鬼滅の刃~太陽の化身~   作:怪獣馬鹿

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なんと久しぶりに1話で一万越えて尚且つ1週間よりも1日だけ早く投稿できました。
けど無理に連日投稿をやりますとまた書くのが辛くなって書かなくなると思うのでこれからも自分のペースでやって行きます。
遅筆ですみません!
タイトルの意味は後半でわかります。
ではどうぞ!


もう1人の光の戦士

暗い夜の森の中で明悟は変身せずに日輪刀を振るってがたいの良い鬼と闘っていた。

鬼殺隊に入って2年、明悟は1人で鬼を殺し続けていた。仲間と呼べるような人間はいなかった。元々明悟の性格的に人付き合いに難がある。まぁ自覚してるとは言え直す気は更々無いわけであるが、変身せずに闘っている理由はそもそも変身をあまりしないように耀哉に言われてる為である。流石にヤバくなったらするが、それまでは変身しない。変身しなくても多少の鬼なら何とかなる。それに3体位はガチの生身で倒したことがある。まぁ血鬼術すら使えない上に接近戦しか出来ない雑魚鬼でしか倒せてない。後は変身したらやたらと目立つ。鬼殺隊は政府非公認の組織。あまり目立つと後処理がめんどくさい上に明悟のアギトの力は鬼殺隊でも一応耀哉は認めているが存在事態を伏せてる。

故に変身するとめんどくさくなるのだ。

何とかして鬼の首を切り落とす明悟。

しかし、ヘロヘロで疲れてる。

明悟は首を切った鬼を見ると灰化してなかった。

鬼の胴体が突然と割れて中からスリムな鬼が現れる。

 

「嘘・・・」

 

「これが私の血鬼術 速変態」

 

鬼が先程とは比べ物にならない超速度で明悟に詰め寄り、明悟を殴る。

肋骨が何本も折れて吹き飛ばされて木に激突する。

すぐに立ち上がろうとするが、鬼は即座に迫ってきて明悟を蹴り飛ばす。

変身しようにも痛いし、ヘロヘロに疲れきってる。

 

「死ね!」

 

鬼が確実に明悟の頭を潰しに来る。明悟も咄嗟に変身の構えをする。

 

「花の呼吸 壱の型 飛び花車」

 

その言葉と同時に1人の女性隊士が飛んで来て、鬼の首を切って着地した。

鬼は断末魔を上げる暇もなく死んだ。

明悟は急いで構えを解いて立ち上がる。

 

「ありがとう」

 

「大丈夫ですか?」

 

女性は明悟よりも幾分か若かった。

頭には蝶の形をした髪飾りが2つある。

但し、頭から血が出ていて、脚を引き摺ってた。

 

「何とか、君は・・・えっと誰?」

 

「私の名前は胡蝶カナエ 階級は己です」

 

「俺は津上明悟 階級は丁だ」

 

「無事で良かった・・・です・・・」

 

カナエはそう言うと倒れた。

明悟は倒れたカナエに近づき、首に指を当てる。

脈はしっかりしてたので気絶したのだとわかった。

流石にほっとく訳にもいかないので気絶したカナエをおぶり、藤の家に向かうことにした。

これが明悟とカナエの出逢いである。

 

津上明悟・・・ 17歳

 

胡蝶カナエ・・ 15歳

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・胡蝶カナエ死亡まで後2年・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

●●●

明悟は柱になり貰った自分の家で目を覚ます。

久しぶりにカナエとの出逢った頃を思い出した。あの頃はアギトの事を人に徹底して見せずに鬼を倒していた。そんな中で起きたカナエとの出逢い。

明悟は起きて外にある井戸から水を汲んで、顔を洗う。

清々しい朝を感じる。

ただ、カナエとの思い出は湿っぽい。

優しくて厳しかった初恋の人。

明悟にとっては苦しみと幸せの両方の側面を持つ記憶である。

明悟はバシャバシャと顔を洗って寝間着から隊服に着替えてコートとハットを纏って家を出る。

そして耀哉の屋敷に向かうがその前に和菓子屋に寄ってみたらし団子を買い、屋敷に向かう。

着くと、早々に屋敷にいた隠の男に目と耳と鼻を塞がれておぶられて連れて行かれる。

何処に行くかと言うと自分の日輪刀が粉砕されたので刀鍛治の里に行って自分の刀の担当者の鋼鐵塚蛍の所に行くのだ。

今まで1度も日輪刀を折ったことは無かったが、どんな性格なのかは他の担当してくれてる隊士の愚痴に耳を傾けてある程度は知ってるので、行くことにしたのだ。

下手に拗れる前に謝罪してさっさと作ってもらおうと言うのが明悟の考えである。

因みにみたらし団子を何故持っていくかと言うと初めて会った時に日輪刀が変化しなかった事に対してプロレス技を掛けて来て散々明悟を痛め付けた後にみたらし団子をねだって買わされた事を明悟が覚えていたからである。

 

刀鍛治の里に着いて、まず長である鉄地河原鉄珍の所に向かう。蛍の場所を知らないので教えてもらい・・・

屋敷に入り、案内されて鉄珍の待つ居間に行く。

座って待っててくれた鉄珍に頭を下げる。

 

「本日は急な訪問を受け入れて下さりありがとうございます」

 

「ええよ。8年も折らずに大事にしてくれたんやから、こっちがお礼を言いたいわ」

 

「ありがとうございます。それで鋼鐵塚さんの所にご挨拶したいのですが」

 

