個別に返信するのが難しいですが励みになります。
では、駄文ですがどうぞ。
数日間の基礎訓練を終え、訓練の一環として多数の冒険者が潜るオルクス大迷宮に来ていた。
その基礎訓練中だけでも様々な事があった。
まず、小悪党組の檜山達の増長だ。
日本では法による処罰などが明文化されていたがこの世界では勇者一行の仲間という事である種の特権階級となった事もあり、更に魔法と言う能力を手に入れたのだ。
人間、手に入れた力は使ってみたくなるのが当然とでも言うかの様に檜山はその力を行使してハジメをリンチした。
騒ぎを聞いて駆けつけた勇者(笑)の天之河だが・・・どこをどう解釈したらその考えになるのか檜山達はハジメに強くなって欲しいと訓練をしてくれていただけだから感謝するべきだし、むしろ弱い自分が恥ずかしくないのかと見当違いの説教まで始める始末。
これには香織と雫もドン引きしたらしい。
らしいと言うのは、その時武一は自身のアーティファクトの使い方を考え試行錯誤していた時であり現場に居合わせなかったのだった。
結局アーティファクトの使い方は不明であり、しかし身に付ける物なのでそれを着込み今日ここに来た。
その格好を見たハジメからはSFみたいな格好だと言われたが使い方が不明なのだから仕方がない。
唯一現在使えるのはメット部分のフェイスシールドにまるでレーダーの様に自身を中心として青や白の光点で人の位置が表示されているのだ。
とは言え、いつもそれでは息苦しく街中や道中ではフェイスシールドを上げている。
最初は迷宮と聞いた時は荒地に迷宮の入り口があると勝手に想像していたが意外な事に入り口は巨大な門が築かれ、宿場や食堂が軒を連ねている。
中には土産物屋まであり、一種の観光地の側面もある様に感じる。
迷宮内では訓練の為に順番で魔物を倒して行く。
最初の魔物を仲間が倒した際、魔物の死骸の場所に奇妙な物がPOPした。
肉眼では見えないがフェイスシールドを下ろすとAR(拡張現実)でそれは表示された。
〝ARMOR〟と白字で書かれた小型の真っ赤なコンテナの様な物でレーダー上では緑の光点が表示される。
試しにそれに触れるとそれは消える。
周りから見れば魔物の死骸の上の何もない空間に手を伸ばしているかの様に見えている為に変な目でクラスメイトから見られている。
少し赤面しつつもふとステータスプレートを見る。
アーマーの項目が1に増加している。
訓練で魔物を倒すとそれは現れ、どうやら身体の何処でも触れればアーマー値が上昇する事が分かった。
そしてアーマー値が上昇するとダメージが軽減される事が分かった。
最初は魔物の攻撃を受け止めるだけでも腕が痺れていたがそれが軽減されている。
時折アーマーとは違うサイコロの様な白いコンテナがPOPし、入手するとダメージを負った際に減少するアーマー値が一定割合で回復する。
これには二種類あり、もう一つは2つの白いコンテナが連結した様な形状に〝First Aid〟と書かれている事から仕組みはわからないがアーマーの応急処置をする物だろうか?
自分にしか見えないこと以外にもう一つ分かったことといえば、他の人物が触れても消えない事からどうやら自分専用のPOPアイテムに思える。
ともあれ、セコい様だが仲間が魔物を倒してアイテムがPOPするたびに回収し少しずつだがアーマー値を上昇させる。
魔物の強さによってPOPするアイテム数に変化があるらしく、第一階層ではPOPしても1つだった物が目的地の二十階層目前では一匹あたり2、3のアイテムがPOPしている。
とは言え、現時点での自分の武器は剣のみで相変わらずアーティファクトの使用方法が分からない。
と言うか、これは本当にアーティファクトなのだろうか?
