鬼滅の刃~太陽の化身~   作:怪獣馬鹿

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今回もギャグ回でキャラ崩壊注意です。

前半は結構真面目にやってますが後半からまたいつものノリですのでご注意を

まどぼー様のリクエストでございますが、リクエスト通りでは無いかも知れません。
すみません




ひなき達の缶けり大作戦!

夢の列車の戦いが終わって早3日、明悟は蝶屋敷で入院していた。炭治郎達も全員、体の傷を癒すために入院し、なにげに1番の大怪我だった杏寿郎はもう自宅療養の段階に入ってた。

まぁ、呼吸が使えて大怪我なのに問題なく動けてる時点で既に怪物じみてたから明悟はそこに関して何の驚きも無かった。

 

明悟は今、個室で療養している。

個室なのは理由があって先ず基本的に柱が負傷すると大抵はさっさと自宅に戻る。しかし、想像以上の大怪我をすると流石に入院させて二、三日の経過観察をしないと退院させれない。で、全員が普通に入院出来れば良いのだが、そう上手くはいかない。まず、小芭内が入院するとなったら、基本的に常識的に療養してくれるが一緒に入院してる他の隊士への小言の地獄を行い、ストレスで悪化。しかもこれを無意識的にやる。実弥も常識的に療養してくれるが今度は一緒に入院してる隊士が異様にビビりまくり悪化、行冥に関しては日課のお経の縁起の悪さが凄くてまたストレスで悪化、杏寿郎と天元に至っては煩すぎて完全に迷惑その物。まともなのは無一郎と義勇と蜜璃だけだった。

これに対してしのぶはめんどくさすぎるので柱は強制的に個室部屋行きにした。

柱もその方が楽なので問題は何一つない。

 

明悟が今いる部屋もその1つ。

すぐに自宅療養かと思ったが明悟は杏寿郎と違って呼吸が全く使えないので新陳代謝が良くなく、療養の期間が長い(それでも普通の人よりは早い)

 

しのぶ特製の薬を飲む。

恐ろしいくらいに苦くて不味い。

療養なので好きな食べ物も制限されて体に良いものを食べさせて貰ってるが明らかに病人食でしかなく、旨くない。栄養に特化してるから治りは早くなるが食べ物大好き男である明悟には辛かった。

 

明悟には更に悩みの種がある。

 

「明悟さーん」

 

部屋の扉が開かれると妙に撫で声の気持ち悪い言い方で呼ぶ善逸がいた。

明悟はその事に頭を抱えた。

 

「善逸君・・・どうしたの?」

 

「いや、夫婦になれる男女のつきあい方を・・・」

 

「そんなものはない!」

 

「嘘つくんじゃねぇ!!夫婦だぞ、夫婦!男と女がイチャイチャするための番みたいな物だぞ。イチャイチャするための契りだぞ!何で、あんたみたいな性格に難がある人間に出逢いがあって、結ばれるんだよ!?絶対になんか裏技みたいな物があるだろ!?教えやがれ!」

 

「ねぇよ!」

 

女好きの善逸が、明悟に恋人・・・妻のカナエがいたことに対してどうやったら上手く行くかとこの3日間鬱陶しい位に聞きに来るのだ。

しかも、初っぱなから裏技を使ったなどと聞いてくるが、人付き合いに裏技なんて存在しない。

あるとしたら、金を余分に掴ませるぐらいだが、明悟はカナエに対してそんな事は一切やっていない。

そう善逸には言ってあるのだが、全く信じない。

あまりにも最低だった。

 

まぁ、明悟とカナエも恋人だったが、何時から恋人になったかは曖昧だし、婚約したのも明悟がプロポーズしたからであるが、その理由がカナエとの間に子供が出来た所謂“出来ちゃった婚“である。

 

明悟はしつこい善逸にいい加減イライラし始めた。

この性格だから恋人が出来ないのに・・・

 

「そんなの無いからいい加減にしてくれないかな?」

 

「嘘つけ!」

 

「しょうがないなぁ。じゃ助言をある程度あげるよ」

 

