Re:前世で怪我して辞めた俺が青道で頂点を目指す話   作:Taipho

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19話

沢村が一軍入りを決めた次の日、俺達青道は圧勝で関東大会出場を決め、そのままの勢いで日を跨いだ試合で春季東京都大会を制した

 

そして関東大会を控えた大会5日前、原作通り沢村とクリスさんがバッテリーを組んでフィールディングを中心とした練習をしていた

 

俺はピッチングについては教えたがフィールディングについてはボークと牽制の基本のみ

 

投手の立ち回りはどうしても1人ではできないため教えたくても教えられなかったのだ

 

だが、ここでは人も沢山いて練習に関して言えば誰もが付き合ってくれる

 

環境としては最高だ

 

 

 

 

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「新一年生を合わせ総勢93名……………なんとも盛観な練習風景ですな。どうですか?片岡監督、今年こそは夏の甲子園に手が届きそうですか?」

 

「今年は春夏連覇が狙える大切な年ですからねぇ」

 

「………心配無用。選手達個々の能力は去年の都大会ベスト4のチームを上回りますから」

 

ケースバッティングでバッターが打ったセンター前の当たりを小湊亮介がダイビングキャッチする

 

「ヘイッ」

 

飛び込む小湊のフォローに倉持が寄りボールを要求する

 

飛び込んで体勢が崩れている小湊は左手首だけで倉持にボールをグラブトスすると素手で受け取った倉持がファーストに送球する

 

「ヒャッハァ!!」

 

倉持の送球は正確でバッターランナーはアウトになる

 

「「おお〜!!」」

 

「鉄壁の守備を誇る二遊間、1番ショート倉持(2年)、2番セカンド小湊(3年)」

 

まだ甘いな

 

投手が投じた厳しいコースの当たりを当然のように柵越を放つ

 

「4番でこそ無くなりましたが高校通算ホームラン数はチームトップ、3番キャッチャー滝川(3年)。勝負カンが冴えあの滝川から4番を奪った不動の4番、ファースト、キャプテン結城(3年)」

 

結城は少量の砂を摘むと胸の前で離し、風の流れを読んでいた

 

「ふむ…………風は東から西か…………」

 

(何故風を…………?)

 

ぶん

 

と、擬音が目で見えそうな程の力強いスイングをする

 

「当たればボールは遥か彼方!!レギュラーに復帰した超重量級サード5番増子(3年)」

 

うおおお!!死ねオラァ!!

 

センターから投じられたバックホームはノーバウンドで正確に捕手がタッチしやすいところに投げ込まれた

 

「強肩強打吼える6番センター伊佐敷(3年)。そしてレギュラーでこそありませんが圧倒的得点圏打率と滝川に勝るとも劣らぬ扇の要、御幸一也(2年)。最後に不動の絶対的エース、高瀬維。これらの選手は全国にも誇れるメンツだと思います」

 

「はっはっはっ!では今年こそはと期待して待っておりますぞ!」

 

「では失礼」

 

 

 

 

 

 

 

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関東大会1回戦

青道(東京)─横浜学園(神奈川)

 

(青道)(002 011 1)(5)
(横浜学園)(000 200 4)(6)

 

「おわっ!青道負けてんじゃん」

 

「今日クリスと高瀬試合に出てねーんだと」

 

「なにそれ舐めプ?このまま負けたらぜってぇ批判やべえって」

 

「けど、そもそも今日の相手って打撃がウリの横学だろ?丹波甲子園行ってから全然隙がねぇからなァ」

 

「横学打線を褒めるべきか?こりゃ」

 

『8回の表──青道高校、投手の交代をお知らせします』

 

「お?投手交代?高瀬来るか?」

 

『8番、丹波くんに代わりピッチャー沢村くん。ピッチャー沢村くん』

 

「沢村栄純!?お、おい!コイツ1年だぞ!?」

 

「まじかよ!こんな場面で高瀬じゃなくて1年!?」

 

「青道試合諦めたのか?」

 

1年生のまさかの登板に球場全体がざわつくが沢村は何処吹く風で意に返さず御幸のミット目掛けてフォーシームを投げ込んでいく

 

投球練習が終わりバッターがボックスに入る時バッターとキャッチャーの御幸が何か話していたようだが沢村には聞こえておらず、いい感じに集中できていた

 

そして

 

(なんだ?コイツ!う、腕が全然見えねぇ……………おわっ!?)

