現実の分まで仮想世界を走り回りたいと思います。   作:五月時雨

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 スピーディーに進むとか幻想だった……。
 


雪山の多刀使いたち

 

「ぐぁっ!」

「―――ふぅ。ようやく五百」

 

 二振りの短剣を鞘に納めたサリーは、全滅させた一団の残りが居ないか警戒しつつ、茂みに飛び込んだ。【気配遮断】も忘れない。

 イベントが開始してから丁度一時間が経過し、今のところ順調にスコアを伸ばしているサリーだが、現在の順位が分からないことがやや不安だった。

 

「団体でソロを潰す人たちが多いし、そんなに下位じゃあ無いと思うけど」

 

 相手が団体で襲ってくるならば、逆に返り討ちにできればキル数が一気に稼げるので、実力があるならば嬉しい襲撃だった。

 

「二人は大丈夫かなぁ……」

 

 二人、と言うのは、言うまでもなくメイプルとハクヨウの事だった。ハクヨウが本当に来ているか、直前まで広場を見渡していたが、ついぞ見つからなかった。

 けれど、ハクヨウはミザリー伝手で伝えてきたのだ、必ず来ると。だから、いる。絶対に、イベントに来ている。

 そう信じ、自分もだが二人の順位がどうなっているかも、心配だった。

 

「けど、こうも連続で来られると、休む暇が無いよねぇ……」

 

 茂みからひっそりと顔を覗かせれば、近づいてくる団体が一つ二つ。互いに遠距離から魔法で牽制し合っていて、茂みのサリーに気付いた様子はない。

 

「と、なれば。漁夫りましょう、そうしましょ」

 

 連戦になるが、まだ()()()使()()()()()()サリーはMPにも余裕があり、本職としての手札をすべて残したままで精神的にも余裕がある。

 とは言え本格的に茂みから飛び出せば、すぐに気付かれるだろう。今のサリーは()()()()()

 

「ほんっと、イベント前にこのスキル取れて良かったような、見つかりやすくて困るような……」

 

 徐々に団体同士の距離が縮まり、乱戦が始まるのを今か今かと待ちながら、サリーはイベント前に取得したスキルに目をやった。

 

 

―――

 

【剣ノ舞】

 攻撃を躱す度にSTR1%上昇。

 最大100%

 ダメージを受けると上昇値は消える。

取得条件

 レベル25到達までノーダメージでいること。

 

―――

 

 

 

「お蔭でより前衛らしくなって、本職を誤魔化せるし、良いこととしますか」

 

 サリーの体から溢れ出る青白いオーラが、スキル発動の証左である。勿論、この一時間で強化倍率は最高の100%まで上げており、上げるためにこれまでの戦いを長引かせてしまった。

 

「ここからは……全開でやろうかな」

 

 ニィィ…と、サリーの口角が僅かに吊り上がる。丁度、目の前で団体同士の乱戦が始まった。

 

「狙うは後方…片方の別働隊を装って魔法職を瓦解させる」

 

 作戦を決めたサリーは、音もなく移動する。

 

 ――数分後。

 二つの団体を壊滅させ、実に100のキルを稼いだサリーは、ホクホク顔で去っていった。

 

 

 

◆◇◆◇◆◇

 

 

 

時間は少しだけ戻り、その頃ハクヨウは。

 

「ほん、と、フィールドのバリエーション、多い、なぁ…」

 

 出会うプレイヤー全員を斬って捨てて、森の中を縦横無尽に走り抜けたハクヨウは、何とかカスミを撒くことができた。

 カスミがなぜああも遠くからハクヨウを察知し、執拗に追いかけてくるのかは依然として分からないが、取り敢えず安心と息を吐く。

 

「雪、なのに、寒くない、ね……」

 

 そんなハクヨウは今、雪山の中を歩いていた。

 森を抜けた直後に雪山に変わった景色はゲームならではで、なかなかにぶっ飛んでいる。

 イベント最初に空を跳んで確認したことではあるが、それ程広くないイベントフィールドの中に、随分とバリエーションに富んだエリアを用意したものだと感嘆。

 

「草原に、砂漠、荒野、森…雪山、火山、廃墟、遺跡……ホントいっぱい、ある」

 

 最早、思いつく限りのあらゆる土地を突っ込んだとしか思えないバリエーションの多さである。イベントエリアは広大だが、第一層のフィールド程に広いわけでもない。それこそ、数分ほど歩けばプレイヤーに出会う程度には小さく作られている。

