稀血をよこせ、人間ども   作:鬼の手下

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 鬼と相対して、足がすくむ。動けなくなる。どれほどの鍛錬を積んだ隊士でも、実戦にならなければわからないことだった。



仲間たち

「なえ! 無事だったんだな!」

 

「炭治郎も!!」

 

 私たちは、互いの無事を喜び合う。

 裁判では、炭治郎が殺されてしまうのではないかと、内心、おそろしい思いをしていた。

 

 ようやくあの会議を抜けて、言葉を交わせる。ただ純粋に嬉しかった。

 

「なぁ、自分で歩けないのか?」

 

「すみません、身体中が痛くて……」

 

 炭治郎は、隠の人におぶわれていた。あの糸の鬼との戦いでの消耗が激しかったのだろう。仕方がない。

 幸い、私は普通に歩けている。

 

「なら、私が代わりに背負うわ!」

 

「いや、さすがにそれは……」

 

 隠の人は遠慮をするようだった。

 私も、疲れてはいるけれども、きっと、炭治郎ほどではない。本当にすごい動きをして、いつもとは違う呼吸で、あの糸の鬼と戦っていたのだから、このくらいは疲弊していて当然だろう。

 

 あのときは、私もいつもとは違う呼吸を使ったが、炭治郎の方が切り替えた後の時間が長かった。それがこの差に繋がっているとも考えられる。

 

 炭治郎が、ふと視線を横に送った。女の隠の人が、禰豆子ちゃんの入った箱を背負って運んでいる。

 

「なえ……ありがとうな……禰豆子のこと……」

 

「ううん、炭治郎。禰豆子ちゃんのことなら、お礼を言われる筋合いはないわ……! 私、禰豆子ちゃんが炭治郎のことを庇うところ、見ていたでしょう……?」

 

「なえ……。それに、あの鬼との戦いでも……なえが援護をしてくれなきゃ、俺は死んでしまっていたから。感謝してもしきれないんだ」

 

「あの鬼との戦いでのことなら、当然よ。その前に私は炭治郎に助けられていたし……力になれて、本当によかった!」

 

 結局は善逸くんに、それからあの柱の女の人に助けられてしまった。

 もっと、強くならなければならない。

 

 あの鬼は、元十二鬼月だった。

 あの鬼よりも強い鬼を倒せるように……私は上弦の弐を倒さなければならないのだから……もっと、強く。

 

 禰豆子ちゃんのことに関しては、思うところがないわけでもない。それでも、炭治郎と禰豆子ちゃんの絆はわかっていたから、御館様から持ちかけられて、協力することにした。

 

 炭治郎は、視線を私の手に移す。布で出血を抑えているが、禰豆子ちゃんに血を見せたために傷ついている手だった。

 

「なえ……ごめんな……。俺たちのことで、そんなふうに血を流させてしまって……」

 

「いいえ……私も刀で禰豆子ちゃんを突き刺したわ……。謝らなければならないのは、私の方。炭治郎にも、禰豆子ちゃんにも……」

 

「いや、なえ……。禰豆子が傷ついて、消耗している状態でも、なえに襲いかからないって、証明するためだったんだろう? なえがいなきゃ、禰豆子は殺されてしまっていたかもしれない。だから、なえが謝る必要はないんだぞ?」

 

 炭治郎の言うことはもっともだった。でも、どんな理由であれ、傷つけてしまったことは事実だったから、私は謝っておきたかった。

 

「ううん。ごめんなさい炭治郎……。それに、禰豆子ちゃんも……」

 

 禰豆子ちゃんの入った箱を撫でる。

 禰豆子ちゃんは鬼だ。あの女と同じ……。

 

 それが脳裏に過ってしまえば、胸にわだかまる思いを痛切に感じてしまうけれど、飲み込めないわけではない。

 

「……なえ、本当にありがとう……。もしかしたら、我を失った禰豆子に襲われてしまうかもしれない。それでもなえは、俺たちのために……本当にありがとう」

 

「…………」

 

 そこから、隠の人たちによって、私たちは蝶屋敷へと運ばれていった。

 御館様の屋敷の場所は秘匿されているから、途中の道では目隠しをされて、隠の人に連れて行かれるばかりだった。

 

 そして、蝶屋敷にたどり着く。炭治郎は、まだ身体がうまく動かないから、隠の人に背負われたままだ。

 

「ここも立派なお屋敷なんだな……」

 

 感心をしたように炭治郎は言葉を漏らした。

 

「そうね……。ここでは、傷を負った隊士が療養している。それに鬼に家族を奪われて、家を失った女の子を預かる場所でもあるわ」

 

「そういうことなら、なえも……ここで暮らしていたのか?」

 

「そうよ……すぐに、育手のところに呼吸を習いに行ったから、私は一年もいなかったけれど……」

 

 この蝶屋敷で過ごした日々に、正直、あまり良い思い出がない。

 こうじろうにぃが死んでしまった場所も……ここだから……。少しだけ、思い出して、胸にくるものがある。

 

「そうだ……それなら、なえ。なえは……あの人の……胡蝶さんのことを……なえはよく知っているのか?」

 

「あまり知らないわ……。私がこの屋敷に来たばかりのときは……牢に繋がれていたらしいし……」

 

「……? 牢にって、なにかあったのか?」

 

 答えをわずかに躊躇する。

 これは言ってもいいことなのだろうか……。いや、ここで私が言わなくとも、いつかはわかることなはずだろう。

 

「鬼になった姉を庇ったそうよ」

 

「……!? じゃ、じゃあ、あの人は……」

 

 炭治郎が目に見えて動揺しているのがわかった。

 自分と境遇を重ねてしまっているのかもしれない。

 

 しのぶさんの姉はダメで、炭治郎の妹は許されたわけだから、あの会議での取り乱しようも理解できる。

 だから、あのときのしのぶさんは禰豆子ちゃんに八つ当たりをしているようにみえた。

 

 だけれども、私だって、あの場で、あんな立場だったら、同じように取り乱してしまっていたかもしれない。

 禰豆子ちゃんのことをずるいと思う気持ちは、私もわからなくはないから、そんな姿を見て、同情をしてしまった。とても悲しかった……。

 

 しのぶさんのお姉さんは、私たちの村で鬼になったという話だったから、思うところがあって、蝶屋敷でも、あまりしのぶさんとは話はしなかった。

 今回の会議では、私は炭治郎の肩を持たせてもらったから、それに輪をかけて、顔を合わせるのが、とても気まずくてたまらなくなってしまう。

 

 しのぶさんのことは、気の毒だと思ったけれど、私は炭治郎の味方をするのだと、決めたのだ。

 

「……あぁ」

 

 蜘蛛山でのあの戦いを思い出す。

 耳飾りと共に代々受け継がれてきた神楽を使って、炭治郎は、見事逆境を跳ね除けてみせたのだ。

 

 その、稀有な巡り合わせに思い馳せ、そして私は確信する。炭治郎が、今まで何百年と倒せてこなかった鬼たちを倒し、鬼の始祖たる鬼舞辻無惨の息の根を止めることを……!!