「それなんですが、案内出来ませんわ」

 

「え?」

 

鉄珍の言葉に固まる明悟。

 

「一々、刀を折って謝罪に来られても刀を作る暇が無くなってしまうさかいに申し訳ないなぁ」

 

「けど、刀を折ったのは俺ですし・・・」

 

「折れるナマクラを作る蛍が悪いんです。それに最高の刀を提供して鬼を斬って下さる人が折れた刀の刀鍛治なんぞにこうも気安く頭を下げられたら、わしらに対する侮辱ですわ」

 

鉄珍の体から異様な気迫が出て来て、明悟は本気で頭を下げた。

 

「申し訳ございませんでした!!」

 

「ええよ。まぁその品は蛍に渡しますんでどうか今日はそれくらいにしてください」

 

「はい・・・すみません」

 

明悟はしょんぼりしてしまう。

謝罪に来たのに相手を怒らせてしまったのだ。これは流石に落ち込んでしまう。

 

「まぁ、そないに気を落とさずに首を長くして待っててください。最高の刀を仕上げさせますので」

 

「はい!そう言えば、鋼鐵塚さんの名前って蛍なんですか?」

 

明悟は励ましをされたのでウダウダと考えるのは止めて初めて知った事を尋ねた。

 

「そうなんです。わしが名付け親なんですが可愛すぎて名前で呼ばれるのを嫌がって・・・親不幸者め」

 

「苦労されてるんですね・・・・・聞きたいことがあるのですが、嘴平伊之助君の刀鍛治は誰になるんですか?」

 

明悟は鉄珍やその周りにいた刀鍛治の人に聞く。

伊之助が日輪刀を持ってる経緯は特殊で刀鍛治から打って貰った訳でなく鬼殺隊士の刀を奪って使っていたから担当の刀鍛治がそもそもいない。

 

「私になります。申し遅れました。私の名前は鉄穴森鋼蔵です」

 

鉄珍の横にいた刀鍛冶の綱蔵が手を上げる。

 

「光柱の津上明悟と言います。何分気性の荒い子ですのでどうか宜しくお願いします」

 

「分かりました。私も二刀流の方に刀を打つのは初めてですので年甲斐もなくワクワクしております」

 

明悟はその言葉に少しだけ安心した。凄い優しい丁寧な人だと思った。

 

「伊之助君の刀はご覧になりましたか?」

 

「はい、刃こぼれが酷くて杜撰な状態でしたので最高の刀を仕上げさせてもらいます」

 

「その刃こぼれについてなんですが、伊之助君・・・どうやら自分でああしたらしんです」

 

「なんと!?」

 

「新しい刀についてもああなってないと自分でやるって言っていたので先に言わせてもらいます」

 

綱蔵はプルプルと腕を震わせる。

刀鍛治は全員老若男女関係なくひょっとこ面を被ってて表情は一切分からないが、何となく怒りの感情を明悟は感じていた。

 

「じょ、上等じゃわれぁ!それも込みで打ってやら!!!」

 

叫び体から業火が出てるように興奮しまくる綱蔵に明悟は素で引いていた。

 

「わざわざ、言うてくださりありがとうございます。綱蔵もやる気が更に出てきました」

 

「此方こそ、本日はありがとうございました。では失礼します」

 

明悟は再び隠におぶられて刀鍛治の里を後にした。

因みに明悟のみたらし団子を綱蔵から貰った蛍はやる気が倍増して、伊之助の刀を打つことになり、異様に燃えまくってる綱蔵にどん引いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

●●●

それから数ヶ月の時が流れる。

明悟は柱として激務をこなしていた。

もう既に柱に就任してから、10体以上の鬼を倒している。

他の柱達も勿論、そんな数は当の昔に到達しているが、明悟は兎に角異様に早いのだ。

アギトの超能力故か恐ろしい位の勘と腕っぷしで早く倒しまくっている。その事実には柱達も素直に感心している。別に明悟は会議とかの静かな長丁場が苦手なだけで現場だとまともなのだ。

まぁ普段の性格は難がありまくりではあるが・・・

 

 

他の柱も負けずにやる気を出す。

平常運転の義勇と無一郎はさておき、杏寿郎と蜜璃は燃えに燃えまくって、天元は自分よりも派手な明悟にライバル心を抱いて、しのぶも嫌いな明悟以下の状況が嫌らしく頑張り、小芭内はあの昼食以降、明悟が行き付けの大飯が食べれる店を紹介しまくって蜜璃に紹介しているので、明悟の活躍には一切の不満もイライラもなく、蜜璃に強い男であると証明するために斬りまくっていた。実弥は明悟の活躍に一番怒りが溜まって鬼を八つ当たり気味に斬りまくり、行冥は自分の武器を壊されたので務めが出来ない事に泣いていた。

 

明悟は暫く休暇しようと家に向かう。

鎹烏には既に休暇届けを出した上で家に帰る。だが、耀哉がそんなのを受理するわけない。

寧ろ耀哉はそろそろ休暇を寄越せとごねる事を予測していた。万年人員不足の鬼殺隊の柱にそんな疲れただけで休暇を上げますなホワイトな環境だったら鬼の被害者は今の百倍はいる。

耀哉は明悟の休暇願い届けを目が見えてない筈なのにビリビリに破り去る。代わりの任務を与えようかと思ったがそこは幼なじみ、明悟の性格を理解していた。確かに明悟は代わりの任務を出したら絶対に遂行はする。

