稀血をよこせ、人間ども   作:鬼の手下

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 沙華と、そう名付けた元柱の鬼は、無差別、無意識に自らの思想を心に植え付ける血鬼術を使う。やはり私には効かなかった。(ハツ)()と同じく、使いやすそうな女だった。



戻らない時間

「……うぅ」

 

 宵の口。

 なぜか私は布団の中にいた。

 

 思い出す。えっと、上弦の壱を酔い潰れさせて襲いかかろうと画策したわけなのだ。そこまでは覚えている。

 

 結界の中に引き摺り込めば勝てるだなんて、甘い考えは私にはなかった。

 なんと言ったって、あの縁壱の双子の兄だ。結界の中で発動する私の血鬼術が擦りもしなかった縁壱の、その兄だ。

 

 弱らせて足りないなんてことはない。

 

 そういうわけで、飲み比べをした。

 調子に乗って、私は飲み過ぎてしまい、ふにゃふにゃになって、布団の中で寝かされてしまった。

 

 私を布団の中に仕舞い込んだのはあの上弦の壱である。妙なところで、あの男は律儀なんだ。

 

 酔ったところに血戦を挑むつもりだったが、失敗した。

 上弦の壱は帰ってしまったか……。そういえば、カナエちゃん。

 

「……カナエちゃんっ!?」

 

 私が見ていないと、カナエちゃんは里の子たちを食べてしまう心配があった。

 

 本人は否定するだろうけれど、それほどカナエちゃんのことを、私は信用していなかった。

 

 結界の中の人数を数える。

 

「減ってないわね……。えぇ……」

 

 それと、上弦の壱がなぜかまだ居る。

 庭でカナエちゃんと戦っている。

 

 パッと、お布団を片付けて、庭先に私は出てみる。

 

「まだ、まだ戦えるわ……!」

 

「その心意気や……よし……」

 

 上弦の壱により、カナエちゃんがボロボロにされていた。

 舞う三日月の斬撃をかわしながら、上弦の壱に近づいていくも、届かない。

 

 猗窩座を圧倒した、白目が赤くなるあの技も使っているようだったが、大量に生産された不規則な三日月の刃を前に、なす術がない。

 

 三日月の雨霰でカナエちゃんの行動を制限しながらも、上弦の壱は、にわかに距離を詰め、流麗な動作でカナエちゃんの頸を刎ねる。

 

「また……負けてしまったわ……」

 

 頸を繋げて、カナエちゃんは肩を落とす。

 私なんか、あの三日月は一個か二個くらい避けたら限界なのに、贅沢だと思った。

 

「まずは……痣を浮かばせること……。お前ほどの……実力ならば……易いはず……励め……」

 

「痣……?」

 

 痣とは、上弦の壱の頬や額にある、炎のような形のソレのことだろうか。

 

「そういえば、それに似た痣、縁壱にもあったわよね……」

 

「…………」

 

「ハツミちゃん!」

 

 ここでようやく、私の存在に気がついたようだ。いや、上弦の壱はわかっていたか。

 

「痣は……呼吸による……体温の上昇……脈拍の増加……それにより……浮かび上がる」

 

「……それって、そういうものだったのね」

 

 なんだか、私の言ったことが無視されたような気がしたけれど、気のせいだろう。上弦の壱は律儀な男だ。そんな酷い真似はしない。

 

「そして……痣とは……寿命の前借りに過ぎぬ……。痣の者は……人間であれば……例外なく……二十五を待たず死ぬ……」

 

「例外なく……? 縁壱は七十くらいまで生きたそうじゃない? 看取ったのは巌勝くんだったわよね?」

 

「…………」

 

 なぜか、上弦の壱は無言だった。

 縁壱の死亡が確認できたとき、無惨様と私は抱き合って、泣いて喜んだ。無惨様は、そのあと、自分の目で縁壱の死体を確認すると言い出したから、私も付いて行った。本当に大はしゃぎで、良い思い出だ。

 

 忘れようがない記憶だ。

 なぜ上弦の壱は黙っているのか。

 

「普通の人間なら、二十五で死ぬと言うのでしょう? 縁壱が長生きだったのなら、縁壱と血の繋がった巌勝くんも、鬼にならなくても二十五で死ななかったかも知れないわよ?」

 

「…………」

 

 少し、上弦の壱は私の言葉に表情を歪めたが、やはり何も言わなかった。

 

「えっと……痣が浮かぶと……」

 

「身体能力が上がり……回復力が異常なほど上がる……。人間でもそれほど……。鬼ならば……桁外れの力を……その身に宿らせる」

 

「へぇ……」

 

 カナエちゃんのセリフを読んだように、上弦の壱はそう答えた。

 もしかしたら、カナエちゃんに痣が浮かんだら、今度こそ私の地位が危ういかもしれない。どうしようか。

 