明悟は懐から本を善逸に差し出す。

 

「この本の主人公みたいに静かに寡黙に冷静に振る舞ったら、女性は依ってくるよ」

 

善逸は本を受け取り、部屋を出た。

本は小説でハードボイルドな探偵が主人公の話だった(この時代はまだハードボイルド小説なんてアメリカですら出ていません、1920年代のパルプフィクション誌・・・二流のB級雑誌でやっていたのが1番古い歴史ですが、あくまでも史実の話ではなくロマンが中心の話ですのでそこら辺は無視します)

 

寡黙で無愛想だか、確固とした正義感があり、ダンディズムが溢れてる男が依頼人の為に殴られ蹴られ肉体的に苦痛を伴いながらも物事を解決していく話だ。

 

善逸とは正反対な内容だが、明悟は案外合うと思った。根本の正義感は確りして、人の為なら殴られても蹴られても頑張る善逸には合うと思ったが明悟には誤算があった。

 

普段の善逸と小説の主人公は明らかに普段その物が違いすぎる。

生活と言った様式美ではなく、人付き合いや性格と言う面で違った。

寡黙で無愛想だが、ダンディズム・・・言葉や態度はどこか余裕があり、会話に洒落があり、苦い薬ごときで文句を言わない主人公とうるさく、愛想を嫌でも出しまくり、1時間後には死ぬのではと思うほど余裕がなく、薬に文句を言いまくる善逸とは違いすぎた。

 

更に言えば善逸の性格はこれなので関わる人の殆どがこうと認識しているし、その性格に慣れている。

それが急に変わるとどうなるか・・・熱があるのか、余計に悪くなったとしか思わない。

そもそも主人公は普通に世間一般の評価は最低で主人公として動いてるから共感できるのであって、これが実際の人でやると性格の悪い人間にしか見えない。

 

5日後、善逸が半泣きしながら本を明悟に投げ返した。

人付き合いや恋に近道は存在しないと善逸は改めて思い知った。

 

 

 

 

 

 

 

 

ー話を戻してー

 

明悟が部屋でゆっくりしてくると毎日必ずやってくるめんどくさい人間がもう1人いる。

 

「津上さん、検診の時間ですよ」

 

しのぶである。

検診は至ってまともな内容で超絶美人なしのぶなので羨む男は多そうだが、そうはいかない。

 

「で、津上さんの婚約者って誰ですか?」

 

明らかにからかい目的で聞きに来るのだ。

明悟には答えたくない理由が2つある。

1つはめんどくさくなるから、もう1つは単純に言えないからだ。

冷静に考えて急に“自分は死んだ姉の婚約者“ですなんて言ったらどうなる?

何で死んだときに居なかったとか、葬式にですら来なかったとか色々聞きに来るし、そもそも大事な婚約者1人守れない婚約者なんて居ないも同然。

屑である。

そんな事を妹であるしのぶや妹分であるカナヲ達には明悟は口が裂けても言えなかった。

 

「誰なんでしょうかね。津上さんを愛してくれた人って気になりますね」

 

(君の姉だよ)

 

明悟は言いたいのに言えないもどかしい思いをしながら、毎日検診された。

 

(津上さんの婚約者は恐らく姉さん。今は確証が無いからなにも出来ませんが、いずれキッチリと証拠を掴みます。姉さんを殺した“罪“を死んでも償って貰いますからね)

 

しのぶは勘であるが、明悟がカナエの婚約者だと感づいていた。

そして明悟に対して復讐する気満々である。

なぜ、明悟がカナエを殺したのかその話はまた別の時に語るとしよう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

●●●

それから2か月後、明悟は漸く体も完全に治ったので、杏寿郎と一緒に耀哉の待ってる産屋敷まで足を運ぶ。

明悟はまた菓子織を持っていく。

本日の菓子は羊羮だ。

 

「しかし、津上は本当に食べるのが好きだな!」

 

「杏寿郎君は?」

 

「勿論、大好きだ!」

 

「良かった。芋長の芋羊羮は安くて旨いからね」

 

「そうなのか!?」

 

