殺人探偵?うっせぇ好きでやってんじゃねーよ!! 作:☆桜椛★
「うーむ………拳銃だけでも色々あるんだな」
東京武偵校入学まで後数日となったある日、俺は目の前にズラリと並んでいる
武偵校には校則として、防弾繊維で作られた防弾制服の着用と、拳銃や刀剣類の携行が義務付けられているのは以前話したと思うが、一般中学卒業生の俺はご存知の通りちゃんとした俺の銃ってものが無い。試験の時に『独歩吟客』で具現化した拳銃使えば良くね?と最初は思ったのだが、あれだけ狙った場所に飛ばないのは俺の腕じゃなくてあの記憶した銃が壊れていたと思うのだよ。だからキチンと自分で選んで買おうと思った訳だ。
だからあまり会いたくなかったが、あの暴力極道女教師こと蘭豹先生に相談した所、武偵校の購買部に案内された。
そう、
ところで聞くが、みんなは学校の購買と言えばどんなものを売っていると思う?普通に考えれば授業に必要な鉛筆やシャーペンとその芯、ノートやのり、その他色々な文房具などを取り扱っているのを想像するだろう。
だが、東京武偵校……と言うより、武偵校の購買ではそれに合わせて銃火器や刀剣類を販売しているのだ。しかも無駄に多種多様過ぎるんだよ。銃は拳銃から何故か対戦車ミサイルまで、刀剣類は小型の折り畳み式ナイフから達人が持ってそうな業物まである。
信じられないだろうが、実際そこに来てどの銃にするか悩んでる俺が言うんだからマジなんだよなぁ。
「……っ!おい綾辻ぃ!まだ決まらんのか!?」
「そう怒鳴るな蘭豹先生。これだけの種類があるんだ。どれにすれば良いか俺でも悩むさ」
つーかなんであんたまだここに居るんだよ?俺は確かにあんたに相談したし、案内してもらいはしたが、何も俺が今後使う銃を選ぶのにも付き合わなくていいんだぞ?そもそもあんた俺が訪ねた時パソコンに向かってなんか作業してたよな?あれ仕事に関係するやつだろ?仕事やんなくていいの?
「そもそも綾辻。お前もうハジキは1丁持っとるやろ?なんで今更もう1丁買う事にしたんや?」
(はぁ?)
銃持ってないから買いに来たんだろうが。何?そんな事も忘れたのか?脳味噌まで筋肉に侵食されちゃったのかこの人?
「おう、なんか今お前、結構調子乗った事考えとらんかったか?捻り潰すぞ?」
「別に……ただどの銃にしようかと迷ってただけだ」
あっぶな!!え?何この人怖っ!!なんで俺の考えてた事分かったの?エスパー?ポケ○ンのサー○イトみたいに特性にテレパシーでも持ってんのか?
………あ、いや。この人どちらかと言えばエスパータイプじゃなくてかくとうタイプかあくタイプだわ。
「それより、俺がもう銃を持っているとはどう言う事だ?俺は拳銃どころかナイフ1本すら持っていないぞ?」
「ああん?じゃああの試験で使っとったハジキはどうした?」
試験でって……あ!『独歩吟客』で具現化したあの自動拳銃の事か!ヤッベ完全に忘れてた!異能力使った時は辺りにカメラがないか確認したけど、具現化した後はカメラに気にせず使ってたからなぁ。ど、どうする?『異能力で作りました』なんて言って『あぁ、そうなんか』で終わる奴に見えねぇし、下手したら余計に面倒臭い事になりそうだ。
「あ、あぁアレか。こっそり他の受験生から拝借した。勿論、後で返しておいたがね」
「ほぉ?受験生の中に銃が無くなったなんて言いに来た奴は居らんかったんやけどなぁ?(それはつまり、持ち主に一切気付かれずにハジキスって試験で使い、そんで返したっちゅー事か。器用な奴やなぁ)」
「当然だ。バレないようにする為にこっそり拝借したんだからな」
こ、これはセーフなのか?取り敢えず適当に思い付いた事言ってみたんだけど誤魔化せたかな?なんか俺を面白い玩具を見つけたと言わんばかりにニヤリと笑みを浮かべながらめっちゃ見てくるんだけど!?
銃を選びながら内心そんな事を考えてたらりと嫌な汗を1雫流していると、蘭豹先生の携帯が鳴り始めた。すると彼女は滅茶苦茶嫌そうな表情を隠す事なく電話に出て、しばらく会話した後小さく舌打ちしてから電話を切った。
「おい綾辻ぃ。悪いがウチはちょいと用事出来たから戻らせてもらうわ」
「あぁ、別に構わないよ。ありがとう」
俺は面倒臭そうに去って行く蘭豹先生の背中を見送り、再び視線を並んだ拳銃に向けた。しかしホントに滅茶苦茶種類あるなぁ……ん?
