鬼滅の刃~太陽の化身~   作:怪獣馬鹿

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何とか1週間には間に合いました!
次週からディケイドも捲き込んだ大正ビギンズが始まります。
ディケイド登場に投票してくれた方は勿論、反対を表明していた読者の方も納得できるような話にするつもりです。
それでは吉原灼熱編の最終話をどうぞ!


怒りの業火

童磨に対して炭治郎達が気合いを入れてる最中、明悟は氷の中で暗闇の中にいた。

周りは何もなく、ただただ暗い。

明悟は疲れて踞った。

カナエを殺した原因を作ったのは自分が居たからと明悟は自分を責めてる。

本人が居たら、絶対に否定してくるが、もう彼女は死んでいる。

“答えのない“苦しみに明悟は疲れていた。

 

「申し訳ありませんでした」

 

そんな中で誰かの謝る声が聞こえた。

明悟は声の方向に眼を向けるとそこには白い服の男が立っていた。

 

(誰だ?)

 

「無惨を助けたばかりに君や君の愛した人や友人達にこのような事をさせてしまい、本当に申し訳ありませんでした。けど、お願いします。無惨と戦って下さい。人のために・・・」

 

白い服の男が手を翳すと明悟の腰のベルトが白くなり、中央のオルタリングを守るように3本の爪が現れる。

そして白い服の男は消えた。

 

明悟は立ち上がりたくなかった。

愛してる人は死に、殺した者にはボコボコにされ、心が本当に折れていた。

それに彼女を殺したのは自分だと思うとどんな顔をして、どんな思いをすれば戦えるのかわからなかった。

 

「立ちなさい。光柱」

 

再び声が聞こえて、そっちを見るとそこにはカナエがいた。

 

「カナエちゃん、無理だ。俺はもう・・・」

 

「関係ありません。人の為に戦いなさい光柱 津上明悟。それが貴方への“罰“です」

 

カナエはそう言って消えていった。

本当の彼女ではない。

1人で立てなくなった明悟が作り出した幻である。

しかし、その苛烈な言葉は明悟を動かすのに充分だった。

 

「そうだな・・・人の為に全てを捧げないと・・・俺は君に会えないもんな・・・」

 

立ち上がる明悟。

しかし、その目はどこか空虚だった。

まるで“命“や“生きる“の意味を失ったかのようななにも感じさせない目だった。

 

明悟はカナエと幸せだった日々を思い出す。

初めて出会った時はただの同僚、そして誕生日を決めてくれて友達になり、喧嘩して嫌いになり、一緒に繋がり協力しあって仲間になり、共に十二鬼月を倒して大切な人になった。素直に好きだと言えずにボコボコにされて寝込んで、痺れを切らした彼女に先に言われ、情けなくも後から言い、恋人になり、そして子供が出来て結婚まで約束していた。

 

それを奪い、カナエだけでなく子供の命まで奪った童磨に怒りが出てくるが、1番怒りが出てくるのは身籠ったカナエを休ませずに意思を尊重して彼女を行かせて、自分はのうのうと気楽に他の任務に当たっていた“自分“だ。

あの時、あぁすれば良かった。こうすれば良かった。失った時にしか後悔は出ない。

それが大事なものであればあるほど永遠に続く。

 

怒りが溢れてくる。

それは炎になり、明悟の全身を包む。

地獄の業火のように熱く苦しい。

 

「アァァァァァァァァーー!!!」

 

しかし、明悟はこれは自分への罰なのだと受け入れる。

そしてアギトになり、アギトもまた炎に包まれる。

優しくも厳しく美しい太陽の光を彷彿させるとしてのアギトではない。

熱く苦しい地獄の業火のような炎により、アギトの姿はより熱くより強く、そしてより憎しみに染まり、無駄な物を省き、運動能力を極限まで上げたアギトの体が筋骨粒々になり、力だけを上げる。