「試みよ……」

 

「わかったわ……」

 

 ――全集中『花の呼吸』。

 

 フゥゥゥと、カナエちゃんは深く息をする。

 結界でカナエちゃんの身体を感知して観察すると、確かに心拍数が上がっているのがわかる。

 

 数分がたった。

 

「うまくいかないわね……」

 

 心拍数、体温の上昇はわかるが、上弦の壱のような痣が浮かぶ気配はなかった。

 

「やはりか……」

 

「……?」

 

 上弦の壱は、なにか納得するように頷いている。

 痣が浮かばないような心当たりでもあるのか……。

 

「奥方さま……。日輪刀を……持ってきては……くれぬか……?」

 

「えっ……?」

 

 一応、上弦の壱には、奥方さまと呼んでもらうことにしている。……えへへ。少し粘ったら、そう言ってくれるようになったんだ。

 まあ、私の方が数字が遅いから、あんまり敬語は使われないけれど。

 

 それはそうと……日輪刀……。

 そんな危ないものを、なんに使うつもりなんだ、この侍もどきは。

 

「私の痣は……鬼との……命のやり取りにて……開花した……。温い……鬼同士の修行では……目醒めるものも……目醒めはせぬ……」

 

「えぇ……」

 

 この侍もどきは、本気でカナエちゃんと命のやり取りをするつもりなのか。

 ちょっと、信じられない。こんなところで同士討ちだ。なにを考えてるんだ。

 

「わかったわ。あのお方の役に立つのなら……」

 

 カナエちゃんは覚悟を決めたような顔で、頷いた。

 そういえば二人とも、鬼狩りだった。異常者どもの考えは、私にはわからなかった。

 

「どうなっても知らないわよ……!?」

 

 いそいそと、私は封印した日輪刀を持ってくる。桜色に染まったものと、緑色に染まったものだ。

 二つ持って来た私に、上弦の壱は目を向けた。

 

「緑……風か……。これほどの見事な色……よほどの才に恵まれた証……」

 

 そうして手に取り、刀をじっくりと見聞している。

 

「実弥くんの剣ね……」

 

「鬼には……」

 

「今までにないくらい良い味の血だったから、今も人間よ? あなたも飲んだでしょう? とても幸せに、子作りに励んでいるわ……」

 

「そうか……」

 

 納得したようで、上弦の壱は日輪刀をその手に握った。

 手に馴染ませるように、その柄を何度か握り直す。

 

 その変化は唐突だった。

 

「――っ!?」

 

 ……刃が――赫くなった。

 

 瞬間、全身に怖気が走る。

 呼び起こされるのは、私の命が失われかけた、おぞまきしきあの日。

 その赫灼は、まさに鬼殺を体現する。鬼の本能が、その刃を忌諱する。

 

「…………」

 

 そして、上弦の壱はその刀を取り落とした。

 

「…………」

 

「…………」

 

 一瞬の出来事に、みな、無言になる。

 全員が、全員、顔に汗が滲んでいる。私は気絶するかと思った。

 

 もう一度、上弦の壱は、その刀を手に握る。今度は、赫くはならずに、その深い緑色を変えなかった。

 

「今……のは……? 日輪刀は、一度色を変えたら……二度と色を変えないはずじゃ……」

 

 まず声を出したのは、事情を知らないカナエちゃんだった。

 その声に、私は正気を取り戻し、答える。

 

「私や、あのお方を殺しかけた剣と同じ。縁壱の刀は元々は黒だったけど、握るとなぜか赫くなった。あれで切られると、鬼でも再生がすごく遅いの!! それにしても、巌勝くん……巌勝くんも鬼だから……赫くしたら本能が拒んで、取り落としちゃったのね……。ああっ、残念……! ふふっ、鬼だから、全力が振るえないなんて……残念!! ああっ、安心したっ!!」

 

 それにしても、巌勝くんは、あの縁壱の双子の兄だ。刀を赫くすることも、できて当然か。

 そういえば巌勝くんは、鬼になって今まで、日輪刀ではなく自身の血肉から作られる刀しか使ってこなかったのだろう。だから、赫灼の刃が、鬼の本能に拒まれて使えなくなっていることに今の今まで気が付かなかった。

 

 巌勝くん、案外、抜けてるところがあるのかもしれない。

 

「…………」

 

 そうして上弦の壱は感慨深げに自身の刃を見つめている。

 本来の力が発揮できずに、なんて可哀想なのだろう。あぁ、惨めっ。

 

「日輪刀に……そんな秘密があったのねぇ」

 

 鬼殺隊には伝わっていなかったのか。カナエちゃんは柱だったはずなのに、それでも伝わっていないとは、もしや失伝している……?

