鬼滅の刃~太陽の化身~   作:怪獣馬鹿

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これで過去編は一先ず終わり、次回からは吉原編になります。
それが終わるとディケイド編になります。
出来ればこの2編で26話まで行って刀鍛冶編と幕間編と言うか2話か1話完結の話で三クール目・・・39話まで行ってから1クールぐらいかけて最終章をやるのが今のところの計画です。


過去編 花柱 胡蝶カナエ

あれから、明悟とカナエの仲は少しは良くなった。少なくとも前に比べて喧嘩は少なくなりはしたが、任務になるとやはり明悟はアギトの姿が見られたくないのか離れようとするがカナエも完全に目を離さず、結果的に明悟の生身の戦闘力が上がってきた。

 

そして2人の距離感も変わってた。

互いに互いがなんとなくであるが、息が妙に合うようになってきた。

それに最初気づいたのは藤の家の女将だった。

 

天ぷらを食べてる時、味噌汁、天ぷらに御飯と言う食べ方が2人とも全く一緒で無自覚にやり、女将から

 

「仲が良いでございますね」

 

と言われて初めて気がつき、赤面する羽目になった。

それで互いに違った意味で距離とかそういうのを感じるような間柄になった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

●●●

その日もカナエは朝起きるとまず、ゆっくりと体を解して寝巻きから、任務着というかもはや普段着に着替える。

 

明悟とあの接着された事以来、カナエは寝巻き姿では明悟と朝会っていない。明悟も寝巻き姿では会わなくなった。

何となくであるが2人ともあれだけ密着した故か寝間着を見せるのが恥ずかしくかり、キチンと着替えるようになった。明悟もカナエも早起きである。

しかし、互いに普通に会話にもユーモアはある方で、からかうのが結構好きである。

明悟もカナエもそこら辺は最早遠慮と言う物がなく、互いに相手より朝早く起こして少しだけからかおうかな?と考えて着替える。

 

カナエはそう考えた上で明悟の部屋に向かうが、上述した通り明悟もカナエをからかう気満々なので2人とも互いの部屋から全く同じ距離を歩いたら、会う。

今日もそうである。

2人はまた互いの部屋のど真ん中で朝早くから会う。

 

「お、おはようございます」

 

「おはよう。今日も・・・早いね」

 

「明悟さんだって」

 

互いにここから何を言えばいいのか分からない。

いっその事、相手が先に言ってくれれば楽に話に繋げる事が出来るのに。

しかし、この沈黙を毎回破るのが・・・

 

「もし、鬼狩り様方」

 

「「わぁ!?」」

 

決まって女将である。

 

「2人ともおはようございます」

 

「「お、おはようございます!」」

 

「相変わらず、仲の宜しいようで夫婦でございましたか?」」

 

女将がそう言うと、

 

「い、いやそんな俺達はそんなんじゃないですよ。ただの同僚で他人です」

 

明悟がそう言うと、

 

(他人って、この前私が助けましたし、誕生日だって私が決めたんですからもっとこう別の言い方あるでしょ!)

 

カナエがこう思い、

 

「ええ、そうです。全く何の関係もない赤の他人です」

 

と女将にカナエが言うと、

 

(そこ強く言う必要ある?この前の任務で後ろから襲ってきた鬼を斬ったのは誰だよ!)

 

と明悟が思い、互いになんか少しだけイラつく。

 

「お似合いでございますよ」

 

「「違う!」」

 

朝から絶対に女将からからかわれる2人である。

 

 

 

 

 

 

 

●●●

朝御飯になると2人は横並びに食べるようになった。これだと喧嘩すると一々相手の顔を見ずにすむから喧嘩の頻度は勿論なくなったが、相手の顔は見たい。

幸せそうに食べてる姿が見たい。

相手も知らない自分だけが知ってる相手の顔。

それが見たいのか時たま、2人は相手の顔を見ようとするがそこは気配に敏感な明悟と鍛えられてるカナエ。

見ようとしてるのが分かり、自分だけ見られるのは癪なので目線を合わせて相手を牽制するように見てしまう。

それに気づくと慌ててまた戻す。

そんなのを繰り返す2人。

 