それはより敵を叩き潰す事のみに特化したアギト。

クロスホーンが常時開き、体の装甲がマグマを彷彿させるほど赤くゴツなり、力をまだ上げようと体の装甲がひび割れるがギリギリで止まる。

腕には3本の爪が生えて、攻撃だけに特化した姿。

その名もアギト“バーニング“フォームである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

●●●

童磨を倒すと決めた炭治郎達は3人の上弦に苦戦していた。

零余子は堕姫の相手をして、炭治郎と善逸と伊之助は妓夫太郎を相手にし、天元と轆轤は童磨の相手をしていた。

 

しかし、状況は最悪の一言だった。

堕姫は妓夫太郎の登場により、より冷静により冷酷になり零余子を寄せ付けない程に強くなり、妓夫太郎も柱ではない炭治郎達が相手なので冷静に冷酷に対処していた。童磨に至っては天元と轆轤と言う現段階での最強コンビ相手に全く寄せ付けない程に強い。

 

「血鬼術 結晶ノ御子」

 

自身に似た氷人形を出して天元も轆轤もたかがそれ2体に苦戦していた。

能力的に見ても童磨とほぼ同じ強さを強さを誇る氷人形は脅威でしかなく、天元は爆弾で轆轤はトリニティの力で何とかしていた。

 

「凄いでしょ、この人形。俺と同じくらい強いんだ。血鬼術も使えるし、どう?もうそろそろ死んでくれる?」

 

「ふざけんな!」

 

「死ぬか、たわけ!」

 

口では反論しているが、2人はかなり不味い状況だった。

それだけではなく、零余子も堕姫に押され、炭治郎達も

妓夫太郎の鎌の毒にやられて徐々に動きにくくなってくる。呼吸のお蔭で動けてるが炭治郎達はいつも以上に疲れていた。

そのせいで避けれた斬撃を喰らって毒が更に進行する。

 

「全員、1ヶ所に集まれ、このままだと全滅するぞ!」

 

天元の声を元に全員氷付けにされた明悟の元に集まる。

 

「逃がすかよ」

 

妓夫太郎が両手の鎌で斬りかかるが天元と轆轤がその鎌を刀とアックスで受け止める。

 

「零余子!」

 

零余子がクロスホーンを開いて脚に光を集めてがら空きの妓夫太郎の顔面に飛び蹴りを放つ。やられた妓夫太郎は顔面が吹き飛ばされる。

そのまま、零余子は空中で体を一回転して妓夫太郎の首がなくなった体に蹴りを放ちぶっ飛ばす。

 

「お兄ちゃん!」

 

堕姫が妓夫太郎に駆け寄るが妓夫太郎は首を生やしてすぐに甦る。

 

「大丈夫だから、心配するな。お前じゃねぇだけマシだろ?」

 

「でも・・・」

 

「安心しろ、絶対にお前だけは守るから」

 

炭治郎は堕姫と妓夫太郎の行動にますます自分と弟妹達との日常を重ねる。

それでも刀を構えるが妓夫太郎や堕姫に対して炭治郎の刀は覇気を喪いつつあったが2人のやった所業を思い出し、活を入れ直す。

 

「血鬼術 結晶ノ御子」

 

童磨が人形を更に増やし、その数は驚愕の50体。

圧倒的な量だった。

炭治郎や零余子だけでなく、天元や轆轤も生きた心地がしない。

 

「どうせ、彼は食べるし、もう色々と君達の事わかったし、無惨様から殺せって言われてるし、君達は全員氷付けにして殺してから食べる事にするよ」

 

笑顔で狂ってる言葉を放つ童磨。

しかもこの言葉が言ってるだけとしか思えないほどに軽く、十二鬼月である妓夫太郎も童磨の言動を内心ドン引きしていた。

 

「やっちゃえ!!」

 

妹の堕姫は喜んで応援しており、妓夫太郎はこれはこれでありかと無理矢理納得する事にした。

 

「じゃ、バイバイ」

 

