はじまりの罪を背負う者達は…魔王達と共にあり 作:五月雨☆。.:*・゜
「だぁー、ちくしょぉおおー!」
「……ハジメ、ファイト……」
「お前は気楽だな!」
「ユエ!ずるいよ!」
「……話してる場合なのか?」
現在、ハジメはユエを背負いながら香織と楓と共に猛然と草むらの中を逃走していた。
周りは160センチメートル以上ある雑草が生い茂りハジメの肩付近まで隠してしまっている。
そんな生い茂る雑草を鬱陶しそうに払い除けながら、楓達が逃走している理由は
「「「「「「「「シャァアア!!」」」」」」」」
200体近い魔物に追われているからである。
ハジメたちが準備を終えて迷宮攻略に動き出したあと、10階層ほどは順調よく降りることが出来た。
「(ここまで来れたのは、ユエの凄まじい魔法とハジメと香織の実力だ。俺はほとんど活躍出来ずにいた。)」
その理由は、ハジメが落下した時に共に落ちたネックレスのせいだ。
あのネックレスは、楓の力を抑える為だ。
もし、力を抑えずに本気で魔物を倒してしまえばこの迷宮は崩れてしまうので力及ばずに魔物の討伐を3人に任せていた。
「(まぁ、ハジメには錬成してくれるように頼んだからな…)」」
そう思っていると…現実のティラノサウルスらしきが咆哮を上げ自分達に向かって突進してくる。
楓、ハジメは慌てず真・ダークドミネイター、ドンナーを抜こうとして……それを制するように前に出た香織とユエがスッとそれぞれリヒトを抜いたり、手を掲げたりした。
「消えて」
「"緋槍"」
香織はリヒトに光属性の攻撃魔法、電磁加速を上回るスピードでティラノの頭を撃ち抜いた。
一方でユエの手元に現れた炎は渦を巻いて円錐状の槍の形をとり、一直線にティラノの口内目掛けて飛翔した。
2人の攻撃はあっさり突き刺さって、そのまま貫通して地響きを立てながら横倒しになるティラノ。
そして、頭の花がポトリと地面に落ちた。
「いくらなんでも…」
「はぁ…」
最近、香織とユエ無双が激しい。
理由は、単なる張り合いだった。
実際、目の前で繰り広げられている。
香織とユエは、ハジメに褒めて欲しいことにこの現状を作り出していたがそのせいで、楓とハジメは、最近出番がめっきり減ってしまったのだ。
ハジメは抜きかけのドンナーをホルスターに仕舞い直して楓も抜いてしまった真・ダークドミネイターを仕舞う。
そしたらハジメは香織の頭を撫でながら2人に話しかけた。
「香織、ユエ?張り切るのはいいんだけど……最近、俺と楓、あまり動いてない気がするんだが……」
「張り切るのは、悪いことじゃないけどさ……2人は、後衛だから怪我して欲しいないんだよな?ハジメもそう思うだろ?」
「まぁな、恋人が傷つくのはやだからな…」
その言葉を聞いて香織はうっとりしていたがユエは複雑な表情だった。
「ハジメくん、わかった」
「ん、わかった」
その時、楓は魔物気配を感知したがハジメと香織も感じたらしいので辺りを見回す。
魔物の数が多いので少しでも有利な場所に4人は移動する。
生い茂った木の枝を払い除け飛び出した先には、体長二メートル強の爬虫類がいた。
頭からチューリップのような花をひらひらと咲かせていた。
「……かわいい」
「……それとも、ここの恐竜はそれがデフォルト?」
「……気持ち悪い…」
魔物は、ティラノと同じく、「花なんて知らない!」というかのように殺気を撒き散らしながら低く唸っている。
臨戦態勢だ。
「シャァァアア!!」
魔物が、花に注目して立ち尽くすハジメ達に飛びかかる。
その強靭な脚には20センチメートルはありそうなカギ爪が付いておりギラリと凶悪な光を放っていた。
4人はそれぞれ分かれるように飛び退き回避してハジメは試しにと頭のチューリップを撃ち抜いてみた。
魔物は一瞬ビクンと痙攣したかと思うと、着地を失敗してもんどり打ちながら地面を転がり、樹にぶつかって動きを止めた。
シーンと静寂が辺りを包む。
4人はそれぞれ1ヶ所に集まり、魔物と四散して地面に散らばるチューリップの花びらを交互に見やった。
「……死んだ?」
「お花を撃っただけだからね……」
「様子がおかしいな……」
「……同じく…」
ハジメの見立て通り、ピクピクと痙攣した後、魔物たちはムクッと起き上がり辺りを見渡し始めた。