 

「……な、なえ……?」

 

「炭治郎! あなたの力になるから!! 私のできることなら、なんだってするわ! なんだって!」

 

「なえ……。初めて会ったときもそうだったけど……どうして、なえは、突然わけのわからないことを言い出すんだ……?」

 

「……!!」

 

 涙が出る。

 炭治郎に嫌われてしまったかもしれない。言いようのない絶望感が心の内を支配していく。

 

「いや、泣かせるつもりで言ったわけじゃなくて……。え……! なんでここで降ろすんですか! ちょっと待ってください! 俺をここに置いて行かないでください!」

 

「俺たちは、蝶屋敷の人たちに事情を説明してくるから、二人はここで待ってるんだ」

 

 炭治郎と一緒にいようか、隠の人に付いて行こうか迷った私に、隠の人はそう言った。

 

 なぜ置いて行かれるのかはわからないけど、私はうんと一つ頷く。

 炭治郎を背負っていた隠の人と、禰豆子ちゃんの入った箱を背負っている隠の女の人は行ってしまった。

 

「な、なえ……ごめんな……。ごめん。本当に、悪気はなかったんだ……」

 

「私が悪いの……。全部私が……」

 

「いや! 俺の言い方が悪かったよ……。突然なんでもするなんて言われて、戸惑っただけなんだ……。そうだ! だったら、なえ! 上弦の弐のことは、俺がなんとかするから……っ、なえはその協力をしてくれたら嬉しいんだ……! なえは、死んだりしなくて大丈夫だから……っ!」

 

「…………」

 

 藤の花の家紋の家から、炭治郎とはずっとその話をしていたような気がする。もう何十回もした話だ。

 私と炭治郎の間では、話がまるで進んでいなかった。

 

「これなら、どうだ? なえ」

 

「イヤ……。あの女は、殺す。どうにもならない」

 

 ぷいと私はそっぽを向く。

 

「えぇ……」

 

 いくら炭治郎でも、その協力はできない。

 チラチラと、炭治郎の顔を見れば、とても困ったようにオロオロとしていた。目が合った。

 

「…………」

 

 目を逸らす。もう私は炭治郎の方を見ない。少し気まずくて、恥ずかしい。もしかしたら、顔が赤くなっているかもしれない。

 

「な、なえ……」

 

 あぁ……。

 もう、どうしようもない。困ったような、そんな炭治郎の声を聞くと、自分のことが情けなくてたまらなくなる。

 

 こんなふうに、拗ねてみせて、私は炭治郎の優しさに甘えているだけだった。

 

「炭治郎……」

 

「なえ……!」

 

 機嫌を悪く見せていた私から話しかけたからか、少しだけ明るい声で、炭治郎は私の名前を呼んでくれる。

 

「……炭治郎……。私ね……。あなたの力になりたいの……。こんな私で、ちゃんと力になれるかはわからないけど……そう、なんでもよ……私にできることなら、なんでもやってあげたい。炭治郎は、特別な人間だから」

 

 きっと炭治郎は、その刃を他人のために振るっていくだろう。自分の命を顧みずにだ……。だから、私は……。

 

「なえ、俺は特別な人間なんかじゃない。それに、俺のためじゃなくて……なえは……なえの……やりたいことはないのか……? ……鬼を倒す以外にもだ。そしたら、鬼を全て倒した後でも……いや、そうじゃなくても、きっと、生き甲斐になるから……!」

 

「……やりたいことって……ううん、炭治郎……私は十分に村で幸せに生きたから……もう、いいのよ……。それに、炭治郎は……もう特別な人間なの」

 

 炭治郎の隣に座り込んで、腕に抱きつく。

 

「……!!」

 

 炭治郎は、驚いたように、無言でこちらを見つめていた。

 

 そんな反応は無視して、少しだけとこのままでいる。

 暖かかった。心地よかった。

 

 あぁ……。あぁ……。

 死んでしまった私の大切な人のことを思い出す。こんなときには、苦しさで胸が締め付けられる。

 

 呼吸の一つ一つで痛みが強く沁みてきて、鼓動の一つ一つで全身へと徐々に徐々に溢れていく。

 

「はぁ……はぁ……」

 

 呼吸を整える。

 否が応でも、こうやって、私のこれからの生き方が、心に刻まれていく。私の生きるべき道筋を、改めて実感させられる。

 

「なえ……」

 

 心配そうに、炭治郎は私の名前を呼んでくれる。

 その声に、私の心が安らぎはするけれど、炭治郎の声で安らいでるとわかった途端に辛さが増す。どうしようもない嫌悪感が、心の中から滲み出る。

 

「……っ!!」

 

「なえ……大丈夫だ。大丈夫だから……」

 

 気がつけば、炭治郎は私のことを抱きしめてくれていた。

 あやすように背中をさすって、私のことを落ち着かせようとしてくれている。

 

 頭がおかしくなりそうだった。どうすればいいかわからない。あの小さな(ハツ)()様に宥められていた時と同じだった。

 身体が震えて身動きが取れなくなる。悔しくて、悔しくて、情けない。

 

「炭治郎……。もう、いいわ。隠の人たちが、戻ってくるかもしれないし……こんなところ見られたら……その……恥ずかしいの……」

 

 声を絞り出す。

 こんなふうに弱って慰められているところを、何人にも見られてしまったら、本当に惨めでどうしようもなくなってしまう。

 

「……あ……っ。ごめん、なえ……。そうだな……」

 

「…………」

 

 わかってくれたのか、そうして炭治郎が、私のことを離してくれる。

 その間も、記憶に残った温もりを思い返し続け、ただ呆然としていることしかできなかった。二度と私には手に入らないものだった。

 

「あ……っ、なえ! 戻ってきたみたいだぞ!」

 

「……そうね……」

 

 炭治郎の向いている方を見れば、男の隠の人が歩いてきていることがわかる。もうかなり近くにいる。

 計ったような頃合いだ。もしかしたら、みられていたのかもしれない。

 

「悪い。表に人がいなかったから、時間がかかった」

 

「あの……禰豆子は……?」

 

 見れば禰豆子ちゃんの箱を背負った女の人の隠はいない。だから炭治郎は尋ねたのだろう。本当に炭治郎は禰豆子ちゃんを大切にしている。

 

「先に部屋に案内されてる。ほら! さっさといくぞ!!」

 

「はい!」

 

 炭治郎はまた背負われて、今度こそ蝶屋敷の中に入る。

 懐かしい。私が過ごしていたときと同じだった。ここが私の始まりの場所だった。過去を思い出せば、自然と奥歯を噛み締めてしまう。

 

 わかっている。

 今じゃない。感慨に浸るのは、全部終わってからだろう。そのときは、こうじろうにぃにも、いい報告ができるだろうから。

 

「怪我人はこちらに!!」

 

 案内に、女の子が玄関の中で待っていた。

 アオイちゃんだった。蝶屋敷で暮らしていた女の子の中では、よく話もしたし、仲も良かった。

 

「アオイちゃん! 久しぶりね!」

 

 心が弾む。

 鬼殺隊なのだから、いつ死ぬかはわからない。こうして、また、会えるのは、何事にも替えられないくらいには嬉しいことだった。

 

 そうして話しかけたから、アオイちゃんはこっちに視線を向けて――( )

 

「…………」

 

