最新作出るって言うから書きまして。
GGO編が終わらない。
シリカとリーファがテイムし、操縦する事でボスフィールドへの乱入を果たした二体の機獣。それぞれ基調とする色も形態も違う機獣だが、共にライオン型であると言う事や他にも様々な共通点がある。
例えばその最高速度が高い事。ライトニング分隊が今回用いた魔改造車両は搭載している武装諸々のせいで非常に重いが、その動力に《核融合動力炉》を使用している為に馬力だけはある。その車両で出せる速度が大体200km/hほど。格納庫に来るまでに追いかけ回された四足歩行型がそれと同程度の速度であるが、この二体はブースターを装備している為、それよりも遥かに速い速度を叩き出す事が出来る。
次に遠距離武装に乏しいという点。基本武装はその牙と爪と腹部に搭載された衝撃砲であり、シリカの乗る青い機獣にはレーザーブレードが搭載され、そのブレードにレーザーガンが。リーファの白い機獣には尻尾にビームガンがあるだけ。
要するに、この二体は広い平地での高速戦闘で性能を最大限発揮できるのだ。全長が200メートルを超えるボスが、ある程度不自由なく動けるこのフィールドであればその機動力は発揮できる。武装が通じるかはまた別の話だが。
「シリカ、斬りかかれる?」
『十倍くらい、大きさに差があるんですけど……』
ストレアが二体の機獣との通信を確立して、シリカの機獣の背から問いかける。それに対する返答は思わしくないが、問いかけたストレアも無茶を言っている自覚くらいはあった。
お互いのサイズ差が、シリカの言った通りの十倍……SAOでもALOでもプレイヤーより巨大なボスは居たので、サイズ差のある相手と戦うという意味では慣れている。しかし、そのサイズ差の桁が違う。
キリト達が今まで戦ってきたボスは、大きくてもシリカやリーファの機獣……全長にして25メートルほどの大きさ。いきなりそれの十倍ほどの大きさの相手に近接戦闘を仕掛けろ……慣れている生身での戦闘であればシリカも決断できたかもしれないが、この状況では流石に二の足を踏む。
『あたしが送る側に行けばよかったかも……』
「あっちはもっと武装が少ないからねぇ」
『と言っても、ブレードが無いだけなんだけどね!』
答えるのは今現在、キリト達四人を乗せて動き出したボスの背面を登っているであろうリーファ。機獣を駆る二人は操縦技術という点では、どちらも素人である。自転車くらいしか運転した事のない二人だが、機獣はテイムモンスターに近い感覚で動いてくれるために複雑な機動もこなせる。
物見遊山のつもりでやってきたGGOで、新種のボス戦と言う一大イベントに巻き込まれた状況に対しては何の慰みにもなりはしないが、シリカもリーファもこの状況自体は全く悲観していない。
何だかんだアクシデントのようなものには慣れている事もあるし、起こったアクシデントが大体命懸けだったり、そのVRMMOの世界の命運を握っていたり、何ならガチで戦争の可能性もあったりと、友人の誘いでやってきたゲームでボス戦に巻き込まれる事など霞むレベルの物を体験してきている。
特にシリカは、言われれば本人は全力で否定するだろうが『負けても死なないから安心』なのだ。要するにキリトの『死んでいいゲームなんて温い』やオーリの『命が懸かってるわけじゃないからヘーキヘーキ』というメンタリティに近い。
ぶっちゃけ、SAO
『……よしっ』
故に覚悟を決めれば、ゲーム内の危険に飛び込む事に躊躇いはない。
間が悪ければ自身の機獣などあっと言う間に踏みつぶせてしまう巨大な恐竜型ボスの脚部目掛け、青い機獣が身を震わせて駆け出した。『いきなりぃっ!?』と背に乗っていたストレアは叫ぶが、ちゃっかりと自身の《リニアキャノン》を機獣の背にマウントして固定砲台化に成功している。
