殺人探偵?うっせぇ好きでやってんじゃねーよ!!   作:☆桜椛★

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第4弾 乱入クエスト

「……以上が、この試験の内容だ!」

 

 

ふむふむ、成る程。つまり極道女教師の説明を簡単に纏めると、武偵校側が用意した訓練用の建物内で、ゴム弾使用の実銃とその弾倉2つ、閃光榴弾(フラッシュバン)音響手榴弾(スタン・グレネード)発煙手榴弾(スモークグレネード)を使ってリアルサバイバルゲームをしろと。

 

うんうん、実に強襲科らしい試験内容だ。やっぱり俺が受ける事になっていた鑑識科の試験では絶対に無さそうな試験内容だな〜あっはっは……、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(さ、最悪だぁぁぁああ!!畜生あの極道女教師!選りに選って俺を武偵校で1番入りたくない最悪の学部の試験会場に連れて来やがったぁぁぁああ!!)

 

 

冗談じゃないぞ!ただでさえクソ板のせいで日々命の危機に瀕しているってのに、探偵学部よりも入りたくない毎年生徒の約3%が卒業までに死ぬ所に入るなんて真っ平ごめんだぞ!つーか本当の受験生くんは何処で油売ってんだよさっさと来いや!は、早く俺の試験会場が違うって事あの極道女教師に知らせねえと!

 

 

「ちょっ《シャラン♪》……え?」

 

 

あっれ〜?おかしいなぁ〜?今めっちゃこの場で聞こえてはいけない悪魔の音が聞こえた気がするんだけど?気のせいだよな?気のせいであってくれ!!お前今までなんかクエスト出したらクリアするまで他のクエスト持って来なかったろ!?

俺が幾ら気のせいだと自分に言い聞かせていても目の前に浮かぶ忌々しいクソ板がこれは現実だと訴えていやがる。

 

 

「はぁ〜〜……最悪だ」

 

 

いやもうホントに気のせいであって欲しかったわ。もう何なんだよ?俺は今、お前が出したクエストのせいで死にそうだから、仕方なく嫌々行きたくない学校の入学試験を受けようとしてんだぞ?こんなクソ忙しい時に俺に何やらせようってんだよ?

俺はクソ板を無視して死んだりする(ほぼ確定)のは嫌なので、覚悟を決めてクソ板に書かれている内容を読んだ。

 

 

『乱入クエスト!』

 

モ○ハンかよ!!

 

 

こんのクソ板ぁ!!何某巨大モンスターを狩る不死身のハンターのゲームの真似してんだこの野郎!何か!?ジン○ウガやイビ○ジョーでも試験に乱入してくるってのか!?ふざけんな!即喰い殺されるわ!

あ〜〜……畜生もう嫌な予感しかしねぇ!いったいどんな無茶なクエストやらされるんだ俺?

 

 

『今日中に強襲科の入学試験に紛れ込んだ連続殺人鬼を見つけ、犯罪の証拠を提示し、犯人だと証明しろ!』

 

はぁ!?

 

 

殺人鬼ぃ!?何でそんな奴が入学試験に紛れ込んでんだ!?つーか何このクソ板俺に殺人させようとしてんの!?俺が犯人に証拠提示して証明させた時点で、異能力『Another』が発動して犯人事故死すんだぞ!?

 

 

(ぐぬぬぬ……っ!これで俺も『殺人探偵』の仲間入りか!)

 

 

ごめんなさい前世の父さん母さん!そして今世の綾辻行人くんのお父様とお母様!俺は今日、連続殺人鬼とは言え人を間接的に殺す事になってしまいましたごめんなさい!恨むならクソ神様を恨んでくれ。

 

 

「おいそこの!いつまでボケ〜っと座っとる気や!さっさとこれ持って試験会場に入れ!!」

 

「グフッ!!」

 

 

前世と天国にいる両親に心の中で謝罪をしていると、極道女教師に弾倉2つと各種手榴弾を押し付けられ、再び服を掴まれて引き摺られる。

ちょ!ヤバいヤバい!めっちゃ首絞まってる!首絞まってるから!自分で歩くから早くその手を放し……あれ?