 目が合いそうになった瞬間、アオイちゃんは違う方をすぐに向いた。目を逸らされていた。

 なぜか、こっちを見てくれない。

 

「アオイちゃん!」

 

「…………」

 

「アオイちゃん!」

 

「…………」

 

 声をかけても、もう一瞥もしてくれない。さっき以上の反応は、返ってこなかった。

 

 一度はこっちを見たのだから、聴こえてはいるのだろう。聴こえてはいるのに答えない。そうすれば、私は無視をされたということになる。

 

 ……無視。

 なにか、私は、気に障るようなことをしただろうか。やっぱり、私が上弦の弐の村で育てられたことがいけないのだろうか。

 

 返ってこない反応に、私は途方に暮れてしまう。

 

「なえ……知り合いなのか……?」

 

「え、ええ……。仲が良かったと思ったけど……やっぱり……私なんか……」

 

「なえ……そんな……」

 

 いや、そういえば、会議でのことを隠の人は説明した。私が禰豆子ちゃんを庇ったことも伝わっているのだろう。

 

 鬼を庇ったから、それでアオイちゃんは怒っているのかもしれない。

 

「そ、そう! ね、ねぇ、アオイちゃん! 禰豆子ちゃんのことなら……禰豆子ちゃんはとっても良い子なのよ! 大切な兄の炭治郎のことも、身を挺して庇ったし、特別な稀血の私も襲わなかった! だから、大丈夫よ!! 御館様もそうおっしゃっていたし……」

 

「…………」

 

 それでも、アオイちゃんは私に反応を返してはくれなかった。嫌われてしまっていたみたいだった。

 

「なえが話しかけてる。どうして答えないんだ?」

 

 私が諦めかけたとき、私の代わりに炭治郎がアオイちゃんに問いかけてくれる。

 それだけで私は救われたような気分になる。

 

「…………」

 

「なぁ、どうしてなんだ?」

 

「……あなたには、関係ないことです」

 

 繰り返し尋ねる炭治郎に、アオイちゃんはどこか弱ったように、うんざりとしたような表情で、そうあしらおうとしていた。

 

「関係ないことじゃない。このまま無視されてたんじゃ、なえが可哀想だ……」

 

「炭治郎……」

 

 私はその炭治郎の心に、感動していた。炭治郎が、少し私のことを思い遣ってくれるだけでも、嬉しくて嬉しくてたまらなかった。

 

「怪我人はこちらの部屋です。私はこれで……っ」

 

「……あっ」

 

 そう言い残すと、アオイちゃんは逃げるように去って行った。私と一緒にいるのが、一秒でも嫌だというような雰囲気だった。

 少しだけ……、そう……ほんの少しだけ悲しくなる。

 

「…………」

 

「……なえ、いいのか……?」

 

「……これでいいのよ……。もともと、私はこの屋敷の人たちに、好かれる理由がなかったし……こんなもの……。そう。別に気にすることじゃないの……」

 

「友達だったんじゃないのか……?」

 

「……っ!?」

 

 確かにそうだ。友達だと、私は思っていた……。

 

「こんなままで、なえはいいのか……?」

 

「違うわ炭治郎。友達だと思っていたのは私だけだったの……。きっと、そう……。勝手に友達だって勘違いして、馴れ馴れしく話しかけたから……あんなふうに嫌われてしまったの……」

 

「なえ……それは違う。匂いだ。匂いがしたんだ。深い後悔と、苦しみの匂いだった。なえのことを、嫌っているような匂いはなかったんだ」

 

「……えっ?」

 

 わけがわからなかった。私のことを嫌っているのでなければ、どうしてアオイちゃんはあんな態度を取ったのだろう。

 

 炭治郎が、嘘をつくわけがない。だから私はそれを信じるしかないのだけれど、アオイちゃんが私を嫌っていないという実感がわかない。

 鬼殺隊のみんなには、私は嫌われて当然だったし……。

 

 アオイちゃんが、何を考えているか私には想像もつかなかった。

 

「どんな理由でこうなってるのかはわからないけど……きっと、ちゃんと話し合えば、わかり合うことだってできる。俺も協力するから……っ!」

 

 炭治郎はそう言ってくれる。本当にありがたいことだ。

 私は、このまま炭治郎に甘えてしまっていいのだろうか……。こんなふうに頼ってばかりじゃ、すごく、惨めだ。

 

「いいのよ……炭治郎……。なんにせよ、私が離れれば済む話だと思うから……それより、この部屋でしょう? 入りましょう?」

 

「なえ……」

 

 アオイちゃんに案内された部屋だ。

 中にはもう先客がいるようだった。

 

「善逸くん!」

 

「善逸!!」

 

 その黄色い髪の毛はよく目立った。私たちの呼びかけに反応して、こっち善逸くんはこっちを見た。

 

「なえちゃん! 炭治郎……。ごめんよ……ごめん……二人が戦ってたのに……俺、弱くってさ……なにもできなかった……」

 

「…………」

 

 涙を流して、善逸くんは語り続ける。

 

「本当なら…… 禰豆子ちゃんに、なえちゃんに、炭治郎に……みんなをかっこよく助けられたら……って、俺、思ったんだけどさ……俺には無理だったんだ……。俺は弱いから……死んでしまうから……隠れてることしか出来なかった……ごめん……ごめんよ……」

 

「善逸! 善逸は俺たちがやられそうになったとき、助けてくれたじゃないか! 確かにあれじゃ、あの鬼は倒せなかったけど、善逸が来てくれたおかげで、増援が間に合った。俺たちは助かったんだ。それに、すごく頼もしかったんだぞ!」

 

「そうよ! 私たちの危機に駆けつけてくれたの……もっと早く来てくれていればと思わないこともなかったけど、これ以上ない好機にすさまじい一撃を決めた! そのために隠れていたと思えば、褒められはすれど、責められる謂れはないわ。ああいう戦い方が、雷の呼吸なのねっ……」

 

 物陰に身を潜め、敵の隙を突き、最速の一太刀を鬼の頚に入れる。

 鬼は、頚を斬らなければどんな攻撃を受けても再生してしまう。だからこそ、たった一太刀で勝負を決めるその戦い方は、とても合理的で、鬼を狩るには適したものだと私は思った。

 

「そうだぞ! 善逸! すごかった!」

 

「そうよ! 善逸くん! すごかったわ!」

 

「え……っ?」

 

 善逸くんは困惑しているようだった。

 そして、なぜか心配するような目で、私たちを交互に見ていた。

 

 少し、反応が予想したものと違う。なぜだろう。

 

「そういえば、善逸……。ここにいるってことは、怪我、したのか?」

 

「そうだ……そうなんだ、炭治郎。目、覚ましたら、なんか顔隠した人たちに運ばれてて……それで……どうしてか、足がすごく痛かったんだ……。骨、折れてるって……」

 

 添え木をされ、白い包帯が巻かれた脚が目に入る。

 

 筋肉の発揮した力に、骨が耐えられなかったのだろう。やはり、それだけ無理をしなければ、あれだけの威力を出せないのか。

 雷の呼吸は、あまり見たこともないし、詳しくはないけれど、あれは凄まじい技だということくらいならわかる。

 

「そうね……。今はゆっくり休みましょう。それで怪我も治して……善逸くんなら、次の戦いでも、活躍できるに違いないわ!」

 