そして、2人は体を休養し終わると任務に戻る。

互いに会話は増えてる。

しかし、体は相手に触れたくないのか人1人分離れて歩く。

相手との会話は楽しい。

明悟もカナエも互いに博識である。

特に明悟が本好きであるのが幸いなのかよく本の話もする。

日本の小説もあれば海外の小説の話もあり、「罪と罰」とかの話も面白いと思うし楽しいと感じるが、カナエが明悟と話してて一番好きなのが図鑑等の話である。

虫なり動物なり、様々な物事を楽しそうに話す明悟を見てるのが楽しかった。

 

明悟はカナエの話で楽しかったのは小説とかの話ではなく、家族の話だった。一緒に生き残った妹との思い出話は楽しくそして強さを感じ、人と繋がる事が苦手な明悟にとって2人の繋がりは羨ましいと思った。

 

ただ、カナエが現岩柱である行冥の話を楽しそうに話す時は明悟には全く面白くなく、止めて欲しかったがあまりにも楽しそうに話すカナエには何も言えず悶々と過ごす羽目になる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

●●●

2人は任務地の村に着く。

昼間に着いたので情報を集めようとするが、その必要は無いほど村人は怯えていた。

村の入り口で分かるほどで明らかに今までの鬼の任務とは違っていた。

 

2人は別れて詳しい事情を聞いて回って整理した。

 

・2ヶ月ほど前から近くの山に夜に入った人間が無残に殺されてて熊かと思い男の村人だけで熊狩りしたが、何も成果はなくて夜に山に行くのは禁止した。

 

・そして先日、夜に村を歩いてた人間が村の中で殺されて悲鳴を上げて他の村人が見てみたら、全身から刃物が生えてる化け物を見て、化け物はそのままやたらめったらに刃物を家にぶち当てるだけで他の村人には傷1つつけずに山の中に帰っていった。

 

この2つの情報を見るにカナエと明悟は1つの答えに至った。

 

「明悟さん」

 

「カナエちゃん・・・間違いなくこれって」

 

「誘い込まれてます。鬼がむやみに殺すだけで一口も食べてないのは可笑しい」

 

「つまり、敵の狙いは鬼殺隊」

 

そこまで答えが出ると2人の行動は迅速だった。

まず、手元にあるありったけの藤の花で作られたお守りやお香を破ったり、火をつければすぐに香りが出るようにして村の周りを囲んだ。

 

そして夜になると2人は村と山の間に周りが田んぼだらけな道があるのでそこに陣取る事にした。

下手に行くよりは相手への対策を立てられて良くなる。また田んぼは刈り終わって少し柔らかいだけの土になってるので寧ろ山よりだだっ広いこの状態は避けやすくて充分アドバンテージになる。

2人とも火薬や暗器の知識もなく、それを習練したことがないので武器はいつも通りの刀が二本だけである。明悟はアギトへの変身もあるが、今まで以上にカナエの前では変身したくなくなり、この状況で相手に見られなくなるまで離れるのは愚策なのでガチで刀二本だけである。

 

明らかに鬼殺隊を狙った行動で明悟もカナエも今までとは違う敵に緊張が走る。

そして前の方から歩いてくる音が聴こえてきて互いに刀を構える。

 

現れたのは以前に出会った下弦の肆であった。

2人を見た瞬間、肆は笑った。

あまりにも不気味で2人の体に悪寒が走る。

 

「漸く会えた・・・仏ってのは居るんだね、あんた達に会えるなんて・・・」

 

肆はそう言うと2人に向かって飛び込んでくる。

 

「血鬼術 全身刃」

 