「試し撃ちOK……?」
拳銃コーナーの隅に小さなプレートにそんな事が書いてあった。詳しく読むとここでは購買の人同行でなら何丁か銃を持って隣の射撃場で実際に撃って選んでもいいらしい。成る程、これはいいな!なら早速幾つか気になった銃を選んで……っと!
「あぁ、君。済まないが、これ等の銃を試し撃ちさせて貰えないか?」
★
バンッ!バンッ!バンッ!
3発の銃声が射撃場内に響き渡る。俺が今持っている『シグザウエル P220』から放たれた3発の弾丸は、25m程離れた場所にある人型の的に命中した。まぁ、『命中した』なんて言っても、実際に狙ったのは的の真ん中の胸やヘッドショット狙いで頭部なのだが、1発目は人型が持っている拳銃部分、2発目と3発目は左肩と右膝と言った具合に、見事に狙いから外れまくっている。因みにこれで7丁目だ。
(………いや、おかしくね?)
全っ然当たんないんだけど!俺ってこんなに射撃のセンスなかったっけか!?もう何十発も撃ってんのに1発も狙い通りの方向に飛んで行かないんだけど!?もうこれ銃がおかしいってレベルじゃねぇ!俺の射撃のセンス壊滅的じゃねーか!!
「(い、いや。諦めるな。もしかしたら俺に合った銃を使えば百発百中になるかも知れない!なら…)これは違うな。別の銃にしよう」
それにもし全部駄目だったら適当にかっこいい銃買って帰ろう。どれ使っても駄目なら別に変わんないしな!(泣)
そして俺はシグザウエルを机に置くと、今度は『コルト・ディテクティブスペシャル』とか言うなんか難しい名前の回転式拳銃を手に取り、シリンダーに弾を入れて行く。そして6発全部入れ終わると、『コルト・ディテクティブスペシャル』……って長いな。取り敢えずそれを構えると的の中央を狙って全弾続けて撃った。
「……これもダメか」
そして俺は小さく溜め息を吐いて銃を机の上に戻した。結果は綺麗に狙っていた真ん中を避けて円を描く様に命中していた。狙った所に行かなかった割に綺麗に円が出来てるのが無性に腹立つな畜生。
「おいおい!あいつどんな腕持ってんだ!?」
「あんな綺麗な円を描けるなんて……ただ者じゃないな」
「それにさっきだって、的に描かれた銃を撃ち抜いて、犯人を行動不能に出来る様な部位を撃ち抜いてたわよ?」
「それでダメって……自分に合った銃でやったらどうなるんだ?」
なんかさっきから射撃場にいる先輩であろう制服姿の人達がこそこそ話してるんだよな。小さくて聞き取れないけど、多分俺の射撃センスの無さについて話してるんだろうな……はぁ。
(取り敢えず次で最後にするか……)
俺は内心溜め息を吐きながら持って来た最後の1丁を手に取った。最後の銃は『S&W M19 コンバットマグナム』と言うかの有名な大泥棒、ル○ン三世の相棒であるガンマン、次元○介が愛用している回転式拳銃だ。
ぶっちゃけこれは見た目の良さで選んで持って来た。だってかっこいいじゃん?次元○介。前世で好きなキャラの1人だったんだもん。だからもうこれで1発でも狙い通りに飛んでくれればこれにするつもりだ。
俺は内心ちょっとだけ興奮しながら弾を込め、的を狙った。弾は6発、狙うは中心の人間で言えば心臓がある所!
しっかり狙って……、
(撃つ!!)
ガウン!ガウン!ガウン!
先ずは3発撃った。だが弾は狙いを外れてまたもや拳銃部分と、両肩に1発ずつ着弾した。的に当たりはしている。でも狙った場所に当たってない。だがまだだ。後3発残ってる。
ガウン!ガウン!
続けて2発撃った。だがこれも外れ。2発とも人型の両膝部分を撃ち抜いた。クッソ当たんねぇ!俺の射撃センス壊滅的だな!
(さて、最後の1発!当たってくれよマジで!)
ガウン!!
俺は引き金を引いて最後の1発を発射した。放たれた弾丸は俺が狙った通りの場所に向かって真っ直ぐ飛んで行く。もしかして、当たるのか!?当たってくれるのか!?良し!いいぞ!そのまま真っ直ぐ行け!行ってくれ頼むよマジで!!……ってあれ?なんで俺銃弾が飛んで行くの見れてるんだろ?
バスッ!
