、にんまりとした笑顔でハクヨウを出迎えたのだが、そういう時は大抵が禄なことが無いと流石に学習しているハクヨウ、即座に身構えた。

 しかし、予想に反してイズは、変なポーションを出すでも、唐突に抱きつくでもなく、運営からのお知らせ通知を見せてきただけだった。

 

 

―――

【クリスマスイベント】

 『聖なる夜に木の下で』

 第一層の街にある中央広場の噴水が、クリスマス期間限定でクリスマスツリー木に変わっている。

 第一層の街では、このクリスマスツリーを目印にサンタクロースがやって来るぞ。

―――

 

 

「これ……だけっ?」

「今までみたいな盛大なイベントってわけじゃなくて、あくまでも運営主催でクリスマスに盛り上がろうって企画らしいわ」

 

 特にこれと言ったイベントではない。

 ただ、噴水広場にでっかいクリスマスツリーを飾って、街並みもクリスマス仕様になり、クリスマス限定の屋台なども出る、一夜限りのクリスマスパーティだった。

 しかし、パーティである。街を上げての盛大なクリスマスパーティ。気にならない方がおかしいし、なんならメイプルがいれば目をキラキラさせて『行きたい!』と言うだろう。

 

「あれ。メイプルたち、は?」

 

 ふと、メイプル達のことを思い出したハクヨウは、なぜ自分一人だけにしかこの話をしないのかと首を傾げる。

 まさか、他の人には教えない気では…。

 

「あぁ、違う違う。ハクヨウちゃん、昨日ログインしなかったでしょ?メイプルちゃんたちには、昨日話したのよ。それと、あとの人は普段から運営通知を見てるもの」

「う……」

 

 クスクスと可笑しそうに笑うイズだが、その言い分ではまるで、ハクヨウやメイプルが『通知?そんなの知らんっ!』とガン無視をキメているように聞こえてしまう。

 

「……メイプル、言ってくれ、なかった……」

 

 1日早く知っていたのなら、現実の方で教えてほしかったハクヨウが小さく呻く。

 

「メイプルも、ハクヨウちゃんを誘いたそうにしてたんだけどね。私からハクヨウちゃんを()()()()ようにってお願いしたの」

「っ!?」

 

 いきなりのカミングアウトに愕然とするハクヨウ。え?何?クリスマスイベントの事を教えておいて、ハクヨウ(わたし)をハブるつもりだったの?なにそれ鬼畜。

 と涙目になる。

 そんな涙目攻撃(+ぷるぷる震え&身長差による上目遣い)に身悶えるイズは、深呼吸をしてなんとか、ギリッギリ平静を保ち、その理由(ワケ)を話した。

 

「仕方ないでしょ?メイプルちゃんたち以上に、ハクヨウと行きたそうにした人が居たんだから」

「………えっ?」

 

 瞬間、ぷるぷる震え(バイブレーション)が止まった。涙目も引っ込み、首を傾げる。

 

 メイプルたちとクリスマスを楽しめたら、それはそれで楽しそうだけど……さて。

 月は12月。日付は24日。

 クリスマスイヴ

 キリストの生誕祭という本来の意味は、この日本においてほぼ完全に消失している。

 にも関わらず、毎年この時期はある人たちは勝ち組として静かながらも盛り上がりを見せ、ある人は敗者として涙をのむ。

 

 そんな、今夜。

 

 にっこにこしたイズが、ハクヨウに近づく。

 

「あ、因みになんだけど―――」

 

 

 

 

 

 

 

 

 ハクヨウは、勝ち組となる理由を手に入れた。

 

 

 

 

 

 

「―――うまく行ったわね」

 

 ふふふ……と愉快そうに笑うイズは、恥ずかしげに頬を赤らめながらもイズお手製の装備を抱きしめて、部屋をあとにしたハクヨウのことを思い浮かべる。

 

『良かったのー?クロムさんって、クリスマス自体忘れてる雰囲気だったけど』

「いーのいーの。あの二人は、この位のお膳立てしてもくっつきもしないんだから」

 

 イズ以外に誰もいないかに思われた部屋の中で、少女の声が響く。すると、突然クローゼットがひとりでに開き、中から炎の様な赤い髪が覗いた。

 

「ミィは、ミザリーと二人を見守るのよね?」

「うんっ。私は、いい加減早く二人くっつけ!って思ってるんだけど、でもあのじれったい感じも可愛いから、遠くから眺めてる」

『周りが囃したてても、ハクヨウちゃんには逆効果ですからね。お膳立てくらいが、丁度いいでしょう』

 

 今度はどこからともなく声が響く。それは、ハクヨウが姉の様に慕う女性の声で。

 