指パッチンをして人形に合図する童磨。

 

「絶対に生きるぞ!」

 

天元が活を入れて全員、内心もう一度覇気を込めるがそれで覆せる戦力差ではなく、全員が死を覚悟して最後まで足掻こうと向かってくる人形が生み出した大量の氷雪に対して構える。

 

しかし、その時に変化が訪れた。

まず真っ先に気づいたのは明悟の力の変化に感じ取った轆轤。

そしてその音に天元が気付き、少し遅れて善逸も気づく。

零余子も力の変化に気付き、伊之助も感覚でわかり、最後に炭治郎が匂いで気づいた。

全員が後ろにあった明悟を見ると氷が溶けていた。

 

「全員伏せろ!」

 

天元の言葉に全員が伏せる。

すると全員の頭の上を火炎が通りすぎて、血鬼術ごと氷の人形を蒸発させた。

 

手間取った存在が一瞬で消滅した事に天元は頼もしさ通り越して恐ろしさすら感じ始める。

そして火炎を出した筈の明悟を見ると今までとは変わっていた。

 

とてつもなく熱く燃えてまるで全てを焼き付くすかのような存在“バーニングフォーム“になっていた。

 

「津上・・・」

 

明悟の姿に天元だけでなく、全員が畏怖を感じる。

 

「アァァァァァァァァーーーー!!!」

 

慟哭する明悟。

まだ残ってた人形が近距離、遠距離関係なく血鬼術を放ちながら明悟に向かってくる。

明悟は迫ってくる人形を炎を纏った拳で1体につき1発で沈める。

 

明悟はベルトから新たな武器“シャイニングカリバー“を出現させる。

S字形のエマージュモードから一直線に伸ばした薙刀状のシングルモードに変える。

 

そして炎を纏った刃で人形を斬りまくる。

いつものフレイムフォームように無駄な動きをせずに相手を斬り倒すのではなく、感情に身を任せて徹底的に殲滅するような荒々しい動きをする。

そのせいで、血鬼術が何十回も当たるがそんな事は全く気にせずに攻撃しまくる。

炎が周りの女郎屋に移ろうがお構いなしだ。

 

鬼を殲滅するだけのアギト。

 

人を守るのではなく、人の変わりに鬼を殲滅するアギト。

 

近距離で迫ってくる人形を殲滅すると、明悟は遠距離から血鬼術を撃ちまくってる人形を見る。

カリバーを折り畳む。

そしてS字形のエマージュモードから完全な円形のサーキュロスモードに変形させる。

 

円形になったカリバーを投げると炎を纏いながら、人形を破壊していき、そしてガンガンガンと周りにぶつかって明悟の手に戻ってくる。

 

50体ほどいた人形は明悟の圧倒的なまでの強さに物の数分で全滅した。

 

童磨、妓夫太郎、堕姫が明悟と対面する。

 

妓夫太郎は明悟に対してある種の緊張を持って冷静に対処しようと考えて構えるが、童磨や堕姫は違った。

堕姫は明悟の圧倒的な強さを見せても侮り、下に見てる。零余子や轆轤が童磨や自分には優勢に立てなかった故にそう見てる。

明悟に関する事以外、何も感じない童磨はより進化した明悟に夢中だった。

 

「凄いね。まさか俺の御子を一瞬で片付けるなんて、君はやっぱり最高だ!」

 

明悟は童磨に向かっていく。

童磨は氷で、堕姫は帯で、妓夫太郎は飛び血鎌で明悟に攻撃するが、氷は素手で粉砕され、飛び血鎌はシングルモードになったカリバーで消し炭になり、帯は掴まれる。

炎が帯から堕姫に伝達し、燃える。

堕姫は“生前に燃やされた記憶“が甦り、想像以上に苦しむ。

 

「梅!」

 