「………フッ」
やったぜ☆撃った弾はやっと俺が狙っていた中央に見事命中した!綺麗にど真ん中をぶち抜いたぜ!もう奇跡だ!よしこれに決めた!見た目もかっこいいし、確か回転式拳銃って自動拳銃と違って弾詰まり…ジャムるって言うんだったか?それがないらしいし。
「これにする……?おい、どうかしたか?」
「………え!?あ、いえいえ!じゃ、じゃあ会計はレジで!」
「?……あぁ」
なんか同行して貰っている購買の人がポカンと口を開けて呆けていたので声を掛けると、ハッ!とした様子で持って来た銃を手際よくケースに仕舞うと、購買のレジの方に行ってしまった。なんであんな風に呆けていたのか見当も付かなかったが、取り敢えず代金を払う為に俺もレジに向かった。
★
(思ったより安かったな…)
俺は『S&W M19』とそれを入れるホルスター、そして『.357マグナム弾』が詰まった箱を数箱購入して、購買部を後にした。取り敢えず俺は早速ホルスターを付けて、『S&W M19』に弾を入れた状態でホルスターに仕舞った。思ったより安かったのが意外だったが、頻繁に銃や弾丸を買う武偵校だからか?
「……まぁ、気にする程でもないか」
しかしちょっとお腹空いたな。そこのコンビニで肉まんでも買って食べるとするか。
「おっと、すまない」
「…………?」
コンビニに入ろうとしたら、ちょうど入り口から出て来た買い物袋を持ち、肩に確か『ドラグノフ狙撃銃』とか言う名前だった筈のスナイパー ライフルを担いだ少女に少しぶつかってしまったので謝罪した。しばらく経っても彼女からは何も言って来ないので、『もしかして滅茶苦茶怒ってらっしゃる?』と思い内心冷や汗を流す。
「………いえ、大丈夫です」
(……ホッ)
やっと彼女がそう答えてくれたので、今度は内心ホッとしながら取り敢えず道を開ける。少女はジッと俺の方を見た後、スタスタと歩き去って行った。
しかし、改めて見ると不思議な子だったな。水色のショートカットにヘッドフォンを着けたまるで人形の様な美人なのだが……俺と同等かそれ以上に無表情だったんだよな。しかもあの子の持ってた買い物袋、見間違いじゃなかったら中身全部カロリーメイトじゃなかった?
(人の好みって様々なんだな……)
少女を見送った後、俺もコンビニに入った。……ふむ、お目当の肉まんだけでもいいが、どうせこれから帰る事だし、次いでに今晩の飯用に弁当かカップ麺でも買ってくか。
(しかし、このままコンビニ弁当やカップ麺生活してたら色々ヤバイな……明日からは自分で作るか)
ぶっちゃけ面倒臭いけど、出来ない訳じゃない。前世じゃ一人暮らしで、飯は自分で作ってたし、今世でも爺さんの代わりに飯を作るなんて事が結構あったからな。因みに爺さん曰く、『行人の腕なら普通に料理人としてやっていけるのう。世界狙えるかも知れんわい』とか言ってたから、結構美味しいらしい。毎日食ってた俺にはよく分からないがな。
(……ん?……んん!?)
なんかカロリーメイト置いてある筈の棚が殆ど全部無くなってる。もしかしてさっきの子が?……いやいや、幾ら何でもそんな事はあり得ないか。
俺は有り得ないだろうと首を振って、飲み物を適当に選び、弁当コーナーへ向かった。うーん。唐揚げ弁当、海苔弁当、ハンバーグ弁当、焼肉弁当……色々有りすぎて迷うな。パスタ系やうどん、焼きそばなんかも有るし。
(……良し!ちょっと高いが、焼肉弁当にしよう!自分用の拳銃買ったお祝いって事で!)
俺はちょっと高い焼肉弁当をカゴに入れると、レジに向かった。カウンターの上にカゴを置き、会計をしてくれている店員さんに肉まんを注文する。
「すまないが、肉まんを1つ頼む」
「あぁ、すみません。肉まんは今切らしてまして」
それは残念。じゃあ取り敢えずチキンか唐揚げでも頼むか。
「あ、桃まんなら有りますが……買います?」
「買わん」
いやなんだよ桃まんって?いったいどんな……って、え!?マジで桃だ。何これ?なんか桃太郎とかで川を流れてそうな見た目のやつがあるよ。美味しいのかなこれ?めっちゃ売り残ってるけど……。
まぁ、取り敢えず俺は肉まんの代わりにチキンを頼み、買ったものをレジ袋に入れてもらってから、会計を済ませた。
(さて、早速いただきま〜……)
「オラ動くなぁ!!このバッグに金をありったけ入れろ!!」
うわぁ〜久しぶりのコンビニ強盗だ〜♪あっはっは☆
「………クソが」
★
レキside…
(あの人は、いったい何者だったんでしょうか?)
私は先程コンビニの出入口でぶつかってしまった人に疑問を抱きながら、帰路に就いていました。
先程ぶつかってしまった男性……彼には特に殺気やそう言った類の気配などは有りませんでしたが、彼に触れた一瞬だけ、今まで聞こえていた風が全く聞こえなくなりました。今は問題なく聞こえていますが、風が彼を警戒しろと言っています。
私は、一発の銃弾。故に何も考えず、ただ風が命令した事に従うだけ。
ですが、何故かほんの少しだけ、私はあの不思議な彼に興味と言う感情を覚えた様な気がします。