HPに極振りの吟遊詩人になったら、別ゲーになりました。 作:涙姫
眩い光に包まれ、目を閉じる。
次に目を開けた時、そこに広がっていたのは町の真ん中に大きな木のある街だった。
そこには様々な人々がおり、自由に過ごしている。
「ふわぁ~!すっごい!でっかい!広~い!
これホントにゲームか疑いたくなるクオリティ*1なんだけど!」
そう言いながら思わず小さく跳ね、感動を動きで表している。
「初期装備は最初からもう手に持った状態で始まるのか。
う~ん、ハープは一旦は邪魔になりそうだけど、どうしよ。
とりあえず置いて考えてみよっと。」
そういってハープだけを地面に置こうとする。
___すると、なぜか消えてしまった。
「あれ、ハープ置こうとしたら、どっかいっちゃった。
お~い出ておいで~!私のハープ!
__って、わっ!!」
そう言うと今度は手に持っていた弓が消え、ハープが現れた。
「あ、これ両方両手使うから、切り替えなのね。
でもそしたら、少しタイムラグ*2発生するのな。
これ、どっちも一緒にできるのないかな~。
まぁ、初期装備だし仕方ないか。
んじゃ、とりあえずしゅぱ~つ!」
そう言って、数歩踏み出す。
1歩1歩しっかりと、感覚を確かめながら着実に。
そして立ち止まって__
「え、遅くない!?」
そう叫んだ。
「元からステータス低いのは書いてあったから知ってるけど。
ちょ!確認確認!」
ピッ
<STATUS>
エテルノ
Lv:1
HP 2045/2045
MP 10/10
【STR】0(+5)
【VIT】0
【AGI】0(+3)
【DEX】0
【INT】0
装備
【頭】―――
【体】―――
【右手】初心者のハープ
【左手】初心者のハープ
【足】初心者の魔法靴
【装飾品】―――
―――
―――
「ひっく!!ホントに低いって!
AGIが3だからそりゃ遅いだろうな!
しかもVITも0だからがっつりいかれたらアウトじゃん!
え、切り替えで弓にしたらどうなるの?」
【STR】0
【VIT】0
【AGI】0
【DEX】0(+13)
【INT】0
「あ、まだ普通だった。
でもこれだとAGIが0だから余計遅いじゃん。
それに、どちらにしてもVITとINTは0か。
これは流石にまずかったかな?リセット*3すべき?
う~ん…」
・・・
「まぁいっか。1回やってみてダメだったらやり直そう。
HP極振ったんだから、変なことしなきゃ死なないでしょ。
今度こそ!
__ってどこ行ったらいいんだろ?」
そう彼女、先程歩き出したはいいが、行くべきの場所なんて何も知らないのだ。
そして、そこで新たな問題が発生する。
「どうしよ!どこ行くべきなのか、なんて知らないよ~!
誰かに聞いてみる?でも…
無理~!こんなコミュ障*4には絶対モゴモゴ話すことになって、相手に迷惑をかけるんだ~!
…鬱だ。死にたい。ってそれはダメダメ。死なないためにHPに極振ったのに…」
問題、それは彼女が1番苦手とすること、知らない人と話をすることなのだ。
__え?1話で従兄とは話していたって?
あれは別だよ。だって何度も会っているし電話もしている人のどこが知らない人なんだい?
おかげで彼女の友人は本当に少ないのさ。
人生って大変だね。()
「_あの!すいません!」
そんな考え事をしていると聞こえてきたのは少女の声。
その方向を見ると、同じく初期装備に大盾を持った黒髪ショートの少女がこちらに話しかけていた。
「モンスターと戦いたいんですけど、どこに行けばいいですか?始めたばかりでわからなくって」
「え、えっと…私に話しかけてます…?」
「はい!知ってますか?」
「ご、ごめんなさい。私もついさっき始めたところでわからないんです。」
「そうなんですね。すみません。」
「いえいえ、お役に立てなくてごめんなさい。
…アドバイスなんですが、私みたいな初期装備ではなく少しおしゃれな装備を纏った方に話しかけてみたらどうですか?