「うん、あそこの店主が良い人でね。まぁ小さい息子さんはケーキ屋になりたいそうだけどね」

 

「ケーキか、まだ食べたことないな」

 

「作ろうか?」

 

「作れるのか!?」

 

「うん、あまり自信は無いけど」

 

「今度、作ってくれ」

 

「互いに生きてたらね」

 

「そうだな!」

 

他愛もない話をして、ひなき達に芋羊羮を渡すと庭に向かう2人。

そこには、炭治郎や善逸、伊之助の3人としのぶ、実弥、そして天元がいた。

全員が不気味な感じで黙ってるので明悟と杏寿郎が来るのを即認識していた。

 

本来・・・まぁ理想ならば柱が全員集合するのが理想だったが、生憎と他の面々は任務であった。

何の会議かと言うと、轆轤と零余子の事である。

一応、報告書には既に報告されて尚且つ柱全員にその情報は行き渡ってるが、耀哉が当事者達から聞きたがったのでもう一度報告になった。

当事者である明悟達に加えて炭治郎達3人を養ってる上に医学者であるしのぶ、こういう時には100%の出席率を誇る実弥、そしてたまたま暇だった天元が来たのだ。

 

「それじゃ、話してくれるかな。人間に戻った鬼について」

 

「了解」

 

明悟と杏寿郎は轆轤と零余子について事細かく話した。と言っても2人とも事件後に書いた報告書の事をまた言い直してるだけなのでそんなに手間取る事は無かった。

 

「それじゃ、2人に聞きたいのはこれについてなんだが、2人は彼等を信じる事ができる?」

 

「お館様、私は信じても良いと思います!但し、彼等によって死んだ者達が居るのも事実ですので無惨を倒すまでの間だけで、それ以降の事はまだ私もどうすれば良いか決めかねてます!」

 

「すぐに答えを出すのは無理だ。けど無惨を倒すまでは信じて良い」

 

明悟と杏寿郎の言葉に他の柱は何も言わなかったが、顔を歪ませた。

ただ今回は明悟だけでなく、杏寿郎もいる。

彼への信頼は高い。

故に顔を歪ませてるのだが・・・

 

「炭治郎や善逸、伊之助はどう思う?」

 

「俺は、信じて良いと思います」

 

「信じたいです。普通の人にしか見えなかったので」

 

「鬼じゃねぇから問題ねぇだろ?」

 

炭治郎達はまだどうすれば良いか迷いながらも自分の意見を言っていた。

口が非常に悪い伊之助は、後でしのぶからありがたい説教を受ける羽目になるがそれは後の話。

 

「それで実弥、天元、しのぶはこの事に対してどう思う?」

 

「今すぐ討伐隊を結成して殺すべきです」

 

「下級の隊士や隠でその2人を監視し、連絡が途絶えたら討伐隊を編成すべきかと」

 

「すぐにこちらに連れてくるのが良いのではないかと思います」

 

3人がそれぞれ違うことを言う。

そこからはほぼ全員が違うことを言いまくり、建設的な意見など何一つ出ないまま終わった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

明悟が手を叩く。

他の面々が明悟を見る。

 

「とにかく、ここでやってても埒があかないから、確定事項だけ整理すると、まずあの2人には監視をつける。次に変身したらここに(産屋敷)に連れてくる。無惨を倒すまでは協力で良いかな?」

 

明悟の言葉に全員、反論したくても対案が存在しないので反論できない。

 

「良いよ、では本日の会議はこれまで」

 

「「「「「御意」」」」」

 

「そうだ、これから明悟がひなき達と遊ぶのだけれど誰か・・・」

 

耀哉が言い終わる前に天元としのぶはその場から消えていた。あのえげつない遊びに付き合う気は1回やった天元には全く無く、観てたしのぶは観てるから面白いのであって、やる気は欠片も無かった。

 

「天元としのぶは?」

 

「逃げたよ」

 

「なら、杏寿郎と実弥と炭治郎達にも頼もうかな?」

 

大真面目を地で行く杏寿郎と実弥は逃げてない。

突然の事に混乱する炭治郎達。

明悟が炭治郎達に近づく。

 