空中で全身から触手の刃を出して攻撃してくる。

 

「花の呼吸 弐の型 御影梅」

 

カナエは呼吸でそして明悟はアギトの超能力で避けるが明悟は左腕を思いっきり直撃ではないが斬られて、カナエは脚に刺さってしまう。

 

2人とも膝をついてしまう。

肆は笑顔を向けたまま2人を見ると笑顔を消す。

 

「よくも私の大事な坊やを・・・あんた達は死んでも許さない」

 

2人はそれに沈黙で答える。

2人は確かに悪鬼を殺した、しかし悪鬼にも愛する家族がいた。大事な人を奪ったと言う事実は事実。

本来の鬼殺隊ならば反論は出そうであるが2人には出なかった。

下弦の肆とかそう言うのは関係なく2人は肆から家族を奪ったのである。

 

しかし、それでも2人は戦う。

大義名分など興味の欠片もない。

2人が戦う理由は誰かを悲しませない為だけである。

その為なら2人とも悪党でも怪物でも畜生でもどう呼ばれてもかまわなかった。

だから2人は沈黙する。

立ち上がる2人。

 

「血鬼術 全身刃」

 

また来る刃の触手。

2人は何とかそれを斬っていくが手数で負けてしまい、何とかギリギリ防御するが弾き飛ばされてしまい、地面をゴロゴロと転がる2人。

あまりの強さに明悟は変身しようとする。

強すぎるし、何よりもこのままでは2人ともあの世に行く可能性が高い。ならば変身して嫌われても死んでもカナエだけは絶対に生かすそう覚悟して明悟は変身しようとする。

 

「明悟さん!」

 

がベルトを出そうとした瞬間にカナエが明悟を止める。

 

「カナエちゃん・・・」

 

「明悟さん、悔しいですが私だけでは絶対にあの人を倒せません」

 

「・・・・・」

 

「だから、明悟さんに私の命を預けても良いですか?・・・あの血鬼術は1人では捌くことも完全に防ぐ事も出来ませんが・・・」

 

「2人ならか・・・分かった。俺も君に命を預けるよ」

 

明悟はカナエの目を見てそう言い、変身せずに立ち上がる。

カナエも明悟の目を見て立ち上がる。

 

刀を構える2人。

 

肆はその2人を見て笑う。

片方は腕を負傷して刀を持つが力があまりの入ってない。

片方は脚を負傷して立つのもやっと。

これで逆転を狙う方がどだい無理な話である。

 

「死ね!血鬼術 全身刃!」

 

刃の触手が飛んでくる。

先程までと一緒だったら2人はまた吹き飛ばされていたであろう。

しかし、2人はそれを切り落としていく、先程とは違い互いに前に集中し、互いに互いの死角を警戒し攻撃を防御して守りながら2人は肆に向かっていく。

 

そして全てを切り落とし、肆に斬りかかるがカナエは足の負傷が響いたのか止まってしまい、明悟もそれに気づいて中途半端になり、肆はその隙をついて後ろに飛んで離れる。

 

(よし、これで回復して・・・)

 

「俺達をナメるな!」

 

明悟は肆にそう叫ぶと右手でカナエの手を掴み、回転していく。生身で出せるアギトの力を全て使って明悟はカナエを肆に向かって投げる。

猛スピードでカナエが肆に向かって飛んでくる。

肆はその事に対処できない。

 

「花の呼吸 壱の型改 超飛・花車!」

 

カナエが肆の首を切り落とした。

 

着地をミスりゴロゴロと転がるカナエは地面に落ちてきた肆の首と目が合う。

 

「絶対にあんた達を私は許さない。私から全てを奪った・・・」

 

「私達はあなた達を殺した罪から逃げるつもりはありません・・・最後に1つだけ聞いて良いですか?」

 

「何よ?あの方の事を喋る気は無いわよ」

 

「いえ、なんで弱くなってたのですか?」

 