 数千人を入れても戦闘に支障がないように作られているのか、大きめの街くらいの大きさだ。だからこそ、そんな中にバリエーションを詰め込みすぎなのだが。

 

「………気付かれて、ない?」

 

 今もハクヨウは、時折プレイヤーを倒しつつ雪山登山に興じている訳だが、十メートルほど遠くから近づいてくるプレイヤー達に、首を傾げた。

 実は雪山に入ってから、ハクヨウは何人ものプレイヤーに奇襲を成功させていた。しかし、【気配遮断】を使っているとは言え気付かれなさすぎであり、ほんの五メートル前を横切っても気付かれなかった。勿論、歩いていたので、肉眼で見える。

 

「服と、髪……あと肌、も?溶け込んでるのか、な?」

 

 キャラクリエイトで作り上げた、純白の長髪。

 ユニーク装備。

 【捷疾鬼】のスキルで変化した病的な白い肌。

 

 その全てが、ハクヨウを雪山の景色と同化させていて、さながら雪道を往く白ウサギのように、発見を困難にさせていた。

 

「それなら、それで……僥倖、だけど」

 

 バレないならそれで良いと、ハクヨウは苦無を番えた。

 正面から歩いてくる数人のプレイヤーに対して迂回するように回り込み、【刺電】を発動――

 

「っ!」

 

 瞬間。

 ハクヨウの視界の隅から『何か』が飛来した。

 それは狙い(あやま)たずハクヨウが狙っていたプレイヤー達を突き穿ち、HPを全損させる。

 

「あれ、は……っ」

 

 その攻撃を、ハクヨウは知っていた。

 数人のプレイヤーを仕留めた十の小剣はひとりでに浮かび上がり、飛んで来た方向にフヨフヨと戻っていく。

 

 虚空に浮遊する十本の小剣は特徴的に過ぎた。

 

「―――シン」

「おわっ!その声……ハクヨウか?どこだ」

 

 呼びかければ、やはり見知った声とその主が姿を見せた。けれど、雪と同化するハクヨウにはそう気付かない。

 

「【九重・縛鎖】っ」

 

 そんなシンに、ハクヨウは横取りの抗議とばかりに“ぷくーっ”と頬をリスみたいに膨らませながらシンを拘束した。ダメージの少ない【九重】でやったのは温情か。はたまた拘束を強めるためか。

 

「ちょっ!?これ、外れなっ!」

「むぅ……」

 

 藻掻けど足掻けど、鎖はきつくシンを縛り上げ、決して拘束を解かせない。

 そんなシンに、ぷっくりほっぺのまま近づくハクヨウ。

 

「おまっ、ハクヨウ!いきなり何しやがる!」

「……これ、バトルロイヤル。シン、敵」

「間違っちゃいないが、ならなんでそんな不機嫌なんだよっ!」

「それ、をっ!シンが言う、のっ?」

 

 その内に絡まる鎖に足を取られ、バランスを崩して立っていられなくなったシン。

 雪の上でびたーんびたーん。

 最終的に、ハクヨウからの白んだ目に臆した。

 

「私が、狙っていた、のに……シンが、横取りした」

「あー……今の奴らか。けど、それこそ早いもの勝ちだろ?バトルロイヤルじゃねーか」

「そう、だけど……そうなん、だけど…っ!」

 

 理解はできるけど、納得できない!とますますほっぺが膨らむ。大丈夫?爆発しない?

 “ほっぺつんつんしてぇ……”とTPOを完全に履き違えた考えが脳裏を過ぎったシンだが、両手は鎖に封じられている。

 陸に打ち上げられた魚みたいにビクンビクン。

 鎖がジャラジャラと喧しく鳴り響く。

 

 

 

 

 ―――その音が、良くなかった。

 

「………ハクヨウ、鎖を解いてくれ」

「……仕方、ない」

 

 ハクヨウは辟易とシンに巻き付いた【縛鎖】を解除しつつ、【気配察知】で様子を探る。

 ハクヨウが【気配察知】で探れば、凡そ20人。

 三パーティ程だろうか。別々の方向から近づいてくるのを感じた。

 

「作戦……って感じじゃねぇな。偶然俺たちを見つけたパーティが三つあって、偶然タイミングも重なったって所か」

 

 シンが確信を持って告げるその口調に迷いは無く、ハクヨウが確認しでも、パーティ単位ではこちらに向かってきているが、他の二パーティと連携している様子はない。

 というか。

 

「シン。【気配察知】使えたんだ、ね」

「ハクヨウに負けてから【気配遮断】と一緒に重点的に上げた。」

 

