殺人探偵?うっせぇ好きでやってんじゃねーよ!!   作:☆桜椛★

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第1弾 未来の『殺人探偵』の誕生

突然だが、この俺こと橘花文也(たちばなふみや)は、最早呪われていると言っても過言では無い程に昔からよく事件やら事故やらに巻き込まれやすい不幸な体質である。

例えばコンビニに弁当を買いに行ったら10回に1回の割合でコンビニ強盗に遭うし、夜にバイトの帰りが遅くなったらだいたい交通事故が起きる。銀行にお金を下ろしに行って銀行強盗に遭うのだって一度や二度ではないし、月に1回は殺人事件の第一発見者または容疑者の1人にされてしまっているのだ。

 

な?コレどう考えても呪われてるだろ?月に1回は殺人事件に巻き込まれるって何だよ?俺はどこぞの死神探偵コ○ンくんじゃないんだぞ?もう死体とか見ても驚かなくなっちまっただろうがこの野郎。

 

はぁ〜あ……まぁ、そんな訳でだ。俺は今日もまたとある事件に巻き込まれた。今回は人生13回目の拉致事件で、拉致られたのは俺と、学校で人気者っぽいイケメンの高校生男子、そして彼の幼馴染であろう可愛らしい美少女高校生が2人の計4名だ。事件が起きた場所は俺のバイト先である喫茶店のテーブル席で、犯行手口は突然少年少女たちの足元に現れた魔法陣(・・・)による拉致である。

……うん。まぁ、言いたい事は分かる。普通なら『何言ってんのお前?』とか言われても仕方ないだろう。実際俺だって目の前の現実が信じられんわ。

 

おそらく察しの良い方はもう犯人と犯行動機に予想が付いているだろう。そう、今回俺は………、

 

 

「ようこそ勇敢なる勇者と麗しき聖女たちよ!ボクは君達で言うところの神様という存在だ!君達は異世界で行われた勇者召喚に選ばれた!君達には私が与えた力を駆使し、邪悪なる魔王を倒して欲しい!そうすれば何でも願いを1つ叶え…て……?えっと、君だれ?」

 

 

まさかの神様を名乗る道化師姿をした子供が行った勇者召喚とやらに巻き込まれてしまったらしい。

いやはや全く……、

 

 

なんでこうなったぁ!?

 

 

 

 

 

 

現在、俺は取り敢えず選ばれた勇者くん御一行が異世界に行くまで待っててくれと神様とやらに言われたので、端の方に避けて大人しく神様が勇者くん御一行に力を与えて異世界に送るところを眺めている。

 

さて、今回俺は勇者召喚という激レアな拉致事件に巻き込まれてしまった訳だが、俺ってこの後どうなんの?流石にこんなラノベ的展開に巻き込まれるのは人生初なんだが……。

しかもさっきからずっと気になってたんだけど、お前神様なんだよな?何故に道化師の格好してんの?何故にここはサーカスのテントの中にありそうな舞台のど真ん中なの?もっとこう……神様っぽい服装と舞台はなかったの?

 

 

「では行けい!勇敢なる勇者と麗しき聖女たちよ!その力を駆使し、邪悪なる魔王を討ち倒すのだ!」

 

 

お?どうやら終わった様だ。勇者くん御一行の足元にここへ来る時と同じ模様の魔法陣が現れて光を放ち、勇者くん御一行が異世界へと旅立った。おそらく彼等はこれから最強戦力として魔王とその部下達と殺し殺されの戦争をおっ始めるだろうが、嬉しそうに「任せて下さい!」とか言ってたから多分大丈夫でしょ。

 

 

「さてと、次は君だね。まさか勇者召喚に巻き込まれる一般人が居るとは思いもしなかったよ。あの術は指定した人間とその時に着ていた衣服と持ち物だけを召喚する術なのに、どうやったら巻き込まれるの?」

 

「んなもんこっちが聞きたいわ」

 

 

あ、ヤッベ。つい口から出ちゃったけど大丈夫か?この子神様だよな?道化師の格好してるけど神様だよな?不敬罪とかで首チョンパされたりしない?

 

 

「まぁそうだよね〜?君みたいな人間にこのボクでも分からない事が分かる訳ないか!あっはっは♪ごめ〜んね☆」

 

 

どうやら気にしていない様子だけどなんかこいつムカつくなこのクソガキ。さっきとキャラ違うじゃねーか。ちょっとぶっ飛ばしたくなったけど、ここでやっちまって機嫌損ねて消されると笑い話にもならないのでなんとか堪えた。

 

 

「あの、出来れば元の世界に返して欲しいのですが…?」

 

「あー、それ無理。あの術は君達の世界からここを通ってどこか別の異世界に行く術でね。ここに来た時点で元の世界には帰れないんだよね〜」

 

 

おっと〜?今滅茶苦茶受け入れたくない現実が聞こえて来たぞ〜?マジかよこの野郎なんてものに巻き込んでくれたんだこのチビ助。

 

 