その質問に肆は目を少しだけ開いて諦めたのか淡々と話した。前回戦った時はカナエも明悟ももっと手強いと感じていた。明らかに2人が強くなってるだけでなく、肆はどうみても強さが止まっていた。人を食べれば強くなり続ける鬼としては疑問が残る。

 

「私は特殊体質でね。人を食べれないんだよ。だから、坊やが血鬼術で人と木を融合させて木を食べてたんだよ。あの子がいたから私は強くなり、あの子を守る為に私は十二鬼月になった。あの方もそれを理解して私達の家族の繋がりは絶たないでくれた・・・それをあんた達は奪った・・・」

 

涙を流しながら話し怒る肆。

その姿は鬼とか人間とか関係なく1人の母親だった。1人の息子を愛していた母親の姿だった。

カナエは肆のその意志に罪悪感を感じるが鬼殺隊は決して鬼のやる事を許してはいけないし、カナエもその事を許すつもりは欠片もない。

罪悪感と鬼殺の意志のジレンマにカナエは涙を流す。

その涙を肆は確り見た。

 

「あんた、泣いてくれるのかい?」

 

「もっと、あなた達が罪を犯す前に会いたかったです」

 

カナエの言葉に肆は静かに答える。

 

「・・・・・何年ぶりかな?私に泣いてくれるのは・・・」

 

「それでも私はあなた達のやった事は許しません」

 

「涙を流しながら言うんじゃないよ・・・まさか、最後に斬られたのが鬼狩りの夫婦だったとはね」

 

「夫婦じゃないです」

 

「でもあいつ、絶対にあんたに気があると思うよ」

 

「・・・・」

 

肆の言葉にカナエは沈黙して、肆はそのまま灰になった。そしてカナエを投げた明悟が歩きながらやってきて、カナエに手を差し出す。

 

「大丈夫?」

 

「大丈夫ですよ」

 

「でも目が赤いよ」

 

明悟の言葉にカナエは大きく息を吸って吐く。

 

「別に良いじゃないですか、あの人の為に泣いたって」

 

「・・・・そうだね、立てるまで回復したら、この人とあの子の墓を作って弔おう・・・この母子も鬼に運命を狂わされた人だから」

 

明悟はそう言うと肆の着ていた鮮血に染まった着物を折り畳む。あの幼い鬼の時は十二鬼月である母親がいつ来るか分からず手を合わせるしか出来なかったが明悟は今回はキチンと墓を作る気でいる。

明悟は親との記憶がないから肆の怒りを心の底から理解していたかは自分でも疑問に思っているが、その罪から逃げる気なんて更々無かった。

 

カナエはその着物を折り畳んでる明悟の姿を確りと見ていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

●●●

それから1週間後、カナエは蝶屋敷にいた。

隣には岩柱の行冥やカナエのすぐ前に柱になった天元や他の柱達もいた。

 

「では、胡蝶カナエをこれより『花柱』に任命する」

 

「ありがとうございます」

 

まだ両目が見えてる耀哉にカナエは同じように肆を倒すのに貢献した明悟の事を聞こうと顔をあげるが、耀哉はその事に気づき、指を自分の口に当てる。

なんとなく事情があるのを察したカナエは明悟があまり鬼殺隊では評価されてない事に悲しくなった。

 

実際には柱任命の指令をアギトの力を理由に明悟が蹴って、次に位が高い甲で充分と言い、耀哉とまたそれで喧嘩しただけであるが・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

●●●

カナエが柱を襲名した事で宴会になる。

貴重で重要な位置に相応しい柱を任される事になったのだ景気づけとしての宴会である。

本来ならば明悟の時も催される筈だったがとてもそんなのをやる気はあの時の全柱にそれは無かった。

 

