熱いの嫌なのでINT極振りの氷結特化にしたいと思います 作:ヴィヴィオ
冬の女王様の居場所をみつけ、巨人さんという絶望と出会ってから、数日。普通のダンジョンを攻略しているけれど、244回目のトライが終わり、今日も私は復活地点である水樹の広場へと戻された。
今回の敗因は左目見えなくて壁から放たれた矢に展開しておいた氷のシールドが直撃し、その音によって徘徊していたモンスターに気付かれてパックンされたこと。ちなみにその前は蜂に追いかけられて、麻痺させられて捕まり、巣まで連れていかれた。その後は色々とされたけれど、麻痺が治ったのでただではやられずに水を放出して巣を氷漬けにしてやった。その時に食べたロイヤルゼリーは美味しかったけれど、激怒した女王蜂にめった刺しにあってあえなく死に戻りしたよ。
でも、そのおかげか大体覚えられた。もう少し頑張れば攻略できるかな。でも、その前にやる事がある。今日はお姉ちゃんが言っていた学校? 教室? まあ、そんな感じのところに行かないといけない。ちょっと緊張するけれど、私と年齢の近い女の子達が集まっているらしいし、大丈夫だとは思う。
「確か、ログアウト先を変更して、アドレスを入れたらいいんだったよね」
声に出しながら、メニュー画面を操作して設定を変更する。そしてアドレスを入力して登録ボタンを押し、決定する。するとすぐにログアウト処理が開始され、目の前が光に覆われてから真っ暗になる。
このログアウトする時が凄く怖い。真っ暗なところから周りが火の海になっていたあの時の光景を思い出しちゃうから。
少しの間、恐怖に耐えていると複数の青い文字で出来た円が現れて、私の身体を潜っていく。
『生体認証開始。完了。アクセス権限を確認。ゲストIDが確認されました。ようこそ、ホスピタルスクールへ』
声が聞こえて、前を向くと桜の並木道が現れ、身体が勝手に進んでいって桜吹雪に包まれる。次の瞬間にはパチパチという火花が弾ける音が聞こえてガタガタと身体が震えてくる。胸が苦しくなってきて、汗がいっぱいでてきた。
「あら、お客さんね。もうそんな時間なのかしら?」
「そうかな? そうみたいだね?」
声が聞こえて、そちらを見ると、暖炉の前に座って本を読んでいる黒いドレスを着た長い銀髪をしたおさげの女の子。色々な所にリボンが巻かれていて、室内なのに黒い帽子を被っている。彼女の膝に背中を乗せて下からこちらを見詰めている同じく銀髪の女の子。彼女の顔には傷があって怖い。いや、そもそも手に結構大きなナイフを持ってクルクルと動かしている。こちらの女の子は鼠色のシャツに黒いジャケット、赤いネクタイをしている。
「震えているね。どうしてかな? わたしたちが怖いのかな? そうかもね。でもおかしいな。初対面なのにね? もしかして聞いているのかな? そうかも? 隠す気はないけどね」
「ジャック、この子は火が苦手なのよ。先生に言われたでしょう。暖炉の火は消しておきなさいって」
「そうかな? そうだったかもね。うん、そうだった気がする。わたしたちの何人かは聞いているみたい」
「そうなのよ」
本を読んでいた女の子が暖炉を指さすと、寝転がっていた女の子がナイフを暖炉へと投げると火が消えて、普通の照明がついて明るくなった。
「はぁ、はぁ……」
「大丈夫かしら?」
荒い呼吸になっている私を心配したのか、二人が近付いてくる。
「どうしよう。先生を呼んだらいいのかな?」
「そうね。でも、先生はまだ来てないの。ジャンヌの診察に時間がかかっているみたいね」
「それじゃあ、仕方がないね。アビーとラヴィーは?」
「テクスチャを作っていたはずだから、呼びましょう」
「は~い」
ジャックと呼ばれた女の子がテーブルに置かれていたベルを手に取って鳴らすと、すぐに目の前の空間に穴が空いて、そこから黒いワンピースを着た金色の髪の毛をした女の子と凄く白い肌をした角の生えた白髪の女の子がでてきた。