 まあ、技術を受け継ぐとしても、この月日の兄弟がおかしかったから、後世の人間にはできなかったのだろう。安心だ。

 

 もう、こんな双子は二度と産まれて来てたまるものか。

 

「…………」

 

「そろそろ、始めても……」

 

「構わぬ……殺す気で来い……。加減はするが……隙を見せれば……殺す」

 

「わかっているわ……!」

 

 そうして、カナエちゃんは自身の刀を握り、上弦の壱に向きあう。

 

 ――『花の呼吸・壱の型――』!

 

 ――『月の呼吸・壱の型 闇月・宵の宮』。

 

「……っ!?」

 

 一瞬でカナエちゃんの右手が持っていかれる。

 なぜだか、血鬼術のはずの月の刃が、血肉で作った刀ではなく、日輪刀を振って現れた。なぜだろう。

 どうせ巌勝くんだ。考えるだけ無駄だろう。

 

 手を生やして、カナエちゃんは刀を握り直し、また斬り付けようとする。

 その僅かな間に、カナエちゃんの頸筋に刃が煌めく。

 

 本当に殺す気だわ……!?

 

 上体を反らして、日輪刀から逃れたが、続く月の刃に体勢を整える邪魔をされる。

 無理に身体を起こして、左手が飛ぶ。目から耳にかけてが切り裂かれた。

 尚もくる追撃に、鍔迫り合い。押し負け弾き飛ばされる。

 

 飛ばされた先にも、容赦なく月の刃が乱れ打たれる。日輪刀ではない攻撃は、致命傷にこそならないが、再生の一手が遅れる。

 境地に至った者同士ならば、一手でも致命的だろう。月の刃をかわしながら、再度、上弦の壱に接近する。

 

 やはりというか、血肉で作った刀ではないからだろう、月の刃の密度が低い。

 先程とは違い、思いの外、カナエちゃんはするりと抜けて、上弦の壱のもとにたどり着いた。

 

 そこから何度か切り結んだが、カナエちゃんの攻撃は上弦の壱に通る様子がなかった。

 実力差は圧倒的だ。カナエちゃんは手やら足やら目やらが何度も月の刃で持って行かれて、こっちに飛んできたりもして、頸にも幾度か刃が届いていた。

 

「あっ……」

 

 もう、ダメかと思った。

 カナエちゃんの頸筋に、上弦の壱の日輪刀が食い込む。回避も、間に合わない。

 

「……うっ」

 

 文字通り、頸の皮、一枚。

 自身の刀で、上弦の壱の刀を抑えて、繋いだ。防御が間に合っていた。

 

 今までのカナエちゃんの速度なら間に合わないはずの防御だった。飛躍的に、その速度が上がっている。

 

「見事……なり」

 

 薄い桃色の彼岸花の花弁のような模様が、カナエちゃんの頬から頸筋にかけて、浮かび上がっていた。

 すぐにカナエちゃんの防御は押し切られるが、僅かに稼いだ時間で、一度刃が通った頸が癒着していたから、ぎりぎり死なない。

 

 今までより再生が早い。これが、痣の力だろうか。

 本当に、ひやっとした。

 

「カナエちゃん! 痣が浮かんでいるわよ! やったわね!!」

 

「……!? ハツミちゃん……本当!!」

 

「ええ……右の頬に彼岸花の花びらみたいな形の桃色の痣……!」

 

「これが……確かにこれなら……」

 

 カナエちゃんは、新しい力の凄さを実感しているようだった。

 頬もほんのりと赤く、興奮しているように見える。

 

 そうやって、はしゃいでいる私たちを、少しだけ冷たい目で上弦の壱は見ていた。

 

「その感覚を忘れぬよう……。常に痣を浮かべることを……心がけろ……。痣者になるのは……通過点に過ぎず……。次は身体が……透けて見える……ところだ……」

 

「透けて……見える……」

 

「…………」

 

 意味がわからなかった。

 透けて、見える……。やっぱり、訳がわからない。

 

 上弦の壱には、透けて見えているのか。私が……。

 

「…………」

 

「冗談よね?」

 

「嘘では……ない。身体の形……筋肉や臓物の動き……血管の拡張、収縮……手に取るように……わかる……」

 

「今、私は臓物を増やしたわ。それはなに……?」

 

「脾臓……」

 

「…………」

 

 名前のよくわからない臓物を増やしたら、知らない名前が出て来たから、たぶん、間違いではないのだろう。

 こういうとき、嘘をつく男ではないのは、長い付き合いで知っているし。

 

「もう一度……問うか……?」

 

「いえ、いいわ。血鬼術では、ないのよね……」

 

「ない。人間ならば誰でも……否、才能によるが……努力で辿り着ける……境地……」

 

「……そう、なのね」

 

 人間って、すごいのね。

 

 いや、違う。おかしい。絶対に、こいつらがおかしいだけだ。普通の人間は、どんなに努力したって、身体が透けて見えたりはしない。

 まともに取り合ったらダメだ。

 

