熱いの嫌なのでINT極振りの氷結特化にしたいと思います 作:ヴィヴィオ
お姉ちゃんとそのお友達さん達に協力してもらい、【氷魔法】を手に入れた私は打ち上げにお姉ちゃんと一緒に参加した。知らない人がいっぱいで、怖かったけれどお姉ちゃんが一緒だし、手伝ってもらったからお付き合いしないと駄目だよね。まあ、お姉ちゃんの服を掴んでずっと隣にいたら大丈夫だった。
お姉ちゃんの反対にはミザリーさんが座ってくれたし、他の人は二人がブロックしてくれた。それに皆、お姉ちゃんの事が好きみたいで、お姉ちゃんが大事にしている私に変な事はしてこなかった。ただ、いっぱいお菓子とかくれたけれど。
しばらくしたら、お姉ちゃんは食事の為に一度ログアウトする事になったので、解散となった。私もお姉ちゃんが居なくなれば何時もの通り、一人で行動する。
「これからスノーはどうするの?」
今は私と手を繋いで宿まで移動しているので、誰もいない。だからか、お姉ちゃんが優しい口調で聞いてくる。
「これからイズさんのお店に行って、ポーションと杖を貰うの」
「それならそこまで送っていくね。頼みたい事もあるし」
「
お姉ちゃんとお話をしながら、イズさんが開いたお店に到着する。扉をお姉ちゃんが開けてくれたので、するりと中に入る。別に一人でも開けられるけれど、こういうちょっとしたことで優しくしてくれるのは好き。大事にされてるってわかるから。
「はい、ありがとうございます。あら、ミィにスノーちゃん。いらっしゃい~」
お店の中は沢山の人が居て、イズさんが接客していた。入って来た私達に気付いたイズさんはお客さんに何かを告げたあと、こちらにやってきた。
「凄く繁盛しているみたいだな」
「ええ、これもスノーちゃんのお陰よ」
「そう、なの?」
「そうなのよ。スノーちゃんから貰ってる月水樹の枝や果実が色々と使えるのよね~」
「まあ、水魔法を使う者にとってはかなり使えるか」
「ダメージ増加と消費削減が確定でつくし、果実や月の雫はポーションの素材になるもの」
「ちゃんとスノーにも利益があるのなら構わないが……ちゃんと渡してるよな?」
「もちろんよ。スノーちゃんには毎日、沢山の回復アイテムを提供しているし、新しい武器も作ってあげているわ」
「
「それならいい。っと、早めに用事を終わらせないとな。イズ、悪いが風属性の支援魔法使い用装備を一式用意してくれ。赤色は使わないようにして、姿が私に見えないように作ってくれるとありがたい」
「それってスノーちゃんとのお出掛け用?」
「ああ。あくまで補助だから攻撃はするつもりはないから、そこまで性能がいい奴じゃなくていい。それとなんだ。その、値段は抑えてくれるとありがたい」
「了解よ。確かにメインじゃない装備にそこまでお金はかけられないわよね。素材は何があるかしら? 持ち込みじゃないと安くはできないわ」
「大量に持ってきた。余ったらスノーの装備に使ってくれ」
「ええ、わかったわ。詳しくはあちらで話ましょう。スノーちゃんは……」
「私は裏にいます」
「お願いね」
「また後で」
お姉ちゃんの話が終わるまで、私はお店の裏に移動する。裏口から外に出ると、そこは少し広い庭になっていて、薬草畑などがある。ここで採取された素材がポーションへと作り変えられているというわけだね。私の目的は庭の端っこにある水源。そこには大き目の池が作られていて、月水樹が数本生えている。
全部、私が育てた奴でイズさんが好きに採取している奴になる。状態を確認してから、設置されているアイテムストレージ、これはボックスタイプだからアイテムボックスかな。それから沢山のマジックポーションを私のアイテムストレージに収納していく。それから、月水樹達触れてマジックポーションで回復しながらMPを注いで元気にしていく。