「呼ばれて飛び出たのだけれど、どうしたの?」
「アビー、あの子……」
「あ~もしかして暖炉でも付けっ放しにしたのかしら?」
「えへへ~ごめんなさい」
「アリスがいながら、どうして……?」
「本に夢中だったのだから、仕方がないの」
「まったく、困った妹達ね」
「そうかな? そもそも妹じゃないしね。だよね」
「多重人格の一人ぐらい、妹だって認めてくれてもいいじゃない」
「大丈夫? 深呼吸して……」
「だ、
死人のように白い肌をした年上の人にそう言われて、私は深呼吸をする。それでも落ち着かずに怖くて怖くてたまらない。
「これ、飲んで。薬よ」
「く、薬……?」
「電子ドラッグよ」
「ラヴィーの電子ドラッグは効くわよ。ちゃんと先生の許可も取れている奴だから大丈夫よ」
「まあ、ただの視覚を利用した精神安定薬だから」
言われた通りに飲むと、暖炉があった部屋が氷に覆われ、無数の氷柱が存在する場所に変わった。炎や火が存在できないような冷たい場所になり、どうにか落ち着いてくる。
「寒い!」
「これはきついわ」
「予想外ね。ラヴィー、なにを渡したの?」
「部屋の改変権限ともっとも落ち着く状態を自動で設定してくれる奴」
「え、えっと……」
「簡単に言えばこの部屋は電脳世界にあるのだから、権限を持つ人の自由に設定できるの。さっきの薬はそれを与えるものね。実際は薬でもなんでもないの」
「プラシーボ効果だっけ?」
「それよ、ジャック。よく覚えていたわね」
「えへへ~」
つまり、さっき渡されたのは薬の形をしたプログラムで、飲むという事で効果を発動させたという事みたい。
「それよりも、凄く寒いの。早く部屋を変えましょう」
「そうね。丁度作っていたのがあるから、それにしましょう」
袖で隠れた手で金色の髪の毛をした年上の人が手を叩くと周りの景色が一変して、家の中に変わっていた。壁には私の名前と歓迎の垂れ幕があり、部屋も飾り付けられている。中央にある円卓には大きなケーキが置かれて、席にはジュースまで用意されていた。
「おお、ケーキだぁ~」
「真っ白で綺麗ね」
「だね。でも、わたしたちは血のように真っ赤なのがいいかな」
「イチゴケーキかしら? それともトランプの兵隊を殺して作る?」
「それもいいかもね。うん、プレゼントはそれでいいかも?」
「こらこら、物騒な話はやめてちょうだい。殺人衝動はゲームで晴らしてきなさい」
「それがね? 残念ながらログインできなくなったの。なんでかな? なんでだろうね? 殺し過ぎたからかな? かもね?」
「……年齢制限に引っかかったって、先生が言ってた……」
「ちぇ~」
ジャックと呼ばれた子が凄く怖い。アリスと呼ばれた子も怖いので、金色の髪の毛をしたアビーと呼ばれた子の後ろに隠れておく。
「さて、先生とジャンヌが戻るまでに軽く自己紹介をしておきましょう」
「は~い」
「わかった」
皆が席に座っていくので、私も座る。この中で一番力を持っているのはアビーさんみたい。
「まずは私から自己紹介するわね。アバターの名前はアビゲイル。愛称はアビー。アビーでもアビゲイルでも好きに呼んでね。リアルはここの管理と運営をしている一人よ。皆のお姉さんね。ラヴィーとはリアルでも親友よ。次はラヴィーね」
「ラヴィニア。愛称は……ラヴィー……好きに呼んで。アルビノで外に出れないから、アビーと一緒にここいる」
アビゲイルさんは病院の偉い人の子供? ラヴィニアさんはアルビノで入院しているのかな? 外には出れないほど肌が弱いみたい。どちらもリアルの名前じゃなくて、アバター、キャラクターの名前で言っている。それに私達の容姿は弄れるから、変更しているかもしれない。
「次はアリスとジャックね」
「はいはい、わたしたちから紹介するたね。わたしたちはジャック・ザ・リッパー。多重人格者って奴だよ。頭の中にいっぱい人がいるんだ~」
「えっと……」