「とか言って、一番近くで二人を見てモヤモヤしてるのはミザリーのくせに」

「………クロムさんが今日もログインすることは確認済みです」

「モヤモヤしてるのは否定しないんだ?」

「そろそろじれったくて、クロムさんのお尻を蹴り上げそうです」

「あははっ!」

 

 空間から溶け出すように現れたミザリーは、得意の【光魔法】にある、少しの間だけ透明化する魔法を使い、隠れていた。

 

 今度は普通に部屋の扉が開きサリーと、めちゃくちゃキラキラした目のメイプルが入ってくる。

 

「二人とも、これはゲームだからって尻込みしちゃってるもんね」

「あ、サリー」

「やっほ、ミィ。……よく、クローゼットの中入れたね?」

「頑張った!」

「そ、そっか……」

 

 サリーとメイプルは、ハクヨウの予定を確認するために、敢えてギルドの中ではなく、外で待ち構えていた。そして偶然を装ってハクヨウに会い、行き先を確認したのである。

 

「ハクヨウがね、ハクヨウがね!」

「あーもー、分かったから。ハクヨウがすっごい可愛かったのは分かったから」

「そんなに可愛かったの?」

「うん!」

 

 なぜか目をキラッキラに輝かせていたメイプルは、大興奮しながら『ハクヨウが可愛かった』と連呼する。

 

「恥ずかしそうに、だけどとっても大事そうにイズから貰った装備を抱えてたの!すっごい可愛かったぁ!」

「ふふふっ、それなら製作者冥利に尽きるわね」

「あれならクロムさんもイチコロ!って感じだったよ」

「サリーもありがとう。けど、一番のスパイスはハクヨウちゃんの表情じゃない?」

「あははっ、たしかにね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 ………さて。

 お察しの通りコヤツら。グルである。

 いい加減、ハクヨウとクロムの無自覚いちゃつき空間に耐えられなくなった女子5人が結託し、クリスマスイベントに乗じて二人を良い雰囲気にして、くっつけてしまえ!と画策していた。

 なお、カスミはお察しである。

 

 クリスマスイベント自体は本来、24日から25日に変わる深夜0時に、第一層のクリスマスツリーの上空にサンタクロースが現れ、運営によってクリスマスプレゼントが貰える()()である。

 

 だがしかし。それだけではつまらない!もっとクリスマスを……現実は無理でも仮想世界くらい楽しみたい!と奮起したクリボッチプレイヤー達が、『はぁ…はぁ、敗北者?取り消せよ、今の言葉ぁっ!』と独自に広場でのクリスマスパーティを企画したのだ。これにはイズも一枚噛んでいる。

 

「予定通りミザリーとミィ、メイプルとサリーのペアで、ハクヨウちゃん達を見守ってあげてね。でも、あくまでも自分たちが楽しむ方が優先。企画者の一人として、楽しんでくれると嬉しいわ」

 

 クリスマスパーティ企画運営の責任者として、イズはパーティ自体には参加できないが、だからこそ他の四人にも楽しんでほしかった。

 

 

 

 

 

 

「いや……めちゃくちゃ居心地悪いな、おい」

 

 そう呟き肩を落とすのは、血のように赤い鎧に身を包む大柄の男性プレイヤー。

 傍らには、この時期にはミスマッチすぎる骸骨の意匠が施された、大盾が立て掛けてある。

 

 というか、ぶっちゃけクロムだった。

 

 クリスマスイブだというのに仕事のあった彼は、完全にクリスマスとか言う日本中が盛り上がるイベントを完全に頭からポイッして、仕事終わりの息抜きにログインしたのだ。

 

「そーいや、今日が24日って忘れてた」

 

 ミィの読み通り、クリスマスイヴという存在を忘れていたクロムは、クリスマスカラー全開の街並みに気後れする。え、昨日まで何の予兆もなかったじゃん、と。

 噴水広場に聳え立つクリスマスツリーを眺めながら、そそくさとその場を離れようとするクロム。

 

 

「ま、クリスマスっつっても予定無いし、いつも通り狩りにでも―――」

 

 

 

 現実も敗北者だし……と落ち込み、“行くかな”と続けようとした所で、遠くに真っ白い人影を捉えた気がした。

 

「………ハクヨウ?」

 

 いや。気がしたのではない。バカげたAGIを持つハクヨウだが、今は何かを探しているのかキョロキョロと付近を見渡している。

 一見して迷子にも見えるその姿は、クロムじゃなくても声をかけずにはいられないだろう。クロムなら言わずもがな。

 

「おーい、ハクヨウ?なんか探しものでも――」

「見つけたっ!」

「はっ?ちょ、うおっ!?」

 

 グルンッ!ギュンッ!シュタッ!