装備が変わっているということはその分このゲームをプレイしているということですし、情報を持っているかもしれませんよ。」
「なるほど!勉強になります!あ、私メイプルって言います。」
「私はエテルノです。初心者同士頑張りましょう?」
「はい!」
そういうとメイプルは別のプレイヤーに話しかけていった。
そしてエテルノの方は__
「な、なんとか会話成立できたぁ…」
会話ができたことに安堵していた。
「同じ初心者なのにあの人コミュ力*5たっか…あんな人に生まれたかったよ~
そして、私もどこ行ったらいいかわかんないままだし…もうこのゲーム向いてないじゃんか…
もうあれか?恥を全部捨てて演じた方がマシ?なんか乙女ゲーでそんなことしてるキャラいたよね…でもアイツはアイツで人生苦労してるし、第一にアイツ聖騎士で全部武器違うもん…一体どうしたらいいんだろ…」
そう言いながら街の風景を眺めていく。
〔1時間経過〕
「あのパーティー*6仲良さそうだな。
あ、あの人ログアウトするとこかな?
あそこはダンジョン探索かな?でも初心者よりは中級者ってとこかな」
ピロリン♪
<SKILL>
【人間観察】を獲得しました。
「はい?なにもせずに眺めてただけなのに、なんかスキル獲得した。」
<【人間観察】このスキルの所有者のDEXを他プレイヤーを狙うときのみ、2倍にする。
【取得条件】1時間で100人以上の人間観察を行い、その考察を口にする。途中で話しかけられるとリセット*7。>
「あら、弓使うならこのスキルはちょっとありがたい?でも対人戦*8の時のみか。
っていうか、私そんなに人見てたのか。
まずホントに戦いに行かなきゃ。このままは流石にね__」
「今日もレベル上げ行こうよ」
「えぇ~…私この前死に戻り*9したからな」
「それはあんたが初心者でレベル低いのに高レベルダンジョンなんかに行ったからでしょうが。西の方の森にいるモンスター、レベル上げにはピッタリだからさ。」
「わお、なんて良いタイミングに遭遇してるんだ初心者プレイヤー。そして盗み聞き申し訳ない。
西の方にある森、街をちょっと出たところのか…初心者のレベル上げにはピッタリなんだ。
よ~し!ガンガンガンバ!ファイファイファイト!レッツレッツゴーゴー!お~お~お~!」
3/22
ステータスポイントをHPに1振ると20上昇(MPも同様)のため、数値訂正
スキル【人間観察】の取得条件が曖昧、かつ簡単すぎたため訂正
6/13 誤字訂正
メイプルとの関係性が欲しくって絡ませちゃいました。ベタでごめんなさい。
あとエテルノが言った『乙女ゲームでキャラを演じているプレイヤー』はマイナーなのですが、私が一番好きなゲーム「ピリオドキューブ~鳥籠のアマデウス~」のキャラクター「アストラム」をイメージした発言です。その作品の舞台もオンラインゲームだったのでちょっと出してしまいました。
【今回出てきたセリフの豆知識】
『…鬱だ。死にたい。』は「あんさんぶるスターズ!」の「高峯翠」のセリフから拝借しました。
「あんさんぶるスターズ!」から「あんさんぶるスターズ!!」への進化おめでとうございます。ゲームの方は「music」と「basic」の2種類展開になって作者はめっちゃ楽しんでます。
『ガンガンガンバ!ファイファイファイト!レッツレッツゴーゴー!お~お~お~!』は「アイカツ!」の「冴草きい」のセリフから拝借しました。
ちなみに「冴草きい」は「アイカツ!」では珍しい他のアイドルのプロデューサーもしていた少女で、この後に『セイラのためなら、えんやこらん♪』(セイラは彼女が担当しているアイドル「音城セイラ」のこと)と続いていました。
そしてついに次回バトル回です。