「…………」

 

 どうしたのか。カナエちゃんは、上弦の壱に背中を向けて、地面に屈み込んでいる。顔が赤い。

 

「……見えたから……どうした……? 男女の営みとは……互いに触れ……言葉を交わし……成り立つもの……」

 

「で、でも……み、見えるのでしょう? 恥ずかしいわっ……! お嫁に行けない……っ!」

 

 なるほど、確かに体内まで透けて見えるのだったら、裸も見えるのも道理か。カナエちゃんの反応はとても可愛らしい。

 

「カナエちゃん。お嫁と言うけど……鬼になった時点で貞操はあのお方に捧げたようなものよ? ね」

 

 もうすっかり、私は精神が鬼だから、恥ずかしいとか、なかった。

 

「う……うぅ……。見ないで……ぇ」

 

「これでは……修行が……できぬ……」

 

 カナエちゃんの反応に、上弦の壱はほとほと困り果てた様子だった。

 

 一応、私は尋ねてみる。

 

「巌勝くん。カナエちゃんの裸……見たの?」

 

「……。これほどの壮健で美しき女は……この四百年、今までになし……神妙なり……」

 

「う……ぐす……うぅ……」

 

 カナエちゃんは泣いてしまった。

 巌勝くん……言い訳があっただろうに、決してそれを言わなかった。その精神は、別にいいとして、褒める以外にも言うことがあったと思うのだけれど。ええ。

 

「カナエちゃん。まあ、見られてしまった以上は……折り合いをつけて生きていくしかないわ……。はぁ……面倒ね……いっそ、夫婦にでもなれば解決するのに……」

 

 鬼同士は嫌い合うようになっているから、有り得ないか。鬼で夫婦をやっていけるのなんて、私と無惨様くらいだ。

 

「かつて妻子を捨てた身……今更、妻を娶るなど……有り得ぬ……」

 

 上弦の壱はこの通りだった。

 それにしても、妻と子供がいたのか……。その話は初耳だった。

 

「いえ、ちょっと待ちなさい。あなた……子供がいたの……? 私、嫌よ、アナタみたいな人間が増えるだなんて……」

 

「何を言う……? 今や四百年も昔……我が子孫が……生きているかも……わからぬ」

 

「で……でも……」

 

 その子孫も、努力したら身体が透けて見えるに違いない。き、気持ち悪い。まかり間違っても、鬼狩りどもの仲間になっていないでください。

 本当に……巌勝くんやら、縁壱みたいなのが、いつか産まれてくるんじゃないかと、私は辛くてならない。

 

 そんなこんなとしているうちに、カナエちゃんが立ち上がる。

 

「ふぅ……いつまでも、こうしてはいられないわ……。そうね、いつも透けて見えるなら、裸を見られたって、仕方ないわね。それに、そのために使っているのではないのよね……?」

 

「筋肉、臓物の動きを見れば……次の動作もわかるゆえだ……。不意打ちも……察せる……。戦い以外で……使いはせぬ」

 

「ええ……そうね……。でも、そういう力があって、使うなら、最初から言って欲しかったわ」

 

 カナエちゃんは、怒っているようだった。

 まあ、裸を見られてしまったんだ。仕方がないだろう。

 

「自らの手を明かすなど……無粋の極み……。侮りとも取られかねぬ……」

 

「女の子に使うなら、次は絶対に言うのよ……?」

 

「あいわかった……」

 

有無を言わせない表情のカナエちゃんに、上弦の壱はうなずく。一応、カナエちゃんとしては、これでこの件に折り合いがついたのだろう。

 

 そういえばと、カナエちゃんの頬をみる。さっきはあった痣が、今はなくなっている。

 

「カナエちゃん。やっと出た痣がなくなってしまったのだけど……」

 

「え……?」

 

 カナエちゃんは頬を触る。まあ、本人には見えない場所にあるだろうから、わからないだろうけれど。

 

「体温、脈拍、共に下がれば……痣もまた消える……。常に出すには……また……鍛錬が必要……。感覚が掴めたのならば……次は易いはず……」

 

「全集中の常中と一緒ね……。わかったわ! 常に痣が出せるように鍛錬ね……!」

 

 なんだか、ちょっと頭が痛い。

 私、カナエちゃんに越されないだろうか、本格的に心配になる。

 

 結界の中ならば、まだ勝ちはあるだろうけれど、私も強くならないといけない。

 

「続けるか……? 次は……透けて……見えるやもしれぬ」

 

 もう一度、日輪刀を構えて、上弦の壱はカナエちゃんに向ける。

 透けて見えるためには、やっぱり、また命懸けの戦いをするのか。

 

「いいえ……。やめておくわ。今は、痣に慣れることに集中したいの……」

 

「そうか……」

 

 そして、上弦の壱は日輪刀を下ろした。

 まあ、一日に、命懸けの戦いを続けて、精神がもつわけがない。

 

 私も、命懸けの戦いをすれば、血鬼術が強くなったりするのだろうか。上弦の壱を改めて見直す。

 

「そういえば、巌勝くん。鬼になってから、命の危機に遭った戦いって、あった……?」

 

「……? 一度……いや、一度たりとも……ありはしない……」

 

「そう。なら、巌勝くんは……鬼になってから、あんまり強くなっていないのねっ……!」

 

「……!?!!!?」

 

 上弦の壱は、固まってしまった。すごい表情をしていた。

 

 ……うん。今なら倒せるかもしれない……。そんな気がする!

