倫理観等はすでに消えかけていますが元気です。   作:藤猫

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お久しぶりです。

いいところで切りました。感想いただけましたら嬉しいです。


敵対者たちの邂逅

 

帰らないと。

 

(そう、思うのに。)

 

メランはその時、自分を攫った、ゴール・D・ロジャーの船長室の片隅で膝を抱えて蹲っていた。

そんなことも考えていると、きいと扉が開く音がした。そちらに視線を向けると、赤い髪の少年と、青い髪の少年が恐る恐ると入ってきた。

その存在に、メランは何か、取り繕う気力も失せて口を開く。

 

「・・・・シャンクスにバギーか。」

「え、なんで知ってんの、俺らの名前!」

「おい、シャンクス!話しかけんなよ!」

 

赤い髪の少年が素直に驚く隣で、水色の髪の少年が怯えるように言った。メランはそれに、うろんな瞳を向ける。

昔、漫画の中で見た少年達そのものに、特別な感慨は浮ばなかった。

 

「でもよ、バギー。こいつ、船長の娘なんだろ?」

「ロジャー船長が勝手に言ってるだけだろ!?」

 

そう言いつつ、バギーは持ってきた食事をメランの近くに恐る恐る置いた。まるで、好奇心に負ける子猫のような仕草だった。

骨付き肉だとか海賊らしいそれをメランは戸惑いながら見つめる。

 

「なあ、食べねえの?」

「・・・すまん、食べる気にならない。」

 

いい匂いは確かにしていたが、お世辞にも食欲は出てこない。それにバギーが不機嫌そうな顔をする。

 

「はあ?何、軟弱なこと言ってるんだよ?」

「海賊の船に攫われてすぐ、もりもり食べられると思うのか?」

 

そういうと、バギーもさすがに同意したのか黙り込む。そこで、ぐーとっ盛大に腹の鳴る音がした。

 

「へ、へへへへへ・・・・」

 

腹の音の主であるシャンクスは照れたように頭を掻いた。それに、バギーが体をぷるぷるさせて叫んだ。

 

「しゃあんくす!!てめえ、締まらねえだろうが!?」

「しかたねえじゃん!腹減ってるんだよ!」

「だからってなあ!!」

「ふ、ふふふふふふふ・・・・・」

 

突然聞こえたささやかな笑い声に、バギーとシャンクスは声の方を向いた。

そこには、今まで沈んで、まるで暗い海のように陰気な空気を纏った少女は可憐に笑う姿があった。

 

「お腹が空いたのかい?なら、持ってきてくれたものは君が食べるといい。」

「え、いいのか?」

「おい!それは、こいつに食わせろって船長が!」

 

メランににじり寄っていくシャンクスをバギーが止めるが、それに、少女は薄く微笑んだ。

 

「それなら、一緒に食べよう。それなら、言い訳だって立つだろう?」

 

それにシャンクスは瞳をキラキラさせていそいそとメランの隣に座った。それに、バギーは頭を抱えた。

 

 

 

メランという少女のことが、バギーは面白くないと思っていた。

突然、父親代わりと言っていいロジャー船長が連れてきた、おまけに娘にするなんて言われる存在のことを面白いなんて思えるはずがない。

ちらりと隣を見れば、それはメランのためにと持ってきた食事に舌鼓を打つシャンクスのことを見つめていた。

 

その瞳が、バギーはなんだか苦手だった。

その瞳は、なんだか、とても柔らかいのだ。

その瞳にある何かを、バギーは知らない。それを言葉にするような感覚がない。

 

「バギー、君は食べないのかい?」

「そうだぞ、うまいぞ!」

 

暢気しているシャンクスにバギーは頭を抱えたくなった。

 

「お前な!」

 

口を開いたバギーの口の中に、ほいっとシャンクスがハムを一切れ放り込んだ。

むぐりとそれを中途半端に飲み込んだバギーは盛大にむせ込んだ。

 