「そうだねぇ……よし!決めた!君には今ボクが嵌っている漫画のキャラの体と能力を持って異世界に転生して貰おう。それに今回は巻き込んでしまったから、能力はキャラの能力とは別に……そうだね、4つあげよう!」

 

 

異世界に転生……異世界ねぇ?てことは俺も魔王とか邪神とか退治しに行かなきゃなんないのか?嫌だよ。そんな勇気無いよ俺。

 

 

「因みに断ったらどうなります?」

 

「これが嫌なら魂ごと消滅するしか無「転生!!転生でお願いします神様!!」うん!分かった!じゃあ準備するからちょっと待ってね〜♪」

 

 

畜生俺このクソガキ嫌いだ!何だよ転生するか魂ごと消滅するかって!バカか!?普通転生選ぶよそんなの!

俺が内心ボロクソ言っていると、クソガキが何やら『?』が書かれた箱を持って来た。え?何?もしかしてくじ引きで決めるの?

 

 

「はい!じゃあこれに手を入れて中に入ってる紙を4枚取ってね!君の新しい体になるキャラクターはボクが選ばせてもらうから」

 

「(やっぱりくじ引きか……)そのキャラって男ですよね?流石に女の子に転生とか困るんですが?」

 

「安心しなよ。ちゃんと人間の男さ!」

 

 

態々『人間』って入れてるって事は人外の可能性がありそうだなぁ。あ、そう言えばこのクソガキが嵌ってる漫画の題名聞いてないな。

 

 

「因みに、貴方が嵌っている漫画って何ですか?」

 

「うん?あー、【文豪ストレイドッグス】って漫画何だけど……君は知ってるかな?知らないなら能力の説明とかしないとだから面倒なんだけど」

 

「あ、それなら大丈夫です」

 

 

【文豪ストレイドッグス】か、その漫画は俺も知っている。つーか俺もその漫画好きで、外伝も含めて全巻揃えてるくらいだ。となると能力って『異能力』の事か。やっば、超嬉しいんですけど♪見直したぞチビ神様。

 

 

「さぁさぁ!早く引いちゃって!」

 

「…………」

 

 

俺は満面の笑みを浮かべる神様に差し出された箱に手を入れる。箱の中に突っ込んだ手には折り畳まれた紙の感触がある。

今回行くのは剣と魔法のファンタジー世界だ。なら中距離での攻防に優れた外套を黒獣に変化させ操る芥川の異能『羅生門(らしょうもん)』、触れたものの重力を操る中原中也の『汚れつちまつた悲しみに』、あらゆる外傷を治癒させる与謝野先生の『君死給勿(キミシニタモウコトナカレ)』、銃弾も弾く体と凄じい身体能力に加えて斬り飛ばされた足すら治す再生能力を持った白虎に変身する敦くんの異能『月下獣(げっかじゅう)』辺りが当たって欲しい。逆に当たって欲しく無いのは精神操作のQの異能『ドグラ・マグラ』やお金の消費が激しいフランシスの『華麗なるフィッツジェラルド』辺りかな?魔法とかに効果が無いなら太宰さんの『人間失格(ニンゲンシッカク)』も外れ候補に入ってしまうか。

 

俺は真剣に考え、悩みながらも箱の中から4枚の紙を取り出した。俺が紙を取ったのを見た神様は、指をパチン!と鳴らして箱を煙の様に消した。何それ凄い。

 

 

「さぁ!その紙に書かれているのが君がこれから長い間使う事になる異能力だよ!ほら、開いてみなよ」

 

 

俺は小さく頷くと、ゆっくりと1枚目の紙を開いて、書いてある異能力の名前を確認した。

 

 

ーーー能力名『独歩吟客(どっぽぎんかく)

 

 

開いた紙にはこう書かれていた。うん、これはなかなかいいんじゃないか?

この『独歩吟客』は太宰さんの武装探偵社での相棒である国木田独歩の異能力で、手帳のページを消費する代わりに書いた言葉の物を具現化する利便性と汎用性に優れた異能力だ。例えば『自動拳銃』と書いたらハンドガンが具現化して、『畳み刀』と書いたら折り畳み式のナイフが具現化される。ただ一度目にして記憶した物で、尚且つ手帳サイズの物しか具現化出来ないのが難点だが、これは当たりだな。

 

続いて俺はちょっとワクワクしながら2枚目の紙をゆっくり開いた。

 

 

ーーー能力名『超推理(ちょうすいり)

 

 

「あれ?神様、これは異能力じゃないんじゃないですか?」

 

 

異能力『超推理』は、武装探偵社の名探偵、江戸川乱歩の異能力で、眼鏡を掛ける事をトリガーに、現場を見ただけで事件の真相が分かり、またその場にいなくても僅かな手掛かりさえあれば瞬時に謎を解決できるという能力だ。しかし実はこれは異能力ではなく、単に乱歩さんの観察力と推理力が異能力並みにズバ抜けているだけなのだが……この場合はどうなるんだ?