 

 

「……銃は貸し出されないのか?」

 

「ああん?んなモン自分の使えや!普段から使ってる銃で試験に挑めるんや。有り難く思えこのドアホ!!」

 

俺持ってねーよ!!

 

 

んなモン今世どころか前世でも持った事ねーよ!誰もが常に銃を所持してるとでも思ってんのか!?あぁ!ちょ!止め……っ!!

 

 

「オラァ!さっさと行けやぁ!!!」

 

「ぐっ!!?」

 

 

痛たた…ったくあの極道女教師め。いったいどんな腕力してんだよ?片腕だけで投げたのに5mくらい吹っ飛んだんだが?しかも丁寧に放り込んだ後扉閉めて鍵まで閉めやがった。

 

 

「やれやれ……やるしかないのか」

 

 

俺は仕方なくポケットから手帳とペンを取り出し、周囲に監視カメラなどが無い事を確認してから白紙のページにペンを走らせ、そのページを破る。

こうなったら覚悟を決めるしかない。他の受験生くん達には非常に申し訳ないが、これも俺が生きる為だ。人助けだと思って勘弁してくれたまえ。

 

 

「異能力『独歩吟客』!自動拳銃(ハンドガン)!」

 

 

俺が異能力を発動させると、破かれたページから光の文字列が溢れ出し、さっきの会場で他の受験生が持っていた自動拳銃になった。

初めて本物を持ったが、思ったよりずっしりしているな。これなんて名前なんだろうか?まぁ、使えればなんでもいいんだけど。

 

 

『よぉし!お前等準備はええな!?試験始めぇ!!』

 

「始まったか」

 

 

さて、頑張って生き残るとしよう。

 

 

 

 

 

 

蘭豹side…

 

 

「おうおう、やっとるなぁ」

 

 

ウチはあのキャスケットを被った受験生を訓練施設に放り込んだ後、施設内のあちこちに設置された監視カメラを通じて入学試験が始まった訓練施設内の様子を、他の教師共と一緒にモニター室で観察しとった。

今年の受験生は血の気の多い奴は多いが、腕がイマイチなのが多いな。

 

 

「お?この12番のモニターに映っとる受験生、そこそこいい腕やな」

 

 

ウチが見ているモニターに映るのは1人の男子受験生。こいつはさっきから何人も受験生を撃退しとる。狙いは百発百中、しかも被弾どころか攻撃一つ擦りもしとらん。

 

 

「あぁ、確か彼は遠山金次(とおやまキンジ)くんですね。確かに彼も凄いですが、私としてはこの21番モニターに映ってる彼に興味がありますね」

 

「ほぉ!どんな奴……は?」

 

 

ウチの隣に座っとった同僚が示した21番のモニターに視線を向けてみたら、そこにはウチが訓練施設内に放り込んだあのキャスケットを被った受験生の姿があった。

正直信じられん。会ってほんの少ししか経っとらんが、あいつは素人同然やった。確かに体は出来とったが、試験内容の説明中に溜め息を吐いたり警戒心も何もないような奴や。何度か根性叩き直したろうかとも思った。他の受験生とかち合えば真っ先にやられる様な奴やろうから、もうとっくに脱落しとると思ったが……、

 

 

「……こいつ、何やったんや?」

 

「それがですね……おや?あぁ、ちょうどいい。見てれば分かりますよ」

 

 

モニターに視線を戻すと、ちょうど例の素人受験生に他校の受験生が背後から奇襲をしようとしている所やった。このままやったらあいつは背後から撃たれて脱落や。……そう、思っとった。

 

 

「……なぁ!?」

 

 

ウチは柄にも無く本気で驚きの声を上げた。他校の受験生が放った弾丸をあいつは視線も向けず(・・・・・・)に必要最小限の動きで躱しおった。しかもそれだけやない。あいつが躱した弾丸はそのまま真っ直ぐ進み、あいつを撃とうとちょうど柱の影から飛び出した他の受験生の持つ音響手榴弾に命中して爆発し、そいつの意識を奪った。