全部の状態を確認して、一番いい木の一本は実を作らせて回収する。それ以外はMPを与えて実が出来る直前でMPの供給を止めてアイテムストレージから出したノコギリで伐採していく。もちろん、実を取った月水樹も同じ。
「ばっらばら~♪」
伐採していくけれど、途中で一つ思ったのはこれも魔法でやった方が早いかもしれない。【水魔法】で円錐状にして月水樹を切ってみる。ちゃんと切れて一気にできた。やっぱり、INTが高いだけあって、こっちの方が効率がいい。
じゃあ、次は【氷魔法】でやってみよう。イメージするのはチェーンソー。最初から【氷魔法】だけでチェーンソーを作り出すとMPの消費が高くて辛い。でも、【水魔法】でチェーンソーの形を作ってから、【氷魔法】で凍結させればいい感じに減ってくれる。
おそらくだけど、【氷魔法】は水分を集めてから作っているから、その前の過程を【水魔法】を使う事で削減できるのかもしれない。
「ふふふ、これで近接戦闘武器ができたね!」
大きな一メートルくらいある氷の塊。それを持ち手を握って思いっきり振り下ろしてみる。木に接触した瞬間、高速回転する刃が氷の欠片を巻き散らかしながら月水樹を切断した。それも切った場所は氷漬けになっている。問題点は少し重い事かな。それでも普通に作るよりも軽いし、何よりも綺麗で冷たい!
あと、試してみたいことは何か有ったかな?
そう思いながら、周りを見ていると伐採した水樹の枝があった。これを氷結したどうなるのか気になる。なので試してみる。すると木の枝が凍った。けれど素材にできそうにはない。攻撃と判断されたみたいで消滅してしまった。こうなると、後は品種改良しか思いつかない。月水樹を最初から最後まで冷たい凍る直前の水で育てるのはどうだろうか? でも、流石にここじゃ実験はできない。何故なら池は一つしかないから。
「まあ、水樹はいっぱい育てているし、その時にできた実を使えばいいかな」
「スノーちゃん、お待たせ」
「お姉ちゃんは?」
「ログアウトしたわ。スノーちゃんによろしくって」
「ん。それで取った枝と実はアイテムボックスに入れておけばいい?」
「それでお願いね。それとこれは約束の杖よ」
「
「ふふ、それは私の中でも最高傑作に近い品よ。INTの補正は+30とMP+20。効果として水魔法のMPを30%カットして、威力を30%強化するわ」
「凄い!」
「後、何か欲しいのはある?」
「えっと、スケートシューズが欲しいの」
「スケートシューズって、フィギュアスケートとかの?」
「
「もしかして、凍らせた地面を滑って移動速度をあげようとしているの?」
「そっちの方が速度でそうだから……」
「すこしリアルで調べてみるわね。刃に関しては魔法で作るほうがいいかもしれないわね。凍らせていない場所じゃ使えないでしょうし……」
「ん、確かに……」
「まあ、試しに作ってみたらいいわ。面白そうだし、無駄にはならないでしょう」
「
「ふふ、お姉さんに任せなさい」
お姉さんに任せてもう眠いし、妖精さんのところに向かう。あそこなら静かに寝られると思うしね。
◇◇◇
「いらっしゃい。僕は雪の妖精。悪い妖精達に力を封じられて……」
「え?」
井戸からダンジョンに向かい、流されてダンジョンの中に入った。それから外に顔を出してみると妖精さんが復活していた。それも私の事は覚えていないみたい。
「あれ、君の左目には僕達妖精の呪いがかけられているね。でも、その呪いは軽度みたい。この先の行けば呪いを反転させる事もできるよ」
「目が見えなくなったけれど、軽度なの?」
「そうだよ。だって、見えないだけじゃないか。もっと呪いが深くなれば見なくていいものにまで狙われるようになるよ」
虫や動物以外にも狙われるようになるんだ。それは嫌だけど……あれ、反転させる事ができるの? 呪いの反対って祝福だよね。じゃあ、力が手に入るかもしれない。
「それにしても、この呪いは……『