その代わり終わると絶対に家に来る。

耀哉の屋敷に来るのだ。そして絶対に子供達をだしに使って二、三日の休暇を無理やり取る。それは嫌だ。

子供達に悪影響が出る。

まぁ、自分も幼なじみと一緒に居れて嬉しくなるのだが、後のあまねが恐ろしいし怖い。

そこまで考えた上で耀哉が出した結論は炭治郎達の回復訓練の手伝いをさせる事だった。

炭治郎は今や貴重な無惨への大事な手掛かり、絶対に逃したくない。明悟は個人的な付き合いで炭治郎とその仲間の伊之助と善逸とも仲が非常に良い。見舞いには出来る限り行ってるらしい。ならば任務として回復訓練に一緒に付き合わせた方が良い。明悟には休暇で炭治郎達には腕っぷしだけは強い明悟は良い刺激を与えると思い、その主旨を明悟と蝶屋敷の家主のしのぶに送った。

明悟は休暇に喜び、しのぶは胃痛になった。

 

1日ゆっくりした後、明悟は蝶屋敷に向かう。

 

因みにまた菓子を買ってから向かう。本日の菓子は牡丹餅だ。こし餡の滑らかな食間と餅特有の滑らかとは違う食感が非常に美味しく、隠し味に入れてる塩もただの塩ではなく藻塩。まろやかな塩っ気は滑らかな牡丹餅と合う。店自慢の商品である。

金はいくら使っても問題ないので、しのぶや看護婦達と炭治郎達、後はまだ入院してる他の隊士達の分も買ってから向かう。

人数は昨日の内に烏で確認してる。

1人2個の牡丹餅を食べれる計算だ。

 

蝶屋敷に着いて玄関を叩いてから中に入る。

一応、任務と言うていで来ているが挨拶をしとかないと不味いと思い、また玄関で待つことにした。

すると奥から鬼殺隊の女の子がやってくる以前の看護婦達の女の子達とは違い、隊士の服を来て蝶の髪飾りを頭に着けてる。

その子は明悟の目の前に来ると、何故かコインを弾き上げる。明悟は気になり、その宙に飛ばされたコインを取ってコインを調べる。

シンプルに表と裏が書かれてるだけで何の変鉄もないただのコインだ。

疑問になりながらも明悟はもう一度女の子を見る。すると明らかにオロオロしてて何も声に出さないがコインを返して欲しそうだったので明悟は返した。

 

「ごめん、急に取っちゃって・・・自己紹介がまだだったね。俺は津上明悟。宜しくね」

 

彼女はもう一度コインを弾いて、左手の甲に乗せてコインを右手で覆った。そして右手を外すとコインは表を向いていた。

明悟は一連の行動は何なのかわからずに頭を傾げる。

彼女は奥へと戻っていった。

 

「何なのかな?」

 

どうしていいか分からずにそのまま玄関で待ってるとしのぶがやってくる。

 

「やぁ、しのぶちゃん久しぶり」

 

明悟は親しそうに挨拶するが、しのぶはそれにドン引く。顔なんて笑顔を崩してまるで生理的に受け付けない物でもみたかのような顔になる。

 

「そんな顔をしなくても、あぁこれ昨日烏で言ってた見舞いの品」

 

明悟は品をしのぶに渡す。

少し重いが受けとるしのぶ。

 

「では不本意ですがこれから暫く宜しくお願いします」

 

「宜しくね」

 

そう言って、奥の広間に向かう明悟としのぶ。

 

「そう言えば、さっきの子は?」

 

「カナヲですか?カナヲなら私に任せた後にもう奥の広間に行ってますよ」

 

「カナヲちゃんか~」

 

「誰に対してもその呼び方ですか?」

 

「うん、流石に行冥さんほど年上だったら君呼びはしないけど、他は基本的にこうだなぁ。耀哉は別にして」

 

「私の名前は呼ばないでください」

 

「何で?」

 

「不快だからです」

 

しのぶは笑って明悟に言うが明悟には内容よりもその張り付いているような笑顔の方が気になった。

まじまじと顔を近づけてしのぶの顔を見る。

 

「何ですか?」

 

「何でしのぶちゃんは笑ってないのに無理に笑うの?」

 

「え?」

 

「張り付いてて凄くやつれた笑顔だね。でもたまには本気で笑っても良いんじゃない?きっと素敵な笑顔になるよ」

 

「・・・・・」

 

しのぶは脚を止める。

 

「どうしたの?」

 

「何でもありません」

 

そう言ってまた進む。

先程よりもより張り詰めたような笑顔をしながら、明悟はその後を着いていく。

しのぶは明悟のさっきの言葉に4年前に鬼に殺されたカナエの姿を重ねていた。

 

奥の広間に行くと伊之助がカナヲにお茶をぶっかけられていた。

炭治郎と善逸はそれを見ている。

後、看護婦達もそれを見ている。

 

「ん?あれは?」

 

「反射訓練です。湯呑みの中の薬湯を相手に掛けるのですが、持ち上げる前に相手に湯呑みを抑えられたら動かせません」

 

「なるほど、素早く次の行動を取る為の訓練か・・・」

 

「そう言うことです」

 

「てことは、伊之助君はカナヲちゃんに反射訓練で今まさに負けてる状態か・・・えっと俺は暫く君の部下と言うか・・・まぁ下になるから、炭治郎君達にどんな訓練をすれば良いか教えて欲しいです」

 

明悟はしのぶにそう言うとしのぶは品を置いて、何処から取り出したのか竹刀を明悟に渡す。

 

