倫理観等はすでに消えかけていますが元気です。   作:藤猫

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お久しぶりです。短めです。

お題箱作ってみました、何かあれば
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宴の後

 

ぼんやりと、メランは目の前の光景を見つめる。そこには、ひどく、騒がしい光景が広がっている。

 

(いいや、ある意味で。)

 

「おい!お前、飲んでるか!?」

「え、あ、はい~・・・・・」

「なあ、お前、めっちゃつええんだな!なんの実の能力なんだ!?」

「おい!シャンクス!そんな奴に話しかけんなよ!」

「・・・・誰だ、お前ら?」

 

そこには、ただ、酒に酔い、簡単に話をする男達の姿があった。

 

天竜人、海賊、孤児、平民、ある意味で、そこには世界の果てから果ての存在立ちが肩を並べていた。

 

それは、なんだか、とても奇妙な光景で。

 

(目が・・・)

 

メランはゆっくりと目を細めた。

 

 

 

どんな顔をすれば良いのだろうか?

 

メランはずっと考える。

 

 

 

 

「おーい!お前ら!酒だ、酒だ!酒を持ってこい!?」

「おい、ロジャー!?」

「いいじゃねえか、レイリー!こんな愉快な奴らが来たんだ!飲まなきゃ損だろうが!」

 

ゴール・D・ロジャーのそれに今まで固唾をのんで見守っていた船員達はにやりと笑い合い、大きく合唱した。

 

「「「宴だあああああああああああああ!!!」」」

 

高らかに、楽しげに、たった一時の享楽に、それでも彼らは笑って戦船長の号令に頷いたのだ。

 

 

 

レイリーの拘束から解き離れてなお、メランは茫然とその場に座り込んだ。

だって、何を言えばいいのかわからない。

ただ、視線はドンキホーテ・ホーミングとゴール・D・ロジャー、そうしてダグラス・バレットを彷徨っている。

 

何かを言われて、宴の中に引き入れられて、そうして、酒を注がれた。けれど、そんなものを飲めもせずに、茫然と、思考の中でのたうち回った。

 

こんなことを、望んだわけではなかったのに。

 

 

 

宴は終わる。

当たり前だ。

暗い船の上で、メランは酔っぱらい達が転がる様をぼんやりと、膝を抱えてどことも知れない場所を眺めた。

 

「・・・・何、してるんだろう。」

 

自分は、何をしているんだろう。

 

 

ホーミングの言葉が、バレットの高らかな言葉が、頭の中でリフレインする。

 

弱かった男は、その弱さを振り切ってこの世で最も強いだろう男に啖呵を切った。

自由を知らなかった少年は、誰よりも高らかに自由を謳った。

 

変わった、きっと、多くが変わった。

それにまるで嵐の中に放り出されたかのように、思考がぐらぐら揺れた。

 

「・・・・・おい、メラン。」

 

まるで酔っぱらい達の山に埋もれるような形で座り込んだメランに声をかけてくる存在がいた。

それにメランはのろのろと顔を上げた。

そこには、彼女のいっとうに大事にしている少年が立っていた。

もう、少年なんて言えないほどに大柄な彼を見上げて、メランは笑った。けれど、バレットはそれに盛大に顔をしかめた。

それにメランは、きっと、上手く笑えなかったのだろうなあと理解した。

 

「・・・・ああ、なんだい?」

 

何を言えばいいのかわからなくて、メランはオウム返しのようにそう言った。それにバレットは普段通りのしかめっ面のままじっとメランを見た。

生来なのか、それとも違う理由からか、その場のルールにおいてはある程度素直なバレットは宴に参加した。

いいや、というよりも彼にとって最優先はホーミングとメランの奪還であって、敵対しないというのならば一旦は矛を収めた。

そうするに値する理由があった。

 

「今のうちに、船から出るぞ。」

「・・・無理だ。」

「なんでだ?ホーミングのおっさんなら回収したぞ?」

 

そういったバレットの腕には、しこたま酒を飲まされてなんとか意識を保っているホーミングがいた。

 

「め、めらん、はい、かえりましょう?」

 