妓夫太郎が生前の名前で堕姫を呼ぶ。

この兄妹は2人とも首を斬られなければ死なない。

両方とも首と胴体が離れなければ死ぬことはない。

だから、堕姫は死なない。

故に燃やされた記憶が甦り、脳が遮断したくても“不死身“ゆえに出来ない。

再生しようにもアギトの鬼を殺す火なので上手くいかない。

それは想像以上に苦しく、堕姫は地面を転がる。

妓夫太郎が堕姫を落ち着かせて冷静に回復させようと抱き締めるが妓夫太郎にまで燃え移り、苦しむ。

 

「血鬼術 霧氷・睡蓮菩薩」

 

童磨が最大級の血鬼術から発せられる冷気で炎を消火する。妓夫太郎が童磨に感謝の顔をするが童磨は妓夫太郎を全く見ないし、気にもしてない。

童磨にとっては折角の明悟との戦いを外野が邪魔しないようにしただけである。

妓夫太郎は童磨から発する無言の“邪魔“と言う感情を無表情の顔から読み取り、怯えきっている堕姫を連れて離れる。

 

「やるねぇ、君は本当に最高だよ」

 

明悟が一気につめてカリバーを童磨に振りかざす。童磨も鉄扇で受け止めるが、カリバーの持つ熱に鉄扇が耐えきれずに斬られる。体を斬られる前に童磨は避けて新しい別の鉄扇を懐から出す。

 

「血鬼術 枯園垂り」

 

鉄扇に絶対零度の冷気を纏って攻撃する。

明悟はカリバーで受けようとせずにそのまま自分も攻撃する。

手数の多さは童磨が圧倒しており、明悟は完全に手数では負けていたが、あまりの頑丈さに童磨の攻撃はあまり効いてなかった。

 

「ウォォォォォ!!!」

 

明悟は右手に炎を込めて童磨の腹を殴る。

拳は童磨の体を貫く。

アギトの光の力に流石の童磨も血ヘドを吐く。

 

「ハハハ、本当にやるねぇ。でもそれで俺は殺せないよ!」

 

明悟の右腕で1番装甲が薄い肘に鉄扇を挟み込む童磨。

 

そして、明悟の右腕は肘から先が切り放された。

 

右腕の切られた断面から血が吹き出す明悟。

苦しみカリバーを落として右二の腕を左手で全力で握り絞める。

童磨はその隙にまだ刺さってた明悟の右腕の肘から先を体から抜き出して捨てる。

 

「惜しかったね」

 

体に空いた風穴を修復する童磨。

しかし、アギトの力の影響かなかなか回復しない。

明悟は右腕を切られた痛みで叫び声を上げる。

 

「アァァァァァァァァ!!!」

 

叫び声を上げ続ける明悟。

やがてそれも収まる。

すると切られた右腕の断面からまた新しい右手が“生えてきた“。

あまりにも壮絶な回復能力。

それは“鬼の回復“と似ていた。

炭治郎達はその回復に言葉を喪い、童磨は嗤う。

 

「なんだ、凄い回復じゃないか。まるで鬼みたいにね!」

 

叫ぶ童磨を殴る明悟。

明悟からは怒りとも悲しみともつかない慟哭が童磨からは喜びの嗤いが出る。

 

「ハハハ、人間以上の力を得る力。姿は人間ではなく異形。そして怪物のような回復能力。“いったい君と鬼の何が違うんだ!?“」

 

「アァァァァァァァァ!!!」

 

「鬼神のごとき力に異常な能力。冷静に考えれば鬼と似てるね」

 

殴り続ける明悟。

童磨の顔面を袋叩きにして無理矢理口を塞ぐ。

 

(血鬼術 霧氷・睡蓮菩薩)

 

童磨の最大の菩薩がまた姿を現して童磨の上に馬乗りになって殴ってた明悟をぶん殴る。

氷の力はバーニングには全く効かなかったが、衝撃までは耐えきれずに吹き飛ばされる。

すぐに起き上がり、手を翳す。

地面に落ちてたカリバーが意思を持ったかのように明悟の手に戻る。

 

童磨もまた鉄扇を持って立ち上がる。

 

「ハハハハハハハハハハハハハハハ!!!」

 

「アァァァァァァァァァァァァァァ!!!」

 

慟哭と嗤いが吉原に響き渡り、互いに相手を殺そうと自分の得物を振りかざしながら、走り合う。

いざ、始まろうとした瞬間。

 

ベベン!