「最後の訓練でしこたま殴って下さい。津上さんが1発でも貰ったら終わりで時間は30分です」

 

明悟はその竹刀を受けとる。

 

「了解です」

 

明悟がやってる皆に近づく。

炭治郎達も看護婦達も近づく。

 

「明悟さん!」

 

「やぁ、炭治郎君。久しぶり1ヶ月ぶりだっけ?・・・今日から君達3人の回復訓練に付き合う事になったよ・・・因みに内容は竹刀でしこたまやり合うだから・・・覚悟だけはしといてね」

 

明悟は笑顔で答えるがその不気味さに炭治郎と伊之助は身震いし、善逸は声にならない悲鳴をあげてた。

明悟はカナヲや看護婦達の方を向く。

 

「そう言えば、自己紹介がまだだったね?俺の名前は津上明悟。宜しくね」

 

明悟の挨拶にカナヲ達は、顔を見合わせてから話す。

 

「私は神崎アオイです」

 

「私は寺内きよです」

 

「中原すみです」

 

「高田なほです」

 

アオイ達の自己紹介が終わると明悟はカナヲを見る。カナヲはまたコインを弾く。表を向いていた。

 

「栗花落カナヲ」

 

「宜しくね、アオイちゃん、きよちゃん、すみちゃん、なほちゃん、カナヲちゃん」

 

自己紹介を終えて、訓練に戻る。

伊之助の後に善逸もカナヲに薬湯をぶっかけられていた。何回も・・・

因みに炭治郎は明悟が来る前にぶっかけられたらしい。

その後は全身を使った訓練になったりと明悟はまだ暇だったので、きよ・なほ・すみの3人と一緒に持ってきた牡丹餅を食べてお茶を飲んでいた。

色々と話を聞いてどうやら3日前まで善逸と伊之助の2人は訓練をボイコットしてたらしく、少し炭治郎に比べて遅れてるらしい。

明悟は確かに見舞いに来ていたが1ヶ月ぶりなのだ。

まさかこの1ヶ月でそんな事が起きていたとは予想できなかった。人生は遅いようで早く、短いようで長いと改めて知った明悟であった。

 

そうこうしてるとどうやら自分の番になり、明悟は竹刀を持ち、炭治郎達3人の前に行く。

 

「さてと、俺は呼吸は全く使えないので君達に具体的なアドバイスは出来ない。よって訓練内容は実践訓練のみ。時間は30分」

 

明悟はさっきの暇をもて余してた時にしのぶから貰った砂時計を置く。

 

「この砂時計が全部落ちると終了。君達が完了する条件は俺に一撃でも当てる事のみ。それじゃ誰から行く?」

 

「俺様だ!」

 

やっぱりと言うかお約束と言うか1番手になったのは伊之助だった。明悟は伊之助に2本の竹刀を渡す。

少しだけ間合いを空ける。

炭治郎や善逸そしてカナヲ達も離れた所で見る。

砂時計はアオイが管理するのかアオイの近くにあった。

 

「それじゃ、アオイちゃん。お願い」

 

「用意、始め!」

 

アオイは言葉と共に砂時計をひっくり返す。砂時計が落ちる。伊之助は竹刀を持って突っ込んできて竹刀を振る。

 

「獣の呼吸 壱の牙 穿ち抜き」

 

2本の竹刀を両方とも突いてくる技に明悟は横に避けた。伊之助は別にそれでへこたれる事は一切なく、2本の竹刀で攻撃してくる。

明悟はその攻撃を自分の竹刀で弾く事すらせずに全て紙一重で避けまくる。

 

「獣の呼吸 参の牙 喰い裂き」

 

明悟の首目掛けて左右からの切り裂きをしようと伊之助は腕を交差するが、明悟は一瞬で近づく。伊之助は慌てて竹刀を振るも明悟は紙一重で避けて伊之助の竹刀を2本とも蹴り上げる。そしてそのまま無防備になった伊之助の頭目掛けて踵落としを喰らわせて気絶させる。

 

「甘いよ、次!」

 

気絶してる伊之助はアオイ達に看病してもらい、今度は炭治郎が竹刀を持って対峙する。

 

「宜しく、お願いします!」

 

「宜しくね」

 

明悟に対して炭治郎は竹刀を構える。

 

「水の呼吸 漆の型 雫波紋突き」

 

水の呼吸で最速の突きが飛んで来るが明悟は抜き胴でカウンターを喰らわす。

やられた炭治郎は直ぐ様、体勢を立て直して斬りかかってくる。

その攻撃をまたもや避けまくる明悟。

 

「水の呼吸 捌の型 滝壺」

 

水の呼吸で威力が高い上段をやってくるが、明悟は炭治郎が竹刀を上段にしたのと同時に詰め寄り、腹に膝蹴りを喰らわす。

流石に病み上がりの炭治郎は一瞬呼吸が上手く使えなくなる。明悟はその隙に炭治郎の無防備な頭を叩き、次に右脇腹、そして左内腿の3ヶ所を流れるように叩きまくる。

そして炭治郎の顔面に目掛けて突きを放つ。

勿論、寸前の所で明悟は寸止めする。

しかし、こうも圧倒的にやられまくった炭治郎は全く動けなかった。

 

「よし、炭治郎君はこれで終わり。相手と戦うときはどんな攻撃をするか分からないから一挙手一投足に注意してね」

 

「はい、ありがとうございました!」

 