顔を赤く染めたそれをメランは一瞥してため息を吐いた。

 

「・・・・君らだけでいくんだ。」

「何言ってやがる?」

「君だってわかってるだろう?全員がうたた寝してるわけじゃないし。動けばすぐに起き上がれるのだっている。」

「俺たちのことをわざわざ捕まえる理由はねえだろうが。」

「・・・ゴール・D・ロジャーは、少なくとも、私を手元に置いときたいんだろう。なら、来ることはないんじゃないのか?まあ、どこまでかは知らないけど。つって、君達は違う。逃げれるだろうから。」

 

 

原作のロジャーという男の性格から考えて、そこまでのことをして、自分のことをわざわざ手放すことはないだろうと予想した。

 

「・・・一旦、ここで別れるだけだ。だから。」

「ふざけたこと言ってねえで、さっさといくぞ!」

 

バレットはしかめっ面でそう吐き捨てた。現在、警戒すべきロジャーやレイリーは席を外している。ならば、今、抜け出すべきなのだろうと。

それに、普段のメランならば、うんと頷いていたことだろう。

 

けれど、その時、メランは、その言葉に目を見開いた。

 

「ほら、さっさと。」

「ふざけた?」

 

メランはくわりと目を見開いて、そうして吐き捨てた。

 

「ふざけてるのはどっちだよ!?」

 

それにバレットとホーミングは目を見開いた。

だって、メランは。

 

「余計なことしやがって!!」

 

そんな、感情の限りに怒り狂うなんてこと、見たこともなかったのだ。

 

「余計なことだと!?」

「違うのか、ダグラス・バレット!?お前と私の交わした約束は、生き残るための物だった!あの日、一つの国を、エゴによって滅ぼしたとき!あの時!弱い私は武力を、お前は生きるための知識を求めたはずだ!なのに、お前、なにしてるんだよ!私の代替品なんてたくさんいるはずだ!どうして!どうして、こんな、余計な。死ぬかもしれない、バカな選択をしたんだよ!?」

 

夜の海に、響く少女のそれにホーミングは目を見開いた。

酔いが醒めていくような感覚がした。

 

「白ひげと違って、ロジャーは享楽主義の気がある!あんな穏やかに話が付くかわからないから近づくなと言ったはずだ!私のことが心配!?これぐらいのこと、逃げること何て容易い!慣れてる!ずっと、そうだった!将軍の下にいたときから、潜入して、逃げ出すことぐらい多くあっただろうが!なのに、なのに。よけいなことしやがって!私が、いつ、助けて何て頼んだんだ!」

 

メランは、喉の奥が熱くなる感覚がした。

 

何を言っているんだろうか?

自分で、そう思う。

こんなことを言うべきでは無いのだとわかる。二人が無事であることを喜ぶべきなのだ。

なのに、なのに、メランは怒っていたのだ。

 

 

そんなことのために、生かしたわけでは無かったのに。

 

「ホーミング!貴様もだ!自分がどれだけ危険なことをしているのかわかっているのか!?私を助けられるほどのものを何も持っていない貴様が!何を私を助けるなんて戯れ言を吐ける!?」

 

怒りに満ちたその目に、ぎらぎらと光る金の瞳に、恐れるように足を引いた。

 

「死んで詫びを入れるお前は楽だろう!だがな、貴様を失ったあの弱い女は!?あの、幼い息子達はこれから苦しんで生きていくんだぞ!?その意味がわかっているのか!?」

 

そんなことのために、生かしたわけでは無かったのに。

 

その、弱さを受入れた在り方が、メランにとって何よりも守るべき物だった。

何よりも、正しいものであると信じたかった。

 

だから、生かしたのだ。

 

勝利した者こそが正しいなんて因果なんぞ唾棄すべき考えだ。

そうだ、だから、生きろと願った。

その男こそが、その祈りを抱えたものこそが、生き残るべきだと、そう。

なのに、その男はメランのために命をかけた。

命をかけて自分を救ったメランのために、命をかけねば人ではないだろう。

 