「皆、頑張ってね」

 

「え?え?何が始まるの!?」

 

「遊びだよ、ただの遊びさ」

 

「遊びの雰囲気じゃねぇだろ!?」

 

怯える善逸を明悟は無視する事に決めると、ひなき達がブリキ缶を持ってやってくる。

ひなき達は明悟を見るやいなや明悟の方にやってくる。

 

「ひなちゃん達、缶けりやるの?」

 

「はい!ただ、私達だと鬼殺隊の皆さんじゃ動きが違いすぎるので、鬼の人以外は私達を背負うか、おぶって下さい。そして最初に掴まった人が次に鬼になり、私達を抱っこするかおぶります」

 

「ひなちゃん達、それで楽しめるの?」

 

「大丈夫ですよ。鬼になった人はこれを引いてもらいますから」

 

ひなきは袖から、何十枚もの紙の束を出した。

 

「これは何?」

 

炭治郎が紙の束について尋ねる。

ひなきがそれを聴いて、1枚引くと『警察』と書いてあった。

 

「何て書いてんだ?」

 

文字が読めない伊之助が尋ねる。

 

「警察だよ」

 

「何で、警察?」

 

あの“超おままごと“を知らない炭治郎達がひなき達に聞くが、いつもやってる明悟と観てた杏寿郎と実弥は何の事か理解した。

 

「この紙に書かれてる役柄にそって見つけて捕まえるのです。これは『警察と泥棒』ですので、鬼は警察となって行動しないといけません。あまりにも雑な芝居だと止めて怒りますので注意してください」

 

こうして、超特殊な缶けりが始まった。

缶けり自体を知らない伊之助に明悟は丁寧に教えた。

役云々に関してぶつくさ言ってたが、明悟は肩に手を置いて黙らせた。

 

そして、ひなき達を除いた6人でじゃんけんをする。

杏寿郎が負けて、紙の束から1枚引く。

ひなき達のえげつない遊びを知ってる為か内心、まともな役柄が来るのを祈っていた。

 

引いたのは『警察』だった。

安心して一息つく杏寿郎。

これなら出来る。

 

明悟達が缶を蹴り、ひなき達を背負って隠れる。

因みに組み合わせだが、

 

ひなきは明悟

 

にちかが実弥

 

輝利哉が善逸

 

くいなが炭治郎

 

かなたが伊之助

 

である。

女好きの善逸は強制的に輝利哉になり、その事に1番不満を抱いたのは輝利哉だったが、英才教育の賜物か顔には一切出さなかった。

 

杏寿郎が缶を元の場所に戻すと、役に成りきる為に咳払いをする。

 

「何処だ!?絶対に捕まえるぞ、農作物ばかりを狙う泥棒集団め!」

 

何故に農作物なの?と参加してる人達はそう思った。

 

「絶対に捕まえるからな、俺の実家から送られてきたさつまいもを盗んで食いやがって、絶対に許さんぞ!」

 

(((((完全に私事じゃねぇか)))))

 

杏寿郎は辺りを見回す。

柱なので何処に誰がいるかは大体わかるがそれだと面白くもなんともないのでわざと缶から離れて行動する。

 

「俺のさつまいもの分を命で返せ!!」

 

謎のさつまいも推しキャラになってる杏寿郎に明悟に背負って貰って隠れてるひなきは笑ってた。

 

「ああいうのもありですね」

 

(どこで教育を間違えたのかな?)