その言葉を聞いて、私はガシッと妖精さんを掴む。
「あ、あの、何をしているのかな? 放してくれない?」
「『気付かなければ良かったのにね?』」
「よ、妖精語! まさか奴等の手の者か!」
「『違うよ?』」
そう言いながら【月の水樹】を発動。妖精さんを捕獲する。
「『待って、それなら話し合おう! 僕は女王様と一緒に過ごしたいだけなんだ!』」
「でも、妖精さんは封印が溶けたら私を殺すつもりだよね?」
「『そ、そんなことはないよ、うん』」
視線を逸らしながら言ってくるので、毒の井戸にやられた子供達の事についても言及するとダラダラと汗を流しだして、こちらに攻撃してくる。
「【粉雪】!」
妖精さんの掌から雪が吹き出して私に襲い掛かってくる。その一撃で私のヒットポイントゲージが減っていき、倒そうと思ったら逆に殺されてしまった。
◇◇◇
蘇ってから、すぐに戻っていくとまた妖精さんが普通に声をかけてきた。その後の展開は同じだったので、今度は捕獲ではなく、即座に月水樹の枝で妖精さんを貫いてMPを吸収する。すると妖精さんは【粉雪】という魔法は発動する。最初とは違うのは、何故かと思ったけれどおそらく妖精さんはMPが無くなれば休眠状態になるのだから温存していたのだと思う。
そして、最初は決死の覚悟を決めるのが遅くて成長しきった月水樹を突破する事はできなかった。でも、今回と前回は私にかけられた呪いによって別の自分が殺された事に気付いて、即座に決死の覚悟をして攻撃してきた。だから、私はやられたのだと思う。
「でも、負けない」
月水樹の杖を地面について水を生み出して、月水樹が貫いている妖精さんの周りを高速回転させて雪を防ぐ。その間に水樹を成長させて完全に包み込む。雪は水を含むと凄く重くなるし、内部に水を流し込むようにすれば妖精さんは窒息までするかもしれない。
「さて、寝よう」
念の為に水樹の枝を伸ばして地底湖になっている部分まで進み、その中に入って常に水とMPを供給できるようにしておく。これで私が寝ている間も問題はない。水は地底湖から吸収され、MPは雪の妖精さん本人から供給されるからね。
「『おのれっ、おのれ人間!!!! この恨み、晴らさずおくべきかぁぁっ!』」
「んにゅ……」
声が聞こえて起きると、呪いの選択が選ばれたのでまた左目を選んでおく。流石に手や足が動かなくるのは嫌だし、やっぱり左目に集中させておこう。変なものが見えるようになるみたいだけど、それってつまり、新しいスキルが手に入るかもしれないんだしね。
起きたら水中に居て、周りに沢山の枝が生えている。枝を登って上に行こうとするけれど、上は天井の近くだった。よくよく見ると、広い空間がほぼ全て水で満たされていて、天井付近ですらそこに伸びた月の水樹から水が供給されている。
水中を確認すると沢山の実ができているみたいなので、それらを採取してアイテムストレージに収納していく。それと妖精さんが居た場所に向かうと雪妖精の結晶があったので、こちらも貰っておく。
とりあえず、妖精さんはMPをあげたら復活できるだろうし、このダンジョンを安全に攻略できるようになるまでは倒させてもらおう。それから、妖精さんを実力で圧倒して、言う事を聞いてもらえるようになれば一緒に行って冬の女王さんの封印を解いてあげたらいい。
予定はこんな感じにして、水はどうしようかな。このままにするのはもったいない。試しに飲んでみようかな?
「あ、甘くておいしい」
水を掬って飲んでみたけれど、甘くて美味しかった。回復はしていないけれど、美味しい水だった。そこでふと思って自分の手を舐めてみる。さっきよりは
やばい。回収しないと駄目だ。この水が他の人に飲まれるとか想像しただけで気持ち悪いし、やっちゃ駄目なことだ。うん、回収する方法を考えないと。全部飲むのは量的に絶対に無理!