 

突如、琵琶の音が鳴り響き、童磨と妓夫太郎や堕姫が突然現れた障子の中に入れられる。

 

「もう終わりか・・・残念」

 

最後に童磨の惜しむ声が聞こえて、3人の上弦は消えた。

童磨が急に消えてカリバーが空を切る明悟。

しかし、叫びを止めずにまだ“何もない“空中を切り続ける明悟。

 

「どこだ・・・アイツはどこだ!?」

 

「アイツはもういねぇ!」

 

暴れる明悟に天元はそう言う。

明悟は体を止めて天元を見る。

見られた天元は首を横に振る。

 

明悟は何があったのか悟った。

仕留めきれなかった。

それどころか戦闘を思い出し、自分の見せた超回復が恐ろしくなる。

愛する人を殺した敵を殺せず、考えないようにしていた自分と鬼との似てる超常的な力。

 

「アァァァァァァァァ!!!」

 

精神がズタボロになった明悟はその場で踞り、叫んだ。

上弦3人を相手に生き残った彼ら。

鬼殺隊の長い歴史を見れば充分に勝利である。

しかし、この状況は“勝利とは程遠かった“。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

●●●

 

暗闇の中に白い服の男はいた。

 

「すまない・・・本当にすまない・・・赦してくれ、津上明悟・・・無惨を作った事を・・・・君をアギトにした事を・・・」

 

暗闇の中で男は謝罪した。

 

“誰もいない暗闇の中で“

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

●●●

無限城で、無惨はイライラしていた。

上弦の猗窩座が列車でアギトだけでなく柱すら殺せずに帰って来て、3人の上弦が居たにも関わらずに撤退をせざるを得なかった。

童磨達を戻したのは無惨が鳴女にさせた。

何故なら、どう考えても“負けはしないが勝ちも出来ない“相手に戦う意義など存在しないからである。

ここ最近の上弦の鬼の戦績にイライラしていた。

そして十二鬼月の上弦を全員集めていた。

 

壱の黒死牟

 

弐の童磨

 

惨の猗窩座

 

肆の半天狗

 

伍の玉壺

 

陸の妓夫太郎と堕姫

 

そうそうたる顔触れだが、無惨に取ってみれば将棋の駒でしかない。

 

「貴様ら、何故アギトなる塵を掃除できない?私は今、不機嫌の極みにいるぞ。殺せ」

 

上弦の7人を威圧する無惨。

黒死牟は沈黙し、童磨は嗤い、猗窩座も沈黙し、半天狗は許しをこい、玉壺は震え、妓夫太郎は怯えてる堕姫を安心させようと抱きしめていた。

 

 

「考えれば考えるほど鬼殺隊は異常だ。自分は生きてるのにやれ家族を殺された、友を殺されたと叫びながら、殺してくる。自分が生きてるのだからそれで良いのに、何故にそうも死にたがるのか理解不能だ。あの“わけのわからん事を叫びながら殺そうとする変態“どもをさっさと殲滅させろ。膿は早く除去するのに限る。なのに何故できない?一体何時になれば産屋敷を見つけて殺すのだ?・・・それだけならまだしも私が求める“青い彼岸花“はいつ見つける?あれがあれば完全に太陽を克服できる筈なのに何時になったら見つけるのだ?・・・殺しも出来ずにお使いも出来ない・・・何の為に貴様らを十二鬼月の上弦という地位に加えた?このままでは名前だけ無駄に豪華な潰れかけの店だ。私は待つのに疲れてきたぞ・・・おまけにアギトなる化け物も出て来て苦痛の極みだ」