 

杏寿郎の警察キャラを純粋に楽しんでるひなきに明悟はそんな事を考えてた。

そうこうしてると、伊之助が物の見事に1発で捕まり、紙を1枚引く。

出てきたのは『親分』だった。

 

「何て書いてんだ?ギョロ目」

 

「親分だな」

 

「伊之助さんが親分となって子分である私達を探すのが役柄になりますね」

 

普段通りだった。

杏寿郎が軽く缶を蹴って、伊之助は教えてもらった通りに戻してから役に成りきるが内容が内容なので、

 

「おら、子分ども!何処にいやがる!」

 

普段と全く変わらず素だった。

素の伊之助を初めて見るひなき達にとってその姿は上手い役者にしか見えなかった。

 

「明悟叔父様!あの人、上手ですね!」

 

「いや、あれが素だから」

 

「へっ?」

 

呆気を取られるひなき。

そうこうしてると、炭治郎が野生の勘が恐ろしい伊之助に捕まって、次の鬼としての役割を決める紙を1枚引くと『借金取り』と書いてあった。

 

伊之助が思いっきり缶を蹴飛ばす。

炭治郎が戻して咳払いして役に成りきるが

 

「シャッキンカエセ~」

 

「「「「「ダァァァ!!!」」」」」

 

ドン引くほど下手くそだった。

あまりの下手くそっぷりに全員がずっこける程。

 

「「「「「ちょっと待って下さい!!!!!」」」」」

 

ひなき達が全員、相方の元を離れて炭治郎の元に来る。

 

「ど、どうしたの?」

 

「どうしたの?ではありません!」

 

「下手くそ過ぎます!」

 

「交代を要求します!」

 

「引っ込んで下さい!」

 

ひなき、にちか、輝利哉が炭治郎をボロクソ言い、くいなとかなたは何処から取り出したのか木の板に『退任要求』と書かれていた。

自分では一生懸命なのにこき下ろされた炭治郎は放心気味になりながら、善逸と交代した。

そして善逸にほぼ強制的に乗せられていた輝利哉は明悟に乗れる事が出来て喜んでた。

 

善逸が紙を1枚引くと、『ダメ亭主』と書いてあった。

 

炭治郎が力弱く缶を蹴って、隠れて、善逸が戻す。

 

「おぉい、これからは真面目に働くし、賭け事も止めるから帰ってきてくれよぉ」

 

中々に様になってた。

 

「酒も水で割って飲むし、煙草も止めるよ。パイプやキセルだって吸わないよぉ!ゴミ出しもちゃんとやるし、姑と言い争いになったら、絶対に向こうには行かないって誓うから帰ってきてくれよぉ」

 

何とも情けない言い分に明悟やひなき達は笑う。

しかし、実弥に背負われていたにちかには微妙だった。

 

「いまいち、真実味が無いですね」

 

これに実際にダメ亭主の元で虐げられてきた母親と家族を愛していて、耀哉を不気味な程敬いすぎてる実弥が飛び出して、善逸の頭をぶん殴る。

 

「いきなり、何するんですか~!?」

 

「黙れ下手くそ!にちか様が微妙に感じられてるだろうが、真面目にやれ!」

 

「大真面目だよ!ならあんた変わりにやってみろよ!」

 

「おお、手本見せてやらぁ!」

 

実弥が善逸から『ダメ亭主』の紙を貰い変わりにやることになった。

こうなるとにちかは善逸がおぶるか抱っこする事になるが、明悟がにちかをおぶる事になり、善逸はまた輝利哉をおぶる事になった。

 

実弥が咳払いをして、叫ぶ。

 

「何処に行った!?」

 

腹から出てるであろう叫びに全員が少し圧倒される。

 

「お前らは俺の家族だ!俺のもんだ!物が一家の大黒柱である俺に逆らうんじゃねぇ!!」

 

「上手い・・・・上手すぎる」

 

「合ってますね」

 

明悟が実弥の気の入った演技に驚き、にちかは意外な合いっぷりに素直に感心していた。

まだまだ色々と問題発言を叫びまくる実弥。

そんな中、叫び声に心配してやって来たのは、行冥と実弥の弟にして行冥が鍛えてる不死川玄弥だった。

 

「何やってんだ、兄貴?」

 

「実弥、何をしている?」

 

「え、いや、あのこれはひなき様達の・・・」

 

行冥はその一言でまたひなき達のえげつない遊びに付き合わされてるのがわかった。

任務が終わって玄弥に手伝って貰った報告書に不備があると言われて確認の為に来たら、実弥達がひなき達の遊びに付き合ってるのは予想外で1回止まってしまったが、ひなき達の遊びと分かれば話は要らなかった。