「うえ!げほ、げっほ!!」

 

それに自分の手元に水が持たされる。そうして、背中がさすられた。

 

「お前、喉に詰まるに決まってるだろ!?ほら、大丈夫か?」

 

水でハムを飲み下して、そうして、上を向いた。そこには、やはり自分のことを心配そうに見つめる女がいた。

その態度がやはり、バギーには理解できなかった。

 

 

 

ぼんやりと目の前の少年二人をメランは見つめた。彼らはぎゃーぎゃーと騒がしくしている。それに、メランは自分の弟分と兄貴分のことを思い出す。

 

それに帰らなければと思うのに。

腰が重い。いいや、違う。

ただ、動こうとすると、一人の男の笑みが自分を引き留める。

 

行こう、なんて。

ああ、どうして、こんなにもその言葉に惹かれてしまうのだろうか?

 

それは赦しの言葉ではない。それは、慰めの言葉ではない。

それは、放棄の言葉だ。

 

己の罪と、己の罰を忘れて放蕩に浸るためのものだ。

それは、メランにとって苦しみを与えるだけだ。

その、はずなのだ。

なのに、どうしてだろうか。

 

(あの男と共に見る世界は、どんなものだろう。)

 

それは禁忌だ。それは、考えてさえいけないことなのに。

なのに、それが頭の中で、その男の向こうに漫画の中で笑った少年のことを思い出してしまう。

太陽のように、あの世界で、輝かんばかりに希望を引き連れて、絶望を吹っ飛ばして、夢の果てに走る少年。

 

ああ、と。

 

わからない。

許されていいとは思わない。幸せになって考えられない。

なのに、まるで張り付いたように、己の足が動かない。

 

「なあ。」

「なんだ?」

 

シャンクスから話しかけられて、メランは返事をする。

 

「お前、船長の娘なのか?」

「・・・違う。あの人の気まぐれだ。本当に、どうしたもんか。」

「えーなんでだよ、船長の娘とかすっげえ楽しいのに。」

「・・・はっ、御免被りたい。」

「はあ!?なんだよ、それ、お前、船長に失礼だろ!?」

 

メランの返事にバギーが不機嫌そうに言った。それにメランは居心地が悪いというように肩をすくめた。

 

「そんな資格は、私には無い。」

 

それにシャンクスとバギーの顔に驚きが浮んだ。そんなことを、メランは気にとめずに、口を開いた。

 

「な、なんだよ、資格って?」

 

シャンクスのそれに、メランは一度目をつむった。

 

「・・・・いいや、ただ。私には、大事なものがある。」

 

メランはぽろりと己の口から零れだしたそれに、思った以上に違和感がなくて。そうして、しっくりきた。

そうして、おもむろに立ち上がった。

 

「お、おい、どうしたんだよ?」

「便所か?」

 

二人の少年が立ち上がる気配を感じながら、メランはその言葉にああ、と重かった腰が軽くなった。

 

(何を考えているんだろうか。)

 

そうだ、自分は、そんな資格は無い。

誰かを愛して、誰かの幸福な記憶の一部になる資格など無い。それを、いつかに平穏で、柔らかな世界の中で、殺すこと、奪うこと、見捨てることを悪と教えられた自分はそんな資格をとっくに失っていた。

 

ちらりと、メランは後ろにいた二人を見た。

メランからすれば、彼らは罪人だ。人を殺して、少なくとも秩序側である存在を害する彼らは悪い子だ。

けれど、ある意味で彼らをそうしているのは、世界自身で。

割り切って、そうして、それでもいいと罪を許すのが賢いのだと知っている。

けれど、無理だ。

無理なのだ。

だから、メランはそっと、男の言葉に震えた己の心を握りつぶした。

 

「ああ、トイレ。どこか、教えてくれないか?」

 

 

 

その日、船上で行われていた宴で、シルバーズ・レイリーは頭を抱えていた。

原因は、己の隣で機嫌よさそうに笑う、彼の船長だ。

 