 とか擬音が付きそうな動きだった。

 具体的に言えば、クロムの呼びかけに『グルンッ!』と勢いよく振り向き、『ギュンッ!』と勢いよく地を蹴って、『シュタッ!』という感じで目の前に立ち止まった。本当に一瞬の出来事である。

 

「え、えーと……ハクヨウ?俺になんか用事があった、のか?」

「―――いこ」

 

 瞬でクロムとの間合いを詰めた勢いは何だったのか。どこか恥ずかしそうにモジモジするハクヨウは、クロムも聞き取れない小声で囁いた。

 

「え?すまん。もう一回言ってくれ」

「一緒に、クリスマスパーティ、行こっ?」

 

 

 

「………はい?」

 

 

 

 

 

 

「ったく。そういう事なら、先に言ってくれ」

「今日知ったん、だもん」

「ならイズが悪いな、うん」

 

 『男女ペアでパーティを組んだ状態で、0時にクリスマスツリーの下にいると、特別なプレゼントが貰える』

 

 それが、イズから教えてもらった内容だった。

 あとイズは、知り合いの検証系ギルドに属するプレイヤーから、その特別なプレゼントについて調べることを依頼された、とも。

 それを代わりに調べてくれ、とイズからお願いされたのである。

 

 仕方ないなー友達からあんなにも頼まれちゃったら断れないなー

 

 と、羞恥に悶える自身の心を落ち着かせるための言い訳を内心で展開しながら、だけど隠しきれぬ嬉しさで、クロムの手を引いてうきうきしながら街を歩く。

 

 第一層に降りてくると、トッププレイヤーとして名を馳せる二人が、それもハクヨウが満面の笑みで闊歩していれば、当然目立つ。ハクヨウが自身のAGIを自覚し、クロムがついて行ける速度で歩いているのだから、当然のように人目につく。

 

「なぁ、ハクヨウ」

「ん?な、にっ?」

 

 嫉妬やら怨恨やらの居心地最悪な視線を感じるクロムは、『別に、まだカップルとかじゃねぇんだけど』と溜め息をつき、すぐに『まだ』と無意識に繋げたことに首を振る。

 そんなクロムに?マークを飛ばすハクヨウだが、中央広場が近づくとクリスマスツリーが見えて瞳をキラキラさせていた。

 分かりやすく興奮するハクヨウに、『可愛いところもあるなぁ』としみじみするクロム。自然と頬が緩む。

 

―――てぇてぇ

 

「……ん?」

「クロム?どうか、したっ?」

「……いや、気のせいだったわ」

「そっ?」

 

 立ち止まり、声がした気がする方向に視線を向けたクロムだったが、人気は無いし気配もない。

 気のせいだったと思い直して、クリスマスツリーの方向に足を向けた。

 

「この辺を歩くのも久々だな」

「ん。最近…は、上層に拠点、おいてた、し」

「一層でやるってのは、始めたばかりの初心者への配慮だろうなぁ…」

「ん。……あっ、あそこ、行こっ?」

「……あそこかよ」

「えへへ……。あえて、だよっ」

 

 元噴水広場(クリスマスツリー)を中心に、様々な事にレストランやカフェ、ショップの他、この日限定の出店や屋台が立ち並ぶ。

 その中で、かつてクロムを破産させようとしたカフェに行こうと提案するハクヨウ。苦い思い出が蘇り、クロムの表情は渋い。

 が、ハクヨウが入るというのだし、別に渋面こそしたが、嫌な思い出と言うわけではない。ハクヨウに続いて、店の中に入った。

 

「いらっしゃいませー!……おや、懐かしいお客様だ」

「覚えてる、の?」

「もちろんですよ、可愛らしい小鬼さん。そんな特徴的な見た目の方を、忘れろという方が無理というものです。それでは、お好きな席へどうぞ」

 

 ウェイトレスに促されるままに店内を見渡し、人の少ないエリアを見つけると、さっさと歩いて席を取ってしまうハクヨウ。『早くっ』と目でクロムに訴える。

 

「ハクヨウが早すぎるんだっての」

「むぅ」

 

 入り口から全く動けないままにトントン拍子に進んだ出来事に唖然としつつ、クロムは席に向かおうとして。

 

「―――今度は、破産されないことを祈っております」

「………それは忘れてくれ。てか前回も、破産まではいってない。ギリギリだけどな」

「ふふっ。それは失礼いたしました」

 

 ウェイトレスの恭しく下げられた頭は、クロムからすれば(からか)われているとしか思えなかった。

 

 

 

「遅い、よっ」

「ハクヨウが速いんだよ」

 

 ジト目で苦言を呈してくるハクヨウだが、言うほどに時間は掛かっていない。つまりはただ、言いたかっただけだろう。つんつんハクヨウモードである。名前は今、クロムが勝手に考えた。

 

「……へぇ。メニューもクリスマス仕様になってるのか」

 

 定番のチキンやクリスマスケーキに、ツリーのような形のカップケーキ、ネタとしか思えないが、クリスマスローズとか言う第一回イベントでメイプルに瞬殺された出落ち騎士みたいなスイーツもある。