じゃあ、他の手段を考える。アイテムストレージにそのまま収納できたらいいけど、それも無理だし……ステータスを見て確認してみよう。それとレベルが4上がってるし、増えた10ポイントもINTに振っておこうかな。
スノー
Lv16
HP 40/40〈+40〉
MP 20/20〈+180*2〉
【STR 0〈+30*2〉】
【VIT 0〈*2〉】
【AGI 0〈-50%*2〉】
【DEX 10〈*2〉】
【INT 145〈+50+40*4〉】
装備
頭 【空欄】
体 【空欄】
右手 【月水樹の杖〈INT+30 MP+20 【水魔法】のMPを30%カット、威力を30%強化〉】
左手 【両手杖】
足 【空欄】
靴 【空欄】
装飾品 【妖精の髪飾り〈INT+10〉】
【空欄】
【空欄】
スキル
【のんびりな日常】
【古代語】
【妖精語】
【水中適応】
【育樹Ⅹ】
【登攀】
【魔力体質】
【月の水樹】
【禁断の叡智】
【伐採Ⅷ】
【HP強化Ⅱ】
【MP強化Ⅲ】
【INT強化Ⅴ】
【STR強化Ⅱ】
【暗視】
【
【
【水魔法Ⅵ】
【甘露体質】
【氷魔法Ⅱ】
これでINTは235*4で940まで上がったね! 四桁目前だし、頑張らないとね。後、改めてスキルを確認していくと、使えそうなのがあった。それがこれ。
【月の水樹】
このスキルの所有者が作り出される水樹は月の水樹となり、生み出される水は【月の雫】と呼ばれるMP回復アイテムを生成する。またこのスキルは【月の魔力】と【水樹生成】を格納している。
【月の魔力】はMP+100。月の光や
【水樹生成】は身体から水樹を生み出せる。水樹の強度や品質はINTと込められたMPに依存する。
習得条件
自らの月の水樹を最大限に育てあげ、禁断の果実を収穫する。
水樹は対象からMPを吸収できる。そして、水でも回復する事はできる。じゃあ、ここに長時間私が浸かっていて、体液が染み込んだ回復できる水があるわけだけど、これって吸収する対象だよね?
「やっちゃえ、【月の水樹】!」
成長しまくっている【月の水樹】が急激に吐き出していた水を吸収していき、私のMPゲージは……回復しない。貯蓄される方は【月の水樹】を通す事で一応できている。それを使えるか試してみたけれど無理だった。
「やっぱりそう上手くはいかないか」
じゃあ、この貯蓄されたMPを作って月の雫や果実を作る事はできるかどうか、試してみる。こっちはできたので食べて回復するか試してみた。こちらも問題なく回復した。どうやら、水樹を通してろ過し、実にする事で私が回復できないという制限は解除されるみたい。後、すっごく甘くて美味しい果実と滴になっちゃった。
他にこの水の使い道はないかも考えてみる。水樹の成長には使えるんだから、放出できれば後は凍らせるだけ。こちらも実験してみると、そのままではできなかったけれど、掌とかから水樹を作って、そこから水を放出する事はできた。それに【月の魔力】で貯蓄できる量は【MP】と【INT】計算だと思われるし、水自体に含まれている魔力量は少ない。そう考えると貯蓄できる水の量は大量になる。
「あは♪」
思わず笑ってしまう。よ~し、水を全部吸い取って枯渇させちゃうぞ!