ボロボロにやられながらも元気に答える炭治郎。

明悟は善逸を見るが、善逸はカナヲの後ろに隠れてた。

呆れたように頭を欠いて、明悟はカナヲもとい善逸に近付いて、首根っこを引っ張る。

 

「死なないからこっちに来なさい」

 

「やだよ!やだよ!伊之助が1発で沈んで炭治郎がボロボロになったんだ!俺が無事で済む保証がないじゃん!」

 

「そんな保証、生きてる限り存在しないよ」

 

「死ねと!?」

 

「だから、死なないって伊之助君も炭治郎君も怪我はしてないよ」

 

「痛いのが嫌なんだよ!」

 

「男は傷つく事で磨かれる。そして人に好かれて女性にもモテるようになる」

 

善逸はモテると言う言葉にだけ反応を示す。

 

「ほんと?」

 

「ほんとほんと・・・で、やる?」

 

「・・・・・・やります」

 

善逸の言葉に明悟はさっさと竹刀を渡す。

そしていざ始まるが、結果は御察しください。

 

こうして明悟を加えた特訓の初日はボロボロになった3人が出来上がっただけであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

●●●

それから数週間後、何とか明悟に対して食らいつく事が出来るようになった炭治郎と伊之助。

善逸は相も変わらずいつも通りであった。

そんな中、烏から刀鍛治の蛍と綱蔵が明悟と炭治郎、伊之助の刀を持ってくると連絡が入り、3人とも蝶屋敷の表で2人を待った。

するとひょっとこ面を着けた2人がやってくる。

元気よく蛍に手を振る炭治郎。

しかし、振られた方の蛍は風鈴を着けた傘を綱蔵に渡して、包丁を持って突っ込んできた。

緊急回避をする炭治郎。

隣にいた伊之助と明悟はわけが分からずに行動できなかった。

 

「は、鋼鐵塚さん!?」

 

「よくも折ったな?俺の刀を・・よくも、よくも、よくも!!」

 

「は、鋼鐵塚さん!落ち着いてください!」

 

明悟は炭治郎の前に入って庇う。名前呼びではなく苗字呼びなのは明らかに冷静には見えないので下手に嫌がってる名前呼びだと余計に暴れると思った為だ。

 

「そこどけ!お前はみたらし団子で侘びたから赦してやる!退け!!退かねぇなら、お前事、殺してやる!!」

 

包丁を振り回しながら突っ込んでくる蛍に明悟と炭治郎は全力で蝶屋敷の庭で逃げまくった。

数十分すると疲れたのか蛍の勢いが弱くなってきたので本題だった刀を貰う事にした。

 

「鋼鐵塚さんは刀に対して情熱的ですから許してください。里でもここまでの人は中々見ないんですよ」

 

「ですよね・・・」

 

「居たら怖いです」

 

「竈門炭治郎殿と嘴平伊之助殿とは初対面ですので、自己紹介を。私は伊之助殿の刀を打たせて貰いました鉄穴森綱蔵と言います。」

 

綱蔵は袋から鞘に入った2本の日輪刀を出す。

伊之助はそれを鞘から抜くと牙に見立てた刃零れ込みの刀身が出てきた。

 

「明悟殿から伊之助殿の刀の特徴を改めて教えて貰いましたので牙込みで打たせて貰いました。私も二刀流で尚且つ特殊な刀は初めてでしたので・・・」

 

伊之助の日輪刀が藍鼠色になる。

 

「いい、藍鼠色の刀らしい良い色だ」

 

伊之助は刀を庭で振り回す。

特に問題は無さそうで振ってる速度も早い。

 

「おい、おっさん!これ最高だ!」

 

「あぁ、良かったです」

 

綱蔵は草履を履いて伊之助に近づき、肩に手を載せる。

 

「伊之助殿・・・大事に使ってくださいね」

 

綱蔵の威圧感に伊之助は少しだけ怯む。

 

「おう、おっちゃん」

 

少しだけ親しみを込めておっちゃん呼びになるが、明悟は野性の勘が働いて親しくなる方が良いと判断したなと心から思った。

炭治郎は相変わらず黒の刀身の為か蛍も全くのやる気を出していなかった。

そして蛍はまだイライラしているのかふて寝状態の中、綱蔵が代わりに明悟の新しい日輪刀を出した。

 

「明悟殿、どうぞ」

 

「大事にします」

 

明悟はそう言って鞘から抜くと本当に見事としか言い様のない、刀身があった。

すると、呼吸が全く使えなくて日輪刀が本来ならば変化するはず無いのに、刀身に薄桜色の雷の呼吸に似た波紋が出てくる。

まぁ、ギザギザになってる雷の呼吸とは違って炎の揺めきのような優しい感じではある。

呼吸に応えるかのように変化する日輪刀だが、明悟には呼吸の代わりにアギトの力がある。

そのアギトの力が本来ならば変化しない筈だった物に対応して進化したのだ。

元々、出てはいたが薄すぎて全く分からなかったので8年も戦い続けた結果、こうもはっきり出るようになったのだ。

明悟と綱蔵と蛍は初めて見る刀身に言葉を失う。

 

「綺麗な刀身ですね」

 

炭治郎の言葉をきっかけに

 

「「「何じゃこりゃーーー!!!???」」」

 

3人ともはもって叫んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

●●●

その頃、蜘蛛山で明悟の血を取った下弦の弐の轆轤は明悟の血をどうするべきか悩んでいた。

非常に強力な力になると思って取ったは良いものも、あれからそこら辺の雑魚鬼に無理矢理血を与えたらどういうわけか死に絶えてしまった。

鬼にとっては毒そのものであるのか分からずに自分に射つことも出来ずに悩んでいた。

結果、何本もあった採血の短刀も残り2本になってしまった。

 

