HPに極振りの吟遊詩人になったら、別ゲーになりました。   作:涙姫

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6月1日にコロナ終息を願って全国一斉に花火が挙げられたそうですね。ちなみに私は悲しいことに見逃しました。


HP極振りと波乱の演奏会

そして更に数分後

 

「覚悟はいいかしら?」

 

「…はい、できています」

 

 

「じゃあ、行ってらっしゃい」

 

「逝ってきます」

 

字が違うって?合ってるよ?

だって観客の前に立つんだよ?コミュ障の地獄ぞ?()

 

 

コツコツ…

 

エテルノはそうして舞台の上に立つ。

舞台は古びていて装飾も特にはない。

スポットライトの代わりに崩れた屋根の隙間から光が差し込みエテルノを照らしていた。

 

すぅ…

Halllo,everyone!」

 

そうエテルノが告げると、観客席にいる多くのプレイヤーが舞台に目を向けた。

 

「皆さんこんにちは、初めての方ははじめまして。エテルノと申します。、

本日はクエスト攻略のためにこんなに多くの方々に集まっていただけたこと、とても嬉しく思います」

 

「あれがエテルノ…」

 

「やっぱり美人だよな」

 

「今回協力のために集まっていただいたこのクエスト、実はもう一つ条件があります」

 

「条件…?」

 

「なんだ…?」

 

「それはこの舞台で演奏を披露することです」

 

「演奏…ってことは__」

 

「まさか__」

 

「私の自己満足とこんなに多くの方々が集まってくれたそのお礼として

良かったら私の演奏を楽しんでください!」

 

 

「「「おおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」」」

 

 

「【開演】!

まずは1曲目!NWOに提供させていただいた楽曲!『戦乱ストラグル』」

 

~♪~♪

 

 

そういうとエテルノは演奏を始める。

その表情はとても生き生きとしており、緊張より演奏を楽しむことが勝ったようだった。

 

 

 

・・・・・

 

・・・

 

 

 

「場も段々あったまって参りました!

続いては__」

 

そう言って2曲目の楽曲に入ろうとした時だった。

 

ガタガタ

 

いきなり大きな揺れが起きる。

__大きな足音を連れて。

 

「なんだ…!?」

 

「地震…!?」

 

「いや足音が聞こえるからこれは__」

 

 

ドーーン!

「ガアァアアアアアアア!!!」

 

そうして屋根の隙間から舞台に巨大なモンスターが降り立った。

頭は獅子、胴体は山羊、尻尾には蛇がついている。

 

「なんだあのモンスター!?」

 

「モンスターっていうか、あれキマイラじゃん」

 

「あれは、舞台を襲った魔物…!」

 

「マジか…確かにあれが襲ってきたら流石に逃げるな」

 

観客や依頼人の声を聞き、エテルノは冷静に感想を述べる。

 

 

「【毒竜】…!」

 

観客席にいたメイプルが『キマイラ』に向かって【毒竜】を使おうとすると__

 

キーーーーーーン!

 

「なんで!?」

 

その攻撃は謎の壁に弾かれてしまった。

 

 

「舞台には観客席からの攻撃を防ぐ結界が張られているんです!」

 

「えぇ!?」

 

「ちょ、それならなんであのモンスターは入れてるの!?」

 

「この結界は横からの攻撃は弾けるのですが天井からの攻撃は想定外だったんです!」

 

「なにそれ!」

 

「そんなのエテルノちゃんが危ない…!」

 

「エテルノちゃん!」

 

 

舞台の上で邪魔をするように堂々と暴れようとする『キマイラ』を前にして__

 

「これを1人で処理しろと…?

ただでさえ1人で演奏とか心細かったのに…?

で、覚悟決めて楽しんでたら、これですかね…?

ねぇマジで運営訴えたら勝てないかね…?」

 

エテルノは小さく怒りに震えていた。

 

 

「エテルノちゃん…?」

 

「どうしたんだ…?」

 

【銀鱗の鍵盤】から【弾奏のギター】に切り替え…

もう、いっちょ暴れてやろうじゃんか!!

舞台ぶっ潰したんだから…

文句ないよね?

 

 

~♪~♪

 

激しいギターの音色が鳴り響く。

エテルノが演奏を始めると【詠唱水晶】が一斉に『キマイラ』に向く。

 

「疑問…? 愚問!

衝動インスパイア 6感フルで感じてみな

絶ッ! Understand?

コンマ3秒も 背を向けたらDie」

 

エテルノの演奏に反応したのか『キマイラ』が攻撃を加えようとする。

しかしそれはすべて避けられるか【詠唱水晶】と相殺される。

 

「心情…? 炎上!

強情マトリクス 沸点ピークでくだけ散れ

Motto×5 Break!! …Outsider」

 

相殺された【詠唱水晶】による攻撃。

さらに相手の巨体故の行動の遅さを逆手に取り、ギターをハンマーのようにして攻撃をぶつけていく。

それによって『キマイラ』のHPのみが激しく削っていく。

その様子は、もはや一方的な暴力だった。

 

「傷ごとエグれば忘れられるってコトだろ?

イイ子ちゃんな正義なんて剥がしてやろうか?」

 

(イイ子ちゃんだって時には怒る。

『仏の顔も三度まで』ってよく言うじゃん?

それに今回は誰かのためじゃない、私のためだ)

 

「HaHa!!

さあIt's show time 火山のよう殺伐Rain

さあお前等の全部×5

否定してやる そう…否定してやる」

 

そういうと【詠唱水晶】が砕け、いくつもの礫となって『キマイラ』に降り注ぐ。

それは火山による噴石、または雨のようだった。

 

 

「ガチの歌姫の鉄槌…」

「エテルノちゃんこっわ…」

「でもそんなとこも好きだわ」

「わかる」




6/3 誤字訂正、歌詞配置の修正
6/9 誤字訂正

エテルノちゃん、緊張乗り越えて楽しんでたら邪魔される。
あまりの理不尽さにお怒りモード突入です。
キマイラの強さは集めた観客の多さに関係しており、人数がいればいるほどキマイラの難易度は低くなります。
キマイラ戦は演奏参加者のみ参戦可なので、複数人で演奏していれば複数人でのバトルになります。ただエテルノちゃんは単独演奏だったのでキマイラとの1対1になってます。


【今回出てきたセリフの豆知識】
Oo。(。ρω-。)おやすみ

【今回使用した楽曲】
「戦姫絶唱シンフォギア」より「魔弓・イチイバル」

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