「次……? ひ……っ」

 

「善逸。怖がることないんだぞ? 善逸なら、きっと大丈夫だ」

 

「そうね、善逸くんなら、きっとできる」

 

 あんなふうに戦える善逸くんだ。それなら、どうしていつも自信なさげにしているのか、私にはわからなかった。

 

「だ、大体……! 俺、ずっと、隠れて縮こまってただけだし! 俺、弱いんだよ……ぉ! どうして、二人とも、俺のことをそんなに褒めるんだ!!」

 

「善逸……もしかして、あの鬼の頚に斬り込んだこと……覚えてないのか!?」

 

「……!?」

 

 驚いた表情で、善逸くんは炭治郎のことを見つめている。

 

 今までの会話で、どこか食い違っているような気が少しばかりしていたが、私は炭治郎のその言葉で、ようやくその正体を理解できる。

 

「善逸くん。頭、打ってない? もしかしたら、違うことも忘れているかもしれないわ! 一度、詳しく診てもらった方が……」

 

「俺が……おかしかったの……!?」

 

 どこか、善逸くんはうろたえたようだった。それもそうだろう。自分の記憶が失われているだなんて、恐ろしいことだ。私はそんな善逸くんに同情する。

 

「善逸くん……」

 

「善逸……」

 

 善逸くんは私たちを交互に見て、そこから少し疲れたような顔になった。

 

「俺さ……。やっぱり信じられないんだ……。なえちゃんに炭治郎が、嘘をついてないことはわかるけど……。あんなに強い鬼に、俺が立ち向かっただなんて……」

 

「…………」

 

 私は不思議だった。あれだけの力を持っていて、どうしてこうも自分に自信がないのだろう。

 いや、鬼が怖いというのはわかる。鬼に相対して、恐怖で身がすくみ、本来の力が発揮できない可能性があるということもだ。

 

「善逸! 善逸が覚えてなくても、善逸が立派に戦ったこと、俺たちがちゃんと覚えているから……っ! 絶対に忘れない! だから、善逸はもっと自分に自信を持っていいと思うぞ!!」

 

「そうよ……! きっと、これからは信じるべきよ! 私たちのことを信じて……自分のことを信じるの……!」

 

「……!?」

 

 善逸くんは目から涙を流していた。それから、目線を下に逸らした。手を硬く握っている。

 

「善逸くん……」

 

「俺、駄目なんだ……。いくら二人の言ってることが正しくったって、そんなに簡単に変われないんだ。信じられないんだ……」

 

「善逸! 俺は善逸のこと、信じてる! 今じゃなくても、善逸なら、自分のことを誇らしく思って、戦える日が必ず来るって……!」

 

「私もよ! 善逸くんは前を向いて進んでいける心を持てる! 今すぐには難しいのかもしれないけど、私も信じているわ! 必ずよ……!」

 

「なえちゃん……! 炭治郎……ぉ!!」

 

 そうやって、善逸くんは泣き縋る。

 

「うわ! 俺、関係ねぇぞ!?」

 

 炭治郎のことをおぶっていた、隠の人に泣き縋っていた。

 

「そういえば、善逸。伊之助は?」

 

 あの鬼との戦いで、繭に包まれてしまったのだった。助ける余裕のないまま、私たちはあの場所から離れてしまっていた。

 

「伊之助なら、そこで寝てるよ?」

 

「え……? あ……本当だ」

 

「…………」

 

「気がつかなかったわ……」

 

 伊之助くんのことだから、居たらもっと騒がしいんじゃないかと思っていた。

 猪の被り物をしていて表情は見えないけれど、なんだかとてもしおらしい。

 

「伊之助! 伊之助も無事で良かった! すぐ助けられなくって……ごめん……! ごめんよ……」

 

「いいよ……気にしないで……」

 

「…………」

 

 本当に、声に覇気がない。

 なんというか、伊之助くんらしくなかった。いまなら、その被り物の中が声だけ似ている別人と言われても信じてしまいそうなくらいだ。

 

「落ち込んでるのか、さっきからずっとこんな調子なんだ」

 

「……そうなのか」

 

「丸くなってて、すごく面白いんだよな。ウヒヒヒヒ」

 

 なぜか善逸くんは笑い出す。

 

「善逸は、突然どうしてそんな気持ち悪い笑い方をするんだ?」

 

「ウィヒヒ、ウィヒヒヒヒ」

 

「やっぱり、記憶を失うくらい頭を打ったから……おかしく……」

 

「そうなのか……! だったら、早く診てもらった方が……!?」

 

「ウヒ……。え……っ?」

 

 笑いが止まって、善逸くんは困惑をするように私たちを見ていた。

 

「ごめんね……弱くって……」

 

 伊之助くんが呟く。

 善逸くんのことも心配だけれど、伊之助くんも、大変なようだった。

 

「伊之助! 頑張れ……! これから強くなればいいんだ!」

 

「そうよ! 一回負けたくらいで……。生きてたんだから……! 次、活躍すればいいのよ!」

 

「伊之助! 俺は見てないけど……お前はよくやったよ!」

 

「…………」

 

 ほとんどなにもできないまま、あの糸の鬼にやられて、繭に包まれてしまったのだから、とても悔しいのだろう。

 

 けれど、あの糸の鬼の攻撃を最初のある程度まで避け切ったのは素直にすごかった。

 もし私があの段階で、攻撃の癖も威力もわからずに受けていたら、刀を折られて、きっと手も足も出ずにやられていたはずだ。

 

「伊之助!」

 

「伊之助くん!」

 

「…………」

 

 必死になって、伊之助くんを励まそうとしたけれど、その日立ち直ることはなかった。

 

 

 

 ***

 

 

 

 なえは、隣の病室に行った。

 どうやら、男女は別の部屋のようだったから、あとで最初に案内してくれた子とは違う蝶屋敷の女の子が来て、連れて行かれた。

 

 伊之助は、まだ落ち込んだままだったけど、きっと立ち直ってくれるだろう。

 

「なぁ……善逸……」

 

「どうしたんだ……? 炭治郎」

 

「なえが、俺のこと……好きみたいなんだ……」

 

「え……っ!?」

 

 善逸は驚く。

 

 なえからは、一緒にいるとき、安らぎと親愛の匂いがしたんだ。懐かしい匂いだった。父さんの一緒にいた頃の母さんみたいな、そんな匂いだった。

 

 そして、どうしようもない苦悩の匂いもした。

 

「正直、俺は……どうすればいいのかわからない」

 

「は……ぁ!? 俺が必死に! 一人で! 任務に行ってるときも……ぉ! 炭治郎は、なえちゃんと! 可愛い女の子と……! 二人で楽しくキャッキャウフフですか……ぁ!? そういえば、炭治郎……ぉ! お前、俺となえちゃんの結婚、邪魔したよなぁ……? 俺から奪おう……て、そういう……ぅ!!」

 

 あの鼓の屋敷の前でのことだろう。

 善逸となえが結婚するという話には、まるで心当たりはなかったけれども、思い返せば、あのとき善逸が勝手にそんなことを言っていた気がする。たぶんきっと、そのときのことだ。

 