 

「くらいなさい!!」

 

 ――血鬼術『死瘴結界・蝕害』。

 

「な……!?」

 

 勝った!

 私は上弦の壱になった。

 

 

 

 ***

 

 

 

 季節は冬。カナエちゃんが上弦になって、だいぶ経つ。

 ()()が来ていた。実弥くんは囲炉裏で暖を取っている。

 

(ハツ)()様……。さゆに子どもはできましたか……」

 

 毎日の恒例行事だ。

 ()()のお腹に手を当てて、新しい命を探る。

 

 ちなみに私は今、『上弦』の『弐』だ。一瞬、勝ったが、そのあとギタンギタンにされてしまった。

 どうも、私の地下にある分身が透けて見えるから、その動きを見ることで、どこを攻撃するかわかり、結界での攻撃も避けられるらしい。

 

 どこを攻撃されるかわかったところで、避けられるものではないと思うのだけれど、やっぱり巌勝くんはおかしかった。

 

「……あっ」

 

(ハツ)()様……?」

 

 ()()のお腹の中には私の感知に引っかかる生き物がいる。

 人間以外は勝手に殺す私の結界の中だ。可能性など一つしかない。

 

「おめでとう、()()。お腹に赤ちゃんがいるわ!」

 

「……!!」

 

 そう言うと、()()は泣き出しそうな勢いだった。

 

「ふふ……」

 

 私は実弥くんの方向を見て、()()の背中を軽く押す。

 

「……!?」

 

 ()()は私に一つ目配せする。それに私が頷いたら、()()はそのまま、実弥くんのところへと走っていって抱きついた。

 

「わ……。さゆ、危ねェだろ……。そんなふうに走ったら、ケガしちまうかもしれねぇ」

 

「えへへ……。さねみさん、さねみさん。さゆに赤ちゃんができました。えへへ、さねみさんの子どもですよ……?」

 

「……!? 本当か……!?」

 

(ハツ)()様、本当ですよね……っ!」

 

 今でも、はっきりと()()の中に新しい命を感じられる。

 

「ええ、間違いないわ。二人の子どもがそこに居るわよ?」

 

 実弥くんは、まじまじと()()のお腹を見つめる。透けて見えるわけでもないだろうに。信じられないと言ったような顔をしている。

 

「毎日、毎日、あれだけ頑張ったんです……ふふ。さねみさんも、さゆたちの赤ちゃんも、ずっと一緒……さゆは幸せものです」

 

「あ……あぁ」

 

 まだまだ実感がないような、そんな間の抜けたような表情を実弥くんはしていた。

 

「子どもができたのよ……実弥くんは、嬉しくない?」

 

 だから、少し意地悪をして、私はそう尋ねる。

 ちなみに、私はとても嬉しい。美味しい血を持った二人から産まれた子どもだから、どんなに美味しくなるのか……。

 

 ああ、ちゃんと血を採れるくらいまで育つには、まだ何年もかかる。産まれたら、ちょっと味見してもいいかな……。

 

「あ、あぁ……俺の子どもが……」

 

「そうですよ……っ。さねみさんの子どもです……っ。さゆのお腹に……っ!!」

 

「……そうか……ァ」

 

 ワナワナと震えだして、実弥くんは泣き出してしまった。

 

 今更だけど、記憶を消して、夫婦(めおと)にしたのは強引だったかもしれないと思う。それでも、幸せな二人を見れば、私は間違っていないのだとわかる。

 

「さねみさん、さねみさん……」

 

「さゆ……お前たちは絶対(ぜって)ェ俺が守ってやる……」

 

 ここまで言ったんだ。実弥くんが、()()や子どもを捨てて、どこかに行ってしまうことはないに違いない。私は安心した。

 

 最近はカナエちゃんが、どうやってかは知らないけれど、お金をたくさん持ってくるようになったから、()()と実弥くんには、子どもをたくさん作ってもらうつもりだ。

 

「私は用事があるから、行くわね……?」

 

 ……。

 二人は喜び合っていて、聞いていない。とっとと私は退散しよう。

 