「つけた名前からもわかる通り、殺人鬼だから妹のアリスを虐めたらおかあさんやおとうさんのように解体しちゃうかもね?」
「え”」
「ただの妄想よ。殺人衝動があるとだけ覚えていたらいいわ。それ以外は大丈夫よ。実際に殺す事なんて不可能だもの」
「隔離されてるもんね~」
「治療が終わるまでは仕方がないのだわ」
「そうかもね。そうだね。わたしたちとしてはアリスと一緒に楽しくて、痛くなくて、お腹が空かなければどこでもいいよ」
「アリスはアリス。不思議の国から帰ってきたアリスなの。裁判で女王様に死刑判決を受けて、怖い巨人に襲われて殺されそうになったところをジャックが助けてくれたの」
「この子は自分の事を本当に童話のアリスだと思っているから、必ず肯定してあげてね。あなたのトラウマと同じだから」
「だ、
アビゲイルさんとラヴィニアさんはまだ普通っぽい感じがするけれど、残りの二人は凄く危ない感じ。多重人格が生まれたり、アリスと思いこむ事で自分を守るために逃避するしかなかったことを考えるとその境遇は私よりも酷いかもしれない。私はおかあさん達に愛して守ってもらえたし、お姉ちゃんやおばさん達がいる。でも、二人は聞いた感じだと違う。
「怖かったら、仲良くしなくてもいいからね……? ただ、無視や虐めたりしたら駄目だから、それだけは覚えておいて……」
「そうそう。わたしたちは排除しようとしない限りはなにもしないしね」
「だ、大丈夫。さっき、助けようとしてくれたし、仲良くしたい。駄目かな?」
「いいの? いいのかな? できたら嬉しいかな。そうだよね? うん、そうかな。アリスはどう?」
「アリスも仲良くしたいのよ。一緒に絵本を読みましょう」
「うん。今やってるゲームでも童話があるから、後でお話しよう。でも、その前に……友達になってください!」
「「喜んで!」」
ジャックとアリスに近付いて、二人と握手する。両手をぶんぶん振られて少しあわあわしちゃうけど、笑ってくれているし大丈夫。
「ふふ、仲良くできそうでよかったわ」
「そう、だね」
「二人もしよ~」
「そうね。ラヴィー」
「うん」
二人とも手をつないで友達になる。互いに手を繋いで笑い合っていると、部屋に二人の人が新たに現れた。
「わ、私を除け者にして何をやってるんですか! 混ぜてください!」
「お帰りなさい、ジャンヌ」
「もちろんいいよ~ね~」
「ええ、そうね」
「あらあら、仲良くていいわね」
やってきたのは160㎝くらいの女性と私達とおなじくらいの女の子。どちらも銀髪になっている。
「私は貴女達の教師をしているマリーって言うの。よろしくね」
「
「後、私以外にも体育の教師が居るけれど、今日は来ないわ。アバターの名前はマルタ」
「あの……お姉さん、凄く強いんだよね~」
「何時も挑んではボコボコにされているものね」
「ちなみにジャック達の保護者だから、何か有れば言ってね」
「保護者なの?」
「わたしたちは認めてないけどね~」
「そんなこと言わないで」
「ちなみに私の母親でもあります。すぐにキスしてくるので気をつけてください」
「えっと、ジャンヌだったかな?」
「はい。アバターの名前は聖女からとったジャンヌです。私とも友達になってください!」
「もちろん、仲良くしようね」
「はい! 貴女は良い人です」
「それで、自己紹介はどこまでいったのかしら?」
「後は彼女だけです」
「私はスノー。このアバターはNewWorld Onlineで使ってる奴です」
自己紹介をしていく。そこでわかったのはアビゲイルさんことアビーとラヴィニアことラヴィーの二人は私と同じNewWorld Onlineをやっていた。アビーが空間魔法使いで、ラヴィーが錬金術師兼死霊術師らしい。この二人は初期からやっているみたいで、既に第一層は全部回って特殊クエストまでクリアしたらしい。
「空間魔法って、どうやって習得するのかな?」