◇◇◇
水がなくなった場所を歩いて探索。すると最初に探索した時には見付からなかった洞窟が見つかった。どうやら、水と一緒に泥や土などを巻き上げたから見つかったのかもしれない。
「♪」
その洞窟を進んでいくと、大きな渓谷があってその先に通路が続いているけれど通れる広さじゃない。そこで水を放出して橋をかける。
でも、氷が重さに耐えきれずに崩れちゃったので、今度は通路の天井まで氷の山を作り、道を全て凍らせて反り返るようにジャンプ台を作成する。
次に氷で出来た小さな船を作ってそこに後ろ向きで乗り込む。後は水樹を出して水を放出。加速させながら全ていけば虚空に投げ出される。これだけじゃ距離が届かないので、反対の手からも水樹を作って水を放出し、瞬時に凍らせて道を作る。その道に乗って滑り降りていくと後ろからどんどん道が崩れていく。
「ふみゃあぁぁっ!」
片目しか視界がないからか、距離を見誤った。そのせいで高さが足りなくて落ちそうになるけれど、対岸の壁に手をついて水樹を突き刺した落下を防ぐ。それから水を出して氷結して固定。水と氷を使ってロッククライミング用の足場などを作りだし、【登攀】スキルを使って登り切る。
「勝利!」
そのまま進んでいくとだんだんと周りが冷えてくる。とても気分がよくなってくるので、気にせず進んでいくと20メートル以上はありそうな大きな扉があった。その扉は石板が埋め込まれていて、その石板を動かして解除する仕掛けみたい。ただ、その石板一枚一枚が凄く重そう。というか、実際に動かそうとしたら重くて動かない。
「どうしよう……」
扉をスクリーンショットに収めてから周りを見渡してみると、七つの土や岩の山があった。天井を見ると一部が崩れて埋もれているみたい。とりあえず、それを退かしてみる。すると泥操作盤みたいな物が埋もれていた。全部で七つある。綺麗にするとそれぞれの操作盤には宝玉みたいな丸い物を収める場所みたいなのがあるみたい。おそらく、ここに別の所で手に入れた物を入れて動かすんだろうね。
流石にそんな道具はないし、水樹を育てて水で押し切ろうにも流石に無理。やっぱりもうちょっと操作盤を調べてみようかな。水魔法で綺麗に洗い流してペタペタと触りながら水を拭っていくと文字が掘られている事がわかった。どうやら、妖精語みたいで、解読してみる。
少しして分かったのはこの操作盤はそれぞれ火星の祭壇、水星の祭壇、木星の祭壇、金星の祭壇、土星の祭壇、
他に分かったことは地面に魔法陣が仕込まれていて、そこから扉の封印に繋がっていること。それにこの扉の中には危険な存在が封印されているので、決して開けてはならないと書かれていた。内側には封印を解除しようとする者に対する最終防衛装置も存在するが、もしも封印が解除されそうになれば操作盤を使って解けないようにしてほしいとのこと。
「ここが冬の女王が封印された場所なんだね……」
祭壇のある場所なんてわからないし、別の方法で開けられないかな。とりあえず、地面を洗い流してみようか。
「えい!」
水を放出して綺麗に邪魔な物を洗い流す。すると掘られた魔法陣が露になった。この封印は妖精さん達だけでなく、古代語も使われているみたいなので、そちらも解析する。でも、魔法の理論はわからないし意味がないかな。
「ん~【アイシクルレイン】」
氷の氷柱を無数に生み出して、扉にぶつけてみる。すると扉の前に半透明の壁が現れて全て反射され、私は身体中を串刺しにされて死亡した。
◇◇◇
さて、この程度で諦めるわけにはいかない。こうなればもう意地だ。まずやる事はイズさんにスクリーンショットを加工できるソフトを聞いて、それをダウンロード。撮った扉のスクリーンショットを切り取ってパズルを解く準備をしておく。
それから妖精さんのところに戻る。水も復活しているので、妖精さんをさっさと確保する。呪いが強まったせいか、警戒してくるけれど、これも冬の女王を解放するためだ。
「あ、妖精さん、妖精さん」
「な、なにかな?」
何時でも攻撃できるように準備しだしている妖精さんに伝える。