 ハクヨウと初めて遭遇した時に【気配遮断】せずに隠れていたら、簡単に見つかってしまった経験から、【気配遮断】を思いっきり上げているシン。同時に【気配察知】も使っていたために、同じくらい高くなっていた。

 

「そ、か……なら、私も」

「あん?」

 

 自分と出会ってから、シンは自分の足りなかったスキルを上げてきた。ならば、そんな()()に自分の特訓の成果を見せた方がいいのだろうか。

 逡巡は一瞬。ハクヨウは【九十九】を解除すると、【竜鱗の神刀】に手を掛けた。

 

「――前より、操作うまく、なったよ?」

「ははっ、良いね。一緒にやるか」

「んっ!」

 

 三方向から来るパーティが、ハクヨウ達に気付く。正確には、立ち尽くすシンに気付いたのだろう。「相手は一人だ!」なんて叫び声が聞こえてきた。

 

「【崩剣】!」

「【鱗刃旋渦】!」

 

 シンとハクヨウの声に合わせて、それぞれの武器がボロボロと崩れていく。

 シンのそれは宙に浮かび、元の剣を縮めた見た目の十本の剣となった。

 ハクヨウのそれは一度雪原に舞うダイヤモンドダストのように散ったが、すぐに収束し、苦無にも似た半透明の剣となった。その数は、シンと同じ十本。

 

「おいおい、いきなり不可視ってアドバンテージ消しちまって良いのかよ?」

「これで、いい」

 

 あと、と付け加えて、ハクヨウはシンに耳打ちをする。その内容にシンは怪訝な表情(かお)を見せたが、集団が猛然と近づく限られた時間で、了承するしかなかった。

 

「厄介な!」

 

 最初に到達したパーティのプレイヤーが、シンの周りに浮かぶ二十の小剣に蹈鞴を踏む。

 

「リーダー!他にも近づいてるし急ぐぞ!」

 

 パーティメンバーが別のパーティに気付いたようで、漁夫の利をされないように急ごうと、隙だらけのシンに突撃してくる。

 

「くらえ!」

 

 真っ直ぐな突進は、雪道に足を取られ通常よりも速度が落ちている。故に、シンは冷静に小剣を操って迎撃する()()()()()()()()

 

 それに合わせ、()()()()ハクヨウが【鱗刃旋渦】を操って半透明の小剣を飛ばす。数を減らし、視認可能となった事で操作性が格段に増した今の状態は、シンの【崩剣】とほぼ同じ操作が可能であり、自由度の代わりに安定性を獲得していた。

 

 だが。

 

「はっはー!なんだよ、半透明の剣は簡単に砕けるぜ!」

 

 迎撃に当てたハクヨウの小剣は、スキルもないただの攻撃で砕け散った。

 

「くっ…【崩剣】!」

 

 すかさず、シンが【崩剣】を重ねるように迎撃するが、これはパーティメンバーに受け止められてしまう。

 ここで、別の二パーティも合流した。

 

 乱戦が、始まる。

 

「よし、半透明の剣を優先的に砕け!数が半分になりゃあ対処の面倒さも半減だ!」

 

 パーティ同士の乱戦が始まるかに見えたが、まずは最も戦力の少ないプレイヤーから狙うという趣旨で合致しているのか、三方向からシンが囲まれた。あとから来た二パーティにも最初に来たパーティリーダーの声が聞こえたのか、半透明の剣を狙って攻撃を始める。

 シンは最低限ダメージを負わない為か、ハクヨウの小剣を操る()()をしつつ、盾と小剣で防衛に徹し始めた。

 

「なんだなんだぁ…半透明の剣は脆いなぁ?」

 

 下卑た笑いが上がり半透明の小剣が砕かれる。

 やがてシンを守るように取り囲む【崩剣】の十本を残し、半透明の小剣が最後の一本となる。

 

「攻撃用の剣は、随分脆かったようだなぁっ!」

 

 裂帛の気合いと共に敵の武器が振るわれ、最後の半透明の小剣が砕け散る。その光景を眺めながら、シンは的はずれなことを考えていた。

 

(『攻撃用』……?あぁ。確かにそう言われれば、そう見えるか)

 

 半透明の小剣が敵を攻撃している間、シンの【崩剣】はシンを守ることに徹していた。それがハクヨウから言われた事でもあるし、さっき横取りした償いとしても指示に従った。その光景はたしかに、攻撃用の剣と防御用の剣の二種類に見えたことだろう。

 

「じゃぁああオラァアアア!!」

「っ」

 