「違う……! 違うぞ善逸。あれは善逸の勘違いだったじゃないか……!! なえが好きなの善逸じゃなくて俺なんだ!」

 

「う、うるさい! お前のような奴は粛清だよ! 即粛清! 鬼殺隊は、お遊びで入る男女の出会いの場じゃないんだよ……ぉ!!」

 

「病室だぞ……。善逸。静かにするんだ」

 

「……知るか……! 粛清だぁ!! あっ――( )

 

 立ち上がろうとした善逸が倒れる。

 善逸は、脚の骨が折れているのだった。

 

「大丈夫か、善逸?」

 

「痛い……ぃ! すごく痛い……! うぅ……。うぅ……ぅ」

 

 布団の上をものすごい勢いで転げ回る善逸だった。

 折れた脚で立ち上がろうとするのだから、きっと激痛が走ったに違いない。

 

「善逸。善逸が、どうして怒っているのかは、よくわからないけど……怪我を悪化させるようなことはよすんだ」

 

「うぅ……。だって炭治郎が、炭治郎が……ぁ」

 

 痛みに耐えかねてか、善逸は目から涙をこぼしている。その姿はとても痛ましいものだった。

 

「善逸。ちゃんと安静にしてるんだ……。そうしないと、早くよくならないぞ?」

 

「う……ぅ。炭治郎なんて、知らない! なえちゃんとよろしくやってればいいんだ! 呪ってやる!」

 

「ぜ、善逸……。怖いこと言わないでくれよ……。正直、俺は、なえのこと、どうすればいいかわからなくて困ってるんだ」

 

 なえが抱えている問題は、すぐにどうにかなるものではないとわかる。だけれども、これが解決しなければ、なえはきっと、前に進むことはできない。

 

「どうすればいいかって、炭治郎! なえちゃんだぞ!? なえちゃん、ちょっと怖くて、世間()れしてないけど……優しいし……あんなにおっぱいの大きい子、滅多にいないのに……っ、炭治郎は……炭治郎は……っ!! く……ぅ、俺だったらすぐに結婚するのに……っ! 炭治郎め……!!」

 

「善逸。結婚するかどうかは、自分の意思だけじゃない――( )二人でちゃんと話し合って決めることなんだ。きっと、なえは……結婚はしたくないって思ってる」

 

 なえが、そう言うだろうことは簡単に想像がついた。上弦の弐を殺して死ぬと言っていて……自分のことを苦しむべきとも言っていたから、幸せになる道は、選ばないのだろう。

 

「は……ぁ!? でも、なえちゃんは、炭治郎のこと好きなんじゃないのっ!? 好きなら、結婚したいって、思うでしょ……普通」

 

「だから、どうすればいいかわからないんだ。善逸」

 

 ここで誰かを頼るのは、少し情けないかもしれないけれど、一人で考えて、なにも良い方法を思い付けないよりはずっといいだろう。

 

「炭治郎。意味わかんないよ……。だいたい……炭治郎は、なえちゃんと結婚したいわけ……?」

 

「それは……」

 

 なえが好いてくれていることはよくわかった。とても優しい子だというのもよくわかる。

 なえといると、家族のみんなといたときみたいな、心地のいい気分になれる。

 

「…………」

 

「まだよくわからない……」

 

「はぁ……? なんだよ炭治郎! 贅沢なこと言いやがって……! なえちゃんのこと、手元に置いておいて、他に良い子が現れたら、そっちに乗り換えようって……! 最低だな炭治郎!!」

 

「違う! 善逸、違うぞ! 俺には禰豆子のこともあるし……。それに善逸……俺はまだ、結婚できる歳じゃない」

 

 まだ子どもだった。

 少なくとも、一人前と認められるような年齢ではない。

 

「……じゃあ、禰豆子ちゃんのこと、俺に任せろよ。それで、炭治郎は、なえちゃんと結婚の約束をすればいい」

 

「善逸。禰豆子のことは他人に任せられることじゃないんだ。俺が頑張らなくちゃ……。でも、ありがとうな、善逸……。善逸が俺たちのこと、よく考えてくれたこと、すごく嬉しかった」

 

「…………」

 

 禰豆子のこと、今日は、なえや御館様に助けられたようなものだった。

 命をかけてくれた鱗滝さんに、冨岡さん……それに、あの水柱の女の人にも感謝をしなければ……。

 

 あの水柱の女の人は、俺たちに命をかけたというよりは、鱗滝さんに冨岡さんの二人と親しい関係だから、命をかけたようだったけれど……。

 

「わかった、善逸。禰豆子のこと、きっとなんとかするよ。そして、なえのことも……必ず幸せになってもらうんだ。うん……二人のこと、俺がちゃんとなんとかしなくちゃな……」

 

 まだ先行きは見えないけれど、きっと、なんとかなる。

 ちゃんと、なえにも話をしなくてはならない。禰豆子のことをなんとかして、俺も大人になって、その時まで、なえが変わらない気持ちでいてくれたら、きっとだ。

 

「炭治郎……ぉ」

 

「あぁ……善逸。なえとなら、幸せになれるって思うんだ」

 

「うん……そうだな……」

 

 こちらに背を向けて、善逸は泣きそうな声でそう言った。

 

 

 

 ***

 

 

 

「アオイさん! アオイさんは、どうしてなえのことを無視するんですか?」

 

 とっさに身を潜める。

 私は怪我が炭治郎ほどは酷くなかったから、こうして自由な時間は炭治郎の方に足を運んでいた。

 

 そしたら今日はアオイちゃんがいて、そんなアオイちゃんに、炭治郎が話しかけていたところだった。私の話だった。

 

「いつも言っているでしょう。あなたには関係ないことです」

 

「だから、関係のない話じゃない! なえは、アオイさんのことで、心を痛めているし、それじゃ、俺も辛いんです!」

 

 炭治郎は優しいから、そんなことを言ってくれる。そんな気遣いは、本当にありがたくて、私なんかにはもったいないと思えるくらいだ。

 

「…………」

 

 アオイちゃんは、とても辛そうな表情で、炭治郎と向き合っている。

 

「そうです……アオイさん。なえが、アオイさんとは、仲が良かったって言ってたんです……! 昔のなえのこと……教えてくれませんか……?」

 

「……!?」

 

 私の昔の話を炭治郎が気にするとは思わなかった。少しだけ恥ずかしくなる。

 

 アオイちゃんは、想いを馳せるように天上をあおいで、ひとつ息をついた。

 

「あの子はこの屋敷に来たばかりのとき、一緒に来た男の子が亡くなってからは……本当に泣いてばかりだったんです……」

 

「…………」

 

 ああ、思い出す。

 大切な人を失って、私は途方に暮れてしまっていた。とうに過ぎ去った、昔の話だ。

 

「それが、私には煩わしかった。この屋敷にいる子たちは、家族を鬼に殺されて、身寄りのなくなってしまった子たちばかりですから……私も……。だから、一緒にいた男の子が死んだというのに、あの子は鬼を頼りにしていたから、本当に煩わしくて仕方がなかったんです」

 

 あの頃の私は、全てが夢で、目が覚めたら元の居場所で、元の暮らしで、夢であった悪い出来事は全て忘れてしまえればいいと、本気でそう思っていた。

 