カナエが柱になった事で喜びと悲しみの両方を感じてる行冥はいつも以上に大泣きして酒を飲むが坊主なのが災いしたのか一口で倒れて隠が3人係りで自宅に送り、天元は最初の少しだけ参加して少し酔ってから自宅に帰った。まだ15歳のカナエは酒は飲まないでおこうとして飲まなかったが、行冥もいないし、付き合いもあるので行冥と天元が帰って宴会も終盤に差し掛かった時にあくまでも付き合いとして一杯だけ飲むが無茶苦茶酒に弱く、また倒れた。

 

カナエは酔ったので用意してもらった自宅に帰ろうと草履を履こうと玄関に行く。しのぶが任務でいないので

 

「カナエ様、大丈夫ですか?」

 

あまねがカナエを心配して聞く。

 

「大丈夫れすよ」

 

呂律が回ってないので明らかに大丈夫ではない。

すると、耀哉と喧嘩して起きながら今の今まで屋敷にいて晩御飯と風呂を貰った図々しい明悟が玄関にやってくる。

 

「あ、明悟さんだぁ」

 

「明らかに酔ってるね・・・」

 

「酔ってませんよ~」

 

「明悟様、カナエ様を自宅までお送りしてください。どうせ暇でしょ」

 

「あまねちゃん、相変わらず俺に対しては冷たいね」

 

「だって明悟様ですし・・・今更じゃないですか?」

 

「あや、そうだけどさぁ」

 

気軽に親しそうに軽口を言い合いながら話す明悟とあまね。それを見ていた酔っぱらいのカナエは黙って明悟の手を握る。

 

「どうしたんですか、花柱様」

 

意外に上下関係(自分が下な場合)は確りしてる明悟にカナエはじとっと睨む。

なんで睨まれてるか分からない明悟はその事に首を傾げるが、あまねはその理由が1発でわかった。

 

「ではお願いしますね」

 

あまねはそう言うと玄関を後にした。

 

「では、お屋敷までお送りしますよ」

 

あくまでも仕事として処理してる明悟にカナエは凄く不満であった。

草履を履く明悟にカナエはフラフラしながらも明悟と一緒に玄関を出て暫く歩く。

やがて屋敷も見えなくなり、カナエはまだ足の負傷が治りきっていないのか、足を抑える。

 

「大丈夫ですか?」

 

これまた、明悟は敬語で心配する。

何処までも他人行儀な明悟にカナエはイラッとしてその場に座る。

 

「・・・おんぶ・・・」

 

「は?」

 

「・・・おんぶして・・・いつもみたいに」

 

「いや、あれやったの1回だけで・・・」

 

「いいからやりなさい!」

 

怒鳴るカナエに明悟は言うことを聞き、カナエをおんぶする。

カナエは前の時とは違い、明悟の背中で思いっきり安心する。

 

「明悟さんの背中、暖かい」

 

「それはどういたしまして・・・花柱様」

 

「・・・カナエ・・・いつもみたいに」

 

「いや、でも・・・立場が上になったので」

 

「・・・明悟さんなら良いです・・・カナエじゃないとやだ」

 

「・・・・・カナエちゃん、男にそんなに甘えるのは危ないから止めた方が良いよ」

 

「私が誰に甘えようが明悟さんには関係ありません・・・」

 

「心配して言ってるのに」

 

「心配してもらわなくて良いですよ~」

 

「こりゃ、あまねちゃんが心配するのも無理ないな」

 

明悟から出たあまねの言葉にカナエは先程の親しそうな関係を思い出してなんとなくムカムカした。

 

「あまねちゃんって・・・随分親しそうですね」

 

「そりゃ・・・まぁ・・・」

 

耀哉とあまねとの関係を言って良いか迷う明悟は言葉を濁すがそれに対してまたカナエはムカムカする。

 

「あまね様は美人ですもんね」

 

「まぁ、美人で気前が良くて強いし、料理や家事類も無茶苦茶出来るけど・・・痛い痛い痛い!」

 