『何か接続されたって出たんですけど!?』
「あたしの持ってた搭載兵器を繋いだだけ! ちょっと裏技だけどこれで連射できるからシリカは攻撃を避けるのに集中してて!」
『斬りかかれるって聞いたのは何だったんです!?』
「マウントできるとは思わなかった。反省してまーす」
『そう言う軽い所がオーリさんにそっくりです』
「酷い侮辱を受けた」
『ストレアさんの方が酷いですよね!?』
即席の漫才をしながらも、シリカの機獣は駆ける速度を上げた。するとボスの脚部が、見た目の巨大さの通りにゆったりと持ち上げられていく。踏みつぶされれば一発でお陀仏ではあるが、わざわざそうなる場所に飛び込むほどシリカは自殺志願者ではない。
すぐさま股下へと進路を変更して、そのまま持ち上がってない方の脚部へと加速していく。その時ついでのようにストレアが砲撃を行い、的が広いので問題なくボスに着弾はするものの、一発だけでは多少装甲が剥げる程度で大きなダメージになった様子はなかった。
「携行可能だと搭載兵器でも効果薄いとか笑うしかないね!」
『それだと、流石のヘカートも豆鉄砲になるわよ?』
「ならウタも内部突入班かな。流石に内部でヘカートに耐えられる装甲材を使ってるとは思えないし……」
『まぁ内部は人間のアバターで行く分にはだいぶ広いだろうし、そっちの方が撃つ機会も多そうね』
「と言う事で兄貴のお
『増援は有り難いがお
リョウゲツの一言に通信を聞いた全員が笑う。
『あら、行かなくていいの?』
『俺がお
「『『『『『『えっ?』』』』』』」
『その反応は知ってたがキリトだけは許さんか――』
「ん? おーい、兄貴ー?」
中途半端に終わったリョウゲツの通信に疑問符を浮かべてストレアが声を掛けるが、反応が返ってこない。そこから順番に声を掛けて……
「……え、もしかして兄貴ボス部屋入ったの?」
パーティメンバーのリストを見ても、
『やっぱり鉄砲玉じゃないか』
『まぁ、うん。まったく否定できないわね……』
彼にとっては不本意で、周りからすれば残念ながら当然な評価がまた一つ積み上がった瞬間であった。
◇
超巨大ボス機獣の内部に侵入を果たしたのは
「一本道?」
「を素直に進む奴じゃないんだよなぁ」
「でしょうね。コットン、サブマシンガン」
ウタが共通ストレージに入れていた、コットンの主武装であるサブマシンガンを取り出して放り投げる。それを淀みない動きで受け取った彼女は疑問符を浮かべたものの、直後に義姉の言わんとする事を察して、盛大に左右の壁に向かって引き金を引いた。
「ヒャッハァァァァ!!!」
某モヒカンのような叫びと共に、無駄にイキイキした笑顔で
「……何つーか、マジでイキイキしてるのヒくわ」
「そんな……わたしの
「ちょっとアスナ? 存在しない記憶を構築するのは止めて?」
妹のように可愛がっているコットンの変貌に、アスナは耐えきれなくなったらしい。ここに来る前の銃座でも割とヒャッハーはしていたが、激しいどころではないカーチェイスとその前の説教の関係で決定的な場面はほとんど認識していないからノーカンである。
そして、何故このトリガーハッピーにサブマシンガンを撃たせたかと言えば。
「ヒット」
GGOにおける判定として、ダンジョンや建物の壁に対するものがある。壁に弾丸を撃ったら、現実では壁の強度にも左右されるが弾丸は跳ね返り、また違う方向に飛んでその先の壁に当たってまた跳ね返る……発射の運動エネルギーが続く限り。
しかし、GGOではサーバーの演算能力の関係で壁に『当たる』と言う判定はあっても『跳弾』はしない。特殊なフィールドやオブジェクト以外の通常の壁に関しては、言ってはあれだが破壊不能オブジェクトのようなものであり、跳弾も無く当たったとしても弾痕など残る筈がない。