「ほんっとうに、あの子を乗せるのか?」

「おお、決めた!俺の娘にする!」

「お前な!それがどんな意味かわかってるのか!?」

 

ゴール・D・ロジャーの名前は現在、海にとどろいている。そんな男に娘がいたなんて知れれば、どうなるのか。

 

「・・・バギーやシャンクスには、そんなことを言ったことは無いだろ?」

 

喧噪から離れているとは言え、誰が聞いているとも限らないとそう密やかな声で言えば、ロジャーは少しだけ考えるような仕草をした。

 

「いやなあ、あいつらは、まあな。でもなあ、あいつはなあ。」

 

ロジャーはまるで、自分でもわからないというように悩ましいというような顔をする。

 

「・・・・なんかよお、そこまで、あいつには言わねえと逃げる気が、した?」

 

ようやくそう言ったロジャーに、レイリーはドン引きした。

 

「お、お前、さすがに年が・・・・」

「そういう意味じゃねえよ!!ただなあ、なーんか、気になるんだよ。」

「声が聞こえない、か?」

「ああ。」

 

ロジャーはよく声が聞こえると言っていた。それは、気配であったり、他人の心情であったり。

それを見聞色という、人が鍛え抜いた先の超感覚の一種であるらしいが。それが人並み外れてより高いものであることを知っている。

そんなロジャーが認識できないものなんて、あるのだろうか?

 

「・・・あやしいだろう?」

「いや、そんなんじゃねえんだ。ただ、わからねえんだ。」

 

ロジャーはそう言った後、にやりと笑った。

 

「おもしれえだろう!?」

 

レイリーはその言葉に、全ての事を諦めた。

面白い、それだけで男を止める事を理解できたせいだろう。

 

「はあ、仕方が無いか。」

 

レイリーは諦めたように肩を落としたその時。

ロジャーがにやりと笑って立ち上がった。

 

「お、レイリー、客が来たぞ!」

 

それと同時に、船に何かが飛び込んできた。

だんと、重量のある音と共に、飛び立ったそれに、今まで宴を楽しんでいたクルー達が臨戦態勢に入り、そうして、ためらいもなく飛び込んできた存在に襲いかかる。

が、それはあっさりと、少なくともロジャーの船に乗っている上澄みと言っていい彼らを吹っ飛ばした。

 

「おい!止めろ!俺の客人だ!」

 

心底楽しそうなロジャーの声にクルー達は動きを止めた。

レイリーは船に飛び込んできた存在に目を向けた。

そこにいたのは、大柄であれど、まだそう年端もいかない少年だった。顔つきは確かにいかめしかったが、何か、その表情と言えるのだろうか、どこか幼い。

金の髪に、きっちりと着込んだそれは、ロジャーを見て吐き捨てるように言った。

 

「てめえが、ゴールド・ロジャーか?」

「おお、そうだ。お前は誰だ?海賊の船に乗り込んでくるんだ。覚悟があるんだろ?」

 

ロジャーの楽しそうな声と共に、少年はギラつく瞳で吐き捨てた。

 

「てめえが攫った女を返して貰いに来た。」

 

爆発的な殺気が、少年から吹き出した。それに、レイリーの視界の隅でぶっ倒れる仲間の姿が映った。

そうして、それと同時に、少年の周りに転がった武器が浮かび上がり、そうして、がちゃりと組み上がっていく。

 

「悪魔の実の、能力者か!」

 

レイリーは目の前の少年が、相当の実力者であることを理解した。それ故に構えを取ろうとした。けれど、それをロジャーがレイリーを制止する。

レイリーが何をと男の方を見た。それに、ロジャーはあっさりと言ってのけた。

 

「俺の娘のことか!?」

「な。」

 

(((何言ってんだ、この人はぁーーーー!!??)))

 

もちろん、ロジャーがそう言っていたのは皆知っている。けれど、目の前の、明らかに目の前のそれに言う言葉ではないだろう?