 書き置きを残すかどうか迷ったが、面倒だったからやめた。私がいないと、気が付いても、そんなに困らないだろう。

 

「鳴女ちゃん!」

 

 琵琶の音がして景色が変わる。

 ああ、そうだ。今日は無惨様が会食のお供にと、私を連れて行くそう。今日は外行きの着物だ。

 

 人気のないところに、私は現れた。人間に擬態をして、あとは無惨様のいるお屋敷に向かうだけだ。

 さっと移動して、お屋敷の門を叩く。

 

(ハツ)()か……。来たか……」

 

「……!?」

 

 無惨様が直々にお出迎えだった。

 私が来たのは、無惨様は能力でお分かりのはずだ。だから、こうして私がくるその時を見計らって、出てくることも可能だけれど、今までそんなことはなかった。

 

「まずは着替えだ……」

 

「……え……?」

 

「中に入れ」

 

「……はい」

 

 そうして、お部屋の前まで私は無惨様に付き添われて行った。

 外行きで、誰に見られても恥ずかしくはない格好だと思っていたのだけれど、私が甘かったか……。

 

 お部屋に入ると、使用人が私を着替えさせてくれる。

 着物を脱がされて、着せられたのは西洋風の婦人服だった。

 

 青かったり、白かったりで、布が余ってフワフワした感じの服で、髪の毛も後ろで丸く纏められたりした。

 

「……ふふ、月彦さんったら……奥様のためにと、オーダーメイドで作らせたんですよ?」

 

 使用人が、そんなことを言った。私は西洋の言葉が得意ではない。

 

「おーだーめいど……?」

 

「ああ、世界でこれしかないという意味です」

 

「……っ!?」

 

 少しだけ驚いて、涙が出てしまった。

 確かに、こんなフワフワした服は、店で売ってはいない。無惨様が私のために……そう思ったら、なんだかこのフワフワとした珍妙な形の服にも愛着が湧いてくる。

 

「仲の良いご夫婦で羨ましい限りです」

 

「は、はい……っ」

 

 花の形の髪飾りをつけられて、どうやら完成したようだった。

 そのままに、無惨様のもとへと向かう。

 

「できたようだな。似合っている」

 

「はい……。ありがとうございます……」

 

 無惨様が特注したのなら、私に似合っていないはずがない。

 

 目的地まではお車で向かうようだった。

 車、車。ふふっ、私が走った方が早いっ。

 景色が流れて行く。

 

 向かった先は西洋風のお館だった。

 入っていく人もそれなりに居る。

 

 そこで、私は思い出した。

 

「つ、月彦さん……! 私、西洋の踊りはやったことが……」

 

 西洋の宴会は、舞踏をすると話に聞く。私にはまるで経験がないものだった。

 

「安心しなさい。今日は食事をするだけです」

 

「はい……」

 

 こういう、誰かの目があるときは、月彦として私にも敬語を使う時がある。たまに、つけていないときもあるけど、それは夫婦の親密さを周りに周知させるためだろう。無惨様が間違えるわけがない。

 

 念のため、結界を張る。大きさは、館を覆えるくらい。結界で感知をした人間の動きを、鬼である私の反射神経でそのまま真似すれば、もし万が一のときも私だって踊れるはずだ。

 そうでない作法だって、こうすれば簡単に学習できる。

 

(ハツ)()……わかっているな?」

 

「はい」

 

 私が会食に同席するときは、余計なことを言わず、無惨様の後ろに付き従い、常に笑顔でいる。

 私が綺麗な分だけ、無惨様が無用に舐められなくて済むから、そのために私がいるのだ。

 

 そうして会場に着くと、無惨様は、いろいろな人に挨拶をし始める。

 私は後ろをついて回って、ずっと笑顔で、無惨様に促されたことのみを答える。

 

 そうして何人も挨拶をして行って、何人目だったかだ。見たときある顔だった。

 

「この度は、ご招待いただきありがとうございました」

 

「いや、君には世話になったから、ぜひにと思ったんだ……。その方は……奥様かい?」

 

「はい……。ハツミ……」

 

 ……まずい!

 

「あ……妻のハツミです」

 

「ハツミ……? ああ……!」

 

 私がお金をせびっているおうちの人だ。

 まさか、こんなところで出会ってしまうとは……。

 

「…………」

 

「なるほど……うちの子が世話になったね……。なるほど……なるほど……やっぱり、月彦くんは病弱そうだから、そうやって知り合ったのかい?」

 

 病弱そう、という言葉に無惨様は一瞬反応を見せるが、人目の多いここでは行動をしない。

 

「故郷が同じもので……」

 

「幼馴染ということかい……? いやぁ、実直だねぇ、月彦くん」

 

「…………」

 

 そこから、いくらか話して、また違う人へと挨拶に向かう。

 改めて参加している顔ぶれを見直すと、私の知っている顔がチラホラとある。

 