「星占術を手に入れて、それから星に隠された秘密を解き明かすの。後は秘密にある通りに行動するのだけど、大量の生贄を用意するのが苦労したわ。ラヴィーが協力してくれて、アンデットで補ったのだけどね。それで外なる神を召喚して契約。銀の鍵を貰って終わりよ」
「あ、アバターにある鍵穴って」
「覗いちゃ駄目だからね?」
「だ、
「まあ、今は移動魔法とちょっと触手を召喚して攻撃するしか使えないけどね。他の魔法は契約した瞬間、全部使えなくなったし、習得もできなくなったから」
聞いたら、銀の鍵はユニークアイテムらしくて、その装備についているスキルスロットなるものにとあるスキルを組み込んで使っているらしい。ラヴィーの方は普通で、モンスターを倒す前に錬金術で作った粉をかけて殺すと一定確率で死体が残るので、それを使役して戦うらしい。ただ、この二人は基本的にお店を開けるために頑張っているのでイベントや戦闘にはあんまり参加していないみたい。
「二人は何かしているの?」
「わたしたちはログインできなくなったけど、アサシンウォーズっていうゲームしてたよ。リアルな描写が売りで、暗殺者になっていっぱい人を殺していくの。依頼を受けて殺すんだけど、わたしたちは気にせず殺しまくってたから、暗殺者より殺人鬼って方がしっくりくるかもね。うん、絶対にそっちだね」
「あははは、アリスは……」
「アリスは不思議の国を冒険する物よ」
「ジャンヌは……」
「私はゲームに興味がありませんでしたので、勉強をしていました。それにその、ここに来たのもこないだですから」
「それまでジャンヌは学校にもちゃんと通ってたからよ」
「そっか。そうだよね」
ゲームの話とかをしていると、マリー先生が手を叩いて注目を集めてきた。
「六人でNewWorld Onlineだったかしら、そこで一緒に遊んだらどうかしら? ジャックはゲームができなくなったのだし、アリスやジャンヌも構わないでしょう?」
「ジャックと一緒なら」
「はい。可能です」
「ん~そこって人を殺せる?」
「プレイヤーキルはありますよ」
「どんな感じだろ?」
「とりあえず、今イベントをやっているから、それを見ればいいんじゃないかしら」
マリー先生の提案で皆でNewWorld Onlineの中継映像を見ることにした。ログインしないといけないので、それぞれが素早くキャラクターを作って見に行った。作らないといけないのはジャンヌ、ジャック、アリスだけど今使っているアバターのまま容姿を引き継いだので速い。私がプレイしているから、その関係で運営にアバターをそのまま使えるようにしてもらっているとのこと。私はNewWorld Onlineのアバターをそのまま使っているから、その逆も可能というわけね。まあ、レベルとかは初期値だけど。
そんな感じで六人で見たイベントは……うん、凄かった。毒竜が猛威を振るってた。多分、私と同じく毒竜を食べたのかも知れない。私の場合は妖精さんだけどね。
「よし、決めた。わたしたちもやるね」
「それなら私も遊びましょう。新しい不思議の国を探検するのも楽しみよ」
「私も大丈夫です。でも、このパーティーの前衛ってジャックだけですね。私も前衛ができるようにならないと……槍を選んでおいてよかったです」
「ほぼ後衛だしね」
現状、私達は前衛2、後衛3、生産1になるのかな? こう考えるとバランスがいいのかもしれない?
まあ、私はダンジョン攻略を最優先にするから、あんまり一緒には遊べないけどね。この事を伝えると最初はそれぞれで動くからいいらしい。ただ、教室での情報交換とかはする事になった。
彼女達の能力は基本的にFGOをメインにします。能力を弱体化させないとジャックがメイプルキラーになるからね。いいのかもしれないけど。夜、女性、霧がでていると女性を問答無用で即死させるから、メイプルが比較的簡単に殺されてしまう。
いや、まあ1で耐えることはできないですが、暴虐ならいちおう耐えれそうですけどね。