覚悟を決めて自分に射つかどうか迷う。

そうしてると突然琵琶の音が耳に響く。

轆轤は気になり辺りを見回すと先程いた場所ではなく、城の中にいた。但し、上下左右無茶苦茶でこんな城を実際に造ろう物なら間違いなく不可能な構造だった。

轆轤は冷や汗を欠きながら周りを見ると他の下弦の鬼達もいた。

蜘蛛山の下弦の伍の累は既に死んでるので5人だけだった。

1名を除いた4人は辺りを見回すと見物席みたいな所に琵琶を持った女の鬼がいた。そして琵琶の音が鳴る。すると1ヶ所に集められる。

全員、まだ状況が掴めずにいると、1人の着物を着た女が前にやってくる。

 

「頭を垂れて蹲え」

 

不気味な声だ。

嫌に病的で凄みがある。

下弦の鬼達は全員頭を下げた。

絶対に勝てないと思わしめる怪物 鬼舞辻無惨に頭を下げた。

 

「も、申し訳ございません。お姿も気配も異なっていまらしたので・・・」

 

下弦唯一の女の鬼である零余子が無惨に対して謝罪する。

 

「誰が喋って良いと言った?貴様の下らぬ意志で物を言うな。私の質問のみに答えよ」

 

威圧感を出しながら言う。

下弦の鬼達もビビりまくり平伏す。

 

「累が殺された。下弦の伍だ。私が問いたいのはただ一つのみ。何故にお前達下弦はそんなにも弱いのかだ。十二鬼月になったとてそこで終わりではない。始まりなのだ。より人を食らい、私の為に全てを捧げるのが道理であり、全てだ。それがお前達の存在理由だ。なのに上弦は100年もその立場を維持してるのにお前達下弦は何度入れ替わった?もはや、お前達下弦は必要ない。ここで解体する」

 

それぞれが無惨に侘びて今一度のチャンスを貰おうとするが無惨は一向に聞き入れない。

やっても自分に逆らうのかとか自分が全て正しいとか明らかに異常だった。

もはや明らかにパワハラである。

そもそも鬼だろうが、人間だろうが意志がある時点で完全に思いのまま操るなど無理だ。

無理ゆえに人付き合いで頭を悩まして最善を取るのが意志がある生命であるが、この怪物にはそれが欠如してる。究極の自分本意で物事を語り、自分以外の全てに何も興味を示していない。

そもそもこの怪物の目的は支配とか破滅とかそう言うのではなく、自分が生きる為であり、日の光が苦手だから克服したいただそれだけの為に人の人生を玩具にしているのだ。

どんな立派な理屈があろうと例えそれに全ての生命が同情しようとも他者の人生の運命を決める権利は神でさえない。

それを平然と息をするかのように行うこの怪物は間違いなく“吐き気を催す邪悪“そのものである。

 

このパワハラを轆轤はどう生き残るか考えてた。アギトの力は鬼には毒かも知れない。このままでは絶対に死ぬ。轆轤には絶対に死ぬしかない道と死ぬ可能性が恐ろしいくらい高い道しか残ってなかった。

轆轤は覚悟を決めて、残りの2本の採血の短刀の1本を自分に刺す。

反抗する意志ではなく、これで強くなれば役に立つことを証明できて生き残れると思ったからだ。

完全な異物の血に轆轤はのたうち回る。

イライラしてた無惨は轆轤に対して当然キレる。

 

「貴様、何をのたうち回っている。先程の血はなんだ?まぁ、そんなのは最早どうでもいい。その煩わしい叫びを消せ」

 

しかし、轆轤は叫びを止めなかった。激痛で叫ばずにはいられなかったのだ。

無惨は轆轤の中にある自分の細胞を活性化させて殺そうとする。普通の鬼ならば本来はこれで死ぬはずなのだが轆轤に効果はなかった。

ここで無惨は初めて冷静に轆轤を見た。

無惨は慌てずに冷静に轆轤を殺すために巨大な肉塊を作り、その肉塊にデカイ口ができる。そしてそのまま轆轤を下の床事丸呑みする。

 

轆轤は肉塊の中で感じたことは生きたいと言う貪欲なまでの意思と過去の記憶だった。

 

普通に生きてた。

自分の年老いて病に犯された母と妻がいた。

子供はいなかった平凡な一家。

田舎にあり、不便だったが生き残ってた。しかしある時、轆轤が捕まった。妻に手を出して逃げてた悪漢を半殺しにしたら逮捕されて刑務所に送られる羽目になった。そして母の危篤と辛いことが重なり、家に帰りたくなり、家族に謝りたかった。そんな中で上弦の肆である半天狗に出会い、無惨の血を貰って鬼になった。そして留置所から出て、母と妻の所に行ったが2人は酷い殺された方をされた。

まるで不気味な作品のように人としての原型すら留められず、それでいて叫び声だけは延々と出てる酷い殺され方をされた。

今ならわかる明らかに人間業ではなく血鬼術を使っていた。

絶望し、そして人間である事を完全に捨てさり、もう苦しめたくないただそれだけの為に母と妻の死体を食べて、それからは鬼として人を喰らいながら生き続けた。

そしてその事実さえもやがて忘れて生きてきた。

 