あまねを褒める明悟にカナエは耳を引っ張る。明悟としてはこれからあまねの問題点を言おうとしたのに凄く腹が立つ。

 

「ちょっとどうしたの!?俺なんかした?」

 

「知りません!」

 

「・・・もう・・・」

 

カナエを家に・・・蝶屋敷に運んだ明悟はカナエを下ろす。

 

「それじゃ、俺はこれで行くね」

 

去ろうとする明悟にカナエは手を掴んで止める。

 

「ん?」

 

「今、妹が居ないので・・・」

 

「だから?」

 

「朝まで一緒に居てください」

 

「はぁ!?」

 

「ダメですか?」

 

上目遣いで聞くカナエ。

明悟としては夜分遅くに女の家に男が入って尚且つ2人だけと言う状況が凄く嫌だった。

カナエは超がつくほどの美人。

明悟とて男。

ぶっちゃけるとその状況で我慢できる自信なんて微塵の欠片もなかった。

 

「俺、男で君は女性で夜遅くに2人だけ・・・これ以上は言わなくても分かるよね?」

 

「私・・・明悟さんなら良いですよ」

 

カナエの言葉を聞いて明悟は無理なりカナエの手を外す。普通の男なら完全に野獣になる。明悟も少し理性が飛びかけるがもしもやったら後々が大変な事になると爪楊枝並みの鋼鉄な理性で堪える。

 

「俺は酔ってる相手とは絶対にやらない」

 

明悟の明らかに拒絶した言葉にカナエは酔ってる頭を少し冷静にさせて諦める。

 

「そうですよね・・・すみません」

 

「全く、そんなのは酔ってるあまねちゃんでも言わないよ」

 

また出たあまねの言葉、しかも酔ってる時を知ってると言う明悟にカナエは明悟と耀哉とあまねの三角関係をまだ酔ってる頭で想像してしまう。

実際には、あまねは酔うとかなりドSで尚且つ手が早くなるのでそんな色っぽい事は一切言わずにストレスの主な原因である明悟を物理と言葉でボコボコにするので、単純に酔ってても言わないってだけなのだが、そんな事実を知らないカナエは想像を更に発展させてR-18なドロドロとした肉体関係プラス背徳的な三角関係と勘違いして、肉体的に繋がってる明悟とあまねを想像してしまう。

 

それに無茶苦茶腹が立ったカナエは無意識で明悟の頬を殴る。

殴られた明悟はぶっ飛び、地面を転がる。

明悟は突然やったカナエを睨むが今までで一番の睨みをするカナエに少しビビる。

 

「もう、明悟さんなんか知りません!女性にここまで言わして・・・2度とこんな事、明悟さんになんか言いませんからね!」

 

殴られた明悟にとっては理不尽でしかなく、カナエに対して怒りが出る。

 

「だからって殴るか!?此方だってごめんだよ!」

 

「言いましたね!?なら2度と言いませんし、明悟さんが求めてくるまで私はその気も出しませんし、絶対にそう思わせないですからね!」

 

「俺だって君みたいな暴力的な子に求めるか!!男はなぁ、優しくて逞しい子に本能的に求めるんだよ!」

 

明悟の言葉にカナエはおしとやかで優しく逞しいを地で行くあまねといちゃつく明悟をまた想像してしまう。

実際にはジャーマンスープレックスだったり、ヘッドロックされて命の危険性を感じてる明悟だったりするが、そんな事実を知らない上に酔って冷静では無くなったカナエは怒りを隠そうとはしない。

 

「明悟さんなんて、大嫌い!」

 

明悟もあまりにも理不尽すぎるカナエに怒りが止まらなくなる。

 

「こっちだって大嫌いだ!」

 

そのまま2人は喧嘩別れをして寝る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

●●●

翌朝、

 

「私のバカバカバカバカバカバカバカぁ!!!」

 

「俺のアホアホアホアホアホアホアホぉ!!!」

 