 疑問に納得していると、仕掛けてくる敵への反応が出遅れた。全方位から仕掛けてくる攻撃に対して、防衛の手段は心許ない盾一つ。

 

 

 やらかした。そうシンが覚悟した時。

 

「―――()()、【鱗刃旋渦】」

 

 空から凪いだ声が降った刹那。それは起きた。

 突然、シンを囲む二十人弱のプレイヤー全員の体からダメージエフェクトが散り。

 

「う、うわぁぁあああああ!?」

「何が……なんでなんでなんでぇぇえええ!?」

「あぁぁああああ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"!!」

 

 絶叫が雪山を包み込み、内側から砕け散る。

 四肢は崩れ、腹を裂き、頭が割れる。今まで誰も見たことの無い倒され方で、三パーティが全滅した。

 

「うわぁ……。えげつねぇ……」

「ふ、ぅ……」

 

 今はもう粒子へと変わった周囲と、着地したハクヨウを見比べて、シンは思わず後退った。

 

「むぅ……シンには、しない、よ?」

「だとしても怖えって。なんだよ、『私は上にいるけど、()()()()()()()()()()()()』って」

 

 それが、ハクヨウから耳打ちされた言葉だった。上にいる、についてはシンはピンときた。

 

「空中に立ってたのも【鱗刃旋渦】だろ?鱗刃を集めて盾にした様に、今回は足場にしたわけだ」

「ん。薄く作れ、ば……視認も、難し、いっ」

 

 半透明の剣を作ったのと合わせて、ハクヨウは頭上にも小さな足場を作っていた。そこにずっと立っていたのである。

 

「で、そろそろ種明かししてくれねぇか?なんでアイツら、いきなり砕けた?ホラーじみてて夢に出そうなんだが……」

 

 突然大勢のプレイヤーの全身に赤いダメージエフェクトが走り、次の瞬間、崩れるように砕けたのだ。怖すぎる。

 そう聞けば、ハクヨウは『人の手の内を聞くのか』とジト目を向けてきたが、やがて、“別にいっか”と小さく息を吐いた。

 

「そもそ、も。【鱗刃旋渦】、は…壊れない」

 

 【破壊不可】というスキルが付いている為に、絶対に壊れることのない専用武器だ。だが、それが今回は簡単に砕けた。

 

「砕け、た?……()()。砕かせ、た。思い、出して。【鱗刃旋渦】は、剣じゃ、ない」

「あ――」

 

 そうだ、と。シンは最初の光景を思い出した。雪原にダイヤモンドダストが舞い、それが収束して、小剣の形をとった。つまり。

 

「空間に、砕けた小片をばら撒いたのか……?いや、でも内側から砕けた理由にはならねぇ」

 

 半透明の小剣を砕かせ、取り囲む敵プレイヤーの周辺に散布する。それも有効だろう。だが、それでは光の反射でダイヤモンドダストのようにキラキラと輝き、小片の存在が露見してしまう。と頭を抱えたくなるシン。

 そんな頭を悩ませるシンに対して、ハクヨウはいたずらっ子な笑みを浮かべた。

 

「制作陣、の気合の入れように、は……ほんと、脱帽す、る」

「はぁ?」

 

 なんでいきなり、ゲーム制作の話になってんだ、とシンは訝しむが。

 

「だって……プレイヤーの体、も、()()()()()()()()()()()()、から」

「っ……おい、まさかとは思うが、お前」

 

 ハクヨウの言ってることが理解でき、シンは背筋が寒くなった。確かにNWOは、プレイヤーの胃等の臓器も全てではないが作り込んでいる。

 流石に、本人の本物というわけではなく、設定的に組み込まれているのだとか。

 心臓や肺等は人体にとっても急所であり、ここに攻撃を当てればダメージ判定が大きくなるというのは、有名な話だ。だからこそ、そこまで細かく作り込んだのだろう。

 また消化機能等は無いが、ちゃんと胃も再現している。何かを食べても満腹になることはないが、食べたという結果だけはちゃんとそこにあるわけだ。無論、食べたものは胃でポリゴンの粒子となって消えてしまう。

 恐らくは、食べたものが口に入れてすぐ粒子となって消えてしまっては味気ないからと、胃までは作ったのだろうというのが、現在の見解である。

 

「だからお前。あいつらを調子付かせるように、簡単に砕かせたのか」

「ん。その方が、口を開きやすい」

 

 二週間程前、【鱗嫌い】を取得した時のことは、ハクヨウは良く覚えている。だからこそ。

 

「鱗刃、を体内に、送り込ん、で、攻撃する。リザードで、できたし…できると、思った」

「……俺の中にも入ってないだろうな?」

「ん。入らない、よう、操作した」

「なら良いけど……」

 