しかし、アギトの血を体に入れたことで人間としての轆轤が再び覚醒したのだ。

怒りを感じた。

自分の家族を殺した鬼に対して、そして家族を喰らい鬼として生きてきたゴミ屑の自分に対して、全ての元凶である無惨に対してこの上ない怒りが轆轤の全ての感情を覆った。

 

すると腹の部分が光を放ち、明悟と同じベルトが現れる。

 

「変・・・身」

 

怒りに染まった声から発せられる変身の声に反応したベルトが轆轤を異形の戦士であるアギトへと姿を変えた。明悟と一緒の姿をしたもう1人のアギトが誕生したのだ。

 

ベルトから光を放ち、身を包んでいた肉塊全てを弾き飛ばして外に出る。

下弦の鬼達も無惨もアギトになった轆轤を見た。

轆轤は怒りに染まっていたがアギトに変身したことで冷静になり、自分の変化した体を見ていた。

 

「なるほど、十二鬼月程の力を持たなければ耐えられないのか」

 

自分の体を冷静に分析する轆轤。

下弦の鬼達は轆轤から本能的に離れる。

 

「何だ貴様は?」

 

「俺は・・・アギト。鬼舞辻無惨、悪いが俺は鬼を辞めさせて貰う」

 

轆轤はアギトの力をフルに使って無惨に飛び込み、その顔面を殴って吹き飛ばす。

無惨も予想外の早さでやられた為か反応できずにすんなり飛ばされた。

 

殴り飛ばした轆轤は下弦の鬼達の所に行く。

下弦は明らかに轆轤に対して警戒していた。

 

「俺と一緒に来る奴はいるか?このままだと確実に無惨に殺されるぞ!」

 

轆轤は下弦の鬼達に叫ぶ。

鬼ではあるが別に轆轤は全ての鬼に対して怒りを持ったわけではない。あくまでも自分の家族を殺した鬼と自分と無惨にだけである。

と言うか、全ての鬼に対して怒りを抱くなどそんな資格はない。結局は自分も同じように食べてたからである。だから、轆轤は彼らに怒りを押し付けない。

寧ろ、このままでは確実に死ぬ彼らに同情したのだ。十二鬼月ならば生き残れる可能性が高くなる。鬼を辞めれば生き残れる道はある。

そう思って彼等に対して叫んだが誰もこない。

 

「愚かだなぁ」

 

下弦の壱の魘夢が轆轤を見てそう笑う。

 

「生きるのが愚かか?」

 

「愚かだよ。そんなに生き急いで何になるの?鬼になり、永遠に生きれば苦しまずにいたのに」

 

「悪いが俺はそれで今、苦しいんだ」

 

魘夢と轆轤の数瞬の会話。

終わると同時に無惨の怒号が聞こえる。

下弦の鬼・・・特に零余子が人一倍ビビる。

轆轤は流石にアギトになったばかりのこの状況で無惨と本格的にやり合う気は無かった。

琵琶の鬼・・・鳴女に顔を向ける轆轤。

あの琵琶の音と共にあちこち行くならば帰るのもあれが重要になると感じていた。

 

「私も連れてって!・・・死にたくない!」

 

人一倍ビビりな零余子が轆轤に近づく。

彼女は別に反抗しようと言う分けでない。無惨と行動は一緒なのだ。ただ生き残りたいそれだけの行動である。無惨は躍起になって殺そうとする。生き残れそうなのは分けの分からない力を出して無惨を殴り飛ばした轆轤と共に行くことだと零余子は直感した。

 

轆轤は直ぐ様、最後の1本である明悟の血が入った採血の短刀を零余子に刺す。

激痛で叫び苦しむ零余子を俵担ぎしながら、轆轤は鳴女に向かって飛び付く。

鳴女も腐っても無惨の忠臣、琵琶を使った血鬼術で何とかしようとするが、その時轆轤のベルトが急に光を放つ。

 

日の光と同じ性質を持つ光によって鳴女は火傷を負い、とっさに琵琶を弾いてしまう。

それによって轆轤と零余子の2人は鳴女すらも知らない場所に飛ばされてしまう。

飛ばした張本人は戻そうにも何処にいるか分からず、そして鬼ではなくなった2人を戻すことは出来なかった。

 

 

 

 

 

●●●

どこかの森に飛ばされた2人。

轆轤は苦しんでる零余子を下ろす。

とてつもない叫びが夜の森に響く。

自分よりも弱い下弦の肆である零余子は死ぬのかと極めて冷静に頭を回す。

暫くすると零余子に変化が訪れる。

角はどんどんと小さくなり、白かった髪や顔の模様が消えて、目の下肆の文字も消えて人間の目に戻る。

皮膚も白ではなくて小麦色の肌になり、長かった爪も短くなる。

叫びが消えると彼女は“人間“に戻った。

轆轤はその事実に驚愕して変身を解いた。

自分にも変化があった事を漸く理解した。

皮膚も零余子と同じようになり、目の部分も元の人間だったときの目と一緒だった。

 

「人間に戻ったのか?」

 

轆轤がそう呟くと零余子は大量のゲロを吐く。

轆轤は近付いて取り敢えず背中を擦るがもう胃液しか残ってないのに零余子は吐き続けて、何回かして吐くものが無くなったのか止まった。

 

「大丈夫か?」

 

「大丈夫じゃない・・・今まで食べてきた人間の味を一気に思い出して吐いた・・・私は何をやってたの?」

 

「さぁな、けど俺もお前ももう天国には行けない」

 