と同じように布団の上で冷静になった頭で昨晩の喧嘩を後悔してその下らなさすぎる内容に悶絶してる2人であった。

 

後日、互いに謝って仲直りしたが、ねる云々の件は両方とも言わず、変な関係になった2人であった。




はい、過去編というか花柱襲名の具体的な内容でしたが、最後の方はやっていいか疑問はまだ感じてますが私が面白ければ良しの精神でやってますので不快に思われたらすみません。

カナエが想像してしまった明悟と耀哉とあまねの三角関係ですが、実際に最初の1話か2話かを書いてた時は明悟とカナエの婚約関係なんて全く考えてなく、寧ろ明悟と耀哉とあまねの三角関係を書こうとしてましたが、どうやってもなんか耀哉が不遇すぎる展開にばっかりなってしまったので明悟とカナエの婚約関係になったのが真相です。浮気不倫ネタって実はあまり好きではなく三角関係は笑えるのは好きだったので、こうなりました。


この作品の酒乱ランキング
主に柱と耀哉&あまねプラス轆轤&零余子のランキングです。
悪い方ほど上です。

1位・・・あまね(手が早くなります)

2位・・・しのぶ(絡み酒です)

3位・・・蜜璃(笑いながら酒を更に勧めて来ます)

4位・・・零余子(やけに嫉妬深さを隠しません)

5位・・・義勇(くだを巻いて鬱陶しくなります。しかも口下手なので訳がわかりません)

6位・・・耀哉(ありがたい長い説教が始まります)

7位・・・杏寿郎(無茶苦茶うるさい)

8位・・・天元(お節介なおっさんと化します。本人も自覚してるので本格的になる前でキッパリとやめます)

9位・・・実弥(くだを巻きます。ただし静かだしまとも)

10位・・・無一郎(本来ならば飲んではいけません飲むと本能的に長男力のある人に抱きつきに行きます)

11位・・・轆轤(のろけます)

12位・・・行冥(寝ます。本来は一番下かと思いますが、これより下は普段との変化が本当にあまりない人です)

13位・・・明悟(少しだけ気が大きくなりますが冷静です)

14位・・・小芭内(酔いません)


このランキングはいつかネタにしたいですね。
皆さんは誰が酒乱だと思いますか?
因みにカナエは甘え上戸になります。

炭治郎と善逸と伊之助は飲むと寝るか煩くなるか酔わない位です。

酒に弱いキャラって良いと思いません?
※絶対にお酒は自分が責任を取れるとキチンと自覚できる状態で止めましょう。もしもそれ以上飲む場合は友達や恋人や家族などサポートしてくれる人と一緒に居てから飲むか自宅で1人の時に飲んでください。他人に迷惑を掛けてはお酒に失礼です。





批判感想質問は気軽に送ってください。
励みになります。




次回編の予告

「いいか!俺は神だ!」

音柱である天元の個人的な頼みを聞く明悟と捲き込まれた炭治郎と善逸と伊之助&禰豆子

彼等が向かった先は究極の風俗街、吉原だった。

「なんでお前らがいるんだ?」

「いやそれこっちの言い分だよ!」

そしてまた現れた轆轤と零余子。

深まる吉原に潜む謎。
そして戦いは大騒動に!

現れる十二鬼月の兄妹!

そして
「私の友達に手を出すな、女狐!」

混乱する戦い。
そして最悪の鬼が現れる。

「お前を殺す。カナエの仇だ」

「殺しじゃない。救済だ。それに彼女を殺したのは君だよ」

なぜ、明悟はカナエを殺したのか、
花柱胡蝶カナエ死亡の真実が明かされた時、明悟の怒りは灼熱の頂点へ

鬼滅の刃~太陽の化身~

【吉原灼熱編】

次週よりスタート!!

「俺が彼女を殺したのか・・・」

愛が呪いとなっても貴方は愛しますか?

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