 

「そうか、行くぞ。玄哉」

 

「え?あ、はい」

 

去っていく行冥と玄弥。

行冥は何の事か分かっているが玄弥は全く何の事か知らない。玄弥の目には大好きな兄が大嫌いである父親とほぼ同じ言動で暴れていたようにしか見えず。

色んな意味で心配するの玄弥の目が実弥の心に深く刺さりまくり、精神的疲労が他者の目でわかるほど深刻な状態になっていた。

 

(俺は何でクソ親父の真似なんか・・・)

 

にちかの一言に真剣になった為である。

 

「チクショーーーー!!!」

 

血の涙を流すのではと思うほど叫ぶ実弥。

そのまま少し放心気味に缶から離れる。

 

「明悟叔父様、今です!」

 

「よし!」

 

明悟はにちかを背中におぶるのではなく抱えながら缶へ向かう。

実弥もそれに気付き、全力で缶を踏もうとする。

真剣にやれと善逸に行った為に全力で、この精神的疲労を終わらせる為に全力で缶を踏もうとする。

コンマ数秒のレベルで実弥の方が速い。

明悟はそのまま缶に向かってスライディングする。

そして、2人の足が缶へぶつかると大量の砂埃が上がる。

他の参加者もどうなったのか気になり、見に来る。

砂埃が上がると確かに実弥は缶を踏んでいた。

しかし、缶はあの定番の長くて丸い形ではなく、中の部分がごっそり抉られてる凄い状態だった。

 

これは明悟の蹴りと実弥の踏むのが全くの同時か実弥が少し早い状況で超人的な脚力を持ってる2人だから出来てしまった現象である。

一応、踏んでる事になるので実弥の変わりに明悟が鬼になるが、実弥はその衝撃を諸に足首で受けてた為、足首を押さえていた。

 

数分したら、何とか動けるようになったので明悟の鬼で終わりにしようとなり、明悟が鬼になる。

 

蹴られたえげつない状態の缶を戻すと咳払いをする。

 

因みに引いた役割は『借金取り』だった。

 

「何処にいやがる!借金返せ!!合わせて3千円。期日はとっくに過ぎてるぞ、耳揃えて1時間以内に返せや!」

 

※物価指数と言う物があり、単純な計算は出来ませんが

2011年では大体1円の価値が今より1026倍あったと言われてます。のでこの小説ではキリをよくするため、1円=1030円の計算でやります。ですので3千円は大体309万円です。

 

「早く返しやがれ、でねぇとな俺が責任取って縁故する羽目になるんだよ、何でてめえらの為に指を切らにゃならんのだ!」

 

やけに具体的なのがまた生々しい。

どんどん、ノリに乗りまくって捲し立てるように暴言を吐きまくる明悟に家主である耀哉の妻のあまねが何故か警策(坊さんが叩くときに持ってるやつ)を持って後ろから明悟に近づき、明悟の頭を思いっきり叩く。

家主の耀哉は縁側で茶を飲んでいた。

 

「うちの庭で何をやってるの?」

 

頭を押さえて座り込んでる明悟はあまねを見る。

 

「いや、ひなちゃん達の・・・」

 

「ひなき、にちか、輝利哉、かなた、くいな!それに杏寿郎様、実弥様、 炭治郎様、善逸様、伊之助様、すぐにこちらにいらっしゃい!!」

 

全員であまねから長い長い説教を喰らってお開きになってしまった。

 

善逸と伊之助はそのまま蝶屋敷に半泣きしながら帰り、明悟と杏寿郎は互いに癒しと親交を深めるためにさつまいものの豚汁を新商品として出した定食屋に行って夕食を取りに行き、今回の缶けりで深刻な精神的疲労を味わった炭治郎と実弥も明悟達と一緒に定食屋に行って少しだけ仲良くなっていたと言うよりも互いに互いの傷を舐めあっていた。

 

 