 

 

「それは異能力としての『超推理』になるよ。つまり眼鏡を掛けている間は『超推理』が使えるって事」

 

「おぉ……!」

 

 

マジか!これ結構チートじゃないか?この『超推理』は過去を見抜いたり未来を予知したりも出来る凄い能力だ。これで探偵家業でも始めたら世界中から依頼が殺到してもおかしくはない。やらんけどな!

 

この調子でどんどん行こうと3枚目を開いた俺は、凄く微妙な表情になった。

 

 

ーーー能力名『檸檬爆弾(レモネード)

 

 

『檸檬爆弾』はポート・マフィアに所属する爆弾魔、梶井基次郎の異能力だ。名前からして檸檬型爆弾を作り出す能力だと思われるだろうが、正しくは檸檬爆弾でダメージを受けない能力だ。梶井の使っている爆弾は全部手内職で作っているらしい。

うーむ……これは外れかなぁ?俺檸檬型爆弾なんて作らないし。

 

 

俺はちょっとがっかりしながら最後の1枚を開き、今度は複雑な表情になった。

 

 

ーーー能力名『人間失格』

 

 

えぇ〜……っと。まぁ、うん。太宰さんは好きなキャラだし、アニメの第一話で異能力を発動するシーンとか結構好きなんだけど、これ魔法とかに効果あんの?

 

 

「なぁ神様?これって魔法とかに効果はあるのでしょうか?」

 

「あー、その辺は大丈夫。異能力は消せないけど魔法や超能力を無効化出来る様にしたから」

 

 

良し!なら安心だ。手に入れたのは異能力で外れは『檸檬爆弾』のみ!これなら異世界に転生してもある程度は安心して過ごせるな。

 

 

「さぁて、残りの新しい体と能力は向こうの世界に行ったら分かるよ。君の記憶は5歳になったら目覚める様にしておくよ。じゃあ良い来世を送ってね〜♪」

 

 

神様がそう言いいながら振る姿を見ていると段々視界が暗くなり、やがて俺の意識は暗闇に沈んでいった。

 

 

 

 

 

 

「………?」

 

 

暗闇に沈んでいた意識が浮かび上がり、閉じていた目蓋をうっすら開くと、白い天井が目に入った。どうやら俺はベッドに寝かされているらしい。

ゆっくりと体を起こして部屋の中を見回すと、どうやらここは何処かの病室だと言う事が分かった。腕や体には包帯が巻かれ、周りにはなんかいろんな医療機器が置かれ、腕には点滴も打たれているので、俺はなんらかの原因で大怪我を負って入院している様だ。何やったんだよ5歳までの俺よ?

どうやら5歳までの記憶がない様なので、何をやって入院したのかと首を傾げていると、病室のドアが開き、1人の看護師の女性が入って来た。ちょうどいいので話を聞こうとすると、彼女は驚いた表情を浮かべると大慌てで医者の先生を呼びに行ったので話聞かなかった。

 

 

(………あれ?よくよく考えたらファンタジー世界に医療機器って無くね?もしかして医療機器は発展してる世界なのかな?)

 

 

その後、看護士さんが連れて来たかなり頭が寂しい事になっているザ・医者って感じのおっさんに色々診断されたり、質問された。

それで分かった事だが、どうやら俺は数日前に交通事故に遭い、意識不明になってずっと眠っていたらしい。後、会話をしていて分かったが、なんか俺の話し方に感情がこもってないような感じがする。

 

 

「ふむ、成る程。……どうやら君は記憶喪失の様だね」

 

「ほう……記憶喪失か。まぁ、そうなるだろうな」

 

「……なんだか、まるで5歳児とは思えない話し方だねぇ?」

 

 

医師が不思議そうな表情で俺をジロジロ見てくるが、視線を合わせない様にしていると、やがて肩を竦めて看護士を連れて病室のドアに向かって歩き出した。

 

 

「まぁ、君はしばらくの間ここで入院してもらうよ。何かあったらそこのボタンを押して呼んでくれ。ではお大事に、綾辻くん」

 

「………待て、それは俺の名前か?」

 

 

今聞き捨てならない名前で呼ばれた気がするぞ?綾辻?綾辻くんって言ったか今!?ま、まさか神様が言ってた新しい体って……!?

 

 

「む?おぉ、そうか。そう言えば自分の名前も忘れているんだったね。教えてあげよう………、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

綾辻行人(あやつじゆきと)。それが君の名前だよ」

 

 

医師は俺の名前を答えると看護士と一緒に今度こそ病室を出て行った。

 

綾辻行人ーーー能力名『 Another(アナザー)

 

それは【文豪ストレイドッグス】の外伝に登場する名探偵であり、日本政府による危険異能力者リストのトップに立つ、特一級異能力者の名前だ。その能力は、“殺人事件の犯人を見抜くと、様々な確率を飛び越えて犯人が必ず事故死する”能力。その能力ゆえに、綾辻行斗は『殺人探偵』などと呼ばれている。

 

で、俺はその『殺人探偵』になってしまった訳だ。はっはっはっ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

やりやがったなあのクソガキぃぃぃぃいいい!!!

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