 

「………これ、すごいっ」

 

 そんな中でハクヨウが指差したのは、クリスマス限定スイーツの中でも一際目立つもの。

 

「いや、そりゃ流石に……な?」

「うん、目に付いた、だけ」

 

 ハクヨウだって、何もそのスイーツを注文するつもりなどさらさら無い。ただ目について、すごいと思ったから指差しただけ。

 

 ただ、それだけだったのだが。

 

「【聖なる日を大切な人と】、注文承りましたー!」

「「えっ……」」

 

 近くにいた男性店員が、注文として受理してしまった。

 

 

 

 

 

 

 デンッとクロムとハクヨウが向かい合うテーブルの中央に置かれた、大きなパフェ。

 赤と緑の鮮やかなグラデーションが、如何にもクリスマスらしい雰囲気を演出するそれは、いわゆる【カップルメニュー】だった。

 アイスにマカロンにチョコレートにフルーツにと、彩りにも見た目にも計算された、映えというものをコンプリートした一品。

 

 ただ一つ。

 

 決められた回数以上、互いに『あ~ん』して食べさせ合わなければならないという、ある種の地獄ですらあるメニューは、見るだけならとっても美味しそうだ。やる事はやっぱり地獄すら生温いが。

 

「……どうする?」

 

 できる事なら、やりたくないと言うのがクロムの本音だった。

 というのも、別にハクヨウが嫌いと言うわけではない。しかし、ここは人目が多いのだ。店内では現実においてクリスマス敗北した悲しみを背負いし戦士達が二人を見つめてくる。しかも運悪く、ここ窓際の席。外から丸見えなオマケ付き。

 この際、キャンセル料金やら迷惑料やらが発生しても構わないから、出来ればこれだけはやりたくないクロム。

 

 しかし、意外にもハクヨウは大胆だった。

 

 

「………あ、あ~んっ」

 

 所在無さげに差し出されたスプーンの上には、慎ましやかながら苺味のアイスが乗っている。

 

「……」

「は、早く……っ!恥ずかしい、からっ」

 

 見れば、スプーンを差し出す手は震え、真っ白いのはずのハクヨウは首まで真っ赤になっている。

 目尻には薄っすらと涙が浮かんでいるのが見て取れる。相当恥ずかしいらしい。

 

「ぐっ、……うぅ」

「クロム、『あ~ん』」

 

 『きっと、今の俺もハクヨウと似たようなもんだろうな』と、めちゃくちゃに熱くなっている自身の顔を自覚して、クロムは意を決した。

 

「……………………あ――……んっ」

 

 

ドゴッ!

ズダンッ!

バタンッ!

ガタッ!

ズザザッ!

 

「「っ!?」ちょ、大丈夫か!?」

 

 突然、店内にいたプレイヤー数名と【聖なる日を大切な人と】の注文を勝手に取った男性店員が崩れ落ちる。

 心配して駆け寄るクロムだったが、何故か幸せそうな笑みを浮かべて鼻から熱いパッションを滾らせるのみで反応がない。

 

 そんな中。

 

「………あーー」

 

 ………なんかもう、色々と吹っ切れたらしいハクヨウが、パカリと小さく口を開けて、クロムから『あ~ん』されるのを待っていた。

 

「………俺にどうしろと?」

「クロム、『あ~ん』」

 

 さっきは、『早く口開けて』の意だったのが、明らかに今度は『早く“あ~ん”して』に置き換わっている。店内の視線を集め、なんかもう『いつまで彼女待たせてんだこのボケカスオラァ!』という雰囲気。殺気立ってると言ってもいい。

 

「ぐ……。あぁもう分かったよ。―――あ~ん」

「あ~………んっ」

 

 パクリとクロムが差し出したスプーンを咥えるハクヨウが、なんだか嬉しそうで。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 この後、クロムはめちゃくちゃ『あ~ん』させられた。




 
てぇてぇ

 結構駆け足で書いちゃったから、無理矢理な部分が多すぎて吐きそう。

 まぁ多分、時系列的には現状の原作よりも更に先の未来の話(2〜3年後くらい)かもしれないし、このくらいはね


その後の店内でのてぇてぇ民の様子
てぇてぇ民1「なんかもう、ハクヨウちゃんが幸せならそれで良いかなって」
2「我が生涯に一片の悔いもなし!」
3「ハ、ハクヨウちゃんがめちゃくちゃ積極的に『あ~ん』してる……くっ、ギリギリ致命傷で済んだか」
4「グフ…やめてくれクロム、ハクヨウのほっぺに付いたクリームを掬って、そのまま舐め取るなァッ!」(尊死
5「ハクヨウちゃんめ…『あ~ん』ついでにクリームを付けてやり返すだと!?逝きそう。逝った」
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