後日、今回の缶けりでのキャラを元にさつまいも好きの警官が借金まみれのダメ親父によって売春させられた奥さんを助けようともがきまくる話を書いた。

名付けて【長屋敷 残酷恋物語 第一章 素晴らしき恋】と言うまたえげつない内容になる話だった。

 

ひなき達はまた伊之助の素を純粋に楽しめたので笑えるおとぎ話として【伊之助親分】と言う絵本も書いていて、こっちは普段があれな為か非常にさっぱりとして大好評だった。

題材になった伊之助はかなり浮かれていた。

 

 

 

 

 

 

●●●

一方、その頃。

轆轤と零余子は金がなくなったので2ヶ月の間、蕎麦屋で働いていた。零余子も轆轤もせっせと働きまくってかなり評判が良く、列車の事件が終わってすぐに入ったが、ある日、桜髪の鬼殺隊が朝に来て店の3分の2の蕎麦を喰いまくって(代金は勿論払ってます)昼からの仕込みがえげつない事になったが、店主の『下手くそだった場合は鞭でしごきまくる』と言う人権無視甚だしい育て方の賜物か轆轤は見事に蕎麦を仕込めるようになった。

 

そして昼休憩になると賄いで轆轤と零余子は蕎麦を食べる。店主が太っ腹である程度ならどんな具材を喰っても許してやると言うので零余子はほぼ全部のせで食べるが轆轤はただの掛け蕎麦だった。

 

「轆轤ってなんで何の具材も足さないの?」

 

「あぁ?ってまた、お前は何だその蕎麦は・・・海老天、玉子、油揚げ、天かす、かき揚げ!?」

 

「名付けて超盛り蕎麦。この際だし」

 

蕎麦を食べる零余子。

轆轤はその蕎麦に怒りマークを出していた。

 

「アホかぁ。蕎麦は掛けに始まり掛けに終わる。具の少なきは更なり。詰まる所、具は女の化粧と同じだ!無駄にやった所で元を引き出さなければそれはただの冒涜だ!あくまでも本質は麺と汁。真の蕎麦にはそれだけで充分なのに・・・お前と来たら、何だそのごてごてに固めたイカれた丼わぁ。そんな下劣な物を俺の前で食うな!!」

 

汁を飲み干す零余子。

 

「もう食べきったもんね。てか轆轤の麺延びてるけど」

 

「イィ!??」

 

轆轤が自分の丼を見ると麺が延びきっていた。

 

「俺とした事が・・・この俺とした事がぁ・・・」

 

轆轤は黙って延びてる蕎麦を食べた。




はい、今回は前回のリアルおままごとではなく缶けりになりました。
リアルおままごとでも良かったんですがあれはおままごと自体の話の展開も考えないといけないので2回も連続ではちょっと・・・話のレパートリーも無いので、すみません。

因みに今作での報告書作成能力ですが

1位天元・・・忍者は伊達ではない。

2位小芭内・・・常識人枠です。

3位実弥・・・流石の優等生

4位しのぶ・・・流石の一言

5位無一郎・・・意外にまともです

6位杏寿郎・・・えらく主観が入りまくり、把握に手間取ります。

7位義勇・・・ここでも口下手は変わらず

8位明悟・・・短期任務だと問題ないですが長期任務になると小説か?と思うほど無駄に書きまくる悪い癖があります。

9位蜜璃・・・擬音だらけで下手くそです。


ランキング外
行冥・・・そもそも盲目でそれでも玄弥に手伝って貰いながらやってますし、隠も行冥の任務の後始末と報告は特別にかなり慎重にやってますが、5%の確率でミスがあり、その度に確認の為、屋敷に出向いて説明してます。
普段から隠か玄弥を連れてけば良いと思うが誰も行冥の任務に実力的な意味で着いていけない。柱じゃないととてもまともには出来ず、それ以下だとただの足手まとい。


次回は吉原にしようかと思いましたが、その前に過去編で2週に渡って明悟とカナエの話を書きます。

次回のタイトルは
『過去編 接着大作戦』で

その次のタイトルは
『過去編 花柱 胡蝶カナエ』にします。

楽しみにしてください。

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約1週間投稿も皆様の批判感想質問のお陰ですので、

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