そして、地面に落ちているチューリップを見つけると全員がノッシノッシと歩み寄り親の敵と言わんばかりに踏みつけ始めた。
「めんどくさいから一掃する。」
「お、おい、楓。何するつもりだ?」
「この頃のストレスを発散させてくれ。」
そう、楓が言うと覚醒状態にはならないで真・ダークドミネイターと真・ロウブレイクを構えて技を放つ。
「アサルトダークブレード!!」
楓は剣を持ち舞うように動き防御無視の闇のダメージを魔物に与えるとそのままにズザーと滑っていく絶命した魔物達。
4人とも何とも言えない顔で魔物の死体を見やった。
「楓、イジメはダメ…」
「イジメてない。ストレスを発散しただけだ。」
「楓、お前あんなに強かったのか?」
「普段の闇野君じゃないよ…」
「悪い、覚醒状態じゃないのにはしゃぎ過ぎた……」
「「「覚醒状態じゃないのに強すぎ!!」」」
そんな3人の声が辺りに響いたのだった。
結局その後もそんなに時間もかからず魔物の殲滅に成功した。
しかし、闇の力を使い果たした楓は戦闘に参加はしてなかったがハジメ、香織の表情は冴えない。
ユエがそれに気がつき首を傾げながら尋ねた。
「……ハジメ?」
「……おかしくないか?楓、香織」
「…あぁ」
「2人も気づいていたのね」
「まぁ、俺たち3人はユエよりも長く奈落の魔物と戦っていたから気づいたが……」
「あいつら、ちょっと弱い…」
「うん、そうだね」
楓達の言葉にハッとなるユエ。
その時、楓は叫ぶ。
「おい、ヤバイぞ。50いや、60以上の魔物が急速接近中だ。まるで、誰かが指示してるみたいに全方位から囲むように集まってきやがる」
「みたいだな」
「……逃げる?」
「……いや、この密度だと既に逃げ道がないだろ。一番高い樹の天辺から殲滅するのがベターだろ」
「ん……特大のいく」
「頼む、ユエ」
「がんばってね、ユエ!」
楓達は高速で移動しながら周囲で1番高い樹を見つける。
そして、その枝に飛び乗り、眼下の足がかりになりそうな太い枝を砕いて魔物が登って来にくいようにした。
「そろそろ、良いんじゃないか?ハジメ」
「そうだな、楓。」
眼下の魔物が総勢50体を超え、楓の"気配感知"で捉えた魔物の数に達したと思われたところで、ハジメは、ユエに合図を送った。
「ユエ!!」
「んっ!"凍獄"!」
その瞬間、楓達のいる樹を中心に眼下が一気に凍てつき始めた。
ビキビキッと音を立てながら瞬く間に蒼氷に覆われていき、魔物に到達すると花が咲いたかのように氷がそそり立って氷華を作り出していく。
氷結範囲は指定座標を中心に50メートル四方。
まさに"殲滅魔法"というに相応しい威力である。
「はぁ……はぁ……」
「すげぇな」
「うん、そうだね」
「やっぱ、凄いな…前世にこれ程の魔法は使えた奴は居ないぞ…」
「ん、頑張った…」
周囲一帯、まさに氷結地獄と化した光景を見て混じりけのない称賛をユエに贈る4人。
「ハジメ、気づいたか?」
「あぁ、ユエ。更に倍だ。」
「そうだね。闇野君。たった今、全滅したところだよ?」
「なのに、また特攻……まるで強制されてるみたいだ…あの花に……寄生されてるのか?」
「楓もそう思うか?」
「あぁ…」
ハジメの推測を肯定するように楓が頷く。
「……本体がいるはず」
「だな。あの花を取り付けているヤツを殺らない限り、俺達はこの階層の魔物全てを相手にすることになっちまう」
「それは勘弁だね……」
「とりあえず、本体を探すためにも移動するぞ」
そして冒頭に戻るのだが後ろからは魔物が……地響きを立てながら迫っている。
魔物を迎撃しつつ、探索の結果一番怪しいと考えられた場所に向かいひたすら駆ける楓達。
楓達が睨んだのは樹海を抜けた先、今通っている草むらの向こう側にみえる迷宮の壁、その中央付近にある縦割れの洞窟らしき場所だ。
なぜ、その場所に目星をつけたのかというと、襲い来る魔物の動きに一定の習性があったからだ。
「さて、おふざけもここまでだ」
「そうだな。あいつらやたら必死だったからな、ここでビンゴだろ。油断するなよ?」
ハジメの錬成で洞窟の入口を閉じて4人は慎重に進む。
しばらく道なりに進んでいると、やがて大きな広間に出た。