だから、それ以外の反応が存在するのならそれは
「コットン、撃ち方止めー」
「ボクを止める度にヘカートの銃口で後頭部ぐりぐりするの止めてー!?」
引き金に指は掛けていないが、撃たれれば一撃死は免れないアンチマテリアルライフルの銃口を突き付けられれば、流石にトリガーハッピーな義妹も止まらざるを得ない。過去に声掛けだけでは止まらなかった事もあって、この状態のコットンを止める時は割と雑に武力行使が推奨されていた。
「それでお義姉ちゃん。どの辺り?」
「あっち」
ヘカートの銃口を義妹の頭から外し、構えた瞬間に一射。放たれた弾丸は狙撃手の狙いの通りの場所に着弾し、目的のオブジェクトを『破壊』した。
「これ、ダクト?」
横の壁の足元部分に空いた穴は、人ひとりが通るには十分な大きさだ。こんな所にあるものが何かと聞かれれば、アスナの言ったように排気か排水の為のダクトが一番可能性が高い。
ただ、このボスが撃った《荷電粒子砲》の《吸入部》であろう場所にダクトがある事自体割と謎なのだが、『そう言う構造なのだろう』と考察する事は諦めた。そもそも世界観からしてSFした後の荒廃世界なのだから、現代日本やファンタジーたるアンダーワールドの価値観では図れる事など何もないし。
「入ったら真っ逆さま……とかじゃないよね?」
「違うとは思うけど、旦那がここに入った保障も無いのよね……」
「まぁ、上に行ったら多分ボスの頭部に行きつくから、そっちは荷電粒子砲の変換器や発射口があるっぽいよね。ボスの形状的に、上に向かってあれが撃てる箇所って頭部か尻尾だけだし。尻尾は機獣が出て来てたから、消去法で頭部だよね」
「なら、こっちに入ったらそのままボス部屋とかの可能性が高いって事か」
「とりあえず一人ずつ行ってみるとして……順番は?」
「到着即戦闘ってなるなら……先頭コットン、俺、アスナで最後にウタが良いのか」
「そうね。コットン、行ける?」
『任されたっ!』と言うが早いか、コットンはそのダクトの中へと身を滑らせる。その即断即決具合にキリトは呆れたような笑いを浮かべて続いて身を滑らせ、アスナとウタが続いた。
「滑り台って言うかこれ落ちてるレベルの角度!?」
先頭のコットンの楽しそうな悲鳴とは裏腹に、最後尾のウタの顔は若干引き攣っている。だが、これであればノンストップでボス部屋に行ってもおかしくはないだろう。手や足をダクトの壁に付けようとしても弾かれる上に、スピードが落ちない。
そして、飛び込んで視界が開けるまでの時間は数秒ほどで。
「あ」
先頭のコットンの視界に飛び込んできたのは、ちょうど自分の下に移動してきた兄で。
「お兄ちゃーん!」
「は? さいくろん!?」(残HP五割
「おわわわわ!」
「じょーかー!?」(残HP三割
「リョウくん!?」
「るなっ!?」(残HP一割
「受け止めてー!」
「とりがごふぅ」(食いしばり
コットンに頭上から強襲されて潰されたリョウゲツが、続くキリトとアスナに潰されつつもクッションの役目を務め、
「リョウ! 大丈夫!?」
「く、食いしばりを味方撃ちで切る事になるとは思わなかった……がくり」
「リョウゲツが死んだ!」
「キリトの人でなし!」(裏声
「お前が言うのかよ」
「まぁ『がくり』って自分で言っただけ余裕あるよね」
ウタに抱き上げられてガクリとしたかと思えば、キリトのネタに反応する辺り余裕があるリョウゲツだが、すぐさまウタとコットンの服を掴んで引き倒し、キリトとアスナを足を払う事で身体を倒させれば、身体が合った場所を無数のレーザービームが通過していった。
「うーん……」