ああ、そうか。

メランは泣きたかった。いいや、だからこそ、泣いた。

ほら、ほら、見ろ。

 

天に座した竜として呼ばれながら、それでもなお、男は誰よりも人だったじゃないか。

ああ、そうだ。

お前こそ、その在り方こそ、生き残るべきだ。その在り方こそ、繋がっていくべきだ。

 

遠い昔の、メランをメランたらしめる在り方が高らかに笑っている。

 

けれど、それでもなお、メランは怒り狂った。

 

これでは、何も変わらないでは無いか。

男が死んでは、変わらないじゃ無いか。

 

また、あの、生意気な子どもは泣くのならば。

 

「死んで欲しくて、生かしたわけでは無いのだと!どうして、わからない!?こんなことのために、生かしたなんてふざけたことを言ってみろ!?私がお前のことを殺してやる!?」

 

なあ、なあ、なあ。

メランが、誰よりも、いきて欲しいと願ったお前達。

 

「私のために命なんてかけないでくれ。」

 

そんなことのために、生かしたわけじゃ無かった。

 

なにをやっているんだ、なにをしているんだ。

自分で始めたことなのに、全部が裏目に出て、生かしたかった存在を危険な目にさらした。

 

情けない、馬鹿らしい。

助けたことに後悔はない、けれど、それで自分のために死んでは元も子もないはずだ。

ああ、どんな顔をすれば良い?

どんな顔をして、自分は、彼らのことを見れば良い?

 

怒り狂った思考の中で、それでも、メランは冷静に考えていた。

おそらく、短気な少年はこの言葉に怒り狂って船を後にするだろう。それでいい。

白ひげへの裏切りのような行動はできるだけ控えた方がいい。ただでさえ、今はホーミング達を抱えたせいで不義理を働いているというのに。

これ以上の不義理なんて働いて、敵対行為など出来ない。

 

けれど、ロジャーはメランのことを逃がさないだろう。性格からして、しつこいことはわかっていた。

 

(その後は、隙を突いて逃げ出そうと。飽きるまで待つのも手だ、だから。)

「メラン。」

 

そこで聞こえてきたバレットのそれに、メランは驚いて弟分を仰ぎ見た。そこには、予想に反して、とても静かな、見たこともないような顔をしたバレットがいた。

 

「お前と俺がした約束、覚えてるんなら、俺がどうしてお前のためにここまで来たのかわかるはずだ。」

「わかるわけ無いだろ!?こんな危険な、ばかなことをした理由なんて!?」

 

バレットはそれに、彼女と視線を合わせるためにその場に跪いた。そうして、じっと、その快晴のような青い瞳で、満月の瞳を見返した。

 

「生きるために俺はお前と手を組んだ。」

「そうだ!だから!」

「これからも生きていくために、お前が必要だから、ここまで来た。」

 

それにメランは目を見開いた。そんなことを、考えたことも無かった物だから。

バレットはじっと、メランのことを見つめた。

 

「・・・・白ひげの下にいれば、私がいようと、いなくても変わらないだろう。」

 

とっくに、自由を叫べる少年に自分はもう不必要のはずだ。メランは、あの時、自由を叫んだとき、少年がもう一人で立っていけることを理解して。

よけいに、もう、彼から離れる考えが頭を擡げて。

それにバレットは視線をうろうろさせて、そうして、何か、奥歯に何かが挟まったような顔をしてメランを見た。

 

「・・・・航海術も、飯も、つええ奴も、そうだ。」

「なら!」

「それでも、ただ、だから。」

 

バレットは迷う。言いたいことがあるのに、けれど、言いたいことが言葉にできない。迷って、それでも、自分の中で及第点と言える単語を見つけ出して口にする。

 

「お前の、メランの、代わりはいねえだろうが。」

 

メランはそれに目を見開いて、そうして、口元を噛みしめた。

 

「・・・・メラン君。」

 

メランはのろのろとホーミングの方に視線を向けた。彼は、すっかり酔いが醒めたのか、静かな目でメランを見た。

 