「…………」

 

「だから、引っ叩いたんですよ……。あの男の子が死んだのは、鬼のせいだって……。どうして、そんなふうに蹲ってられるんだって……。あのときの私には、あの子のことが腹立たしくて、腹立たしくて、仕方がなかった」

 

 蝶屋敷の子たちが姉と慕っていた女の人がいた。

 その人は、柱で、とても優しく、立派な人だったらしい。

 その人は、上弦の弐の村で、鬼になったそうだった。

 

 いわば、上弦の弐は蝶屋敷の子たちにとっては、仇のような存在だった。事情も知らずにそんな上弦の弐を頼りにしていた私は、さぞ不快な存在だっただろう。

 

「…………」

 

「今じゃ……どうして……あんなことをしてしまったのだろうって……。それで、それから、短い間だったけど、私はあの子に慕われていたんです。私の後ろを……あの子は……ついて回って……」

 

 アオイちゃんは、両手で顔を抑え、蹲っていた。

 泣いて、いるのだろうか。

 

「アオイさん……」

 

「鬼を倒そうって……たくさんの人を救おうって話をして……あの子は風の呼吸の育手のもとに……それで私は水の呼吸の育手のもとに行ったけど……私は……私は……。はぁ……はぁ……」

 

 息ができずに、言葉がうまく繋がらないようだった。

 アオイちゃんは、とても苦しそうに声を漏らしていた。

 

「…………」

 

「あの子は、立派に鬼と戦っているのに……。私は最終選別で、運良く生き残っただけなんです。だから……鬼が怖くて……隊士として、戦えない……」

 

「…………」

 

「あの子に、鬼を殺す道を選ばせておきながら……私はこうなんです……! 自分だけ、楽な道に進んだ臆病者で……っ、卑怯者なんです!」

 

 堰を切ったように、アオイちゃんはそう叫ぶ。アオイちゃんの辛い気持ちが伝わってくる。

 

「アオイさん……」

 

「……合わせる……顔がない……」

 

 おそらくそれが、アオイちゃんが私を避けていた全てだったのだろう。

 なんというか、本当に私は嫌われてしまっていると思っていたから、肩透かしだった。

 

「な、なえ……?」

 

「……えっ……?」

 

 アオイちゃんの方に、まっすぐ進んでいく。

 炭治郎は、私が隠れて見ていたことを、たぶんわかっていた。わかっていたが、こんなに堂々と出てくるとは思ってなかったのだろう。それがその表情から伝わってくる。

 

 アオイちゃんは、ほうけた顔で、私に釘付けだった。

 

「覚悟なさい」

 

 目一杯に、ふりかぶる。

 

「……あっ」

 

 バチンと乾いた音が部屋中に響く。

 私が力一杯に、アオイちゃんの頬を張った音だった。

 とてもいい音がして、思った以上の力になった。そのせいか、頬を張った手にはまだジンと痛みが残っている。

 

 アオイちゃんは、赤く腫れた頬を抑えたまま、茫然と私を見ていた。

 

「な……なえ……! アオイさんにも事情があったんだ! それで、なえのことを無視していたのは俺もどうかと思うけど……なにも、そんなふうに叩かなくても……」

 

 炭治郎が、オタオタとして、私を諌めようとしてくれている。

 そんな炭治郎に、私は大丈夫と一つ微笑んでから、アオイちゃんの手を握った。

 

「アオイちゃん。私、アオイちゃんのこと……怒ってないわ!」

 

「…………」

 

 アオイちゃんは、自分で自分を責めているから、私の気持ちは関係ないのかもしれないけど……私は言っておきたかった。

 

「命を懸けて戦うのだから、怖くなったってしかたがない……。私は……アオイちゃんが死んでしまうことが悲しいわ……」

 

「わ……私は……」

 

 そうやって、震えるアオイちゃんのことを抱きしめる。

 鬼殺隊だから、立派に鬼と戦わなければならないけれど……親しい人が死んでしまうことは、とても悲しいことだ。

 

 鬼殺隊のみんなは、それを身を持って知っている。だから、私のこの気持ちも、きっと、みんなわかってくれるはずだろう。

 

「それに……アオイちゃんは鬼殺隊として立派に戦ってる! 隊士を看病する人がいなければ、鬼殺隊はやっていけない! アオイちゃんは……それをわかっているのでしょう!!」

 

「でも……なえちゃんは……。これから、鬼殺隊の剣士として……。稀血で鬼に狙われやすいのに……。それなのに……それなのに……私は……っ!!」

 

「アオイちゃんがいるから……安心して戦えるの……。もし怪我をしたら、ここに戻って休むことができる……。休まずに戦い続けることはできないから……アオイちゃんが……待っていてくれるから……!」

 

「……うう……」

 

 頭を撫でて、落ち着いてもらう。

 嫌われたと思っていたのに、私のことを考えてくれていたのだから、涙の出るくらいに嬉しかった。

 

「ありがとう……。ありがとう……アオイちゃん……」

 

 心を込めてお礼を言う。

 こんなことでは、アオイちゃんの心が救われないかもしれないけど……この気持ちはどうしても伝えておきたかった。

 

「アオイさん!」

 

「…………」

 

「俺……アオイさんの想い、ちゃんと聞いたから……! アオイさんの想いは俺が戦いに持っていくから……っ! アオイさんの分まで、なえと一緒に鬼を倒すから……!」

 

 そうやって、炭治郎もアオイちゃんのことを励ましてくれる。

 

「なえちゃん……。炭治郎さん……」

 

 アオイちゃんは、震える声で私と炭治郎の名前を呼んだ。

 アオイちゃんは涙を拭う。目の周りを赤く腫らしたまま、炭治郎の方を向いた。

 

「…………」

 

「炭治郎さん……なえちゃんのこと、よろしく頼みました……」

 

「……うん、わかってる」

 

「私の大切な()()ですから」

 

 友達と言ってもらえた。

 それが、私にとっては心の底から嬉しいことだった。

 

「アオイちゃん!」

 

 私はアオイちゃんを抱きしめる。目から涙が溢れたままだ。

 

「なえちゃん……」

 

 私たちはしばらくの間、二人で泣き続けた。

 

 

 

 ***

 

 

 

「えっと……珠世ちゃん……それが?」

 

 珠世ちゃんの手に持ったビンには、いくつもの赤い錠剤が入っている。

 

「血から、鬼の栄養になる成分を取り出し、固めたから……三粒で人間一人分の栄養になるわ……」

 

「へぇ……」

 

 自慢げな顔で、私にそう説明してくれる。

 

 珠世ちゃんの持ったビンの中から一粒錠剤を摘んで、口の中に放り込んだ。

 噛み砕いて、唾液に溶けていくのを飲み込む。

 

「……どう?」

 

「味気……ないわね……」

 

 そのまま血を飲むよりは、美味しくなかった。

 質の良い稀血特有の、酩酊感とか、覚醒感とか、恍惚感はまるでない。ただちょっと美味しいだけだった。

 

 一粒に栄養が詰まっているというのに、こんなにあんまり美味しくないというのは、おかしい気がしないでもない。

 

「これなら、持ち運びも楽だし、小腹が空いたときにも気楽に食べられる」

 