というか、自分の身内を攫われてキレてるそれに言うことでは無いはずだ。ある程度の仲ならば少女とロジャーの関係だって知るか、察しぐらいはつくだろう。

なによりも、レイリーでさえも、警戒すべきと判断したそれに、そんなことを言っている場合か?

レイリーは目の前のそれが激高して襲いかかってくることさえ予想した。

けれど、予想に反して、その少年は戸惑った顔をして、悪魔の実の能力でくみ上げた武器を下げた。

 

「・・・・メランの、父親?」

 

茫然としたそれに、皆があんぐりと口を開けた。

 

「おお、そうだ!父ちゃんだ!」

 

意気揚々と言ったそれに、その少年は、戸惑いを覚えたような顔をして、そうして、おずおずとロジャーに頭を下げた、

 

「め、メランには、いつも世話になっている。ダグラス・バレット、だ。」

 

行儀良く、おずおずと、戸惑いつつそう言ったそれに船上にて衝撃が走る。

 

(((し、信じたー!!??)

 

あり得ないそれにレイリーは、何か、頭痛さえ感じ始めた。

 

 

「お、そうか。礼儀が出来てるな。お前は、メランの仲間か?」

 

ロジャーは今まで教えて貰えず、呼べもしなかった名前を喜々として呼んだ。

レイリーはお前、知りもしなかったくせによくそんなことを言えるなと呆れながら、少年、ダグラス・バレットに視線を向けた。

 

「ああ、その、ガキの頃から世話になってる。色々と、その、だからよ。あいつに、父親なんているなんて知らなかったんだ・・・」

「そりゃあ、仕方がねえな!それなら、付き合いも長いのか?」

「・・・・物心ついた頃には。」

 

 

レイリーは久方ぶりにやってきた動揺にどうしたものかと悩んでしまう。

そんなに素直に信じていいのか?

あんなに強敵感を出していたのに、あっさりと信じて仕舞ったことに驚いていた。

歴戦の戦士といっていいほどの空気感を纏いながら、驚くほどに素直な質感にどう対処すべきか悩んでしまう。

思わず周りをみると、周りのクルー達もどうしたものかと固まっていた。

バレットは礼儀正しく、あくまで海賊基準だが、ロジャーに接している。

 

バレットは訥々と、自分たちが幼い頃から共にいること、事情があって共に海に出たこと、そうして、メランのことは孤児だと思っていたことなどを話した。

レイリーは頭を抱えたくなった。

 

信じるな!

 

その場にいた人間の心はそれ、一つだった。

何をこんな、やっすい嘘に引っかかっている?

けれど、ロジャーがいる手前入っていくのもためらわれた。

 

ロジャーはというと、頑なに何も話さない少女の情報を入手できてほくほくしていた。

が、さすがに止めるべきだろうとレイリーが動こうとしたときだ。バレットは、顔を伏せた。

 

「・・・・あんたは、あいつを、連れて行っちまうのか?」

 

掠れた声は、なんだろうか。

 

とても、とても、とても、それは、もしかすればシャンクスやバギーよりも、ずっと、幼い声だった。

 

「家族ってのは、大抵の、それこそ己のために切り捨てることがあっても、大事にするもんなんだろう?」

あいつは、誰かを大事にする奴だ。なら、あんたがあいつの父親なら。あいつは、あんたと一緒に行きたいって思ってるのか?

 

それは、なんだか、レイリーの心を切なくさせた。

そう、慈悲のある人間ではないとして。

けれど、幼い少年達を育てている彼としても、いいや、強者としての自負と空気を持っている少年のその声音はどこか心をざわつかせた。

 

そんなもの、甘ったれたそんな感情なんて抱えているなんて嘘のようなくせに、その少女への恋しさと、そのくせ、少女の幸せを邪魔したくないといういじましさがあったものだから。

だから、レイリーはロジャーの嘘にさすがに罪悪感を覚える。

 

「ロジャー、お前・・・・」

「バレット!!