 

いつものダイナミックに足を上げる投球フォームから投じられた1球はインコース胸元に突き刺さる綺麗なフォーシームだった

 

そのバッターはカットボールで見逃し三振を奪うと勢いに乗った沢村はムービングでファウルを打たしてカウントを稼ぎ、チェンジアップもしくはフォーシームで三振の山を築き、2イニング投げて6三振を記録した

 

「よくやった!1年にここまでやられたんだ、この試合ひっくり返すぞ!」

 

「「「「「おお!!」」」」」

 

そしてその宣言通り4番の結城がホームランで追い付き、延長に入った試合は最後に高瀬がパーフェクトリリーフしたことで青道が逆転勝利した

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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「何やってる沢村ァ!!ちゃんとベースカバーに入らねェか!!」

 

関東大会で好リリーフを見せた栄純だが今までの野球環境上どうしても連携プレーに慣れておらず、仕組みを1から覚えさせられている

 

だが、原作と違ってクリス先輩の怪我が深刻では無かったこともあり、夏大あたりの対応で降谷共々キチッと扱かれている

 

そして、関東大会を2回戦から丹波くん・栄純・ノリの継投で危なげなく勝ち上がった青道は決勝にて海堂と対戦することになった

 

先攻 海堂

 

1番 セカンド 朝村

2番 センター 金井

3番 サード 永瀬

4番 ファースト 千石

5番 レフト 大田

6番 キャッチャー 杉井

7番 ショート 西

8番 ライト 佐久間

9番 ピッチャー 榎本

 

 

後攻 青道

 

1番 ショート 倉持

2番 セカンド 小湊

3番 ピッチャー 高瀬

4番 レフト 結城

5番 キャッチャー 滝川

6番 センター 伊佐敷

7番 サード 増子

8番 ファースト 御幸

9番 ライト 白州

 

 

 

今日の相手はMAJORの主人公の一個上の選手達だ

 

この中には茂野吾郎からホームランを打った千石真人が居る

 

けどマニュアル野球なんてこっちからしてみればホームランバッターを潰してくれるから楽でいい

 

それを証明する良い機会だ

 

投球練習が終わり海堂の1番打者が左打席に入る

 

クリス先輩のサインはアウトローのフォーシーム

 

俺はサインに頷き、ノーワインドアップで要求通りの場所へ150㌔のフォーシームを投げ込む

 

相手バッターは様子見の指示が出ているようで踏み込みすら甘く、打つ気がないのがバレバレだ

 

俺は挑発するようにクリス先輩のサインに2度首を振ってインコースにチェンジアップを投げ込み、見逃しで追い込む

 

3球目はアウトローに決め球のスライダーを投げ込む

 

相手打者は俺のスタミナ切れ狙いのようでカットしようとするがカスリもせず空振り三振

 

続く2番バッターはバントしようとするがインハイのフォーシームを上手く転がせず最後はチェンジアップで空振り三振

 

そして3番バッターも1度もバットに掠らせずスライダー3球で空振り三振を奪った

 

 

 

 

 

 

 

 

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「むぅ、ウチの選手達がバットに当てる事すらできんとは…………スライダーは捨てさせるか?」

 

海堂の現場監督である伊沢は長年このチームの柱となっているマニュアル野球を徹底しているがそもそもバットに当てることができていない為頭を悩ませる

 

「だが、今日の先発は榎本だ。簡単には打たれんだろう」

 

伊沢は榎本が先発という事で守備については心配していないようだ

 

 

 

 

 

 

 

 

榎本の投球練習が終わり、青道の1番倉持が左打席に入る

 

(この人は確か変化球が多彩で浮き上がるようなストレートを持ってるんだったな………ナックルとか打てる気しねぇし見逃せば握力削れるだろ)

 

倉持は3年生達が撮ってきたデータからナックルを捨てる決断をし、ツーストライクになるまではジャイロボール1本に絞ることにした

 

そしてそのジャイロボールは榎本が最も自信のあるボールの為初級からアウトローに投げ込んだ

 

(来た!ストレート!この軌道なら当たる!)