 こんなこともあるのかと、一人納得していると、結界が完成した。

 

「……あっ!」

 

「……大方予想はついていたが、そういうことか」

 

 カナエちゃんの反応があった。

 なんで、こんなところにいるのか、私にはまるでわからなかった。無惨様は私の思考を読んでお分かりになった様子だった。

 

「皆さん、お集まりいただきありがとうございます」

 

 そんなこんなとしているうちに、会場の、一番目立つ台のところに、カナエちゃんが登場した。痣はもうだいぶ慣れたようで、数時間は継続して出せるようだが、今はなかった。

 

 本当に、何をしているのだろう、この子は……。

 会場に居るみんなは、拍手で迎える。

 

(ハツ)()……血を出せ……」

 

「……え?」

 

 こんなに沢山の人がいるというのに、無惨様は擬態を解いてしまわれた。

 

「フン……どうせこちらなど、誰も見てはいない」

 

「……た、たしかに」

 

 皆が皆、カナエちゃんの方ばかりを見ている。こちらに注意を向ける者は、どこにもいない。

 

「皆さんには、鬼を知っていただくために集まってもらいました」

 

 カナエちゃんの声が響く。会場には、どよめきが走るが、それでもカナエちゃんの方向を、食い入るように見つめているばかりだ。

 

 私には、無惨様しか目に入らない。

 

「沙華の血鬼術だ。精神を高揚、陶酔、遊離させたのち、空いた隙間に自らと同じ思想を植え付ける……珠世や姑獲鳥のものに似ているが……少し違うか。()()()()()()()()()()、人間ならば声を聞くのみでも抗いようがない。こちらなど、見向きもできぬ……。強い鬼にも効きにくいようだが、呼吸を使う剣士にもおそらく効きにくいのだろう。お前よりも黒死牟の方が効いている様子がなかったからな……。それはともかく、血を出せ……二度も言わせるな……お前はただ、私の言う事にのみ従っていればいいのだ」

 

「……はい、ただいま」

 

 血をお出しする。無惨様の言う通り、この状況ならば、大丈夫そうだ。私も無惨様に習って擬態をとった。

 

「やはり、この血はいいな……」

 

 ()()の血だった。無惨様はこの血をかなりお気に入りになられている。

 

「その事なんですが……身篭ったため、当分は……血を採ることができません……」

 

「お前のことだ、蓄えがあるのだろう……?」

 

「はい……」

 

 蓄えてばかりで、私、飲んでいない気がする。カナエちゃんにあげたり、無惨様に献上したりするばかり。

 まあ、でも、子どもの血が採れるくらいになったら、無惨様はそちらに夢中になるだろうから、その時に楽しめばいいか。

 

「それにしても子どもができたか……。相手はだれだ?」

 

「元柱の……実弥くんです」

 

「あれも美味い血だった。美味い血同士を掛け合わせて、味を良くする。お前は自分の役目をよく果たしている。未だに鬼狩りどもをのさばらせている他の()()()()とは大違いだ」

 

「ありがたきお言葉です」

 

 ああ、無惨様に褒められると、天にも昇るような気分になる。もっと褒められるように頑張ろう。

 

「褒美に私の血をやろう。飲め」

 

 空になった血を携帯していた容器に、血をたっぷりとつめると、私にそれを返した。

 

 ああ、すごく良い匂いがする。

 なみなみと容器に入っている血を見ていると、自然と瞳孔が開いてしまうのがわかる。頭からはダラダラとそれを身体に取り込むようにと指令がこぼれる。

 

 口に含み、飲み込む。

 気がつけば、容器は空。もうなくなってしまったのかと、絶望感が私を支配する。

 

「あ……んあ……んぅ……」

 

 身体がピクリと痙攣する。心地よさが全身を巡る。身体は作り替えられて、痛み、苦しみ、それを遥かに凌駕する全能感が私の頭を支配する。とても気持ちがいい。

 

 そんな感覚に浸っていると、突然に無惨様は私のことを抱きしめてくださる。

 

「お前は裏切らない。お前は特別な鬼だ。何百年も目をかけてきた甲斐があった……お前は私に最も近い存在だ」

 

「は、はい……っ」

 

「下弦の壱……いや、今は弐か……妓夫太郎たちを見て、思い付いたことだが――( )

 

 そっと、私に無惨様は耳打ちをして、続く言葉を私に告げる。私にだけに。

 私へだけの言葉だ。私にだけの……っ! 素晴らしい提案!!