広間の奥には更に縦割れの道が続いている。
楓達が部屋の中央までやってきたとき、それは起きた。
全方位から緑色のピンポン玉のようなものが無数に飛んできたのだ。
4人は一瞬で背中合わせになり、飛来する緑の球を迎撃する。
「楓、ユエ、おそらく本体の攻撃だ。どこにいるかわかるか?」
「「…………」」
「楓?」
「ユエ?」
「離れろ!ハジメ!白崎さん!」
「……にげて……ハジメ!香織!」
いつの間にか楓の手がハジメにユエの手が香織に向いていた。
楓は真・ダークドミネイターを振りかぶって、ユエの手に風が集束する。
本能が激しく警鐘を鳴らして2人はその場を全力で飛び退いた。
刹那、ハジメのいた場所を強力なシャドーリベレーションの闇の攻撃の刃が、香織のいた場所をこれはまた強力な風の刃が通り過ぎ、背後の石壁と"天絶"を綺麗に両断する。
「楓!?」
「ユエ!?」
まさかの攻撃にハジメと香織は驚愕の声を上げるが、楓とユエの頭の上にあるものを見て事態を理解する。
そう、2人の頭の上にも花が咲いていたのだ。
「くそっ、さっきの緑玉か!?」
「そうだよ!」
ハジメと香織は自身の迂闊さに自分を殴りたくなる衝動をこらえ、ユエの風の刃と楓の闇の攻撃を回避し続ける。
「ハジメ……香織……うぅ……」
「…ユエ、少しダメージがあるが堪えられるか!?」
「……ぅ…大丈夫…」
「……わかった、ハジメ、白崎さん。離れてろ!!」
「何するつもりだ!?楓」
「悪いな、7つの力のうちの一つ、破壊の雷よ!!」
そう、楓が呟くとユエと楓の真上に赤い雷が現れて2人を攻撃したが魔物のせいで攻撃が当たらなかった。
「(ちっ、外れた…ならば…)」
楓は今の状況を打開するために奥 次の手を使おうとした。
するとユエが悲痛な叫びを上げる。
「ハジメ!香織!……私はいいから……撃って!」
何やら覚悟を決めた様子でハジメと香織に撃てと叫ぶユエ。
「ハジメ!白崎さん!俺も構わない!撃て!!」
「え、いいのか?」
「ありがとう!」
広間に2つ銃声が響き渡る。
2人の言葉を聞いた瞬間、何の躊躇いもなく引き金を引いたハジメと香織。
そんな中、くるくると宙を舞っていた花が2輪パサリと地面に落ちた。
ユエがそっと両手で頭の上を確認するとそこに花はなく、代わりに縮れたり千切れている自身の金髪があった。
「むう…」
「いや、そんな目をするなよ。ユエ」
「しかし、俺の体で好き勝手にやってくれたな魔物。このお礼はたっぷりしないとな」
楓は闇の刻印を発動させて真・ダークドミネイターと真・ロウブレイクに大量の闇を纏わせて連続で切り付けて魔物は消滅した。
「それにしても、躊躇いなく撃ったな…」
「あ?そりゃあ撃っていいって言うから」
「うん。そうだよ。普通、撃つでしょ?」
「そうだな…」
ユエは未だに頭をさすりながらジトっとした目で3人を睨む。
「……ちょっと頭皮……削れた……かも……」
「まぁ、それくらいすぐ再生するだろ?問題なし」
「変わってないよ。ユエ」
ユエは「確かにその通りなんだけど!」と言いたげな顔をした。
「次に行くか…」
「あぁ、それよりも身体は大丈夫か?」
「ネックレス出来たら早めにくれよ。あれがないと覚醒状態になれないからな…」
「あぁ、わかった」
香織「闇野君の覚醒状態って凄く変わるよね?雰囲気とか」
ハジメ「そうだな、髪が伸びたり背中から赤黒い翼出ていたりびっくりの連続だったな…」
楓「あれが前世の姿だからな。」
ユエ「ん、吸血鬼だと最初は驚いた。」
楓「違うからな、ユエ」
闇野楓君の追加して欲しい技能
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夜目
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バッドステータスを受け付けない(呪い等)
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戦い度に少しずつ攻撃力が上がる
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闇の憤怒、掌に赤黒い炎で全て灰にする力