 

長々しく何とも自分の問題点は棚上げして愚痴を言いまくる無惨。

 

すると手を叩く音が聞こえる。

無惨は今手を叩いてるゴミを永遠に掃除しようと全員の思考を読み取るが誰一人拍手はしていたかった。

 

「何?」

 

無惨の横に灰色のオーロラが現れる。

突然の事に無惨は固まり、上弦はどうするべきか悩む。

 

「いやいや、失敬失敬。中々な怒りですね」

 

オーロラから現れてくる白い服を来た神父に無惨は問答無用で肉傀で喰おうとするが神父は紫と白の異形に姿を変えてそれを吹き飛ばす。

 

「何?」

 

「手荒い歓迎ですが、まぁ良いでしょう。デモンストレーションには完璧ですから」

 

「貴様、何者だ?」

 

「神父ですよ。但し、望みを叶える神父ですが」

 

「胡散臭い者がこの私に近づくな」

 

「まぁまぁ、そう仰らずに私にかかればその異常な連中を殺せますよ。永遠に」

 

「何?」

 

「私とこの者にかかれば」

 

灰色のオーロラの中からもう一人出てくる。

その存在は蛇柄のジャケットを着ていて、上弦の誰よりも獰猛な目付きをしていた。

 

「私とこの“浅倉威“にかかればね」

 

無惨は浅倉を見る。

どこからどう見ても人間だ。

だか、元来の臆病な無惨の本質は浅倉から逃げろと訴えかけていた。

 

「ここか、新しい祭りの場所は?」

 

狂喜の笑みと言うに相応しい笑みを無惨に向ける浅倉。

無惨は顔を歪め、神父と浅倉は嗤う。

 

2人の“人間“の“嗤い“が無限城に響き渡る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

●●●

産屋敷に近い森の中。

灰色のオーロラが現れて2人の男が出てくる。

門矢士と海東大樹だ。

 

「海東・・・本当にこの世界のアイツらは来てるんだろうな?」

 

「間違いないよ・・・この世界に来てる」

 

「なら、急いで探しだして倒すぞ」

 

「当たり前だよ」

 

士は大樹を睨む。

 

「言っとくが、今回は完璧に俺じゃなくてお前のせいだからな。1号からライダーの中で1番盗みが上手いのにまたまた盗まれたお前のな」

 

士の言葉に大樹は肩をすくめる。

ため息を吐く士。

すると士と大樹の格好が変わる。

それは鬼殺隊の隠の姿になっていた。

 

「また黒子かよ」

 

「なんで、僕まで・・・」

 

「良いから、さっさと行くぞ」

 

「はいはい」

 

そう言って2人は森の中から見えていた産屋敷に向かっていく。

 

何故、彼らは現れたのか。

そしてこの戦いはどこに向かうのか。

まだ誰も知らなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

次回、新章開幕!




はい!
大正ビギンズのラスボスは上弦ではなく、もう登場したイライラしてる人と神父がやります。
因みにこの2人がなぜディケイド達に追われてるのかは次回かその次に書きますので感想で求められても答える事は出来ませんのでご容赦下さい。

3話から5話くらいで完結する見込みなのでどうか宜しくお願いします。
この大正ビギンズでは、お祭り要素の上述の事だけでなく、明悟とカナエの関係やカナエとしのぶの関係、そして今作では今まで謎というか何も提示してこなかった“アギトに変身できる明悟は何者?“と言う所まで書きます。

・・・あれ?重要要素だらけ・・・お祭りなのに・・・




大正ビギンズの主題歌は何にしましょうかね?(このアンケートはあくまでも読者の皆様に読んでる時にBGMとして聞いてほしいと思う曲を選ぶ物です。1番多い物はビギンズか終わり次第、章の名前に付け加えます)

  • ONE WORLD
  • Bright our future
  • 事件だッ!
  • Be the one
  • 我ら思う、ゆえに我らあり

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