「あっぶねぇー……」
「き、緊急避難なのはわかるけどな……」
「お前なら受け身は取れるだろうし、お前の上にアスナを倒しただけまだ有情なのは察せ」
リョウゲツの言う通り、足払いで倒されたキリトとアスナであるがキリトは持ち前の反応速度で受け身を取ったし、アスナはそんなキリトがクッションになっている。咄嗟の状況とは言え、その程度の気遣いが出来るだけまだまだ余裕があるとも言えるが、コントをしてても油断はしていなかったというべきだろう。
「そ、それでお兄ちゃん? 通話できなくなったのは……」
「ここが動力部かどうかは知らんが、ボス部屋である事は間違いないんだよ」
『バリケードから顔だけ出せよ』と言われ、四人はそれぞれがバリケードになっている遮蔽物から顔を出す。
先ほどの通路より狭いが、五人が両手を広げて横並びになっても十分に横幅がある、見た感じは正六面体であろう室内の中央部分。そこには巨大な円柱が存在し、ハッチらしき扉も見える。しかしそこに至るまでの間にいくつもの小さな柱があり、その柱からは更にいくつもの銃座が生え、こちらを伺う銃口が見える。
それだけならまだしも、本命の円柱からはまるで触手のような機械の柱が十数本延び、フレキシブルに稼働し、その先端には大口径のレンズ……どうやら先程のレーザーはこれから放たれた物らしい。
「完全にあれ撃破して、動力部にのりこめーって感じだよね?」
「いくつか銃座は吹っ飛ばしたが、一分程度で再生するのは確認済み。触手の方は近づけねぇから何も確認できてないんだが、レーザーのチャージは一本五秒ってところだな」
「一本ずつの連射なら普通にカバーできるって事か……」
「ここに居れば撃たれないの?」
「少なくとも、隠れてれば撃っては来ない。出た瞬間に撃たれるって事も無かったが、動いたら一斉に撃ってきたし、グレネードも空中で撃墜されたな」
可能な限り収集された情報を元に、アスナが思考を開始する。
リョウゲツの話を聞く限りでは一人で突破する事が困難ではあるが、五人となれば色々と動きようも出てくる。まぁ五人の内三人が近接の方が強いので殴り込みに行くのは確定として、無意味な突撃にしないように陽動が必要だ。その陽動の援護にお誂え向きな射手もいる為、とれるフォーメーションとしてはほぼ一択なのだが。
「わたし、キリト君、
「「何か今おかしなルビ振られてなかった!?」」
大真面目な顔から出てきた言葉にウタとコットンが反応するが、当の本人は『何かおかしな事言った?』みたいな顔をするので、二人はリョウゲツとキリトを見る。
「キリト、お前後でリーファ連れてアスナどうにかしろよ」
「そこで俺に振るのかよ。いやまぁ、言いたい事はわかるけども」
「変な事言ってないで、行くよ皆! まずリョウ君」
『変な事言ったのお前なんだよなぁ』と声に出さないものの、表情に出てたのかアスナに凄味のある笑顔を向けられたのでリョウゲツはすごすごとUFGとグレネードの二丁拳銃スタイルに換装する。
「なーんか、お兄ちゃんが変態機動するにはお誂えだよね。ここ」
「あぁ確かに。UFGの射程とか諸々を考えると、縦横無尽に行けそう」
「壁のシミになりそうな事はしません」
「でも加減すると、シミになる前に蜂の巣の方が早くないか?」
「まずお前を爆殺してやろうか」
グレネードの銃口が頭に擦りつけられ、キリトはすぐに両手を上げて降参を示す。そんな態度に溜息を吐き、リョウゲツはわざとグレネード弾頭がキリトを掠めるように発射。近い柱のの銃口が全部それに向いた事を確認して、UFGを駆使して陽動へと向かった。
◇
シリカとリーファが機獣でボス戦に乗り込んだ後、地上部分に残った
