HPに極振りの吟遊詩人になったら、別ゲーになりました。   作:涙姫

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4月から学校だったのが5月になって、「春休みが長い」のが嬉しい、と思うと同時に「夏休みが消えてるのでは」と考えて悲しくなる。


HP極振りの日常

「うぅううう…」

 

『落ち着けって、な?』

 

「だってぇ~!」

 

まぁそうなるのも仕方ないよな…』

 

「だって!運営からいきなりメッセージ来たと思ったらまさかの依頼って何!?

詐欺かと思って問い合わせしたら返答が来て、余計に混乱したんだけど!」

 

『第一回イベントで2位でずっと歌ってたからな』

 

「しかもコッソリ混ぜたオリジナル楽曲バッチリ指摘されてたし!」

 

『そんなのも歌ってたのかよ』

 

「別にいいじゃん!でもこんなの来るとは思ってないもん!」

 

『で、その話受けるのか?』

 

「考えちゅ~う…一応考える時間は用意してくれてるんだよね…」

 

『そうか、まぁ好きなようにやればいいんじゃねぇか?』

 

「なんて無責任な。

まずお兄ちゃんが誘ってなきゃ、私やってないんですけど~?」

 

『ていわれてもな…』

 

「もう目立たなきゃ良かったのかもしれない。今からでも間に合わないかな…」

 

『それはもう多分無理だぞ?』

(ファンクラブまでできてるからな)

 

「うぅ…」

 

『まぁじっくり考えればいいんじゃないか?

別に運営も強制ってわけもないんだろ?』

 

「…うん、とりあえずじっくり考えてみる。

楽曲もし思い浮かんだら運営に送ろっと」

 

『それでいいと思うぞ』

 

「りょ~か~い」

 

 

『お前、明日も学校だろ?宿題終わってるのか?』

 

「ぼっち舐めちゃダメだよ~?

そんなのほとんど休み時間に終わらせて、帰ってすぐ終わっちゃってるよ~」

 

『それってつまり会話する相手のいない、寂しい奴だよな』

 

「うるせぃや~い。

でももう寝るね、おやすみ~」

 

『あぁ、おやすみ』

 

 

ピッ♪

 

 

「はぁ、現実もゲームみたいに楽しければいいのになぁ…」

 

 

_____________________

 

そうして翌日、しっかりと制服を着て、伊達眼鏡をかけて長い髪を2本の三つ編みおさげにする。

 

「おはようのオーディションして 髪型もバッチリOK

金曜日は頑張らなきゃ だって2日会えないからね」

 

「十和~!そろそろ時間よ~?」

 

「は~い!いってきま~す!」

 

 

 

〔学校〕

 

ガラッ

 

「おはよ~ございま~す…」

 

 

「それでさ~!」

「えぇ~!うっそ~!」

 

 

「えっと…」

 

「…あ、藍坂さんごめんね!」

 

「あ、い、いえ、荷物置きたいだけなので」

 

「そうなの?」

 

「………」コクリ

 

 

キーンコーンカーンコーン♪

 

 

「あ、でもチャイム鳴っちゃったからいいよ。

じゃあ楓、続きはまた後でね」

 

「うん!」

 

 

「………」

ガタッ

(いいな~

あんな楽しく会話ができる友達ほしい。

そして私は誰も話す相手いないからやっぱり暇だ。

話しかけて嫌がられても嫌だからな。)

 

 

ガラッ

 

「皆さんおはようございます。今日は__」

 

 

 

 

〔休み時間〕

 

「それでね~!」

「へぇ~!」

 

 

「………」

(宿題、さっきの授業はなかったし、どうしよっかな。

そういえば、カバンの中に確か入れて__

__あ、あったあった)

 

 

そうしてカバンから取り出したのは裁縫道具といくつかの形に切られたフェルトと綿。

裁縫道具からフェルトの色にあった糸を取り出し、針に糸を通してフェルト同士を縫い合わせていく。

 

 

「………」チクチク

 

「じー」

 

「………」チクチク

 

「じーー」

 

「………」チクチク

 

「じーーー」

 

 

(なんでだろう。見られてる気がする。

いや気がするじゃない。

すっごい見られてる。)

 

視線を感じながら、少しの隙間を残して縫い合わせ、裏返して綿を詰める。

最後に残った隙間を縫う。

 

 

「よし」

 

「すっごーい!!」

 

「!?あ、あの、本条さんどうかしました?」

 

「これウサギさんだよね!」

 

「え、あ、はい。

ゲームに出てくる『アルミラージ』ってウサギさんに似たモンスターですけど…」

 

「もしかしてそのゲームって、『New World Online』?」

 

「………」コクコク

 

「藍坂さんもしてたんだ!」

 

「ってことは、本条さんも?」

 

「うん!私、メイプルって名前でゲームしてるんだ!」

 

「へぇ!メイプル…

……メイプルさん!?」

 

「!?え、藍坂さんどうかした?」

 

「えっと一応確認ですが、メイプルさんって第一回イベントで3位のメイプルさんですか?」

 

「うん、合ってるよ?」

 

(メイプルさんと本条さんの見た目似てるな…と思ったらまさか本人だったとは…)

 

「良かったら藍坂さんもゲームでの名前教えて?」

 

「えっと、エテルノです」

 

「エテルノね………え、エテルノさん!?」

 

 

「どうかしたの、楓?」

 

「あ、理沙!あのね!藍坂さんも『New World Online』してたの!」

 

「え、そうなの?」

 

「………」コクコクコク

 

「しかも理沙に話したと思うけど、初日にアドバイスをしてくれた人だった!」

 

「へぇ~!」

 

「アドバイスといっても、私も手探り状態だったので…何とも言えませんが…」

 

「そうなんだ」

 

「あ、藍坂さんも良かったら時間合わせて一緒にやらない?

理沙、今日からゲームできることになったんだ!」

 

「え、私もいいんですか?」

 

「もっちろん!ゲームはみんなでやるのが楽しいからね!」

 

「楓がいいなら、私もそれでいいよ」

 

「あ、ありがとうございます!」

(学校でゲーム仲間できたよ!お兄ちゃん!

3位でしかもゲームで会ったことある人だから、びっくりだけど!!!)




メイプルとサリー(現実)登場の巻。
実は書き始める前から絡ませる予定でした。


【今回出てきたセリフの豆知識】
今回はこれといったセリフがないのでおやすみです。


【今回使用した楽曲】
HoneyWorks「金曜日のおはよう」

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