「女王様の居場所がわかったけれど、一緒にくる?」
「本当!?」
「うん、本当。でも、封印を解除できないの。それで貴女の知恵を貸してくれる?」
「わかった。いいよ」
「契約成立」
「でも、君はなんで冬の女王様を探しているの?」
「これを読んで会ってみたくなったから」
そう言って童話の本を見せると、何とも言えない表情になった。
「人間にはこう伝わってるんだね。まあ、いいや。それでどうやって行くの?」
「えっと、まずはこの地底湖の水を抜きます」
「うん。できるの?」
「できるよ。【月の水樹】、お願い!」
水の中に入って体液を混ぜながら吸い込ませる。しばらくしてから、水がなくなったら妖精さんを連れて洞窟を進んでいく。途中の大きな渓谷は同じ方法で突破して封印の扉まで移動する。
「ついに、ついに見つけた! これで冬の女王様は復活する!」
「ね。でも、開けられないの。攻撃したら反射されちゃったし」
「そりゃそうだよ。これは妖精族の王族達が魔法で作った結界だからね。人間如きの魔法じゃ反射されるよ。僕らに近い存在ならまだしも……かと言って、僕も力を封じられているし無理だけどね」
「どうする?」
「お手上げかな。祭壇を見つけて宝珠を守護者達から奪ってこないと……」
「無理だよ。そんな力はないもん」
「だよねー」
さて、妖精さんでも無理みたいなら……あ、妖精の魔法っていったよね。それに月の祭壇ってことは月の魔力と関係があるのかも。
「【月の水樹】!」
「どうしたの?」
「これならどうにかできるかも」
対応している場所に触れてみるけど、操作盤の方は反応がない。次に扉に触れてみると枝が結界を貫いて使われていた魔力、【MP】を吸収してしまった。しかも、そのまま扉に触れてそこからも【MP】を吸収しちゃった。
「できちゃった」
「あははは、僕達妖精族の天敵じゃないか! でもナイスだよ!」
思わず妖精さんとハイタッチすると、轟音が響いて扉が吹き飛んできた。二人してそちらを向くと、扉が残骸になりはてて中から冷たい極寒の冷気が溢れ出してくる。そして、扉の近くに存在する巨大な存在が見える。
「あ、アレが女王様?」
「ははは、まさか。アレは守護者さ。古の大英雄を使役しているんだ」
「つまり……」
「アレを倒さない限り、封印は解けない」
「倒せますか、妖精さん!」
「無理だね!」
「よ~し、妖精さん。囮になって頑張って。私はその間に後ろから攻撃するから」
「え~君がいきなよ」
「無理無理! だって、私はINT特化型なんだからね!」
「……あ~確かに妨害なら僕の方が可能性があるか」
「それに私達の目的は女王様の復活。だから、別に倒さなくてもいいよね!」
「ごもっとも! だったら、僕が解除方法を教えるから、頑張ってみない?」
「いいよ。乗った。でも、その前にここは一旦逃げよう」
「なんで?」
「まずは妖精さんの力を取り戻して、私の目も祝福に変えよう。そうじゃないと無理だよ」
「……それもそうだね。いいよ、君の言う通りだ。女王様を助けられる目途がたったのだから、焦る必要はない。確実に助けられるために全力を尽くそう。そのためにまずは僕の力を取り戻し、君にも力をつけてもらうよ、人間」
「そっちこそ、失敗しないでよね、妖精さん」
踵を返して来た道を急いで戻る。そっと通路の奥から扉の中を確認すると巨人と見紛うほどの巨躯を持った、巌のような上半身裸で筋肉隆々な黒髪の男性が扉から大きな武器を持ってでてくる。その巨人さんはキョロキョロと辺りを見てからこちらに気付き、手に持った石でできた大剣みたいなのを振り上げて振り下ろしてくる。
「逃げろ!」
「まだ遠いけど……」
「馬鹿、遠距離攻撃だ!」
「えぇぇぇっ!」
振るわれた剣の衝撃が刃となって通路を飛んでくる。
「もしかしなくてもこの大渓谷みたいなのってこの巨人さんがやったの!?」
「その通りだよ人間!」
「む~りぃ~!」