そもそもあの場に居ても何も出来ないのと、シリカとリーファは運良く機獣をテイムできていたが残った面子にそれが可能かと言われると可能性が低いと言わざるを得ない事もあり、襲われたとしても車両に乗っていればどうにかできる。最悪逃走と言う選択肢だって取れるのだから。
そして移動をするもう一つの理由としては、以前四人で攻略したダンジョンの様子がどうなっているかの確認だ。行きは機獣に追われてそれどころではなかったが、変化があったせいか付近に機獣の影が無いので例のダンジョンの入口が見えるポイントまで移動する事が出来た。
「うーん……」
「どうしたの?」
「入口が広くなってるんですよね……」
双眼鏡でダンジョン入口を確認したインディの言葉に、声をかけたリズベットを含め全員が疑問符を浮かべる。
ダンジョンと言うのはゲームに於いてはイベント以外で無くなるという事がまずない。SAOでも、上に登るにつれて下層の低レベルダンジョンに行く事は無くなっても、ダンジョン自体が無くなったという事はない。
ALOでは《スリュムヘイム》が自壊していたが、それはそう言うイベントであるしあのダンジョン自体がイベント専用と言った側面があった。
例外があるとすればアンダーワールドくらいか。あれはゲームと言うよりは文明シミュレータであるが、洞窟の入り口を封鎖したり逆に拡張したりは普通に可能だ。ただ、普通のゲームではないので例外としても意味が無かったりする。
「広がっているとマズいのですか?」
「マズいというか……まぁ大きさからすればこの車両でも通れるでしょうね」
「ならいいんじゃねーのか?」
「機獣も通れる可能性がありますが」
「oh……」
機獣ことマシンナーズ・アニマの脅威を身を持って知ったばかりでクラインやエギル、リズベットはわかりやすく嘆くが、アリスはその言葉にふと考えこむ。
「ラン……あ、こっちではインディでしたか。あの機獣達の脅威は、生半可な攻撃などは受け付けない装甲もですが、機動性もあると思うのですが」
「それは間違ってないですが……」
「あの洞窟に入った後ならば、私達でも武装さえあればどうにかなるかと」
「僕らとは大きさが全然違うけどね……」
アリスの言葉にユージオも流石に苦言を呈した。インディとしても、提案自体に一理あるとは思うがそもそも以前、四人で討伐した機獣は一機と言えど四人にギリギリの戦闘を強いたのだ。
追ってくる機獣があの時の機獣より強いという保証はないが、弱いと言う保証もない。データとしては比較対象が何もないので結論は出せないが、だからこそ今のうちに情報収集するという選択肢だってある。
「まぁこっちも走って逃げられないという事でもありますが……しかし、どの道何時かは行くんですから、今行きますか」
「武器はざっと見た分以外にもあるのか?」
「遠距離武器で効果的なのってグレネードくらいなんですよね。他にもありますけど、基本的にレベルが高くないと装備できない奴なので……ボス級の装甲でないなら、通常の光剣でも行けるかな? 程度ですね」
「ぶっちゃけ、俺らにとっては剣が通るなら行けないって事は……そういや、道中色々撃破したがレベルってどうなってんだ?」
「レベルアップ処理もステータスやスキルポイントの割り振りも、グロッケンか拠点にあるコンソールでしか出来ないんですよ」
不便ですよねぇとインディが溜息を吐くが、SAOでも圏内と呼ばれる非殺傷エリア以外でそんな呑気な事は出来なかったのだからその仕様も仕方ないと考えられる。それに今、クライン達がレベルアップ処理をしたとしても、それで機獣相手にタイマンが可能かと言われれば否だろう。
「まぁ車両に付けた兵器でどこまで行けるか、試す意味でも入る事は確定なんですけどね」