 

凄じい閃光と音響が鳴り止み、全く別の目標を撃ってしもうて驚いていた最初の受験生は、更に撃とうと狙いを定めるが、その前にあいつが1発だけ撃った。しかし弾丸は明後日の方向に飛んで行き、最初の受験生はあいつにハジキ(拳銃)のセンスが無いと思ったのかニヤリと笑うた。

そして改めて狙いを定めて引き金を引こうとすると、その受験生の頭の上に天井のコンクリートの大きな破片が直撃し、そのままその受験生の意識を奪いおった。

最後に立っとるのは、あのキャスケットを被った受験生のみ。

 

 

「……まさか、全部狙っとったんか?」

 

「もうこれで4回連続。偶然なんかではありません。確実に狙ってやってますよコレ」

 

 

4回連続……1回だけなら兎も角、4回もそんな幸運な出来事が続く筈ない。つまりあれは、全てあいつの計算通りって事や。自分が背後から撃たれる事も、躱した弾が他の奴に命中する事も、その弾丸が他の受験生が持つ音響手榴弾に当たって爆発してそいつを気絶させる事も、自分が撃った1発の弾丸が相手を気絶させる事も。

 

……いや、ここまで来ると最後の1発も狙って撃ったんやろうな。防弾制服を着とる奴を1発で気絶させるのは近距離じゃないと難しい。ましてやゴム弾では0距離で撃たんとほとんど効果は無い。だからあいつは天井のコンクリートを撃ち砕いて、その破片をそいつの頭に直撃させて気絶させたんやろ。

それにあいつは爆発する前に耳を守り、閃光は遮光眼鏡で防いで無傷ときた。

 

 

「成る程なぁ?確かに興味深い奴や。実力を隠しとったんか」

 

 

まさかウチにも気付かせないとはな。ウチを騙しとったは腹立つが、面白いもん見せてもうたんで、チャラにしたるわ。

 

 

「ら、蘭豹先生!大変です!!」

 

 

ウチが良い気分になって観察を続けとると、急にモニター室のドアを勢い良く開けて、他の試験会場に居るはずの禿頭が特徴的な同僚が息を切らしながら入って来た。

 

 

「ああん?なんや!騒々しいぞハゲ!どうかしたんか!?」

 

「はぁ…!はぁ…!た、大変です!さっき連絡があって、強襲科の試験を受ける予定だった男子受験生が1人、人気の無い裏路地で殺されていたそうです!」

 

「何ぃ!?どう言う事や!?」

 

 

強襲科の受験生が1人殺されたやと!?今回の受験生全員が集まったから試験を始めたんやぞ!?まさか、この試験に間違えて参加してもうとるんか!?(お前のせいでな!)

 

 

「背中に刃物の様なもので滅多刺しにされていたらしいので、他殺である事は間違い無いと探偵学部の者達が断言しています。それと、鑑識科を受ける予定だった子が1人来ていないのですが……この子、どなたか見ていませんか?」

 

「いったいどんな奴…や……へ?」

 

 

禿頭の同僚が取り出した資料に載っていたのはウチが試験会場まで引っ張って来て、さっきも訓練施設内に放り込んだキャスケットを被った受験生の顔写真やった。つまりアレや。ウチは間違えて鑑識科を受ける予定だった奴を強襲科の試験に参加させたと……、

 

 

「………やってもうたなぁ」

 

 

あいつ、鑑識科志望やったんか……。

 

 

 

 

 

 

綾辻行人side…

 

 

きょ、強襲科半端ねえぇぇぇぇええ!!みんな殺る気あり過ぎだろ!開始当初から銃声やら爆音やらがあちこちで鳴りまくってるよ!しかも今さっきだってちょっと躓いて左に体傾いた時に俺の頭掠めて銃弾飛んでったよ!挙げ句の果てにはその弾丸が俺の前に飛び出した受験生の音響手榴弾に当たって爆発するし!俺が撃ち返した弾は変な所飛んでったしよ!