 

「喜んで……っ!!」

 

 私がそう答えると、無惨様は微笑んで言った。

 

「共に永遠になろう……(ハツ)()

 

「……はい」

 

 夢のようだった。本当に私は特別なのだと実感が持てる。

 

 チラッと、カナエちゃんの方に意識を向ける。何やら、刃物で自分を斬り付けて、鬼の再生力をみんなに見せつけているようだった。

 隣には砕かれた金属の残骸がある。もともとなにかの機械だったのかもしれない。鬼の膂力を見せつけるためだろう。跡形もなかった。

 

 恐ろしい生き物がいるというのに、みんなはボケッと話を聞くばかりで、逃げる様子もない。

 

 鬼は人間よりも優れている。鬼は人間を食べる。鬼にとっての栄養が多く摂れる稀血という人間がいる。血鬼術という個体ごとの特別な力を持っている。自身は四番目に強い鬼である。

 

「鬼は人間に多くの恩恵を与えられます。鬼と人とは、仲良くだってできるんです。そのために、稀血の子を育てるために……お金が欲しいわ。私たちの素晴らしい世界のために、寄付してくれたらありがたいの! このことは、ここだけの秘密だから……よろしくね!」

 

 そう言って、カナエちゃんは話を纏める。

 無惨様が、擬態をし直していたから、私もそれに習って人間に擬態をする。

 

 そこからは、普通に食事をした。最中にカナエちゃんは、みんなからお金を集めてまわっていた。

 みんなは高そうなお財布から、たくさんのお(さつ)をカナエちゃんにあげるのだから、驚きだ。

 

 次から次へとお金を回収して、カナエちゃんは私たちのところにまわってきた。

 ちょっと、からかって遊べるかもしれない。無惨様の後ろに隠れる。

 

「寄与を――あなたは……っ!? ご無礼を……」

 

「月彦です。誰かと勘違いしているのでは……?」

 

「え……っ、あ……、はい……勘違いでした……申し訳ございません」

 

 そう言って、カナエちゃんは頭を下げた。他人のふりだ。他人のふり。こんな変なことをしているカナエちゃんの仲間だと思われるのは、無惨様も困るのだろう。

 

「私もあなたが目指す世界には興味がある。心ばかりですが、これを……」

 

「あ……ありがとうございます……っ!」

 

 無惨様は、周りに馴染む努力を怠らない。カナエちゃんが貰ったお金は、私が預かるから、私のところに支援で出しているお金を減らせば帳尻が合う。別に問題はないのだろう。

 

「この会は……あなたが……?」

 

「いえ……たくさんの人に集まってもらえればと、提案してくださった方が居て……その人の支援のおかげで(ひら)けた会です」

 

「では、そのお金は……」

 

「全て、稀血の子たちを育てる資金になります」

 

「……ほぅ」

 

 面倒ごとは人間に任せて、自身はこういう場に出ればいいだけということか。

 その手際に私は感心してしまう。私の知らないところでカナエちゃんがこんなことをやっていたとは。

 

「では、私はこれで。まだ声をかけていない人もいるので……」

 

「ええ、応援しています」

 

「……!? はいっ!」

 

 そうして、カナエちゃんは去っていくが、去り際に私はカナエちゃんの背中を突っつく。恭しい口調を心がけて、と。

 

「……ふふ」

 

「……え?」

 

「月彦さんの妻のハツミです。私も応援していますわ」

 

「え……妻……? そう……なの」

 

 カナエちゃんは私を見て、少しあたふたしているようだった。私がここに居るとは思ってもみなかったのだろう。

 

「はい。私は月彦さんの妻なんです」

 

「…………」

 

 嬉しいから自慢しておく。この設定を知っている鬼は、あまりいないから、こういうときにでも言っておかないと、もったいない。

 

「ハツミ……彼女が迷惑しているだろう?」

 

「あっ、すみません……。では、頑張ってくださいねっ」

 

「……ええ」

 

 そうして、今度こそカナエちゃんは離れていった。また、集金活動に勤しんでいる。

 

 余った時間は、顔を広めるべくか、無惨様は色々な人とお喋りしていた。私は横で、無惨様のお顔を見つめているだけの幸せな時間を過ごしていた。

 

 夜が更ける前にと、私たちは抜け出して、帰る。とても素晴らしい一夜だったと思う。

 

 帰った後、私の体は無惨様に弄り回された。これで私は、無惨様のことを完全に受け入れたことになるそうだ。

 まだ、私の鬼としての強さが足りないから、完璧ではないらしいが、それもあと数回、無惨様から血をもらえば終わり。

 私と無惨様は、二つで一つになるそうだ。私はとても嬉しかった。

 

 

 無惨様から婚姻関係を解消しようという通知が届いたのが、その数日後。資産家の娘に取り入るらしい。私は悲しくて泣いた。




 (ハツ)()様は、縁壱と兄上の差がよくわかっていません。
 ちなみに、無惨様は新上弦の参に青い彼岸花の捜索を命じるのを忘れる痛恨のミスをしています。

 原作前の鬼側はこんなところで、時間を飛ばします。冨岡さんの回想を挟んで、次回、原作。

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