このヘルメットもARで表示がされることといい、機械的な感じがある。
そして目的地の二十階層。
ロックマウントと言う名の魔物に対して勇者(笑)が大技を繰り出した。
狭い空間での威力のある攻撃を繰り出しメルドに鉄拳を喰らう勇者(笑)。
「なぁ、ハジメ」
「うん?何かな?」
「お前、ゴブリ○スレイヤー見たことあるか?」
「一応、原作含めて一通りは」
「勇者(笑)の奴、第一話で狭い洞窟の中で後先考えずに長剣振り回してやられた奴になんか似てね?」
「ああ、うん、確かに。と言うか、勇者(笑)って天之河君の事だよね?そっちの方が言い難くない?」
「そうでもない」
と、ハジメと小声で雑談をしていいる時だった。
香織が何かに気付き、全員がその場所を見る。
勇者(笑)の攻撃の余波で崩れた岩壁の中に宝石の様な何かが見えた。
「ほぉ、あれはグランツ鉱石だな」
メルドがそれを見て答え、どの様な鉱石なのかを簡単に説明してくれた。
「じゃあ、俺達で回収してやろうぜ!」
何故か檜山が器用に崩れた岩壁をよじ登る。
「お、おい待て!まだ安全確認が出来てないぞ!」
メルドが檜山を制止しようとするが。
「だ、団長!トラップです!!」
「何!?」
罠の有無を確認する魔道具でグランツ鉱石を観測していた騎士団員が顔色を変え、慌てた様子で報告する。
「戻れ!それは罠だ!!」
しかし一瞬遅く、グランツ鉱石に仕掛けられたトラップは作動してしまった。
奇妙な浮遊感を感じ、直後に重力がお仕事をし思わず尻餅を作る。
「総員、警戒を怠るな!状況を確認する!」
メルドと部下の騎士団員はは流石と言うべきか、すぐに立ち上がり周囲を確認する。
広大な地下空間に作られた長大な石造りの橋の上。
底の方は全く見えず、まさに奈落が口を開けて哀れな犠牲者を待っているかの様に思える。
パッと。
レーダーに多数の真っ赤な光点が出現しそちらを見る。
無数の骸骨の魔物に・・・・
「まさか、ベヒモスなのか・・・!?」
メルドの珍しく緊迫した声がした。
うん、無理。
即座に脳が理解した。
今の自分ではあれに太刀打ち出来ないどころかメルド達でも事前の準備なくあの敵の群れとパニックに陥っているクラスメイト達を守りながら戦うのは無理だろう。
メルドも同じ考えだったのか、即座に自分達が足止めをしている間にクラスメイト達への撤退指示を出す。
お言葉に甘えてと逃げようとするが・・・。
「俺も戦います!」
と、空気の読めない勇者(笑)が言い出した。
思わず顔が引き攣った。
それは映画なら思いっきりの死亡フラグどころか下手をしたら全滅フラグである。
今の勇者(笑)は騎士団にとって足手纏いにしかならないであろう。
騎士団とメルドは撤退戦で時間を稼ぎ、ベヒモス達を撒いた後にクラスメイト達を安全なオルクス大迷宮の外まで連れて行かなければならないのだから。
メルドは撤退しろと怒鳴り、勇者(笑)は戦うと言って聞かない。
意外にも、そんな状況を打破したのは気弱なハジメだった。
未だパニックに陥っているクラスメイトを纏められるのは無駄にカリスマのある勇者(笑)だけだと言い放った。
(おお、言う時は言うな意外だ)
思わずハジメに感心する。
そしてハジメが敵を足止めする手段を考え付き、それをメルドに提案する。
それはハジメの錬成を使用した足止め作戦。
メルドは未だ訓練の段階のハジメを一番危険な任務に就かせると言う事実に己の力不足を痛感するが今はそれしかないと即座に判断を下す。
「念の為に俺がハジメの護衛をします!」
「武一!?・・・・言い争っている時間はないか・・・!分かった!二人とも行け!」
メルドの許可の元、ハジメと共に駆け出す。
「ハジメ!思いっきりやれ!近づいてきた奴は俺がなんとかする!!」
「うん!でも武一君も無理しないで!錬成!」
ハジメの錬成発動と共にベヒモスの下半身がハジメの錬成によって変化した橋の一部によって妨害される。
「頭良いなハジメ!」
ベヒモスと比べれば雑魚のトラウムソルジャーだが今の自分には大敵だ。
まるで獣に対する威嚇をする様に大きな声や襲い掛かるフリをする俺は側から見れば滑稽な姿だが・・・。
まるで永遠とも思える時間だった。
メルドからもう足止めの必要はないと合図を受け、ハジメと頷き合うと一斉に駆け出す。
同時にすぐ退避できる状態になったクラスメイト達が魔法を放ち後ろに迫っていたトラウムソルジャーとベヒモスに炸裂する。
対してダメージは無いが一時的な足止めにはなる。
再び魔法が放たれ・・・
パッと
味方の中の青い光点の一つが敵を表す赤い光点に変化した。
「何!?」
突然の事態に思わず声を上げる。
何が起きたのかすぐに理解した。
魔法の一つが角度を変え、俺のすぐ後ろを走っていたハジメを吹き飛ばした。
ハジメも突然何が起きたのかわからない様だがすぐに立ち上がろうとする。
グラグラとハジメの足元が揺れる。
先程の魔法が橋にダメージを与えたのかハジメの足元が崩落を始めた。
「ハジメ走れ!崩れるぞ!」
その声に全力疾走するハジメだが、一足遅かった。
「うわああぁっ!?」
崩落に巻き込まれ、ハジメの身体が重力に引かれる。
「させるか!」
ガシッとハジメの腕を掴む。
「ハジメ!絶対離すなよ!どこかに足を掛けられそうな出っ張りとかないか!?」
「な、無いよ!」
「くそっ!」
目の前の赤い光点の塊が再びじりじりと近付いて来る。
そして相変わらず、味方の中の青い光点の一団の中に赤い光点が一つある。
再び魔法が放たれ、檜山がニヤリと笑った様に見えた。
(あの位置・・・やっぱり檜山か!!)
確信と同時に再び魔法が急に角度を変える。
(くそっ!助かるにはハジメを見捨てるしか方法がない・・・出来るかんな事!)
最後の悪足掻きとばかりに渾身の力を振り絞りハジメを引き揚げようとするが悪足掻きは結局は悪足掻きだった。
奇妙な落下感の後、頭上に崩れて行くついさっきまで自分とハジメのいた橋が見える。
手は既にハジメと離れ離れになり、崩落した瓦礫が周囲を共に落下している。
(ああ、手ぇ放しちまった・・・ハジメ、俺が見捨てたと思ってるかな・・・?)
そう考えながら意識を手放した。