まぁ、幸い弾が当たったコンクリートの天井がボロくて、崩れたコンクリートの大きな破片があの受験生の頭に直撃して気絶してくれたから良かったけど、もう心臓に悪過ぎるわコレ!今はなんか銃声とか鳴り止んでるけど、それが逆に不気味過ぎる!

 

 

「はぁ……いつまで続けるつもりだ?」

 

 

俺もう疲れたよ。早く試験終わってくれよ。しかも俺この後今日中に連続殺人鬼見つけて犯人だと証明させないといけないってのに!……そういや成功報酬とクエスト失敗のペナルティー確認してなかったな。

 

 

「フッ……やっぱり気付いていたのか」

 

(うん?)

 

 

背後から声がしたので振り返るとそこには拳銃を構えた1人の黒髪の男子受験生がいた。

 

……え?いつからそこに居たの?

 

 

「よく分かったな。まるで背中に目でもついているかの様だ」

 

「そんな人間がいる訳がないだろう」

 

 

そんなん居るとしたら妖怪か化け物かのどっちかだわ。いや、それよりもホントお前いつからそこに居たの?全然気付かなかったんだけど?『気付いていたのか』って、ホントあんた何言ってんの?

 

 

「ははっ!確かにそうだな。さて、じゃあそろそろ俺ともやり合おう。もうこの建物に残っている受験生は君と俺だけなんだからな」

 

「………何?」

 

 

もう残ってるのは俺とこいつだけ?あの試験会場に集まっていた受験生はかなり多かった筈だけど?俺は倒せてないけど、他の奴同士で相討ちになったり、自滅したりした奴を見たのはたったの8人。

 

と、言う事は……、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

お前が連続殺人鬼か!!

 

 

今思えばあのクソ板が態々乱入クエストなんて言った程の奴だ!そんな奴が絶対弱い訳がない!ジン○ウガやイビ○ジョー並みの猛者に決まってる!クッソ!なんでそこに気が付かなかったんだ!あのクソ板が初めて出した乱入クエストだぞ!?普通じゃない事くらい予想出来るだろう!

 

それにあのクソ板の事だ、絶対こいつは俺を殺しに掛かって来るに決まってんだ畜生!あぁーもうやってやんよこの野郎!どうせこいつを犯人だと証明させないとどの道死ぬんだからな!

 

 

「……俺は全く戦闘は出来ないんだがな」

 

 

俺は覚悟を決めて遮光眼鏡を外すとポケットにしまい、代わりに伊達眼鏡を取り出した。彼は訝しげな表情を浮かべながらも銃を俺に向けたまま睨んでいる。

 

 

「……眼鏡?君は視力が低いのか?」

 

「いや?これはただの伊達眼鏡だよ」

 

 

俺はそう言いながら伊達眼鏡を掛ける。なんか知らんが彼はその間待っててくれた。だが油断したなこの野郎!これで俺の勝つ確率が幾つか上がったぞ!!未来さえも推理出来るこの異能力を使えば、お前なんか怖くないわ!

………あ、ごめん嘘。やっぱり怖いです。

 

 

(とにかく、異能力!『超推理』!)

 

 

そして俺は異能力『超推理』を発動させた。ふふふ♪これでお前が何をしようと推理出来る!さぁ、お前はどんな手を使っ…て……あれ?

 

 

「……俺と戦う前に、君は背後に隠れている殺人鬼(・・・・・・・・・・・)に銃を向けておいた方がいいぞ?」

 

「?いったい何を言って……っ!?」

 

 

俺が彼にそう忠告すると、彼はハッと気付いた様子で背後に向けて銃を構えた。彼の銃口が狙う先には、赤い髪をした1人の成人男性が立っていた。その男は何も言わず、ただジッと俺を見ていた。

 

 

「初めましてだ連続殺人鬼くん。いや、今は試験官くんと呼んだ方がいいのかな?」

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