「ねぇ、珠世ちゃん。一粒じゃ、あんまり味気なかったけど……一ビン食べたら、美味しいかもしれないわ?」

 

 珠世ちゃんの持ったビンに手を伸ばす。

 

「ダメよ!」

 

「……あっ」

 

 手を高く上げて、珠世ちゃんは私からビンを守った。勢いよくビンを奪い去ろうとした私は、床にこける。

 

「ねぇ、私にも貰えないかしら?」

 

 いつの間にか、カナエちゃんが近寄って来ていた。珠世ちゃんが呼んだのだろうか。

 

「はい……。一粒よ?」

 

 珠世ちゃんから受け取って、カナエちゃんはその錠剤を口に含んだ。

 

「……確かに、これじゃ、あんまり美味しくないわ……。お腹もいっぱいにならないから、食べた気もしない……一ビン食べたら別かもしれないけれど……」

 

 じっとカナエちゃんは珠世ちゃんの持つビンを見つめていた。

 

「……!?」

 

 焦った顔で、珠世ちゃんは身を盾に、カナエちゃんに背を向けビンを庇う姿勢だった。

 

 だから、起き上がって私は言う。

 

「カナエちゃん。珠世ちゃんが頑張って作ったのよ? そういうふうにいっきに食べるのは良くないと思うの」

 

(ハツ)()……」

 

 珠世ちゃんが、なにかを言いたげな顔で私を見ていた。きっと、感動して言葉も思いつかないのだろう。

 

「それで、珠世ちゃん。この錠剤をなんのために作ったの?」

 

 私たちだけなら、蔵にある血を飲めば良いだけの話だし、わざわざこんな手間をかけたものを作る意味がない。何かそれとは別に意図があるのだろう。

 

「そう……。これなら、持ち運ぶとき血の匂いもあまりしない。腐りにくいし、なにより手軽に持ち運べて、一粒で簡単に鬼の飢餓衝動も抑え込める」

 

 結界の外にでれば、蔵に貯蔵した血も腐ってしまう。だから、下弦に血を売るときや、カナエちゃんが出先に血を持っていきたいときは、私の血を一滴垂らして、血鬼術を発動、腐らないようにしてから持って行くのがいつもだった。

 

 錠剤にする方が手間はかかると思うけれど、持ち運ぶときの軽さでいえば、錠剤の方が上だろう。匂いがしにくいというのもいい。

 

「これを、売るということね……」

 

 私の用意した血を買えなかった情けない下弦たちだ。

 次はもっと小分けにして、一つの値段は安くして売ろうと考えていたところだった。

 

「売るのではなくて……鬼になったばかりの人に、わけてあげたい……」

 

「…………」

 

 珠世ちゃんは、鬼になったばかりの飢餓衝動に耐えきれず、夫に子どもを食べてしまったのだった。だから、同じ思いをする人を減らしたいのだろう。

 

「お願い……! あのお方に頼んで、これを鬼になったばかりの人に、分けてあげられるよう頼めない?」

 

 珠世ちゃんにそう言われる。

 人を食べなければ、鬼殺隊もよってこないわけだし、なったばかりの弱い鬼が育つまでにやられてしまう可能性も少なくなる。

 その提案には利点があった。

 

「でも、珠世ちゃん? 太陽の克服をする薬の開発は? はかどってる?」

 

「…………」

 

 珠世ちゃんは無言だった。

 きっと、珠世ちゃんは自分の役目を放り出して、これを作っていたのだろう。

 

「珠世ちゃんの気持ちもわからないでもないけど……でも、これを作るとなると珠世ちゃんしかできないでしょう? 売るんじゃなくて、ただでみんなに配るとなると量も必要になる。珠世ちゃんには本来の役目があるし……難しいと思うの……」

 

 太陽の克服は、無惨様の本願であり、なによりも優先すべきことである。それを蔑ろにすることなどあってはならない。

 

「ハツミちゃん! 私はいいと思うわ! 要するに、これが行き渡れば、鬼もみんな飢餓衝動を抑えられて、人間と仲良くすることができるというわけでしょう? どのくらい食べればいいかわかって簡単。素晴らしいことよ……!」

 

 カナエちゃんは簡単に言うけれど、鬼みんなに行き渡るように作るには、大変なのではないだろうか。

 

「ねぇ、珠世ちゃん。作るのが簡単なら、別に構わないのだけど? 私にできる?」

 

(ハツ)()には無理ね……」

 

「そう。そうよね……!」

 

 やっぱり、珠世ちゃんくらい専門知識がないと、ダメなのだろう。この件は無惨様には持ち込めない。

 

「…………」

 

 珠世ちゃんは、何かを考えている様子だった。大方、自分の意見を通せる方法を頭の中で探っているのだろう。

 

「ねぇ、珠世ちゃん。こっちの粉末はなにかしら……ぁ? とても良い匂いがするわ……?」

 

 私たちが真面目な話をしているというのに、カナエちゃんはごそごそと、珠世ちゃんが作ったものを漁っていたようだった。

 

「……!? それは……っ! 絶対に口に含んだりしてはいけない!」

 

「……どうして?」

 

 その粉は赤い粉だった。珠世ちゃんがそう言ったときには、その粉末を、カナエちゃんは指先に付け、舌で舐めとっていた。

 

「あぁ……っ」

 

 それを見て珠世ちゃんは、めまいでもしたように、頭を抑えていた。

 

「……これって……とっても良い気分……ふふ……ふふ」

 

 カナエちゃんの顔には朱が刺し、目が虚ろに、その粉の入った容器を大事そうに抱えて、ちょっとずつ舐め始める。

 

「珠世ちゃん。あれ、なに?」

 

「鬼が酔う成分を抽出して、粉にしたものよ? 鬼にとって、栄養の高い成分だけを集めたものとも言えるわ」

 

「……へぇ……」

 

 酔う成分だけを分離できるなら、あの錠剤が味気ないのも納得だった。

 カナエちゃんがああなるのもよくわかる。

 

「依存性がありそうだったから……慎重に扱おうと思っていたのに」

 

「依存性……? やめられなくなるってこと……? どうせ血は飲まなきゃなのだから、大丈夫じゃないの?」

 

「……飢餓衝動に関わらず……酔わないままでいるだけで、身体が震えたり、不安でたまらなくなるのよ?」

 

「……へぇ……」

 

「……はぁ……」

 

 なんだか怖い。

 ずっと、酔いっぱなしでいなきゃいけないとか、とても大変なことだと思った。

 ふと、そこで思う。

 

「そういえばカナエちゃん。ずっと酔いっぱなしだったから、もう依存性にやられているかもしれないわ? ねぇ、きっとそうよ! 多分、今更だと思うわ!」

 

「……そうね……」

 

 疲れた返事がもどってくる。そのまま珠世ちゃんは、作業台に置いてあったビンを手に取り、中にあった血をぐいっと飲む。

 疲れた時は、やっぱり血を飲むに限るのだろう。

 

「とりあえず、カナエちゃんは運んで行った方がいい?」

 

「ええ……頼んだわ」

 

「わかった」

 

 虚ろな顔で、口元を緩ませ夢中で粉を舐めているカナエちゃんの意識を私の血鬼術で奪う。

 そのまま適当に運んで、屋敷の適当な場所に寝かせておいた。

 