 

だが、高瀬を相手に打席を重ねた倉持はジャイロボールのノビを読み切りバットを上手く合わせて初球を三遊間へ運んだ

 

(重!アレで詰まってんのかよ!)

 

倉持の当たりは三遊間への小フライとなりショートの手前で落ちる

 

ショートが捕球し素早く送球するが倉持は既にファーストベースを駆け抜けていた

 

「おおお!倉持出た!」

 

「小湊、続けよー!」

 

2番小湊がこれまた左打席に入る

 

(倉持のやつ……1球しか投げさせてないじゃん。せめて俺が色んな球見とかないと………)

 

小湊はチーム1の選球眼と結城、滝川に次ぐバットコントロールでストライクゾーンの榎本の球をことごとくファールにし13球投げさせてフォアボールを選んだ

 

そしてノーアウトランナー1、2塁のチャンスに打席には高瀬が入った

 

(…………さて、何狙うかね〜?俺がアウトコースが得意って事はもうバレまくってるし外のボールデカいの飛ばしてインコース待つか………)

 

高瀬は狙い通り、アウトコースに来た球をレフトへ特大のファールを打ち、インコースの球を窮屈そうに空振りする

 

そして3球目のアウトコースのボール球の変化球をレフト線に弾き返した

 

レフトは素早く捕球するが倉持は既に3塁を蹴っており、小湊も2塁ベースを蹴って3塁に余裕で到達した

 

(ん〜高さ甘かったから思わず打っちゃったけど、コレで次の打席からインコースばっか来るでしょ)

 

先制点を取り、尚も1、3塁のチャンスで4番キャプテンの結城が打席に入る

 

(くっ、まさか榎本の球がここまで打たれるなんて…………しかも4番だ……ここは歩かせて5番で勝負だ!)

 

海堂バッテリーはリスクを避けるマニュアル通りに4番を歩かせ、5番のクリスとの勝負を選んだ

 

しかしクリスは元々、結城が覚醒したかのように打ち出す前は4番だった男だ

 

結城が高校通算54本に対し、クリスは怪我の間も代打やファーストなどで試合に出場し続け、高校通算61本打っている全国でもそうは居ないスラッガーだ

 

海堂バッテリーはナックルを決め球に選択しジャイロボールやカットボールなど、球速の速い球でカウントを稼ぐ、クリスはそれを読み切り、ジャイロボール狙いを思わせるべくカットボールにワザと詰まってファールにした

 

これを見た海堂バッテリーは三振の確信を持ってナックルを真ん中から落とす

 

(ナックルか………全国でもナックルボーラーはそう居ないだろう………だが、高瀬のスライダーより上と言うことは無い。1度変化し始めればだいたい軌道は読める!)

 

クリスの出したバットはしっかりとボールの芯を叩き、右中間を割る走者一掃の3点タイムリーツーベースとなる

 

青道打線はこれでは終わらず、6番伊佐敷がしぶとくライトへのポテンヒット、7番増子のサードを強襲するヒットで再び満塁を作り、打席には得点圏打率7割を越える全国に名が知れ渡っている名捕手の1人、御幸一也が入る

 

御幸は未だバッテリーがまだまともにヒットを打たれていない為自信があるジャイロボールを狙い、ライトスタンドへ突き刺した

 

海堂としては完全なる想定外の一巡せぬ間に1つもアウトが取れず、エースがノックアウトされた

 

その後は左打者が続くという事で左キラーと呼ばれる桜庭がマウンドにあがり、小湊に四球は出したものの高瀬を抑えて初回を乗り切った

 

2回表の海堂は4番の千石が先頭打者だが、全球スライダーで空振り三振に討ち取られてしまう

 

そして2回を全員三振で抑えると、3回も全員三振に切ってとり、4回からピッチャーは沢村に代わった

 

4回の海堂の攻撃は1番からの好打順

 

だが大量の点差により沢村はリラックスできており、出処の見えにくいフォームでタイミングを崩しつつムービングとツーシームを中心に打者3人を7球で討ち取った

 

