はじまりの罪を背負う者達は…魔王達と共にあり 作:五月雨☆。.:*・゜
「私の家族も助けて下さい!」
峡谷にウサミミ少女改めシア・ハウリアの声が響く。
仲間も同じ様な窮地にあるようだ。
よほど必死なのか、先程からハジメの服を離す気配がない。
あまりに必死に懇願するので、ハジメは仕方なく……"纏雷"をしてやった。
「アババババババババババアバババ!?」
「えげつないね〜。」
電圧と電流は調整してあるので死にはしないが、しばらく動けなくなるくらいの威力はある。
シアのウサミミがピンッと立ちウサ毛がゾワッと逆だっている。
"纏雷"を解除してやると、ビクンッビクンッと痙攣しながらシアはズルズルと崩れ落ちた。
「全く、非常識なウザウサギだ。みんな、行くぞ?」
「ん……」
「行こうか、ハジメくん」
「あぁ、わかった」
「それじゃあ、行こうか〜。」
ハジメは何事もなかったように再びバイクに魔力を注ぎ込み発進させようとして楓は小狐に化けたコリンを乗せて翼で飛び立つ準備をしていたがしかし……。
「に、にがじませんよ~」
ゾンビの如く起き上がりハジメにしがみつくシア。
楓とコリンはそのまま警戒する。
流石に驚愕したハジメは思わず魔力注入を止めて警戒する。
「お、お前、ゾンビみたいな奴だな。それなりの威力出したんだが……何で動けるんだよ? つーか、ちょっと怖ぇんだけど……」
「……不気味」
「ん…同感」
「ウサギなのにゾンビ...恐ろしいよ」
「雷耐性あるけど…君は異常だよ?」
「恐ろしい…ウサギだ…」
「うぅ~何ですか!!その物言いは!!!さっきから、肘鉄とか足蹴とか、ちょっと酷すぎると思います!!断固抗議しますよ!!!お詫びに家族を助けて下さい!!!!!」
ぷんすかと怒りながら、さらりと要求を突きつけるシア。
何か執念で何処までもしがみついてきそうだと思う。
血まみれで引きずられたまま決して離さないウサミミ少女……完全にホラーだ。
「ったく、何なんだよ。取り敢えず話聞いてやるから離せ。!!ってさり気なく俺の外套で顔を拭くな!!!!」
話を聞いてやると言われパアァと笑顔になったシアは、これまたさり気なくハジメの外套で汚れた顔を綺麗に拭った。
本当にいい性格をしていると思う…イラッと来たハジメが再び肘鉄を食らわせるとシアは蹲った。
「ま、また殴りましたね!!!父様にも殴られたことないのに!!!よく私のような美少女を、そうポンポンと……そうでッあふんッ!?」
なにやら不穏当な発言が聞こえたので蹲うずくまるシアの脳天目掛けて踵落としをするハジメ。
少し青みがかったロングストレートの白髪に、蒼穹の瞳。
眉やまつ毛まで白く、肌の白さとも相まって黙っていれば神秘的な容姿とも言えるだろう。
手足もスラリと長く、ウサミミやウサ尻尾がふりふりと揺れる様は何とも愛らしい。
「はぁ~、お前の耐久力は一体どうなってんだ?尋常じゃないぞ……何者なんだ?」
ハジメの胡乱な眼差しに、ようやく本題に入れると居住まいを正すシア。
「改めまして、私は兎人族ハウリアの長の娘シア・ハウリアと言います。実は……」
語り始めたシアの話を要約するとこうだ。
シア達、ハウリアと名乗る兎人族達は【ハルツィナ樹海】にて数百人規模の集落を作りひっそりと暮らしていた。
そんな兎人族の一つ、ハウリア族に、ある日異常な女の子が生まれた。兎人族は基本的に濃紺の髪をしているのだが、その子の髪は青みがかった白髪だったのだ。
しかも、亜人族には無いはずの魔力まで有しており、直接魔力を操るすべと、とある固有魔法まで使えたのだ。
当然、一族は大いに困惑した。
兎人族として、いや、亜人族として有り得ない子が生まれたのだ。
魔物と同様の力を持っているなど、普通なら迫害の対象となるだろう。しかし、彼女が生まれたのは亜人族一、家族の情が深い種族である兎人族だ。百数十人全員を一つの家族と称する種族なのだ。
ハウリア族は女の子を見捨てるという選択肢を持たなかった。
しかし、樹海深部に存在する亜人族の国【フェアベルゲン】に女の子の存在がばれれば間違いなく処刑される。
魔物とはそれだけ忌み嫌われており、不倶戴天の敵なのである。
国の規律にも魔物を見つけ次第、できる限り殲滅しなければならないと有り、過去にわざと魔物を逃がした人物が追放処分を受けたという記録もある。
故に、ハウリア族は女の子を隠し、十六年もの間ひっそりと育ててきた。だが、先日とうとう彼女の存在がばれてしまった。その為、ハウリア族はフェアベルゲンに捕まる前に一族ごと樹海を出たのだ。
行く宛もない彼等は、一先ず北の山脈地帯を目指すことにした。
山の幸があれば生きていけるかもしれないと考えたからだ。
未開地ではあるが、帝国や奴隷商に捕まり奴隷に堕とされてしまうよりはマシだ。
しかし、彼等の試みは、その帝国により潰えた。
樹海を出て直ぐに運悪く帝国兵に見つかってしまったのだ。
巡回中だったのか訓練だったのかは分からないが、一個中隊規模と出くわしたハウリア族は南に逃げるしかなかった。
全滅を避けるために必死に逃げ続け、ライセン大峡谷にたどり着いた彼等は、苦肉の策として峡谷へと逃げ込んだ。
流石に、魔法の使えない峡谷にまで帝国兵も追って来ないだろうし、ほとぼりが冷めていなくなるのを待とうとしたのである。
魔物に襲われるのと帝国兵がいなくなるのとどちらが早いかという賭けだった。
しかし、予測に反して帝国兵は一向に撤退しようとはしなかった。
小隊が峡谷の出入り口である階段状に加工された崖の入口に陣取り、兎人族が魔物に襲われ出てくるのを待つことにしたのだ。
そうこうしている内に、案の定、魔物が襲来した。
もう無理だと帝国に投降しようとしたが、峡谷から逃がすものかと魔物が回り込み、ハウリア族は峡谷の奥へと逃げるしかなかった。
そうやって、追い立てられるように峡谷を逃げ惑い…。
「……気がつけば、六十人はいた家族も、今は四十人程しかいません。このままでは全滅です。どうか助けて下さい!」
最初の残念な感じとは打って変わって悲痛な表情で懇願するシア。
どうやら、シアは、ハジメ達と同じ、この世界の例外というヤツらしい。
「「「「「断る」」」」」
レインの容姿↓
白髪の黒の瞳、神父服を着崩した姿。武器は槍と斧を扱う。
エイジの容姿↓
金髪でオレンジと青の瞳、黄色のジャケットと黒のズボンの姿。武器は変身時は拳、人間時は弓を扱う。
フェアベルゲンが終わったら仲間にして欲しいキャラクター。
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魔人族と帝国殺しのレイン
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金色の狼、エイジ(普段は人間の姿)