 簡単に砕ける小剣を砕くのは、随分と楽しかっただろう。調子に乗って大声でシンを挑発しながら、体内に砕けた小片が送り込まれているとも知らずに。

 砕けた時の衝撃も、体内に送り込むのを容易にしていた。何もかも、ハクヨウの掌の上だったというわけだ。

 

「……俺、お前だけは相手にしたくない」

「む、ぅ……酷い、言われ、よう」

「馬鹿げたAGIだけでも巫山戯散らかしてるのに、なに巫山戯た手札の数してんだっての」

「むぅぅぅ……ふざけて、ないっ」

 

 身長差のせいで胸あたりをポコポコと叩く。ダメージが入るほどじゃないらしい。剣での攻撃では無いからかは知らないが、こういう時に仕事をしない【辻斬り】である。

 

 

 

 

 

 

 

 その時。

 

「貴様、ハクヨウとなにをしているぅぅぅううううう!?」

 

「ひぅぅっ!?」

「な、なんだっ!?」

 

 なんか、出た。

 遠くの方から雄叫びと共に上がる雪煙が、ハクヨウにデジャヴュと恐怖心を植え付ける。

 

「ひぅ…なん、でっ。撒いたはず、なのにっ」

 

 ミィまで、犠牲になったのに……と涙目でシンの後ろに隠れようとするハクヨウ。

 

「し、知ってるのかハクヨウ?てかめちゃくちゃ怖いんだけど、誰なんだあれ!?」

「カ、カスミ……の、はず」

「はぁっ!?ウッソだろおい!俺の知ってるカスミはもっと武人っぽかった!あれどう見てもバーサーカーだろ!」

「その、はずなんだけ、ど……」

 

 血走った目と鬼気迫る表情は、完全にバーサーカー。或いは狂人。ハクヨウを執拗に追い続ける殺人鬼。その辺りが妥当だろうか。

 

「……まぁいい。ハクヨウを追ってるみたいだし、お前は逃げとけ」

「で、でも……っ」

 

 ミィが同じことをしてピチュンッされたのを思い出し、足が竦む。

 

「あれ怖えし、一回冷静になってもらった方が良いしな…だとしたら、狙われてるハクヨウ自身がいたほうが難しいだろ」

「う……」

 

 気を狂わせてる元凶がいたら、落ち着けるモノも落ち着けない。いや、ハクヨウが悪いわけじゃないけど、と言葉を重ねて、シンはハクヨウの背中を押す。

 

「ほれ、早く行かねえと追いつかれるぞ。ハクヨウのAGIなら早々追いつかれねえし、とっとと走れ。それだけが取り柄だろ?」

「………んっ!あり、がとっ!」

 

 完全に撒いたのに追いかけてくるカスミに恐怖しながら、ハクヨウは走る。

 イベントも丁度一時間を過ぎ、残りに時間となった今。鬼ごっこは、まだ続く。

 

 

 どうしてこうなったかなぁ……。

 




 
その1
 サリーは原作より一ヶ月早く始めてるからね仕方ないね。

その2
 ハクヨウちゃんと雪山でかくれんぼしたら、絶対に見つけられない説、あると思います。

その3
 シンはね。カスミと並んで、残念枠に取り込まれつつある。なんだろう…異常枠、普通枠、残念枠の3つになってきたよ。
 多刀使いって言うと、SA○ロストソングのレインちゃんを思い出す。あの子はストレージから剣飛ばしてたから、どっちかというとAUOだけど。
 AUO参戦はゲームそのものがエヌマ・エリシュするけど、レインちゃん追加は考えてる。多刀流トリオ組めるねっ!

その4 【鱗刃旋渦】の使い方
 OSRな一人「○れ 千○桜」とか
 整合騎士の「舞○、花たち」
 でも良いんですけど、これ普通すぎるし。なのでここは奇をてらって、《星屑の剣(ダイヤモンドダスト)》の方をお呼びしました。一番使い方がエグい人。
 まぁね。どっちも白が基調だしありかなって。

その5 カスミェ……
 カスミはもうどうしようもない。作中でバーサーカーだの狂人だの殺人鬼だのいってるけど、全然違うからね。
 ただハクヨウたん欠乏症なだけ。たぶんハクヨウを捕まえたら、そのまましばらく離さない。

 今回、本当はもう一人と出会したかったんですけど、長くなったからやめた。カスミが色々持っていったのもあるけど、シンとの会話が弾んだよね。
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