しかし5回、4番千石に厳しく攻めたツーシームをスタンドに運ばれると、スイートポイントが広い金属バットの特性により討ち取ったハズの当たりがポテンヒットになるなど不運な当たりが続きこの回だけで4失点してしまう

 

6回からは丹波がマウンドにあがり、大きいカーブと力強いストレートでフライを打たせツーアウトを取るが再び回ってきた4番の千石にまたもやホームランを打たれてしまう

 

しかし昔と違って持ち堪えた丹波はその後のバッターをカーブで三振に抑えた

 

そんな丹波に感化された3年生達は結城とクリスに連続ホームランが生まれ、増子も両チーム1の飛距離を計測した特大ホームランで援護した

 

そして8回まで2失点に抑えた丹波に代わり、9回のマウンドには川上が上がる

 

海堂は2番から始まる好打順だが先頭打者をスライダーで空振り三振に抑える

 

しかし、クリーンナップに連打を浴び、1点を失うが丹波のように粘り強いピッチングで後続を抑え、18-6で青道高校が春の関東大会を制した

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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~番外編・天久編~

 

関東大会が終わった日、この日は午後が完全なオフだった為、礼ちゃんに外出許可貰って若菜と一緒にカラオケに行く事にした

 

「────そ、だからあの場面本当はインコース狙ってて………」

 

「あのアウトコース普通はボールだと思うんだけど………」

 

若菜と今日の試合のことを話しながらカラオケ屋に入店すると若干チャラチャラした高校生くらいの男女5人組が居た

 

「ん?ねぇ君!」

 

俺はその中の一人に見覚えがあり、思わず声をかけてしまった

 

「ん?俺?」

 

「そ!君、君」

 

俺が声を掛けた金髪くんは周りを見渡して自分を指さした

 

「何か用?」

 

「君さ、市大三高の天久光聖じゃない?」

 

「そうだけど………」

 

「なんでこんなとこに居んの?練習は?」

 

「いや、てかお前誰?」

 

「俺は高瀬維、青道のエースやってる」

 

「青道?逆にそんなとこのエースがこんなとこでなにやってんの?」

 

「今日関東大会優勝したから午後はオフなんだよ。それで彼女とデートしに来た」

 

「へぇ〜」

 

「君さ、チーム逃げ出したんだろ?夢中になれなくて」

 

「!!」

 

「今から俺が保証してあげるよ。今年の夏の大会は夢中になれる相手ばっかだぜ?」

 

「その根拠は?」

 

「真中さんからホームラン打てる1年生にウチでも攻めあぐねる程の精密機械、成宮鳴率いる稲実、そして全国最強の打線と君と同じスライダーが決め球の全国最強のピッチャーが居る青道高校」

 

「………………おもしれぇ!首洗って待ってろよ……」

 

「んじゃデート中なんで。また夏大で会おうよ。天久光聖」

 

「光聖でいいよ高瀬維」

 

「じゃあ俺も維でいいよ」

 

「なら維、連絡先交換しねぇ?」

 

「いーよ、君となら有意義に話せるだろうしね」

 

「じゃあ今度こそまた夏大で会おう。光聖」

 

「あぁ、またな維」

 

こうして原作と違いチームを離れた天久光聖はスグにチームに舞い戻ることとなった

 

だがその代償に若菜に拗ねられ、寮生活の高校生にはなかなかキツいプレゼントをすることになりました、マル

 

 

 

 

 

 





海堂エース榎本がバカスカ打たれてますが、これは主人公とは言え、海堂の評価で二軍でしかもほぼセンスのみのバッティングの吾郎くんに打たれているところと2年生の成宮から甲子園含めて唯一4点取った強力青道打線に高瀬とクリス、さらに強化された哲さんなど入れたら原作の成宮なら10点取れそうな打線ですからこれくらいは取れると思ってます

普通に御幸が8番にいる打線ですから 

尚、成宮も夏までに強化するので力関係は原作と変わらないと思います(チーム力も含めて)

MAJORの吾郎くん世代か1個上の千石時代。合わせるならどっち?(吾郎くんが海堂残るかどうかも)

  • 吾郎くん海堂の同い歳ルート
  • 吾郎くん離脱の同い歳ルート
  • 吾郎くん海堂の一個上ルート
  • 吾郎くん離脱の一個上ルート

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