準備する間もなく、大渓谷に飛び降りて落下していく。途中で妖精さんが掴んでくれたので、壁に【月の水樹】を突き刺してぶら下がる。巨人さんは上までやってきて赤い瞳でこちらを見詰めてきた。
「これは死に戻りしないと駄目かも」
「人間は死んでも戻れるのか?」
「私達はそうだね」
「そうか……それなら、契約だ人間」
「なに?」
「必ず女王様を助けろ。そのためなら僕は、僕達は喜んでこの身を捧げよう」
「妖精さん?」
「ここで死んだら僕は消滅する。今回の情報は本体に伝わらず、別の僕が産まれるだろう。だから、僕は君にこう言う。僕達を殺し、喰らい続けて欲しい。そうして僕の本体までたどり着いたら、その封印を解いて女王様の事を伝え、協力を仰いで欲しい」
「妖精さんを食べるの?」
「そうだ。僕達妖精を食べればより呪われるが、その分君の力は増していく。ましてや君は氷と水を使う魔法使いだ。僕とは相性がいいはずだ」
「自分から食べられるなんて、おかしいね」
「僕にとってはそれぐらい女王様が大切だ。それにこの身体は本体から出てきた分体に過ぎない。それでも役に立てるのなら本望だ」
「わかった。食べるね。必ず女王様は助けてあげる。だから、ごめんなさい」
「頼むよ、人間」
「人間じゃないよ。スノーだよ」
「奇遇だね。僕もスノーだ」
「一緒だね」
「ああ、一緒だ。目的もね」
「またね」
「ああ、また」
妖精さんを掴んで口に入れて喰らう。するとスキルが手に入った。
『スキル【
『妖精を喰らった事により【
呪いはレベルが表示されるようになっちゃった。まあ、それはいいとしてやはり効果は左目にしておく。選択した瞬間、空から巨人さんが降ってきた。それを見た私は水樹から水を噴き出して壁から離れる。先程まで居た場所に大剣が通りすぎ、巨体が落ちていく。
私は反対側に移動しながら、もう片方の手で【アイシクルレイン】を発動させ、無数の氷柱をお見舞いする。驚いたことに相手は壁を蹴ってジグザグに登って回避してくる上に斬撃まで飛ばしてくる。
「■■■■■■■■■■■──―! 」
のんびり日和のお陰でなんとか見えるけれど高速移動はできない。水でどうにか逃げることくらいしかできないというのに相手のヒットポイントゲージは微かにも減らない。私、四桁目前のINTなんだけどね!
「ああもう!」
【月の水樹】を放つも、全て大剣で斬り落とされる。もはやどうする事もできない。大剣をどうにか回避したら、拳で殴り飛ばされて壁に埋め込まれる。それによってヒットポイントゲージが全てなくなった私は水樹の広場へと戻った。
◇◇◇
「勝てるかぁぁぁぁぁ!」
思わず叫ぶと、皆から見られたのですぐに逃げる。あの守護者、何者か調べないとどうしようもないや。まずは情報収集……いや、その前にダンジョンの攻略かな。
「ひゃぁっ!?」
「あ、ごめんなさい。考え事をしていたから……」
「ううん、こっちこそごめんなさい。あの、少し聞きたいことがあるけど、いいかな?」
「なに?」
「その可愛い服やカッコイイ装備ってどうやったら手に入るのかなって……」
「買う? 私の服は課金アイテムだから、お金さえあればメニュー画面から買えるよ」
「り、リアルのお金なんだ……お小遣いが……」
「ん~」
相手の人を見ると、初心者用の服に大きな盾を持っている黒髪のお姉さん。私には正直、大楯の事はまったくわからない。
「あ、クロムさん」
「ん? 嬢ちゃんか、どうした?」
「この人が大楯の装備が聞きたいって」
「そうか。初心者だし、わからないよな。いいぜ、俺が知り合いのところに連れていってやる。嬢ちゃんはどうする?」
「私はダンジョンに行ってくる。さっき、殺されたし……」
「そうか。気をつけてな」
「ありがとう!」
「ん」
手を振ってから井戸へと向かう。さあ、覚悟してね妖精さん。悲しいけれど、これも妖精さんと女王様を助けるためだが、今はごめんなさい。
いったい守護者は○○クレスなんだ。ガチのくそ難易度ボスである。十一回殺してからが本番。またダメージはステータスで三桁以内は無効化されるので、現状だとスノーの攻撃はノーダメージ。