 

この船に乗っている人間にしては、可憐な声音がそこで飛び込んできた。青い、何かがレイリーの視界に入った。

 

「メラン!」

 

目を見開いた少年は己に飛び込んできた少女に目を見開いた。

 

「お前、どうしてここに!?」

「メラン・・・」

 

怪我はないかとメランはバレットの顔を撫でて確認した。少女の姿にバレットはほっとした顔をしたが、すぐに悲しそうな顔になる。

 

「・・・メラン、よかったな。」

「は、何がだ?」

「父、親が、見つかったんだな?」

 

それにメランの顔が強ばった、というか、目の端がぴくぴくと震えた。

 

「攫われたと思ってたが、そうじゃないんだな。だから、お前は、ロジャーと・・・」

「クソ野郎!バレットになに吹き込んでいるんだ!?」

「は?」

 

振り返ったメランの前でロジャーはシャンクスとバギーと話していた。

 

「逃げられたのか?」

「ごめん船長!」

「トイレだって言われて、まかれちゃって・・・・」

「おい!話を聞けよ!」

「嘘なんて言ってねえ!俺は、お前の父親だ!そう決めた!」

「決めた、じゃねえよ!見ず知らずのおっさんに父親になられる私のことを考えろ!海賊やってるのとは別のベクトルでやべえ奴じゃねえか!?」

「んだよ、お前が先に・・・・」

 

そんなことを言っているとき、ロジャーは自分に振り下ろされた刃を、引き抜いた己の剣で受け止めた。ガキンと、金属質のものがぶつかり合う音がした。

 

メランはそれに、己の背後で圧倒的な殺意と呼べる何かが吹き出るのを感じた。少しだけふらつく感じがしたが、慣れたものだ。

 

「てめえ、ロジャー・・・・・」

 

メランが振り向いた先では、耳を赤くした弟分が般若の顔でロジャーに斬りかかっていた。

 

「くだらねえ、嘘吐きやがって!!」

「バレット、やめ・・・・!」

 

メランはその瞬間、自分が頭上に放り投げられたことを理解した。ぐるりと、バレットと、ロジャーが下にいる。

 

「すまないね!お嬢さん?」

「離せ!!シルバーズ・レイリー!バレットが!」

 

受け止めたレイリーは申し訳なさそうにメランを受け止めた。そうして、暴れるメランを拘束する。それに、レイリーは申し訳なさそうな顔をして、目の前の戦いを見つめる。

 

「君が行って何になる。それに、安心していい。」

 

レイリーは目の前のそれに視線を向けた。

 

「あれは、ああいった奴のことは殺さないからな。」

 

 

ロジャーとバレットの戦いは、それこそ、目の止まらぬ動きだった。

バレットは強かった。確かに、海賊王になる男とやり合っているのだから。その若さを考えれば破格だろう。

けれど、あまりにも足りない。

経験も、覇気も強さも、あまりにも足りていなかった。

 

甲板にて崩れ落ちるバレットに、メランが足掻く。

 

「おい、止めろ!そいつに手を出すな!」

「おいおい、海賊船にやってきて、それでおしまいはねえだろう?」

 

そういって、ロジャーは這いつくばったバレットに近寄ろうとした。その時だ。

 

「お、おやめください・・・・!」

 

か細い声と、荒い息、そうして、間抜けな足音が聞こえてくる。それに、ロジャーとバレットの戦いに夢中になっていた人間達は船に忍び込んできた存在にようやく気づいた。

それは、バレットの元に向かい、そうして、庇うように彼の背中に手を置いた。

 

それは、金の髪に、赤い瞳をした、上品な顔立ちをした中年の男だ。あまりにも、それこそ、メランよりもなお、海賊船に不似合いな男だった。

 

「ホーミング・・・・!?」

 

メランが掠れた声でそう言った声は、掠れて消えていく。

ロジャーは、その男の顔に、少しだけ驚いた顔をした。

 

 

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