「車両の武器は荷電粒子砲以外だと、上にある機銃がそうだが他にもあるのか?」
「後部にビーム砲の銃座が二機」
「俺達、とんでもねータイミングで来ちまったのかぁ?」
クラインの呟きに応えるのは、リズベットとエギルの乾いた笑いである。こんな事なら新規アカウントではなくコンバートすればよかった、と思うも後の祭りではあるが、逆に言えば新規であるが故に失うものが何もないのだから色々とやり様もあった。
「その搭載されてる武器は俺らでも扱えんのか?」
「車両に搭載されている分についてはステータスなどで制限が入らないので、元々車両があそこに入れたら皆さんにはこの火器で支援してもらう予定だったんですよ」
「行きで使わなかったのは……まぁそんな余裕もなかったしな」
行きでの挙動を思い出して、エギルは使わなかった理由に納得した。そもそも使える人間が他の事で手一杯だったのだから、GGOに関して素人の自分達に使わせる事が出来ないのは当然だ。しかし今は使い方を教える時間はあるし、撃つ方向だってそこまで範囲が広いわけでもないだろう。
なら素人でも使う人間が居ると言うだけでだいぶインディが楽になる。指示を飛ばすのは仕方ないにしても、役割を臨機応変に変える
「配置はどうするの?」
「クラインさん、エギルさんにはビームを。リズさんは上のバルカンを。アリスさんとユージオさんは荷電粒子砲をお願いします」
「僕とアリスの二人で?」
ユージオの疑問にインディは頷くだけで答える。荷電粒子砲の発射トリガーがある場所は車両の中でもそこまで広くないスペースではあるが、二人くらいなら入れる。それに暴発などの危険性などを考慮してそれなりの装甲に囲まれている。車両の中で一番安全性が高いスペースがそこなのだ。
ストレアやリョウゲツも気にしていたが、ゲーム内で死亡した時に二人がどういう風になるかは不透明である。似た境遇のストレアはゲーム内でHPを全損したとしても元気に再復活して、自分を殺したモンスターにリベンジするくらいなのだが、それは彼女が現代生まれのAIであるという事がある。
対してアリスとユージオは元々自分を人間と思って、仮想世界で生まれてきた。現実の事や他の仮想現実の事を知ってはいるものの、メンタリティと言う意味ではストレアと比べても違うだろう。
「ストレアも使えたから、私だって使えるというわけですね!」
ただ、やる気満々の表情で両手を握るアリスにとってはその辺りの思惑は知る由もないだろう。
「そう言う事なので、ユージオさんには適切にアリスさんを操縦して欲しいかなって」
「期待しないでくれると嬉しいなぁ……」
すとれあ「アタシ、ゲーム初出のキャラじゃん?」
おりしゅ「何だ唐突に」
すとれあ「いや、そのゲームのアバターがねぇ」
おりしゅ「最新作のキャラ紹介のアレ、完全に痴女よな。アドミニストレータには及ばんにしても」
すとれあ「全裸と比べられても困る。アタシまだちゃんと服着てるよね!?」
おりしゅ「常識の範囲内の痴女とか言うパワーワードが発生しそう」
すとれあ「武器はすっごい好みなのに……何であの装束にしたの……」
おりしゅ「いやお前、大体のゲーム全部露出高いから今更では?」
すとれあ「
あいこ「それはそれとしてスーパーアカウントが多すぎる問題がですね?」
ゆうき「こっちで当て嵌めるとしたら……姉ちゃん火神と風神どっち使いやすい?」
あいこ「ぶっちゃけどっちも使おうと思えば使えると思うけど……」
すぐは「ならあたしは風神の方がいいなー。シルフだし、風で飛べそうだし」
ゆうき「ホント、飛ぶの好きだよね直葉さん……スピード狂みたいなところあるし」
すぐは「木綿季ちゃん、トリガーハッピーなの自覚してるよね?」
あいこ(どっちもどっちなのでは……?)