轆轤の言葉に零余子は涙を流したかったが出なかった。体の水分はもう出てて出なかったのだ。

轆轤は背中を擦るのを止めて立ち上がる。

 

「何処に行くの?」

 

「さぁな、けど俺はあの姿で鬼を殺し続ける。お前は人間に戻ったのか分からねぇが、もしも日の光を浴びても何もなかったら達者で暮らせ。短くなった命だ。まだ若そうだし、結婚でも何でもやって地獄に行く前に精一杯幸せに生きれば良い・・・じゃあな」

 

立ち去ろうとする轆轤。

零余子は轆轤の服を引っ張る。

 

「何だ?」

 

「私も一緒に行く。もう家族はいない。私が鬼になる前に死んだから行く宛はない。なら一緒にいて良いでしょ?」

 

「・・・ああ、でも俺は鬼を殺し続ける・・・ヤバくなったらお前でも見捨てる」

 

「私だって・・・下弦の肆になった・・・生き残ってやる絶対に!」

 

体を大いに震わしながらもそう啖呵を切る零余子。

それに轆轤は笑った。

そんな中、朝日が昇ってくる。

森にどんどん日の光が差してくる。

轆轤と零余子は日の光から全力で逃げて洞窟を見つけたのでそこに入り一先ず安心する。

日が完全に洞窟の外を照らすと轆轤と零余子は顔を見合わせた。互いに互いが鬼としての顔ではなく人間の顔に戻ってるのを確認するとじゃんけんを始めた。

何回か相子になって、轆轤が負けた。

轆轤が日に照らされた洞窟の外に向かって右手を伸ばす。零余子は左手を持って何時でも全力で日から逃げれる為のサポートをする。

 

「行くぞ」

 

「うん」

 

数回早い呼吸をしてから一気に呼吸を止めて轆轤は意を決して洞窟の外に手を出す。

鬼ならば火傷してやがて死ぬほどの猛毒と化する日の光だが、轆轤の腕は何も問題なく日の中でも存在した。

轆轤はその事実に驚き、急いで全身で日の光を浴びようとするがその事実に興奮した零余子に突き飛ばされる。

轆轤よりも先に零余子が全身で日の光を浴びる。火傷を負わない人間だった頃、毎日浴びてた本当に久しぶりの日の光は暖かくて優しく包み込んでくれた。

静かに涙を流し、笑う零余子。

轆轤もそれを見て同じように日の光を浴びて泣きながら笑う。

暫くはしゃいで互いに顔を向き合わせる。

 

「貴方、名前は?・・・私は零余子・・・氷川零余子」

 

「芦原だ・・・芦原轆轤」

 

「これから宜しくね」

 

「・・・宜しくな」

 

轆轤と零余子はそう言い合い、森を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

大正の時代に現れた3人のアギト。

 

津上明悟、芦原轆轤、氷川零余子

 

3人のアギトの運命は“夢の列車“で交錯する。

 

そして3人のアギトの宿命は鬼と人間の生存競争に混乱をもたらす。

 

 

 




はい、早くもと答えれば良いのかは不明ではありますが第9話にして第2の仮面ライダー出現にございます。多分、平成ライダーの2号ライダーって大体この位だったと思うので(笑)
調べたら、バース(10話)マッハ(6話)クローズ(7話)が一番近かったです。

と、今回の見所はカナエと明悟の初めての出会いと明悟の日輪刀がなんと独自に進化して、2号ライダー見参です!
日輪刀を新しく打って貰った理由はアギトの姿を人前でさらす(一般人)のは出来るだけ止めて欲しいと言う耀哉の意向ですが、まぁ明悟は聞く気が全くないですがあっても困る物ではないので貰おうと言うのが本音です。

2号ライダーの登場・・・て言ってもアギトなんですけど、これに関しては原点のアギト自体が3人のライダーを売りにしてたのでやりたくなったからです。3人目はほぼ確定してる事でございますがまだ出しません。列車でも変身させる気は一切ございません。
そして轆轤のアギトはグランドフォームは一緒でございますがそれ以外は同じにする気はなく、轆轤ならではのフォームチェンジをさせる気でございます。
ヒーローズのクウガに出てくるアギト達だと思ってください。

・・・・・仮面ライダー電王、キバ、555のような生存競争まで発展させる気ですけど、少しミスるとアマゾンズ張りのえげつない状態になりそうなので気をつけてやります。

鬼滅の原作を・・・もう終わりそうですが読んでて小芭内さんの鬼殺隊に保護されるまでのあの状況ってアマゾンズの映画のあの牧場に似てると感じるのは筆者だけなのだろうか?まあ、アマゾンズの映画は更に捻りを入れてよりえげつなく救いなくなってるけど・・・

平成仮面ライダーみたいに45話から53話までで完結出来るように頑張りたいです。
話のネタは想定よりも増えつつあるけど・・・

列車編と遊郭編が終わればディケイド編で無限城編です。
でもその前に次回はオリジナルの日常回にしたいと思います。
そしてお気に入り登録90件突破として書いて欲しい内容を募集します。
条件は戦闘描写無しです。
無かったら自分で出しますが・・・気軽に送ってください。
これは別作品の【僕の亀仙流アカデミア】でもやってました。日頃の感謝を兼ねて・・・ですので明日の5月3日、1日かけて募集します。

活動報告に詳しい事を載せますのでそちらの返信に送ってください。

批判感想質問は気軽に送ってください。必ず返信致します。

次回の日常回で絡ませて欲しいのは?

  • かまぼこ隊
  • 義勇
  • しのぶ
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