 そうして珠世ちゃんのところへと、戻っていく。

 まだ、話の途中だったんだ。

 

「……!?」

 

 部屋に入ろうとしたら、珠世ちゃんが例の粉をしまっているところだった。

 私は見てしまった。

 珠世ちゃんが、ひとつまみだけ舐めてから、その容器をしまっていたところをだ。

 

「……はぁ……」

 

 珠世ちゃんは、しまってから、一つため息をついた。

 

 ちょっと、息を潜めて私は覗いたままでいる。

 しばらくして時間が経つと、珠世ちゃんはソワソワとしだした。そこから、容器をしまった場所に珠世ちゃんはおもむろに手を伸ばす。さっきしまったばかりなのに。

 

「ねぇ、珠世ちゃん。なにやってるの?」

 

「……ひっ……」

 

 珠世ちゃんは、怯えたような目で、私を見つめている。

 昔、私の村の子がいなくなった時も、こんな目をしていた気がする。あれは珠世ちゃんが食べたんだった。

 

「ねぇ……珠世ちゃん……。何か悪いことしているでしょう?」

 

「ち……違うわ……(ハツ)()。あの、ここにまた来てから……初めてもらった血を……再現しようとして……それで……」

 

「…………」

 

 実弥くんと()()の子どもの、(みの)()の血のことだろうか。

 

「ずっと……あのときの心地が頭にこびりついて離れない……っ! これじゃ、まだ足りないけど……でも、気を紛らわすくらいになるから……それで……っ!?」

 

 なぜか珠世ちゃんは、私に必死で訴えかけていた。

 それでも、私の方を向いていても、その目は虚空を見つめているようだった。もしかしたら、私ではない何か強大な敵が珠世ちゃんには見えているのかもしれない。そう思えるくらいの必死さだった。

 

「珠世ちゃん。落ち着いて……」

 

「だ、だめなの……。い、生きていけない……。あれがないと……私は……」

 

 頭を抱えて蹲っている。珠世ちゃんがおかしくなってしまった。

 

「落ち着いて、珠世ちゃん……。別に責めたりはしないわ。落ち着いて……」

 

「うぅ……」

 

 抱きしめて、なでてあげて落ち着かせる。なにに苦しんでいるかよくわからないけど、とりあえず、こうするのが一番だろう。

 

「えっと……つまり、珠世ちゃんは、酔ってないと辛いの?」

 

「…………」

 

 珠世ちゃんは、無言で首を縦に振った。

 

「それじゃあ、さっきまで、酔っているように見えなかったのは?」

 

「そこにある薬で……脳の覚醒段階を……無理に上げていたから……」

 

 珠世ちゃんが、指を指した先には、しまったものと同じような赤い粉末があった。

 

「酔いへの対策はあるってことね……。だったらなにも問題ないんじゃ――( )

 

「それも血から分離させたもの……その効果で、頭に過活動を異常なままさせているだけ……」

 

「…………」

 

 なんとなく事情はわかった。

 たぶん、頭がスッキリする血の成分を集めたのだろう。

 

 たしかに効果は打ち消しあって、まともになったと思えるだろうけど、見た目だけで、酔いは残ったままだし、そこから無理やりに意識を醒ましてさらにおかしくなってる。頭のまわり具合が、普通の時よりおかしな方向に行くのはまず間違いがない。

 

「大丈夫よ。大丈夫。少しずつ減らしていくから……」

 

「うん。頑張ってね……」

 

 少し、私のせいではないかと思った。

 たぶん、ここにまた来て初めての血が強すぎたから、こんなことになっているのだ。鮮烈な体験をしたせいに違いない。

 

 私、別にしらふだし……。一日にそれほど飲まないし。酔ってなくても平気だし。

 慣れてなかったのが問題なのだろう。

 

 そう考えると、珠世ちゃんが悪い。無惨様を倒す、とか言って居なくなって、血をあんまり飲まずに、なんか弱くなって戻ってきたわけだから。

 やっぱり珠世ちゃんが悪かった。私はなにも悪くなかった。

 

「ごめんなさい……。私のことばかりで……」

 

「いいえ、いいわ。それで……えっと……そう! 錠剤、錠剤について……」

 

 その話をしていたのだった。

 やっぱり、珠世ちゃんは日光克服の薬を作るために頑張らなきゃいけない。

 

「本当に鬼になったばかりの人に、三錠、渡すだけでいいの……。あのお方にお願いできないかしら……?」

 

「要するに、あの錠剤、珠世ちゃんが精製した酔う粉の残りカスよね……?」

 

「いいえ、副産物と言った方が正しいわ」

 

 なぜか私の言った言葉が訂正される。意味は変わってないと思うのだけれど、不思議だった。私が間違っているわけないのに。

 

「それはいいとしても、珠世ちゃん……珠世ちゃんは、あの粉を作るのをやめないのよね?」

 

「……できれば、やめたいと思っているわ」

 

「当分は無理そうだから、珠世ちゃんの今の状況はあのお方には私から説明しておく。そのときにできる余り物ということで説明すれば、まあ、なんとか、なったばかりの鬼にあげるくらいはしていただけるかもしれないわ」

 

(ハツ)()……」

 

 珠世ちゃんはバツの悪そうな顔をした。

 

「じゃあ、話の内容を細かく詰めていきましょう? まあ、この錠剤があのお方の手に渡るだけで、どう使うかはあのお方のお考え次第になるでしょうけど……」

 

 無惨様は具体的な計画と、明確な利点がなければ行動を起こしはしない。

 それにあのお方は、私よりも頭がとてもよく、偉大で合理的な考えをし、私などより正しい選択をすることができる。だから、私は、できて無惨様の素晴らしい行動の一助となることくらいだった。

 

 まあ、ここは一応、珠世ちゃんの気持ちを汲むだけ汲んで、無惨様にお口添えをしておこうというだけだ。

 

「ええ……きっと……鬼になったばかりで、家族を喰らってしまう人を減らすためにも……」

 

「でも、珠世ちゃんの言う使い道より、私は無惨様の小腹が空いたときのためのおやつとして、この赤い錠剤を渡したいわ! それが一番の使い道よ!」

 

「……え……っ?」

 

 赤い錠剤は無惨様のおやつになった。

 一応、珠世ちゃんの言った使い道も説明して、無惨様には割と好感触だったから、そういう使い方もしていると思う。










 ファンブック、買って読みました。岩柱の悲鳴嶼さんの他の柱への所感が面白かったです。
 ちなみに最初から不死川さんが、カナエさんのことを好きなんだと解釈してこの小説は書いていました。だから、大丈夫です。

 それと、ファンブックとの矛盾点ですが……。家族を回収した累の強さが思いのほか高かったことが問題ですか……。玉壺に血戦を挑もうとしていたということで、ここは一つ……。
 魃実さまは、たぶん好き嫌いなく食べ物ならなんでも食べるので、鬼が人間の食べ物を吐き戻すと言う設定も、問題ないです。間違いないです。

 二期が決まったことも嬉しいです。PVがとても良くてはしゃいでいました。


 一話で蝶屋敷が終わらなくて、申し訳ないです。
 次回、回復機能訓練。
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