「・・・・そうだね、君の言うとおりだ。君の言うとおり、私の選択肢は、あの子たちを苦しませてしまうものだったろう。」

「なら!」

「でもね、それでも、君のことを見捨てたら。私は、最後の矜恃を。人として生きるためにここまで来た道を否定してしまう。あの子たちに顔向けが出来なくなってしまう。それだけは、父親としてやってはいけないことだった。なによりも、だ。」

 

静かな、赤い瞳が自分を見ていた。

 

「大人として、子どもを助けに来るのは当然のことだろう?」

「私のどこが、子どもに見える!?」

 

ホーミングのそれに、メランは叫んだ。

 

「子どもだって!?私が子どもであれたことなんてありはしない!庇護はなく、愛はなく!ただ、生きるために獣のようにいきて!人を殺して!どこに!?この世のどこに、子どもとして生きれるものがどれほどいる!?」

 

メランは、だんと足を踏みしめた。

 

「私に親なんていない!私の地獄に訪れたのはバレットだけだ!子どもなんてそんな、今更な!」

 

そこまでいって、それでもなお、ホーミングはゆっくりと両手を広げてメランに近づいた。

 

「止めろ!違う!近づくな!」

「違うよ、メラン。君は、それでもね。」

 

追い詰めるようにホーミングはメランに近づく。メランはそれに弱々しく振り払うような仕草をするが、それでもホーミングを拒絶できない。

ホーミングは、メランのことを抱きしめた。

 

「・・・・そうだね、そうだ。君を恩人として助けたいと願ったのも確かなんだ。でもね。それでも。」

 

今、そうやってバレットに叫ぶ少女にホーミングは同時に、思ってしまったのだ。

幼くて、弱い少女を。

 

「まだ、幼い君に幸せにいきて欲しいと願うのは、私も同じなんだ。」

 

暖かな体だった。そうして、さすがはドフラミンゴの父親なのか、大柄な彼はそっと少女のことを抱きしめる。

それに、メランはいつの間にか、ぼたぼたと流れる涙に、それに何もかもが耐えきれなくなった。

 

わんわんと、少女は泣いた。

その涙の意味が、自分でも理解できなかった。

 

悲しいわけではない、苦しいわけではない、怒りからでもない。

ただ、いつかに、泣いた幼い自分を慰めてくれた父の手を思い出した。

 

 

 

 

「・・・・で、結局無理だったな。」

「当たり前だ。お前は俺の娘として、航海するんだからな?」

 

メランは甲板に座り込み、そうして綺麗な青空を見上げた。結果を言えば。メランたちの脱出は見事に失敗して、オーロ・ジャクソン号は出航してしまったのだ。

ロジャーはメランににやりと笑う。そうして、メランの隣に座り、ロジャーにぼこぼこにされて、ふてくされたかのようにしかめっ面をしているバレットを見た。その隣には気まずそうなホーミングの姿があった。

 

「お前たちのことも気に入ったから、このまま航海についてこい!!」

 

これ以上無いほどに楽しそうなそれに、メランはレイリーの方を見た。けれど、レイリーは諦めたかのように首を振った。

 

(・・・・いや、これは僥倖か。ロジャーのほうが、ガープ中将を説得する機会は多い。なら、ここでドフラミンゴたちのことも合流させて、引き渡す機会を見た方が。)

 

考え込んだメランに、バレットはそうだと笑いかけた。

 

「安心しろ、メラン。」

「何が?」

「迎えを頼んである。」

「迎えって、お前・・・・・」

 

メランはそれに嫌な予感を覚えて、背筋に冷たい物が走るのがわかった。

 

「白ひげのおっさんに今回のことを伝えるようにマルコに頼んだ。もう、おんなじように出発している。」

 

その言葉に、メランは、顔を青くさせた。

 

(・・・白ひげに、つたえ、た?)

 

白ひげはどうもメランのことを気にかけているような節はあった。けれど、ならば、現在自分を娘にすると宣っているロジャーに対して引くだろうか?

 

全面戦争。

 

そんな単語が浮んだ後、メランは叫んだ。

 

「こ、このあほおおおおおおおおおお!!??」

 

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